| 【発明の名称】 |
イチゴの栽培容器およびそれを用いるイチゴの栽培方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】西本 太
【氏名】守屋 勝行
【氏名】末永 善久
【氏名】折田 昭洋
【氏名】岡 昌二
【氏名】福田 正明
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| 【要約】 |
【課題】太陽熱土壌消毒法を用いて栽培容器中の土壌もしくは培地を消毒しても変形せず、軽量で嵩張らず、かつ、衝撃に強く押出成形が可能な配合物で成形された、価格的にも有利な、ポリオレフィン系樹脂製の高設ベンチ栽培用のイチゴの栽培容器およびそれを用いるイチゴの栽培方法を提供することを課題とする。
【解決手段】結晶性ポリプロピレンおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーからなるプロピレン系樹脂組成物と無機充填剤とを必須成分とし、無機充填剤の含有量が20〜40重量%、メルトフローレートが0.1〜2.0g/10分、かつ、荷重たわみ温度が100℃以上である配合物を押出成形し加工して得られるイチゴの栽培容器、およびその栽培容器を架台の上に設置して用い、さらに栽培容器中の土壌もしくは培地の太陽熱消毒を行なうイチゴの栽培方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】結晶性ポリプロピレンおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーからなるプロピレン系樹脂組成物と無機充填剤とを必須成分とする配合物であって、無機充填剤の含有量が20〜40重量%、メルトフローレートが0.1〜2.0g/10分、かつ、荷重たわみ温度が100℃以上である配合物を押出成形して得られる樋状部材を用いたイチゴの栽培容器。 【請求項2】請求項1のイチゴの栽培容器を用いることを特徴とするイチゴの栽培方法。 【請求項3】イチゴの栽培容器を架台の上に設置して用いることを特徴とする請求項2に記載のイチゴの栽培方法。 【請求項4】イチゴの栽培容器中の土壌もしくは培地の太陽熱消毒を行なうことを特徴とする請求項2もしくは3に記載のイチゴの栽培方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は太陽熱土壌消毒法を採用した高設ベンチ(架台)栽培に適したポリオレフィン樹脂製のイチゴの栽培容器およびそれを用いるイチゴの栽培方法に関する。 【0002】 【従来の技術】イチゴの生産は、通常、親株から伸びたランナーの先にできる子株を採取・育苗し、夜冷処理や山上げなどによる花芽分化促進処理を行なった後、さらに本圃へ定植・栽培して開花・結実させ果実を収穫する方法によって行われる。従来は育苗も本圃での栽培も地表面において行なう土耕栽培であったため、生産者は膝や腰を曲げたまま、長時間の作業を強いられてきた。この作業の困難さが、イチゴ生産者の減少ひいては作付け面積の伸び悩みの大きな原因となっていた。また、露地の地表面でのイチゴの育苗は、生育環境の制御が難しく病虫害も発生しやすく、均一で高品位の健苗が得られにくく、収穫されるイチゴの品質も一定せず収穫量も不十分であった。 【0003】これらの問題を解決するため、筒状の栽培用容器(ポット)を用いる高設栽培方法(特開平10−108548)や高床式のベンチ栽培システム(特開平10−178927)が提案され実用化されている。これらの高設栽培法は、予め調合された土壌もしくは培地を入れた容器をある高さに設置して、イチゴの育苗や栽培を行なう方法であり、通常はガラス室やハウスなどの施設内で、完全な肥培管理のもとに実施される。作業も立ったまま行われ、従来の膝や腰を曲げたままの作業は改善されている。土壌もしくは培地を入れる容器がポットの場合、ポット1個に植えるのはイチゴ1株であり、容器が樋状もしくは箱状の場合は1個に複数の株が植え付けられる。容器の材質はプラスチックが一般的で、ポットの場合はポリエチレンやポリプロピレンなどの射出成形物などである。容器が樋状もしくは箱状の場合は、ポリ塩化ビニル樹脂の異形押出成形物やスチロール樹脂の発泡成形物などであり、異形押出成形物の場合は、土壌もしくは培地が零れないように両端が別の部材で仕切られている。 【0004】イチゴの生産者が高設栽培容器を用いて十分な収益を得るには、少ない投資で十分な収穫をあげることが必要である。そのためには、株間を狭くして植付本数を増やし、単位面積当たりの多収穫をあげるほか、病害虫の被害を最小限に止めることが不可欠であり、また培地を含めた設備や資材をできるだけ長期間繰返し使用する必要がある。そのためには連作障害回避のための土壌もしくは培地の消毒が欠かせない。従来、土壌消毒には臭化メチルなどの薬剤が使用されてきたが、環境問題や健康指向から、薬剤を使用しない太陽熱土壌消毒法の利用が望まれるようになった。太陽熱土壌消毒法は、7〜8月の高温期にハウスを密閉し、室内温度を60℃以上に保ち、ベンチ内の培地温度や地床温度を40℃以上に10日間〜2週間維持するもので、これにより主な土壌伝染性病原菌は死滅する。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかし、太陽熱土壌消毒法を用いる場合、イチゴ栽培容器は土壌もしくは培地が充填された状態で長時間比較的高い温度に曝されることになり、イチゴ栽培容器がポリ塩化ビニル樹脂や発泡スチロール樹脂の成形物の場合には変形が発生し、以後の使用において排水不良などの不具合により根腐れなどの病害を引き起こす原因となる。また、ポリ塩化ビニル樹脂製のイチゴ栽培容器は塩化ビニル樹脂の密度が大きいため重量物となり運搬などの作業がやりにくく、発泡スチロール製の栽培容器は軽量であるが衝撃に弱い上、嵩張るなどの欠点があった。さらに、塩化ビニル樹脂や発泡スチロールは廃棄物処理のため焼却する場合、塩化水素ガスや黒煙などが発生するなどの問題がある。 【0006】このため、使用済後の焼却処理が比較的容易で、密度も小さく衝撃に強く、価格的にも有利なポリオレフィン系樹脂製のイチゴの栽培容器が求められていた。この要求にマッチするポリオレフィン系樹脂としては、耐衝撃性のポリプロピレン樹脂や高密度ポリエチレン樹脂があるが、いずれも結晶性の樹脂であり、非結晶性の塩化ビニル樹脂などと異なり、加工温度における溶融粘度が低いため、栽培容器に用いる樋状成形物などを連続して成形できる異形押出成形に適していなかった。本発明は、太陽熱土壌消毒法を用いて栽培容器中の土壌もしくは培地を消毒しても変形せず、軽量で嵩張らず、かつ、衝撃に強く押出成形が可能な配合物で成形された、価格的にも有利な、ポリオレフィン系樹脂製の高設ベンチ栽培用のイチゴの栽培容器およびそれを用いるイチゴの栽培方法を提供することを課題とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問題点を解決するため鋭意検討の結果、特定のプロピレン系樹脂組成物に無機充填剤を添加してなる成形用配合物を押出成形して得られる樋状部材を用いた栽培容器およびそれを用いる栽培方法によって前記課題が解決することを見出し本発明を完成した。 【0008】すなわち、本発明は以下の構成を有する。 (1)結晶性ポリプロピレンおよびプロピレン−エチレンランダムコポリマーからなるプロピレン系樹脂組成物と無機充填剤とを必須成分とする配合物であって、無機充填剤の含有量が20〜40重量%、メルトフローレートが0.1〜2.0g/10分、かつ、荷重たわみ温度が100℃以上である配合物を押出成形して得られる樋状部材を用いたイチゴの栽培容器。 (2)(1)項のイチゴの栽培容器を用いることを特徴とするイチゴの栽培方法。 (3)イチゴの栽培容器を架台の上に設置して用いることを特徴とする(2)項に記載のイチゴの栽培方法。 (4)イチゴの栽培容器中の土壌もしくは培地の太陽熱消毒を行なうことを特徴とする(2)もしくは(3)項に記載のイチゴの栽培方法。 【0009】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を説明する。本発明のイチゴの栽培容器およびそれを用いるイチゴの栽培方法において、イチゴの栽培容器を製造するための配合物に用いられるプロピレン系樹脂組成物の構成成分である結晶性ポリプロピレンとしては、結晶性ポリプロピレンホモポリマーまたはプロピレン含有量が90重量%以上の結晶性プロピレン−エチレンランダムコポリマーを好適に用いることができ、プロピレン含有量が多い程、プロピレン系樹脂組成物の剛性が高くなる。前記のプロピレン系樹脂組成物の構成成分であるプロピレン−エチレンコポリマーは、40〜70重量%、好ましくは50〜65重量%のエチレン重合単位を含有するプロピレン−エチレンランダムコポリマーである。プロピレン−エチレンランダムコポリマー中のエチレン重合単位含有量が40重量%より著しく少ない場合は、前記イチゴの栽培容器の耐衝撃性が低下し、40〜70重量%の範囲を外れる場合、押出成形時の溶融配合物の垂下が大きくなり成形不良率の増加もしくは成形不能に陥る恐れがある。 【0010】前記プロピレン系樹脂組成物の中のプロピレン−エチレンランダムコポリマーの含有量は、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。5重量%未満の場合は前記イチゴの栽培容器の低温耐衝撃性が不十分であり、30重量%を越える場合は太陽熱消毒において変形が発生するおそれがある。また、前記プロピレン系樹脂組成物は、Q値(Mw/Mn)が5以下、好ましくは、4.5以下の狭分散性分子量分布を有する。Q値が5を越え分子量分布幅が大きくなると前記イチゴの栽培容器の表面平滑性が低下する。 【0011】本発明のイチゴの栽培容器およびそれを用いるイチゴの栽培方法において、イチゴの栽培容器を製造するための配合物のメルトフローレート(略称MFR、JIS K 7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)により測定)は、0.1〜2.0g/10分、好ましくは0.1〜1.5g/10分、特に好ましくは0.1〜1.0g/10分である。メルトフローレートが、0.1g/10分未満の場合は、前記配合物を用いてイチゴの栽培容器の樋状部材を押出成形する場合に、サージングやメルトフラクチャーが発生して押出成形性が低下したり、得られる押出成形物の表面に肌荒れが生じる恐れがあり、2.0g/10分を越える場合は押出成形を行なう場合に溶融した前記配合物の垂下が顕著になり成形できず、樋状部材が得られない恐れがある。メルトフローレートが0.1〜2.0g/10分である前記のイチゴの栽培容器を製造するための配合物を得るためには、前記配合物の成分となる前記プロピレン系樹脂組成物のメルトフローレートは、0.1〜2.0g/10分、好ましくは0.1〜1.5g/10分、特に好ましくは0.1〜1.0g/10分である。 【0012】前記のプロピレン系樹脂組成物は、上記の諸特性を満足すればいかなる方法で製造してもよい。例としては、別々に製造した結晶性ポリプロピレンとプロピレン−エチレンコポリマーとを混合装置を用いて混合して製造する方法、及び結晶性ポリプロピレンとプロピレン−エチレンコポリマーとを多段重合により連続的に製造する方法が挙げられる。 【0013】具体的には、混合して製造する方法としては、チタン担持触媒などのチグラーナッタ触媒を用いて重合したプロピレン−エチレンコポリマーや市販のエチレン−プロピレンゴムと結晶性ポリプロピレンとを溶融混合する方法が例示できる。また、多段重合により連続的に製造する方法としては、複数の重合器を使用して、1段目で結晶性ポリプロピレンを製造し、2段目でプロピレン−エチレンコポリマーを製造する方法が例示できる。この連続重合法は、上記の溶融混合する方法に比べて製造コストが安価で、かつ、結晶性ポリプロピレン中にプロピレン−エチレンコポリマーが均一に分散したプロピレン系樹脂組成物が得られるため好ましい方法である。 【0014】本発明のイチゴの栽培容器およびそれを用いるイチゴの栽培方法において、前記イチゴの栽培容器を製造するための配合物には、無機充填剤が20〜40重量%含有される。前記の無機充填剤は、本発明のイチゴの栽培容器の弾性率、耐熱性、寸法安定性、および外観意匠性の向上、押出成形時の形状付与性(賦形性)の向上、ならびにコストダウンなどを目的として用いられる。前記配合物中の無機充填剤の含有量が40重量%を超えると、押出成形時に溶融した前記配合物の自重による垂下が大きくなり過ぎて成形しにくくなり、得られたイチゴの栽培容器の強度が低下する傾向があり、20重量%未満では、耐熱性、寸法安定性、賦形性などの向上効果が十分でない。前記の無機充填剤には特に制限は無く、従来プロピレン系樹脂組成物に慣用されている中から任意の物を選択でき、具体的には、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが例示できる。これらの無機充填剤は1種又は2種以上組み合わせて使用しても良い。 【0015】本発明のイチゴの栽培容器を押出成形し加工するための配合物においては、プロピレン系樹脂組成物および無機充填剤の他に、成形時の熱安定性や高い溶融粘度、成形物の耐熱変形性を十分発現させるため、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤などの、酸化防止剤を添加することが好ましい。前記のフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、などを例示することができる。また、前記のリン系酸化防止剤としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイトなどを例示することができる。 【0016】前記の酸化防止剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記のプロピレン系樹脂組成物100重量部に対する、これら酸化防止剤の添加量は、0.001〜2重量部、好ましくは0.005〜1.5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部である。前記の配合物においては、プロピレン系樹脂組成物、無機充填剤および酸化防止剤の他に、必要に応じて通常ポリプロピレンに添加される各種の添加剤、たとえば、中和剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤などの添加剤を配合することができる他に、配合物の成形性や物性を改良するためエチレン−プロピレンゴムなどのポリマーを配合することができる。前記中和剤としては、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩類が例示でき、前記耐候剤としては、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)が例示できる。前記滑剤としては、ステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド類が例示できる。前記帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレートなどの脂肪酸エステル類が例示できる。 【0017】本発明のイチゴの栽培容器を製造するための配合物のJIS K 7207「硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」B法(曲げ応力45.1N/cm2)に従って測定した荷重たわみ温度は、100℃以上、好ましくは130℃以上である。前記配合物の荷重たわみ温度が100℃未満の場合は、前記配合物を押出成形し加工して得られるイチゴの栽培容器が太陽熱消毒の際に大きく変形する恐れがある。 【0018】本発明のイチゴの栽培容器は、前記のプロピレン系樹脂組成物および無機充填剤の他に、必要に応じて前記の添加剤やポリマーを配合して得られる配合物を押出成形し加工して製造される。前記のプロピレン系樹脂組成物に、前記の添加剤などを配合して配合物にする方法は、ヘンシェルミキサー(商品名)やスーパーミキサー(商品名)などの高速攪拌混合機、およびブレンダーまたはタンブラーなどの通常のミキサーを用いて混合する方法(ドライブレンド)が例示できる。また、前記の方法により得られた混合物を一般的な単軸押出機または二軸押出機を用いて溶融混練しペレット状配合物にする方法が例示できる。 【0019】本発明のイチゴの栽培容器は、前記のプロピレン系樹脂組成物および無機充填剤を必須成分とする配合物を押出成形して得られる樋状部材を加工して製造される。押出成形法の場合、任意の長さの樋状部材を連続して成形できるが、輸送・保管などの点から製造できる長さに限度がある。このため、前記の樋状部材を用いて実際のイチゴの栽培容器を製造し設置するには、複数本の樋状部材を連結する必要が出てくる場合があり、さらに、両端を封じるための止り部材が必要である。従って、大型のイチゴの栽培容器は、押出成形法を用いて成形した樋状部材を必要に応じて連結し、さらに両端を、射出成形法などを用いて成形した止り部材で封じる方法で製造するのが好ましい。 【0020】止り部材の形状は樋状部材の両端に取付け可能であれば特に限定しない。また樋状部材の連結方法も、雨樋の連結に使用されるような継手部材を射出成形法などを用いて成形して用いる方法、簡易な粘着テープを用いる方法などを適宜用いることができる。なお、前記の樋状部材と止り部材から構成されるイチゴの栽培容器を用いる栽培において、栽培容器に充填された土壌もしくは培地の太陽熱土壌消毒を行なう場合、止り部材に加えられる荷重が樋状部材に加えられる荷重に比べて著しく小さい場合には、止り部材の成形材料は前記の配合物以外から選択することができる。樋状部材の連結に用いる継手部材を作成する場合の成形材料も、同様に前記の配合物以外から選択することができる。 【0021】本発明のイチゴの栽培容器の大きさは、イチゴの栽培容器の構造やイチゴ栽植時の株間距離や畦の条数などによって異なるが、内法で、深さが120〜150mm、幅が畦1条当り100〜140mmが好ましい。長さは輸送・保管などの点から4m以下が好ましい。本発明のイチゴの栽培容器は架台の上に設置して用いるのが好ましい。本発明において架台は、イチゴの栽培容器を作業に適した高さと位置に安定して保持でき、荷重に耐える形状と材質であれば特に限定しない。本発明のイチゴの栽培容器には、潅水時に余分な水などを排出させ、土壌もしくは培地の通気性を確保するため、イチゴの栽培容器の底部に溝や孔を設けたり、排水のため二重底構造にしたり、透水部材を敷設することができ、これらを併用することができる。前記の透水部材としては、水分を含んだ土壌もしくは培地の荷重に耐えて透水や通気の機能を発現できるものが望ましい。具体的には、パンチングメタル、孔空きプラスチック板、ネット、織物または不織布のなどを挙げることができ、これらを併用することができる。 【0022】本発明のイチゴの栽培容器を用いた高設ベンチの例を図1に、イチゴの栽培容器の断面形状を図2に例示する。本発明のイチゴの栽培容器を用いてイチゴの栽培を行なう場合、ハウスやガラス室などの施設内を有効に活用するために、複数個のイチゴの栽培容器を直列につなぐだけでなく、図1に例示するようにさらに並列に設置することができる。図1は1条植え用のイチゴの栽培容器を4列並列に設置した高設ベンチの例であり、高設ベンチの左右は作業用の通路のため、果実は作業時に傷まないように、通路と反対側に結実する。イチゴの栽培容器間には収穫しやすいようにフィルムやネットを設置するが、フィルムの場合には咲き終わったイチゴの花弁がフィルム上で腐敗し果実を痛める恐れがあるため、咲き終わったイチゴの花弁が下に落ちるネットが好ましい。図1の場合は、ネットを設置した例である。前記のネットの目合いは5〜10mm、より好ましくは6〜8mmである。ネットの目合いが5mm未満では咲き終わったイチゴの花弁がネットの下に落ちにくく、10mmを超えると果実がネットの目に引っ掛かっていびつな形状の果実になり商品価値が損なわれる恐れがある。 【0023】本発明のイチゴの栽培容器は、イチゴの育苗および本圃での栽培の両方に使用することができるが、本圃での栽培に使うのが好ましい。育苗はスペースの利用や肥培管理の点から別の場所で行ない、得られた健苗を選別して本発明のイチゴの栽培容器に定植するほうが、病気の発生と拡大を予防することができる。本発明のイチゴの栽培容器を用い、人工培地を用いてイチゴを栽培する場合には、バーミキュライト、ピートモス、ヤシガラ(コイアダスト)、パーライト、ゼオライト、焼成砂、炭化物およびボラ土などを適宜・混合したものを使用するのが好ましい。さらに粉砕もみがらや草炭を加えたものを使用してもよい。これらの人工培地は単独で使用しても、土壌と混合して使用してもよい。 【0024】本発明のイチゴの栽培容器を用いてイチゴを栽培する場合の培地としては、軽量で(仮比重0.50程度)、保水性、孔隙率に富むなどの物理性を有し、かつ、炭素率が高く、3〜5年の耐用性を有するものが好ましい。具体的には、バーミキュライト、ピートモス、ボラ土および砂などを混合したものが好ましく、混合割合は特に限定しないが下記の割合が例示できる。 バーミキュライト:ピートモス:ボラ土:砂=35:35:20:10なお、前記のピートモスに代えてヤシガラ(コイアダスト)を使用してもよい。また、上記割合の混合物100重量部に対し、さらに粉砕もみがらや草炭を100重量部程度加えたものを使用してもよい。前記培地の使用量は、受光条件により変動するが、イチゴ1株当り2.5〜3.5リットルであり、好ましくは2.8〜3.1リットルである。本発明のイチゴの栽培容器を用い、前記の培地を用いてイチゴを栽培する場合の、イチゴの株間距離はおよそ20cmが好ましい。 【0025】本発明のイチゴの栽培容器を用いてイチゴを栽培する場合の施肥は、前記の培地を混合調製する際に、チッソ150mg/リットル、リン酸500mg/リットル、カリ150mg/リットルをを目安として添加する。チッソ肥料としてはCDUが例示できる。なお、苗が活着したら追肥が必要であるが、苗を定植する際に、たとえば、チッソ肥料の被覆尿素に、リン酸として苦土重焼燐およびカリとして被覆硫酸加里を加えたLP複合肥料(チッソ旭肥料(株)製)のような肥効調節型の被覆肥料を、植え穴直下に基肥の形で予め全量施肥すれば、追肥の手間を省いて殆ど潅水だけで栽培ができ、しかも80%以上の肥効率が期待できるため、施肥量も従来の方法に比べ40〜50%減らすことができる。 【0026】本発明のイチゴの栽培容器を用いてイチゴの育苗・栽培を行なう場合、土壌もしくは培地を加温するため、前記の栽培容器の内側や外面に温水や温風を通す配管などを設置したり、面状発熱体などの電熱装置を設置することができる。さらに保温のため前記の栽培容器の外側を保温材で覆ってもよい。本発明のイチゴの栽培容器を用いてイチゴの育苗・栽培を行なう場合、自動もしくは手動の潅水設備や施肥設備を設置することもできる。本発明のイチゴの栽培容器を用いてイチゴの栽培を行なう場合、果実の着色をよくするため反射シートを用いることができる。本発明のイチゴの栽培容器を用い、前記の培地を用いて、肥効調節型の被覆肥料を基肥の形で予め全量施肥し、イチゴ苗を定植し高設栽培することにより、省力化、減肥料および減農薬を行ないつつ、品質の良いイチゴを高収量で収穫することができる。本発明のイチゴの栽培容器を用いることにより、環境保全型のイチゴ栽培が可能になる。 【0027】 【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるべきものではない。なお、実施例および比較例で用いられるイチゴ栽培容器樋状部材の材質の物性測定方法を以下に記載する。 (1)荷重たわみ温度:JIS K 7207「硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」B法(曲げ応力45.1N/cm2)に従って測定した。単位は℃。なお、試験片成形条件は、以下の通りである。 ポリプロピレン系樹脂配合物:ペレット状配合物を、射出成形機にて溶融温度250℃、金型温度50℃でJIS形の試験片に成形した。 硬質塩化ビニル樹脂配合物:市販の樋状部材の平面部から切り出した板を重ねて、温度180℃の熱プレスで3分間予熱後、150kg/cm2の加圧下で2分間プレス成形し、温度12〜18℃の冷却プレスにて2分間、150kg/cm2の加圧下で固化させて得た積層板を切削し成形しJIS形の試験片に成形した。 【0028】(2)密度:(1)の試験片成形条件に準じて試験片を作成し、JIS K 7112「プラスチックの密度と比重の測定方法」A法に従って測定した。単位はg/cm3。 (3)メルトフローレート(MFR):プロピレン系樹脂組成物およびイチゴの栽培容器成形用配合物のペレットサンプルを用いて、JIS K 7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)に従って測定した。単位はg/10分。プロピレン系樹脂組成物については、複数の重合器を使用し1段目で結晶性ポリプロピレンを製造し、2段目でプロピレン−エチレンコポリマーを製造する多段重合により連続的に製造されたプロピレン系樹脂組成物のパウダー100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて2分間混合し、得られた混合物を口径40mmφの単軸押出造粒機を用いて230℃にて造粒し、ペレット状にして測定に供した。 【0029】実施例1■イチゴの栽培容器成形用配合物の製造プロピレン−エチレンランダムコポリマー含有量が13.3重量%、プロピレン−エチレンランダムコポリマー中のエチレン重合単位含有量が60重量%、メルトフローレートが0.35g/10分であるプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.05重量部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部、灰色顔料4重量部、および無機充填剤としてタルク(比表面積44,000cm2/g、平均粒径1.6μm)45重量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて2分間混合し、得られた混合物を口径65mmφの単軸押出造粒機を用いて230℃にて造粒し、ペレット状のイチゴの栽培容器成形用配合物を得た。前記配合物ペレットの物性評価結果を表1に示した。 【0030】■樋状部材の押出成形溶融樹脂の出口が図2(a)に示す形のダイを備えた異形押出装置(押出機は、口径90mmφの単軸押出機)を用い、前記の配合物ペレットを単軸押出機に供給し、250℃で溶融させ、押出を行ない、長さ500mmの真空サイジングダイと長さ2mの水槽(水温20℃)で形状を保持しつつ冷却固化し、図2(a)の断面形状を持ち、底面幅120mm、上面幅165mm、開口幅140mm、高さ120mm、厚み1.5mm、長さ4mの樋状部材を成形した。 [イチゴの栽培容器の加工と組立て]前記の長さ4mの樋状部材の底面の幅方向中央に、長さ方向400mm毎に、直径40mmの孔を穿った。さらに、樋状部材の両端に硬質塩化ビニル樹脂製雨樋部品(積水化学工業(株)製、エスロン止りP200)を取付けた。 【0031】■培地調合とイチゴの栽培容器への充填前記のイチゴの栽培容器を、熊本県水俣市に設置した間口5.4m、長さ10mのビニルハウス内に搬入し、イチゴの栽培容器の長さ方向の一方の端から、0.2m、1.4m、2.6m、および3.8m離れた個所の計4個所で、イチゴの栽培容器の底面がその長さ方向に対し直角かつ水平に置かれた直径25mmの鋼管により支持されるようにセットし、草炭60重量部、粉砕もみがら40重量部、バーミキュライト35重量部、ピートモス35重量部、ボラ土20重量部、砂10重量部の割合で予め混合した培地30kg(60リットル)を充填し、イチゴの栽培容器の撓み量を測定した。撓み量は2つの支持脚間(距離:1.2m)のイチゴの栽培容器中間部分の水平面からの沈降距離(mm)である。結果を表1に示した。 ■太陽熱消毒前記のイチゴの栽培容器に充填した培地に潅水した後、ハウスを密閉し、1998年7月27日〜8月10日までの15日間太陽熱土壌消毒を行なった後、ハウスを開放してイチゴの栽培容器の撓み量を測定し、太陽熱消毒変形性を評価した。結果を表1に示した。 【0032】実施例2実施例1のプロピレン系樹脂組成物に変えて、プロピレン−エチレンランダムコポリマー含有量が11.7重量%、プロピレン−エチレンランダムコポリマー中のエチレン重合単位含有量が59重量%、メルトフローレートが0.50g/10分であるプロピレン系樹脂組成物を用いる以外は、実施例1と同様に、イチゴの栽培容器成形用配合物の製造、樋状部材の押出成形、培地調合とイチゴの栽培容器への充填、および太陽熱消毒を行なった。結果を表1に示した。 【0033】比較例1実施例2のイチゴの栽培容器成形用配合物のタルク含有量を0重量%とする以外は、実施例2と同じにイチゴの栽培容器成形用配合物の製造、および樋状部材の押出成形を行なった。ダイ出口における溶融樹脂の垂下が発生し樋状部材の押出成形ができなかった。結果を表1に示した。 【0034】比較例2実施例1のプロピレン系樹脂組成物に変えて、プロピレン−エチレンランダムコポリマー含有量が11.7重量%、プロピレン−エチレンランダムコポリマー中のエチレン重合単位含有量が59重量%、メルトフローレートが2.6g/10分であるプロピレン樹脂を用いる以外は、実施例1と同じにイチゴの栽培容器成形用配合物の製造、樋状部材の押出成形を行なった。ダイ出口における溶融樹脂の垂下が発生し樋状部材の押出成形ができなかった。結果を表1に示した。 【0035】比較例3■イチゴの栽培容器の組立て断面形状が実施例1と同じ形状の硬質塩化ビニル樹脂製雨樋(積水化学工業(株)製、エスロン大といP200−4,000)に、実施例1と同じように排水用の孔を穿ち、両端に硬質塩化ビニル樹脂製雨樋部品(積水化学工業(株)製、エスロン止りP200)を取付けた。なお、荷重たわみ温度と密度は前記の硬質塩化ビニル樹脂製雨樋の一部を加工した試験片を用いて測定した。 [培地調合とイチゴの栽培容器への充填]実施例1と同様に培地を充填し、撓み量を測定した。 ■太陽熱消毒前記のイチゴの栽培容器に充填した培地に潅水した後、実施例1のイチゴの栽培容器に並べ実施例1と同様の太陽熱消毒を行なった後、ハウスを開放して撓み量を測定し、太陽熱消毒変形性を評価した。測定結果を表1に示した。 【0036】 【表1】
【0037】 【発明の効果】本発明のイチゴの栽培容器は、太陽熱土壌消毒法を用いて栽培容器中の土壌もしくは培地を消毒しても、変形せず、軽量で嵩張らず、かつ、衝撃に強く価格的にも有利で、高設ベンチ栽培用に好適である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002071 【氏名又は名称】チッソ株式会社 【識別番号】591202155 【氏名又は名称】熊本県
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| 【出願日】 |
平成11年1月14日(1999.1.14) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−201542(P2000−201542A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月25日(2000.7.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−7284 |
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