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【発明の名称】 苗の栽培装置
【発明者】 【氏名】山中 仙也

【要約】 【課題】苗作り後の根切りがスムーズに行なうことができる苗の栽培装置を提供する。

【解決手段】苗床11に上下二枚のネット12、13を敷いて、この上側のネット上に育苗箱Aを置き、上下のネット間に配置した根切り糸14を引き寄せて根を切る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗床に敷いた上下二枚のネットと、この上側のネット上に載置した育苗箱とからなり、上記上側のネットと下側のネットとの間に引き寄せにともない根を切る根切り糸を配置したことを特徴とする苗の栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、苗作りの栽培装置に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】従来の苗代作りは、田畑の土壌を細かく砕土すると共に、給水しながら平均化して苗床を作る。
【0003】次に、この苗床に特公昭47−49246号公報に示す育苗箱や意匠登録第384504号公報に示す育苗箱を押し沈めて栽培する。
【0004】その際、育苗箱の底面が苗床の表面に密着しなければならない。すなわち、苗床の育苗箱の床面が密着しないと育苗箱の土壌が乾燥して苗が育たない。
【0005】また、育苗箱が硬質合成樹脂製のため苗代の表面がやわらかくなくてはならないが、非常にやわらかいと育苗箱に詰めてある土壌及び種籾が没落するおそれがある。
【0006】さらに、苗床の表面が固くなると、育苗箱と苗床の密着が難しく、密着させるには、育苗箱を苗床の表面よりある程度土中に埋める必要があるので、育苗箱を押え込む大変な労力が必要になる。
【0007】また、育苗箱を苗床から離すとき、苗床の表土を乾かせて硬くし、苗の根と同時に育苗箱の下部の土を切り取らなければならない。
【0008】上記の切り取りには、既知の苗取器が用いられる。
【0009】この苗取器は、把持棒と、この把持棒の先端から突出する二叉杆と、この二叉杆の先端間に張設したワイヤとで構成され、育苗箱の両側外側に二叉杆の先を位置させると共に、ワイヤが苗床と育苗箱の底との間を通過するように把持部を引き寄せながら上述の根と土を切る。
【0010】しかしながら、ワイヤに苗の根やワラくず、ゴミなどがからまってたまるので、スムーズに根切りすることができず多大な労力を必要とし、しかも育苗箱は一枚づつ力を入れて取るため能率も著しく低下する。
【0011】すなわち連続して育苗箱を取ることができない。特に土中に育苗箱を押し込んであるので、育苗箱の裏の空間に床土が入り込んでいる。
【0012】この状態で上述の苗取器のワイヤにより根切りを行なっても、ワイヤによる育苗箱の底のそぎ取りによって食い込んでいる土のそぎ取りができない。このため、取り出す育苗箱の重量が増し、搬出などの取り扱いが大変になると共に、重労働になって腰痛などを引き起こしやすい。
【0013】勿論、上述の問題をなくするためには、現場で包丁などを用いて土の掻き落し作業が必要になる。
【0014】上記の作業が不充分な場合、田植機を用いて植付けを行なうと、育苗箱の下面に存在する土と根とのからみなどにより育苗箱に対するスムーズな苗のつかみ取りができず欠株の発生原因にもなる。
【0015】また、苗床の土が柔らかいと苗が土中に根を張っているため苗の根が切れずに育苗箱の持ち上げにともない苗が育苗箱から抜け、苗床に苗が残ることもあった。
【0016】そこで、上記の各種不都合をなくする水稲苗の栽培装置として実用新案登録第3054822号公報がある。この公知例によると、ネットと育苗箱との間を根切り糸を引き寄せながら、根を切るようにしている。
【0017】しかしながら、引き寄せる根切り糸が育苗箱のコーナーなどに引っかかり、強い力で根切り糸を引っ張ると根切り糸が切断する不都合があった。
【0018】上記引っかかり以外にも育苗箱の底からはみ出した土に根切り糸が接触するので、土との接触にともない根切り糸が磨滅して切断する。
【0019】特にはみ出した土は、育苗箱の底から倒立V字状になり、しかもはみ出し長さは各部まちまちのため根切り糸の切断が顕著になる。
【0020】そこで、この発明の課題は、根切り糸の引っかかりや切断がないようにした苗の栽培装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明は、苗床に敷いた上下二枚のネットと、この上側のネット上に載置した育苗箱とからなり、上記上側のネットと下側のネットとの間に引き寄せにともない根を切る根切り糸を配置した構成を採用する。
【0022】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】この発明の実施形態に用いる育苗箱Aは、図1及び図2に示すように、上下面が開放する方形状の枠体1と、この枠体1内を区分にするように仕切る縦横の仕切板2とで構成され、枠体1と仕切板2とで、又は仕切板2同士により区画劃された区劃空間には、土3を入れ、次いで播種aをまいてその後に覆土4する。
【0024】なお、土3及び覆土4は、苗箱Aの移動(切り扱いに際し抜け落ちないように押圧して詰め込んである。
【0025】次に栽培手段を説明する。苗代田(平田乾田)に肥料を散布し、そしてなるべく浅く、かつ細かく耕耘する。
【0026】次に畦を作ったのち、畦の内側に水を張って、苗床11の土を軟らかくし、その後に図3及び図4に示すように畦の内側苗床11上全面に上下2枚のネット12、13を敷く。
【0027】このとき苗床11の上面が水平に平行になるようにならす。すると、上側ネット12の表面に泥水(微細な泥の浮遊水)が浮く。しかして、上側ネット12の上に育苗箱Aを置くと共に、ネット12に苗箱Aを軽く押しつけて、順次育苗箱Aを並べる。
【0028】また、上記苗箱Aを置く以前に上側ネット12と下側ネット13との間に引き寄せて根を切る根切り糸14を配置しておく。
【0029】上記の上下ネット12、13には、硬質合成樹脂成型品などが望ましい。なお、根切り糸14は、強い引っ張り力に耐えるものであればよい。
【0030】また、根切り糸14の配置は、図3に示すように、直列状に並ぶ育苗箱Aの各列毎で、育苗箱Aのセンタに二本一組の根切り糸14を配置する。その際、根切り糸14の両端は、畦に位置させておく。
【0031】上記の根切り糸14の配置は、上記に限定されず、例えば図5に示すような配置にすることもある。
【0032】要するに端をつかんで反対側端の方向に引っ張って根切りすることができればよい。また、根切り糸14をX状に交差させて引っ張りながら根を切ることもできる。
【0033】上記のように構成すると、育苗箱Aの取り出しに際し、根切り糸14の両自由端を引き寄せる。すると、上側ネット12と下側ネット13との間の根が切断され、育苗箱Aの取り出しが容易になる。
【0034】勿論、根切り糸14による根切りにともない育苗箱Aの下面に育苗箱Aの持ち上げによる引き抜き根が存在しなくなる。
【0035】なお、上記の栽培は、水稲苗に限定されず、縦方向に根がのびる野菜、例えば玉葱の苗の栽培の際の根切りにも応用する。
【0036】
【発明の効果】この発明に係る苗の栽培装置は、以上のように構成してあるので、上下のネット間の根切り糸を引き寄せて上下ネット間の根を切断することになる。
【0037】このため、引き寄せる根切り糸が育苗箱に引っかかって切れるような不都合や、土との接触による磨滅によりすり切れるような不都合がない。
【0038】このため、スムーズに育苗箱を取り出すことができて、苗床に苗が残らないと共に、取り出しに多大な労力を要せず、また腰痛などを引き起こすこともないなどの利点がある。
【0039】また、根切り糸によるネットと育苗箱との間の完全な根切りにともない田植機による植付機構でのスムーズな苗のつかみ取り出しができて、欠株の発生をなくすることができる。
【0040】勿論、ネットに育苗箱を載置する形式のため、育苗箱の底面に土が詰まって残ることもない。従って、田植機への載積などの作業性もよくなる。
【0041】また、水稲苗の栽培以外の縦方向に根がのびる野菜の苗の栽培にともなうスムーズな根切りもできる。
【出願人】 【識別番号】591210806
【氏名又は名称】山中 仙也
【出願日】 平成11年4月7日(1999.4.7)
【代理人】 【識別番号】100067574
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 昭
【公開番号】 特開2000−287548(P2000−287548A)
【公開日】 平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願番号】 特願平11−99710