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【発明の名称】 樹木の管理剤および樹木の管理方法
【発明者】 【氏名】上本 泰広

【要約】 【課題】光触媒性物質の光励起により親水性現象を起こすとともに有機物を酸化分解する性質を利用して樹木の洗浄が容易にかつ確実にできる。

【解決手段】光触媒性物質を含む水溶液からなる樹木の管理剤を散布して樹木の表面に光触媒性物質を付着する。この光触媒性物質が光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに酸化分解して樹木の表面に付着する汚染物を除去する。光触媒性物質は酸化チタンまたは酸化亜鉛の少なくとも一種またはこれらの混合物である。光触媒性物質の水溶液は消毒剤の水溶液を用いることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹木の表面に付着して光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに有機物を酸化分解する光触媒性物質を含む水溶液からなることを特徴とする樹木の管理剤。
【請求項2】 光触媒性物質は酸化チタンまたは酸化亜鉛の少なくとも一種またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1記載の樹木の管理剤。
【請求項3】 光触媒性物質の水溶液は消毒剤の水溶液であることを特徴とする請求項1または2記載の樹木の管理剤。
【請求項4】 光触媒性物質を含む水溶液からなる樹木の管理剤を散布して樹木の表面に光触媒性物質を付着し、この光触媒性物質が光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに酸化分解して樹木の表面に付着する汚染物を除去することを特徴とする樹木の管理方法。
【請求項5】 光触媒性物質は酸化チタンまたは酸化亜鉛の少なくとも一種またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項4記載の樹木の管理方法。
【請求項6】 光触媒性物質の水溶液は消毒剤の水溶液であることを特徴とする請求項4または5記載の樹木の管理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、道路沿いに植生されている樹木に付着した汚染物を除去する樹木の管理剤および樹木の管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の例えば、道路沿いに植生された樹木の維持管理は、樹木の性状、種類によって定期的に施肥、消毒、洗浄作業などを行う必要があり、また、道路に沿って植生された樹木の維持管理作業には、作業の都度、交通規制をして安全対策を施さなくてはならず、しかも、樹木にはは自動車の排気ガスによる煤煙などにより汚染物が付着し、樹木、特に葉の表面に油煙などが付着、沈着すると、葉の表面の表皮が塞がれて炭酸ガス(CO2 )の吸収する呼吸作用、太陽光線の吸収機能が著しく低下し、樹木の成育を妨げて枯れることもあり、従来は樹木のこれらの汚染物の洗浄は水を吹き付けて行っていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、道路沿いなどに植生された樹木に付着している汚染物の除去には、樹木に水を吹き付けて洗浄を行っているが、洗浄効果に充分に期待できず、頻繁に洗浄作業が必要であり、その洗浄作業の都度、交通規制をして安全対策を施さなくてはならず、自動車専用道路沿いの樹木の洗浄作業では、交通規制により渋滞を招き、頻繁な樹木の洗浄を行うことができなかった。
【0004】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、光触媒性物質の光励起により親水性現象を起こすとともに有機物を酸化分解する性質を利用して樹木の洗浄が容易にかつ確実にできる樹木の管理剤および樹木の管理方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の樹木の管理剤は、樹木の表面に付着して光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに有機物を酸化分解する光触媒性物質を含む水溶液からなるものである。
【0006】そして、樹木の表面に散布により付着した水溶液に含まれる光触媒性物質が太陽光線による光励起により、樹木の表面に親水性現象が起きるとともに樹木に付着している光触媒性物質は有機物を酸化分解し、分解された物質は降雨または水洗により容易に除去される。
【0007】請求項2記載の発明の樹木の管理剤は、請求項1記載の樹木の管理剤において、光触媒性物質は酸化チタンまたは酸化亜鉛の少なくとも一種またはこれらの混合物である。
【0008】そして、酸化チタンまたは酸化亜鉛は、太陽光線による光励起による親水性現象が顕著であるとともに有機物の酸化分解作用が効率よく行われ、汚染物質の除去が効率よく行われる。
【0009】請求項3記載の発明の樹木の管理剤は、請求項1または2記載の樹木の管理剤において、光触媒性物質の水溶液は消毒剤の水溶液である。
【0010】そして、散布した水溶液に含まれる付着した光触媒性物質、好ましくは酸化チタンまたは酸化亜鉛が樹木の表面に付着することにより光触媒性物質が樹木の汚染物質の除去作用と同時に樹木の消毒を行うことができる。
【0011】請求項4記載の発明の樹木の管理方法は、光触媒性物質を含む水溶液からなる樹木の管理剤を散布して樹木の表面に光触媒性物質を付着し、この光触媒性物質が光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに有機物を酸化分解して樹木の表面に付着する汚染物を除去するものである。
【0012】そして、樹木の表面に光触媒性物質を含む水溶液からなる樹木の管理剤を散布して樹木の表面に光触媒性物質を付着させることにより、この光触媒性物質が光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに樹木に付着した有機物を分解し、この分解された物質は降雨または水洗により容易に除去されて樹木の表面に付着した汚染物を除去することができる。
【0013】請求項5記載の発明の樹木の管理方法は、請求項4記載の樹木の管理方法において、光触媒性物質は酸化チタンまたは酸化亜鉛の少なくとも一種またはこれらの混合物である。
【0014】そして、酸化チタンまたは酸化亜鉛は、太陽光線による光励起による親水性現象が顕著であるとともに有機物の酸化分解作用が効率よく行われ、汚染物質の除去が効率よく行われる。
【0015】請求項6記載の樹木の管理方法は、請求項4または5記載の樹木の管理方法において、光触媒性物質の水溶液は消毒剤の水溶液である。
【0016】そして、光触媒性物質の水溶液を散布することにより、樹木の汚染物質の除去作業と同時に樹木の消毒を行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の樹木の管理剤および樹木の管理方法の一実施の形態を説明する。
【0018】水溶液からなる樹木の管理剤に含まれる光触媒性物質は、酸化チタン( TiO2)、酸化亜鉛(ZnO )、酸化錫( SnO2 )、酸化ストロンチウム( SrTiO3 )、酸化タングステン(WO3 )、酸化ビスマス( Bi2 O3 )、酸化鉄( Fe2 O3 )からなる1群から選択した1ないし複数を含む水溶液で、アナターゼ型酸化チタン( TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO )のいずれか一方または両方の混合物を含む水溶液が好ましいが、ルチル型酸化チタン( TiO2 )も用いることができる。また、光触媒性物質は粒径20ηm 〜100μm で、好ましくは0.1μm 以下の大きさが好ましい。光触媒性物質の粒径が100μm 以上であると、光触媒性物質の被膜が厚くなり、光触媒性物質の被膜の耐磨耗性特性、透光性特性を低下させるなどの問題がある。
【0019】そして、これらの光触媒性物質は光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに樹木に付着した有機物を酸化分解する作用を有する。
【0020】また、光触媒性物質を含ませる水溶液は、例えば、イソプロピルアルコール、エチルアルコールなどの水溶液である。
【0021】そして、水溶液に光触媒性物質を重量比で20%〜0.05%含ませ、好ましくは、重量比で2%〜0.5%の光触媒性物質を水溶液に含ませる。この水溶液に対し光触媒性物質が重量比で20%を超えると、光触媒性物質の均一の散布が出きなくなり、また、光触媒性物質が重量比で0.05%以下となると、光触媒性物質の被膜が形成されなくなる。
【0022】さらに、水溶液は有機リン酸エステル系殺虫剤、またはボルドー液などの消毒剤の水溶液を用いることもできる。
【0023】また、水溶液は葉面散布用肥料の水溶液を用いることもできる。
【0024】なお、樹木の表面への光触媒性物質の被膜の定着性、耐久性を高めるために、予め、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの誘導体の水溶液またはアルコール性水溶液を散布して乾燥し、そのバインダー被膜が形成された状態で、光触媒性物質の水溶液を散布することもできる。
【0025】さらに、光触媒性物質の水溶液にメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの誘導体の水溶液またはアルコール性水溶液を混合して光触媒性物質の水溶液と同時にバインダー水溶液を散布させることにより、光触媒性物質の被膜の定着性、耐久性を高めることができる。
【0026】次にこの実施の形態の作用を説明する。
【0027】光触媒性物質を含む水溶液からなる樹木の管理剤を樹木に散布することにより、散布された水溶液に含まれる光触媒性物質を散布して樹木の葉などの表面に光触媒性物質を付着し、この樹木の表面に付着した光触媒性物質が、太陽光線などの照射で光励起し、この光励起に応じて光触媒性物質は樹木の表面に親水性現象を起こすとともに樹木に付着されている光触媒性物質の表面に付着した有機物を酸化分解する。
【0028】例えば、酸化チタンに300nm 〜400nm の紫外線が照射されると、励起電子と正孔が生成され、大気中の酸素および水蒸気はスーパーオキシドアニオン(O2 )7ヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素種が生成される。この活性酸素種が一酸化窒素(NO)が二酸化窒素(NO2 )に酸化し、さらに、硝酸(HNO3 )に間で酸化される。
【0029】このように、樹木の表面に付着した光触媒性物質は樹木の表面を親水性現象を起し、樹木の表面に付着した光励起により生成される硝酸は酸化チタンの光触媒面に保持されるが、この樹木の表面に蓄積された硝酸は水洗洗浄または雨水などで洗い流される。
【0030】また、消毒剤の水溶液に光触媒性物質を含ませることにより、散布した水溶液に含まれる付着した光触媒性物質が樹木の表面に付着させることにより、光触媒性物質が太陽光線などの照射で光励起し、樹木の表面に親水性現象を起し、光触媒性物質は樹木の表面に親水性現象を起こすとともに樹木に付着されている光触媒性物質の表面に付着した有機物を酸化分解に汚染物質の除去ができるとともに樹木の消毒を行うことができる。
【0031】さらに、肥料の水溶液に光触媒性物質を含ませることにより、散布した水溶液に含まれる付着した光触媒性物質が樹木の表面に付着させることにより、光触媒性物質が太陽光線などの照射で光励起し、樹木の表面に親水性現象を起し、光触媒性物質は樹木の表面に親水性現象を起こすとともに樹木に付着されている光触媒性物質の表面に付着した有機物を酸化分解に汚染物質の除去ができるとともに樹木に施肥を行うことができる。
【0032】また、予め、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの誘導体の水溶液またはアルコール性水溶液を散布して乾燥し、そのバインダー被膜が形成された状態で、光触媒性物質の水溶液を散布することにより、樹木の表面への光触媒性物質の被膜の定着性、耐久性を高めることができる。
【0033】さらに、光触媒性物質の水溶液にメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはこれらの誘導体の水溶液またはアルコール性水溶液を混合して同時に散布させて、光触媒性物質の被膜の定着性、耐久性を高めることがもできる。
【0034】
【実施例】次にこの発明の実施例を説明する。
【0035】光触媒性物質として粒径が1μm 以下の大きさの酸化チタンを用い、この酸化チタンをイソプロピルアルコールからなる水溶液に重量比で0.5%混合して酸化チタンを水溶液に含ませる。
【0036】そして、この水溶液を200g/m2 (光触媒性物質の固体比として1.0g/m2 )を散布することにより、樹木の表面が湿浸状態となり、樹木に付着する有機物の汚染物が光触媒性物質により酸化分解されて水洗によりほとんど除去された。
【0037】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、樹木の表面に付着した光触媒性物質が光励起により、樹木の表面に親水性現象が起きるとともに樹木に付着している光触媒性物質は有機物を酸化分解し、分解された物質は降雨または水洗により容易に除去される。
【0038】請求項2記載の発明によれば、酸化チタンまたは酸化亜鉛は、無害で安定して太陽光線による光励起による親水性現象が顕著であるとともに有機物の酸化分解作用が効率よく行われ、汚染物質の除去が効率よく行われる。
【0039】請求項3記載の発明によれば、光触媒性物質、好ましくは酸化チタンまたは酸化亜鉛が樹木の表面に付着することにより光触媒性物質が樹木の汚染物質の除去作用とともに樹木の消毒を行うことができる。
【0040】請求項4記載の発明によれば、樹木の表面に付着された光触媒性物質が光励起に応じて樹木の表面に親水性現象を起こすとともに樹木に付着した有機物を分解し、この分解された物質は降雨または水洗により容易に除去されて樹木の表面に付着した汚染物を除去することができる。
【0041】請求項5記載の発明によれば、酸化チタンまたは酸化亜鉛は、無害で安定して光励起による親水性現象が顕著に行われ、有機物の酸化分解作用が効率よく行われ、汚染物質の除去が効率よく行われる。
【0042】請求項6記載の発明によれば、光触媒性物質の水溶液を散布することにより、樹木の汚染物質の除去作業と同時に樹木の消毒を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】597092381
【氏名又は名称】株式会社キョーエー
【出願日】 平成11年4月2日(1999.4.2)
【代理人】 【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄 (外2名)
【公開番号】 特開2000−287544(P2000−287544A)
【公開日】 平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願番号】 特願平11−95852