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【発明の名称】 自動接ぎ木装置
【発明者】 【氏名】大越 崇博

【氏名】山本 和彦

【氏名】滝本 秀夫

【要約】 【課題】根鉢がある台木苗を使用する場合、根鉢がフリ−の状態になっているので、把持作業を終えて接木苗を排出するときに、根鉢の重量によって下向きに傾斜して把持具供給手段の近くにある他の部品に引っ掛かって円滑に接木作業を続けられないことがあり、作業能率低下を引き起こす。

【解決手段】接合場所15に供給された穂木苗1と台木苗2の接合部3に向けて把持具4を供給する把持具供給装置16を設け、該接合部3の下方位置にに台木苗2の根鉢部5を受ける根鉢受6を機枠に着脱自在に設けてなる自動接ぎ木装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 穂木苗1と台木苗2の接合部3に向けて把持具4を供給する把持具供給手段を設け、該接合部3の下方位置にに台木苗2の根鉢部5を受ける根鉢受6を設けてなる自動接ぎ木装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、穂木苗と台木苗とを接合して接ぎ木苗を製造する自動接ぎ木装置に関する。
【0002】
【従来の技術】穂木苗と台木苗との接合部を把持手段で把持して接木苗を製造する構成である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、根鉢がある台木苗を使用する場合、根鉢がフリ−の状態になっているので、把持作業を終えて接木苗を排出するときに、根鉢の重量によって下向きに傾斜して把持具供給手段の近くにある他の部品に引っ掛かって円滑に接木作業を続けられないことがあり、作業能率低下を引き起こす。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、このような課題を解決する自動接ぎ木装置を提供するものであって、つぎの技術的手段を講じた。即ち、穂木苗1と台木苗2の接合部3に向けて把持具4を供給する把持具供給手段を設け、該接合部3の下方位置にに台木苗2の根鉢部5を受ける根鉢受6を設けてなる自動接ぎ木装置とする。
【0005】
【発明の作用】手動又は自動で穂木苗1及び台木苗2を供給すると、該苗1,2は切断作業、切断した苗を接合場所に供給する供給作業、接合部3での把持具4による苗の接合作業が順次行われて接ぎ木苗を製造する。この作業において、接合場所に送られてきた台木苗2の根鉢部5は根鉢受6に受けられ。
【0006】
【発明の効果】接合部3での把持作業、及び接木苗の排出作業を良好に行うことができるので、接木作業能率を高め得る。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、この発明の一実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。まず、その構成について説明すると、自動接ぎ木装置7はカバ−8で覆った接木装置9により接木苗10を製造する接ぎ木本体11と、接木苗10を搬送するコンベア12とを備え、接木苗10を製造する。
【0008】該接木装置9は一側に穂木苗受け具13を設けると共に他側に台木苗受け具14を設け、中央部には、接合場所15に把持具4を整列して搬送する把持具供給装置16を設けている。把持具4は先端部に把持部4aを有する一対の把持片4bと、無負荷時のときは把持部4aを閉じる非連続のリング形状のスプリング4c等により構成している。
【0009】そして、該穂木苗受け具13と接合場所15との間には穂木苗1を穂木苗受け具13から接合場所15に搬送して供給する穂木苗供給装置17を設けており、台木苗受け具14と接合場所15との間には台木苗2を台木苗受け具14から接合場所15に搬送して供給する台木苗供給装置18を設けている。また、穂木苗供給装置17が穂木苗1を搬送する工程の途中に穂木苗切断装置19を設け、台木苗供給装置18が台木苗2を搬送する工程の途中に台木苗切断装置20を設けている。
【0010】操作パネル21は接ぎ木本体11の上部に設けており、接ぎ木数をカウントして表示するカウンタ−22、異常時に警報を報知する警報ブザ−23、注意を喚起する注意ランプ24、電源スイッチ25、「切」・「手動」・「自動」・「調整」の各作業を選択可能なダイヤル式のモ−ド切換スイッチ26、「始動」・「停止」を選択する運転スイッチ27、作物スイッチ28、切断作業、供給作業、接合作業等を一ステップ毎行なうことができるステップスイッチ29、作業を初期状態に復帰させるリセットスイッチ30、切断前の穂木苗1への把持圧力を調整できる穂木把持力調整スイッチ31、作動圧力計32等を設けている。
【0011】前記把持具供給装置16は振動装置(図示せず)による振動を駆動源とし且つ多数の把持具4を貯留する螺旋の通路を有する皿状の貯留部33と、この貯留部33と連通する通路を有し且つ把持具4を案内しながら一列に整列する整列部34と、整列部34の先端部に案内されてきた把持具4が接合場所15に送られてきた穂木苗1と台木苗2との接合部3に向けて押し出す押出し具35等で構成している。
【0012】該整列部34の接合側端部は案内始端部を円弧面に形成し、案内終端部を略直線状の面に形成した狭窄レ−ル36を横方向に間隔Aをおいて固定している。なお、該間隔Aは把持具4が通過する時に把持具4の把持部4aを開放するように設けている。そして、該狭窄レ−ル36の案内終端に続いて、エアシリンダ(図示せず)により横方向に往復移動する開閉ガイド37を設けている。該開閉ガイド37の案内面38の縦方向において、案内始端から案内中間部に向けて順次幅を狭くした斜面38aに形成し、さらに、把持具4のスプリング4cの厚みtよりもやや大きい幅(約1.5t)を有するスプリングガイド38bを設けている。
【0013】この開閉ガイド37が内側への移動を完了したとき、開閉ガイド案内面38は狭窄レ−ル36の案内面36aと略同一線状か又は若干後退した位置になるように構成している。前記押出し具35は整列部34の通路方向に往復移動可能に設けた押出しシリンダ39と、先端部に把持具4の中央部に接触可能で且つ押出しシリンダ39の先端部に着脱自在に取り付けた押出しプレ−ト40とを備えている。
【0014】なお、把持具4の把持部4aが、押出しプレ−ト40による押出し作用によって、苗1,2の接合部3を把持する位置に到達したとき、把持具4の後端が狭窄レ−ル36から離脱した位置にある。根鉢受6は縦面6aと横面6bとで形成する角度αが90度より大きい角度(実施例では約105度)になるように平板の後端部を上側に向けて折り曲げている。そして、縦面6aは縦方向に長い長孔6cを形成し、前記狭窄レ−ル36の下方に位置する機枠41に着脱自在に設けると共に縦方向に位置変更可能に設けている。
【0015】したがって、根鉢受6を機枠41に取り付けたとき、横面6bが下向きに傾斜し、また、その先端は接合場所15の下方位置で且つ根鉢部5の後面よりも若干後方に位置するように長く設けている。42は前記接合苗受け具13,14、苗供給装置17,18、苗切断装置19,20、接合場所15等を覆い且つ接合側の接ぎ木本体11に蝶板のような回動部材を介して縦方向に開閉可能な透視可能な素材(実施例では合成樹脂)で形成した接合具カバ−である。
【0016】そして、接合場所15に対抗する接合具カバ−42の上壁に、把持具供給装置16の移送側端部を拡大して見ることができる拡大鏡(実施例では凸レンズを使用)43を設けている。したがって、接合作業状態や接合位置を調整した場合の調整状態等を容易に目視で確認できる。通常の作業において、前記接合具カバ−42は閉じ位置にない場合、これを検出したセンサ(図示せず)から出力した危険険信号は制御装置44に取り込まれるので、制御装置44は接ぎ木作業の駆動指令信号を出力しない。すなわち、接ぎ木作業を行なう各装置は作動しない。
【0017】しかし、ダイヤル式のモ−ド切換スイッチ26を操作して、「調整」の作業を選択すると、連続運転又はステップ運転にかかわらず接合具カバ−42は閉じ位置にない場合や接合具カバ−42がない場合にあっても、システム作動可能に構成している。この場合、運転スイッチ27を「始動」操作すると、制御装置44から注意ランプ24と警報ブザ−23に作動指令信号をを出力するので、注意ランプ24が点灯し、さらに、警報ブザ−23から警報を報知して作業者に知らせる。
【0018】そして、接ぎ木作業工程の動作が続けて5ル−チン(5回)行われると、制御装置44から出力している接ぎ木作業工程動作の指令信号を停止する構成にしている。したがって、接合カバ−42を開放して接ぎ木装置の調整や点検を行なう時、各装置が正常に機能するか把握することができる。このとき、注意ランプ24が点灯し、さらに、警報ブザ−23から警報を報知して作業者に知らせるので、作業者は危険な状態であることを知り得る。
【0019】図11はリモ−トメンテナンスシステムに係るものであって、パソコン45とモデム(発信)46、モデム(受信)47と接木装置9との間を情報を送・受信可能に接続しており、さらに、モデム(発信)46とモデム(受信)47との間を電話回線を介して情報を送信可能に接続している。また、接木装置9のカバ−8にリモ−トシステム作動表示灯48を設けている。
【0020】これにより、パソコン45を操作してリモ−トメンテナンスを作動すると、接木装置9と遠隔地よりのリモ−トコントロ−ルが両立させることができるので、遠隔地及び接木作業を行なう作業者が接木装置9のリモ−トメンテナンス中であることを簡単に知ることができる。なお、通信方式を全二重(DATA)とし、また、調歩同期式として送受信可能に設けてもよい。
【0021】遠隔地でのメンテナンス、遠隔地からの接木装置9の状態・監視・設定変更・プログラムの修正が可能になり、さらに、ユ−ザ−へのサ−ビス、情報提供を容易に行い得る。図12の実施例は、前記モデム(受信)47に替えて、無線回線(実施例では携帯電話)49と通信アダプタ50を設けており、接木装置9の設置場所の選択幅を大きくすることができ、ユ−ザ−へのサ−ビスの質を高める。
【0022】なお、図示していないが、接木作業など各作業は、あらかじめ設定されていいる制御プログラムによって行うように設けている。つぎに、その作用について説明する。まず、作業者は電源スイッチ25及び運転スイッチ27を入りにし、また、モ−ド切換スイッチ26を自動に選択した後、穂木苗1の胚軸を穂木苗受け具13にセットし、台木苗2の胚軸を台木苗受け具14にセットする。
【0023】すると、これを感知したセンサ(図示せず)からの信号により、制御装置44から制御信号を受けたエアを駆動源とする作動手段によってハンドが横方向内側に移動し、穂木苗1の胚軸を把持する。そして、穂木苗供給装置17は略90度回動して穂木苗切断装置19に対向する位置で停止すると、これとタイミングを持って、穂木苗切断装置19は回動して元の位置に戻るが、この回動時において、切断刃は手前側に位置する子葉を有する胚軸の略所定位置を切断する。胚軸の切断を終えると、穂木苗供給装置17はさらに90度回動して接合場所15に対向させる。
【0024】一方、台木苗2も前記と同様の作業が行われて、台木苗供給装置18によって接合場所15に対向する位置に搬送されるが、この間、回動する台木苗切断装置20に設けた切断刃によって略所定位置を切断される。続いて、穂木苗供給装置17のエアチャックは前方の所定位置に移動すると共に台木苗供給装置18のエアチャックも前方の所定位置に移動して、穂木苗1の切断面と台木苗2の切断面を押し付ける。このとき、台木苗2の根鉢部5は根鉢受6に受けられるので、前後又は左右方向に振れるのを防止できる。
【0025】また、把持具4は把持具供給装置16によって貯留部33から通路を通って狭窄レ−ル36の整列部34に搬送され、ここでは一列に整列する。そして、狭窄レ−ル36の所定位置に移動した把持具4は、往復移動する押出しシリンダ39を介してそれと同方向に移動する押出しプレ−ト40により、接合場所15に送られてきた穂木苗1と台木苗2との接合部3に向けて押し出される。
【0026】このとき、整列部34の接合側端部は案内始端部を円弧面に形成し、案内終端部を略直線状の面に形成した狭窄レ−ル36を横方向に間隔Aをおいて固定しているので、把持具4は通過する時に把持部4aを開放する。そして、把持具4は狭窄レ−ル36の案内終端に続いて、エアシリンダにより横方向に往復移動する開閉ガイド37の案内面38を通るとき、案内始端から案内中間部に向けて順次幅を狭くした斜面38aになっているので、狭窄レ−ル36から案内面38に円滑に入ることができ、把持具4の詰まりを防止できる。
【0027】さらに、把持具4のスプリング4cは案内面38のスプリングガイド38bに沿って通るが、このスプリング4cの厚みtよりもやや大きい幅にスプリングガイド38bを設けているので、スプリング4cの揺動が規制され把持具4の案内を円滑にする。その後、把持具4の把持部4aが所定位置に到達したとき、把持具4の後端が狭窄レ−ル36から離脱すると共に、開閉ガイド37はこれとタイミングを保ってエアシリンダにより外側に移動するので、把持部4aは閉じて苗1,2の接合部3を把持する。このとき、根鉢部5は根鉢受6で支えられているので、苗1,2の姿勢が安定し、把持部4aによる接合部3の把持の安定を高め得る。
【0028】この接合作業を終え、押出しプレ−ト40によって押された接合具4はその押出し方向に倒れるが、根鉢受6の横面6bは排出側下向きに傾斜しているので、この根鉢部5もそれと同方向に倒れ、接木苗10はコンベア12に円滑に落下する。そして、開閉ガイド37が内側への移動を完了したとき、開閉ガイド案内面38は狭窄レ−ル36の案内面36aと略同一線状か又は若干後退した位置になるように構成しているので、把持具4の引っ掛かりがない。
【0029】その上、把持具4の把持部4aが、押出しプレ−ト40による押出し作用によって、苗1,2の接合部3を把持する位置に到達したとき、把持具4の後端が狭窄レ−ル36から離脱した位置にあるので、把持部4aの閉じ作用の確実性を向上する。なお、根鉢受6は縦方向の位置を調節できるので、台木苗2の条件の適応性を高め得る。
【0030】接合作業を終えると、穂木苗供給装置17及び台木苗供給装置18のエアチャックは交代して元の所定位置に戻り、それぞれ穂木苗受け具13と台木苗受け具14に向かって回動し、つぎの作業のために待機する。そして、コンベア12に落下した接木苗10は搬送終端部に搬送され、順化作業など次作業処理される。手動操作する場合には、モ−ド切換スイッチ26を自動から手動に合わせる。そして、ステップスイッチ29を押すと、穂木苗供給装置17が穂木苗受け具13に向けて前進し苗の把持動作を行い、台木苗供給装置18が台木苗受け具14に向けて前進し台木苗の把持動作をする。
【0031】つづいて、ステップスイッチ29を押すと、穂木苗供給装置17及び台木苗供給装置18が約90度回転する。以下、ステップスイッチ29を入りにする毎に、次の1作業を順に行なう。さらに、リセットスイッチ30を入りにすると、作業が初期状態に復帰される。したがって、手動による作業の途中で作業開始位置に戻したい場合に有効である。
【0032】ステップスイッチ29とリセットスイッチ30とを同時に入りにすると、制御プログラムにしたがって前記自動動作と同様の作業を行なうので、接ぎ木用の苗がない場合であっても、各動作が正常に行われているか容易に知ることができる。これにより、メンテナンスの効率化を図れる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成11年2月8日(1999.2.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−224919(P2000−224919A)
【公開日】 平成12年8月15日(2000.8.15)
【出願番号】 特願平11−30344