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【発明の名称】 耐病性発根促進剤及びその製造方法並びに植栽用土
【発明者】 【氏名】小林 悦雄

【要約】 【課題】土壌病原菌に拮抗する善玉菌を土壌中に大幅に増殖するとともに、農作物の根の発生を大幅に増長することにより、土壌病原菌を抑制し発根を促進する耐病性発根促進剤を提供する。

【解決手段】土壌病原菌に拮抗する善玉菌を土壌中に大幅に増殖するとともに、農作物の根の発生を大幅に増長するために、リン酸塩物質を混入手段によって、有機性土壌素材を含有する土壌改良材に混入してなることを特徴とする耐病性発根促進剤及びその製造方法並びに植栽用土にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リン酸塩物質を混入手段によって、有機性土壌素材を含有する土壌改良材に混入してなることを特徴とする耐病性発根促進剤。
【請求項2】 上記リン酸塩物質として、縮合リン酸塩の水溶液又は粉末を用いることを特徴とする請求項1に記載の耐病性発根促進剤。
【請求項3】 上記リン酸塩物質として、草・木質炭、多孔質鉱物、焼却灰のいずれか少なくとも一種の多孔物質に縮合リン酸塩を担持したリン酸塩物質を用いることを特徴とする請求項1に記載の耐病性発根促進剤。
【請求項4】 上記有機性土壌素材として、草・木質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工残渣系堆肥のいずれか少なくとも一種の有機性土壌素材、又はこれらの有機性土壌素材に微生物が添加されている有機性土壌素材を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐病性発根促進剤。
【請求項5】 上記土壌改良材として、草・木質炭、多孔質鉱物、焼却灰のいずれか少なくとも一種の多孔質土壌改良材を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐病性発根促進剤。
【請求項6】 植栽用土の成分として用いる請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐病性発根促進剤。
【請求項7】 リン酸塩物質を混入手段によって、有機性土壌素材を含有する土壌改良材に混入してなることを特徴とする耐病性発根促進剤の製造方法。
【請求項8】 上記リン酸塩物質として、縮合リン酸塩の水溶液又は粉末、もしくは多孔物質に縮合リン酸塩を担持したリン酸塩物質を用いることを特徴とする請求項7に記載の耐病性発根促進剤の製造方法。
【請求項9】 上記リン酸塩物質の混入手段として、耐病性発根促進剤を用いた植栽用土に縮合リン酸塩の水溶液を給液する給液法、もしくは、縮合リン酸塩の粉末を散布する散布法であることを特徴とする請求項7又は8に記載の耐病性発根促進剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農作物の耐病性発根促進剤及びその製造方法並びに植栽用土に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、化学肥料の大量施用よって、土壌の地力が急激に衰え、農作物に土壌病原菌による病気が発生している。野菜、花卉では、フザリウム菌などによる根腐病の発生が多く見られる。果樹では、紋羽病真菌などによる根腐病が発生し、永年作物は快復が長期にかかることから、農家の深刻な悩みになっている。
【0003】野菜、花卉のフザリウムの消毒剤として、臭化メチル剤、クロロピクリン剤が使用されてきた。消毒済み土壌は、悪玉菌だけでなく、善玉菌も完全に殺してしまうので無菌に近い土壌になる。この土壌に悪玉菌が発生すると、拮抗作用のある善玉菌がいないので、被害が多大になる恐れがあり、農家では細心の注意を払っている。又、果樹の紋羽病真菌にカーバム剤、クロロピクリン剤による消毒が試みられてきているが、どれも満足するほど効果が上がっていない。しかも、臭化メチル剤、クロロピクリン剤は天然に存在しない合成化学薬剤であり毒物、劇物であることから土壌、地下水などの環境汚染が生じる欠点があった。天然薬剤として、生物への毒性、環境汚染の少ないヒノキチオールを含む青森ヒバおが屑を病変部の土壌あるいは罹病跡地の土壌に混入して紋羽病真菌の防除案もあるが、 ヒバおが屑は、速やかに腐朽しないこと、ヒノキチオールは善玉菌も死滅してしまう欠点があった。そこで、篤農家では、試行錯誤し紋羽病真菌の防除として、紋羽病真菌に犯された根を掘り出し、焼却灰、木炭による湿布法を気休めに行っているのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、土壌病原菌に拮抗する善玉菌を土壌中に大幅に増殖するとともに、農作物の根に対して発根を大幅に増長するために、リン酸塩物質を土壌改良材に混入することを特徴とする耐病気性発根促進剤及びその製造方法並びに植栽用土を開示することにある。
【0005】本発明は、各種の慢性化した土壌病原菌による農作物の病気、農産物に含まれる残留農薬に関する問題を上述の耐病性発根促進剤により解決することにある。縮合リン酸による善玉菌の増殖力を利用して、悪玉菌に拮抗する善玉菌を大量に増殖し、物理性、微生物、保肥力が豊かな土壌に改良する。同時に農作物の根の縮合リン酸による発根作用により、農作物の根量を大幅に増強する。土壌物理性は通気性、保水性のある団粒構造を持つ膨軟化した物理性が基本である。土壌微生物は、善玉菌を増殖し拮抗作用により病原菌を静菌する微生物群のバランスを保つことが基本である。病気に至った根は、発根促進剤を土壌中に混入もしくはマルチ施用することで快復に向かわせる。これらの三要素が土壌に満たされると土壌病原菌が抑制され、発根が促進され、土壌病原菌に起因する農作物の根の病気は著しく快復する。
【0006】土壌の物理性改良材として、各種の有機性堆肥、多孔質鉱物による土壌改良材が田畑に施用されてきている。有機性堆肥は、土壌微生物の増殖、ミミズの小動物の増殖、土壌団粒化の向上のために、草・木質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工残渣系堆肥などが土壌特性に応じて土壌に使用されている。また、多孔質鉱物は、化学肥料の緩効性の発現、土壌団粒化の向上のために、ゼオライト、ソフトシリカ、パーライト、バーミキュライトなどの多孔質鉱物が土壌特性に応じて土壌に使用されている。
【0007】一般に良質な堆肥は、農林系、食品加工系、汚水処理系、生活系などからの排出残渣を発酵に適する水分状態に調整し、定期的に酸素を供給し好気性微生物を増殖し悪臭のない熟成堆肥に仕上げる。この熟成堆肥は、完全腐熟に近いもので、嫌気性及び好気性微生物の代謝熱により、堆肥素材に含まれている繊維質に高温熱が長時間かかり、高温発酵したものが良い。微生物により繊維質が完全分解して、燃え滓となった堆肥は土壌中に施用した後、土壌微生物群の増殖とミミズの発生に必要な餌に乏しくなる。ミミズの大量発生は、土壌を深層耕起しミミズ糞を餌に土壌微生物を増殖し土壌を一層豊かなものにする。又、多孔質土壌改良材しての草・木質炭もしくは多孔質鉱物は、土壌の保水性を高め、土壌微生物の住処を提供し微生物の増殖を助け、土壌の団粒化を促進する。窒素肥料は、特に水に溶け易く土壌からの流亡を防止するために、木質炭、ゼオライトなどを土壌に施用してきたことは周知の通りである。
【0008】従来から使用されているリン酸肥料は、く溶性リン酸、水溶性リン酸、骨粉などのリン酸肥料である。これらのリン酸肥料は、可溶性、難溶性の性質にもかかわらず雨や水やりにより、溶出したリン酸は土壌中の金属類(カルシウム、アルミニウム、鉄)と結合して難溶性の金属塩になる。農作物の根における肥料成分の吸収部位は異なっている。窒素は根の全体で、カリウムは根の先端から1/3の部分で、リン酸は根の先端部で吸収される。根の伸長は、先端細胞の分裂を盛んにすることで増長する。細胞分裂はアデノシン三リン酸(ATP)の働きにより、炭水化物、アミノ酸を利用して細胞分裂が起こる。リン酸は農作物の生体エネルギーとしてのATPを合成する原料として最も重要なものである。難溶性の金属塩を形成したリン酸は、農作物の根でリン酸を吸収することができなく、特に病気にかかっている根の正常な増殖快復は望めない。堆肥に過リン酸石灰を塗しリン酸を効かせる方法が一部で行われてきた。堆肥の腐朽物は、オルトリン酸の肥効効率をねらったものであるが、速効性にかける欠点があり、病変根の早期の病気快復は期待できない。
【0009】縮合リン酸肥料は、速効性リン酸の性質を持つことから、葉面散布剤として主に果樹に散布し果実の増糖、着色剤として使用されている。リン酸の葉面散布法では、長期間にわたり肥効が期待できないために、農作物の根までの増長を補えない欠点があった。また、例えば、特開平10−17390号公報には、木質細片炭に縮合リン酸塩を担持させてなる水溶性リン酸塩を含む木質細片炭肥料が提案されている。この提案によれば、土壌改良効果しか発揮しなかった木質細片炭は、土壌中の金属と難溶性金属塩を形成しない水溶性の縮合リン酸塩を配合することで、植物の生育に直接作用する肥料効果の高い木質細片炭肥料を得ることができる。
【0010】上記特開平10−17390号の発明は、上述したように木質細片炭に縮合リン酸塩を担持させた木質細片炭及び木質炭を含む肥料であり、土壌中の金属を封鎖するキレート作用により、カルシウム、アルミニウム、鉄を縮合リン酸が包み込み土壌中を根の先端まで移動することを可能にしたものである。鉢花の培地や果菜の床土に木質細片炭を混入することで、一般のオルトリン酸を施用した場合に比較してリン酸の利用効率が高まりリン酸肥効が発現した。花芽、根量の充実が図られボリュウム感豊かな農作物が生産できるようになった。
【0011】しかし、この既知肥料は、木質細片炭に含まれている縮合リン酸の肥効効率に関するもので、土壌微生物の関係において考慮されていない。各種の根の病気は、土壌病原菌の悪玉菌が善玉菌に比較して土壌中で優勢になり、土壌微生物群のバランスが崩れることから起こる問題である。土壌病原菌に汚染された土壌では、健全な根も汚染される危険性がある。既に汚染され病気が進行している根からは、木質細片炭に含まれている縮合リン酸だけで根毛を大量に速やかに発生することは期待できない。有機性土壌素材により、土壌中に善玉菌を増殖することともに、縮合リン酸は、善玉菌の増殖を促進する作用も併せて利用する必要があった。土壌中に大量発生させた善玉菌の拮抗作用により、根を汚染している病原菌を静菌させ、縮合リン酸による根の発根を大幅に促進する必要があった。
【0012】
【発明が解決するための手段】本発明の目的は、土壌病原菌に拮抗する善玉菌を大幅に増殖するとともに、農作物の発根を大幅に増長するために、リン酸塩物質を混入手段によって、有機性土壌素材を含有する土壌改良材に混入してなることを特徴とする耐病性発根促進材及びその製造方法並びに植栽用土にある。
【0013】上記リン酸塩物質の目的は、農作物の発根を大幅に増長することにあり、病気根の早期快復を図ることにある。リン酸塩物質は、リン酸塩の水溶液又は粉末のリン酸塩である。もしくはリン酸塩が担持された多孔物質である。リン酸塩は、縮合リン酸塩が含まれているリン酸塩が好適である。縮合リン酸塩として、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩などのいずれの縮合リン酸塩の形態でも良く、これらの複合体でも良い。本発明において、リン酸塩はすべて縮合リン酸塩であっても良いが、一部オルトリン酸塩であっても良い。縮合リン酸塩の直接的肥効と有機性土壌素材のかかわりによるオルトリン酸塩の間接肥効としての複合作用が発揮される。リン酸塩中にオルトリン酸塩の量は、5〜30%程度が好適である。リン酸塩の50%以上、特に60〜85%が縮合リン酸塩になっていることが好ましい。又、VA根粒菌などの土壌微生物の添加は、農作物へのリン酸塩の吸収を高めるために好適である。
【0014】上記多孔物質の目的は、保肥力を向上し、微生物の住処を提供する多孔物質である。多孔物質は、木質材、モミガラ、コーヒー残渣などを炭化した草・木質炭、もしくはゼオライト、シリカゲル、パーライト、バーミュキライト、焼却灰などの多孔質鉱物である。草・木質炭は、バッチ式の平炉、連続式炭化炉などで草・木質原料の物性に応じて各種方式で生産される炭である。また、原料の水分率に応じて、燃焼法は自燃式、加燃式により、加燃式は直接加熱式、間接加熱式により生産される炭である。また、これらの各種の草・木質炭と多孔質鉱物とを混合した混合物、もしくは草・木質原料と多孔質鉱物とを混合した混合物を焼成した粒状多孔物質であっても良い。多孔物質の大きさは、10mm以下、2〜5mm程度が好ましいが、草・木質炭は、50mm程度の粗大細片炭でもよい。粒状多孔物質における草・木質炭と多孔質鉱物との混合割合は、短期栽培の農作物に施用する場合には、多孔質鉱物の量は、50%以下が好ましく、15〜30%程度が好適である。又、長期栽培の農作物に施用する場合には、多孔質鉱物の量は、50%以上が好ましく、65〜85%程度が好適である。
【0015】上記有機性土壌素材の目的は、ミミズの大量発生を促し土壌の通気性、保水性を高め、ミミズ糞及び有機性土壌素材を餌に善玉菌である土壌微生物を増殖するとともに、リン酸の肥効を一層大幅に高めることにある。なお、VA根粒菌、発酵菌などの微生物資材の添加は、リン酸の肥効及び有機性土壌素材の熟成発酵に有効である。有機性土壌素材としては、草・木質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工残渣系堆肥などの堆肥である。又、これら各種の堆肥を混合した混合堆肥でもよい。これらの堆肥は、バッチ式、撹拌式堆肥発酵施設、により、一般的に生産される堆肥でよい。又は、予めリン酸塩を含有したリン酸塩物質を有機性土壌素材の原料に混入し、微生物の増殖を促し熟成発酵した堆肥でもよい。この際、VA根粒菌などの土壌微生物、発酵菌などの発酵微生物の添加は、一層熟成発酵を促進し、リン酸の肥効を高める為に好適である。これらの土壌改良材は、有機性土壌素材と多孔物質との混合物であり、多孔物質の割合は、50%以下が好ましく、10〜30%程度が好適である。なお、団粒構造が豊かな土壌は、有機性土壌素材だけでもよい。
【0016】植栽用土の成分として、耐病性発根促進剤を使用する。リン酸塩物質と有機性土壌素材を含有する土壌改良材とからなる耐病性発根促進剤を混ぜ込んだ用土のリン酸が作物の生育によって不足した時には、用土表面から縮合リン酸塩の水溶液もしくは粉末を追肥的に補給することができる。水やりにより縮合リン酸塩が溶け込んだ水溶液は、速やかに土壌中を移動し、土壌改良材に含まれる多孔物質に効率的に吸着し、耐病性発根促進剤の特性を再び発現する。尚、ポット苗培地の成分として、耐病性発根促進剤を用いれば、良質な根鉢の形成に好適である。
【0017】リン酸塩物質を有機性土壌素材を含有する土壌改良材に混入した耐病性発根促進剤は、上述したリン酸塩多孔物質、有機性土壌素材、土壌改良材のそれぞれの機能の複合化により、土壌微生物中における善玉菌の大幅な増加に伴って、拮抗作用が発現して悪玉菌を静菌し、発根環境を改善する。土壌改良材を介して直接的に縮合リン酸塩が根に吸収されるとともに、有機性土壌素材を介して間接的にオルトリン酸が根に吸収され、土壌病原菌に汚染された病気根の快復及び発根を著しく促進することを特徴とする耐病性発根促進剤である。
【0018】このような耐病性発根促進剤を得るため、本発明は、縮合リン酸塩を含むリン酸塩物質を混入手段によって、有機性土壌素材を含有する土壌改良材に混入してなることを特徴とする耐病性発根促進剤の製造方法を提案する。この方法はまた、リン酸塩物質の混入手段として、耐病性発根促進剤を用いた植栽用土に縮合リン酸塩の水溶液を給液する給液法、もしくは縮合リン酸塩の粉末を散布する散布法としてもよい。この方法において、縮合リン酸塩を含むリン酸塩物質は、縮合リン酸塩が担持された多孔物質である。多孔物質に縮合リン酸塩を担持する方法として、水溶性、もしくは粉末状縮合リン酸塩を多孔物質に付着する担持方法で行う。又は、多孔物質の原料にリン酸塩を付着し、焼成することで生成された縮合リン酸塩を担持する担持方法で行う。
【0019】上記多孔物質は、木質材、モミガラ、コーヒー残渣などを炭化した草・木質炭、もしくはゼオライト、シリカゲル、パーライト、バーミキュライト、焼却灰などの多孔質鉱物である。多孔物質に縮合リン酸塩を担持する方法は、草・木質炭、多孔質鉱物の多孔性を利用することにより行われる。又、草・木質炭の原料、もしくは多孔質鉱物、並びにこの混合物にリン酸塩を付着し、焼成することで縮合リン酸塩が生成し多孔物質に縮合リン酸塩が担持される。縮合リン酸塩が担持された草・木質炭の製造方法は、リン酸塩を付着させた草・木質炭の原料を自燃式、加熱式炭化炉で炭化することで、縮合リン酸塩が担持した草・木質炭が製造される。加熱式炭化炉には、直接加熱炉、間接加熱炉があり、酸素供給量の条件による草・木質炭の物性は、縮合リン酸塩の生成機能が変わらないために、それほど特別な条件でない。また、縮合リン酸塩が担持された多孔質鉱物の製造方法は、リン酸塩を付着させた多孔質鉱物を加熱炉によって、縮合リン酸塩が担持した多孔質鉱物が製造される。粉末状リン酸塩を多孔質鉱物に付着させる場合には、バインダーの使用が好ましい。
【0020】
【発明の実施形態】以下に、本発明の実施形態を説明する。
(1)リン酸塩多孔物質による耐病性発根促進剤リン酸塩多孔物質を含有する耐病性発根促進剤は、縮合リン酸塩を担持した多孔物質と有機性土壌素材との混合物からなることを特徴とする耐病性発根促進剤である。多孔物質は、木質材、モミガラ、コーヒー残渣などを炭化した草・木質炭、もしくはゼオライト、シリカゲル、パーライト、バーミキュライト、焼却灰などの多孔質鉱物に縮合リン酸塩を担持した多孔物質である。縮合リン酸塩を担持方法は、草・木質炭、多孔質鉱物に縮合リン酸塩の水溶液、もしくは粉末を付着する付着法で行う。縮合リン酸塩は、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩の縮合リン酸塩を使用する。他の担持方法は、草・木質炭の原料にリン酸塩を付着して、焼成温度400℃以上で炭化することで縮合リン酸塩が担持できる。又は、多孔物質にリン酸塩を付着して、焼成温度400〜1200℃で焼成することで縮合リン酸塩が担持できる。有機性土壌素材は、草・木質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工残渣系堆肥などの堆肥である。多孔物質と有機性土壌素材との混合割合は、多孔物質が15〜30%程度でよい。この際、VA根粒菌などの土壌微生物、発酵菌の発酵微生物の添加は、熟成発酵及びリン酸の肥効にとって、一層好適である。
【0021】これらの耐病性発根促進剤は、善玉菌及びミミズが大量に繁殖する有機性土壌素材であることから、土壌中に善玉菌が豊富になり、拮抗作用が働き病原菌を静菌する。根腐れが発生している罹病地及び病気根が改善され、しかも、縮合リン酸が坦持された多孔物質から、リン酸が溶出し発根を速やかに促し、早期の病気快復が図られる特長がある。多孔物質に草・木質炭を使用した場合には、特に短期の速効性リン酸効果を発揮する。多孔物質に多孔性鉱物を使用した場合には、長期の速効性リン酸効果を発揮する。又、多孔物質に草木質炭と多孔性鉱物との混合物を使用した場合には、速効性リン酸塩の肥効は、初期強く長期間にわたり肥効を持続することで、病気根の早期快復と継続的発根を一層高める特徴がある。
【0022】(2)リン酸塩による耐病性発根促進剤。
リン酸塩多孔物質を含有する耐病性発根促進剤は、多孔物質と有機性土壌素材との土壌改良材に縮合リン酸塩を混入してなることを特徴とする耐病性発根促進剤である。縮合リン酸塩は、ポリリン酸塩、メタリン酸塩、ウルトラリン酸塩などの水溶性、もしくは粉末性縮合リン酸塩を使用する。多孔物質及び有機性土壌素材は、上記記載の多孔物質、土壌改良素材を使用する。多孔物質と有機性土壌素材の混合割合は、多孔物質が10〜30%程度使用すれば好ましい。多孔物質と土壌改良素材との混合物に水溶性又は粉末状縮合リン酸塩を添加して、混合機で均等に混合することにより耐病性発根促進剤が得られる。この耐病性発根促進剤の効能も上記記載の通りである。この際、VA根粒菌などの土壌微生物、発酵菌の発酵微生物の添加は、熟成発酵及びリン酸の肥効にとって、同様に好ましい。
【0023】(3)植栽用土として用いる耐病性発根促進剤給液土耕法において、植栽用土成分として、耐病性発根促進剤を用いる。耐病性発根促進剤は、多孔物質と有機性土壌素材との混合物からなり、水溶性縮合リン酸塩を給液により補給することを特徴とする耐病性発根促進剤である。又は、土耕法において、粉末状縮合リン酸塩を土壌に散布し水やりにより補給することを特徴とする耐病性発根促進剤である。この際、予め縮合リン酸塩を混入した耐病性発根促進剤を使用すれば、一層効果的である。縮合リン酸塩は、キレート作用により、土壌中を速やかに移動する。移動性の良い縮合リン酸塩の流亡を防ぎ効率的に土壌中に留める、縮合リン酸塩を吸着する多孔物質を使用する。これらの縮合リン酸塩の補給機能により、多孔物質と有機性土壌素材との混合物は、耐病性発根促進剤が持つ耐病性発根機能が長期維持され好適である。
【0024】次に、本発明の耐病性発根促進剤を製造する方法について、説明する。
(1)リン酸塩が加熱手段を用いて担持された多孔物質と有機性土壌素材とからなる耐病性発根促進剤リン酸塩が担持された多孔物質は、多孔物質の原料にリン酸塩を付着し、加熱手段を用いて、縮合リン酸塩を生成することで、縮合リン酸塩が担持された多孔物質になる。加熱手段は、多孔物質の原料が草・木質系原料の場合には、焼成温度400℃以上の自燃法又は加熱法により、縮合リン酸塩が担持された草・木質炭が得られる。焼成温度400〜800℃が好ましい。加熱法は、直接加熱法又は間接加熱法により、酸素の供給量は、炭化において重要な条件でない。多孔物質の原料が鉱物系原料の場合には、焼成温度400℃以上の直接加熱法により、縮合リン酸塩が担持された多孔鉱物が得られる。焼成温度400℃〜1400℃が好ましい。パーライトの原料である松脂岩、黒曜岩、真珠岩は焼成温度1200程度好ましく、特に、松脂岩は微細な連続気孔が多く、好適である。
【0025】リン酸塩が担持された草・木質炭は、炭化炉は、400℃以上の炭化温度が得られれば、どのような炭化炉でもよい。例えば、平炉は、バーク、セガ系の粗大木質原料又はモミガラにリン酸塩を塗し自燃により、生成された赤熱炭(焼成温度450〜800℃)を冷却することで縮合リン酸塩が担持された木質炭が得られる。この際、赤熱炭にリン酸塩を塗し冷却しても、同様に縮合リン酸塩が担持された木質炭が得られる。連続式炭化炉は、オガコ、コーヒー滓、キノコ栽培済み廃培地にリン酸塩を塗し加熱により、生成された赤熱炭(焼成温度500〜800℃)を冷却することで縮合リン酸塩が担持された木質炭が得られる。他の例として、リン酸塩を塗しながら枝木を野焼きした赤熱炭(焼成温度900〜1000℃)を冷却した消し炭によっても縮合リン酸塩が担持された消し炭が得られる。
【0026】縮合リン酸塩が担持された多孔鉱物は、多孔鉱物原料であれば、400℃以上の焼成温度であればよい。焼成により多孔質が得られる鉱物鉱物であれば、1000℃〜1400℃焼成温度である必要がある。この場合、リン酸の付着を増強するために、コーンスターチ、ベントナイトの粘土のようなバインダーを使用することが好ましい。焼成炉は、ロータリーキルンなど、焼成温度が400℃以上であれば、どのような炭化炉でもよい。なお、草・木質炭及び多孔鉱物による縮合リン酸塩が担持された混合多孔物質は、多孔物質の原料にリン酸塩を付着し焼成温度400℃以上で焼成することで得られる。混合割合は、農作物の栽培期間に応じて決定される。短期作物の場合には、主に草・木質炭、副に多孔鉱物の割合になり、長期作物の場合には、主に多孔鉱物、副に草・木質炭の割合になる。
【0027】有機性土壌改良素材は、草・木質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工系堆肥のような堆肥である。草・木質系腐葉土は、街路樹の枝打ちされた枝葉を裁断されて、数回切り返し85℃以上で熟成発酵させた堆肥である。家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工系堆肥のような堆肥は、モミガラ、オガコなどの適当な水分調整材によって、発酵が進みやすい水分率60%程度に調整し数回切り返して熟成発酵した堆肥である。なお、草・本質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工系堆肥を混合した複合堆肥でもよい。
【0028】上述した縮合リン酸塩が担持された多孔物質と有機性土壌素材とを混合し、約3カ月以上熟成することで、耐病性発根促進剤が得られる。この3カ月の期間は、有機性土壌改良素材で増殖した善玉菌が多孔物質に担持された縮合リン酸塩を利用して、急激に増加するに必要な期間である。耐病性発根促進剤に含まれる多孔物質と有機性土壌素材との混合割合は、多孔物質が10〜30%程度が好ましい。
【0029】(2)縮合リン酸塩を多孔物質と有機性土壌改良素材との混合物に混入してなる耐病性発根促進材。
上記記載の草・木質炭及び多孔物質からなる多孔物質と草・木質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工系堆肥系などの有機性土壌素材原料との混合物に縮合リン酸塩を混入して、数回切り返しして、熟成発酵することで得られる耐病性発根促進剤である。この際、縮合リン酸塩は、ポリリン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸などの水溶性及び粉末状の縮合リン酸塩を用いる。この混入効果は、発酵微生物の住処を提供し、縮合リン酸塩により有機性土壌素材原料の発酵過程おける善玉菌の発酵微生物の増殖を一層増加する効果がある。この結果、羅病地の病原菌に対して、拮抗作用のある善玉菌が豊富に含む、縮合リン酸により発根作用の優れた耐病性発根促進剤になる。耐病性発根促進剤おける多孔物質と有機性土壌素材原料との混合割合は、5〜20%程度が好ましい。縮合リン酸塩は、多孔物質と有機性土壌素材原料との混合物100リットル当たり、500〜3000グラム程度が好ましい。
【0030】(3)縮合リン酸塩を給液法及び散布法により、土壌改良材に供給してなる耐病性発根促進剤土壌改良材は、草・木質炭及び多孔物質からなる多孔物質と草・木質系腐葉土、家畜系堆肥、生ゴミ系堆肥、食品加工系堆肥などの有機性土壌素材との混合物からなる土壌改良材である。多孔物質及び有機性土壌素材は、上記記載の製法により得られた多孔物質、有機性土壌素材である。耐病性発根促進材おける多孔物質と有機性土壌素材原料との混合割合は、10〜30%程度が好ましい。土耕栽培において、耐病性発根促進剤を含む用土に養分を供給する際、縮合リン酸塩の水溶液を給液法、及び粉末を散布法により供給する方法にある。用土に含まれる耐病性発根促進剤は、20〜100%が好ましく。30〜60%程度が好適である。
【0031】なお、上記それぞれに記載のリン酸塩は、縮合リン酸塩だけでなく、オルトリン酸塩が含まれたリン酸が耐病性発根促進剤に含まれいてもよい。オルトリン酸塩は、有機性土壌改良素材の堆肥の腐植による少なからずの金属封鎖により、緩効性キレートリン酸塩になる。このことから、縮合リン酸塩とオルトリン酸塩を含むリン酸は、初期から後期にわたり、リン酸の肥効が発揮する。オルトリン酸塩の割合は、リン酸塩中に10〜30%程度が好ましい。この結果、土壌改良材に生息する善玉菌が縮合リン酸塩により急速に増殖し、オルトリン酸塩により善玉菌の個体数は長期にわたり維持することにより、拮抗作用により根腐菌を一層抑制し発根を促進する耐病性発根促進剤を得ることができる。なお、VA根粒菌を添加された耐病性発根促進剤は、農作物に効率的にオルトリン酸が吸収されるため、農作物の根の発根に好適である。
【0032】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。
(例−1)生モミガラ2.0mにリン酸一カリウム10Kgを混合し、床に煙道のある平炉で内部から火を着けて、燃焼温度500℃で、6時間かけて蒸し焼きし、600リットルの赤熱炭を得た。更に、苦土5Kgを溶かした水溶液50リットルで赤熱炭を冷却してポリリン酸が担持したモミガラ炭を得た。(ポリリン酸分85%、オルトリン酸分15%)
街路樹を捩り切り裁断した枝葉を月に一度切り返し一年間にわたり熟成発酵した腐葉土を得た。(C/N比36)
上記、モミガラ炭と腐葉土を1対5で混合して、3カ月熟成した耐病性発根促進剤を得た。(ポリリン酸分80%、オルトリン酸分20%)
【0033】(例−2)オガコ1.5mを床に煙道のある平炉で内部から火を着けて、燃焼温度450℃で、6時間かけて蒸し焼きし、赤熱炭を冷却し600リットルのくん炭を得た。牛糞にキノコ栽培済み廃オガコを混合し水分率60%に調整し月に一度切り返し6カ月にわたり熟成発酵した堆肥を得た。(C/N比19)
上記、くん炭と堆肥を1対5で混合した混合物に縮合リン酸であるヘキサメタリン酸ナトリウム10Kg(リン酸分6Kg、ナトリウム分2Kg)を溶かした水溶液50リットルを混入し、これら混合物を3カ月熟成した耐病性発根促進剤を得た。(ポリリン酸分75%、オルトリン酸分25%)
【0034】(例−3)パーライト600リットルにリン酸一カリウム10Kgを溶かした水溶液30リットルを付着し、ロータリキルンにより温度1150℃で焼成し、苦土5Kgを溶かした水溶液50リットルで冷却したメタリン酸塩が担持したパーライト600リットルを得た。(メタリン酸分85%、オルトリン酸分15%)
街路樹の裁断枝葉とキノコ栽培済み廃コーン・コブを1対2で混合し水分率60%に調整し月に一度切り返し3カ月にわたり熟成発酵した腐葉土を得た。(C/N比30)
上記、パーライトと腐葉土を1対10で混合した混合物を3カ月熟成した耐病性発根促進剤を得た。(メタリン酸分80%、オルトリン酸分10%)
【0035】(例−4)木質炭300リットル、ゼオライト300リットル、腐葉土3000リットルとを混合した土壌改良材にヘキサメタリン酸ナトリウム10Kg(リン酸分6Kg、ナトリウム分2Kg)、苦土6Kgの水溶液50リットルを混入し、3カ月熟成した耐病性発根促進剤を得た。(メタリン酸分80%、オルトリン酸分10%)
【0036】(植物育成試験)対象区の育成試験として、例−1、例−4で得られた耐病性発根促進剤、及び下記に示す。対象区1のモミガラ炭、対象区2の腐葉土を使用した。
(対象区1)生モミガラ2.0mにリン酸一カリウム10Kgを混合し、床に煙道のある平炉で内部から火を着けて、燃焼温度500℃で、6時間かけて蒸し焼きし、600リットルの赤熱炭を得た。更に、苦土5Kgを溶かした水溶液50リットルで赤熱炭を冷却してポリリン酸が担持したモミガラ炭を得た。(ポリリン酸分85%、オルトリン酸分15%)
(対象区2)街路樹を捩り切り裁断した枝葉を月に一度切り返し一年間にわたり熟成発酵した腐葉土を得た。(C/N比36)
【0037】試験に当たっては、紋羽真菌で根腐を起こし枯れ死した促成ブドウの罹病地にブドウの苗木を移植する際、耐病性発根促進剤(例−1、例−4)、及びモミガラ炭(対象区1)、腐葉土(対象区2)を各60リットルを埋め戻しの土に混ぜ込み施用した。施用に当たっては、同時に市販の複合肥料を併せて用いた。一年後に根を掘り返し発根及び病気の発生についての観察状況を表1に示す。表1から耐病性発根促進剤(例−1、例−4)は、根に病気の発生もなく、健全な発根状況にあり、根量が通常の30%増しであった。対象区1、対象区2は根の発生量が少なく、一部に根腐れ病が認められた。
【0038】試験に当たっては、フザリウムで根腐を起こし枯れ死したセロリの罹病地にセロリのポット苗を定植する際、耐病性発根促進剤(例−1、例−4)、及びモミガラ炭(対象区1)、腐葉土(対象区2)を1坪当たり各10リットルを土に混ぜ込み施用した。施用に当たっては、同時に市販の複合肥料を併せて用いた。収穫後根を掘り返し発根及び病気の発生についての観察状況を表2に示す。表2から耐病性発根促進剤(例−1、例−4)は、根に病気の発生もなく、健全な発根状況にあり、根量が通常の32%増しであった。対象区1、対象区2は根の発生量が少なく、一部に根腐れ病が認められた。
【0039】
【表1】

【表2】

【0040】
【発明の効果】本発明の効果は、根腐病のある罹病地に耐病性発根促進材を施用することにより、土壌中に善玉菌を大幅に増殖し拮抗作用により病原菌を一層抑制し根の発生を促進する。上述したように果樹の紋羽真菌、野菜のフザリウム菌を静菌し発根を促進し根量を増長する優れた耐病性発根促進剤である。
【出願人】 【識別番号】597043590
【氏名又は名称】小林 悦雄
【出願日】 平成11年4月26日(1999.4.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−308417(P2000−308417A)
【公開日】 平成12年11月7日(2000.11.7)
【出願番号】 特願平11−156916