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【発明の名称】 きのこ生育装置
【発明者】 【氏名】越 裕之

【要約】 【課題】生育瓶22を棚から移すことなく発芽生育工程から抑制生育工程をそのまま行なう。

【解決手段】上下に複数段配置した棚12の間に、移動方向の前後と左右いずれか一方の側面が開放した空間部35を形成した状態で各棚の一側を棚支持材13に固定した移動棚部材10と、照明支持材14から横方向に突出した照明装置15を上下に複数段有し、各照明装置が前記空間部内に入り込む高さに設定された照明部材11とを備え、棚移動域に、照明部材を配置した照明区域と、配置しない非照明区域を設定し、移動棚部材を非照明区域から照明区域に移動させてそのまま抑制生育可能とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 上下方向に複数段の棚を配置し、これら棚の間に、移動方向の前方面と後方面と左右いずれか一方の側面が開放した空間部を形成した状態で各棚の一側を縦方向の棚支持材に固定した移動棚部材と、縦方向の照明支持材から横方向に突出した照明装置を上下方向に複数段有し、各照明装置が上記移動棚部材の空間部内に入り込む高さに設定された照明部材と、を備えたきのこ生育装置であって、上記移動棚部材は、きのこの種菌が培養された菌床を棚上に載置した状態で列状に配置され、移動棚部材が移動する棚移動域に、所定間隔を空けて照明部材を列状に配置した照明区域と、照明部材を配置しない非照明区域を設定し、非照明区域に配置されて発芽が終了した状態の菌床が載った移動棚部材を照明区域に水平移動させてそのまま抑制生育可能としたことを特徴とするきのこ生育装置。
【請求項2】 前記移動棚部材は、棚支持材の上端が懸垂支持部材によって支持されて垂下し、垂下状態で移動することを特徴とする請求項1に記載のきのこ生育装置。
【請求項3】 前記照明部材は、移動棚部材の移動方向に沿って位置調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のきのこ生育装置。
【請求項4】 前記棚移動域の仮想中央線に沿って照明部材を配置して各照明装置を棚移動域の幅方向に延出し、照明部材の左右両側に移動棚部材を、各棚支持材が照明装置の先端側に位置して各棚が照明装置間を通過可能な状態で配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のきのこ生育装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、しめじ、椎茸、舞茸、えのき茸などのきのこの栽培において、生育瓶や菌床ブロック等の菌生育床で培養されたきのこの種菌を発芽させ、生育させるきのこの生育装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、きのこの栽培は、なら、くぬぎ、しいなどの広葉樹を粉状にしたおが粉とふすまなどの栄養剤と水とを所定の比率で混合し、この菌床となる混合物を生育瓶に充填するとともに、充填された混合物の表面を球面状に形成(菌床作成工程)してから、この菌床が作成された生育瓶を、例えば、高圧殺菌釜に収納し所定時間の間加熱して滅菌(滅菌工程)する。滅菌工程を終了した生育瓶は放冷された後に、クリーンルームに搬送されてきのこの種菌、例えば、しめじの種菌が生育瓶内の混合物に植菌(種菌工程)する。
【0003】種菌工程が終了した生育瓶は、上面が開放した箱状のコンテナ内に収納された状態で培養室内に安置されて培養(培養工程)される。この培養室内は、空調機や加湿機の作用によって培養に適した温度と湿度に調整されている。そして、適度の温度と湿度の下で種菌が十分培養されると、生育瓶が収納されたコンテナは発生室に移されて、棚上に安置して生育する生育工程が行われる。
【0004】発生室に設置される従来の棚1は、図8に示すように、四隅に立設した柱2の間に棚板3を8段間隔を空けて設け、下方の4段の棚板3には、下面に蛍光灯4が設けられ、上下の棚板3の間隔は、生育するしめじに十分な通気が行えるような間隔が確保されている。そして、培養工程が終了した生育瓶5を収納したコンテナ6は、棚1の上方4段の棚板3上に並べて直接光を与えないで14日間安置して芽出し(発芽生育工程)する。
【0005】発芽生育工程を経て芽出しされた生育瓶5はコンテナ6に収納された状態で、次に、蛍光灯4の光が直接当たる下方の棚板3上に移される。そして、ここで蛍光灯4の直接光を受けながら12日間安置され、笠の生育等を行わせてきのこを出荷できる大きさまで生育させる(抑制生育工程)。この抑制生育工程が終了した生育瓶5はコンテナ6ごと引き出されて出荷工程に移される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したきのこの栽培において、発芽生育工程から抑制生育工程に移る際には、発芽生育が終了した生育瓶5の入ったコンテナ6を作業者が手作業で1つずつ移動しなければならない。この移動作業は、身長よりも高い棚から重いコンテナ6を手で引き出してから降ろして、再度下方の棚板3上に載せなければならないので作業能率の向上が困難であるばかりでなく、重労働である。
【0007】また、きのこの種類によっては、抑制生育工程における直接光の光量を調整しなければならない。すなわち、きのこの種類によって、棚板の下面に設けられた照明装置の数を増減させてきのこに当たる光量を調整しなければならず、その都度照明装置を取り付けたり、あるいは取り外したりと作業が繁雑であり、また照明装置の数が異なる棚を予め複数用意しておくのは不経済である。このように照明装置を増減させることにより光量を調整するためには、棚から棚板を取り外し、適正な光量を照射可能な状態にした棚板を再度取り付ける作業が必要となるなど、準備作業が面倒である。そして、この面倒な準備作業を怠ると生育が不良となり、収穫量に影響が出てしまう。
【0008】そこで、本発明は、菌床を棚から移すことなく発芽生育工程から抑制生育工程をそのまま行なうことができるきのこ生育装置を提供することを目的とする。また、抑制生育工程に光量を調整可能とし、他の品種のきのこ栽培に速やかに対応できるきのこ生育装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のものは、上下方向に複数段の棚を配置し、これら棚の間に、移動方向の前方面と後方面と左右いずれか一方の側面が開放した空間部を形成した状態で各棚の一側を縦方向の棚支持材に固定した移動棚部材と、縦方向の照明支持材から横方向に突出した照明装置を上下方向に複数段有し、各照明装置が上記移動棚部材の空間部内に入り込む高さに設定された照明部材と、を備えたきのこ生育装置であって、上記移動棚部材は、きのこの種菌が培養された菌床を棚上に載置した状態で列状に配置され、移動棚部材が移動する棚移動域に、所定間隔を空けて照明部材を列状に配置した照明区域と、照明部材を配置しない非照明区域を設定し、非照明区域に配置されて発芽が終了した状態の菌床が載った移動棚部材を照明区域に水平移動させてそのまま抑制生育可能としたことを特徴とするきのこ生育装置である。
【0010】請求項2に記載のものは、前記移動棚部材は、棚支持材の上端が懸垂支持部材によって支持されて垂下し、垂下状態で移動することを特徴とする請求項1に記載のきのこ生育装置である。
【0011】請求項3に記載のものは、前記照明部材は、移動棚部材の移動方向に沿って位置調整可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のきのこ生育装置である。
【0012】請求項4に記載のものは、前記棚移動域の仮想中央線に沿って照明部材を配置して各照明装置を棚移動域の幅方向に延出し、照明部材の左右両側に移動棚部材を、各棚支持材が照明装置の先端側に位置して各棚が照明装置間を通過可能な状態で配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のきのこ生育装置である。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係わるきのこ生育装置の側面図、図2はきのこ生育装置の平面図、図3はきのこ生育装置の主要な構成である移動棚部材10と照明部材11との位置関係を説明するための図、図4(a)は移動棚部材10の棚12の平面図、(b)は棚12の側面図である。
【0014】きのこ生育装置は、培養工程が終了したきのこの種菌を生育させる発芽生育工程および抑制生育工程において使用されるものであり、図1から図3に示すように、上下方向に複数段配置した棚12の一側を棚支持材13に固定した移動棚部材10と、照明支持材14から横方向に突出した照明装置15を上下方向に複数段有する照明部材11とが主要な構成である。そして、移動棚部材10が移動する棚移動域に、所定間隔を空けて照明部材11を列状に配置した照明区域20と、照明部材11を配置しない非照明区域21を設定し、非照明区域21に配置されて発芽が終了した状態の菌床が載った移動棚部材10を照明区域20に水平移動させてそのまま抑制生育する。なお、本実施形態では、菌床として、図6に示す生育瓶22を、図7に示すように、上面が開口したコンテナ23に収納して使用する。
【0015】図面に示す移動棚部材10の実施形態は、棚12と懸垂式の棚支持材13とから構成されている。
【0016】棚支持材13は、金属製のパイプ材から構成され、棚12の一側を固定する垂直方向の直線部13aと、この直線部13aの上部から棚12の取付側に曲げたバランス調整部13bとを形成してある。そして、直線部13aには、棚12を取り付ける際に使用する横貫通孔が複数開設されている。なお、横貫通孔は、棚12の取り付け間隔を変更できるように、棚12の段数よりも多く開設されている。このため、生育するきのこの種類に応じて、あるいは生育瓶22の高さに応じた変更が可能である。
【0017】バランス調整部13bは、吊り下げた状態で直線部13aが垂直に位置して各棚12がほぼ水平になるようにバランスを取るための部分であり、湾曲部の上端部分に垂直部を形成し、この垂直部の上端に、後述する無端ワイヤに吊り下げて固定する下向きコ字状の吊下固定部25が形成されている。吊下固定部25は、懸垂支持部材として機能するもので、無端ワイヤ26に固定できればどのような構成でもよいが、本実施形態では下向きにコ字状部分の溝内に無端ワイヤ26を入れて吊るし、垂下している垂下壁に開設した雌ネジ孔内にボルト(図示せず)を螺合し、このボルトを締め込んで無端ワイヤ26に固定する構成である。
【0018】棚12は、図4に示すように、コンテナ23を載せる長方形の棚板部30と、この棚板部30の長手方向の一側に立設した起立壁31と、棚板部30の両側縁部の途中から起立壁31に向かって斜めに形成した補強壁32とを有し、起立壁31の左右中央に、棚支持材13との接続部として縦方向の係合凹部33と横貫通孔34が形成されている。したがって、係合凹部33内に棚支持材13の直線部13aを嵌合して横貫通孔34内に挿通したボルトを直線部13aの貫通孔内に貫通してナットを締めると、棚12を棚支持材13に固定することができる。そして、この様にして棚支持材13に順次棚12を固定すると、上下に位置する棚12の間に、移動棚部材10の移動方向の前面と後方面と左右いずれか一方の側面が開放した空間部35が形成され、棚12を固定する位置、すなわち棚支持部13の貫通孔の位置を適宜に選択すると、各棚12間の上下間隔、即ち上記空間部35の高さを適宜設定することができる。
【0019】このように構成された移動棚部材10は、無端ワイヤ26に所定の間隔(ピッチ)をあけて複数取り付けられる。無端ワイヤ26は、移動棚部材10を水平方向に移動する棚移動手段の一実施形態である棚駆動装置の一部を構成するものである。この棚駆動装置は、図1および図2に示すように、金属製の無端ワイヤ26と、この無端ワイヤ26を水平方向に回動する回動装置40とから構成される。
【0020】回動装置40は、無端ワイヤ26の一方の転回部分を掛ける第1ホイール41を備えた第1回動装置40aと、無端ワイヤ26の他方の転回部分を掛ける第2ホイール42を備えた第2回動装置40bとから構成される。第1回動装置40aは、第1ホイール41の軸を垂直方向に配置し、この軸に駆動源である減速器付きモータ43を接続し、このモータ43の駆動力により第1ホイール41を回動する。一方、第2回動装置40bは、第2ホイール42の軸を垂直方向に配置して、無端ワイヤ26の回動により第2ホイール42が自由に回転するように構成されている。
【0021】したがって、第1回動装置40aと第2回動装置40bとを所定の間隔を空けて設け、第1ホイール41と第2ホイール42との間に無端ワイヤ26を張設し、この状態でモータ43を作動すると、第1ホイール41の回転により無端ワイヤ26を回動することができ、この無端ワイヤ26の回動により、無端ワイヤ26から吊り下げた移動棚部材10を水平方向に移動することができる。なお、第1ホイール41と第2ホイール42との間に、中間支持ホイール(図示せず)を設けて無端ワイヤ26の撓みを少なくして、移動棚部材10が移動した際に棚12の上下変動が少なくなるように構成してもよい。
【0022】次に、照明部材11について説明する。この照明部材11は、縦方向に長尺な金属製柱状の照明支持材14と、この照明支持材14に取り付けられて横方向に突出する照明装置15とから構成される。
【0023】照明支持材14は、上端部に、上ガイドレール50のアリ溝状のガイド溝内を嵌合して支持された状態で摺動可能な断面略T字状のスライダ51を有し、下端には下ガイドレール52の溝内を移動可能な石突き状の支持部53を有し、スライダ51と支持部53との間に、照明装置15を取り付ける取付部、例えば取付孔を複数開設してある。
【0024】そして、上記支持部53の少し上方の左右には、断面クランク形の長尺材54を固定することにより、移動棚部材10の振れ止めガイドとして機能する下面開放の溝部を形成してあり、この溝部内に、図3および図5(c),(d)に示すように、移動棚部材10の下端に振れ止め部として設けた起立部55が嵌合するように構成してある。照明支持材14の下部に取り付ける長尺材54は、照明部材11を位置調整する際に固定位置を調整できるように、図5(b)に示すように、固定位置調整孔56を複数開設してある。
【0025】なお、照明装置15を取り付ける高さは、移動棚部材10の空間部35内の上部、すなわち生育瓶22を収納したコンテナ23を棚12上に載せた状態で生育瓶22と上段の棚12との間に生じる隙間に合わせて設定するが、本実施形態では、移動棚部材10がきのこの種類や生育瓶22の高さに応じて棚12の位置を調整可能なので、取付孔を小さなピッチで多数開設するなどして適宜に調整可能とすることが望ましい。
【0026】照明装置15は、発光源として例えば蛍光灯が設けられ、この蛍光灯の上部を覆って、光を反射及び方向制限する長尺なカサ(シェード)が設けてある。
【0027】上述した移動棚部材10および照明部材11の位置関係は、図2および図3に示すように、照明部材11の左右両側に移動棚部材10を、棚12の先端同士が向き合う状態で配置して設けるので、移動棚部材10の上下の棚12間に形成される空間部35内に照明装置15が入り込み、また、対向する両側の棚12の先端の間に照明支持材14が上下に貫通する。すなわち、移動棚部材10が移動する棚移動域の仮想中央線に沿って照明部材11を所定の間隔を配置して各照明装置15を棚移動域の幅方向に延在させ、照明部材11の左右両側に移動棚部材10を、各棚支持材13が照明装置15の先端側に位置して各棚12が照明装置15間を通過可能な状態で配置する。このような位置関係であれば、移動棚部材10が水平方向に移動しても、停止している照明装置15に当たることがない。
【0028】次に、きのこ生育装置を使用した発芽生育工程および抑制生育工程について図2に基づいて説明する。まず、左右の移動棚部材10が並んで水平方向に移動する棚移動域に、照明部材11を所定の間隔を空けて所定数一列に配置して照明区域20を設定し、この照明区域20の上流側に、照明部材11を配置しない非照明区域21を設定する。このように、照明部材11が配置されない非照明区域21が発芽生育工程として使用され、照明部材11が配置された照明区域20が抑制生育工程として使用される。
【0029】そして、培養工程が終了したきのこの菌床、例えば生育瓶22は、コンテナ23に収納された状態で移動棚部材10の棚12上に載せられる。本実施形態では、非照明区域21の最上流端からさらに2ピッチ分上流側の位置にローダー装置60が設置してあるので、このローダー装置60によりコンテナ23が移動棚部材10の棚12上に次々載せられる。すべての棚12上にコンテナ23が載せられると、回動装置40が始動して、無端ワイヤ26を移動棚部材10の1ピッチ分(移動棚部材10間の間隔)だけ回動し、コンテナ23を載せた移動棚部材10を非照明区域21に送り出すとともに、空になった次の移動棚部材10をローダー装置60の前に位置させる。すなわち、回動装置40は、所定の時間間隔で間欠作動して、移動棚部材10を1ピッチずつ移動する。
【0030】上記した操作が繰り返し行われることにより、コンテナ23を載せた移動棚部材10が次々に非照明区域21に搬送される。この非照明区域21では、照明装置15による光の直接照射がないので、種菌からの発芽が最適環境の下で行われる。なお、非照明区域21の長さと移動棚部材10の移動速度は、発芽生育工程が最適に行われるように設定されている。例えば、しめじの場合には、14日間という時間をかけて生育瓶22が非照明区域21を通過するように設定し、この14日間で発芽生育工程が行われる。
【0031】発芽生育工程が終了すると、すなわち非照明区域21の最下流端に位置していた移動棚部材10が、次の回動装置40の作動により、照明区域20に移動する。移動棚部材10が照明区域20に入ると、発芽したしめじに照明装置15からの光が直接当たるので、奇形などの不都合がない最適条件の下で生育する。なお、しめじの場合には、抑制生育工程に必要な時間は12日間なので、照明区域20は非照明区域21よりも短尺に設定されている。
【0032】そして、照明区域20を通過して抑制生育工程が終了すると、コンテナ23が移動棚部材10の棚12から降ろされて出荷工程に移される。本実施形態では、照明区域20の最下流端からさらに2ピッチ分下流側の位置にアンローダー装置61が設置してあるので、このアンローダー装置61により棚12上のコンテナ23が次々に降ろされ、降ろされたコンテナ23は、例えばベルトコンベア(図示せず)により出荷工程を行う出荷室に搬送される。
【0033】このように本実施形態におけるきのこ生育装置は、移動棚部材10の棚12上に生育瓶22が入ったコンテナ23を載置し、この状態で移動棚部材10を非照明区域21と照明区域20とを通過させるだけで、すなわちコンテナ23の上下位置を変化させることなく、そのまま発芽生育工程と抑制生育工程を自動的に行うことができる。したがって、作業者の作業量が軽減されるとともに作業効率が向上する。また、人手を増やさずにきのこの栽培規模を大きくすることができる。
【0034】また、発芽生育を行う生育瓶22が入ったコンテナ23を移動棚部材10に載置する際、あるいは、抑制生育が終了した生育瓶22が入ったコンテナ23を移動棚部材10から下ろす際に、移動棚部材10が自動的に移動するので、これらの作業を一箇所で行うことができ、ローダー装置60やアンローダー装置61を使用しないで、人手でコンテナ23の積み下しを行う場合であっても、作業者の労力を従来より軽減できる。
【0035】また、照明部材11が棚移動域に沿って移動して位置調整可能なので、抑制生育するきのこの種類によって、きのこに当てる光量の増減を行う際に、照明部材11の位置調整により、容易に光量を減らしたりあるいは増やしたりすることができる。
【0036】なお、前記実施形態では、移動棚部材10を無端ワイヤ26から吊り下げ、無端ワイヤ26の回動により移動できるように構成したが、本発明における移動棚部材10は、照明装置15と当たることなく水平方向に移動できればよい。例えば、移動棚部材10の下端に車輪(図示せず)を設け、この車輪がレール上を走行するように構成してもよい。この場合、移動棚部材10の間隔を一定に保つとともに複数の移動棚部材10を一括して移動させるために、各移動棚部材10の間を連結部材により連結することが望ましい。また、移動棚部材10は、棚12を棚支持材13と別体に構成して高さ調整可能とするものに限らず、金属製の棚板を棚支持材13に溶接等で固定してもよい。
【0037】そして、棚12上に載せる菌床は、生育瓶22に限定されるものではなく、例えばおがくず等を塊にした菌床ブロックでもよい。
【0038】さらに、図1および図2に示す実施形態では、左右の移動棚部材10が並んで移動する棚移動域にだけ非照明区域21と照明区域20を設定して一方向の移動でのみ生育するように構成したが、空になった移動棚部材10が戻る外側の棚移動域にも非照明区域21と照明区域20を設定して、双方向の移動で生育するように構成してもよい。この様に構成すると、床面積当たりの生産量を増大することができ、スペース効率を向上することができる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以下に述べる効果を奏する。請求項1の発明によれば、上下方向に複数段の棚を配置し、これら棚間に、移動方向の前方面と後方面と左右いずれか一方の側面が開放した空間部を形成した状態で各棚の一側を縦方向の棚支持材に固定した移動棚部材と、縦方向の照明支持材から横方向に突出した照明装置を上下方向に複数段有し、各照明装置が上記棚部材の空間部内に入り込む高さに設定された照明部材と、を備えたきのこ生育装置であって、上記移動棚部材は、きのこの種菌が培養された菌床を棚上に載置した状態で列状に配置され、移動棚部材が移動する棚移動域に、所定間隔を空けて照明部材を列状に配置した照明区域と、照明部材を配置しない非照明区域を設定し、非照明区域に配置されて発芽が終了した状態の菌床が載った移動棚部材を照明区域に水平移動させてそのまま抑制生育可能としたので、発芽生育工程が終了した菌床を棚から降ろすことなく抑制生育工程へそのまま移行することができる。したがって、作業者の作業負担を軽減でき、作業効率が向上する。また、人手を増やさずにきのこの栽培規模を大きくすることができる。
【0040】請求項2の発明によれば、移動棚部材が、棚支持材の上端が懸垂支持部材によって支持されて垂下し、垂下状態で移動するので、複数の移動棚部材を同時に容易に移動することができる。したがって、自動化が容易である。
【0041】請求項3の発明によれば、照明部材が、移動棚部材の移動方向に沿って位置調整可能なので、きのこの種類によって、きのこに当てる光量の増減を行う際に、照明量の調整を容易に行うことができる。
【0042】請求項4の発明によれば、棚移動域の仮想中央線に沿って照明部材を配置して各照明装置を棚移動域の幅方向に延出し、照明部材の左右両側に移動棚部材を、各棚支持材が照明装置の先端側に位置して各棚が照明装置間を通過可能な状態で配置したので、床面積当たりの生産量を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】395011023
【氏名又は名称】株式会社ハーツ
【出願日】 平成11年6月15日(1999.6.15)
【代理人】 【識別番号】100098073
【弁理士】
【氏名又は名称】津久井 照保
【公開番号】 特開2000−354420(P2000−354420A)
【公開日】 平成12年12月26日(2000.12.26)
【出願番号】 特願平11−168812