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【発明の名称】 マルチ装置
【発明者】 【氏名】増本 三樹男

【要約】 【課題】マルチ装置において、畝を挟んだ左右両側の地面が硬さや高さを異ならせているときでも、畝上へ繰り出した農用膜体の左右側縁部へ確実な覆土ができるようにする。

【解決手段】左右の覆土部材6を支持する左右別々の支持杆20を、それぞれ各別の高さ調節手段21で上下動できるものとした。従って、必要に応じて、一方又は両方の覆土部材6における切り込み深さを調節する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロール巻されている農用膜体(P)の左右側縁部位を左右一対の踏圧体(5)によって地面に踏み付けることで繰り出しつつ被覆すると共に左右一対の覆土部材(6)によって農用膜体(P)の左右側縁部位に覆土するマルチ装置において、上記左右の覆土部材(6)は、作業者の手元操作で操作可能になる高さ調節手段(21)により、左右別々に切り込み深さの調節が可能になっていることを特徴とするマルチ装置。
【請求項2】 前記高さ調節手段(21)は、覆土部材(6)と共に踏圧体(5)をも同調的に高さ調節可能にしていることを特徴とする請求項1記載のマルチ装置。
【請求項3】 前記高さ調節手段(21)は、駆動源に流体圧駆動部(21a)を具備していることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のマルチ装置。
【請求項4】 前記高さ調節手段(21)は、覆土部材(6)を地面へ到達させた作業ポジションとそれより上方の非作業ポジションとの間で昇降させるリフト機能を兼備していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のマルチ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マルチ装置に係り、農用膜体の左右側縁部位に対して所望に応じた確実な覆土ができ、しかも被覆作業中に農用膜体が風圧によって離脱することがないようにしたマルチ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンのような合成樹脂製フィルム又はシート(以下、農用膜体という)を、畝に植立(立設)したアーチ形支柱に被覆していく所謂トンネルマルチ装置は、特開平8−56503号公報、実用新案第2525637号公報、特公昭57−29122号公報等で公知であり、ロール巻した農用膜体を繰り出し自在に懸架して備え、左右に並設した踏圧体(踏圧輪体等)によって左右側縁部位を踏み付けながら被覆すると共に、この農用膜体の左右側縁部位へ各踏圧体に対する後続配置で組み合わせた覆土部材(土寄せディスク等)によって覆土するように構成されていることが基本である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】畝を挟んだ左右両側の地面において、作業車の走行の有無や走行回数の差等に伴うタイヤ踏圧の差により、その地面硬さ又は地面レベル(高さ)が異なっているような場合には、左右の覆土部材において、地面への切り込み深さや切り込み角度を別々に調節する必要がある。そのため、次の畝に移るとき等においては、いちいち作業車を停止させ、左右の覆土部材について上記調節を行うといった作業を繰り返す必要があり、非常に面倒であると共に、このことが作業能率を低下させる一因になっていた。
【0004】一方、踏圧体は、上記のように農用膜体の左右側縁部位を踏み付けることで畝に対する繰り出しや被覆を行っていたので、この被覆作業中に風等が吹けば、踏圧体から農用膜体が離脱するおそれがあった。特に、畝を挟んだ左右両側の地面が地面レベルを異ならせているような場合では、この離脱の可能性も高くなっていた。農用膜体が踏圧体から離脱すると、この農用膜体の繰り出しができないことから、離脱膜体を再度踏圧体にかませなければならず、それ故、作業の中断を招き易いものであった。
【0005】また、枕地等で旋回したり、次の畝に移るとき等においては、左右の踏圧体を一旦持ち上げなければならず、このとき、農用膜体は踏圧体から外れることから、旋回作業後に、左右の踏付体を接地させるとき、人手によって農用膜体を踏付体に再度かませる(差し込む)作業が必要となり、これは、能率の低下を招いていた。本発明は、畝を挟んだ左右両側の地面が地面硬さや地面レベルを異ならせているとき等に、左右の覆土部材の地面への切り込み深さを容易且つ迅速に、しかも各独立して調節できるようにして、農用膜体の左右側縁部位に対する確実な覆土を可能にしたマルチ装置を提供することを第1の目的とする。
【0006】なお、本発明は、所謂トンネルマルチ装置に適用して有益であるけれども、例えば、実公昭61−3287号公報で開示されているように、畝面を直接被覆するマルチ装置にも適用できる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ロール巻されている農用膜体の左右側縁部位を踏圧体によって地面に踏み付けることで繰り出しつつ被覆するマルチ装置において、前記第1の目的を達成するために、次の技術的手段を講じている。すなわち、請求項1に係るマルチ装置において、上記左右の覆土部材は、作業者の手元操作で操作可能になる高さ調節手段により、左右別々に切り込み深さの調節が可能になっていることを特徴とするものである。
【0008】このような構成を採用したことにより、畝を挟んだ左右両側の地面が地面硬さや地面レベルを異ならせているとき等でも、左右の覆土部材の地面への切り込み深さを容易且つ迅速に、しかも左右各独立して調節できるものであり、これによって農用膜体の左右側縁部位に対して十分量の覆土が可能になる。前記高さ調節手段は、覆土部材と共に踏圧体をも同調的に高さ調節可能にしていることが推奨される(請求項2)。このような構成を採用することにより、調節した覆土部材に合わせて、踏圧体をも自動的に同じ高さに設定できることになり、従って、農用膜体の踏み付け量を適正に保持できるものとなる。
【0009】前記高さ調節手段は、駆動源に流体圧駆動部を具備していることが推奨される(請求項3)。このような構成を採用することで、覆土部材等の高さ調節が手軽に、また労力を殆ど伴わずに簡単に行えることになる。前記高さ調節手段は、覆土部材を地面へ到達させた作業ポジションとそれより上方の非作業ポジションとの間で昇降させるリフト機能を兼備していることが推奨される(請求項4)。
【0010】このような構成を採用することは、換言すれば、この種、マルチ装置においては作業時と非作業時とを区別する昇降のために直接又は付随的に設けられるリフト機構の一部機能として、上記高さ調節手段を組み込ませたことに等しくなり、高さ調節手段としての構成を簡潔化できることにつながる。なお、本発明では、前述したように、畝面に直接被覆するマルチ装置であっても良いが、ロール巻されている農用膜体は、畝長手方向で間隔をおいて植立されているアーチ形のトンネル支柱に対して被覆するトンネルマルチであることが推奨される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施の形態につき、トンネルマルチ装置として詳説するが、前述したように、畝面被覆装置(マルチ装置)にも適用可能である。なお、以下の実施の形態においては、第1の目的を達成したうえで、更に、左右の踏圧体で農用膜体の両側縁部位を踏みつけて繰り出しているとき、又は、次の畝に移るため左右の踏圧体を浮上させたときのいずれにおいても、この農用膜体を踏圧体との協働によって挟持しておくことにより、風圧によって農用膜体の離脱がなく、また、旋回後に人手による農用膜体のかませ作業が必要でないマルチ装置を提供することを第2の目的とするマルチ装置が開示されている。
【0012】すなわち、本発明の実施の形態では、前記第2の目的を達成するために、上記請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の構成を具備したうえで、更に次の技術的手段を講じている。すなわち、マルチ装置は、前記踏圧体に対して接離自在な挟持具を備え、この挟持具は、前記踏圧体を地面より浮上させた状態で農用膜体の左右側縁部位を踏圧体と協働して挟持するように構成されているのである。このような構成を採用したことにより、ロール巻されている農用膜体の左右側縁部位を踏圧体と挟持具との間に差し込んで踏圧体を接地して被覆作業を行う被覆作業中に、農用膜体に風圧が作用してもこの農用膜体は挟持具によって挟着されていることから、左右の踏圧体からの離脱はなく、これ故、作業の中断等を招くことがない。
【0013】また、枕地等で旋回するとき、左右の踏圧体を持上げる(浮上させる)が、この状態で農用膜体は踏圧体と協働して挟持具により挟着されていることから、人手による農用膜体のかませ(差し込み)作業は必要でなく、これ故、旋回後に直ちに被覆作業に移れるのである。更に、前記挟持具は、弾性力によって踏圧体に対して接離自在とされていることが推奨される。このような構成を採用したことにより、農用膜体は凹状による挟着となってその離脱は確実に阻止されるし、例えば挟持具を棒材により橇状に形成することによって、繰り出し中に農用膜体の破断等が少なく、円滑かつ軽快に繰り出されるという利点を得ることができるのである。
【0014】更に、本発明では前述した構成において、踏圧体及び挟持具が、地面の凹凸に応じて垂直方向に沿って互いに同調的に上下動可能になっていることが推奨される。このような構成を採用したことにより、踏圧体及び挟持具の上下動中において、これら踏圧体と挟持具の間は常に一定距離に保たれ、この部分で農用膜体が詰まりを起こすということは防止される。更に、本発明では前述した構成において、ロール巻されている農用膜体を繰り出し自在に支持するロール受け手段を、農用膜体の左右方向及び繰出し方向にそれぞれ所定間隔をおいて複数備えていることが推奨される。
【0015】このような構成を採用したことにより、ロール巻された農用膜体を繰り出し自在に懸架させているとき、このロール状農用膜体の撓み(弯曲状に反り曲がる現象)は抑制できて、これ故、繰り出しは円滑かつ軽快になるだけでなく、ロール状農用膜体が繰り出しによって径が徐々に小径化されてもこれに追従してその受けが確保できるのである。図1〜図6は第1実施の形態を示しており、運搬台車で示す走行機体1は左右のクローラ形、望ましくはゴムクローラ形で示す走行装置2を備え、この走行装置2が、図4で示す畝Aの谷部B上で畝Aを跨いで畝長手方向(図2の矢示F)に沿って走行可能である。
【0016】なお、畝Aにはその長手方向の間隔をおいてアーチ形のトンネル支柱Cが植立(打込みによる立設)されていることから、走行機体1は支柱Cと干渉しないように正背面視(前後方向)にて門形に枠組みされており、図示省略した操縦ハンドルを作業者が把持して随伴することによって操向(旋回も含む)可能である。走行機体1の後方に本発明に係るマルチ装置3が装備されており、このマルチ装置3は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のフィルム又はシート(以下、農用膜体Pという)をロール巻して繰り出し自在に懸架している膜体供給部4と、車輪形で例示する踏圧体5と覆土部材6とを組として、それぞれ左右一対で並設している被覆作業部7と、で主構成されていて、ロール巻されている農用膜体Pの左右側縁部位を左右の踏圧体5によって地面に踏み付けることで繰り出しつつトンネル支柱Cに被覆すると共に、左右の覆土部材6によって農用膜体Pの左右側縁部位に覆土するように構成されている。
【0017】膜体供給部4は図2および図3で示すように、走行機体1の左右側部から後方に延伸された左右の支持部材8の後部にツールバー9を架設し、このツールバー9に左右方向の間隔をおいて左右一対の支持ステー10を左右方向に位置変更固定自在として下設し、この支持ステー10のそれぞれに前方に延伸した上下2段の第1・2支持アーム11,12の左右対を備えている。左右の第1支持アーム11は、ロール巻された農用膜体Pを繰り出し自在に懸架しており、支持ステー10に対して支点Oを中心に上下揺動可能として抜差し自在なピン等で枢支してあり、第1支持アーム11の前端には角形パイプ13が左右方向として装着され、この角形パイプ13に左右の支持具14が左右方向に位置変更自在として挿支され、この左右の支持具14にロール巻された農用膜体Pの両端が転動自在として懸架されている。
【0018】なお、第1支持アーム11はピン挿通孔11Aの複数個を形成しており、この孔11Aにピンを抜差しすることで支点Oが変更可能であり、左右の支持具14を左右方向に位置変更することで農用膜体Pのロール長さの大小に対応可能とされている。左右の第2支持アーム12は、ロール受け手段(受けロール)15を転動自在に支持するものであり、支持ステー10に対して抜差し自在な2本のピン部材によって装着されており、このピン部材の挿通孔12Aを形成しており、一方、支持ステー10には上下複数段の挿通孔10Aが形成されている。
【0019】従って、2本のピン部材の抜差しでロール受け手段15の前後位置を調整するとともに、2本のピン部材のうち1本は挿通孔10Aに挿通することで上下位置が調整され、ここに、ロール巻された農用膜体Pの径の大小に対応してこの農用膜体Pを下方からロール受け手段15にて支持しており、しかも、このロール受け手段15が農用膜体Pの左右方向で所定間隔をおいて複数個、図では2個備えてあることから、農用膜体Pが幅広なものであっても撓み(反り曲り)が抑制されて円滑な繰り出しが可能であるとともに、農用膜体Pは支点Oを中心に上下動する第1支持アーム11に備えてあることから、繰り出しによって径が徐々に縮径されても、ロール受け手段15によって確実に支持され、繰り出し位置の変動を少なくしているのである。
【0020】第2支持アーム12間はステー16によって連結されており、このステー16には前方に延伸して第3支持アーム17が備えられ、この第3支持アーム17にはローラ形で示す緊張手段18が装着され、この緊張手段18は農用膜体(ロール)Pの前方かつ左右方向中央部位に位置して繰り出されている農用膜体Pの弛みを防止している。左右の被覆作業部7は、走行機体1における下部寄りの左右に、横軸19を支点として上下動自在に枢着され、且つ後方に延伸された左右の支持杆20に対して、それらの後部にそれぞれ装着されている。
【0021】この左右の支持杆20に対しては、横軸19よりも前側に、流体シリンダ(復動型油圧シリンダ)で例示している流体圧駆動部21aを具備した高さ調節手段21が、左右各別に設けられている。図1に示すように、左右の高さ調節手段21に用いられる流体圧駆動部21aは、それらの出側(伸出動用)ポート70同士が操作弁71を介して接続された後、この操作弁71から切換弁72の一方の選択ポートへと接続されており、また入側(縮退動用)ポート74同士が直接に接続された後、切換弁72の他方の選択ポートへと接続されている。そして、この切換弁72が、走行機体1に搭載のエンジン75に対して一体又は別体に設けられたポンプ76へ接続されている。
【0022】上記操作弁71は、二方のうちいずれか一方を選択した状態(左又は右の高さ調節手段21を単独で動作可能とさせる状態)とするか、又は二方を合流させる状態(左右両方の高さ調節手段21を同時に動作可能とさせる状態)とするか、更にまた二方を閉鎖させる状態(左右両方の高さ調節手段21を不動にさせる状態)の合計4通りの切換動作が可能になったものである。また上記切換弁72は、一方の選択ポートへ作動圧を負荷させ他方の選択ポートを解放する状態(この解放側の選択ポートに負圧をかけるようにしてもよい)を、両方の選択ポート間で交替的に入れ換える(即ち、左右両方の高さ調節手段21において流体圧駆動部21aに伸長方向の動作を行わせるか縮退方向の動作を行わせるかを選ぶ)ための切換動作が可能になったものである。
【0023】なお、操作弁71における上記した二方閉鎖の機能は、切換弁72に持たせるようにすることも可能である。これら操作弁71及び切換弁72の操作は、図示は省略するが、前記した操縦ハンドル近傍へ弁本体と共に直接的又は伝動ケーブル等を介して間接的に設けたバルブハンドルや、或いは弁本体に電動駆動部を設けた場合であれば操縦ハンドル近傍へ設けた電気的スイッチ類等によって行えるものとなっており、この操作は走行機体1に随伴する作業者等が行うことになる。
【0024】例えば、操作弁71において左右両方の高さ調節手段21が動作可能となる状態を選択すると、切換弁72が、両高さ調節手段21の流体圧駆動部21aを伸長動作させる設定になっているか又は縮退動作させる設定になっているかに応じて両流体圧駆動部21aが伸長動作又は縮退動作し、左右の支持杆20が各横軸19まわりで同時に上下動し、その結果、左右の被覆作業部7(即ち、踏圧体5及び覆土部材6)が同時に、地面に接地した作業ポジション(図2参照)とこれより上方の非作業ポジション(図6参照)との間で姿勢変更することになる。
【0025】ここにおいて、左右の高さ調節手段21は、左右の被覆作業部7を作業ポジションとさせた場合にあって覆土部材6が地面に達した状態から、更にこの覆土部材6を下方へ押し付ける方向(即ち、流体圧駆動部21aを縮退させる方向)へも操作できるようになっている。従って、左右の覆土部材6について、切り込み深さを深くしたり浅くしたりの調節が、作業者の手元操作で行えるものとなっている。このような機能は、畝Aを挟んだ左右両側の地面が通常の地面硬さよりも硬い場合や、或いは農用膜体Pの左右側縁部位に対して通常より多めの覆土を行いたい場合等において非常に重宝なものとなる。
【0026】また、このとき(覆土部材6が地面に達した状態にあるとき)、操作弁71において左又は右のいずれか一方の高さ調節手段21だけを動作可能な状態にする操作を行うと、一方(例えば左方)の流体圧駆動部21aの伸縮動作により、同方の1本の支持杆20だけを各横軸19まわりで上下動させることになり、その結果、左又は右の一方の被覆作業部7だけを単独で上下動できることになる。このようなことから、仮に、畝Aを挟んだ左右両側の地面が地面硬さや地面レベルを異ならせているときでも、左右の覆土部材6の地面への切り込み深さを各独立して調節できることになり、これによって農用膜体Pの左右側縁部位に対して十分量の覆土が可能になる。
【0027】また、このとき踏圧体5も覆土部材6と同調的に高さ調節されるので、農用膜体Pの踏み付け量も、常に適正に保持されることになる。左右の支持杆20はその長手方向中途に上下方向の腰折れ手段22を有し、この腰折れ手段22は支点Qを中心に支持腕23が上下動自在(揺動自在)に枢着することで構成されているとともに、この支持腕23に装着している踏圧体5と覆土部材6とがこの支持腕23を介して弾圧手段24により対地方向に付勢されている。
【0028】左右の弾圧手段24は、支持杆20に固設して立設したブラケット25に、弾圧ロッド26を上下動自在に挿支するとともに、このロッド26の下端を支持腕23の延長部23Aに枢着し、弾圧ロッド26に巻回装着したコイルバネ27をブラケット25の上面とロッド26に位置調整(変更)可能として装着したバネ受け28との間に介在することで構成されていて、符号29はストッパを示している。左右の支持腕23には、バネ受け30と支持ステー31が固定されており、支持ステー31は下方に延伸されていてこの延伸端には車輪ステー32が枢支されて後方に延伸され、この車輪ステー32の中途にはバネ受け30に挿通された調整ロッド33の下端が枢着され、この調整ロッド33にはコイルバネ34が巻回装着されていて車輪ステー32を介して踏圧体5を下方に付勢している。
【0029】左右の踏圧体5は、車輪ステー32に椀形軸受35を介して転動自在に支持された車輪形であって、その外周はスポンジ等による弾褥構造5Aとされている。左右の踏圧体5に対して接離自在な挟持具36は、車輪ステー32に備えた支持バー37に装着されており、この挟持具36は踏圧体5の前方側から後方下向に橇状として形成した金属、樹脂等による棒材で構成されており、この棒材の弾性力によって踏圧体5の下廻り中央部に延伸され、ここに、踏圧体5を地面より浮上させた状態で農用膜体Pの左右側縁部位を踏圧体5と協働して挟持するように構成されていてこの挟持状態で農用膜体Pを通過可能であるとともに、接地状態(作業姿勢)のときも同様に農用膜体Pを挟持している。
【0030】左右の覆土部材6は、踏圧体5の外側後方に配置されており、図では円盤角等を有して転動自在な皿形ディスクを例示しており、畝Aの谷部Bにおける土を切削しつつ内方へ移動することで踏圧体5を通過した農用膜体Pの左右側縁部位に覆土可能である。その他、図2および図3において、左右の支持杆20には、農用膜体Pの左右両側縁部を挟持して案内する上下対のロールからなる案内手段38が装着されている。
【0031】次に、前述した第1実施形態による作用を概説する。ロール巻された農用膜体Pは緊張手段18を経由させその左右両側縁部を案内手段38に導入するとともに、踏圧体5と挟持具36とにかませた(挟持した)状態で被覆作業部7を作業姿勢(接地状態)にして、走行装置2を谷B上として畝Aの長手方向に沿って走行させる。この走行によって左右の踏圧体5が農用膜体Pの両側縁部位を踏み付けて転動することから、ロール受け手段15によって支持されているロール巻農用膜体Pは転動して繰り出すとともに、トンネル支柱Cにかぶせられながら、かつ、覆土部材6にて覆土されて被覆作業が続行される。
【0032】このとき、畝Aを挟んだ左右両側の谷Bが通常の地面硬さよりも硬い場合や、農用膜体Pの左右側縁部位に対して通常より多めの覆土を行いたい場合には、操作弁71において左右両方の高さ調節手段21が同時に動作可能となる状態にすると共に、切換弁72を、両高さ調節手段21の流体圧駆動部21aを縮退動作させる方向へ適量だけ操作する。これにより左右の覆土部材6が地面への切り込み深さを深くし、農用膜体Pの左右側縁部位に対して十分な覆土量を確保することになる。
【0033】また、畝Aを挟んだ左右両側の谷Bが地面硬さや地面レベルを異ならせている場合には、操作弁71において左又は右の高さ調節手段21が単独で動作可能となる状態にすると共に、切換弁72を、両高さ調節手段21の流体圧駆動部21aを縮退動作させる方向へ適量だけ操作する。これにより硬質側又は低レベル側の地面に対しても覆土部材6が確実に切り込みを行うものとなり、農用膜体Pの左右側縁部位に対して十分な覆土量を確保することになる。
【0034】なお、この被覆作業中において、谷Bに凹凸があっても被覆作業部7は弾圧手段24によって対地に付勢され、かつ、腰折れ手段22を介して支持していることから、谷Bの凹凸に確実に追従しながら農用膜体Pを被覆していくのである。また、農用膜体Pは繰り出しにともなって径が縮径されるが、ロール受け手段15に自重で支えられているので、繰り出し位置(図2では下方からであるが、上方からの繰り出しでも良い)は差程変動することなく、緊張手段18によって弛みを防止した状態で繰り出すことになる。
【0035】更に、踏圧体5の外周は弾褥構造5Aとされていて弾性力によって棒材よりなる挟持具36が喰込んでいることから、作業中に風圧によって農用膜体Pに外力が作用してもこの農用膜体Pは踏圧体5から外れることなく、しかも、橇状であることから、円滑かつ軽快に農用膜体Pを挟持しつつ繰り出すことができる。被覆作業が進行して畝Aの枕地近傍になると、操作弁71において左右両方の高さ調節手段21が同時に動作可能となる状態にすると共に、切換弁72を、両高さ調節手段21の流体圧駆動部21aを伸長動作させる方向へ操作する。
【0036】これにより、左右の被覆作業部7は、各横軸19を支点に図6で示すように浮上(持上げ)されるが、このときでも農用膜体Pは踏圧体5と挟持具36によって挟着されているので、この持上げ姿勢のまま走行機体1を旋回させ、次の畝Aに移行後、上記操作弁71及び切換弁72を上記と逆操作して左右の被覆作業部7を対地に降ろすことで、直ちに被覆作業に移行できるのである(なお、旋回する前に、被覆作業部7以降の農用膜体Pはカッタ等で切断される)。図7および図8は本発明の第2実施形態を示しており、基本構成及び作用は前述した第1実施の形態と共通するので共通部分は共通符号で示し、以下、相違点について専ら説明する。
【0037】挟持具36は、椀形軸受35から前方に突出したステー53にコイル部54Aを有するバネ部材54の一端片54Bに止着し、他端片54Cにはヘラ(板状乃至棒状)形の挟持具36を踏圧体5の弾褥構造5Aに下方から喰い込ませて装着されている。従って、バネ部材54の弾性力に抗して挟持具36を弾褥構造5Aから離した状態で農用膜体Pを差込んだ後に弾性力によって挟持して第1実施形態と同様に作業を行うのである。
【0038】図9は本発明の第3実施形態を示しており、基本構成及び作用は前述した第1実施の形態と共通するので共通部分は共通符号で示し、以下、相違点について専ら説明する。左右の踏圧体5を支持する車輪ステー32は、左右の支持腕23に前後複数(図例では2個)設けられた軸受具80に対し、それぞれ上下動自在に挿通された調整ロッド33の下端で固定されたものとなっている。各調整ロッド33には、その上端部に抜け落ち防止用のピン装着部81が設けられており、軸受具80より下側にコイルバネ34が巻回装着されている。軸受具80はこれらコイルバネ34の上側のバネ受けを兼ねている。また、各調整ロッド33の下部側には、コイルバネ34のバネ力調節及びバネストッパを兼ねるピン装着部82が設けられている。
【0039】このような構成であるため、凹凸のある地面を踏圧体5が通過したときでも、車輪ステー32は常に水平状態(厳密な水平である必要はないが、要は車輪ステー32がその一端側を支点とした揺動を起こさないということ)を保持しつつ、上下動するものとなり、結果として、このような状況のなかで踏圧体5及び挟持具36は、地面の凹凸に応じて垂直方向に沿って互いに同調的(一体的)に上下動することになる。すなわち、この上下動中において、踏圧体5と挟持具36との間は常に一定距離に保たれ、従ってこれら踏圧体5と挟持具36の間で挟持された農用膜体Pは、常に一定の挟持圧のもと、同じ挟持角度、同じ挟持面積を受けていることになる。これにより、踏圧体5と挟持具36の間で農用膜体Pが詰まりを起こすということは防止される。
【0040】一方、この第3実施形態では、ロール巻されている農用膜体Pを繰り出し自在に支持するロール受け手段15が、農用膜体Pの左右方向だけでなく、その繰出し方向にもそれぞれ所定間隔をおいて複数設けられている。そのため、農用膜体Pのロール径が小さくなったときでも、より安定した支持が可能になり、農用膜体Pの繰り出しが円滑に行われることになる。本発明の実施の形態は以上の通りであるが、更に、次のような設計変更も可能である。
■ 高さ調節手段21は、その駆動部として流体圧駆動部21aを採用したものに限らず、バネリンク機構等を採用することもできる。
■ 膜体供給部4と被覆作業部7との間に、アーチ形状で前傾姿勢の膜体案内棒を装着しても良い。
■ 踏圧体5及び覆土部材6はシュ形(舟形)にしたものであっても良い。
■ 走行機体1として高床形トラクタ(車輪形トラクタ)等を採用することもできる。
【0041】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば畝を挟んだ左右両側の地面が地面硬さや地面レベルを異ならせているとき等では、左右の覆土部材の地面への切り込み深さを容易且つ迅速に、しかも左右各独立して調節できるものであり、従って、農用膜体の左右側縁部位に対する確実な覆土が可能になり、また農用膜体の被覆作業中に、風圧等によって農用膜体が離脱することはなく、また旋回(路上移動中も含む)のとき、農用膜体は挟持されているので直ちに次の被覆作業に移行できるという利点もある。
【出願人】 【識別番号】591070990
【氏名又は名称】本田農機工業株式会社
【出願日】 平成11年1月13日(1999.1.13)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開2000−201548(P2000−201548A)
【公開日】 平成12年7月25日(2000.7.25)
【出願番号】 特願平11−6609