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【発明の名称】 きのこ培養基の穴開け装置
【発明者】 【氏名】山本 秀樹

【氏名】森岡 経盛

【氏名】平森 親男

【要約】 【課題】一回の動作で穴開けを完了させると共に崩れ難くい穴を開けることができ、さらに、菌まわりの日数をも短縮することができる低価格のきのこ培養基の穴開け装置を提供する。

【解決手段】装置に設けられているきのこ培養基の穴開け棒において、中央に配設されているセンター穴開け棒1の先端形状を多角錘先端2とし、その多角錘先端2の錘面を周囲に複数配設されている周辺穴開け棒4の間隙に向ける。また、中央穴開け棒1を周辺穴開け棒4より太くする。これにより、中央穴開け棒および周辺穴開け棒を抜いた後も穴にきのこ培養基圧がかかることがなく中央また周囲の穴の崩れを防止することができると共に、菌まわり日数をも短縮することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】機体下方に複数の培養瓶を収納するコンテナの載置台が設けられ、この載置台にセットされた培養瓶に向け相対的に離接する穴開け棒が機体上方から垂下し、培養瓶内のきのこ培養基に穴を開けるきのこ培養基の穴開け装置において、きのこ培養基中央に穴を開ける中央穴開け棒と、その周囲に穴を開ける複数の周辺穴開け棒を配設し、中央穴開け棒の先端部を多角錘形状とし且つその錘面を周辺穴開け棒の間隙に向けていることを特徴とするきのこ培養基の穴開け装置【請求項2】前記中央穴開け棒を、周辺穴開け棒より太くしたことを特徴とする請求項1のきのこ培養基の穴開け装置【請求項3】前記中央穴開け棒の周囲に配設する周辺穴開け棒を4本とし、総数5本の穴開け棒を備えることを特徴とする請求項1のきのこ培養基の穴開け装置【請求項4】中央穴開け棒を、周辺穴開け棒より短く又は長くしたしたことを特徴とする請求項1のきのこ培養基の穴開け装置
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、きのこ栽培に使用する培養瓶のきのこ培養基に種菌を入れるための接種孔用の穴を開けるきのこ培養基の穴開け装置に関するものである。
【0002】
【従来技術と問題点】近年、きのこ栽培は機械化が進んでおり、培養瓶に詰めたきのこ培養基に種菌を入れる接種孔の穴を開ける作業も機械装置で行われている。その装置は、機体の下方に複数の培養瓶を収納するコンテナの載置台が設けられており、この台にセットした培養瓶に向け相対的に離接して設けられている穴開け棒が機体上方から垂下し、その培養瓶内のきのこ培養基に接種孔の穴を開けるものである。
【0003】この穴は、植え付けられた菌糸の活性化を促進するため、複数開けることが行われているが、特に近年使用されているきのこの収量や品質の向上を目的にコーンコブミールなどの植物性培基材料は、きのこ培養基内における菌まわりが遅く、培養日数が長くなることが問題となっている。このため、菌まわりの日数の短縮には、複数の穴を設けることが不可欠となっているものである。
【0004】従来の装置は、きのこ培養基のほぼ中央に穴を開ける中央の穴開け棒と、その周囲に複数配設された周辺の穴開け棒からなり、一回的にすべての穴をあける場合には穴が崩れることが多いため、先ず中央の穴開け棒がきのこ培養基の中央に穴を開け、次にその周囲を取り囲む穴開け棒が中央の穴の周囲に更に穴を開けるという二段階の穴開け動作をし、あるいはその反対に周囲の穴開け棒が先に穴を開け、次に中央の穴開け棒がセンターに穴を開けるのが普通である。
【0005】しかし、二段階の穴開け機構を有するため、装置が高価となる欠点があり、また、二段階での穴開け動作でも後から穴を開けるとき先に開けた穴を崩してしまうこともあり、また、穴開けが終了して培養瓶を次の工程に運搬するときに中央また周囲の穴が崩れてしまう欠点があった。周囲の穴の崩落を防止するため周囲の穴開け棒を回転させながら穿孔することも行われていたが、装置が高価となるだけでなく、時間がかかるという欠点があった。
【0006】
【目的】本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、一回の動作で穴開けを完了させると共に崩れにくい穴を開けることができ、さらに、菌まわりの日数をも短縮することができる低価格のきのこ培養基の穴開け装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするところは、機体下方に複数の培養瓶を収納するコンテナの載置台が設けられ、この台にセットされた培養瓶に向け相対的に離接する穴開け棒が機体上方から垂下し、培養瓶内のきのこ培養基に穴を開けるきのこ培養基の穴開け装置において、きのこ培養基中央に穴を開ける中央穴開け棒と、その周囲に穴を開ける複数の周辺穴開け棒を配設し、中央穴開け棒の先端部を多角錘形状とし且つその錘面を周辺穴開け棒の間隙に向けていることを特徴とするきのこ培養基の穴開け装置である。
【0008】本発明のきのこ培養基の穴開け装置を説明すると、コンテナの載置台上に培養瓶を収納したコンテナが手動あるいは自動的に移送されると、装置に備えられている中央穴開け棒と取巻き穴開け棒が同時に上方から下りて培養瓶内のきのこ培養基に穴を開け、穴を開け終わると上方に戻る動作をする装置である。
【0009】そして、装置には、きのこ培養基中央に穴を開ける中央穴開け棒と、その周囲に穴を開ける複数の周辺穴開け棒が配設されている。周辺穴開け棒は、中央穴開け棒を中心とする円周上に通常は均等な間隔で設けられる。中央穴開け棒の先端部は、3角錐、4角錐、5角錐などの多角錘形状とし且つその錘面が周辺穴開け棒の間隙に向いていることを特徴とする。錘面とは、多角錐の扁平な面を意味し、その面数すなわち何角錐とするかは、周囲の穴開け棒の数による。たとえば、周辺穴開け棒が3本の場合には、3角錐とする。穴開けに支障なければ、先端部の頂部の形状を鋭利な角とすることなく球状等の形状としてもよい。
【0010】多角錘の平坦な面である錘面は、周囲に配設される複数の周辺穴開け棒の間に向けられる。望ましくは中央穴開け棒を周囲に配設する周辺穴開け棒より太くするのがよく、その太さは特に限定されるものではなく、菌糸の成長に都合のよい直径を選定すればよい。
【0011】また、中央穴開け棒を、周辺穴開け棒より短く又は長くしたものであってもよい。周囲に配設する周辺穴開け棒の本数は、特に限定するものではなく適宜好適な本数とすればよいが通常3乃至6本備える。望ましくは、中央に中央穴開け棒を1本備え、その周囲に周辺穴開け棒を4本備える。
【0012】中央穴開け棒および周辺穴開け棒は通常瓶底に達する長さにするのが望ましいが、種菌の種類や量により適宜な長さとすればよい。センター穴開け棒を周辺穴開け棒より短く或いは長くしてもよい。
【0013】
【作用】本発明のきのこ培養基の穴開け装置は以上のように構成されているので、載置台上にコンテナに収納された培養瓶が移送されると、培養瓶内のきのこ培養基に向かい機体上方から穴開け棒が垂下して中央穴開け棒および周辺穴開け棒が培養瓶内のきのこ培養基に穴を開ける。
【0014】その際周囲に配設された周辺穴開け棒は、きのこ培養基を周囲に挿し込まれてきのこ培養基を押し広げて培養瓶の底部に向かい入って行き、また、中央に配設された中央穴開け棒は、同様にして底部に赴くが、角錐状の先端の錐面がきのこ培養基を外方に強く押し広げて培養瓶の底部に向かい入って行く。
【0015】そして、中央穴開け棒先端の角錐の錘面が押し広げる方向は、周辺穴開け棒の間の方向であるため、その圧力は周辺穴開け棒により形成される周辺の穴には直接加わらず、その穴の間に逃がされる。
【0016】中央穴開け棒を周辺穴開け棒より太くしている場合、センター穴および周辺穴の種菌の菌糸成長時において、きのこ培養基内に発生する二酸化炭素ガスをセンター穴からより多く排出することができる。
【0017】
【実施例】本発明のきのこ培養基の穴開け装置の一実施例を以下図面に従って説明すると、図1は、穴開け棒を培養瓶の底まで挿入した状態を示す拡大図であり、1は培養瓶10内のきのこ培養基11のほぼ中央に穴を開ける中央穴開け棒、2は中央穴開け棒1の多角錘先端、4はセンター穴開け棒1の周囲に配設されている周辺穴開け棒である。また、中央穴開け棒1・周辺穴開け棒4・コイルバネ9等はその上部を保持部5(図6参照)で支持されている。
【0018】6は培養瓶10の瓶口12内に入ってきのこ培養基11の表面の菌床を整地する押圧部7を有する菌床押え部材、8は穴開け棒が通過する貫通孔、9は菌床押え部材6等を下方に弾圧するコイルバネである。また、17は培養瓶10を収納したコンテナ18を載置する載置台、19は水平板である。
【0019】図2は、中央穴開け棒先端の多角錘先端を示す斜視図であり、3は多角錘先端2の錘面であり、この錘面3が中央穴開け棒1の周囲に配設されている周辺穴開け棒4の間隙を向いている。図3は、穴開け棒部を示す側面図であり、(a)は、先端多角錘の稜線を正面にした側面図で、(b)は、先端多角錘の錘面を正面とする側面図である。
【0020】図4は、穴開け棒の配置状態を示す穴開け棒を下方から見た図であり、センター穴開け棒1の多角錘先端2の錘面3が中央穴開け棒1の周囲に配設されている取巻き穴開け棒4の間隙を向いている。図5は、穴の開けられたきのこ培養基を示す培養瓶の上面図であり、13はセンター穴、14は取巻き穴である。図6は、きのこ培養基の穴開け装置の一例を示す正面図である。
【0021】表1は、接種孔と培地(きのこ培養基)内二酸化炭素濃度の変化を示し、表2は、接種孔と培地(きのこ培養基)内温度の変化を示し、表3は、接種孔の違いによる菌まわり日数と収穫・品質の比較を示すものであり、本試験では1本小穴・1本大穴・5本穴の接種孔を設けた培地(きのこ培養基)を使用した。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

この結果から、培地(きのこ培養基)内二酸化炭素濃度は表1の通り、接種後20日まで5本穴区が1本小穴区・1本大穴区より高かったが、接種後22日以降1本小穴区・1本大穴区が5本穴区より高くなった。菌糸培養期において、培地(きのこ培養基)内二酸化炭素濃度が最大に達するまでの日数は5本穴区が17〜20日と短く、1本小穴区・1本大穴区では25日と5本穴区より5〜8日長かった。この時の最大値は5本穴区が15.6%と低く、1本大穴区の16.3%・1本小穴区の17.4%より低かった。子実体成長期では1本小穴区が最も高く、次いで5本穴区、1本大穴区は最も低い値であった。
【0025】ビン表面温度が最高に達するまでの日数は表2の通り、5本穴区では接種後22日で最も短く、1本小穴区・1本大穴区では接種後22〜26日となだらかに推移した。そのときの最高温度は5本穴区で18.3℃と最も高く、1本小穴区・1本大穴区では17.8℃〜17.9℃であった。また、コンテナ中央部のビン口付近の温度ではビン内温度が上昇するに従い高くなる傾向が認められた。
【0026】菌まわり日数、収穫量と品質については表3の通り、菌まわり日数で5本穴区が24日と最も短く、1本小穴区が28日と最も長かった。1本穴区の小穴と大穴とでは大穴が1日短かった程度で、大きな差が認められなかった。収量では5本穴区が1本小穴区より7%増収となった。また、水きのこの発生は5本穴区が最も小さかった。
【0027】以上の結果から、5本穴区の接種孔は培養期の培地内温度が高いにも関わらず培地内二酸化炭素濃度の最高値が低いことから、培地内のガス交換効率が高いものと考えられる。 5本穴の接種孔は、菌まわり日数が1本穴より3〜4日短縮し収量性が向上することから、コーンコブを使用した広口ビン栽培における接種孔として有効と考えられる。
【0028】
【効果】本発明のきのこ培養基の穴開け装置は以上のように構成されているので、穴開け時に中央の穴を取り巻く周囲の穴に中央穴開け棒によるきのこ培養基の圧力がかからないかあるいは可及的に低減されるため、穴開け時に中央穴開け棒により、周辺の穴が崩されることが無く、穴開けが一回の動作で完了することができる。また、中央穴開け棒の構成を変えるだけであり、且つ一回的処理のため、機械構成を簡単にすることができ、安価に装置を提供できる。
【0029】また、コーンコブミール等の植物性培基材料の使用に際しても、きのこ培養基内に発生する二酸化炭素ガスを効率よく排出することができるため、菌まわりの日数を短縮することができると共に装置の価格をも購入し易い低価格とすることができ、栽培者においてはコーンコブミール等の利点を十分活用することができる。
【出願人】 【識別番号】390027454
【氏名又は名称】協全商事株式会社
【識別番号】391001619
【氏名又は名称】長野県
【出願日】 平成11年4月6日(1999.4.6)
【代理人】 【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
【公開番号】 特開2000−287538(P2000−287538A)
【公開日】 平成12年10月17日(2000.10.17)
【出願番号】 特願平11−99288