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【発明の名称】 エゾウコギ細胞培養による幼植物体の大量生産方法及びその幼植物体の保管方法
【発明者】 【氏名】金 明助

【氏名】金 載▲フン▼

【氏名】呉 承哲

【氏名】卞 景祿

【要約】 【課題】エゾウコギ胚発生細胞を液体培地で懸濁培養し、体細胞胚発生過程を通じて幼植物体を大量に培養し得る幼植物体の大量生産方法及びその幼植物体の保管方法を提供することである。

【解決手段】エゾウコギ胚発生細胞をフラスコ容器で懸濁培養し、体細胞胚発生過程を経るか、または空気送り込み装置の取り付けられた生物反応器で培養することにより幼植物体を大量に供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 エゾウコギ(Eleutherococcus senticosus Max)の幼植物体を培養することにおいて、植物生長調節物質が添加されていないMS液体培地で胚発生細胞KCTC 0504BPを継代培養して、均一な体細胞胚に生長させる段階と、前記体細胞胚を空気送り込み型生物反応器に移してから培養して幼植物体を得る段階とから構成されることを特徴とするエゾウコギ幼植物体の培養方法。
【請求項2】 エゾウコギ体細胞胚の継代培養は2〜3週間間隔に継代培養して、均一な魚雷形または子葉形時期の体細胞胚に生長させることを特徴とする請求項1記載のエゾウコギ幼植物体の培養方法。
【請求項3】 体細胞胚は、魚雷形が1〜3mmであり、子葉形が3〜5mmであるものを、生物反応器に移して10〜15日間培養することを特徴とする請求項2記載のエゾウコギ幼植物体の培養方法。
【請求項4】 生物反応器への空気は、0.2μm以下のフィルタを通過した無菌状態のもので、空気送り込み装置により反応器の下部から供給されることを特徴とする請求項1記載のエゾウコギ幼植物体の培養方法。
【請求項5】 体細胞胚を生物反応器に移し、25±1℃の温度で培養することを特徴とする請求項1記載のエゾウコギ幼植物体の培養方法。
【請求項6】 エゾウコギ幼植物体を培養することにおいて、エゾウコギ胚発生細胞KCTC 0504BPを液体培地で約20余日間暗所で懸濁培養して、胚発生細胞を大量に分裂増殖させる段階と、胚発生細胞及び細胞塊を150〜300μmの目を有する網で濾し、この網を通過した胚発生能を有する細胞が含有された濾液と、網を通過し得なかった細胞塊とを分離する段階と、前記網を通過した胚発生細胞が含有された濾液を前記と同培地に移し同一過程を繰り返し、前記網を通過し得なかった胚発生細胞塊は、植物ホルモンが添加されていない液体培地で懸濁培養して、体細胞胚発生過程により幼植物体を得る段階とからなることを特徴とするエゾウコギ幼植物体の培養方法。
【請求項7】 請求項1または請求項6で得られた大量の幼植物体を0.5〜1.0%のスクロース溶液で洗った後、蒸留水を1.0%の寒天で固形させた培地を含有した使い捨て滅菌ペトリディッシュに生重量約3〜4gずつ無菌的に移し、25±1℃の温度で3〜4日程度培養し、汚染の有無を確認した後、無菌状態のものを識別し8〜12℃の冷蔵庫に保管することを特徴とする幼植物体の保管方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエゾウコギ(Eleutherococcus senticosus Maxまたは Acanthopanaxsenticosus)胚発生細胞(Eleutherococcus senticosus/Embryogenic cells)を液体培地で懸濁培養して、体細胞胚発生過程を通じて幼植物体(seedlingsまたはplantlets)を大量に培養し得る技術を世界最初に開発し、エゾウコギを生食用の食品及びエキスまたは有用成分の抽出用材料として供給する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】エゾウコギは薬用としての価値が高く評価されて、ロシアなどの諸国で自然産エゾウコギの成分分析研究が多く進行されたところ、その効能が卓越したことが立証された。すなわち、エゾウコギには、消炎作用がアスピリンより5倍強いアカント酸(acanthoic acid)、β−シトステロール(β−sitosterol)、エレウテロサイド(eleutheroside)A〜G、スチグマステロール(stigmasterol)などの有用成分が含有されて、精力増進、高血圧、糖尿、抗癌作用、抗炎症作用、鎮痛解熱作用、神経痛、健康状態平衡維持、生命延長などに薬効が卓越し、その効能が山参に等しいと知られている。とくに、エゾウコギは疲労回復剤の妙薬で、運動選手または精神労働者に大きい効果があると知られている。
【0003】韓国産エゾウコギは、多くの生理活性があるエレウテロサイドE(eleutheroside E)の含量が韓国の土産種ウコギ(Acanthopanax Chilsanensis、Acanthopanax Seoulensis、Acanthopanax Siebololianum、Acanthopanax Koreanmなど)に比べ、1.7〜5.5倍程度多いと報告された(バクホギ、全北大学校博士学位論文、1997)。しかし、一般農家でエゾウコギを栽培する場合に要求される気候条件が複雑で種子を結びにくく、挿木も困難で、増殖に多くの難しさがある。また、潅木であるエゾウコギは、根皮及び樹皮を薬用として採取するため、比較的長い栽培期間が必要であり、一旦、根皮及び樹皮を採取すると、その植物体はそれ以上生存し得ないため、薬用としてこれらを得ることは1回に過ぎなくて、繰り返して生産することができない問題点がある。
【0004】最近、高麗人参の場合には、細胞を培養容器内で大量に培養してサポニンを抽出することに成功し、その培養体を加工しないでそのままで乾燥、粉末化して健康食品として市販している(日本国、日東電工)。また、多くの企業で注目細胞を培養して抗癌成分であるタクソルを抽出している。
【0005】しかし、これまで、本発明のように、細胞培養により再分化された小植物体を大量に生産し、これを生食用として商品化した例はほとんどないのが実情である。
【0006】組織培養によるエゾウコギの不精芽発生及び体細胞発生による植物体再分化が報告(Plant Cell Reports 9:514-516, 1991;Korean J Plant Tissue Culture20:216-266, 1993)されたが、これは、寒天培地で小規模でなされたもので、本発明のように、液体培地から胚発生細胞株を確立させた後、これから幼植物体を大量に生産する方法とは異なる。したがって、これまで、エゾウコギを組織培養により大量に生産して健康食品及び健康補助食品として商業化するシステムに関する研究は行われていないのが実情である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、エゾウコギの胚発生細胞(Eleutherococcus senticosus/Embryogenic cells)を植物ホルモンの添加されていないMS(Murashiage and Skoog)液体培地で懸濁培養して増殖させた後、所定サイズの目を有する網で濾し、網を通過した胚発生細胞は培地用として再使用し、網を通過し得なかった細胞塊は、体細胞胚発生過程により大量の幼植物体を得、これを寒天培地に移植し、このエゾウコギ幼植物体を無菌状態の生食用食品及びエキスまたは有用成分抽出用材料として提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、エゾウコギの胚発生細胞を植物生長調節物質が添加されていないMS液体培地で懸濁培養して、均一に成長した魚雷形(約1〜3mm)または子葉形(約3〜5mm)の時期の体細胞胚を空気送り込み装置の取りつけられた生物反応装置を用いて、無菌で汚染していない状態の幼植物体を大量に培養する方法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、エゾウコギの胚発生細胞2を、MS液体培地が入っている三角フラスコで20日程度懸濁培養(以下、すべてrpm100)して約10倍程度増殖させた後、150〜300μmのサイズの目を有する網4で濾し、網4を通過した胚発生細胞2(全体生重量の約1/10)は培養用として再使用する。前記網4を通過し得なかった細胞塊3(全体生重量の約9/10)は植物ホルモン無添加MS液体培地が入っている容器で2〜3週間間隔に4〜6回継代培養した場合、体細胞胚5の発生過程により幼植物体6に発達し得る。前記幼植物体は、蒸留水のみを、1.0%の寒天で固形させた培地を含有した滅菌されたペトリディッシュに生重量約3〜4gずつ無菌的に移して25±1℃の温度で3〜4日程度培養し汚染の有無を確認した後、無菌状態のものは製品に包装し、8〜12℃の冷蔵庫に移して保管する。
【0010】前記過程で得られた体細胞胚から幼植物体への発生過程は、前記のような懸濁培養による方法以外にも、空気送り込み装置7が取り付けられた生物反応器1によっても可能である。前記生物反応器を用いる場合、幼植物体を得る過程は次のようである。
【0011】胚発生細胞が前記過程の継代培養を経た後、均一なサイズの魚雷形(約1〜3mm)または子葉形(約3〜5mm)の時期の体細胞胚に成長し、前記段階により成長した体細胞胚を、植物生長調節物質が添加されていないMS培地(2%スクロース)が入っている生物反応器に移し10〜15日間培養することにより、子葉と根がよく発達した幼植物体に培養することができる。培養は、たとえば、直射光線が当たらないまたは直射光線をすりガラスや障子などで遮断したような明るい場所で、夜には蛍光灯で明るくした条件で行われ得る。前記段階で得られた幼植物体は1〜2Lの瓶に移し、滅菌された0.5〜1.0%のスクロース溶液できれいに洗浄し、生重量3〜4gずつペトリディッシュに移し、25±1℃の温度で3〜4日程度培養し汚染の有無を確認した後、無菌状態のものは製品に包装し、8〜12℃に維持される冷蔵庫に移して保管する。
【0012】図1および図9に示されているように、本発明に使用される生物反応器1は空気送り込み装置7が取りつけられた空気送り込み型生物反応器である。生物反応器1の容量は体細胞胚の成長状態に応じて任意に選択され、特別な制限はない。なお、本発明でいうところの空気送り込み型生物反応器1とは、空気送り込み装置7によって無菌空気をフィルタ8と通気路9を介して送り、生物反応器1の下部から上部方向へ培地10の中に気泡11を発生させ得る生物反応器である。生物反応器1の内部への無菌空気の注入は、前記反応器の外部に連結された空気送り込み装置7により、反応器の下部より行われる。空気送り込み装置7としては、コンプレッサまたは水族館用エアポンプを使用するとよいが、これらに限定されるものではないが、ただ、無菌空気の注入のためには、空気が0.2μm以下のフィルタ孔を通過するようにすることが必要である。図9では、1個の生物反応器1を示しているが、複数個の生物反応容器1を並列または直列に連結することもできる。
【0013】
【実施例】以下、本発明の内容を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明の権利範囲がこれら実施例に限定されるものではない。
【0014】実施例1 懸濁培養によるエゾウコギ胚発生細胞(Eleutherococcus senticosus/Embryogenic cells)から大量の幼植物体生産エゾウコギの胚発生細胞(Eleutherococcus senticosus/Embryogenic cells、KCTC0504BP)を300mlのMS液体培地(3%スクロース、pH5.8に調整し、121℃、1.2気圧下で湿熱滅菌)が入っている1,000mLの三角フラスコ内で、rpm100、25±1℃、暗所(dark condition)で約20日間懸濁培養した。本発明のエゾウコギ胚発生細胞は韓国科学技術院生命工学研究所内遺伝子銀行に1998年7月14日寄託番号KCTC 0504BPで寄託した。胚発生細胞2は前記培養条件で分裂増殖を続けると、細胞が分裂して細胞塊(cell clusters)3をなし(図2参照)、20日程度培養したとき、約10倍程度に生重量が増加した。これを250μmの目の網4で濾し(図3および図10参照)、網4を通過した胚発生細胞2(全体生重量の約1/10)は新たな培地に移し、先の方法と同じ方法で培養したとき、胚発生細胞2は胚発生能を維持しながら増殖した。したがって、この方法により、胚発生細胞2は永久的に維持及び増殖できる。一方、網4を通過しえなかった細胞塊3(全体生重量の約9/10)は2,000mLの植物ホルモン無添加MS培地が入っている5,000mLの容器に移し、すりガラスを介して直射光線が当たらない明るい部屋で、夜には蛍光灯で明るくした条件で培養した。細胞塊が大部分球状胚となるまでには約3〜4週間程度が必要であり、これは体細胞胚の発生段階の後期に比べ比較的長い期間である。したがって、3週間後に継代培養すると、細胞塊と球状胚とが混在しているが、これらを均一な時期のものに分けるため、培養容器を1〜2分程度静置した後、球状胚が大部分沈むと、徐々にほかの容器に培地を注いで出す。この際に、培地とともに先に移されるものは軽い細胞塊であり、遅くまで培地とともに残るものは、細胞塊より重い球状胚が大部分である。このように、重力を用いる同調継代培養は、体細胞発生過程で比較的均一な体細胞胚5を一つの容器12内に集めることができる(図4および図11参照)。体細胞胚が成熟(子葉期以後)するにつれて、継代培養時、培地の量を幼い体細胞胚期より約1/3と少なくし、継代培養期間を3週間から2週間程度に短縮したときは、薄い黄緑色を呈する幼植物体(または小植物体)6が多く発達した(図5および図6参照。なお、図6は図5の幼植物体6を上方から写した写真である)。液体培地から誘導された幼植物体のうち、子葉と根の生長が良好なものは、蒸留水のみを1.0%の寒天で固形させた培地を含有した使い捨て滅菌ペトリディッシュに生重量3〜4gずつ無菌的に移し、25±1℃の温度で3〜4日程度培養し、汚染の有無を確認した後、無菌状態のものは製品に包装し8〜12℃の冷蔵庫に移し1ヵ月程度保管し得るので、幼植物体6(図6において、多数の白いひも状のからみあっているように見えるもの)を生食用食品として商品化できる。
【0015】実施例2 生物反応器によるエゾウコギ幼植物体の大量生産エゾウコギ(Eleutherococcus senticosus Max)の胚発生細胞を植物生長調節物質が添加されていないMS液体培地で懸濁培養により球状体細胞胚を2〜3週間ごとに継代培養して、均一な魚雷形(約1〜3mm)または子葉形(約3〜5mm)の時期の体細胞胚に発達させた。植物生長調節物質が含有されていないMS培地(2%スクロース)が入っている生物反応器で培養して、10〜15日目に幼植物体を取り去るため、魚雷形時期の体細胞胚は10Lの空気送り込み型生物反応器で生長させ、魚雷形よりもっと成長した時期の体細胞胚は3〜5Lの生物反応器に移して培養した。生物反応器内への無菌空気の注入は、コンプレッサまたは水族館用エアポンプを使用して反応器の下部で供給するように構成されたものを使用した(図1および図9参照)。無菌空気の注入のため、目の大きさが0.2μmであるフィルタ(Midisart 2000、sartorius)を空気が通過するようにした。体細胞胚を生物反応器に投入する量はそれぞれ10g(3L容器)、20g(5L容器)、30g(10L容器)程度にした。体細胞胚の培養は25±1℃の温度で直射光線が当たらない明るい場所で行い、夜には蛍光灯で明るくした。このような条件で約10〜15日程度培養したとき、生食用及び有用成分抽出用材料として用いることができる幼植物体6が発達した。図7において、じょうご状に見える塊全体が、生食用および有用成分抽出用材料として用いることができる発達した幼植物体6である。魚雷形時期のものは、生物反応器で約10〜15日間培養したとき、生重量が約40倍増加し、子葉形時期のものは約20倍程度増加した(図8参照)。
【0016】魚雷形時期の体細胞胚が幼植物体となる期間は、生物反応器で培養したとき、10〜15日であり、懸濁培養で培養したとき、約30日であるので、生物反応器で培養することが懸濁培養に比べ、期間が約1/3〜1/2程度に短縮された。
【0017】実施例3 生物反応器で生産されたエゾウコギ幼植物体の貯蔵生物反応器で得られた幼植物体は1〜2Lの瓶に移し、滅菌された0.5〜1%のスクロース溶液できれいに洗い、約3〜4g(生重量)ずつペトリディッシュに移し、25±1℃の温度で3〜4日程度培養し、汚染の有無を確認した。無菌状態のものは、製品に包装し、冷蔵庫(8〜12℃)に移して保管したところ、約1ヵ月程度は変質なく良好な状態に維持された。また、生物反応器で生産されたエゾウコギ幼植物体はすぐエキス及び有用成分抽出用材料として使用するか、凍結乾燥器で凍結乾燥させた。これは、そのまま使用するか、粉末化して健康飲料及び茶の添加剤として使用することもできる。生物反応器で生産された製品は、懸濁培養により生産された幼植物体より大きさが均一であり、香り及び使用感など、全般的な官能性に優れた。
【0018】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、エゾウコギ体細胞を懸濁培養または空気送り込み型生物反応器で培養することにより、無菌で汚染していない状態の幼植物体を大量生産することができる。
【出願人】 【識別番号】599135134
【氏名又は名称】株式会社マイクロプランツ
【識別番号】599135145
【氏名又は名称】金 明助
【識別番号】599135156
【氏名又は名称】金 載▲フン▼
【出願日】 平成11年9月24日(1999.9.24)
【代理人】 【識別番号】100065226
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
【公開番号】 特開2000−228924(P2000−228924A)
【公開日】 平成12年8月22日(2000.8.22)
【出願番号】 特願平11−271286