| 【発明の名称】 |
樹木育成シート及び該シートを利用した樹木育成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】柏木 秀博
|
| 【要約】 |
【課題】環境汚染の防止と共に、地面及び地中温度の安定化をはかり、樹木の育成、特に樹木の根元の育成にとって良好な環境を提供する。
【解決手段】樹木の根元地面周囲に敷設し、主として樹木の根元を発育させるための樹木育成シート1であって、樹木の根元地面周囲を覆う拡がりをもつ合成樹脂からなるシート1の略中央部に、樹木の直径に比し稍大きな面積の開口部2を設けたことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】樹木根元の地面周囲に敷設し、樹木の根元を成育させ、樹木を育成するための樹木育成シートであって、樹木根元の地面周囲を覆う拡がりをもつ合成樹脂からなるシートの略中央部に、樹木の直径に比し稍大きな面積の開口部を設けたことを特徴とする樹木育成シート。 【請求項2】合成樹脂からなる樹木育成シートが、シート厚さ0.1〜1.0mmで、かつシート中央部の開口部が樹木直径に対応した約1.1〜1.5倍である請求項1記載の樹木育成シート。 【請求項3】合成樹脂からなるシートが、合成樹脂に対し遠赤外線を輻射する遠赤材料を10〜30%の割合で混合し、成形したシートである請求項1または2記載の樹木育成シート。 【請求項4】合成樹脂からなるシートが、廃材又は廃棄物樹脂を再生して成形した再生合成樹脂シートである請求項1,2または3記載の樹木育成シート。 【請求項5】請求項1,2,3又は4記載の樹木育成シートを利用し、該シートを植樹位置に配置、敷設してシート略中央部の開口部内に樹木苗木を植樹し、樹木根元の地面周囲を覆って樹木の根元を成育させ樹木を育成することを特徴とする樹木育成方法。 【請求項6】請求項1,2,3又は4記載の樹木育成シートを利用し、シート略中央部の開口部より外周にわたり切り目を設けて、樹木根元の地面周囲に該切り目を拡げて敷設し、樹木の根元を成育させ樹木を育成することを特徴とする樹木育成方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は樹木、果樹、茶、植林用苗木等(以下、総称して単に樹木という)を効率よく栽培、育成するための樹木育成シート、特に樹木の根元を発育させるに好適な前記シートならびに該シートを利用した上記樹木育成方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より樹木の根元地面周囲に落葉等を集めて樹木の生育を補助することが広く行われている。また、樹木、作物等の生育補助、促進を目的として合成繊維からなる不織布の表面にアルミニウムを蒸着して、光反射率を20%以上とした農業用透水性反射シートを使用することも公知である。(特公昭51−16861号公報参照) 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、樹木の根元外周に集められた落葉等は風により飛散すると共に雨水等を透過して樹木の生育にとって良好な環境である寒暖に対して安定した地中温度を維持することが難しく、また上記農業用透水性反射シートを使用することは、上記シートが合成繊維からなる不織布の表面にアルミニウムを蒸着するという高度な技術と複雑な製造工程を必要とするため、生育コストが高くなるのみならず、透水性であるため、これも寒暖に対して地中温度の安定化を維持する上には難を有し、樹木の根元を発育させるに充分とは云えなかった。 【0004】本発明は上述の如き実状に鑑み、その欠点を解消すべく、特に合成樹脂シート、就中、廃材の再生による再生合成樹脂シートの樹木育成用途への利用を見出すことにより環境汚染防止と共に風、雨、雪などによる樹木への影響を最小限にして地面及び地中温度の安定化をはかり、樹木の育成、特に樹木の根元の発育にとって良好な環境を低コストで提供することを目的とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】即ち、上記目的に適合する本発明の特徴は、先ず、基本的に樹木の根元地面周囲に敷設し、樹木の根元を成育させ、樹木を育成するための樹木育成シートであって、樹木の根元地面周囲を覆う拡がりをもつ合成樹脂からなるシートの略中央部に、樹木の直径に比し稍大きな面積の開口部を設けたことにある。 【0006】請求項2に係る発明は、上記本発明の好ましい使用形態であり、そのシート厚さが0.1〜1.0mmで、かつシート中央部の開口部が樹木直径に対応した約1.1から1.5倍であることを特徴とする。 【0007】また、請求項3に係る発明は樹木の生育、就中、樹木の根元の発育を更に有効ならしめたもので、合成樹脂からなるシートを、合成樹脂に対し遠赤外線を輻射する遠赤材料を10〜30%の割合で混合し成型したシートとなしたことを特徴とする。 【0008】なお、請求項4に係る発明は上記シートを形成する合成樹脂に廃材又は廃棄物樹脂を再生して成形した再生合成樹脂を用い、材料の有効活用をはかったものである。請求項5及び6に係る発明は上記の各樹木育成シートを利用し、樹木根元の発育をはかり、樹木を育成する樹木育成方法であり、1つは該シートを植樹位置に配設して、中央開口部内に樹木苗木を植樹し、樹木の根元地面周囲を覆うことであり、もう1つは該シートの略中央部の開口部より外周にわたり切り目を設け、該切り目を拡げて樹木の根元地面周囲に敷設し、樹木を育成することを特徴とする。 【0009】本発明で使用する前述の再生合成樹脂とは農業用廃材としての塩化ビニール樹脂あるいはPETボトル廃棄物、その他合成樹脂廃棄物を回収し、洗浄後、再生加工して得られるものを意味する。そして、その厚さは通常、0.1〜1.0mm、好ましくは0.5〜0.75mm前後のシート状で使用される。 【0010】 【作用】本発明樹木育成シートを樹木の根元地面周囲に敷設することにより該地面及び地中温度は1年中を通じて安定した温度に保持され、樹木根元の発育ならびに樹木の育成に良好な環境を与える。そして、樹木を通じてシート略中央の開口部から給水されるとき、地面の表面が育成シートに覆われることにより水分の揮発性が少なくなり、保水性を十分に確保し、冬季の寒冷期においても地中温度を良好な12〜15℃位に保持する。また、育成シートに覆われた地面は雑草の光合成ができないので雑草が少なく、雑草による樹木の発育阻害もなく、樹木の生育を良好ならしめると共に、面倒な草刈り作業をもなくする。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、更に本発明の具体的な実施の態様を説明し、好適な実施例を例示する。しかし、勿論、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではないことは云うまでもない。 【0012】図1は本発明樹木育成シートを用いた育成方法の1例であり、図において、1は樹木育成シート、2は該シート1の略中央部に設けられている開口部を示し、該開口部2よりシート1の外周にわたってシート敷設形態によって図の如く必要に応じ切り目3が設けられる。即ち、既に植樹されている樹木の根元地面周囲に敷設しようとするには、上記切り目3を設けて、該切り目3を広げ樹木の根元地面周囲に配置せしめることが必要である。 【0013】樹木育成シート1は合成樹脂材料からなり、厚さが0.1〜1.0mm程度、好ましくは0.5〜0.75mmくらいのシート状であり、その略中央部に育成する樹木の直径に対応した略1.1〜1.5位の大きさの開口部2が設けられている。シート厚さが0.1mmより薄い場合には育成シート1が風の影響により吹き飛ばされ損傷する恐れがあり、重りを必要とする。また、余り厚くても格別、効果上、意味がないので上記0.1〜1.0mm程度が最も有効である。 【0014】育成シート1を形成するための上記合成樹脂は新規な樹脂でもよいが、環境汚染を防止するため農業用廃材としての塩化ビニール樹脂やPETボトル廃棄物などを回収し、洗浄後、加工して得られる再生合成樹脂を用いることが好ましい。なかでも農業用塩化ビニール樹脂フィルムの使用年数は3〜5年であり、比較的長期使用されるが、回収してリサイクルをすることで循環利用が可能となり、より有効となる。また、この塩化ビニール樹脂は材質がよく、外部の損傷を受けることが少ない利点もある。 【0015】なお、上記育成シート1を形成する合成樹脂は上記樹脂のみの使用に限らず、更に遠赤外線を輻射する遠赤材料を混入し形成することにより樹木の生育を著しく良好ならしめることができる。 【0016】遠赤外線を輻射する遠赤材料としてはシリカブラック、バンケツ50、ジルコニア、テンマグミックス、シャモミックスなどが挙げられ、なかでもシリカブラックは最も好適である。特にシリカブラック(黒鉛珪石)の場合は遠赤輻射率93.8%であり、動物、植物に対し成長に有効な3〜8ミクロンの波長を輻射することができる。遠赤材料の合成樹脂の混入割合は一般的に10〜30%程度が好ましく、余り少なすぎては効果に乏しいが、余り多くすると合成樹脂を主成分とする育成シートま弾力性を柔軟性をが低下する欠点があり、かつ遠赤材料の費用も大きくなる。従って、合成樹脂に対し上記10〜30%程度の混入は最も好適である。 【0017】かくして、上記本発明育成シートを使用した樹木育成方法は、蜜柑、リンゴ、水蜜桃、桃、柿、梨、ぶどう等の果樹や、花木、茶、植林用苗木の育成など各種樹木に使用し頗る良好な結果を得ることができる。殊になすび、芋などの野菜については既に実験により好結果が得られている。 【0018】次に本発明の実施例を掲げるが、この実施例に記載されている実施の方法、装置、内容、部材の寸法、材質、形状、その相対配置などは例示であり、これに限られるものではない。 【0019】 【実施例】実施例1育成シートの厚さを0.2mm、0.75mm、1.2mmと変化させ、夫々縦100cmm、横100cm程度の略中央に直径10cm程度の開口部を設け、蜜柑の苗木周囲に敷設した。蜜柑の苗木を植樹して、1年経過後に夫々について樹木の高さ、果実の大きさ、葉の大きさ、葉の密度について観察し、比較したところ、その結果は下記表1に示す通りであった。 【0020】 【表1】
【0021】上記表1より育成シートの厚さが0.2mmの場合は、育成シートの効果は樹木の高さからさ程でないことがわかる。これより育成シートが薄く0.1mm以下になると風の影響(風により育成シートが飛ばされることもあり重りが必要となった)を受け、育成効果は低下するものと思われる。 【0022】実施例2一方、塩化ビニール樹脂に混合する遠赤外線を輻射するシリカブラックの比率を変化させて製造した育成シート(厚さ0.75mm)を使用し、1年間経過後に樹木の高さ、果実の大きさ、葉の大きさ、葉の密度について比較観察した。その結果は下記表2の通りであった。 【0023】 【表2】
【0024】上記表2より遠赤材料(シリカブラック)を含む育成シートを使用した場合は、遠赤外線の効果が、十分に確認できた。しかし、遠赤材料を多くすると、塩化ビニールを主成分とする育成シートの弾力性と柔軟性が低下すると共に、遠赤材料の費用も大きくなるので、全体の10〜30%程度が好適な使用形態であることが知見された。 【0025】以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこのような実施例に何等限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。 【0026】 【発明の効果】本発明は、以上説明したように合成樹脂よりなる樹木育成シートを用い、樹木の根元地面周囲に敷設して樹木の根元を発育させ、しっかりさせて樹木を育成するものであり、樹木の根元地面周囲を覆うシートにより適切な保水性、断熱性が得られて年間を通じて寒暖に対し地面ならびに地中温度を安定ならしめることができると共に、光合成が妨げられるため雑草の生育、繁茂する余地がなく、従って雑草により樹木の発育が妨げられることもなく、また、面倒な草刈り作業を必要としない顕著な効果を有している。 【0027】しかも塩化ビニール廃材等を回収し、洗浄、再生加工して製造するときは材料費が無料なので、製造価格を著しく低減できると共に、樹木育成シートとして塩化ビニール廃材等を焼却しないので、環境汚染防止にも大きく貢献する効果を有する。 【0028】また、合成樹脂からなる育成シートの厚さを0.1〜1.0mmとすることにより、使用に際し自然環境(風、雨、雪)による影響を最小限にして、樹木の根元の発育ならびに樹木の生育にとって良好な環境を提供することができる。更に遠赤外線を輻射する材料を混合して、育成シートを製造した場合、動物、植物に対し成長に有効な3〜8ミクロン波長を輻射するので、樹木の成育にとってより効果的に良好な環境、即ち、保水性、断熱性により寒暖に対して安定した地中温度を保持させることができ、樹木の成長を著しく良好ならしめることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】594202224 【氏名又は名称】柏木 秀博
|
| 【出願日】 |
平成11年8月16日(1999.8.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066496 【弁理士】 【氏名又は名称】宮本 泰一
|
| 【公開番号】 |
特開2000−232827(P2000−232827A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月29日(2000.8.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−229595 |
|