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【発明の名称】 植物育苗・成育用成形培地
【発明者】 【氏名】岩崎 廣司

【氏名】村上 政徳

【氏名】塩井 俊介

【要約】 【課題】軽量で運搬し易く、飛散による汚染の心配がなく、また廃棄が容易で、植物体の支持が安定している、しかも安価な植物成形培地を提供する。

【解決手段】セルロース繊維を主成分とするカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上の組成物からなるスラリーを、メッシュを用いて脱水した後乾燥して得られ、かつ密度が0.02〜0.30g/cmであることを特徴とする植物育苗・成育用成形培地。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 セルロース繊維を主成分とするカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上の組成物からなるスラリーを、メッシュを用いて脱水した後乾燥して得られ、かつ密度が0.02〜0.30g/cmであることを特徴とする植物育苗・成育用成形培地。
【請求項2】 セルロース繊維が、撥水化、耐水化、硬化のいずれかの処理の少なくとも一つを施されたセルロース繊維である請求項1に記載の植物育苗・成育用成形培地。
【請求項3】 該セルロース繊維に、更にカール処理を施した請求項2に記載の植物育苗・成育用成形培地。
【請求項4】 セルロース繊維の原料が、古紙である請求項1に記載の植物育苗・成育用成形培地。
【請求項5】 乾燥後の成形培地の厚みが、該スラリーを非加圧脱水して得た場合の湿潤成形体の厚みの50%以上となるような圧縮条件で処理して得られる請求項1に記載の植物育苗・成育用成形培地。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量で運搬し易く、飛散による汚染の心配がなく、また廃棄が容易で、植物体の支持が安定している、しかも安価な植物成形培地に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、植物育苗・成育用培地に用いられた人工培地は、無機質土壌が一般的であった。この無機質土壌は、植物体の姿勢を安定的に支持し且つ無機栄養の供給源としての作用もあり、更に長年の技術の蓄積から確実な栽培を可能にする培地である。しかし、この無機質土壌は、一般の人達が家庭で手軽に楽しむにはその重さ故に運搬が容易でなく、また取り扱い中に飛散して回りを汚染し、また楽しんだ後の廃棄処理が容易でない、等の問題を有している。そのため、近年、樹皮、おが屑、木質繊維等の木質系素材を用いた軽量の人工培地が開発されるようになって来た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、かかる木質系素材を用いて造られた人工培地で成形されていないものは、軽量であるが故に無機質土壌よりも更に飛散し易く、また支持性が劣るために植物体の姿勢が不安定になり易い欠点を有している。また、かかる問題を解決するものとして特開平5−246465号公報に古紙繊維を造粒して成形した人工培地が記載されているが、この系の場合生産効率が劣るためにコストが高いものとなる欠点を有する。本発明の目的は、セルロース繊維を原料とする、軽量で運搬し易く、飛散による汚染の心配がなく、また廃棄が容易で、植物体の支持が安定している、しかも安価な植物成形培地を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、かかる現状に鑑み、セルロース繊維を原料にして、吸水性、保水性、通気性に優れ植物の生育に適した成形タイプの植物育苗・成育用成形培地を安価に造る方法を鋭意検討した結果、特定のセルロース繊維をスラリー原料として使うことによって、それを成しうることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、セルロース繊維を主成分とするカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上の組成物からなるスラリーを、メッシュを用いて脱水した後乾燥して得られ、かつ密度が0.02〜0.30g/cmであることを特徴とする植物育苗・成育用成形培地である。中でも、該セルロース繊維のカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上であることが好ましい。また、該セルロース繊維が、撥水化、耐水化、硬化のいずれかの処理の少なくとも一つを施されたセルロース繊維であることが好ましい。中でも、該セルロース繊維に、更にカール処理を施したものが好ましい。カール処理の施された繊維が、0.4以上のカールファクターを有するものであることが好ましい。セルロース繊維の原料が古紙であることが好ましい。該スラリーが、層間強度増強材を含有することが好ましい。該層間強度増強材が、セルロース微細繊維であることが好ましい。該湿潤マットの乾燥が、熱風通気乾燥であることが好ましい。該熱風通気乾燥の通気量が、2リッター/cm・分以上であることが好ましい。乾燥後の成形培地の厚みが、該スラリーを非加圧脱水して得た場合の湿潤成形体の厚みの50%以上となるような圧縮条件で処理して得られるものが好ましい。
【0005】本発明の成功の第一の原因は、セルロース系繊維をスラリー原料として使うに当たって、組成物のカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上となるように選択・配合した場合、スラリーを吸引・脱水しても繊維間の密着が抑えられて、得られる成形物が予想以上に低密度で、吸水性、保水性、通気性の優れたものが得られることを見出した点にある。また、第二の原因は、該処理によって繊維間の密着が抑えられて水抜けが改善され、スラリーの吸引・脱水成形法でも十分な厚みのものが効率良く得られることを見出した点にある。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるセルロース繊維としては、例えば、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、RMP、TMP、CTMP等の機械パルプ、液体アンモニア処理パルプ、マーセル化パルプ、撥水化、耐水化、硬化の何れかの処理の少なくとも一つを施したセルロース繊維、コットンパルプ、リンターパルプ、麻や竹や稲藁や椰子殻等の非木質材を機械的に粉砕して得られる繊維、等が挙げられ、中でも得られるマットの通気性等の性能上好ましいものとしてカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上のものが挙げられる。中でも、木材を機械的に粉砕して得られファイバーボードの原料として使われる機械パルプ、及び非木質材を機械的に粉砕して得られたセルロース繊維、及び撥水化、耐水化、硬化のいずれかの処理の少なくとも一つが施されたセルロース繊維は、得られるマットの通気性、吸水性等の性能面で極めて優れており好ましい。中でも、撥水化、耐水化、硬化のいずれかの処理の少なくとも一つが施されそれによってスラリーを吸引・脱水する際の繊維間の密着現象が大幅に抑制されたセルロース繊維は特に好ましい。中でも、撥水化、耐水化、硬化のいずれかの処理の少なくとも一つが施されるセルロース繊維が古紙繊維の場合、在庫過剰気味の原料である古紙の用途拡大につながるので特に好ましい。
【0007】以下、撥水化、耐水化、硬化のいずれかの処理の少なくとも一つが施されたセルロース繊維を例に具体的に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】セルロース繊維の撥水化、耐水化、硬化の処理に使われるものとしては、一般にセルロース繊維加工に使用されている、繊維素反応型試薬、或いは撥水加工薬品、耐水加工薬品、或いは防水加工薬品等を挙げることができる。
【0009】繊維素反応型の薬品としては、米国特許2,971,815号に記載されているような繊維架橋剤等を挙げることができ、より具体的に示すならば、■アルデヒド(ホルムアルデヒド及び、グリオキサール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド等)、■N−ヒドロキシメチル化合物(ホルムアルデヒドと、尿素、環状尿素、トリアジン、アミド、アクリルアミド、カルバメート等との反応生成物、例えばジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素、トリメチロールメラミン、N−メチロールアミド、N−メチロールアクリルアミド、エチレン−bis−(N−メチロールカルバメート等)、■グリオキザールとジメチル尿素の反応生成物、■ジビニル化合物(ジビニルスルホン等)、■ハロゲン化合物(ジクロロアセトン、1,3−ジクロロプロパノール−2、クロロムコン酸、塩化シアヌル、ジクロロ酢酸等)、■エポキシ化合物(エピクロルヒドリン等のハロヒドリン、ブタジエンジエポキシド、ポリグリシジルエーテル等のポリエポキシド等)、■アジリジニル化合物(Tris−(アジリジニル)ホスフィンオキシド、Tris−(アジリジニル)ホスフィンスルフィド、カルボニル−bis−アジリジン等)、■多価カルボン酸(マレイン酸、クエン酸、トリカルバリル酸、メリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸等)、■酸無水物(無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸等)、▲10▼多価イソシアネート(ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート等)、▲11▼第四級アンモニウム塩(Bis−クロロメチルエーテルの第四級アンモニウム誘導体等)、等が挙げられる。
【0010】繊維の撥水加工、耐水加工、或いは防水加工に使われる薬品としては、例えば化学結合タイプ、接着タイプを挙げることができ、化学結合タイプとしては、例えば酸クロライド型撥水剤、イソシアネート型撥水剤、ケテンダイマー型撥水剤、ピリジン縮合型撥水剤、エチレン尿素型撥水剤、メチロール化合物型撥水剤、エチレンオキサイド型撥水剤、珪素化合物型撥水剤、クロム錯化合物型撥水剤、チタン含有化合物型撥水剤、ジルコニウム含有化合物型撥水剤等を挙げることができる。接着タイプとしては、例えばフッ素化合物型撥水剤、ケイ素化合物型撥水剤、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、天然ゴム、合成ゴム、炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド系樹脂、油脂(植物油、動物油、植物脂、動物脂)、高級脂肪族化合物(飽和或いは不飽和の酸、アルコール、エステル、アミン、アミド、塩類)、ワックス(植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス、変性ワックス)等を挙げることができる。
【0011】上記撥水化剤、耐水化剤、硬化剤(以下、これらの処理剤を纏めて変性剤と称する)は、単独で或いは適宜2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、これらは、そのまま或いは溶融して、或いは媒体に溶解、混和、乳化、分散した形で用いることができる。また、薬品によっては更に変性して使用することができる。変性剤の配合量は特に限定されるものではないが、通常セルロース繊維100部(固形分)に対して0.2〜50部(固形分)の範囲で添加される。上記変性剤の中でも、効果の点で繊維架橋剤が特に好ましい。
【0012】変性処理に用いられるセルロース繊維としては、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、RMP、TMP、CTMP等の機械パルプ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古紙パルプ等が挙げられる。古紙パルプとしては、新聞、書籍、雑誌、電話帳、カタログ類、上質紙、包装用箱、段ボール箱、パルプモールド、紙製緩衝材、或いは抄紙、印刷、製本、製箱、段ボール製造などの工場・事業場から排出される裁落、損紙等を乾式或いは湿式解繊したものが挙げられる。
【0013】解繊に用いられる機械としては、例えば、ポケットグラインダー、チェーングラインダー、リンググラインダー等のグラインダー類、シングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー、コニカル型リファイナー等のリファイナー類、ビーター等のその他の叩解機類、ブレンダー、デフレーカー等の攪拌機類、デファイブレーター、デファイブライザー等の木材チップ解繊機、ハンマーミル、ピンミル、その他フラッファー等のフラッシュ乾燥パルプ製造設備、等が挙げられる。中でも、撥水化、耐水化、硬化の処理或いは排水処理が容易な点で、全く水を使わない或いはセルロース繊維に対して固形分で等量以下の水しか使わない乾式・半乾式解繊が好ましい。乾式・半乾式解繊に用いられる解繊機の中でも、ハンマーミル、ピンミル、ディスクリファイナーが好ましい。具体的には、住倉工業・西日本技術開発製のファイバライザ、ダルトン製のインパクトミル、奈良機械製作所の自由粉砕機、ハンマーミル、ケージミル、増幸産業製のMKハンマーミル等が挙げられる。
【0014】撥水化、耐水化、硬化の処理は、乾式或いは湿式状態のバージンパルプ或いは古紙パルプの繊維或いはシート状物を上記変性剤と接触させ反応させる或いは表面に付着せしめる、更に必要によっては乾燥処理或いは反応促進処理を施すことによって行われる。繊維或いはシート状物を変性剤と接触させる方法としては、例えば含浸、塗工、噴霧、混合等を用いることができる。その際、撥水化、耐水化、硬化の処理工程の中で、セルロース繊維が固形分濃度90%以上の乾燥状態に少なくとも一度はなるようにして得られたものは、繊維と変性剤の反応状態或いは付着状態が良好であり、処理の効果が特に顕著となるので好ましい。撥水化、耐水化、硬化の処理の施された解繊繊維の中でも、本発明の効果の点でカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上のものが特に好ましい。
【0015】また、撥水化、耐水化、硬化の処理の施された解繊繊維の中でも、該繊維にカール処理を施したもの(例えば、特公平5−71702号、特開平3−206174号、特開平3−206175号、特開平3−206176号に記載のパルプ、具体的には、米国ウェアハウザー社製、商品名:HBA−FF,NHB405,NHB416等)は、取り分け通気性に優れており特に好ましい。該カール処理の方法としては、セルロース繊維に上記変性剤を添加しながら或いは添加した後に、繊維を変形させる機械的攪拌を施し、次いでフラッフ化と加熱処理を行い、その変形を固定する方法を挙げることができる。カール処理に使われる機械としては、繊維に形状的な変形を加えることができる機械であれば如何なるものでも使用可能であり、例えば、ニーダー、リファイナー、フラッファー等の機械を挙げることが出来る。
【0016】カール状繊維の中でも、カールファクターが0.4以上のものは、通気性が特に優れているので好ましい。因みに、カールファクターとは、乾燥状態での繊維の変形の程度を示す指標で、カール状古紙繊維の実際の長さ(LA)と繊維の最大投影長さ(繊維を囲む長方形の最長辺の長さ、LB)を顕微鏡を用いて測定し、〔(LA/LB)−1〕で算出される値で、直線的な元の繊維の長さからどれだけ曲線化しているかを数値化したものである。
【0017】セルロース繊維は単独使用或いは複数種併用され、通常スラリー組成物に対して乾燥重量で30〜100%の範囲で配合される。
【0018】スラリー組成物としては、カナダ標準フリーネスが550ml以上で、所期の性能の成形培地が得られるならば上記のセルロース繊維単独でもよいが、性能向上や機能付与が必要な場合には他の素材を配合することができる。その際、組成物全体のカナダ標準フリーネスが550ml以上になるように選択される。因みに、カナダ標準フリーネスはJIS−P−8121に規定されており、通常はパルプの濾水性を示す値である。本発明では同測定法に準じて組成物の濾水性を判定し、その値もカナダ標準フリーネスと称する。
【0019】スラリー組成物中への層間強度増強材の配合は、成形培地の層間強度を改善し取り扱い中に破損する危険性の少ない成形培地が得られるのでより好ましい。層間強度増強材としては、セルロース微細繊維、熱融着性合成繊維(合成パルプ等)、製紙業界公知の紙力増強剤が挙げられる。セルロース微細繊維としては、針葉樹、広葉樹をクラフトパルプ化、サルファイトパルプ化、アルカリパルプ化等して得られる未晒又は晒化学パルプ、或いはGP、RMP、TMP、CTMP等の機械パルプ、或いはコットンパルプ、リンターパルプ、古紙パルプ等の天然パルプ繊維を、更に媒体攪拌ミル、振動ミル、高圧均質化装置、コロイドミル、叩解機等で湿式機械的処理して得られる保水度150%以上のものが挙げられる。熱融着性合成繊維としては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン鞘芯繊維、ポリスチレン繊維、ポリ乳酸繊維、芳香族ポリエステル繊維、脂肪族ポリエステル繊維、アセチルセルロース系繊維等が挙げられる。紙力増強剤としては、例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジルエーテル樹脂、ポリエチレンイミン樹脂等の樹脂、澱粉、加工澱粉、植物ガム、PVA、CMC等の水溶性バインダー、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合物、スチレン−ブタジエン共重合物等のエマルジョンなどが挙げられる。
【0020】層間強度増強材の中でも、セルロース微細繊維は環境に優しい素材である上に、層間強度向上に対する効果が大きく特に好ましい。層間強度増強材の組成物への配合量は、特に限定されないが、通常組成物に対して乾燥重量で1〜40%の範囲で配合される。
【0021】スラリー組成物に配合される他の素材としては、上記層間強度増強材の他に、鋸屑、籾殼、大豆粕、ビール粕、ピートモス等の天然有機高分子粗粉、無機繊維、耐水化剤、サイズ剤、PH調整剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、保湿剤、肥料等が挙げられる。
【0022】本発明に用いられるスラリーはフリーネスが550ml以上になるように上記原料が配合されるが、中でもフリーネスが600ml以上、取り分け650ml以上の組成物は吸水性、通気性が極めて優れている上に、生産性に優れ特に好ましい。スラリーは、通常攪拌機を有する装置でバッチ式或いは連続的に調製される。スラリー形成に用いられる分散媒体としては通常水が使用される。スラリーの濃度は、通常乾燥固形分量が0.05〜10重量%の範囲に調製されるが、分散状態の点で0.05〜5重量%の範囲のものが好ましい。
【0023】成形培地の形状、大きさは特に限定されるものではないが、通常植木鉢の形状の種々の大きさのものが用いられる。かかる形状の本発明の成形培地は、通常パルプモールド製造機で造ることが、ボード製造機等で得た厚手のマットからその形状物を切り出す等の方法でも得ることができる。本発明の成形培地で植物の成育の良い通気性に優れたものにするためには出来るだけ低密度にする必要があるが、本発明の成形培地の密度はスラリー組成物の原料や配合以外に、製造段階に培地にかかる圧力に影響される。出来るだけ低密度にするためには、脱水をプレス圧に頼るのではなく、密度上昇の影響が出にくい吸引脱水を出来るだけ強力に行う、或いは加圧気味に強制通気させることが出来る装置を取りつけて脱水を強力に行う等の工夫をして、脱水工程にかかるプレス圧を出来るだけ低く抑えるべきである。脱水後の湿潤成形培地のメッシュと非接触側の面をスライス成いは均して平滑な面にする工程を経て得られる成形培地は、極めて弱いプレス圧で平滑性が出るので低密度になりやすく特に好ましい。その際のスライス或いは均しには、ウォータージェット、ウォーターカーテン等の水流が有効である。乾燥工程には、熱風乾燥、赤外線乾燥、マイクロウェーブ乾燥等の当業界公知の方法を取ることができるが、中でも、加熱エアー(ガス)を湿潤状態の成形培地に注入する、或いは湿潤培地の反対側から加熱エアーを入れながら吸引する、等の方法で、繊維間空隙のエアーの流れを良くした熱風通気乾燥は、乾燥効率が良く特に好ましい。熱風通気乾燥では通常80〜300℃の温度範囲の熱風が使われる。熱風通気乾燥の通気量としては、乾燥初期で2リッター/cm・分以上が乾燥効率の点で好ましく、5リッター/cm・分以上が特に好ましい。この熱風通気乾燥は厚さ10mm以上、取り分け20mm以上の成形培地を乾燥する場合に特に有効である。培地の乾燥速度を速めるには、更に培地の表面に意識的に凹凸をつけて表面積を広げる、若しくは培地に貫通或いは非貫通の孔を開けてエアーが繊維間空隙に入り易くする工夫も有効である。培地に凹凸或いは貫通或いは非貫通孔を設ける方法としては、スラリー濾過に用いられるメッシュに凹凸を設ける方法が有効である。本発明では、脱水及び乾燥工程において成形体にかかるプレス圧を抑え、乾燥後の成形培地の厚みが、該スラリーを非加圧脱水して得た場合の湿潤成形体の厚みの50%以上となるような圧縮条件で処理して得られるものが通気性等の品質面で好ましい。中でも、65%以上となるような圧縮条件で処理して得られる成形培地が特に好ましい。
【0024】本発明の成形培地には、種子や苗を挿入する、通気や通水を良くする、作物の収穫を容易にする等の目的で、必要に応じてマットにスリット、十字スリット、溝、孔等を設けることができる。かかるスリット、十字スリット、溝、孔等を設ける方法としては、上記の如く培地を形成した後に種々の加工機を使って行うことができるが、スラリー濾過に用いられるメッシュに凹凸を設ける、或いはウォータージェットで加工する等のように培地製造と同時にそれを行うことも出来る。
【0025】本発明の成形培地には、製造後に表面塗布或いは挿入の方法で、紙力増強剤、耐水化剤、顔料、染料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、PH調整剤、増粘剤、防腐剤、防黴剤、抗菌剤、保湿剤、高吸水性樹脂、肥料、菌類等を必要に応じて含有させることができる。表面塗布には、含浸、刷毛塗り、スプレー等の手段が使える。塗布物が皮膜性を有する場合、部分的に塗布することによってその皮膜が簡易の植木鉢としての機能を果たすように設計することもできる。該鉢としては耐水性を有する方が好ましい。植え替えの点を考慮すると生分解性等の分解性のものが好ましい。また、本発明の成形培地には表面の必要部分にフィルムを貼ることによって、そのフィルムが簡易の植木鉢としての機能を果たすように設計することもできる。かかるフィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ナイロン、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニルアルコール共重合体(エバール)、ポリカーボネート、ポリエステル(PET)、脂肪族ポリエステル、アセテート、セロハン等が挙げられる。中でも、生分解性樹脂或いは特定の条件下で水に溶解する水溶性樹脂からなるフィルムを用いたものは、廃棄処理、植え替えが容易であり特に好ましい。具体的には、ビオノーレ(昭和高分子)、レーシア(三井化学)、ルナーレZT(日本触媒)、ビニロンフィルム(日本合成化学)、ハイセロン(日本合成化学)、ボブロン(日本合成化学)、ボブロン−SE(日本合成化学)、セロハン等が挙げられる。また、フィルムとしては有機微粉や顔料や染料や小孔を有するものも使うことが出来る。本発明においては、通常3〜500μmの範囲の厚さのフィルムが使われる。
【0026】以下、本発明を図面の基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1〜図7は、本発明の実施態様を断面図で示したものである。成形容器10は、図1に示すように上部開放型の鉢状の二重壁容器で、内壁に多数の脱水用小孔11を有すると共に、内壁の底内周部に段部を設けた凸形状の底12を有し、内外二重の壁で吸引室13が形成され、外壁底部には吸引口14が取付けられている。図1は、上部のガイドより濾水性の良好なパルプスラリー16を注入しながら、下部の吸引口14から吸引脱水することにより容器の開放面上にパルプが盛り上がるように堆積させて容器10へのパルプ充填が終了した状態を示している。17は吸引によって滲み出した水滴を示し、18は湿潤状態のパルプ堆積物を示す。
【0027】図2は、図1の成形容器の開放面上に盛り上げ堆積させた不要部分をウォータージェット19で切除している状態を示している。切断は、ウォータージェット19を移動させながら行う。図3は、不要部分の切除後に、低圧のウォーターノズル20を使って中央部に種挿入用の孔21を開けている状態を示している。
【0028】図4は、底面が平らで該底面に多数の小孔23を有し熱風注入ができるプレス機22で軽く圧縮して表面を平滑に整えた後に、プレス機22の熱風口24から熱風を送り込んで乾燥している状態を示している。その際、吸引口14から吸引を行うとより効率的に乾燥が進む。図5は、乾燥後にプレス機の熱風口24を送風から吸引に切り替え、成形容器の吸引口14を吸引から空気押し込みに切り替えることによって、図4の処理で乾燥させた成形物25を成形容器から取り出し、続いて、プレス機の吸引をしながら熱で可塑化させたフィルム26を該成形物に近づけている状態を示している。
【0029】図6はプレス機22の吸引でフィルム26が成形物25の表面に吸い寄せられて密着した状態を示しており、図7はプレス機22から外した被覆成形物のフィルムの余分な箇所27を切除し、底中央部28に穴開け加工して得られた鉢の機能も兼ね備えた成形培地29である。
【0030】
【実施例】以下に実施例を挙げてより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例において「部」及び「%」とあるのは特に断らない限り「固形分重量部」及び「重量%」を示す。
【0031】<実施例1>非ホルマリン系架橋剤(商品名:スミテックスNF−500K、住友化学工業社製)とその架橋助剤(商品名:スミテックスACCELERATER MX、住友化学工業社製)をそれぞれ固形分換算で3部、2部含有する水溶液80部を調製した。次に、新聞古紙を西日本技術開発製のファイバライザの粗粉砕機部を使って約1cm角の大きさに粗粉砕した後、セメント用ミキサーに100部入れ、攪拌しながら上記架橋剤溶液全量を噴霧して均一に古紙を湿潤させた。続いて、この湿潤古紙を同ファイバライザの微粉砕機部で繊維状に解繊した後に、開放容器に入れて、150℃の送風乾燥器中で60分間加熱して反応を完結させて架橋古紙繊維を得た。この架橋古紙繊維のカナダ標準フリーネス(以下、フリーネスと略す)を測定したところ721mlであった。また、固形分濃度1%の広葉樹晒クラフトパルプの水スラリーを、平均粒径2mmφのガラスビーズを80%充填した1.5リットル容のダイノミル(型式:KDL−PILOT型、シンマル・エンタープライゼス社製)装置に340ml/分で導入、通過させることにより数平均繊維長0.29mm、保水度260%の微細繊維を得た。以上のようにして得られた架橋古紙繊維95部(乾燥重量)と微細繊維5部(乾燥重量)、及び水を加えて固形分濃度1%となるように原料スラリーを調整した。尚、この二種類の混合繊維のフリーネスは703mlであった。次に、この原料スラリーをパルプモールド成形機のタンクに投入した後、鉢の形状の雌型金型を該スラリー中に浸漬して真空吸引し、図1のようにパルプが型からやや飛び出すレベルまで金型内に堆積させた後、金型をスラリーから引き上げ、次に180度反転させた。続いて、ウオーターカーテンを使ってパルプ堆積物の金型からはみ出している部分を図2のように切除し、更にウォーターノズルを使って図3のように中央部に苗挿入用の孔を開けて、鉢形状の湿潤成型物を得た。その後吸引を続けて成形物の水分量を低減させながら、同時にその上から小孔を有する平板を押し当て軽く圧縮し、更にその状態を維持しながら該小孔から加圧気味に150℃の熱風を注入して乾燥し、植物育苗・育成用成形培地を得た。密度は0.12g/cmであった。
【0032】
【発明の効果】上記のように本発明は、セルロース系繊維を主成分とするカナダ標準フリーネス(CSF)が550ml以上の組成物からなるスラリーを、メッシュを用いて脱水した後乾燥して得られ、かつ密度が0.02〜0.30g/cmであるから、優れた植物育苗・育成用成形培地となるという功を奏する。
【出願人】 【識別番号】591033261
【氏名又は名称】王子製袋株式会社
【出願日】 平成11年2月12日(1999.2.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−232821(P2000−232821A)
【公開日】 平成12年8月29日(2000.8.29)
【出願番号】 特願平11−72424