| 【発明の名称】 |
栽培方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山本 浩平
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| 【要約】 |
【課題】定植作業を省力化することができ、定植後の活着が良好で、その後も優れた生育状態を得ることができる栽培方法を提供する。
【解決手段】傾斜状態または水平状態に保持した筒状の育苗用容器74で、苗75の茎77の伸長方向78に対し根鉢76の軸方向79に角度をもたせて苗75を育成し、この苗75の茎77の伸長方向78をほぼ垂直状態にして栽培地に定植することにより、育苗期間中と同じ姿勢で苗75を定植することができるので、定植後、苗がストレスを受けることがなく活着は良好であり、茎はそのまま真上に伸長し、その後の生育状態も優れたものとなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 育苗用容器で育成した苗を用いる栽培方法であって、前記苗の茎の伸長方向に対し根鉢の軸方向に角度をもたせて苗を育成し、前記苗の茎の伸長方向をほぼ垂直状態にして栽培地に定植することを特徴とする栽培方法。 【請求項2】 前記苗が、傾斜状態または水平状態に保持した筒状の育苗用容器で育成されたものである請求項1記載の栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、育苗用容器で育成した苗を用いた栽培方法に関する。 【0002】 【従来の技術】苺、トマト、茄子などの野菜類や各種果物類を栽培する場合、図10に示すように、所定の育苗用容器90に充填した培土91中で苗92の育成が行なわれ(同図(a))、適当な大きさに苗92が成長すると、育苗用容器90から培土91とともに苗92を取り出し(同図(b))、栽培地93に移して定植するという方法がとられている。 【0003】苗92を育苗用容器90内で育成すると、その容器内で成長した根94が培土91を巻き込んだ状態となる。この状態で育苗用容器90から取り出しても培土91を巻き込んだ根94の部分は育苗用容器90の形状を保っており、この部分は根鉢95と呼ばれている。 【0004】定植前の育苗期間中は、一般に育苗用容器90を直立状態に保持して苗92の育成が行なわれるが、育苗用容器90から培土91とともに取り出した苗92は、図10(c)に示すように根鉢95を直立状態にするか、同図(d)に示すように根鉢95を傾斜状態にして、栽培地93に定植される。 【0005】また、苗92が育苗用容器90に入ったまま、育苗期間中の状態で栽培地に定植する方法がとられることもあるが、その場合も、育苗用容器90は直立状態あるいは傾斜状態にして栽培地に定植される。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】育苗用容器90で生育させた苗92を栽培地93に定植する場合、図10(c)に示すように、直立状態にした根鉢95全体を土中に埋没させるためには比較的深い穴を掘る必要があるので、穴堀り作業および掘った穴に根鉢95を入れて埋め戻す作業に多大な労力と時間を費やしている。根鉢95の容量が大きいほど苗29の生育が良くなる性質があるので、苺などの直根性を有する苗を育てる場合、根鉢95を長くするような栽培管理が行なわれているが、根鉢95が長くなるほど定植の際に深い穴を掘らなければならなくなるので、それに要する労力と時間も増大する。 【0007】一方、図10(d)に示すように、根鉢95を傾斜状態にして栽培地93に植えれば、根鉢95の全長より浅い穴に定植できるので、穴堀り作業などを省力化することができる。しかし、定植後の苗92は、植物ホルモンであるオーキシンのはたらきにより、斜めの状態から真上に向かって伸長していく性質があり、このとき苗92はストレスを受けることとなる。このストレスは苗92の生育不良の原因となることがある。すなわち、根鉢95を傾斜状態にして栽培地93に植えた場合、活着が悪くなったり、その後の生育状態が不良となるおそれが高い。 【0008】そこで、本発明が解決しようとする課題は、定植作業を省力化することができ、定植後の活着が良好で、その後も優れた生育状態を得ることができる栽培方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明は、育苗用容器で育成した苗を用いる栽培方法であって、苗の茎の伸長方向に対し根鉢の軸方向に角度をもたせて苗を育成し、この苗の茎の伸長方向をほぼ垂直状態にして栽培地に定植することを特徴とする。このような方法をとることにより、育苗期間中と同様の姿勢で苗を定植することができるので、定植後、苗がストレスを受けることがなく活着は良好となり、茎はそのまま真上に伸長し、その後の生育状態も優れたものとなる。 【0010】この苗は、茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度を成しているため、従来の直立状態で育苗した苗に比べ浅い穴に植えることができる。したがって、栽培地に深い穴を掘る必要がなくなり、定植作業を省力化することができ、土壌の浅い栽培地にも対応可能である。 【0011】この苗は、傾斜状態または水平状態に保持した筒状の育苗用容器で育成することにより、苗の茎は容器本体の開口部から真上に向かって伸長し、根は傾斜状態または水平状態に保持された培土収容部全体に広がって成長するので、茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなす苗を得ることができる。 【0012】このような茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなす苗は、従来の育苗用容器を用いて育成することもできるが、容器本体の開口部が容器本体の側壁に対して傾斜または並行な向きにある育苗容器を用いて育成することもできる。このような育苗用容器を用いた場合は、育苗用容器を傾斜状態または水平状態に保持しただけで、茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなす苗を容易に得ることができ、植物の種類や定植条件などに適応した育苗を行なうことができる。 【0013】このほか、茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなす苗を得る方法としては、育苗用容器で育成中の苗に斜め方向から光を照射して光の方向へ茎を屈曲させる方法、あるいは一定方向の気体流を当てることによって茎を風下側へ屈曲させる方法などがある。 【0014】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は第1実施形態の栽培方法における育苗過程を示す説明図、図2、図3は育成した苗の定植過程を示す縦断面図である。 【0015】本実施形態では、図1に示すように、先細り筒形状をした育苗用容器10を保持器具11に形成された開口12に嵌入させ、保持器具11全体を傾けることによって育苗用容器10を傾斜状態に保持している。そして、育苗用容器10内に充填した培土13で苗14を育成すると、根鉢17が形成されていく。 【0016】育苗用容器10を傾斜状態に保持すると、苗14の先端部分は重力と反対方向へ伸長していく性質があるので、茎15の伸長方向15aと根鉢17の軸方向17aとが一定角度をなす苗14を得ることができる。 【0017】このようにして得られた苗14は、図2に示すように、育苗用容器10から培土13と共に取り出した後(同図(a))、茎15の伸長方向15aをほぼ垂直状態にし、根鉢17全体を土中に埋める(同図(b))ことにより、栽培地19に定植する。 【0018】茎15の伸長方向15aと根鉢17の軸方向17aとが一定角度をなす苗14は、従来の直立状態の苗に比べ、土中の浅い部分に定植することができるので、栽培地19に深い穴を掘る必要がなくなり、定植作業を省力化することができる。 【0019】定植した後、苗14および根鉢17は育苗期間中と同じ姿勢に保たれるので、ストレスを受けることがなく、定植後の活着は極めて良好である。また、茎15の上方部分は、そのままほぼ垂直上方に向かって伸長していくので、その後の生育状態も優れている。 【0020】また、茎15の伸長方向15aと根鉢17の軸方向17aとのなす角度は、育苗期間中に育苗用容器10の保持角度を変化させることによって90度〜180度に変化させることができるので、図3(a),(b),(c)に示すように、定植する栽培地21,22,23の土壌深さに対応した角度の苗24,25,26を得ることができる。すなわち、育苗期間中の育苗用容器10の保持角度を変化させることで、栽培地の土壌深さや植物の種類などの諸条件に的確に対応した育苗を行なうことができる。 【0021】次に、図4〜6を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、先細り円筒状の培土収容部61と、培土収容部61の側壁に形成された開口部62とを備えた育苗用容器60を用いて育苗を行なっている。 【0022】育苗用容器60の培土収容部61は、互いに着脱可能な本体61aとキャップ61bとで構成され、本体61aおよびキャップ61bにはそれぞれ排水孔61cが形成されている。培土収容部61に充填した培土63において苗64の育成を行なう。育苗用容器60を水平状態に保って苗64を育成することにより、苗64は茎65の伸長方向69と根鉢66の軸方向71とがL字状をなすように成長していく。 【0023】苗64が所定の大きさに成長したら、図5に示すように、育苗用容器60の本体61aからキャップ61bを取り外した後、根鉢66を本体61aから抜き取り、図6に示すように、栽培地67に定植する。この場合、本体61aは先細りの円筒形状であるため、根鉢66の抜き取り作業は容易である。 【0024】苗64は、茎65の伸長方向69と根鉢66の軸方向66aとがL字状をなしているので、栽培地67に比較的浅い穴を掘るだけで、根鉢66全体を土中に埋め、茎65の上方部分をほぼ垂直状態に保って定植することができる。定植後、苗64は育苗期間中と同様の姿勢が保たれるので、ストレスを受けることがなく、活着が良好である。また、茎65の上方部分はそのままほぼ垂直に伸長していくので、その後の生育状態も優れている。 【0025】本実施形態では、育苗容器60を水平状態に保持することにより、茎65の伸長方向69と根鉢66の軸方向70とがL字状をなす苗64を育成しているが、育苗期間中、育苗用容器60の保持角度を変えることにより、茎65の伸長方向69と根鉢66の軸方向70とのなす角度を90度〜180度の範囲で変化させることができる。したがって、栽培地67の土壌深さや植物の種類などの定植条件に的確に対応した育苗を行なうことができる。 【0026】次に、図7を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図7に示すように、フランジ70を水平状態にしたときに培土収容部73が傾斜するように形成された先細り筒形状の育苗用容器74を用いて育苗を行なっている。育苗用容器74を、水平な保持器具71に形成された開口72に嵌入させると、育苗用容器74は傾斜状態に保持される。そして、培土収容部73に充填した培土13で苗75を育成すると根鉢76が形成されていく。 【0027】これによって、茎77の伸長方向78と根鉢76の軸方向79とが一定角度をなす苗75が得られるので、この後、図2と同様の過程を経ることにより、植物苗75を栽培地に定植することができる。第1,第2の実施形態の場合と同様の理由により、定植後の苗75活着は良好であり、その後の生育状態も優れたものとなる。また、このような形状の育苗用容器74の場合、保持器具71で保持される容器上端部分の面積が大きくなるので、保持状態が安定するという利点があり、さらに上端の開口面積が広いので、給水や施肥を行いやすいという利点もある。 【0028】図8は本発明の第4実施形態を示す図で、図7の育苗湯容器74と同様な形状の育苗用容器80を、係止具81により係止ワイヤ82に係止した状態を示す。本実施形態の場合も、第3実施形態の場合と同様な効果がある。 【0029】なお、上記の実施形態においては、育苗用容器から根鉢を取り出して定植を行なっているが、苗を育苗用容器から取り出すことなく育苗用容器ごと定植することも可能であり、その場合も前述と同様の効果を得ることができる。 【0030】次に、図9,10を参照して、育苗に関する他の実施形態について説明する。図9に示す実施形態では、育苗期間中、保持器具41に保持された育苗用容器40で生育する苗42に対し、光源43から一定方向の光44を照射する。これによって苗42の茎42aは、くの字状に屈曲して成長していく。光44の照射角度を変えることにより屈曲角度を変化させることができるので、栽培地の土壌深さや植物の種類などの各種定植条件に対応した育苗が可能である。この場合、育苗用容器40を直立に保持した状態で、茎42aが屈曲した苗42を得ることができるので、育苗期間中、灌水、散水、施肥などの各種作業を従来通り支障なく行なうことができる。 【0031】図10に示す実施形態では、育苗期間中、保持器具51に保持された育苗用容器50で生育する苗52に対し、送風機53から一定方向の空気流54を当てる。これによって苗52の茎52aは、くの字状の屈曲して成長していく。送風機53から流れる空気流54の風量、風速などを変えることによって茎52aの屈曲角度を変化させることができるので、栽培地の土壌深さや植物の種類などの各種定植条件に対応した育苗を行なうことができる。なお、送風機53の代わりに、温風ダクトなどからの空気流を利用することにより、茎52aが屈曲した苗52を得ることも可能である。 【0032】図9,10に示すいずれの実施形態でも、図1に示す苗14と同様、植物苗の茎と根鉢の軸方向とが一定角度をなす苗を得ることができる。したがって、図2に示すような手順で定植することにより、前述した第1〜3実施形態の場合と同様の理由により、定植後の苗42,52の活着は良好となり、その後の生育状態も優れたものとなる。なお、図9,10に示す実施形態の場合でも、育苗用容器40,50から根鉢を取り出して定植する方法、あるいは育苗用容器40,50ごと苗42,52を定植する方法のいずれの方法をもとることができる。 【0033】 【発明の効果】本発明により、以下に示す効果を奏する。 【0034】(1)苗の茎の伸長方向に対し根鉢の軸方向に角度をもたせて苗を育成し、この苗の茎の伸長方向をほぼ垂直状態にして栽培地に定植することにより、育苗期間中と同じ姿勢で苗を定植することができるので、定植後、苗がストレスを受けることがなく活着は良好であり、茎はそのまま真上に伸長し、その後の生育状態も優れたものとなる。また、苗の茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなしているため比較的浅い穴に植えることが可能で、定植作業を省力化することができ、土壌の浅い栽培地にも対応可能である。 【0035】(2)水平状態または傾斜状態に保持可能な筒状の培土収容部と、培土収容部の側面の一部に形成された開口部とを備えた育苗用容器を用いることにより、苗の茎は開口部から真上に向かって伸長し、根は培土収容部全体に広がって成長するので、茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなす苗を比較的容易に得ることができる。 【0036】(3)傾斜状態または水平状態に保持した筒状の育苗用容器で苗を育成することにより、苗の茎は開口部から真上に向かって伸長し、根は傾斜状態または水平状態に保持された培土収容部全体に広がって成長するので、茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなす苗を比較的容易に得ることができる。また、従来の育苗用容器を用いて、茎の伸長方向と根鉢の軸方向とが角度をなす苗を得ることが可能であり、育苗用容器の保持角度を変えるだけで角度を変えることができるので、植物の種類や定植条件などに適応した育苗を行なうことができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591038026 【氏名又は名称】福岡丸本株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月13日(1999.4.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099508 【弁理士】 【氏名又は名称】加藤 久
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| 【公開番号】 |
特開2000−295921(P2000−295921A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月24日(2000.10.24) |
| 【出願番号】 |
特願平11−105779 |
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