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【発明の名称】 稲の栽培方法
【発明者】 【氏名】養田 武郎

【氏名】池田 武

【氏名】船津 正人

【要約】 【課題】特に黒酢が稲の生長を促進、米の収量増加、いもち病予防が効果を発揮することを発見して成された稲の栽培方法を提供することを目的としている。

【解決手段】稲の生育過程において、稲に黒酢を散布する稲の栽培方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 稲の生育過程において、稲に黒酢を散布することを特徴とする稲の栽培方法。
【請求項2】 分げつ期若しくは幼穂形成期の稲に黒酢を散布することを特徴とする請求項1記載の稲の栽培方法。
【請求項3】 稲の葉面に希釈した黒酢を散布することを特徴とする請求項1,2いずれか1項に記載の稲の栽培方法。
【請求項4】 前記黒酢として玄米黒酢を採用したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の稲の栽培方法。
【請求項5】 前記黒酢として玄麦黒酢を採用したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の稲の栽培方法。
【請求項6】 前記散布する黒酢として、黒酢を400倍乃至1000倍に希釈したものを採用したことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の稲の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、米の生産性を高める稲の栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、酢には、植物の活力を高めて病気・害虫への抵抗力を強めたり、肥料・農薬の効果を向上させるなど多種多様な作用があると言われている。
【0003】本発明は、上記酢の作用を稲の栽培に応用したもので、特に黒酢が稲の生長の促進、米の収量増加、いもち病予防に効果を発揮することを見出して成された稲の栽培方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨を説明する。
【0005】稲の生育過程において、稲に黒酢を散布することを特徴とする稲の栽培方法に係るものである。
【0006】また、分げつ期若しくは幼穂形成期の稲に黒酢を散布することを特徴とする請求項1記載の稲の栽培方法に係るものである。
【0007】また、稲の葉面に希釈した黒酢を散布することを特徴とする請求項1,2いずれか1項に記載の稲の栽培方法に係るものである。
【0008】また、前記黒酢として玄米黒酢を採用したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の稲の栽培方法に係るものである。
【0009】また、前記黒酢として玄麦黒酢を採用したことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の稲の栽培方法に係るものである。
【0010】また、前記散布する黒酢として、黒酢を400倍乃至1000倍に希釈したものを採用したことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の稲の栽培方法に係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、その作用効果を示して簡単に説明する。
【0012】本発明は、繰り返した実験により明確に効果が得られたもので、稲に散布された黒酢が稲の葉面から吸収され、特に稲の根の生長が促進される。この根の生長促進にともない養分吸収,蓄積過程が影響され、米の収量増加、いもち病予防の効果が発揮されるものと考えられる。
【0013】
【実施例】本発明の具体的な実施例について説明する。
【0014】<実施例1>比重1.13で塩水選したコシヒカリ種子を湛水苗代で中苗になるまで育て、実施年の平成9年5月23日に移植した。栽植様式は、一株一本植えの正方形植えで、栽植密度は、平方メートル当たりの60株とした。基肥はN 5g/平方メートル,P 8g/平方メートル,K 10g/平方メートルで施用し、同年7月18日に追肥としてN 6g/平方メートル,K 5g/平方メートルを施用した。処理として、黒酢(玄米黒酢、石山味噌醤油(株)製の玄米黒酢を採用),木酢(農研テクノ(株)製の純正木酢液を採用),黒酢+木酢の三種をそれぞれ500倍に希釈し、分げつ期2回,幼穂形成期3回ずつに稲の葉面に向けて散布した。植物重(8月20日)と収量に重点をおいて調べた。
【0015】<実施例2>1/2000aワグナーポットに1本植えで、実施例1と同様の方法により、根の生育も含めて調べた。
【0016】<実施例1及び2の結果>実施例1において、生育に伴う草丈に差は見られなかったが、茎数では木酢を使用したものが生育後期において増加する傾向にあり、コントロール区(慣行栽培方法を採用)・黒酢区と有意な差を示した(表1)。
【0017】
【表1】

また、乾物重ではコントロール区に比べ酢を使用したものの方が重く、中でも黒酢区が全てにおいて重く、特に穂については顕著な差があった(表2)。
【0018】
【表2】

また、収量については、酢を使用した方が多収であり、コントロール区と1%レベルの有意水準がみられ、また、穂数・1穂籾数についても同様であった(表3)。また、精白米中のN(窒素)とOIL(油脂)の含有率は、黒酢区がコントロール区より低い値を示した(同表3)。
【0019】
【表3】

実施例2において、生育に伴う草丈・茎数に差はなかった。乾物重においては黒酢区の穂が他の試験区に比べ重かった(表4)。
【0020】
【表4】

また、根について調査したところ、黒酢区において生育が良く、コントロール区・木酢区と有意な差がみられた(表5)。
【0021】
【表5】

以上の結果より、酢を散布することはコシヒカリの各部位の生長を促進した。収量は、穂数/平方メートルと、また2次枝梗数と相関にあり、穂数は、籾数と逆相関があった(表6)。
【0022】
【表6】

これより酢の区では、1穂籾数の少なさを穂数で補い、収量においてコントロール区より多収であった。さらに、木酢に比して黒酢は根の生長を促進し、独自の養分吸収・蓄積によりN(少ないと食味向上)とOIL(少ないと保存性向上)の含有率を下げ、よって、黒酢の葉面散布により良質なコシヒカリを作れることが示唆された。
【0023】<実施例3及びその結果>比重1.13で塩水選したコシヒカリ種子を湛水苗代で、約1カ月間育てた。移植は実施年の平成8年5月23日で、5.6葉期の成苗で1乃至2本の分げつを持った株を用いた。栽植様式は、4Kg容ポリ容器に1本植えとした。試験区は表7の通りで、それぞれ3反復した。
【0024】窒素施肥は、全区にN成分で3g/平方メートル、追肥に6g/平方メートルで、肥料は、「さおとめ有機質肥料」(成分N・P・K=10%・14%・10%)を使用した。酢の葉面散布は、移植後、13日、18日、37日(出穂前40日)、48日(出穂前30日)、62日(出穂前19日)に希釈液100〜120ml/平方メートルとなるように霧吹きで散布した。
【0025】収量については、1.85mm以上の玄米重量を測定し、Q検定を行って表7を得た。
【0026】
【表7】

このように、黒酢500倍液散布区が17.7g/本と最高で、コントロール区が11.7g/本と最低になった。黒酢500倍液、黒酢500倍液+木酢200倍液を葉面散布した場合は、木酢の希釈液を葉面散布した場合または何も葉面散布をしなかった場合に比べて、5%の危険率で有意差が認められた。
【0027】即ち、黒酢500倍液、黒酢500倍+木酢200倍液を葉面散布した場合は、木酢の希釈液を葉面散布した場合または何も葉面散布をしなかった場合よりも、その他の収量構成要因が変わらないという条件下で、100年稲をつくって95年は明らかに増収するという結果が得られた。
【0028】<実施例4及びその結果>いもち病菌P−2株をミサト培地(可溶性デンプン1.0%,酵母エキス0.2%,寒天1.5%,pH6.0)にて培養増殖させ、胞子を形成させ、続いて、形成された胞子をかきとり、ブレンダーにて細かくし、ガーゼろ過、遠心分離を繰り返し、胞子のみを採取した。
【0029】更に、テトラヘキサコサノールをクロロホルムに溶解し、カバーガラスに塗り、乾燥させ、稲の葉面のワックス層に似た環境をつくり出し、上記胞子を試験区の希釈液に混合し、カバーガラス(ワックス層)の上に滴下し、18時間・30℃テレモで培養し、検鏡し、付着器の形成状態を見た。
【0030】また、試験区としては、黒酢500倍希釈、木酢500倍希釈、対称区として水を採用した。
【0031】付着器の形成状態を拡大写真撮影したところ、対称区においては菌はしっかりとした付着器を形成しているが、黒酢500倍希釈では付着器の形成はわずかに確認できるのみ、木酢500倍希釈では付着器はほとんど形成されず菌自体も著しく小さくなっていた。
【0032】従って、玄米黒酢及び木酢はいもち病の予防に効果があることが確認された。
【0033】<実施例5及びその結果>実施例4の追加実験として実験例4と同様にカバーガラス上での稲いもち病菌胞子の発芽状況をコントロール区(水)、玄米黒酢区(玄米黒酢100倍希釈区)、木酢区(木酢100倍希釈区)で比較した。
【0034】1−ヘキサコサノールをクロロホルムに溶解してカバーガラスに塗り、乾燥させ、稲の葉面のワックス層に似た環境をつくり出し、一方、実施例4と同様に処理したいもち病菌の胞子をコントロール液(水)若しくは試験液(玄米黒酢100倍希釈液、木酢100倍希釈液)に混合し、前記カバーガラス(ワックス層)の上に滴下した。このカバーガラスを、乾燥を防ぐ為、蒸留水を入れた減菌シャーレの中を置き、30℃で培養した。検鏡は、12時間後、24時間後、60時間後とした。
【0035】いもち病胞子は、12時間後、コントロール区において発芽を始めていたが、玄米黒酢区及び木酢区においては変化は認められなかった。24時間後、コントロール区において明らかに発芽した胞子を確認できたが、玄米黒酢区及び木酢区においては変化は認められなかった。60時間後、コントロール区において付着器を形成した胞子が確認できたが、玄米黒酢区及び木酢区においてはスタート時と変化がなかった。
【0036】以上の結果から、稲の葉面に100倍希釈濃度の玄米黒酢の層を形成することにより、いもち病菌が付着しても発芽が抑制されることになり、いもち病の発病を防ぐ可能性が極めて高いことが確認された。また、木酢についても同様の効果が発揮される。
【0037】尚、玄米黒酢100倍希釈液は、玄米黒酢の酸度4.5%が全量酢酸と仮定すると、酢酸濃度は0.045%となる。
【0038】<実施例6及びその結果>玄米黒酢について、コシヒカリへの施用がその生長・収量に与える影響について実験した。また、玄米黒酢が最も効果的に作用すると思われる濃度を実験した。
【0039】比重1.13で塩水選したコシヒカリの種子を湛水苗代で4〜5葉期まで育苗し、5月21日に実験用コンクリートポットに移植した。栽植様式は1本植えの正方形植えとし、栽植密度は平方メートル当たり60株とした。基肥は平方メートル当たりN:P:K=5:8:10gとし、7月22日に平方メートル当たりN:K=6:5gを追肥した。処理は玄米黒酢を水道水で700倍(65ppm)、500倍(92ppm)、400倍(115ppm)に希釈し、夫々分げつ期2回、幼穂形成初期1回、減数分裂期1回、及び、出穂後に1回、植物体に噴霧器で散布した。草丈と茎数の調査を毎週1回行い、光合成速度を7月に2回、最上位完全展開葉(L11)で測定した。また、収穫までに3回のサンプリングを行った。玄米収量は収穫期に各試験区から10個体を刈り取り調査した。また、N分析には近赤外線分析計(インフラライザー260)を用いた。また、光合成速度は、二酸化炭素の取り込み量から測定した。
【0040】この実験例6の結果、玄米黒酢の散布直後から玄米黒酢区とコントール区の生育に違いが見られ、草丈はコントロール区(cont.区)に対して全ての玄米黒酢区で高くなる傾向が見られた。また、茎数もコントロール区に対して全ての玄米黒酢区で高く推移し、7月2日(42日目)にはコントロール区と各玄米黒酢区に有意な差がみられた。また、生育後期には700倍区が高い値を示した。
【0041】また、LAI値(葉面積指数:光合成能力に関係し、稲の生長にかかわる。)は700倍区と500倍区で高く推移し、9月11日にはコントロール区と700倍区間に有意な差がみられた。
【0042】また、地上部乾物量は各部位とも玄米黒酢区で大きく、特に穂重にその傾向が顕著であった。9月11日には稈・葉鞘・穂のコントロール区と700倍区間に有意な差がみられた。
【0043】また、窒素蓄積量(蓄積量が多ければ、生長が良いことを示す。)は各部位とも黒酢処理区で高く、葉身・稈・穂のコントロール区と700倍区間に有意な差がみられた。
【0044】また、黒酢散布2日後に光合成速度を測定したところ、2回とも各玄米黒酢区の値がコントロール区を上回り、7月16日には500倍区とコントロール区間に有意な差がみられた。
【0045】また、収量は700倍区>500倍区>400倍区>コントロール区となり、玄米黒酢区が高く、700倍区とコントロール区で有意な差がみられた。穂数/平方メートル・一穂籾数・二次枝梗数は処理区で多く、特に穂数では700倍区とコントロール区間に有意な差がみられた(下記表8)。また、収量構成要素では穂数/平方メートルと収量との間に高い正の相関がみられた(下記表9)。
【0046】
【表8】

【0047】
【表9】

また、食味は、精白米の窒素含有率が黒酢区でやや高かったが、良食味条件は窒素含有率12.5%以下とされるので、許容範囲であると考えられた。
【0048】以上の結果から、黒酢によりコシヒカリの生育、特に初期生育が促進され、分げつの増加にともなう葉面積の拡大と乾物量の増加が、穂数の増加さらには収量向上に寄与したと考えられた。また、黒酢700倍区では無効分げつが抑制され、有効茎歩合が高まったことが穂数の増加につながった。
【0049】<他の実施実験の結果>玄米黒酢を稲作に応用する実施実験を行ったところ、下記の結果が得られた。
【0050】育苗期葉面散布について播種時に玄米黒酢1000倍希釈液を散布したところ、初期成育が促進された。
【0051】育苗期に玄米黒酢1000倍希釈液を散布したところ、葉色が落ちず、元気な苗になった。また、カビ止め効果があった。
【0052】播種12日目に玄米黒酢800倍希釈液を散布し、更に播種25日目に玄米黒酢500倍希釈液を散布したところ、固く、腰が強く、根量が多い健苗に育った。
【0053】即ち、育苗期葉面散布によって、健苗づくりに役立つことが判明した。
【0054】本田葉面散布について玄米黒酢500倍希釈液を、10a(アール)当たり200l(リットル)づつ、合計3回づつ葉面散布したところ、コントロール区に比べ、葉齢が遅れ気味だったのが出穂近くになったら逆転した。また、コントロール区に比べ葉色が濃く、稲の姿が大きく、有効茎歩合が高かった。
【0055】玄米黒酢500倍希釈液を、6月9日、6月12日、7月10日、穂揃い期に葉面散布したところ、夏の暑さの中でも散布翌朝には元気さが良く分かった。また、刈り取り時は、無散布区に比べ柄持ちが良く、収量が期待された。
【0056】玄米黒酢500倍希釈液を、3回葉面散布したところ、10a当たりの収量が9.8俵(例年7俵)となった。また、周囲の稲が倒伏している中、玄米黒酢散布区は殆ど倒伏がなかった。
【0057】玄米黒酢と木酢とを1:1で混合し、300倍に希釈して、幼穂形成期と刈り取り10日前の2回葉面散布を行ったところ、収量は9俵(例年8.5俵)で30kg余計だった。また、玄米黒酢を散布しなかった水田は黒い被害米が多かった。
【0058】即ち、本田葉面散布によって、稲の生育促進、有効茎歩合向上、倒伏軽減、増収、米の品質向上に効果があることが判明した。
【0059】水田流し込み施用について玄米黒酢約10000倍希釈液を、水田に2,3回流し込んだところ、コントロール区に比べ葉色が濃くなり、出穂が5日遅れた。また、出穂後の生長した。収量的には差がないようであったが、玄米黒酢を流し込んだ田圃は稲の倒伏がなかった。また、登熟の様子を観察すると、玄米黒酢を流し込んだ方は枝梗の枯れ上がりが早かった(登熟が早かった。)。また、有効茎歩合が高かった。また、1穂粒数130〜280粒と多収であった。
【0060】また、中山間地の棚田で同様の実験を行ったところ、イモチ病の発生がなく、梅雨明け後の長雨でも稲は少ししか倒伏しなかった。また、生育的には周囲の無散布のものと大差はなかった。また、サンプリング個体の最長かん長は、徒長気味であったが茎が堅く、稲体がしっかりしていて倒伏がほとんどなかった。
【0061】即ち、水田流し込み施用によって、生長促進、有効茎歩合向上、倒伏軽減、イモチ病の予防、登熟促進、増収に効果があることが判明した。
【0062】粉末玄米黒酢散布について粉末玄米黒酢の現物を、無農薬アキタコマチ(1年目)に動噴により散布したところ、幼少期は葉焼けを起こしたが、生長した後は酢焼けの影響はなかった。また、収量は10a当たり10.7俵であった。また、9月2日に1.2ha(ヘクタール)に粉末玄米黒酢16kgを散布したところ、散布後に茎や葉の色がまったくさめなかった。また、収穫した米をご飯にしたところ、食味値は80点(kett)とかなりの高得点であった。
【0063】即ち、粉末玄米黒酢散布によって、肥効が長持ちし、増収、食味向上に効果があることが判明した。
【0064】尚、この粉末を散布する方法は、普通の粉状の農薬と同様に散布作業を行えるというメリットを有する。
【0065】以上の種々の実験結果により、稲の生育過程において稲に黒酢を散布すると稲の生長、特に根の生長が促進され、米の収量が増加し、また、いもち病が予防されることが判明した。
【0066】ところで、黒酢とは醸造酢の中の穀物酢・米酢に属するもので、一般的な食酢に使用される原料に比べ、玄米・玄麦または精白歩合の高い米・麦など、タンパク質含有率の高い穀物原料を使用し、醸造用アルコール等の添加物を一切使用せずに、酵母菌と酢酸菌によって醸造した食酢であり、玄米黒酢以外にも玄麦黒酢,大麦黒酢等が製品化されているが、精白米から醸造した通常の米酢、または穀物澱粉から醸造した通常の穀物酢に比べ、製品が濃い褐色を呈している。尚、本実施例において使用した黒酢は玄米黒酢である。
【0067】一方、木酢の主成分は酢酸、アセトン、メタノールであるが、その他多くの微量成分が含まれ、それらの成分の中に植物生育因子も存在するため、木酢は農産物の栽培に一部利用されている。
【0068】しかし、広葉樹以外の原材料で製造した木酢には、生物にとって有害な物質が含まれているとも伝えられ、また、炭化法によっては、リグニン(木材成分)に由来する発ガン性物質を含んだ木酢になる。さらに、回収・精製法によっては、タール分の多い木酢液が得られ、タール分が多いと、当然ながら薬害が惹起する。
【0069】そうした木酢に対し、黒酢は原材料が米・麦などの穀物と水であり、本来が食品のために農業資材、即ち、食品栽培用の資材としても極めて安全である。また、黒酢は醸造工程が一般には木酢に比し厳密に管理されているため、製品成分の変動は僅少である。また、実施例1〜3の葉面散布によっても、木酢に比し黒酢は稲作において特に米の収量に関して高い効果が得られ、よって、稲に散布する酢は黒酢が最適である。
【0070】しかも、本実施例においては、米の成分を含む玄米黒酢を使用したから、黒酢による効果が特に良好に発揮されたものと考えられる。
【0071】また、黒酢として玄米黒酢以外にも、例えば、組成分がほとんど変わらない玄麦黒酢を使用しても、実施例1〜6等と同様の結果を得られるものと予測される。
【0072】
【発明の効果】本発明は上述のようにするから、稲に黒酢を散布するだけで稲の生長が促進され、米の収量増加、食味・保存性の向上、いもち病予防の効果が発揮されることになる実用性,生産性に秀れた稲の栽培方法となる。
【0073】請求項2記載の発明においては、米の収量に関係の深い分げつ期や幼穂形成期の稲に黒酢を散布するから、黒酢の効果が良好に発揮され、米の収量増加、食味・保存性の向上、いもち病予防の効果が一層高まる生産性に秀れた稲の栽培方法となる。
【0074】請求項3記載の発明においては、稲の葉面に希釈した黒酢を散布するから、黒酢が稲の葉面から良好に吸収されるとともに、広範囲への黒酢の散布も良好に行えることになり、より一層実用性、作業性に秀れた稲の栽培方法となる。
【0075】請求項4記載の発明においては、玄米黒酢には米の成分が含まれているから、玄米黒酢が稲になじみ易く、稲の生長をより一層促進することになり、より一層実用性に秀れた稲の栽培方法となる。
【0076】請求項5記載の発明においては、玄米黒酢と組成分がほとんど変わらない玄麦黒酢を稲に散布するから、玄米黒酢と同様に稲の生長が促進されることになる実用性、生産性に秀れた稲の栽培方法となる。
【0077】請求項6記載の発明においては、黒酢の濃度が稲の生長に好適な濃度であるから、それだけ稲の生長が促進されることになる実用性、生産性に秀れた稲の栽培方法となる。
【出願人】 【識別番号】591022254
【氏名又は名称】石山味噌醤油株式会社
【出願日】 平成11年12月2日(1999.12.2)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛 (外1名)
【公開番号】 特開2000−224928(P2000−224928A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−343514