| 【発明の名称】 |
防虫シート |
| 【発明者】 |
【氏名】関口 輝明
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| 【要約】 |
【課題】軽量かつ柔軟で、作物の生育に必要な日射を得るための透光性を有しつつ、保温性や防風性などにすぐれ、かつ、害虫忌避性により優れた防虫性を有し、しかもアントシアニン系色素の形成が阻害されず、昆虫の受粉活動も実質的に可能で通気性が良好な、べたがけ用資材などの施設園芸用被覆資材としても優れた不織布状の防虫シートを提供する。
【解決手段】防虫シートを構成する繊維として、特定種の紫外線吸収剤を特定量添加した熱接着性繊維を用い、前記紫外線吸収剤により害虫忌避効果を発現させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】紫外線吸収剤を繊維中に0.7〜15重量%含有し1〜500dtexの繊度を有する熱接着性繊維からなる不織布状の防虫シートであって、目付が10〜200g/m2、通気度が100cc/cm2・sec以上である不織布状の防虫シート。 【請求項2】紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、サリシレート系およびシアノアクリレート系紫外線吸収剤の群から選ばれた少なくとも1種である請求項1に記載の防虫シート。 【請求項3】熱接着性繊維が、融点差10℃以上を有する低融点樹脂と高融点樹脂からなる熱接着性複合繊維である請求項1または2に記載の防虫シート。 【請求項4】熱接着性繊維が、長繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の防虫シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、軽量かつ柔軟で、作物の生育に必要な日射を得るための透光性を有しつつ、保温性や防風性などにすぐれ、害虫忌避性により優れた防虫性を有し、かつ、植物のアントシアニン系色素などの発色が調節可能であり、昆虫の受粉活動も実質的に可能で通気性が良好な、施設園芸用被覆資材としても好適な不織布状の防虫シートに関する。 【0002】 【従来の技術】農業生産において、害虫から農作物をまもることは昔から現在に至るまで続いている課題である。この虫害対策には、農薬や天敵等による殺虫、被覆資材による害虫侵入防止、忌避効果による害虫の排除、誘因効果の利用による駆除などが挙げられるが、中でも農薬の普及は農作物の虫害を激減させ、これにより収穫量は大幅に増大した。その反面、農業従事者には薬傷、消費者には残留農薬害、環境には生態系の破壊といった問題を引き起こした。このため、人体や環境に対して低リスクな或いは無害な薬剤の開発が進められてきた。しかし、これら農薬など薬剤を使用する場合には、散布や燻蒸などの作業が必要であり、これら作業は農業生産者にとって大きな負担となっている。また現在は無害といわれている薬剤でも、長期的な影響については解明されていない。 【0003】さらに健康に対する意識が高まり、無農薬または低農薬の有機栽培農作物を求める消費者の動きなどもあって、従来の殺虫タイプの農薬だけに頼らない虫害対策が求められている。従来の殺虫剤タイプの農薬を用いない虫害対策としては、天敵の利用の他、害虫の性フェロモンの利用による害虫の繁殖防止(特開平06−192024号報、特開平10−87408号報)、遺伝子を利用した虫害に強い作物の創出など既に実施されているものおよび研究段階のものなどいくつか挙げられるが、対象となる害虫が限定されるなど十分満足できる方法はない。これらの農薬を使わない虫害対策の一つに、被覆資材を用いる方法を挙げることができる。これらの被覆資材はハウスやトンネルなどを用いるいわゆる施設園芸に用いられるもので、被覆することにより施設内への害虫の侵入を防止する。これら被覆資材としては、農業用フィルム、ネットおよび不織布などが広く用いられている。 【0004】これらのうち、農業用フィルムは本来保温や雨除けが主目的の被覆資材で通気性がなく、害虫の活動が活発な高温時期には施設内が蒸れるため換気が必要である。このため被覆が開放される結果、害虫が侵入し、寒冷時期をのぞいては単独では虫害対策に使用することはできない。なお、紫外線吸収剤を練り込むなどして、波長380nm以下の光の透過を実質的に阻止した農業用フィルムを被覆し、この下で作物を栽培することにより虫害を防ぐ方法が知られている(特開昭54−97273号公報)。この方法は、作物に当る太陽光線中の紫外線をカットすることにより、施設内の害虫の活動を阻害し繁殖を防止するとともに、施設外からの害虫の侵入を抑制する防虫方法である。 【0005】前記の農業用フィルムは、紫外線カットフィルムとして葉菜類などの栽培に利用されているが、アントシアニン系色素の形成が必要なナス、レッドリーフレタスなど赤紫色の野菜やトルコキキョウなどの紫色系の花をつける花卉などの作物では、紫外線の除去によりこの色素の形成が阻害されるため使用できず、軟弱野菜の栽培に利用する場合でも葉色が濃い緑色になりにくい傾向がある。また、ミツバチやマルハナバチを用いて受粉を行なう場合、紫外線カットフィルムはこれら昆虫の活動を阻害するため使用できないなど用途が限定される。なお、農業用フィルムの材料としては塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂の劣化を抑制し、農業用フィルムとしての耐久性を向上させるため、紫外線吸収剤を耐候安定剤として熱可塑性樹脂に添加することは広く行われているが、その添加量は少なく、通常は0.1重量%未満で、紫外線カットフィルムとしての機能は期待できない。 【0006】ネットは、強度の優れた繊維の糸条を用いたものが虫害防止のための被覆資材として好ましく用いられ、通気性がよいため特に外気温の高い夏季を中心に防虫ネットとして用いられている。一般的に防虫用のネットの性能は、ネットを構成する糸条が作り出す隙間の大きさ(目合い)により決定されるが、害虫忌避性を付与するために、アルミニウム蒸着フィルムなどの金属蒸着フィルムを織り込んだ防虫ネットも数多く開発されている。 【0007】しかし、従来の防虫ネットの場合、この目合いは固定されていないものが多く、風雨や取扱いの過程で糸条が動き、この目合いが変化する“目ずれ”が発生するため、目合いが広がったところから害虫が侵入することが多々あった。金属蒸着フィルムを使用した防虫ネットとしては、アルミニウム蒸着フィルム使用の防虫ネットが、一般的に用いられる。この種のネットは、アルミニウム蒸着フィルムの持つキラキラ感により優れた害虫忌避性を有する反面、展張中の雨や湿気、薬品、散水などにより、アルミニウム蒸着部分が化学変化をおこして水酸化アルミニウムとなり、その光沢を喪失してしまうために、早期に使用に耐えなくなってしまうものであった。また、アルミニウム蒸着フィルムのような副資材を用いることにより、ネット自体の重量が増してしまい、展張するハウスや機器に高荷重負荷を加えてしまうことがあった。 【0008】不織布は、べたがけ用資材やハウスなどの内張り資材として用いられているが、近年、べたがけ用資材としての需要が急増している。べたがけ用資材は、農業用フィルム、ネットと異なり、露地栽培、トンネル栽培およびハウス栽培などにおいて、主に直接作物に被覆して使われる資材で、保温(防寒、凍霜害防止)、防風、防虫などを目的として用いられる。しかし、べたがけ用不織布は、作物に直接かける直がけはもちろん支柱を用いて浮かせてかぶせる浮きがけにおいても、作物と接触するため、保温性、防風性、防虫性などの機能の他に、作物を傷めないように軽量かつ柔軟で、作物の生育に必要な日射を得るための透光性を有する必要がある。 【0009】その結果、従来のべたがけ用不織布は、繊度の小さい繊維を用いた目付の小さい不織布が主である。従来のべたがけ用不織布としては、ポリプロピレンまたはポリエステルを素材とする目付が15〜25g/m2の長繊維不織布、およびポリビニルアルコールまたはポリエチレンを素材とする目付が35〜55g/m2の割繊維不織布などが用いられているが、中でも長繊維不織布の需要の伸びが大きい。このため、従来のべたがけ用不織布は強度が小さく、広がった隙間から害虫が侵入するなど、素材の違いにより吸湿性に違いはあるが、防虫性についてはいずれも不十分であった。なお、べたがけ用不織布の素材として用いられる樹脂にも劣化を抑制し、耐久性を向上させるため、紫外線吸収剤を耐候安定剤として添加することは広く行われているが、その添加量は少なく、通常は0.5重量%未満であり、防虫資材としての機能は期待できない。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、軽量かつ柔軟で、作物の生育に必要な日射を得るための透光性を有し、アントシアニン系色素の形成や昆虫の受粉活動も実質的に可能な、保温性や防風性などにすぐれ、かつ、害虫忌避性により優れた防虫性を有する、べたがけ用資材などの施設園芸用被覆資材としても優れた不織布状の防虫シートを提供することを課題とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技術の課題を解決するために鋭意研究の結果、紫外線吸収剤を多く添加した繊維を不織布状の防虫シートにし、その被覆下で作物を栽培することによって、紫外線の入射量をコントロールでき、その結果、作物には必要な紫外線の暴露が可能となり、アントシアニン系色素などの発色具合が調整可能で、昆虫の受粉活動も実質的に可能であり、かつ害虫忌避性も付与することができるという優れた新しい知見を見い出し、本発明を完成するに至った。 【0012】すなわち、本発明は以下の構成を有する。 (1)紫外線吸収剤を繊維中に0.7〜15重量%含有し1〜500dtexの繊度を有する熱接着性繊維からなる不織布状の防虫シートであって、目付が10〜200g/m2、通気度が100cc/cm2・sec以上である不織布状の防虫シート。 (2)紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、サリシレート系およびシアノアクリレート系紫外線吸収剤の群から選ばれた少なくとも1種である(1)に記載の防虫シート。 (3)熱接着性繊維が、融点差10℃以上を有する低融点樹脂と高融点樹脂からなる熱接着性複合繊維である(1)または(2)に記載の防虫シート。 (4)熱接着性繊維が、長繊維である(1)〜(3)のいずれかに記載の防虫シート。 【0013】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説明する。本発明の防虫シートにおいて、防虫シートを構成する繊維は、紫外線吸収剤を繊維中に0.7〜15重量%、より好ましくは1〜12重量%含有した繊維である。繊維の紫外線吸収剤含有量が0.7重量%未満では、前記の防虫シートの害虫忌避効果が不十分となることがある。また、繊維の紫外線吸収剤含有量が15重量%を大きく超えると、繊維中の紫外線吸収剤の濃度が不均一になり、強度、伸度および熱収縮性などの繊維物性が不均一になることがある。 【0014】本発明の防虫シートにおいて、防虫シートを構成する繊維に含有させることができる紫外線吸収剤は、400nm以下の波長の光線を吸収する性質を有する薬剤である。前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、サリシレート系およびシアノアクリレート系紫外線吸収剤の群から選ばれるものであることが好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、また組合わせによる効果を期待して2種以上を併用してもよい。以下に前記の各種紫外線吸収剤の例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0015】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノンを挙げることができる。ベンゾエート系紫外線吸収剤としては、2,4−ジ−t−ブチル−フェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートを挙げることができる。サリシレート系紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p−t−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレートを挙げることができる。シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレートを挙げることができる。 【0016】本発明の防虫シートを構成する繊維の繊度は、1〜500dtex、好ましくは1〜250dtexである。繊度が1dtexを下回ると、繊維1本あたりの紫外線吸収剤の絶対量が少なくなるため、長期に防虫忌避効果が保つことが難しくなることがある。また、繊維を不織布にする際に繊維が変形したり、目付の小さいシートを作成する時に破れることがある。繊度が500dtexを大きく超えると、前記防虫シートの剛性が高くなって作業性が悪くなり、重量が大きくなって運搬が不便なうえ展張部位に大きな荷重がかかってハウスなどの設備を損傷する恐れがある。 【0017】本発明の防虫シートにおいて、防虫シートを構成する繊維は熱接着性繊維であり、前記の熱接着性繊維としては単一成分樹脂からなるレギュラー繊維、複数の樹脂からなる複合繊維を用いることが出来る。 【0018】本発明の防虫シートにおいて、防虫シートを構成する熱接着性繊維の交点が熱接着されて十分固定されるためには、熱接着性繊維として熱接着性複合繊維が好ましく用いられる。ここで熱接着性複合繊維とは、少なくとも融点差が10℃以上ある低融点樹脂と高融点樹脂とからなり、繊維表面の少なくとも一部を連続して低融点成分が形成された二成分系以上の複合繊維である。前記複合繊維の複合構造は、例えば鞘芯型、並列型、海島型等のものが何れも使用できる。 【0019】熱接着性複合繊維の原料となる低融点樹脂および高融点樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドを例示でき、とりわけ好ましくはポリオレフィンである。熱接着性複合繊維の組み合わせの例として、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、低密度ポリエチレン/ポリプロピレン、プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリプロピレン、直鎖状低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン/高密度ポリエチレン、各種のポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレート、プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ポリエチレンテレフタレート、低融点熱可塑性ポリエステル/ポリエチレンテレフタレート、各種のポリエチレン/ナイロン6、ポリプロピレン/ナイロン6、プロピレンと他のαオレフィンとの二元共重合体または三元共重合体/ナイロン6、ナイロン6/ナイロン66、ナイロン6/熱可塑性ポリエステルなどを挙げることができる。 【0020】これらの中ではポリオレフィン同士もしくはポリオレフィンとポリエステルからなる組み合わせが好ましく、その具体例としては高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン二元共重合体/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体/ポリエチレンテレフタレート、あるいは高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。更に、これらの中ではポリオレフィン同士、例えば高密度ポリエチレン/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体/ポリプロピレン、エチレン・プロピレン二元共重合体/ポリプロピレン等が耐薬品性の面から特に好ましい。 【0021】熱接着性複合繊維に紫外線吸収剤を0.7〜15重量%含有させるには、前記熱接着性複合繊維を構成する低融点樹脂および高融点樹脂のいずれか1種の樹脂に含有させても複数種の樹脂に含有させてもよく、複数種の樹脂に含有させる場合には樹脂により含有量を変えてもよい。熱接着性複合繊維が鞘芯型構造の場合、紫外線吸収剤を含有させるのは鞘成分でも芯成分でも両方でもよい。本発明の防虫シートは、前記の紫外線吸収剤が含有される他、本発明の効果を妨げない範囲で、安定剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤などを添加し含有させることができる。 【0022】本発明において、JIS L 1021「繊維製床敷物の構造に関する試験方法」に従って測定される防虫シートの厚みは0.1〜5mmの範囲であることが好ましい。防虫シートの厚みが0.1mm未満では破れが発生する恐れがあり、5mmを大きく超えた場合、通気性が悪くなり、前記防虫シートをハウスなどに展張しその中で作物を栽培する場合に、作物に蒸れの被害が発生することがある。また、厚みが増すにつれて遮光性も大きくなるため、作物育成に十分な日光を得ることができなくなる。その厚みは、目的とする用途、作物、害虫の種類などによって、適宜決定される。 【0023】本発明の防虫シートの目付は10〜200g/m2である。目付が小さいほど軽量となるため、ハウスに展張する場合などにおける作業性や施工性が良くなるが、同時に前記防虫シートの強度は低下するため、破れやすくなる。目付が10g/m2を大きく下回ると、強度の低下以外にも、目付斑が発生しやすくなり、防虫シートとしては使用できなくなる場合がある。目付が200g/m2を大きく上回ると、ハウスに展張する場合などにおける作業性や施工性が悪くなるばかりか、植物に必要な日光も遮ることとなるため、やはり防虫シートとしては不適である。 【0024】本発明の防虫シートの通気度は、100cc/cm2・sec以上である。ここで通気度とは、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の通気性の項に記載の方法に従って測定された試験片を通過する空気量である。通気度が高ければ高いほど換気性が良く、前記防虫シートをハウスなどに展張しその中で作物を栽培する場合に蒸れ被害が起こりにくい。通気度が100cc/cm2・sec未満の場合、換気が悪くなり蒸れを生じる恐れがある。 【0025】本発明の防虫シートは、熱接着性繊維を目的の目付を有するウェブに形成し、ウェブ形成と同時に、またはウェブ形成後に、前記ウェブを熱接着性繊維同士の交点が熱接着する温度以上に加熱することにより、交点が熱接着して得られる不織布状の防虫シートである。本発明の防虫シートを得るためのウェブの形状は、スパンボンド法やメルトブロー法等のように、長繊維を積層させた長繊維ウェブ形状でも良く、また、長繊維を任意の長さに切断した後,カード機やランダムウエバー等を用いてこれらを積層させた短繊維ウェブ形状でも良い。一般的に、目付が小さく軽量で、かつ、植物に必要な日光を得るために遮光効果が低い防虫シートを得るためには、スパンボンド法やメルトブロー法等が利用されるが、防虫シートの強度が必要な場合等には、特にスパンボンド法が好ましく利用される。防虫シートの厚みを大きくする必要がある場合や、目付を大きくしたい場合などは、ウェブの形成にカード法などが好ましく利用される。なお、ウェブの作成方法は、本発明を何ら規定するものではない。 【0026】前記の熱接着性繊維同士の交点を加熱し熱接着させるための装置としては、例えば、熱風型加熱機、赤外線加熱機、遠赤外線加熱機、高圧蒸気加熱機、超音波型加熱機、熱ロール型加熱機、熱圧着ロール型加熱機等、エンボスロール熱圧着機、スルーエアー加熱機、及びこれらを複数組み合わせた熱処理装置等が挙げられる。 【0027】 【実施例】以下、実施例で本発明をさらに詳しく説明する。本発明に関する試験方法を説明する。 【0028】(厚み)JIS L 1021「繊維製床敷物の構造に関する試験方法」に準拠する。 【0029】(紫外線透過率)分光光度計(島津製作所製、UV2100型)を用い、波長280〜380nmの紫外線の透過率を20nm毎に計測し、これら計測値の平均値を紫外線透過率とした。紫外線透過率が大きいと作物におけるアントシアニン色素の形成やミツバチなどの訪花活動には有利だが、害虫忌避効果は低下する。逆に、紫外線透過率が小さいと害虫忌避効果は大きくなるが、アントシアニン系色素の形成などには不利である。 【0030】(通気度)JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の6.34通気性の項に準拠する。なお測定には、(株)東洋精機製作所の織布通気度試験機を使用した。 【0031】実施例1鞘成分に融点が133℃のエチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体、芯成分に融点が162℃のポリプロピレンを用いた、鞘成分/芯成分の構成比率が50重量%/50重量%である、繊度20dtex、繊維長128mmの鞘芯型熱接着性複合繊維を用いて、カード法にて目付が197g/m2の短繊維ウェブを作成した。なお、熱接着性複合繊維には、紫外線吸収剤として、鞘成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを10重量%、芯成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを10重量%、繊維全体として10重量%を添加した。このウェブを熱風型加熱機を用いて150℃で熱処理し、熱接着性複合繊維同士の交点を熱接着した、厚み3.7mmの不織布シートサンプルを得た。この不織布シートサンプルを用いて、通気度、紫外線透過率を測定した。結果を表1に示す。 【0032】実施例2鞘成分に融点が131℃の高密度ポリエチレン、芯成分に融点が162℃のポリプロピレンを用いた、鞘成分/芯成分の構成比率が50重量%/50重量%、繊度10dtexの熱接着性複合長繊維糸からなる不織布シートサンプルを、スパンボンド法にて作成した。この不織布シートサンプルは、温度125℃、凸部面積14%のエンボスロールで熱圧着された、目付20g/m2、厚み0.2mmの不織布シートサンプルであった。なお、熱接着融性複合長繊維糸には、紫外線吸収剤として、鞘成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを10重量%、芯成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを10重量%、繊維全体として10重量%を添加した。この不織布シートサンプルを用いて、通気度、紫外線透過率を測定した。結果を表1に示す。 【0033】実施例3鞘成分に融点が133℃の高密度ポリエチレン、芯成分に融点が166℃のポリプロピレンを用いた、鞘成分/芯成分の構成比率が40重量%/60重量%である、繊度2dtex、繊維長128mmの鞘芯型熱接着性複合繊維を用いて、カード法にて目付が118g/m2の短繊維ウェブを作成した。なお、熱接着性複合繊維には、紫外線吸収剤として、鞘成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを1.2重量%、芯成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.6重量%、繊維全体として0.84重量%を添加した。このウェブを熱風型加熱機を用いて155℃で熱処理し、熱接着性複合繊維同士の交点を熱接着した、厚み1.9mmの不織布シートサンプルを得た。この不織布シートサンプルを用いて、通気度、紫外線透過率を測定した。結果を表1に示す。 【0034】実施例4鞘成分に融点が134℃の高密度ポリエチレン、芯成分に融点が166℃のポリプロピレンを用いた、鞘成分/芯成分の構成比率が50重量%/50重量%である、繊維長64mm、繊度500dtexの鞘芯型熱接着性複合繊維を用いて、カード法にて目付が183g/m2の短繊維ウェブを作成した。なお、熱接着性複合繊維には、紫外線吸収剤として、鞘成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを2重量%、芯側成分に2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンを28重量%、繊維全体として15重量%を添加した。このウェブを熱風型加熱機を用いて155℃で熱処理し、熱接着性複合繊維同士の交点を熱接着し、厚み4.8mmの不織布シートサンプルを得た。この不織布シートサンプルを用いて、通気度、紫外線透過率を測定・評価した。結果を表1に示す。 【0035】比較例1実施例1と同じ熱接着性複合繊維を用いて、カード法にて目付が433g/m2の短繊維ウェブを作成した。なお、熱接着性複合繊維には、紫外線吸収剤として、鞘成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.2重量%、芯成分にも2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.2重量%、繊維全体として0.2重量%を添加した。このウェブを実施例1と同様に熱処理して、厚みが8mmの不織布シートサンプルを得た。しかしながら、この不織布シートサンプルは、厚いために取り扱い性が悪く、且つ植物育成に必要な日光をあまり通さないものであった。よって、防虫シートとしては不適であった。 【0036】比較例2鞘成分に融点が134℃のエチレン・プロピレン二元共重合体、芯成分に融点が165℃のポリプロピレンを用いた、鞘成分/芯成分の構成比率が50重量%/50重量%である、繊維長128mm、繊度0.5dtexの熱接着性複合繊維を用い、カード法にて目付が440g/m2の短繊維ウェブを作成した。なお、熱接着性複合繊維には、紫外線吸収剤として、鞘成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.2重量%、芯成分にも2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.2重量%、繊維全体として0.2重量%を添加した。このウェブを実施例1と同様に熱処理し、厚みが1mmの不織布シートサンプルを得た。この不織布シートサンプルを用いて、通気度、紫外線透過率を測定した。結果を表1に示す。この不織布シートサンプルは、繊維が非常に密な状態となっているため、通気性が悪く、且つ植物育成に必要な光をあまり透過しないものであった。よって、防虫シートとしては不適であった。 【0037】比較例3比較例2と同じ熱接着性複合繊維を用いて、カード法にて目付が7g/m2の短繊維ウェブを作成した。しかしながら、目付の斑が多く、均一なウェブを得ることができなかった。よって、防虫シートとしては不適であった。 【0038】比較例4鞘成分に融点が133℃のエチレン・プロピレン・ブテン−1三元共重合体、芯成分に融点が162℃のポリプロピレンを用いた、鞘成分/芯成分の構成比率が50重量%/50重量%である、繊維長64mm、繊度750dtexの鞘芯型熱接着性複合繊維を用いて、カード法にて目付が189g/m2の短繊維ウェブを作成した。なお、熱接着性複合繊維には、紫外線吸収剤として、鞘成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.2重量%、芯成分に2(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを0.2重量%、繊維全体として0.2重量%を添加した。このウェブを熱風型加熱機を用いて150℃で熱処理し、熱接着性複合繊維同士の交点を熱接着した、厚み6.1mmの不織布シートサンプルを得た。この不織布シートサンプルを用いて、通気度、紫外線透過率を測定した。結果を表1に示す。この不織布シートサンプルは、繊度が大きく、且つ繊維の集積具合が非常に粗となっていた。また、紫外線吸収剤の添加量が少ないため、紫外線を透過させてしまうものであった。よって、防虫シートとしては不適であった。 【0039】実施例5,6(害虫忌避試験)ポットで栽培され花と果実をつけたイチゴ(品種:とよのか)2株を、縦30cm、横30cm、高さ40cmの直方体状の鉄枠に入れ、鉄枠の周囲に実施例1、2で得た不織布シートサンプルを張った(実施例5,実施例6)。前記の不織布シートサンプルは、使用時の破損の影響を考慮し、幅5cm、裂部の最大開孔長5mm程度の開孔を四辺に1ヶ所ずつ、任意の高さに設けた。この周囲にイチゴの害虫であるミカンキイロアザミウマ50頭を放し、48時間放置した。48時間後、鉄枠中に侵入したミカンキイロアザミウマの頭数を数えた。なお、試験は、自然光に近い日射が得られ、かつ、害虫が逃げ出さないように日当たりの良いガラス室内で実施し、試験後害虫は薬殺した。結果を表2に示す。両方の不織布シートサンプルにおいて、実施例5では1頭の侵入も見られなかった。また、実施例6においては、3頭のみの侵入に留まった。よって、良好な害虫忌避性を確認した。 【0040】比較例5,6実施例1,2の不織布シートサンプルにおいて、紫外線吸収剤の添加量を各々鞘芯両成分共に0.2重量%、繊維全体として0.2重量%とした不織布シートサンプル(比較例5,比較例6)を作成し、実施例5と同様の試験を行った。結果を表2に示す。両方のサンプルにおいて、害虫のミカンキイロアザミウマの侵入が認められた。特に比較例6のサンプルにおいては、34頭もの侵入があり、害虫忌避性は認められなかった。 【0041】前記の実施例、比較例においては、紫外線吸収剤としてベンゾトリアゾール系およびベンゾフェノン系紫外線吸収剤を用いたが、ベンゾエート系、サリシレート系およびシアノアクリレート系紫外線吸収剤においても同様の効果を期待することができる。本発明の防虫シートは、優れた害虫忌避性を有するため、農業用防虫シートとしてのみならず、建築用、家庭用、その他多くの用途に使用することができる。また、本発明の防虫シートは、他の資材例えば布帛、フィルム、金属ネット、建設資材、土木資材、農業資材など、多くの資材と組み合わせて使用することも可能である。 【0042】 【表1】
【0043】 【表2】
【0044】 【発明の効果】本発明の防虫シートは、紫外線吸収剤を多量に含有する熱接着性繊維を用いることにより、作物への害虫侵入を抑制し、かつ、作物のアントシアニン系色素の形成を阻害せず、昆虫の受粉活動も実質的に可能な、施設園芸用被覆資材としても好適な不織布状の防虫シートである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002071 【氏名又は名称】チッソ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年2月8日(1999.2.8) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−224927(P2000−224927A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月15日(2000.8.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−30106 |
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