| 【発明の名称】 |
培地および作物の栽培方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】木元 成年
【氏名】原田 典明
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| 【要約】 |
【課題】培土作製における作業負担、並びに病害虫防除における作業負担の大幅な軽減。
【解決手段】椰子殻を含有する保水材と被覆農薬粒剤とを含有する培地であって、土壌三相計で測定した保水材の真比重が1.5〜3.5g/cm3の範囲であることを特徴とする培地、および該培地を用いた作物の栽培方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 椰子殻を含有する保水材と被覆農薬粒剤とを含有する培地であって、土壌三相計で測定した保水材の真比重が1.5〜3.5g/cm3の範囲であることを特徴とする培地。 【請求項2】 保水材が粒状である請求項1に記載の培地。 【請求項3】 保水材の含有水分率(X)が、0重量%<X≦30重量%の範囲である請求項1または2に記載の培地。 【請求項4】 被覆農薬粒剤が、施用後一定期間農薬成分の放出が抑制された放出抑制期間と、一定期間経過後農薬成分の放出が持続する放出期間とからなる時限放出型の徐放機能を有する被覆農薬粒剤である請求項1〜3の何れか1項に記載の培地。 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載の培地を使用することを特徴とする作物の栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は培地および該培地を用いた作物の栽培方法に関する。更に詳しくは、椰子殻を含有する保水材と被覆農薬粒剤とを含有する培地であって、土壌三相計で測定した保水材の真比重が1.5〜3.5g/cm3の範囲であることを特徴とする培地、および該培地を用いた作物の栽培方法に関する。 【0002】 【従来の技術】育苗をはじめとした作物栽培用の資材である培地は、これまでは農家自身が自前の天然土壌を用いて作製していた。培地の作製作業には消毒、肥料の添加、pHをはじめとする理化学性の調整等があり、また土壌自体の比重も重いことから、培地の作製作業は農家にとって大きな負担であった。この培地作製作業の軽減を目的とし、近年、天然土壌と比べて比較的軽量な、ピートモスや椰子殻等の植物系繊維素材を有効成分としたソイルレス系の培地原材料を用い、予め消毒、肥料の添加、pHをはじめとする理化学性の調整等を済ませた培土が販売され、普及している。 【0003】一方、農家にとって培土の作製と共に重要な作業である病害虫の防除作業は、これまで農薬成分を含有する農薬製剤を粒剤、粉剤、若しくは水和剤の状態で発生時期に合わせて施用していた。農薬製剤が粒剤の場合には、該粒剤を水田に均一散布する方法が採られており、農薬製剤が粉剤若しくは水和剤の場合には、該粉剤若しくは水和剤を茎葉に直接散布する方法が採られており、これら除草作業も培地の作製作業と同様、就農者が高齢化している農家にとっては大きな負担であった。また、病害虫の防除作業においては、前述のように粒状、粉状若しくは液状の農薬製剤を散布作業者が直接水田に持ち込むため、散布作業者自身が散布時に、該製剤を口若しくは鼻腔から体内に吸引してしまう恐れがあり、危険な作業であった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の植物系繊維材料を有効成分とするソイルレス系の培地は、天然土壌を主成分とする培地と比べ軽量である。更に軽量化する場合には、乾燥により水分含有率を下げることによって達成される。しかしながら、乾燥により軽量化された場合には該培地に撥水性が生じ、培地としての吸水性・保水性を阻害すると云った問題点があった。そこで、従来は植物系繊維材料を含む培地においては、撥水性を発現させない目的で予め該培地の含有水分率を40〜60重量%に調整する必要があった。このため植物系繊維材料を有効成分とするソイルレス系の培地では、十分な軽量化は達成されていなかった。 【0005】また、農薬散布作業の軽減、及び散布作業時の安全性向上を目的とし、農薬粒子を被膜材料で被覆した被覆農薬粒剤が開発され、さらには該被覆農薬粒剤を用いた育苗用資材として特開平9−233952号公報に開示の時限放出型被覆農薬粒剤を含有する水稲用育苗培土、特開平10−4783号公報に開示の時限放出型被覆農薬粒剤を含有する園芸用育苗培土が開発されている。しかしながら、これらの被覆農薬粒剤を含有した培地を、農業従事者が直接水田に搬入する必要があり、その点を加味すると作業負担の軽減が十分であったとは言い難い。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、椰子殻を含有する保水材と被覆農薬粒剤とを含有する培地であって、土壌三相計で測定した保水材の真比重が1.5〜3.5g/cm3の範囲であることを特徴とする培地であれば、乾燥により培地の水分含有率を低くした場合であっても撥水性が生じ難く、且つ農薬散布作業の大幅な軽減が可能であり、培土作製における作業負担、並びに病害虫防除における作業負担の大幅な軽減が可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。 【0007】本発明は下記の(1)〜(6)の構成を有する。 (1)椰子殻を含有する保水材と被覆農薬粒剤とを含有する培地であって、土壌三相計で測定した保水材の真比重が1.5〜3.5g/cm3の範囲であることを特徴とする培地。 (2)保水材が粒状である前記第1項に記載の培地。 (3)保水材の含有水分率(X)が、0重量%<X≦30重量%の範囲である前記大1または2項に記載の培地。 (4)被覆農薬粒材が、施用後一定期間農薬成分の放出が抑制された放出抑制期間と、一定期間経過後農薬成分の放出が持続する放出期間とからなる時限放出型の徐放機能を有する被覆農薬粒剤である前記第1〜3項の何れか1項に記載の培地。 (5)前記第1〜4項の何れか1項に記載の培地を使用することを特徴とする作物の栽培方法。 【0008】本発明で用いる椰子殻とは、椰子の実の果皮から外果皮および内果皮を除去し、取り出された中果皮に由来する繊維状物および木質部分であり、中果皮全体を裁断粉砕等により、繊維状物と木質部分の混合物としたものや、コイアダストと呼ばれる中果皮から更に有用成分(剛長繊維および中短繊維)を除いた残りの細短繊維および木質部分の混合物としたものを意味する。この木質部分とは中果皮の繊維間を埋めるように構成するものである。特に、コイアダストは、有用成分である繊維採取工程に伴って大量に発生(中果皮全体の約60重量%)するものであり、従来は廃棄処分されていたものである。また、コイアダストは繊維採取工程の不要成分として採取されるため、細短繊維および木質部分の中には多少の長中繊維も混在している。 【0009】その製法は次の通りである。 ■椰子の実から、果汁、胚乳、内果皮部分を除いた外・中果皮を乾燥する。 ■乾燥された外・中果皮は4〜6週間淡水に浸し、余分なタンニン、塩化物を除去する(アク抜き)と共にふやけさせる。 ■柔らかくなった外・中果皮から、ロープ、マットおよびマットレスに使用される剛長繊維・中短繊維を分離し、残さいとして副生する細短繊維と木質部分を採取する。 ■採取された細短繊維と木質部分は、水分を80〜90重量%含有しているが、脱水工程により40〜50重量%とし、天日または熱風乾燥により、水分率20重量%とする。 ■更にこの乾燥品は、燻蒸消毒・殺菌工程を経て、コンタミ除去・粒度調整を行う。 【0010】以上のように、ロープ、マットおよびマットレスに使用される剛長・中短繊維を除いた残さいがコイアダストであり、別名コイア、ピス等とも呼ばれ、従来は廃棄処分されていたものである。即ち、本発明は廃棄物の有効利用につながる。 【0011】コイアダストを採取する椰子の種類としては、特に限定されるものではないが、スリランカ産のココ椰子から良質の剛い繊維が採取されるため、ロープ、マットおよびマットレス等の繊維製品に好適に使用され、コイアダストの排出量も多い。このため、スリランカ産のココ椰子のコイアダストは、品質および安定供給の点で優れており好適に用いられる。 【0012】本発明に用いる保水材は、前述の椰子殻を含有し、且つ土壌三相計で測定した真比重(以下「真比重」と記述する)が1.5〜3.5g/cm3の範囲のものである。本発明における保水材は、前述の椰子殻のみからなるものであっても良いが、該椰子殻以外の成分を含むものであっても良い。保水材中の椰子殻の含有量は、保水材全量に対し10重量%以上であることが好ましく、10重量%未満では培地の軽量化への寄与が少ない。 【0013】椰子殻以外の成分としては、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、ロックウール等の鉱物類、樹皮、木材パルプ、もみ殻、おが屑、木炭等の草木類、吸水性ポリマー、ピートモス等の植物性繊維材料を挙げることができる。これらの中でも、植物性繊維材料は比較的安価で供給が安定しており、本発明においては好ましく用いることができる。ピートモス等の材料は乾燥により撥水性が発現することから、保水材における含有割合(該椰子殻/植物性繊維材料)は重量比で2.0以上であることが好ましい。 【0014】該真比重の制御は、保水材に後述の加工方法によって剪断力および/または圧縮力を加えることにより可能である。保水材の真比重が1.5g/cm3未満の場合には、培土を乾燥させ低水分とした時に撥水性が発現し、吸水・保水特性が悪化し、該真比重が3.5g/cm3を超える場合には、培地の原材料としては重くなり、作業性が悪化する。該真比重のより好ましい範囲は1.6〜2.5g/cm3である。保水材の真比重を前述の範囲にすることにより、乾燥により培地の含有水分率を低く抑えた場合であっても、散水の際の撥水性が生じにくくなる。従って、本発明であれば培地の水分を極限まで下げることが出来、培地の大幅な軽量化が達成できる。 【0015】また、本発明に使用する保水材の形状は、特に限定されるものではなく、粉状であっても粒状であっても良いが、本発明においては取り扱い易さの点から粒状であることが好ましい。また、粒状の保水材と粉状の保水材との混合物であっても構わない。粒状にする方法は特に限定されるものではないが、以下に挙げる加工方法で粒状化することが好ましい。 【0016】好ましい加工方法としては、押出造粒法、圧縮造粒法、転動造粒法、噴霧乾燥造粒法、流動層造粒法、破砕造粒法、攪拌造粒法およびコーティング造粒法等の造粒法が挙げられる。その中でも、剪断力、および/または圧縮力を加えることが可能な方法である、押出造粒法と圧縮・粉砕造粒法による加工が特に好ましい。押出造粒方式としては、例えば、スクリュー型である前押出式、横押出式、真空押出式および前処理兼用式、ロール型であるディスクダイ式やリングダイ式、ブレード型であるバスケット式やオシレーティング式、自己成形型であるギヤー式やシリンダー式、ラム型である連続式や断続式等が挙げられ、圧縮・粉砕造粒方式としては、タブレッティング法とロールプレス法等が挙げられる。 【0017】上述の加工方法によって得られる粒状保水材の形状は、特に限定されるものではなく、球状、楕円球状、ペレット状および多面体状等のいずれであってもよい。粒状保水材の大きさは、最長部の平均が、該保水剤と混合する被覆農薬粒剤の平均粒径の3倍以下であることが好ましい。その目安としては最も大きい粒状のものでも最長部分で2〜15mmとすることが好ましく、つまり15mmを超えると、保水材と被覆農薬粒剤とを混合する際に分級が生じ易くなる。 【0018】本発明に使用する保水材の含有水分率Xは、特に限定されるものではないが、0重量%<X≦30重量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは0重量%<X≦20重量%の範囲である。含有水分率を完全に0重量%にすることは、空気中の湿気等により含有水分率が経時的に変化し易いため、工業的には困難である。一方、含有水分率が30重量%を超える場合には、培地に含まれる水分が被覆農薬粒剤の放出機能に悪影響を及ぼす場合がある。また、本発明の培地に化学的に溶解度を調整した緩効性肥料や、粒状肥料の表面を被膜材で被覆した被覆肥料を配合する場合には、該水分により肥料成分が経時的に溶解・溶出する恐れがある。本発明における含有水分は、下記式によって求めたものであり、下記式の保水材重量は、保水材を105℃で24時間乾燥させ、乾燥前後の重量差から求めた値である。 式:保水材が含む水分重量/保水材全重量(固形分+水分)×100【0019】本発明培地の被覆農薬粒剤とは、農薬を含有する粒子(以下「芯材」と記述する)の表面を被膜材料で被覆したものである。農薬としては、主として殺虫、殺菌、除草および植物成長調整のほか殺ダニ、殺線虫等の作用を有するものを挙げることができ、さらに農薬には忌避剤や誘引剤も含まれる。本発明で使用する農薬は、常温で固体の粉状であることが好ましいが常温で液体であっても許容される。また、本発明に使用する農薬は浸透移行性を有するものであることが好ましい。本発明に利用できる農薬の具体例を下記に挙げるがこれらはあくまでも例示であり限定されるものではない。また、芯材が含有する農薬は1種であっても、2種以上の複合成分からなるものであっても良い。 【0020】例えば殺虫作用のあるものとしては、(E)−N1−〔(6−クロロ−3−ピリジル)メチル〕−N2−シアノ−N1−メチルアセトアミジン(一般名:アセタミプリド)、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリジン−2−イリデンアミン(一般名:イミダクロプリド)、O,O−ジエチル−S−2−(エチルチオ)エチルホスホロジチオエート(一般名:エチルチオメトン)、1,3−ビス(カルバモイルチオ)−2−(N,N−ジメチルアミノ)プロパン塩酸塩(一般名:カルタップ)、【0021】2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ベンゾ〔b〕フラニル=N−ジブチルアミノチオ−N−メチルカルバマート(一般名:カルボスルファン)、(2−イソプロピル−4−メチルピリミジル−6)−ジエチルチオホスフェート(一般名:ダイアジノン)、5−ジメチルアミノ −1,2,3−トリチアンシュウ酸塩(一般名:チオシクラム)、(E)−N−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−エチル−N´−メチル−2−ニトロビニリデンジアミン(一般名:ニテンピラム)、O,O−ジプロピル−O−4−メチルチオフェニルホスフェート(一般名:プロバホス)、【0022】5−ブロモ−3−セコンダリ−ブチル−6−メチルウラシル(一般名:ブロマシル)、エチル=N−〔2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチルベンゾフラン−7−イルオキシカルボニル(メチル)アミノチオ〕−N−イソプロピル−β−アラニナート(一般名:ベンフラカルブ)、2−クロロ−4,6−ビス(エチルアミノ)−1,3,5−トリアジン(一般名:CAT)、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1ジメチル尿素(一般名:DCMU)、1−ナフチル−N−メチルカーバメート(一般名:NAC)、2−イソプロポキシフェニル−N−メチルカーバメート(一般名:PHC)等が挙げられ、【0023】殺菌作用のあるものとしては、ジイソプロピル−1,3−ジチオラン−2−イリデン−マロネート(一般名:イソプロチオラン)、5−メチル−1,2,4−トリアゾロ〔3,4−b〕ベンゾチアゾール(一般名:トリシクラゾール)、1,2,5,6テトラヒドロピロロ〔3,2,1−ij〕キノリン−4−オン(一般名:ピロキロン)、3−アリルオキシ−1,2−ベンゾイソチアゾール−1,1−ジオキシド(一般名:プロベナゾール)等が挙げられ、【0024】除草作用のあるものとしては、2−クロロ−4−エチルアミノ−6−イソプロピルアミノ−s−トリアジン(一般名:アトラジン)、1−(2−クロロイミダソ[1,2−a]ピリジン−3−イルスルホニル)−3−(4,6−ジメトキシピリミジン−2−イル)尿素(一般名:イマゾスルフロン)、S−ベンジル=1,2−ジメチルプロピル(エチル)チオカルバマート(一般名:エスプロカルブ)、2−メチルチオ−4,6−ビス(エチルアミノ)−s−トリアジン(一般名:シメトリン)、S−1−メチル−1−フェニルエチル=ピペリジン−1−カルボチオアート(一般名:ジメピペレート)、1−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(パラトリル)尿素(一般名:ダイムロン)、【0025】2−クロロ−N−(3−メトキシ−2−テニル)−2´,6´−ジメチルアセトアニリド(一般名:テニルクロール)、α−(2−ナフトキシ)プロピオンアニリド(一般名:ナプロアニリド)、4−(2,4−ジクロロベンゾイル)−1,3−ジメチル−5−ピラゾリル−p−トルエンスルホネート(一般名:ピラゾレート)、S−(4−クロロベンジル)−N,N−ジエチルチオカーバメート(一般名:ベンチオカーブ)、2−ベンゾチアゾール−2−イルオキシ−N−メチルアセトアニリド(一般名:メフェナセット)等が挙げられ、【0026】植物成長調整作用のあるものとしては、4´−クロロ−2´−(α−ヒドロキシベンジル)イソニコチンアニリド(一般名:イナベンフィド)、(E)−(S)1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタ−1−エン−3−オール(一般名:ウニコナゾールP)、過酸化カルシウム、(2RS,3RS)−1−(4−クロロフェニル)−4,4−ジメチル−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)ペンタン−3−オール(一般名:パクロブトラゾール)等を挙げることができる。更に、本発明における農薬活性成分としては植物によって合成され、植物体内に蓄積する低分子の抗菌性物質であるファイトアレキシンを誘導する物質も含まれる。 【0027】芯材の粒径は特に制限はないが、0.3mm以上、好ましくは0.7〜5.0mmの範囲であり、より好ましくは0.7〜2.0mmの範囲である。粒径0.3mm未満では被覆が困難であり、製造上、均一混合のしやすさ、取り扱い易さの点で0.7〜5.0mmであることが好ましい。粒径は篩いを用いることにより容易に選択することができる。 【0028】被膜材料は限定されるものではないが、有機材料、無機材料の何れを選択してもよく、無機材料としては硫黄を挙げることができ、有機材料としては樹脂を挙げることができる。樹脂としては、例えばオレフィン系重合体、塩化ビニリデン系重合体、塩化ビニル系重合体、ジエン系重合体、ワックス類、ポリエステル、石油樹脂、天然樹脂、油脂およびその変性物、ならびにアルキド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。これら樹脂の中では、放出抑制に効果のある透湿性の小さなオレフィン系重合体が、好ましく使用することが出来る。またその中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−一酸化炭素共重合体が特に好ましい。 【0029】被覆農薬粒剤の放出機能は、特に制限されるものではないが、時限放出型の徐放機能(時限放出機能)を有する被覆農薬粒剤は、本来圃場で施用する分の農薬成分を被覆農薬流剤の形態で、培地中に含有させた場合であっても、育苗時における薬害が発生し難いことから、本発明において好ましく用いることができる。 【0030】時限放出型の徐放機能とは、施用後一定期間農薬有効成分の放出が抑制された放出抑制期間と、一定期間経過後農薬有効成分の放出が持続する放出期間とからなる放出機能を意味し、具体的には施用後から農薬粒子中の農薬有効成分が10重量%放出するまでの期間を放出抑制期間(以後「d1」と記述する)とし、10重量%放出日から90重量%放出日に到るまでの期間を放出期間(以後「d2」と記述する)とした場合、d1/d2の比率が0.2以上である放出機能を意味する。 【0031】この時限放出機能は、何れの機構によるものであっても構わない。農薬は一般的に水に難溶であることから、被膜内部の農薬成分が被膜の外へ放出されるには被膜を破壊ないし溶解させ、被膜内部の農薬粒子を被膜外部の環境(土壌、水など)に直接曝すことにより達成される。 【0032】具体的には、特開平6−9303号公報に開示の架橋されたイソブチレン系重合体の粉末とポリエチレングリコールからなる第1被覆層とエチレン−エチルアクリレート共重合体からなる第2被覆層の二層被膜、特開平6−9304号公報に開示の水酸化カルシウムとポリエチレングリコールからなる第1被覆層とエチレン−エチルアクリレート共重合体とイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のマレイミド化変性体からなる第2被覆層の二層被膜、特開平6−72805号公報に開示の水酸化カルシウムとポリエチレングリコールからなる第1被覆層とナイロン6−ナイロン66−ナイロン12三元共重合体とイソブチレン−無水マレイン酸共重合体のマレイミド化変性体からなる第2被覆層の二層被膜、特開平6−80514号公報に開示のイソブチレン系重合体の粉末とポリエチレングリコールからなる第1被覆層とナイロン6−ナイロン66−ナイロン12三元共重合体からなる第2被覆層を芯材の表面に被覆することにより時限放出機能を達成することができる。但し、これらの被膜は何れも二層の被覆層から構成されており、被覆操作の煩雑さや製造設備にかかる設備投資等の費用の点などからは、被膜は一層であることが好ましい。 【0033】一層からなる被膜で時限放出機能を達成できる被覆農薬粒剤としては、例えば特開平9−77608号公報のような、少なくとも1種以上の農薬成分と少なくとも1種以上の水膨潤性物質からなる農薬粒子(芯材)の表面を樹脂を主成分とする被膜で被覆した被覆農薬粒剤を挙げることができる。 【0034】本発明の培地に含有させる被覆農薬粒剤の量は、特に限定されるものではないが、例えば栽培期間中に散布する農薬成分の全量、若しくはその大部分であっても良い。また、使用する被覆農薬粒剤は1種類でも良く、徐放機能(放出パターンや放出抑制期間の長さ)や農薬成分の異なる被覆農薬粒剤を2種以上混合したものであっても構わない。本発明の培地における好ましい被覆農薬粒剤の配合量の目安としては、本発明培地の保水材5000cm3当たり20g以上200g以下の範囲である。つまり、移植栽培で慣行的に用いられている育苗箱(例えば、28cm×58cm×3cm)当たり20g以上200g以下であるということを意味する。この範囲内であれば培地の特性を損なうこともない。 【0035】本発明の培地には必要に応じ、肥料や被覆農薬粒剤以外の農薬成分を配合しても良い。肥料の成分としては、チッソ、リン酸、加里のほか、カルシウム、マグネシウム、微量要素を含むものを挙げることができ、使用場面に応じて必要量を本発明の培地に配合すればよい。肥料の種類・形状としては、一般化成肥料、高度化成肥料のほか、化学的に溶解度を調整した緩効性肥料、粒状肥料の表面を被膜材で被覆した被覆粒状肥料、有機肥料、ク溶性肥料等が挙げられる。 【0036】被覆農薬粒剤以外の農薬としては、育苗時に必要とされ、即効的に作用する殺虫、殺菌剤が挙げられ、具体的にはタチガレエース液剤(三共(株)製)等を挙げることができる。 【0037】本発明の培地の形態は、粉状及び/又は粒状の保水材と被覆農薬粒剤を単に混合したものであっても良く、培地全体を成型し一体化したものであっても良い。培地全体を一体化する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、結合剤による成形、ポリ袋等によるパッケージを施した一体成形、また、圧力を加える方法や、それらの組み合わせが挙げられる。培地全体を一体化したものの形状は、特に限定されるものではなく、板状、サイコロ状、タブレット状等の形状にすることが出来る。 【0038】本発明の栽培方法は、本発明の培地を使用した作物の栽培方法であれば、作物の種類、栽培方法など特に限定されるものではない。育苗の際に育苗床土として使用しても良く、本圃に投入しても良い。本発明培地の効果を最大限引き出すうえでも、本発明の培地を育苗の際に育苗床土として使用し、該床土で育成した苗を本圃に移植して栽培することが好ましい。 【0039】本発明の栽培方法は作物を限定するものではないが、具体的には、食用作物、飼料作物、工芸作物からなる圃場作物、果樹、蔬菜、花卉からなる園芸作物、芝等に用いることができる。例えば、食用作物としてはイネ、麦類、トウモロコシ、イモ類、マメ類、飼料作物としてはイネ科、マメ科、飼料用根菜、工芸作物としては嗜好料作物(茶等)、香辛料作物(コショウ等)、油料作物(ゴマ等)、糖料作物(甜菜等)、繊維作物(綿花等)、果樹としては仁果類(リンゴ等)、核果類(モモ等)、柑橘類、熱帯果樹(パイナップル等)、蔬菜としては葉菜類、根菜類、果菜類、花卉としては1年草、2年草、宿根草、花木等に用いることができる。 【0040】 【実施例】以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、各例において、真比重その他の特性は以下のようにして求めた。 【0041】1.機能および物理特性の測定方法(1)大起理化工業(株)製の土壌三相計(型式;DIK−3520)による、三相分布及び真比重の測定本測定は100ml型実容積測定法に準拠して行った。 ■測定に供試されるサンプル培地を三相分布測定用100ml試料円筒(大起理化工業(株)製、型式;DIK−1801)に充填する。 ■砂柱法キット(大起理化工業(株)製、型式;DIK−3520)に上記■をセットし、十分に潅水した後、水位をPF=1.5(石英砂上面からの水位;31.6cm下位)に調節する。 ■100ml試料円筒に蓋をし、PF=1.5の状態で24時間放置する。 ■土壌三相計(大起理化工業(株)製、型式;DIK−1120)に試料円筒■をセットし、サンプル培地の実容積(V)を測定する。 ■更に天秤にてサンプル培地の全重量(W)を測定し、オーブンに入れ105℃で24時間乾燥させ、乾燥前後の重量差から水分重量(M)を算出する。 ■下記の計算式により、a)気相率 b)固相率 c)液相率 d)真比重を算出した。 a)気相率(A=Va) ;空気容量Va=100−Vb)固相率(Sν=Vs);固相容量Vs=(W−V)/(d−1) c)液相率(Mν=Vl);水分容量Vl=V−Vsd)真比重(d) ;d=(W−M)/(V−Vl) 但し、Vl:水分容量、Vl=M【0042】(2)最大保水量撥水性および保水性の指標として用いた最大保水量は、最大容水量の測定法であるヒルガード法に準じ、最大容水量測定容器(容量25ml)にサンプル培地を充填し、底面から吸水させ24時間放置した(但し、体積が膨張するサンプルについては、最大容水量測定容器からオーバーフローする可能性があり、オーバーフローしたサンプルは完全に除去して重量を測定した。)。続いて、該容器を105℃のオーブンで12時間乾燥し、乾燥前後の重量を測定し、以下の算式(最大保水量)=(乾燥前の全サンプル重量)−(乾燥後の全サンプル重量)より最大保水量(g/25ml)を算出した。但し、本実施例においては撥水性を正確に評価すべく、底面からの吸水のみを行い、上面からの潅水は行わなかった。 【0043】(3)放出機能確認試験放出確認試験は、被覆農薬粒剤に亀裂が入り、被膜が崩壊する(内部の芯材が外部に放出される)までの時間(放出開始時間)を測定したものである。被膜の崩壊の確認は観察によって行った。具体的な試験は、以下の記載に準じて行った。キャップ付試験管(12mm×72mm)に水を1.5mL入れ、更に後述の被覆農薬粒剤サンプルを、試験管1本当たり1粒ずつ投入後キャップをした。これを各サンプル当たり100管(粒)準備し、水温20℃一定の条件下で、崩壊した被覆農薬粒剤の個数をカウントした。観察は試験開始から1週間までは毎日行い、その後は3日ごとに行った。累積放出率は供試粒剤の数である。縦軸に累積放出率、横軸に経過日数をとり、それぞれのデータをプロットしたグラフを作成した。また、試験開始から10%放出に至るまでの日数を「d1」とし、それ以降90%放出に至るまでの日数を「d2」とした。 【0044】(4)保存安定性試験サンプル培地を厚さ0.063mmのポリエチレン製袋(商品名:リード冷凍保存するバッグ、ライオン(株))に入れて充填した後、封印して常温暗所に放置した。3ヶ月経過後、各サンプル培地中から被覆農薬粒剤を取り出し、各サンプル培地ごとに100粒を用いて放出機能確認試験を実施した。得られたグラフより、d1、d2を求めた。 【0045】2.保水材の製造(保水材A)200Lのコイアダスト(固形分;12kg、含有水分率;36重量%、φ4mmパス、スリランカ産椰子殻)と、硫酸アンモニア(新日鐵化学(株)製、保証成分 窒素21%)150g、重焼リン(小野田化学工業(株)製、保証成分ク溶性リン酸46%)200g、および硫酸加里(チッソ(株)製、保証成分加里50%)60gとを、リボンミキサー(型式;RM−60、不二パウダル(株)製)にて混合した。上記混合物を、ディスクダイ式ロール型押出造粒機(ディスクペレッター 型式;F40/33−390、不二パウダル(株)製、ダイス・ノズル径;φ2.5mm)にて圧縮成形加工し、円柱状の造粒物を得た。この造粒物を90℃の熱風乾燥機にて、含有水分率が5重量%になるまで乾燥し、保水材Aを得た(10kg)。 【0046】(保水材B〜D)造粒・乾燥後の含有水分率がそれぞれ10重量%(保水材B)、20重量%(保水材C)、及び30重量%(保水材D)となるように乾燥した以外は、保水材Aの製造と同様の操作を繰り返し、保水材B、保水材C、及び保水材Dを得た(各10kg)。 【0047】(保水材E)コイアダストの代わりに、コイアダストと炭(日田林業組合製、商品名;炭太郎1号、B/D;0.29g/ml、粒度;2mm以下)の混合物(重量比=3:1)を用いた以外は保水材Aの製造と同様の操作を繰り返し、保水材Eを得た(10kg)。 【0048】(保水材F〜H)造粒・乾燥後の含有水分率がそれぞれ10重量%(保水材F)、20重量%(保水材G)、及び30重量%(保水材H)となるように乾燥した以外は、保水材Eの製造と同様の操作を繰り返し、保水材F、保水材G、及び保水材Hを得た(各10kg)。 【0049】(保水材I)保水材Aを粉砕機(SAMPLE MILL 型式SM-1、(株)井内盛栄堂製)で30ml/5minの条件で粉砕し、該粉砕品100Lと焼成バーミキュライト100L(含有水分率5重量%以下、九州化学工業(株)製)とを混合し、保水材Iを得た(16kg)。 【0050】(保水材J)200Lのコイアダスト(固形分12kg、含有水分率36重量%、φ4mmパス、スリランカ産椰子殻)と、硫酸アンモニア(チッソ旭肥料(株)製、保証成分 窒素21%)150g、重焼リン(小野田化学工業(株)製、保証成分ク溶性リン酸46%)200g、および硫酸加里(チッソ(株)製、保証成分加里50%)60gを、リボンミキサー(型式;RM−60、不二パウダル(株)製)にて混合した。上記混合物を、得られた混合物を90℃の熱風乾燥機にて、含有水分率が10重量%になるように乾燥し、保水材Jを得た(10kg)。 【0051】(保水材K)乾燥を行わなかった以外は保水材Jと同様の操作を繰り返し、含有水分率が40重量%になるように調整して保水材Kを得た(10kg)。 【0052】(保水材L)コイアダストの代わりにピートモス(カナダ産、ラメキュー社製、含有水分率10重量%)を用いた以外は、保水材Jと同様の操作を繰り返し、保水材Lを得た(10kg)。 【0053】(保水材M)200Lのコイアダスト(固形分12kg、含有水分率36重量%、φ4mmパス、スリランカ産椰子殻)をディスクダイ式ロール型押出造粒機(ディスクペレッター 型式;F40/33−390、不二パウダル(株)製、ダイス・ノズル径;φ2.5mm)にて圧縮成形加工し、90℃の熱風乾燥機にて含有水分率が5重量%になるように乾燥した後、円柱状の保水材Mを得た(10kg)。 (保水材N〜P)造粒・乾燥後の含有水分率がそれぞれ10重量%(保水材N)、20重量%(保水材O)、及び30重量%(保水材P)となるように乾燥した以外は、保水材Mの製造と同様の操作を繰り返し、保水材N、保水材O、及び保水材Pを得た(各10kg)。(保水材Q)保水材A、Mで使用した約200Lのコイアダスト(固形分;12kg、含有水分率;36重量%、φ4mmパス、スリランカ産椰子殻)を90℃の熱風乾燥機にて含有水分率が5重量%になるように乾燥することによって保水材Qを得た(10kg)。(保水材R)保水材A、Mで使用した約200Lのコイアダスト(固形分12kg、含有水分率36重量%、φ4mmパス、スリランカ産椰子殻)に水分を添加し、含有水分率50重量%の保水材Rを得た(10kg)。 (保水材S)市販の水稲育苗用粒状培土(呉羽化学(株)製、含有水分率10重量%) 【0054】(保水材の物理特性)上記保水材A〜Sについて、前述の方法により、真比重と最大保水量を測定した、得られた結果を表1に示す。 【0055】 【表1】
【0056】3.被覆農薬粒剤の製造クミアイビーム水和剤75(トリシクラゾール75重量%、クミアイ化学(株)製)7重量部、ベントナイト70重量部、クレー18重量部、タルク5重量部をニーダーで均一に混合し、加水混練した。この混合物をスクリュー押し出し式造粒機(スクリーン径0.8mmφ)で押し出し造粒し、一次農薬造粒物を得た。該造粒物を、回転円盤式整粒機(不二パウダル製、マルメライザーQJ400)で整粒した。整粒後、熱風循環乾燥機を用い100℃の条件下で乾燥後、振動篩で分級しトリシクラゾールを5%含有する0.8〜1.4mmの二次農薬造粒物(芯材)を得た。 【0057】噴流層被覆装置(塔径250mm、高さ3000mm)を用いて、得られた芯材を噴流状態とし該芯材に被膜材料溶解液を噴霧して、被覆率20重量%の被覆農薬粒剤を得た。製造方法は、以下の方法に準拠して行った。被覆率は、農薬粒子の重量(a)と被膜の重量(b)との和を100重量%とした被覆農薬粒剤に対する被膜の重量(b)の比率であり、算式[b×100/(a+b)]で求めた値である。被膜材料溶解液は低密度ポリエチレン(MI=23、d=0.91g/cm3)30重量部、タルク(平均粒子径5μm)70重量部からなる被膜材料組成物を、テトラクロロエチレンに110℃で撹拌溶解させることによって得た。 芯材:3kg熱風温度:120℃熱風風量:4m3/minスプレー流速:0.2kg/min被膜材料溶解液中の被膜材料濃度:2.5重量%被膜材料溶解液の噴霧は、噴流中の該芯材表面温度が70℃に達した時点から開始し、品温が70℃一定になるように一流体ノズルを用いてスプレーした後、そのまま噴流状態を維持しつつ被覆芯材表面温度が70℃の条件で乾燥を実施し被覆農薬粒剤を得た。 【0058】(被覆農薬粒剤の放出特性)前記被覆農薬粒剤について上記(3)の方法(放出機能確認試験)により放出機能を確認した。該粒剤の放出はd1が25日、d2が7日であり、該粒剤はd1/d2≒3.6の時限放出型の徐放機能であることが確認された。 【0059】4.サンプル培地の製造実施例1水稲用育苗箱(内径28cm×58cm×3cm)と同サイズの型に保水材Aを700g充填し、均一にならす。引き続き得られた被覆農薬粒剤50gを均一かつ層状に充填することによって培地を得た。 【0060】実施例2保水材Aを保水材B740gに変更した以外は実施例1と同様にして培地を得た。 【0061】実施例3保水材Aを保水材C830gに変更した以外は実施例1と同様にして培地を得た。 【0062】実施例4保水材Aを保水材D950gに変更した以外は実施例1と同様にして培地を得た。 【0063】実施例5保水材Aを保水材E700gに変更した以外は実施例1と同様にして培地を得た。 【0064】実施例6保水材Aを保水材F740gに変更した以外は実施例1と同様にして培地を得た。 【0065】実施例7保水材Aを保水材G830gに変更した以外は実施例1と同様にして培地を得た。 【0066】実施例8保水材Aを保水材H950gに変更した以外は実施例1と同様にして培地を得た。 【0067】実施例9保水材I700gと、得られた被覆農薬粒剤50gとを密閉チャック付きポリエチレン製袋(商品名:ユニパックL−4、厚み0.04mm、サイズ340mm×480mm)に入れて封印し、均一になるまで混ぜ合わせ培地を得た。 【0068】比較例1〜3実施例1の保水材をそれぞれJ(比較例1)、K(比較例2)、L(比較例3)に変更し、それぞれ400g用いる以外は実施例1と同様にして、培地を得た。 【0069】比較例4(慣行培地) 保水材S3000gと、得られた被覆農薬粒剤50gとを密閉チャック付きポリエチレン製袋(商品名:ユニパックL−4、厚み0.04mm、サイズ340mm×480mm)に入れて封印し、均一になるまで混ぜ合わせて培地を得た。 【0070】「サンプル培地の物理特性」実施例1〜9、及び比較例1〜4について上述した物理特性、育苗箱に充填したときの重量等を測定評価し、得られた結果を表2に示す。 【0071】「培地中の被覆農薬粒剤放出測定」サンプル培地の製造後に、実施例1〜9、及び比較例1〜4を、密閉チャック付きポリエチレン製袋(商品名:ユニパックL−4、厚み0.04mm、サイズ340mm×480mm)に3kgずつ入れて密封し、上述の(4)保存安定性試験にそれぞれ供試した。実施例1〜8は袋に入れて密封後、よく撹拌して供試した。結果を表2に示す。 【0072】 【表2】
【0073】表2より、本発明品の実施例1〜9は慣行培地の比較例4と比べて軽量で、保水性は同等以上と良好な結果が得られた。比較例1、3は育苗箱の総重量でみると軽いが、撥水性を生じているのが最大保水量および育苗箱の水分からも明らかであり、栽培には不適である。保存後の放出は、実施例4、8で若干早くなる傾向にあったが、その他の実施例は保存前と比べてほとんど変化がなかった。実施例4、8もばらつきの範疇であって実用上問題がなく、この程度であれば、保存条件、例えば保存期間を短くするなどで対応可能である。一方、比較例2、4では放出が促進された。これは比較例4は含有水分率としては10重量%と低い値であるが、培地全体が重いため、容積当たりの含有水分量が大きいためであると推察できる。これら試験結果より、実施例1〜9の本発明培地は軽量かつ撥水性、保存安定性に優れていることが明らかとなった。 【0074】「栽培試験」本発明培地実施例1、5、9、及び比較例2を用いて栽培試験を行った。供試作物は水稲(品種:ひとめぼれ)を用い、慣行法に準じて催芽種籾を調整し、該種籾150gを実施例及び比較例の育苗箱の表面に均一かつ層状に播種した。引き続き保水材S1000gを用いて覆土した。以後、該育苗箱は熊本県水俣市のガラス室に設置し、ハウス育苗を行った。表面が乾燥しないように潅水を随時行った。育苗期間中の苗の様子は随時観察した。育苗期間中の日平均気温20〜25℃であった。その他の栽培条件は慣行法に準じて行った。育苗期間中の観察結果を表3、図1に示す。 【0075】 【表3】
【0076】表3の結果より、実施例1、5、9の各培地を使用した各試験区はそれぞれ薬害を発生することなく健苗を育成できたが、比較例Jの培地を使用した各試験区は育苗後期から生育速度が鈍化し、薬害が発生した。3週間後育苗を終了し、実施例1の培地において育成した苗を水田に移植したところ、十分な防除効果を示した。 【0077】 【発明の効果】本発明は、椰子殻を含有する保水材と被覆農薬粒剤とを含有する培地であって、土壌三相計で測定した保水材の真比重が1.5〜3.5g/cm3の範囲である培地、および該培地を用いた作物の栽培方法である。本発明の培地であれば、乾燥により培地の水分含有率を低くした場合であっても撥水性が生じ難く、且つ農薬散布作業の大幅な軽減が可能であり、培土作製における作業負担、並びに病害虫防除における作業負担の大幅な軽減が可能である。また、該培地を用いて栽培すれば、省力かつ効果的な病害虫の防除が可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002071 【氏名又は名称】チッソ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年2月4日(1999.2.4) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−224917(P2000−224917A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月15日(2000.8.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−27510 |
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