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【発明の名称】 農業用合成樹脂製フィルム
【発明者】 【氏名】丸山 明男

【要約】 【課題】フィルムの端部を捲り上げなくとも内部の様子を知ることができ、かつ土壌による劣化も比較的遅い農業用合成樹脂製フィルムを得ること。

【解決手段】本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、フィルムの長辺を構成する少なくとも一方の端部から、微細凹凸を全く形成していない領域、微細凹凸を部分的に形成した領域、微細凹凸を全面に形成した領域とを順次形成させたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 微細凹凸を全面に形成した領域と、微細凹凸を部分的に形成した領域を有する合成樹脂製フィルムの長辺を構成する少なくとも一方の端部から、フィルム中央部に向かって、20cmの幅の領域αにおいて、微細凹凸形成部分の面積が、領域αの面積の3割以下である農業用合成樹脂製フィルム。
【請求項2】 合成樹脂製フィルムにおいて、該フィルムの長辺を構成する少なくとも一方の端部から、微細凹凸を全く形成していない領域、微細凹凸を部分的に形成した領域、微細凹凸を全面に形成した領域とを順次形成してなる農業用合成樹脂製フィルム。
【請求項3】 微細凹凸を部分的に形成した領域において、微細凹凸形成部の割合が、フィルム中央部からフィルム端部に向かって、漸次減少するように形成された請求項1又は2記載の農業用合成樹脂製フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農業用被覆材として使用される合成樹脂製フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ハウスやトンネル等の農業施設の被覆材として、ポリ塩化ビニルやエチレン−塩化ビニル共重合樹脂等の塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンやエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂等の合成樹脂からなる透明フィルムが使用されている。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】しかし、透明フィルムは、光の透過量が多いため、日差しの強い日には、植物の葉が焼けてしまうという問題が生じた。そこで、この問題を解決するために、フィルムの全面に微細凹凸を形成させた梨地のフィルムが使用されているが、全面に微細凹凸が形成されているため、ハウスやトンネルの外側から中の植物の状態を知るためには、フィルムを毎回捲り上げて中を覗くしかなかった。
【0004】また、梨地のフィルムに窓として微細凹凸を全く形成していない領域を設けたフィルムもあるが、全面に微細凹凸を形成した領域と、微細凹凸を全く形成していない領域とが隣接しており、全面に微細凹凸を形成した領域と、微細凹凸を全く形成していない領域の境界線がフィルムの長手方向に一直線に形成されているため、境界部分から破れやすいものであった。
【0005】さらに、微細凹凸形成部分は、透明部分(微細凹凸非形成部分)よりも土壌中での劣化速度が速い。そのため、地面に埋められたり、触れたりする部分に微細凹凸形成部分が多く存在すると、フィルムが比較的早く劣化してしまうという問題が生じた。特に、フィルムの片方だけを捲り上げて換気を行う場合には、捲り上げる方の端部のみが、土壌から引っ張り上げられたり、土壌中に埋め戻されたりするため、劣化が速いという問題が生じた。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、微細凹凸を全面に形成した領域と、微細凹凸を部分的に形成した領域を有する合成樹脂製フィルムの長辺を構成する少なくとも一方の端部から、フィルム中央部に向かって、20cmの幅の領域αにおいて、微細凹凸形成部分の面積が、領域αの面積の3割以下である農業用合成樹脂製フィルムである。
【0007】請求項2記載の本発明は、合成樹脂製フィルムにおいて、該フィルムの長辺を構成する少なくとも一方の端部から、微細凹凸を全く形成していない領域、微細凹凸を部分的に形成した領域、微細凹凸を全面に形成した領域とを順次形成してなる農業用合成樹脂製フィルムである。
【0008】請求項3記載の本発明は、請求項1又は2記載の構成に加え、微細凹凸を部分的に形成した領域において、微細凹凸形成部の割合が、フィルム中央部からフィルム端部に向かって、漸次減少するように形成されたことを特徴とする農業用合成樹脂製フィルムである。
【0009】透明フィルムを構成する合成樹脂としては、従来より農業用合成樹脂フィルムの素材として使用されているものであれば、いずれのものであっても使用可能である。具体的には、塩化ビニルの単独重合体であるポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂等の塩化ビニル系共重合樹脂、等の塩化ビニル系樹脂;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等のエチレン系共重合樹脂、等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;フッ素系樹脂;等の合成樹脂が使用できる。中でも、ポリ塩化ビニルは、加工性に優れるため、好ましい。
【0010】上記の合成樹脂には、必要に応じて、可塑剤、安定剤、防滴剤、防霧剤、滑剤、粘着防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、無機充填剤、保温剤又は着色剤等の各種添加剤を添加しても良い。
【0011】上記の合成樹脂及び必要に応じて添加される各種添加剤とからなる合成樹脂組成物は、カレンダー法、押出法、インフレーション法等の公知の手段で所望厚さのフィルムに成形される。フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、一般的には、0.01〜0.3mm程度の範囲である。また、フィルムの幅についても特に限定されるものではないが、1〜5m程度のものが一般的である。
【0012】また、地面に接する可能性の高い部分、つまりフィルムの長辺を構成する端部からフィルムの中央に向かって20cmの幅の領域において、該領域の総面積中における微細凹凸形成部分の総面積の割合が3割以下であれば、好ましい。土壌中において、微細凹凸形成部分の劣化速度は、微細凹凸非形成部分の劣化速度よりも速い。このため、本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、フィルムの長辺を構成する少なくとも一方の端部に微細凹凸を全く形成していない領域を設けるが、両方の端部に微細凹凸を全く形成していない領域を形成するとより好ましい。また、農業用ハウスに展張した場合に土壌に接したり、土壌中に埋められる部分、つまり、微細凹凸を全く形成しない領域を有するフィルムの端からフィルムの中央に向かって10cmの幅の部分においては、微細凹凸を形成しない領域とするのが好ましい。
【0013】上記の微細凹凸は、例えば、梨地や絹目等のエンボス加工を施すことにより形成される。
【0014】本発明の農業用合成樹脂製フィルムにおいては、フィルムの総面積に対し、微細凹凸形成部の面積が65〜90%を占めるのが好ましい。
【0015】本発明の農業用フィルムは、微細凹凸を全く形成しない領域又は微細凹凸を部分的に形成する領域を設けることによって、農業用フィルムを展張した農業用ハウスの中の様子を外側から見ることができる。また、微細凹凸を全く形成しない領域と全面に微細凹凸を形成した領域の間に、微細凹凸を部分的に形成した領域を設けることによって、微細凹凸形成部分と微細凹凸非形成部分の境目からフィルムが破れるのを抑制している。
【0016】全面に微細凹凸を形成した領域の幅及び微細凹凸を部分的に形成した領域の幅については、展張しようとする施設の大きさ、農業用合成樹脂製フィルム全体の幅等によっても異なり、一概には決められないが、一般的には、微細凹凸を全く形成しない領域の幅が0.05〜0.4m好ましくは0.05〜0.2m、微細凹凸を部分的に形成した領域の幅が0.1〜0.8m程度であり、好ましくは0.2〜0.5mである。また、微細凹凸非形成部が天頂付近に存在すると、そこから差し込む光によって、葉焼けが生じる場合があるため、あまり好ましくない。そのため、微細凹凸を部分的に形成した領域においては、フィルム中央部からフィルム端部に向かって、微細凹凸形成部の割合が漸次減少するのが好ましい。
【0017】また、微細凹凸を部分的に形成した領域内における微細凹凸形成部と微細凹凸非形成部との面積比率についても特に限定されるものではないが、20:80〜80:20、好ましくは、65:35〜35:65程度とされる。
【0018】微細凹凸を部分的に形成した領域における微細凹凸形成部又は微細凹凸非形成部の形状は、縦、横、斜めのストライプ状、格子状、斜め格子状、水玉状等であってもよいが、本発明において特に好ましくは、微細凹凸を部分的に形成した領域内での微細凹凸形成部分の面積比率がフィルム端部に向かって、漸次減少するようになっているのが望ましい。すなわち、土壌に接する可能性の高い部分ほど、微細凹凸非形成部である透明部の比率が高い方が好ましい。
【0019】また、本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、微細凹凸形成部と非形成部との境界が一直線上に集中するようなことがなく、引っ張り等の負荷がかかっても、この境界部分からの破れが生じにくい。
【0020】上記した本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、表面及び/又は裏面に、水系塗料、溶剤系塗料、紫外線硬化型塗料等からなる塗膜を形成したものであってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の農業用合成樹脂製フィルムの具体例について説明する。
【0022】図1に示す例は、厚さ0.1mm、幅1.8mとなるように、カレンダー法により形成された軟質ポリ塩化ビニルフィルムの両端部から中央部に向かって、微細凹凸が全く形成されていない領域A、部分的に微細凹凸が形成された領域B、全面に微細凹凸が形成された領域Cとが順次形成されるように、梨地エンボス加工による微細凹凸を形成したものである。本例における領域Cの幅は1.4m、領域Bの幅はそれぞれ0.3m、領域Aの幅は0.1mである。また、領域B中の微細凹凸形成部は、底辺が6cm、高さ0.3mの二等辺三角形モチーフが横方向に連続したような形状となっており、フィルムの長辺を構成する両端には、微細凹凸を全く形成しない領域Aが配置されている。本実施例では、フィルムの長辺を構成する端部からフィルム中央部に向かって20cmの幅の領域(以下、領域α)における微細凹凸形成部分の面積は約25%である。
【0023】図2〜5に示す例は、図1の態様のバリエーションであり、図1に示す例と同様にして得られたものである。
【0024】図2に示す例は、領域B中の微細凹凸形成部の形状を、底辺が3cm、高さが0.2mの二等辺三角形モチーフが横方向に連続したような形状としたものであり、フィルムの長辺を構成する両端には、微細凹凸を全く形成しない領域Aが15cmの幅で配置されている。本実施例において、領域α中の微細凹凸形成部分の割合は約13%である。
【0025】図3に示す例は、領域B中の微細凹凸形成部の形状を、底部の幅が6cm、高さが0.2mの舌状モチーフが横方向に連続したような形状としたものであり、フィルムの長辺を構成する両端には、微細凹凸を全く形成しない領域Aが20cmの幅で配置されている。本実施例において、領域α中の微細凹凸形成部分の割合は約0%である。
【0026】図4に示す例は、領域B中の微細凹凸形成部の形状を、図2に示す例における二等辺三角形の底辺以外の辺を内方に湾曲させた曲線で描いたモチーフが横方向に連続したような形状としたものであり、フィルムの長辺を構成する両端には、微細凹凸を全く形成していない領域Aが20cm幅で配置されている。本実施例において、領域α中の微細凹凸形成部分の割合は約0%である。
【0027】図5に示す例は、領域bにおける微細凹凸形成部と非微細凹凸形成部の境界部分の形状を「Sinカーブ」状としたものであり、フィルムの長辺を構成する両端には、微細凹凸を全く形成しない領域Aが20cmの幅で配置されている。本実施例において、領域α中の微細凹凸形成部分の割合は約0%である。
【0028】更に、図示はしないが、本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、微細凹凸を部分的に形成した領域(領域B)内における微細凹凸形状部又は微細凹凸非形成部の形状が、縦、横、斜めのストライプ状、格子状、斜め格子状、水玉状等としたものであっても良い。ただし、本発明において好ましくは、図1〜図5に示すような、領域B内の微細凹凸形成部の面積比率がフィルム端部に向かって漸次減少するようにしたものである。
【0029】以上の例は、いずれも全体の幅が1.8mの農業用合成樹脂製フィルムの例を示したが、本発明における農業用合成樹脂製フィルムの全体の幅は、これに限定されるものでないことは言うまでもない。また、各領域の幅は、農業用合成樹脂製フィルム全体の幅、使用する農業用施設の大きさ、等により、任意に変更することが可能である。
【0030】
【発明の効果】以上の構成からなる本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、フィルムの端部を捲り上げなくとも、内部の様子を知ることができ、土壌に接する又は土壌に埋められることによるフィルムの劣化速度もも全体に梨地を施したフィルムよりも遅いものである。従って、農家の作業の軽減化を図ると共に、全体に梨地を施したフィルムよりも長期間展張可能である。
【0031】また、本発明の農業用合成樹脂製フィルムは、微細凹凸形成部と非形成部との境界部分が、従来のように一直線上に集中していないので、引張り等の負荷がかかっても、この境界部分で破れるようなことが生じにくい。
【出願人】 【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
【出願日】 平成11年6月16日(1999.6.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−354429(P2000−354429A)
【公開日】 平成12年12月26日(2000.12.26)
【出願番号】 特願平11−169756