| 【発明の名称】 |
シャンピニオンの栽培方法およびシャンピニオンの加工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】森山 雄三
|
| 【要約】 |
【課題】栽培が困難であるシャンピニオンの有効な栽培方法と、シャンピニオンそのものの有する味覚を保持した状態で加工することが可能な加工方法を提供することを課題とするものである。
【解決手段】ワラ、ススキ、熊笹を主成分とする培地に肥料としてバッドガーノを添加してなる堆肥上にシャンピニオンの種菌を接種する段階を含むことを特徴とするシャンピニオンの栽培方法を解決手段とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ワラ、ススキ、熊笹を主成分とする培地に肥料としてバッドガーノを添加してなる堆肥上にシャンピニオンの種菌を接種する段階を含むことを特徴とするシャンピニオンの栽培方法。 【請求項2】 前記堆肥に活性化された水を添加することを特徴とする請求項1に記載のシャンピニオンの栽培方法。 【請求項3】 前記堆肥温度が70℃以上に上昇した際に切り返しを行う段階を含む請求項1または請求項2に記載のシャンピニオンの栽培方法。 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれか一つに記載の方法により栽培されたシャンピニオン。 【請求項5】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、およびd) 更に酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、を含むことを特徴とするシャンピニオンの子実体の加工方法。 【請求項6】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、およびd) 更に酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、により得られたシャンピニオンの子実体の加工品。 【請求項7】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、およびd’) 酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、アガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体抽出エキスに漬け込む工程、を含むことを特徴とするシャンピニオンの子実体の加工方法。 【請求項8】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、およびd’) 酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、アガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体抽出エキスに漬け込む工程、により得られたシャンピニオンの子実体の加工品。 【請求項9】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、およびe) 酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、キムチ原料と混ぜ合わせて漬け込む工程、を含むことを特徴とするシャンピニオンの子実体のキムチ漬けの製造方法。 【請求項10】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、e) 酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、キムチ原料と混ぜ合わせて漬け込む工程、により製造されたシャンピニオンの子実体のキムチ漬。 【請求項11】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、d’) 酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、アガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体抽出エキスに漬け込む工程、およびe) 得られたシャンピニオンの子実体をキムチ原料と混ぜ合わせて漬け込む工程、を含むことを特徴とするシャンピニオンの子実体のキムチ漬けの製造方法。 【請求項12】 次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、d’) 酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、アガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体抽出エキスに漬け込む工程、およびe) 得られたシャンピニオンの子実体をキムチ原料と混ぜ合わせて漬け込む工程、により製造されたシャンピニオンの子実体のキムチ漬。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、シャンピニオンの栽培方法、この栽培方法により得られたシャンピニオンおよびシャンピニオンの子実体の加工方法およびこの加工方法により得られたシャンピニオンの子実体の加工品、特にキムチ漬けに関する。 【0002】 【従来の技術】シャンピニオンは従来よりステーキソース等に加工され使用されている。これに加え近年では、シャンピニオンから得られるエキスが消臭効果を有していることが知られ、現在飲料、健康食品、栄養剤等の様々な商品に含まれている。また、腎不全の抑制効果があるとも言われシャンピニオンの有用性は益々高まってきており、それに伴い使用量も年々増加傾向にある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シャンピニオンは栽培することが非常に困難であり、中でも、シャンピニオンを栽培するための培地を造るための堆肥を作ることは大変困難であり、適した堆肥を作れない場合には採算が取れないばかりか栽培不能になることもある。また、シャンピニオンは通常加熱処理を施して食しており生のまま、すなわち、子実体のまま食する加工方法は確立されていない。 【0004】そこで本発明は、栽培が困難であるシャンピニオンの有効な栽培方法と、シャンピニオンそのものの有する味覚を保持した状態で加工することが可能な加工方法の提供を課題とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、特定の培地に特定の肥料を添加した堆肥によりシャンピニオンを栽培すると、前記課題を達成することを見出して本発明を完成するに至った。本発明者は更に鋭意検討を行った結果、特定の工程でシャンピニオンを加工するとシャンピニオンを未加熱で食料に供することが可能であることを見出して本発明を完成するに至った。 【0006】すなわち、本発明の第一の態様は、ワラ、ススキ、熊笹を主成分とする培地に肥料としてバッドガーノを添加してなる堆肥上にシャンピニオンの種菌を接種する段階を含むことを特徴とするシャンピニオンの栽培方法およびこの方法により得られたシャンピニオンに関する。前記方法において、前記堆肥に活性化された水を添加するのが好ましい。また、堆肥温度が70℃以上に上昇した際に切り返しを行うと更に好ましい。この方法によると、従来栽培が非常に困難であったシャンピニオンの栽培が可能となる。 【0007】本発明の第二の態様は、次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、および所望により更にe’) 酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、アガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体抽出エキス(以下、「アガリクスエキス」とする)に漬け込む工程、をシャンピニオンの子実体の加工方法およびこれにより得られたシャンピニオンの子実体の加工品に関する。 【0008】この方法によるとシャンピニオンを子実体のままシャンピニオンそのものの有する味覚を保持した状態で加工が可能となり、得られた加工品はサラダ等の材料として使用することができる。また、このようにして加工されたシャンピニオンは、加工されていないシャンピニオンに比して格段に日保ちが良くなる。特に、アガリクスエキスで漬け込むと、その味覚が格段によくなる。 【0009】本発明の第三の態様は、次の工程:a)シャンピニオンを0〜10℃の温度で少なくとも10時間保存してシャンピニオンの体内温度を下げる工程、b) シャンピニオンの子実体を所定の大きさにスライスする工程、c) スライスしたシャンピニオンを、塩を含む液体に少なくとも3時間漬け込む工程、d) 酒粕を含む液体に少なくとも10時間漬け込む工程、d’) 所望に応じて酒粕に漬け込んだシャンピニオンの子実体を水洗して塩分および酒分を除去した後、アガリクスエキスに漬け込む工程、およびe) 得られたシャンピニオンの子実体をキムチ原料と混ぜ合わせて漬け込む工程、を含むシャンピニオンの子実体のキムチ漬けの製造方法およびこの方法により製造されたシャンピニオンの子実体のキムチ漬けに関する。このようにした加工されたシャンピニオンの子実体をキムチ漬けとして食することが可能となる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。 [シャンピニオンの栽培方法]まず、本発明によるシャンピニオンの栽培方法について説明する。 (培地)本発明のシャンピニオンの栽培方法においては、ワラ、ススキおよび熊笹を主成分とする特定の培地を使用する。これらの成分の割合はシャンピニオンが栽培可能であれば特に限定されるものではないが、一般にはワラ5重量部、ススキ3重量部、熊笹2重量部を混合したものを培地として使用するのが好ましい。本発明者の実験によると、これらの三成分を含まない培地では、シャンピニオンの栽培は不能であり、これらの三成分を必須成分として使用することで始めてシャンピニオンの栽培が可能となる。また、これらの三成分は乾燥させたものを用いることが望ましい。また、本発明に使用する培地には、本発明の目的・効果を阻害しない範囲で、例えばおがくずのような培地成分や他の添加物等を添加することができる。 【0011】(堆肥)前記の培地に、肥料としてバッドガーノを添加して本発明による堆肥を製造する。バッドガーノとは、特にフィリピン原産のこうもりの糞の化石のことを言い、このこうもりは約300年に一度巣を移動すると言われている。このようにしてこうもりが移動した際に巣に残った化石化した糞を本発明の堆肥の材料として使用する。また、このこうもりの糞は、塩分を殆ど含まずリン等の無機成分を多く含有するため、本発明の肥料としては最適である。このようなバッドガーノは、群馬三和商事フィリピン支社より販売されている。このような特定の肥料を使用することで始めて本発明による目的、即ち従来栽培が困難であったシャンピニオンの栽培を可能とすることができる。 【0012】前記培地に対する前記特定の肥料(バッドガーノ)の添加量は、本発明の目的を達成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、一般には培地1重量部に対してこれら2種の肥料単独又は混合重量で約0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部、特に好ましくは約0.1重量部である。また、これらの特定の肥料に加えて、従来キノコの栽培に使用している肥料、例えば鶏糞等の家禽類の糞、化学肥料等を本発明の効果を損なわない範囲内で若干添加することも可能である。 【0013】また、前記培地と前記肥料等を添加混合した堆肥の含水率は、約70%となるようにすることが好ましい。ここで、この含水率の調整には活性化された水、例えば株式会社サンウェーブから妙水の登録商標名で販売されている造水装置を通過させた水、を加えることが望ましい。また、若干の酵素類、その他キノコの栽培に通常使用されている添加物を添加してもよい。 【0014】また、培地、肥料、水等の添加混合し堆肥を調製する際には、通常約5〜10日、好ましくは約7日ごとに切り返しを行う。この切り返しは、培地、肥料、水等の混合物(以下、「堆肥用混合物」とする)の温度が約70℃に達したときに行うことが好ましく、これは堆肥用混合物の温度を約70℃にすることで堆肥の完全な熟成、殺菌を行うことができるためである。このようにして3〜5回切り返しを行うと、通常約30〜40日で目的とする堆肥を調製することができる。なお、堆肥用混合物が約70℃に達しないときは、ヒーター等の加熱手段を用いてもよい。 【0015】(栽培)このようにして調製された堆肥を常温、好ましくは約20〜30℃の温度で種菌を植え付けて栽培を開始する。栽培中は、前記の温度、湿度約70%および堆肥内温度24℃および堆肥含水率約70%に保持するのが好ましい。このようにしてシャンピニオンを収穫することが可能であり、収穫されたシャンピニオンは、柄の部分が非常に太く、笠の肉厚の厚いキノコである。 【0016】[半加工品の製造]本発明の第二の態様によると、シャンピニオンの子実体を加工に供する。本発明において加工可能なシャンピニオンは、前記のようにして収穫されたものに限定されず、天然由来のシャンピニオンも包含するものである。 【0017】(シャンピニオンの冷蔵工程)まず、最初にシャンピニオンを冷蔵庫等の冷蔵手段により0〜10℃、好ましくは約5℃で10時間以上、より好ましくは約24時間冷蔵してシャンピニオンの体内温度を下げる。この工程は、菌を仮眠させることにより成長を止める効果を有しており、この工程を省いて次の工程に進むと、例えば採取したものをそのままスライスすると、シャンピニオンが腐敗しやすくなり異臭を放つ等の問題が生じることがある。 【0018】(シャンピニオンをスライスする工程)このようにして冷蔵して体内温度を下げたシャンピニオンを所望の寸法にスライスを行う。スライスを行う目的は、シャンピニオンの漬けこみ具合の調節と食べる際あるいは更に加工する際に適当な形状にするためであり、一般には約3〜5mm程度の厚さにスライスを行う。 【0019】(シャンピニオンを塩に漬け込む工程)このようにしてスライスされたシャンピニオンを塩、好ましくは天然由来の塩中に3〜8時間、好ましくは約5時間漬け込む。この漬け込み時の塩分量は、水1Lに対して前記塩約5gが好ましく、漬け込みが適正な塩分濃度で行われない場合には、例えばシャンピニオンの笠と柄の部分が分離しやすくなる等の問題が生じるおそれがある。ここで、漬け込みに使用する液体は必ずしも水である必要はなく後述するアガリクスエキス等を使用することもできる。このように塩に漬け込むことにより、菌を覚睡させるものである。 【0020】(シャンピニオンを酒粕に漬け込む工程)このようにして塩に漬け込んだシャンピニオンを次いで、酒粕に10〜30時間、好ましくは約24時間漬け込む。この漬け込み時の酒粕の量は、水1Lに対して酒粕約5kgが好ましく、漬け込みに使用する液体は必ずしも水である必要はなく後述するアガリクスエキス等を使用することもできる。このように酒粕に漬け込むことによりシャンピニオンを食したときに酸味が減り美味になる。 【0021】このようにして酒粕に漬け込んだシャンピニオンは、水洗して余分な塩分および酒分を取り除いた後に子実体の食料品として使用することが可能となる。本発明の如く塩や酒粕にシャンピニオンを漬け込むことにより、生臭さを無くして繊維質を柔らかくし食感を向上させ、また、長期間室温での保存を可能にすることができる。このようにして得られたシャンピニオンの子実体の加工品は、引き続いてキムチ漬けの原料として使用することができる。キムチ漬け以外にも、例えば西京白味噌漬け、胡麻味噌あえ、サラダ、炊き込み御飯、スパゲッティ、グラタン、カレー、シチュー、ピラフ、バター炒め等の材料として、前記工程により得られたままの状態で使用することができる。 【0022】(アガリクスエキスに漬け込む工程)本発明において、塩漬けされ酒粕漬けされたシャンピニオンを所望によりアガリクスエキスに漬け込むことができる。本発明者が各種漬物を更にアガリクスエキスに漬け込むと非常に良好な漬物ができることを見出し、このような漬物を更にキムチ漬けにすると非常に良好なキムチ漬けを製造することを見出した。したがって本発明においても、前記の塩漬けおよび酒粕漬けされたシャンピニオンをアガリクスエキスに漬け込むことが好ましい。アガリクスエキスの製造方法は、本発明者の特許出願である特願平10−40546号に詳細が記載され、農事組合法人全國新茸生産組合から販売されているものである。 【0023】すなわち、下記の各段階、(a)水をベースとする培養液を使用し、アガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体を培養可能な培地上で培養液1Lあたり30〜150gのアガリクス菌糸体を0〜25℃で少なくとも1週間培養する段階、(b) 1〜10気圧の圧力で1〜4日間かけて液温を少なくとも30℃に上げてアガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体を前記培地から分離させる段階、(c) 段階(b)と同一の条件で曝気を続けながら液温を一気に50℃以上に上昇させて1〜4時間保った後に、常温まで放冷して、この温度で1〜15時間保ち、ついで第1回目のろ過を行う段階、(d) 1〜4時間15〜30℃の温度で放置して培養系に存在する雑菌を繁殖させた後、段階(b)と同一の条件で曝気を継続させながら常温で1〜5日間温置してアガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体を繁殖させた後に、曝気を中止して12〜36時間保持し、そして段階(b)と同一の条件で曝気をしながら第2回目のろ過を行う段階、(e) 段階(b)と同一の条件で曝気を継続しながら常温で2〜7時間温置した後、培養系の液温を少なくとも60℃に上昇させこの温度で30分〜4時間保持して繁殖した雑菌を死滅させ、常温まで放冷してこの温度で1〜6時間温置し、そして最終ろ過を行う段階、(f) 培養系を少なくとも1日かけて沸騰させた後に、常温まで放冷してこの温度で1〜6時間温置する段階、(g) 前記条件下で曝気を行いながら常温で温置し、この温置の際にアガリクス・ブラゼイ・ムリルの菌糸体の濃度を調整する段階、(h) 曝気を中止して温置する段階、及び(i) 曝気気圧をできる限り下げて常温で温置する段階から製造されるものである。 【0024】アガリクス・ブラゼイ・ムリルとは担子菌類のキノコであり、群を抜く抗癌作用及び制癌作用があり、非常に注目されているキノコ類のうちの一つである。このキノコは、高分子多糖体であるβ−グルカン、燐酸、不飽和脂質等が豊富に含まれていることが判明されている。これらの成分がどのように作用するかは解明されていないが、抗癌作用に加えて病気予防や老化防止作用や免疫力向上等に抜群の作用があることが見出されている。更に、アガリクスエキスを含有する食品は微生物による汚染を抑制する効果有することも知られている。特にこの方法により製造されたアガリクスエキスはアガリクス・ブラゼイ・ムリルの乾燥茸に含まれる防黴剤等の農薬がエキス中に混入せずに製造することが可能であり、また、化学薬品を用いて抽出しないので、エキス中への化学薬品の混入も防ぐことが可能である。従ってアガリクスエキスに漬け込むことは、食品の味覚上の利点に加えて、食品にアガリクス・ブラゼイ・ムリルの有する抗癌作用、防黴効果等の優れた効果を付与することとなる。 【0025】本発明においては、前記の通りに塩漬けおよび酒粕漬けされたシャンピニオンを水洗し塩分および酒分を抜き取って水分を切った後に、アガリクスエキスに5〜12時間漬け込む。このアガリクスエキスへのシャンピニオンの漬け込みは、漬け込みを開始してから数時間、例えば約5時間した際に曝気をしながら更に漬け込みを続けるとアガリクス・ブラゼイ・ムリル菌が活性するので好ましい。ここで、12時間以上漬け込むと、シャンピニオンの菌が変性するので12時間以内の漬け込みが好ましい。 【0026】[キムチ漬けの製造]このようにして、場合によりアガリクエキスに漬け込んだ本発明によるシャンピニオンの加工品は、従来公知の方法でキムチ漬けの原料として好適に使用することができる。即ち、唐辛子をはじめとする結球白菜、大根等のキムチ漬けの原料及び薬味等と本発明によるシャンピニオンの加工品とをまぜて数時間ないし数日間、好ましくは約48時間漬込むと、本発明によるシャンピニオンの子実体のキムチ漬けが製造される。 【0027】 【実施例】本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかしながら本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。 [シャンピニオンの栽培] 実施例1ワラ、ススキ、熊笹を重量比5:3:2を混合し、バッドガーノ(群馬県三和商事フィリピン支社より入手)を重量比で1を混合した。この混合物に対して造水装置(サンウェーブ株式会社製 登録商標名「妙水」)に通過させて活性化された水により、含水率が70%になるように添加、調整を行った。得られた堆肥用混合物について、堆肥用混合物の温度が70℃を超えた際に切り返しを行った。この切り返し作業を同様にして5回行い栽培を続けたところ35日後に堆肥が調整された。この堆肥にシャンピニオンの菌種を接種して温室内にてシャンピニオンの栽培を開始した。ここで栽培中は、温室について室温24℃、湿度70%、また、堆肥について温度24℃、含水率70%の条件を保持した。収穫されたシャンピニオンは、笠の肉が厚く、かつ柄の部分の太いものであった。 【0028】比較例1バッドガーノを同量の鶏糞または化学肥料に代え、それ以外は実施例1と同様にシャンピニオンの栽培を行ったが、シャンピニオンを収穫することはできなかった。 【0029】[シャンピニオンの評価]実施例1で得られたシャンピニオンを天然のシャンピニオンと比較して46人のパネラーによりどちらが美味しいかのパネル試験を行ったところ、本発明方法により栽培されたシャンピニオンの方を美味しいと評価したパネラーが有意に多かった。 【0030】[加工品の製造] 実施例2実施例1で収穫されたシャンピニオンを冷蔵庫内において5℃で24時間保持しシャンピニオンの体内温度を低下させた後、シャンピニオンを3〜5mm程度の厚さにスライスした。このようにしてスライスしたシャンピニオンを天然塩中で5時間漬けこみ、更に酒粕中で24時間漬け込んだ後、水洗して本発明によるシャンピニオンの加工品1を製造した。 【0031】この加工品1を46人のパネラーに試食させて、その味覚を非常に美味しい、美味しい、普通、まずいの4点評価にて評価したところ、46人中27人から非常に美味しいと評価し、14人が美味しいと評価し、5人が普通であるという評価をした。 【0032】実施例3実施例2で得られたシャンピニオンの加工品1を更に農事法人全國新茸組合法人より入手したアガリクスエキスに5時間漬け込んだ後、更に曝気下で7時間漬け込んで、本発明によるシャンピニオンの加工品2を製造した。この加工品2を46人のパネラーに試食させて、その味覚を非常に美味しい、美味しい、普通、まずいの4点評価にて評価したところ、46人中31人から非常に美味しいと評価し、13人が美味しいと評価し、2人が普通であるという評価をした。 【0033】実施例4キムチ漬けの製造実施例2および実施例3で得られた加工品1および2を通常のキムチ漬けの材料と混合して、室温にて48時間放置して本発明によるキムチ漬け1および2を得た。このようにして得られたシャンピニオンの子実体のキムチ漬け1およびアガリクスエキス入りシャンピニオンの子実体のキムチ漬け2について、46人のパネラーに試食させて、その味覚を非常に美味しい、美味しい、普通、まずいの4点評価にて評価した。結果を表1に示す。 【0034】 【表1】
【0035】以上の結果から明らかな通り、本発明によるキムチ漬けをほとんどの試験者が美味しく感じ、特にアガリクスエキスで漬け込んだキムチ漬けに対してほとんどの試験者が非常に美味しいと評価した。 【0036】 【発明の効果】以上説明した通り、本発明によると特定の堆肥を用いることで栽培することが困難であったシャンピニオンを有効に栽培することが可能となる。また、本発明により栽培されたシャンピニオンは、天然のシャンピニオンに比して柄の部分が太く、かつ笠の部分が肉厚であり、かつ天然のシャンピニオンと同等若しくはそれ以上の味覚を有するものである。 【0037】また、本発明の方法によるとシャンピニオンの子実体をシャンピニオンそのものの有する味覚を保持した状態で加工することが可能となり、得られた加工品はサラダ等の材料として使用することができる。また、このように加工されたシャンピニオンは、加工されていないものに比して格段に日保ちの良いものになる。特に、アガリクスエキスで漬け込むと、その味覚が格段に向上させることができる。またこのようにして加工されたシャンピニオンの加工品をキムチ漬けとすることが可能である。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】598024112 【氏名又は名称】農事組合法人 全国新茸生産組合
|
| 【出願日】 |
平成11年2月10日(1999.2.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064414 【弁理士】 【氏名又は名称】磯野 道造
|
| 【公開番号】 |
特開2000−228914(P2000−228914A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月22日(2000.8.22) |
| 【出願番号】 |
特願平11−32375 |
|