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【発明の名称】 生分解性農業用フィルム
【発明者】 【氏名】佐谷 昭一

【氏名】西片 晃

【氏名】奥野 博文

【氏名】和田 信明

【氏名】ミヒャエル・ホイヒト

【氏名】ラルフ・テイマーマン

【氏名】ボルフガング・シユルツーシユリツテ

【要約】 【課題】柔軟性、透明性、防曇性および耐候性、耐久性などを同時に満足しつつ、生分解性を有する農業用フィルム。

【解決手段】脂肪族エステル構造と脂肪族アミド構造とを含有するポリエステルアミド系樹脂を主成分とする樹脂成分に対し、添加剤として、ヒンダードフェノール系化合物および/または亜リン酸エステル系化合物と、ヒンダードアミン系光安定剤と、防曇剤とが配合された樹脂材料からなる。使用後には土中に埋設、またはコンポストとした場合に生分解性を有するので処理が簡単にできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 脂肪族エステル構造と脂肪族アミド構造とを含有するポリエステルアミド系樹脂を主成分とする樹脂成分に対し、添加剤として、ヒンダードフェノール系化合物および/または亜リン酸エステル系化合物と、ヒンダードアミン系光安定剤と、防曇剤とが配合された樹脂材料からなることを特徴とする生分解性農業用フィルム。
【請求項2】 前記樹脂成分中、上記ポリエステルアミド系樹脂60〜95重量部に対して、脂肪族ポリエステル系樹脂が5〜40重量部配合されていることを特徴とする請求項1記載の生分解性農業用フィルム。
【請求項3】 樹脂成分100重量部に対し、ヒンダードフェノール系化合物および/または亜リン酸エステル系化合物の総量が0.03〜1.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤が0.03〜1重量部、防曇剤が1〜4重量部であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の生分解性農業用フィルム。
【請求項4】 上記ポリエステルアミド系樹脂が、脂肪族アミノカルボン酸及び又は脂肪族ラクタムと、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとが重合したものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の生分解性農業用フィルム。
【請求項5】 上記ポリエステルアミド系樹脂が、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、脂肪族ジアミンとが重合したものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の生分解性農業用フィルム。
【請求項6】 上記ポリエステルアミド系樹脂が、脂肪族アミノカルボン酸及び又は脂肪族ラクタムと、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、脂肪族ジアミンとが重合したものであることを特徴とする請求項1または請求項2記載の生分解性農業用フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、脂肪族エステル構造と脂肪族アミド構造とを含有するポリエステルアミド系樹脂を主成分とし、各種添加剤を配合することにより、柔軟性、透明性、防曇性および耐久性に優れた農業用フィルムであり、使用後には土中に埋設、またはコンポストとした場合に完全に生分解する農業用フィルムである。
【0002】
【従来の技術】ハウス栽培等においては、樹脂製フィルムを用いて天井や壁面等の囲いを構築し、また、トンネルハウスではアーチ状のフレームに樹脂製フィルムを張設して、それらの内部の温度や湿度等を制御して各種の作物を栽培している。用いられる樹脂製フィルムとしては、柔軟性、透明性、防曇性等が要求される。また、マルチフィルムと異なり、長期間にわたって使用し続けることがあることから、耐候性、耐久性も必要とされる。そこで、これらの要件を凡そ満足するものとして、塩化ビニルフィルムが広く用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような用途に用いられる農業用の樹脂製フィルムは、大量に使用されることから、その廃棄処分は容易ではない。特に、塩化ビニルフィルムにあっては、焼却処理することは、望ましくない。そこで、生分解性樹脂からなるフィルムが注目を浴びている。生分解性樹脂としては、従来より脂肪族ポリエステル系、デンプン系などが知られている。しかしながら、既知の生分解性樹脂からなるフィルムは、柔軟性、透明性、防曇性および耐候性、耐久性などを同時に十分満足するものではなく、農業用フィルムとしては事実上、不十分であった。本発明は前記課題を解決するためになされたもので、柔軟性、透明性、防曇性および耐候性、耐久性などを同時に満足しつつ、生分解性を有する農業用フィルムを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の生分解性農業用フィルムは、脂肪族エステル構造と脂肪族アミド構造とを含有するポリエステルアミド系樹脂を主成分とする樹脂成分に対し、添加剤として、ヒンダードフェノール系化合物および/または亜リン酸エステル系化合物と、ヒンダードアミン系光安定剤と、防曇剤とが配合された樹脂材料からなることを特徴とするものである。ここで、樹脂成分中、上記ポリエステルアミド系樹脂60〜95重量部に対して、脂肪族ポリエステル系樹脂が5〜40重量部配合されていることが望ましい。また、樹脂成分100重量部に対し、ヒンダードフェノール系化合物および/または亜リン酸エステル系化合物の総量が0.03〜1.2重量部、ヒンダードアミン系光安定剤が0.03〜1重量部、防曇剤が1〜4重量部であることが望ましい。ポリエステルアミド系樹脂は、脂肪族アミノカルボン酸及び又は脂肪族ラクタムと、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとが重合したもの、または、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、脂肪族ジアミンとが重合したもの、または、脂肪族アミノカルボン酸及び又は脂肪族ラクタムと、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、脂肪族ジアミンとが重合したものが望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明のフィルムに用いられる樹脂材料は、樹脂成分として脂肪族エステル構造と脂肪族アミド構造とを含有するポリエステルアミド系樹脂を主成分とする。このポリエステルアミド系樹脂は、平均分子量が10000〜300000であるものが好ましく、20000〜150000であればより好ましい。上記ポリエステルアミド系樹脂としては、脂肪族アミノカルボン酸及び又は脂肪族ラクタムと、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとを混合し、脱水反応、減圧下で重合することによって製造することができる。
【0006】または、ポリエステルアミド系樹脂は、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、脂肪族ジアミンとを混合し、脱水反応、減圧下で重合することによっても製造することができる。
【0007】さらにまた、ポリエステルアミド系樹脂は、脂肪族アミノカルボン酸及び又は脂肪族ラクタムと、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールと、脂肪族ジアミンとから重合することもできる。
【0008】上記の脂肪族アミノカルボン酸或いは脂肪族ラクタムとしては、アミノカプロン酸、ω−ラウリルラクタム、ε−カプロラクタム等の炭素数4〜20の線状脂肪族鎖や環状脂肪族鎖を有するものを挙げることができる。脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、シュウ酸等の炭素数2〜12の線状脂肪族鎖を有するものが好適である。脂肪族ジオールとしては、炭素数2〜10の線状脂肪族鎖を有するジオールが好ましく、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。脂肪族ジアミンとしては、線状脂肪族の炭素数2〜10のジアミンが好ましく、例えばヘキサメチレンジアミン、ブチレンジアミンを挙げることができる。また、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールを反応させ、酸末端エステルオリゴマーとして用いるなど、予め複数成分を反応させたオリゴマー原料を使用することも可能である。さらに、芳香族成分や脂環状族成分を生分解性を阻害しない範囲で少量用いることもできる。
【0009】具体的には、ε−カプロラクタムと、アジピン酸と、1,4−ブタンジオールとを重合した場合、〔−CO−(CH24−COO−(CH24−O−〕単位からなる脂肪族エステル構造と、〔−CO−(CH25−NH−〕単位からなる脂肪族アミド構造を有する。好ましい脂肪族エステル構造の重量割合は20〜70重量%、脂肪族アミド構造の重量割合は30〜80重量%である。
【0010】また、ヘキサメチレンジアミンと、アジピン酸と、1,4−ブタンジオールとを重合した場合、〔−CO−(CH24−COO−(CH24−O−〕単位からなる脂肪族エステル構造と、〔−CO−(CH24−CO−NH−(CH26−NH−〕単位からなる脂肪族アミド構造を有し、好ましい脂肪族エステル構造の重量割合は50〜90重量%、脂肪族アミド構造の重量割合は10〜50重量%である。
【0011】本発明のフィルムに用いる樹脂材料には、上記のポリエステルアミド系樹脂を60〜95重量に対して、脂肪族ポリエステル系樹脂が5〜40重量部配合された樹脂成分を使用することが好ましい。脂肪族ポリエステル系樹脂を加えることで、耐候性、耐久性を向上できる。上記の脂肪族ポリエステル系樹脂としては、生分解性を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、ドデカン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等で例示される多価カルボン酸及びこれらの無水物等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとの縮重合物、乳酸の環状二量体であるラクチドやε−カプロラクトン等の環状エステルの開環重合物(ポリカプロラクトン)、乳酸やヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸のようなヒドロキシ酸の縮重合物が挙げられる。具体的には、昭和高分子社製「ビオノーレ1001」、「ビオノーレ3001」、島津製作所社製「ラクティ5000」などを挙げることができる。
【0012】本発明で用いられる樹脂材料には、ヒンダードフェノール系化合物及び又は亜リン酸エステル系化合物が配合される。ヒンダードフェノール系化合物としては、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタデシル−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピル]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)等が挙げられる。
【0013】また、亜リン酸エステル系化合物としては、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルフォスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジノニルフェニルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)、ペンタエリスリトール−ジ−フォスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス−ノニルフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリブチルホスファイト、トリス(ジノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイト、トリラウリルホスファイト、ビス(ネオペンチルグリコール)−1,4−シクロヘキサンジメチルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(ラウリル−2−チオエチル)ホスファイト、テトラトリデシル−1,1,3−トリス(2′−メチル−5′−t−ブチル−4′−オキシフェニル)ブタンジホスファイト、トリス(4−オキシ−2,5−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(4−オキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、水素化−4,4′−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、ジフェニル・ビス[4,4′−n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)]チオジエタノールジホスファイト、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール−ジ−トリデシル)ホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4′−n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)]−1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、フェニル−4,4′−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、テトラトリデシル−4,4′−n−ブチリデンビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)ジホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリステアリルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ジトリデシル・ジ(2−シクロヘキシルフェニル)・水添ビスフェノールA・ジホスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)シクロヘキシルホスファイト、2,4−ジ−t−ブチルフェニル・ジイソデシルホスファイト、トリス(ブトキシエトキシエチル)ホスファイト、ジフェニルアシドホスファイト、ビス(2−シクロヘキシルフェニル)アシドホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)アシドホスファイト、ビス(ノニルフェニル)アシドホスファイト、ジベンジルアシドホスファイト、テトラキス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレンホスファイトなどが挙げられる。
【0014】上記のヒンダードフェノール系化合物および/または亜リン酸エステル系化合物の総量は、樹脂成分100重量部に対し、0.03〜1.2重量部、好ましくは0.05〜0.8重量部の範囲である。この量が、これより少ないと熱安定性が低下しやすく、多すぎると成形品の外観を損ねたり、コストアップにつながり好ましくない。
【0015】さらに、本発明で用いられる樹脂材料には、ヒンダードアミン系光安定剤が配合される。ヒンダードアミン系光安定剤としては、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}]、ポリ[{6−(1,1,3−トリメチルペンチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}オクタメチレン{(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジル)イミノ}]、2,2,6,6 −テトラメチルピペリジニル−4−ベンゾエート、ビス−(2,2,6,6 −テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,3,8 −トリアザ、7,7,9,9 −テトラメチル−3−n−オクチル−スピロ[4,5]デカン−2,4−ジオン、1,2,3,4−テトラ(4−カルボニルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)−ブタン、トリ−(4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)−アミン、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)ホスファイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)テレフタレート、1,3,8−トリアザ−7,7,9,9−テトラメチル2,4−ジオキソースピロ[4,5]デカン、(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン)−4−スピロ−2′−(6′,6′−ジメチルピペリジン)−4′−スピロ−5″−ヒンダントイン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ビドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ポリメチル−8−プロピル−3−オキシ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)シロキサンなどが挙げられる。
【0016】上記のヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対し、0.03〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の範囲である。この量が、これより少ないと耐候性が低下しやすく、多すぎると成形品の外観を損ねたり、コストアップにつながり好ましくない。
【0017】本発明の生分解性農業用フィルムの樹脂材料には防曇剤が配合される。防曇剤としては、多価アルコールまたは多価アルコールの縮合物と高級脂肪酸との部分エステルが好ましい。このようなものとしては、例えば、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテートなどのソルビタン系界面活性剤、グリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノパルミテートなどのグリセリン系界面活性剤、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノパルミテート、ポリエチレングリコールアルキルフェニルエーテルなどのポリエチレングリコール系界面活性剤、の他にトリメチロールプロパン系界面活性剤、ペンタエリスリトール系界面活性剤やこれらの異性体またはアルキレンオキサイド付加物などを挙げることができる。さらに、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤を添加し、ハウスの被覆材内面近傍に発生する霧を防止する、いわゆる防霧性を付与することも可能である。さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の生分解性高分子材料を添加してもよく、また、成形加工性、その他フィルムおよびシートの物性を調整する目的で、可塑剤、無機系保温剤、充填剤、滑剤、補強剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、防かび剤、顔料、蛍光剤、造核剤などを添加することも可能である。
【0018】本発明の生分解性農業用フィルムの樹脂成分及び各種添加剤の調整方法は、特に制限はなく、従来からプラスチックの組成物の製法で使用されている方法、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の混練機、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー等の混合機、1軸または2軸押出機等を用いて加熱溶融混練して行なうことができる。
【0019】本発明の生分解性農業用フィルムの製法は、Tダイ法又はインフレーション法等の公知の方法で押出成形することにより製膜し、冷却ロール、水冷または空冷で冷却する方法が例示できる。また、フィルムの厚みは、通常20〜200μm、好ましくは40〜150μmの範囲である。
【0020】
【実施例】以下に、実施例を示すが、これらにより本発明はなんら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す測定、評価は次に示すような条件で行った。
【0021】(1)ヘーズ:ヘーズメーター(スガ試験機社製)にてヘーズ値を測定した。(単位:%)
(2)防曇性:水温40℃、外気温5℃の水槽の上に傾斜30度でフィルムを展張し、30日経過後のフィルムの防曇性を次の基準で評価した。
○:水滴の付着がフィルム全体の20%以下の範囲△:水滴の付着がフィルム全体の20%以上、50%未満の範囲×:水滴の付着がフィルム全体の50%以上の範囲(3)引張強度:JIS K−6732に準じて測定した。(単位:kg/cm2
(4)引張伸び:JIS K−6732に準じて測定した。(単位:%)
(5)促進耐候性:SUN−WOM(スガ試験機社製)に、サンプルを入れ、サンプルの耐候劣化による破壊までの時間を測定した。
○:300時間以上△:150時間以上、300時間未満×:150時間未満【0022】(6)生分解性:(試験サンプルの作成)
1.サンプルを6cm四方に切り取り、重量測定する。ここで、暴露面積(4cm四方)当たりの重量を計算し、これを分解サンプルの初期重量とする。
2.適当な厚さのアルミ板を6cm四方に切り取り、この中央部の4cm四方を切り抜く。
3.このアルミ板2対でサンプルを挟むことができるように、両面テープを張りつける。
4.ここで両面テープ付きの2対のアルミ枠の重量を測定する。
5.サンプルをアルミ板で挟んだ状態の試験サンプルを生分解性試験に用いる。
(生分解試験に用いる堆肥の調整方法)
1.適当な大きさ(深さ5cm以上)の密閉できる容器を用意する。
2.堆肥は、市販の堆肥に水分を補給して用いる。水の補給量は、加えた水が底に溜まらない状態で、かつ、指で摘んだときに僅かに水がしみ出てくる程度の状態を試験標準状態とする。
(生分解性試験の方法)
1.生分解性試験は、堆肥中で行う。調整した堆肥の表面から約3cm位の深さに試験サンプルをセットする。
2.試験サンプルをセットした後、密閉して58℃のオーブンに入れて生分解性試験をスタートする。
3.生分解性試験中はできれば1日1度は蓋を開いて、初期の堆肥の水分状態を維持するために水を適時、霧吹き等で加える。
4.生分解状態は適時試験サンプルを取り出し、水洗して表面の水分を取った後、重量変化で生分解率を算出する。
(評価基準)上記の生分解性試験において、サンプルの重量減が80%以上になった日数を生分解日数とする。
◎:40日未満○:40日以上、60日未満△:60日以上、80日未満×:80日以上【0023】[実施例1]アジピン酸、1,4−ブタンジオールおよびε−カプロラクタムを重合して製造した、脂肪族エステル構造が35重量%、脂肪族アミド構造が65重量%のポリエステルアミド系樹脂(融点137℃)からなる樹脂成分100重量部に対して、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(旭電化製、「AO−60」)0.1重量部、亜リン酸エステル化合物(旭電化製、「2112」)0.1重量部、ヒンダードアミン系光安定剤(チバ・スペシャリティケミカル社製、「LS−944」)0.3重量部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(共同薬品社製、「VS−550」)0.1重量部、ジグリセリンジステアレート1重量部、ソルビタンモノステアレート1重量部からなる防曇剤および防霧剤としてフッ素系界面活性剤(ダイキン工業社製、「DS−403」)0.1重量部を配合し、インフレーション成形機で、厚み100μmの生分解性農業用フィルムを製造した。このフィルムの評価は、ヘーズ:13%、防曇性:○、引張強度:680kg/cm2、伸び:500%、促進耐候性:○、生分解性:○、であった。
【0024】[実施例2]樹脂成分を、実施例1で使用したポリエステルアミド系樹脂95重量部および脂肪族ポリエステル系樹脂(昭和高分子社製、「ビオノーレ3001」)5重量部とした以外は、実施例1と同様にして生分解性農業用フィルムを製造した。但し、ヒンダードアミン系光安定剤としては、「ウバシル299LM」(グレートレイク社製)を用いた。このフィルムの評価は、ヘーズ:15%、防曇性:○、引張強度:710kg/cm2、伸び:480%、促進耐候性:○、生分解性:○、であった。
【0025】[実施例3]樹脂成分を、実施例1で使用したポリエステルアミド系樹脂90重量部、脂肪族ポリエステル系樹脂(昭和高分子社製、「ビオノーレ3001」)10重量部とした以外は、実施例1と同様にして生分解性農業用フィルムを製造した。このフィルムの評価は、ヘーズ:17%、防曇性:○、引張強度:740kg/cm2、伸び:450%、促進耐候性:○、生分解性:○、であった。
【0026】[比較例1]厚さ100μmの市販の農業用軟質塩化ビニル樹脂フィルム(シーアイ化成社製、シーアイ農ビ「スカイエイト」)を評価した。ヘーズ:15%、防曇性:○、引張強度:250kg/cm2、伸び:320%、促進耐候性:○、生分解性:×、であった。
【0027】[比較例2]厚さ100μmの市販の農業用ポリオレフィン系樹脂フィルム(シーアイ化成社製、シーアイ農PO「スカイコート」)を評価した。ヘーズ:15.5%、防曇性:○、引張強度:224kg/cm2、伸び:550%、促進耐候性:○、生分解性:×、であった。
【0028】[比較例3]樹脂成分を、脂肪族ポリエステル系樹脂(昭和高分子社製、「ビオノーレ3001」)100重量部とした以外は、実施例1と同様にして生分解性農業用フィルムを製造した。ヘーズ:68%、防曇性:×、引張強度:610kg/cm2、引張伸び:840%、促進耐候性:○、生分解性:○、であった。
【0029】[実施例4]樹脂成分を、アジピン酸、1,4−ブタンジオールおよびε−カプロラクタムを重合して製造した、脂肪族アミド構造60重量%、脂肪族エステル構造40重量%であるポリエステルアミド系樹脂(融点116℃)100重量部とした以外は実施例1と同様に生分解性農業用フィルムを製造した。このフィルムの評価は、ヘーズ:15%、防曇性:○、引張強度:660kg/cm2、伸び:520%、促進耐候性:○、生分解性:○、であった。
【0030】[実施例5]樹脂成分を、実施例4で使用したポリエステルアミド系樹脂(融点116℃)90重量部、脂肪族ポリエステル系樹脂(昭和高分子社製、「ビオノーレ3001」)10重量部とした以外は、実施例1と同様にして生分解性農業用フィルムを製造した。このフィルムの評価は、ヘーズ:19%、防曇性:○、引張強度:710kg/cm2、伸び:460%、促進耐候性:○、生分解性:○、であった。
【0031】[実施例6]樹脂成分を、アジピン酸、1,4−ブタンジオールおよびヘキサメチレンジアミンを重合して製造した、脂肪族エステル構造が60重量%、脂肪族アミド構造が40重量%のポリエステルアミド系樹脂(融点172℃)100重量部とした以外は、実施例1と同様にして生分解性農業用フィルムを製造した。このフィルムの評価は、ヘーズ:19%、防曇性:○、引張強度:820kg/cm2、伸び:400%、促進耐候性:○、生分解性:○、であった。
【0032】
【表1】

【0033】表1から、本実施例のフィルムであると、透明性、防曇性、強度、耐候性、生分解性に優れ、適度な伸びを示すことがわかる。しかしながら、比較例1,2では生分解性がないのは当然として、比較例3のフィルムでは、不透明で防曇性に欠けるものであった。
【0034】
【発明の効果】本発明によれば、柔軟性、透明性、防曇性および耐候性、耐久性に優れた農業用フィルムであり、使用後には土中に埋設、またはコンポストとした場合に生分解性を有するので処理が簡単にできる。特に、脂肪族ポリエステル系樹脂を添加することにより、耐候性を向上できる。
【出願人】 【識別番号】000106726
【氏名又は名称】シーアイ化成株式会社
【出願日】 平成12年3月23日(2000.3.23)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外6名)
【公開番号】 特開2000−354427(P2000−354427A)
【公開日】 平成12年12月26日(2000.12.26)
【出願番号】 特願2000−82752(P2000−82752)