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【発明の名称】 作物の栽培容器およびそれを用いる作物の栽培方法
【発明者】 【氏名】折田 昭洋

【氏名】岡 昌二

【氏名】福田 正明

【要約】 【課題】太陽熱土壌消毒法や蒸気土壌消毒法を用いて栽培容器中の土壌もしくは培地を消毒しても変形せず、軽量で嵩張らず、かつ、衝撃に強く押出成形が可能な配合物で成形された、価格的にも有利な、ポリオレフィン系樹脂製の高設ベンチ栽培用の作物の栽培容器およびそれを用いる作物の栽培方法を提供することを課題とする。

【解決手段】135℃のテトラリン(テトラクロロナフタレン)中で測定した固有粘度[η]Pが、0.2〜10dl/gの範囲の、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重合体100重量部に対して、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Eが15〜100dl/gの範囲の、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体0.01〜5.0重量部を含むポリプロピレン樹脂組成物と無機充填剤を用いた配合物を成形・加工して得られる作物の栽培容器、およびその栽培容器を架台の上に設置して用い、さらに栽培容器中の土壌もしくは培地の太陽熱消毒もしくは蒸気消毒を行なう作物の栽培方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】下記の(a)および(b)成分を含むポリプロピレン樹脂組成物と無機充填剤を必須成分とする配合物であって、無機充填剤の含有量が20〜40重量%である配合物が、成形・加工されることによって得られる作物の栽培容器。
(a)135℃のテトラリン(テトラクロロナフタレン)中で測定した固有粘度[η]Pが、0.2〜10dl/gの範囲の、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重合体100重量部。
(b)135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Eが15〜100dl/gの範囲の、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体0.01〜5.0重量部。
【請求項2】エチレン単独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体が、数平均粒子直径が1〜5000nmの範囲の微粒子としてプロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重合体の中に微分散しているポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の作物の栽培容器。
【請求項3】ポリプロピレン樹脂組成物の135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Tが、0.2〜10dl/gの範囲のポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とする請求項1に記載の作物の栽培容器。
【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の作物の栽培容器を用いることを特徴とする作物の栽培方法。
【請求項5】栽培容器を架台の上に設置して用いることを特徴とする請求項4に記載の作物の栽培方法。
【請求項6】作物の栽培容器中の土壌もしくは培地の太陽熱消毒もしくは蒸気消毒を行なうことを特徴とする請求項4もしくは5に記載の作物の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は太陽熱土壌消毒法や蒸気消毒法を用いる高設ベンチ(架台)栽培に適したポリオレフィン樹脂製の作物の栽培容器およびそれを用いる作物の栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有用作物の生産は、本圃へ種子を直播きし発芽後間引きして栽培する場合と、別の場所で育苗して本圃に定植し栽培する場合に大別される。従来、育苗も本圃での栽培も地表面において行われてきたため、生産者は膝や腰を曲げたまま、長時間の作業を強いられてきた。この作業の困難さが、就農人口の減少ひいては作付け面積の伸び悩みの大きな原因となっていた。また、露地の地表面での作物の育苗・栽培は、生育環境の制御が難しく病虫害も発生しやすく、均一で高品位の健苗が得られにくいため、収穫される作物の品質も一定せず収穫量も不十分であった。これらの問題を解消するため、育苗についてはセル成型育苗、プラグ育苗およびポット育苗の方法が開発され、栽培についても筒状の栽培用容器(ポット)を用いる高設栽培方法(特開平10−108548)や高床式のベンチ栽培システム(特開平10−178927)が提案され実用化されている。
【0003】これらの新しい方法は、予め調合された土壌もしくは培地を入れた容器をある高さに設置して、作物の育苗や栽培を行なう方法で、一般に高設栽培法と呼ばれ、通常はガラス室やハウスなどの施設内で、完全な肥培管理のもとに実施される。作業も立ったまま行われ、従来の膝や腰を曲げたままの作業は改善されている。本圃での栽培にこの高設栽培法を用いる場合、土壌もしくは培地を入れる容器がポットの場合は1個に作物1株が主であり、容器が樋状もしくは箱状の場合は1個に複数の株が植え付けられる。容器の材質はプラスチックが一般的で、ポットの場合はポリエチレンやポリプロピレンなどの射出成形物などである。容器が樋状もしくは箱状の場合で、作物が草丈の小さい場合は、栽培容器はポリ塩化ビニル樹脂の異形押出成形物やスチロール樹脂の発泡成形物などであり、押出成形物の場合は、土壌もしくは培地が零れないように両端を別の部材で仕切る必要がある。
【0004】容器が樋状もしくは箱状の場合で、作物の草丈が大きい場合は、ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂製のドレーンベッド形式の栽培容器も用いられる。生産者が高設栽培法を用いて十分な収益を得るには、少ない投資で十分な収穫をあげることが必要である。限られたスペースを最大限に活用するため、株間の距離も短くし、設備や資材もできるだけ長期間繰返し使用する必要がある。スペースの活用の点では、容器に樋状もしくは箱状の成形物を用いる方法が、容器にポットを用いる方法に比べて有利であるが、この場合、最も注意を要するのは病虫害の発生であり、特に土壌もしくは培地については連作障害解消のため消毒が不可欠である。
【0005】従来、土壌消毒には臭化メチルやクロルピクリンなどの薬剤が使用されてきたが、環境問題や健康指向から、薬剤を使用しない太陽熱土壌消毒法や蒸気消毒法の利用が望まれるようになった。太陽熱土壌消毒法は、7〜8月の高温期にハウスを密閉し、室内温度を60〜70℃に保ち、栽培容器内の培地温度や地床温度を40〜45℃に10日間〜2週間維持するもので、これにより主な土壌伝染性病原菌は死滅する。蒸気消毒法は、95〜100℃の水蒸気をおよそ20〜30分間、吹き込む方法で、主としてドレーンベッド形式の栽培容器の消毒に用いられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、太陽熱土壌消毒法を用いる場合、栽培容器は土壌もしくは培地が充填された状態で長時間比較的高い温度に曝されることになり、ポリ塩化ビニル樹脂製や発泡スチロール樹脂製の成形物は変形が発生し、以後の使用において排水不良などの不具合により根腐れなどの病害を引き起こす原因となる。蒸気消毒法では100℃近い水蒸気が直接容器に接触することになり、栽培容器の材質も、たとえばガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂のように耐熱変形性が要求される。また、ポリ塩化ビニル樹脂製の栽培容器は塩化ビニル樹脂の密度が大きいため重量物となり運搬などの作業がやりにくく、発泡スチロール製の栽培容器は軽量であるが衝撃に弱い上、嵩張るなどの欠点があった。また、塩化ビニル樹脂や発泡スチロールは廃棄物処理のため焼却する場合、塩化水素ガスや黒煙などが発生するなどの問題がある。ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂も価格が高いうえ使用後の処理がやりにくいなどの問題がある。
【0007】このため、使用済後の焼却処理が比較的容易で、密度も小さく衝撃に強く、耐熱変形性が良好で、価格的にも有利なポリオレフィン系樹脂製の栽培容器が求められていた。この要求にマッチするポリオレフィン系樹脂としては、耐衝撃性のポリプロピレン樹脂や高密度ポリエチレン樹脂があるが、いずれも結晶性の樹脂であり、非結晶性の塩化ビニル樹脂などと異なり、加工温度における溶融粘度が低いため、栽培容器に用いる樋状成形物など長い成形物を連続して成形する異形押出成形に適していなかった。そのため、射出成形による短い成形物を繋いで樋状にする必要があり、費用も高くついていた。本発明は、太陽熱土壌消毒法や蒸気消毒法を用いて、栽培容器中の土壌もしくは培地を消毒しても、変形せず、軽量で嵩張らず、かつ、衝撃に強く価格的にも有利なポリオレフィン樹脂製の高設ベンチ栽培用の栽培容器およびそれを用いる栽培方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問題点を解決するため鋭意検討の結果、特定のポリプロピレン樹脂組成物と無機充填剤を必須成分とする配合物が成形・加工されることによって得られる作物の栽培容器およびそれを用いる作物の栽培方法により前記課題が解決することを見出し本発明を完成した。
【0009】すなわち、本発明は以下の構成を有する。
(1)下記の(a)および(b)の成分を含むポリプロピレン樹脂組成物と無機充填剤を必須成分とする配合物であって、無機充填剤の含有量が20〜40重量%である配合物が、成形・加工されることによって得られる作物の栽培容器。
(a)135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Pが、0.2〜10dl/gの範囲の、プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重合体100重量部。
(b)135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Eが15〜100dl/gの範囲の、エチレン単独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体0.01〜5.0重量部。
【0010】(2)エチレン単独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体が、数平均粒子直径が1〜5000nmの範囲の微粒子としてプロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重合体の中に微分散しているポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とする(1)項に記載の作物の栽培容器。
【0011】(3)ポリプロピレン樹脂組成物の135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Tが、0.2〜10dl/gの範囲のポリプロピレン樹脂組成物であることを特徴とする(1)項に記載の作物の栽培容器。
(4)(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の作物の栽培容器を用いることを特徴とする作物の栽培方法。
(5)栽培容器を架台の上に設置して用いることを特徴とする(4)項に記載の作物の栽培方法。
(6)作物の栽培容器中の土壌もしくは培地の太陽熱消毒もしくは蒸気消毒を行なうことを特徴とする(4)もしくは(5)項に記載の作物の栽培方法。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を説明する。本発明の作物の栽培容器およびそれを用いる作物の栽培方法において、前記の作物の栽培容器を製造するための配合物に用いられるポリプロピレン樹脂組成物を構成する(a)成分のプロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重合体は、結晶性を有し、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Pが、0.2〜10dl/g、好ましくは0.5〜8dl/gの範囲である。前記の(a)成分のプロピレン単独重合体またはプロピレン−オレフィン共重合体の固有粘度[η]Pが、0.2dl/g未満の場合、得られるポリプロピレン樹脂組成物の溶融張力と結晶化温度が低下し、これを用いた配合物の溶融粘度が低下して押出成形性が悪くなり、製造された作物の栽培容器の耐熱変形性も低下する傾向があり、固有粘度[η]Pが10dl/gを超えると成形時の流動性が悪化する。
【0013】前記の(a)成分のうち、プロピレン−オレフィン共重合体は、プロピレン重合単位を50重量%以上含有する、プロピレン−オレフィンランダム共重合体もしくはプロピレン−オレフィンブロック共重合体であり、好ましくはプロピレン重合単位を90重量%以上含有するプロピレン−オレフィンランダム共重合体、またはプロピレン重合単位を70重量%以上含有するプロピレン−オレフィンブロック共重合体である。前記のプロピレン−オレフィン共重合体を構成するプロピレン以外のオレフィンとしては、特にに限定されないが、炭素数2〜12のオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、これらのオレフィンは1種のみならず2種以上を併用してもよい。
【0014】前記の(a)成分として、前記のプロピレン単独重合体またはプロピレン−オレフィン共重合体は1種のみならず2種以上を併用してもよい。前記の(a)成分のプロピレン単独重合体またはプロピレン−オレフィン共重合体の立体規則性については、特に制限はないが、アイソタクチックペンタッド分率が、0.80〜0.99、好ましくは0.85〜0.99、特に好ましくは0.90〜0.99のものが使用される。
【0015】本発明の作物の栽培容器を製造するための配合物に用いられるポリプロピレン樹脂組成物を構成する(b)成分のエチレン単独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体(以下、高分子量ポリエチレンという)は、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Eが、15〜100dl/g、好ましくは15〜50dl/g、さらに好ましくは17〜50dl/gの範囲である。前記の(b)成分の高分子量ポリエチレンの固有粘度[η]Eが、15dl/g未満であると得られるポリプロピレン樹脂組成物の溶融張力と結晶化温度が低下し、これを用いた配合物の溶融粘度が低下して押出成形性が悪くなり、製造された作物の栽培容器の耐熱変形性も低下する傾向がある。固有粘度[η]Eが100dl/gを超えると(a)成分であるプロピレン−オレフィン共重合体中への(b)成分の高分子量ポリエチレンの分散が悪くなり、溶融張力が上昇しなくなり、これを用いた配合物の溶融粘度が低下して押出成形性が悪くなる。
【0016】前記の(b)成分の高分子量ポリエチレンのうち、エチレン−オレフィン共重合体は、エチレン重合単位を50重量%以上、好ましくはエチレン重合単位を70重量%以上、特に好ましくはエチレン重合単位を90重量%以上含有するエチレン−オレフィンランダム共重合体である。これらの共重合体は1種のみならず2種以上混合していてもよい。これらの共重合体の密度はとくに定めないが、880〜980g/リットルのものが好適である。前記のエチレン−オレフィンランダム共重合体を構成するオレフィンとしては、特にに限定されないが、炭素数2〜12のオレフィンが好ましく用いられる。具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、これらのオレフィンは1種のみならず2種以上を併用してもよい。
【0017】前記(b)成分の高分子量ポリエチレンの含有量は、プロピレン単独重合体またはプロピレン−オレフィン共重合体100重量部に対して、0.01〜5.0重量部の範囲であるが、好ましくは0.02〜2.0重量部、さらに好ましくは0.05〜1.0重量部の範囲である。前記含有量が0.01重量部未満では、得られるポリプロピレン樹脂組成物の溶融張力の向上効果が少なく、5重量部を超えると効果が飽和しポリプロピレン樹脂組成物の均質性が損なわれる恐れがある。前記ポリプロピレン樹脂組成物中における前記(b)成分の高分子量ポリエチレンの数平均粒子直径は1〜5000nmの範囲であるが、好ましくは1〜1000nm、さらに好ましくは10〜500nmの範囲である。
【0018】本発明の作物の栽培容器を成形するための配合物に用いられるポリプロピレン樹脂組成物の135℃のテトラリンで測定した固有粘度[η]Tは、0.2〜10dl/gの範囲であるが、好ましくは0.2〜8dl/g、さらに好ましくは0.7〜5dl/gの範囲である。前記のポリプロピレン樹脂組成物は、230℃の溶融物の周波数ω=100時の貯蔵弾性率をG'(ω=100)、周波数ω=10-2時の貯蔵弾性率をG'(ω=10-2)とする時、log(G'(ω=100))−log(G'(ω=10-2))<2、で表される関係を有することが好ましい。
【0019】前記のポリプロピレン樹脂組成物は、JIS K 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)の表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)により測定したメルトフローレートが0.1〜10g/10分、好ましくは0.1〜5g/10分、さらに好ましくは0.1〜1g/10分である。メルトフローレートが0.1g/10分未満では、本発明の作物の栽培容器を成形するための配合物の溶融粘度が高すぎて成形が難しく、10g/10分を越えると溶融粘度が低すぎて成形しにくくなる。前記のポリプロピレン樹脂組成物は、温度190℃、230℃および250℃での剪断速度4×10-1(sec-1)における第一法線応力差N1が、log(N1)>−log(MFRT)+5、で表される関係を有することが好ましい。なお、MFRTは前記のポリプロピレン樹脂組成物のメルトフローレートで、JIS K 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法)の表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)により測定する。
【0020】また、前記のポリプロピレン樹脂組成物は、温度190℃および250℃での剪断速度4×10-1(sec-1)における第一法線応力差を、それぞれN1(190℃)とN1(250℃)とする時に、[N1(190℃)−N1(250℃)]/N1(190℃)<0.6で表される関係を有することが好ましい。前記のポリプロピレン樹脂組成物は、温度190℃および250℃での剪断速度3×10-1(sec-1)における溶融張力を、それぞれMS(190℃)とMS(250℃)とする時、[MS(190℃)−MS(250℃)]/MS(190℃)<3.1で表される関係を有することが好ましい。
【0021】前記のポリプロピレン樹脂組成物は、温度230℃の溶融物の歪み500%おけるt=10(sec)の緩和弾性率をG(t=10)とし、t=300(sec)の緩和弾性率をG(t=300)とする時、[G(t=10)−G(t=300)]/G(t=10)<1で表される関係を有することが好ましい。前記のポリプロピレン樹脂組成物は、溶融延伸時の伸長粘度が、大変形領域において上昇して歪み硬化性を示すものであることが好ましい。前記のポリプロピレン樹脂組成物は、温度230℃での剪断速度3×10-1(sec-1)における溶融張力を、MS(230℃)とする時、前記の135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Tとの間に、log(MS)>4.24×log[η]T−1.20、より好ましくはlog(MS)>4.24×log[η]T−1.05の関係があり、さらに、4.24×log[η]T+0.24>logMS(230℃)>4.24×log[η]T−1.10で表される関係を有することが好ましい。
【0022】前記のポリプロピレン樹脂組成物は、前記のプロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重合体の重合を行なう前もしくは重合の途中で、重合設備内に前記の高分子量ポリエチレン微粒子を導入することにより得ることができる。
【0023】本発明の作物の栽培容器およびそれを用いる作物の栽培方法において、前記の作物の栽培容器を製造するための配合物には、無機充填剤が20〜40重量%含有される。前記の無機充填剤は、本発明の作物の栽培容器の弾性率、耐熱性、寸法安定性、および外観意匠性の向上、押出成形する場合の形状付与性(賦形性)の向上、ならびにコストダウンなどを目的として用いられる。前記配合物中の無機充填剤の含有量が40重量%を超えると、押出成形する場合に溶融した前記配合物の自重による垂下が大きくなり過ぎて成形しにくくなり、得られた作物の栽培容器の強度が低下する傾向があり、20重量%未満では、耐熱性、寸法安定性、賦形性などの向上効果が十分でない。前記の無機充填剤には特に制限は無く、従来プロピレン系樹脂組成物に慣用されている中から任意の物を選択でき、具体的には、炭酸カルシウム、シリカ、タルク、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムが例示できる。
【0024】前記の配合物には、さらに、大型の異形押出品の成形にも好適な押出加工性を付与するため、前記のポリプロピレン樹脂組成物99.9〜90重量%に対して、水素添加スチレン系エラストマーを0.10〜10重量%を添加することができる。前記の水素添加スチレン系エラストマーは、メルトフローレート(試験温度230℃、試験荷重21.18N)が0.5〜10g/10分、好ましくは1〜10g/10分であり、スチレン濃度が30重量%以下の水素添加エチレン−ブテン−スチレンエラストマーが好ましい。
【0025】前記の配合物には、成形時の熱安定性や高い溶融粘度、成形物の耐熱変形性を十分発現させるため、フェノール系酸化防止剤やリン系酸化防止剤などの、酸化防止剤を添加することが好ましい。前記のフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、などを例示することができる。また、前記のリン系酸化防止剤としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−フォスフォナイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイトなどを例示することができる。
【0026】前記の酸化防止剤は単独で使用しても2種以上を併用してもよい。前記のポリオレフィン樹脂組成物100重量部に対する、これら酸化防止剤の添加量は、0.001〜2重量部、好ましくは0.005〜1.5重量部、さらに好ましくは0.01〜1重量部である。前記の配合物には、さらに必要に応じて通常ポリプロピレンに添加される各種の添加剤、たとえば、中和剤、耐候剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、耐衝撃強化剤(ポリマー)などの添加剤を配合することができる。前記中和剤としては、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸金属塩類が例示でき、前記耐候剤としては、紫外線吸収剤およびヒンダードアミン光安定剤(HALS)が例示できる。
【0027】前記滑剤としては、ステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド類が例示できる。前記帯電防止剤としてはグリセリンモノステアレートなどの脂肪酸エステル類が例示できる。前記の作物の栽培容器を製造するための配合物を得るため、前記のポリプロピレン樹脂組成物および無機充填剤に、前記の添加剤を配合する方法としては、ヘンシェルミキサー(商品名)やスーパーミキサー(商品名)などの高速攪拌混合機、およびブレンダーまたはタンブラーなどの通常のミキサーを用いて混合する方法(ドライブレンド)が例示できる。また、前記の方法により得られた混合物を一般的な単軸押出機または二軸押出機を用いて溶融混練しペレットにする方法が例示できる。
【0028】本発明の作物の栽培容器は、前記のポリプロピレン樹脂組成物および無機充填剤に、必要に応じて前記のエラストマーや酸化防止剤および前記の添加剤を添加した配合物を成形・加工して得られる。前記の成形方法としては、押出成形法や射出成形法など挙げられる。押出成形法の場合、任意の長さの樋状部材を連続して成形できるが、輸送・保管などの点から製造できる長さに限度がある。このため、樋状部材を用いて実際の作物の栽培容器を設置するには、複数本の樋状部材を連結する必要が出てくる場合があり、さらに、両端を封じるための止り部材が必要である。樋状部材の連結や両端封止のため樋状部材の加工も必要である。射出成形法の場合、1回の成形サイクルで箱状成形物が得られるが、押出成形法に比べて成形物の大きさ(長さ)に限度があり、成形機や金型の費用が押出成形に比べて高価である。
【0029】従って、大型の作物の栽培容器は、押出成形法を用いて成形した樋状部材を必要に応じて連結し、さらに両端を、射出成形法などを用いて成形した止り部材で封じる方法で製造するほうが価格的に有利である。止り部材の形状は樋状部材の両端に取付け可能であれば特に限定しない。また樋状部材の連結方法も、雨樋の連結に使用されるような継手部材を作成して用いる方法、簡易な粘着テープを用いる方法など作物の種類や栽培期間など栽培条件に合せて適宜用いることができる。なお、前記の樋状部材と止り部材から構成される作物の栽培容器を用いる栽培において、栽培容器に充填された土壌もしくは培地の太陽熱土壌消毒を行なう場合、止り部材に加えられる荷重が樋状部材に加えられる荷重に比べて著しく小さい場合には、止り部材の成形材料は前記の配合物以外から選択することができる。樋状部材の連結に用いる継手部材を作成する場合の成形材料も、同様に前記の配合物以外から選択することができる。
【0030】本発明の作物の栽培容器の大きさは、作物の種類、畦の条数、栽培容器の構造などにより異なる。本発明の作物の栽培容器には、潅水時に余分な水などを排出させ、土壌もしくは培地の通気性を確保するため、栽培容器の底部に溝や孔を設けるたり、透水部材を敷設することができ、これらを併用することができる。前記の透水部材としては、水分を含んだ土壌もしくは培地の荷重に耐えて透水や通気の機能を発現できるものが望ましい。具体的には、パンチングメタル、孔空きプラスチック板、ネット、織物または不織布のなどを挙げることができ、これらを併用することができる。本発明の作物の栽培容器の形状を図1、図2(a)、(b)、(c)および(d)に例示する。これら作物の栽培容器は架台や支持脚などを用いて作業に適した高さに設置して用いるのが好ましい。架台や支持脚などは、作物の栽培容器の設置に適し荷重に耐える形状と材質であれば特に限定しない。
【0031】本発明の作物の栽培容器は、作物の育苗および本圃での栽培の両方に使用することができるが、本圃での栽培に使うのがこのましい。育苗はスペースの利用や肥培管理の点から別の場所で行ない、得られた健苗を選別して本発明の作物の栽培容器に定植するほうが、病気の発生と拡大を予防することができる。本発明の作物の栽培容器を用い、人工培地を用いて作物を栽培する場合には、バーミキュライト、ピートモス、ヤシガラ(コイアダスト)、パーライト、ゼオライト、焼成砂、炭化物およびボラ土などを適宜・混合したものを使用するのが好ましい。さらに粉砕もみがらや草炭を加えたものを使用してもよい。これらの人工培地は単独で使用しても、土壌と混合して使用してもよい。
【0032】本発明の作物の栽培容器を用いて栽培する場合の施肥は、作物の種類や育苗と本圃の栽培の場合で異なるが、前記の人工培地を混合調製する際に、水稲の育苗の場合を除いて、チッソ80〜500mg/リットル、リン酸500〜5000mg/リットル、カリ100〜500mg/リットルを目安として添加する。本圃での栽培の場合、苗が活着したら追肥が必要であるが、苗を定植する際に、たとえばLPコート(チッソ旭肥料(製))のような肥効調節型の被覆肥料を置き肥すれば、追肥の手間を省くことができる。
【0033】本発明の作物の栽培容器は、その中に土壌もしくは培地を入れて栽培を行なう他に、土壌もしくは培地を使用しない養液栽培や水耕栽培に使用することもできる。本発明の作物の栽培容器を用いて育苗・栽培を行なう場合、土壌もしくは培地を加温するため、栽培容器の内側や外面に温水や温風を通す配管などを設置したり、面状発熱体などの電熱装置を設置することができる。さらに保温のため栽培容器の外側を保温材で覆ってもよい。また、本発明の作物の栽培容器を用いて育苗・栽培を行なう場合、自動もしくは手動の潅水設備や施肥設備を設置することもできる。本発明の作物の栽培容器を用いて栽培を行なう具体的な対象作物としては、レタス、ホウレンソウ、カイワレダイコンなどの葉菜類、トマト、ナス、キューリなどの果菜類、メロン、イチゴなどの果実を例示することができる。
【0034】
【実施例】以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるべきものではない。なお、実施例および比較例で用いられる物性測定方法を以下に記載する。
(1)固有粘度[η]:溶媒としてテトラリン(テトラクロロナフタレン)を用い135℃の温度条件下、自動粘度測定装置(AVS2型、三井東圧化学(株)製)を使用して測定した。単位はdl/g。
(2)溶融張力(MS):重合によって得られたポリプロピレン樹脂組成物またはポリプロピレン樹脂のパウダー100重量部に対して、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.1重量部およびステアリン酸カルシウム0.1重量部を混合し、混合物を口径40mmφの単軸押出造粒機を用いて230℃にて造粒し、ペレットサンプルを作成した。得られたペレットサンプルをメルトテンションテスター2型((株)東洋精機製作所製)に供給し、230℃に加熱し、溶融した樹脂を直径2.095mmのノズルから20mm/分の速度で23℃の大気中に押出してストランドとし、得られたストランドを3.14m/分の速度で引き取る際の樹脂の張力を測定した。単位はcN。
【0035】(3)メルトフローレート(MFR):ポリプロピレン樹脂組成物またはポリプロピレン樹脂については前記(2)項で得られたペレットサンプルを用いて、またこれらを用いた組成物については組成物のペレットを用いて、JIS K 7210「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」表1の条件14(試験温度230℃、試験荷重21.18N)に従って測定した。単位はg/10分。
(4)高分子量ポリエチレンの数平均粒子直径:前記(2)項で得られたペレットサンプルを、温度200℃に設定した熱プレスで3分間予熱後、50kg/cm2の加圧下で5分間プレス成形し、温度50℃の冷却プレスにて3分間、50kg/cm2の加圧下で固化させて、厚み1mmの板状試験片を得た。この試験片をRuO4水溶液の蒸気により電子染色した後、ウルトラミクロトーム(日本ミクロトーム(株)製)を用いて切片にし、厚み約80nmの超薄切片をえた。透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM−100CX型)を用いて、前記の超薄切片を観察し、ポリプロピレン樹脂組成物中の高分子量ポリエチレンの数平均粒子直径を測定した。単位はnm。
【0036】(5)荷重たわみ温度:JIS K 7207「硬質プラスチックの荷重たわみ温度試験方法」B法(曲げ応力45.1N/cm2)に従って測定した。単位は℃。なお、試験片成形条件は、以下の通りである。ポリプロピレン樹脂組成物の配合物およびポリプロピレン樹脂の配合物:ペレット状配合物を、射出成形機にて溶融温度250℃、金型温度50℃でJIS形の試験片に成形した。硬質塩化ビニル樹脂配合物:市販の樋状部材の平面部から切り出した板を重ねて、温度180℃の熱プレスで3分間予熱後、150kg/cm2の加圧下で2分間プレス成形し、温度12〜18℃の冷却プレスにて2分間、150kg/cm2の加圧下で固化させて得た積層板を切削し成形しJIS形の試験片に成形した。
(6)密度:樋状部材から切り出した約2.5×20×20mmの試験片を用いて、JIS K 7112「プラスチックの密度と比重の測定方法」A法に従って測定した。単位はg/cm3
(7)樋状物表面平滑性:目視観察。◎;平滑で光沢がある、○;平滑だが光沢がない。
【0037】実施例1[ポリプロピレン樹脂組成物の製造]
(1)遷移金属化合物触媒成分の調製攪拌機付きステンレス製反応器中において、デカン0.リットル、無水塩化マグネシウム48g、オルトチタン酸−n−ブチル170gおよび2−エチル−1−ヘキサノール195gを混合し、攪拌しながら130℃に1時間加熱して溶解させ均一な溶液とした。この均一溶液を70℃に加温し、攪拌しながらフタル酸−i−ブチル18gを加え1時間経過後、四塩化ケイ素520gを2.5時間かけて添加し、固体を析出させ、さらに70℃に1時間加温保持した。固体を溶液から分離し、ヘキサンで洗浄して固体生成物を得た。
【0038】固体生成物の全量を1,2−ジクロルエタン1.5リットルに溶解した四塩化チタン1.5リットルと混合し、次いでフタル酸−i−ブチル36gを加え、攪拌しながら100℃で2時間反応させた後、同温度においてデカンテーションにより液相部を除き、再び、1,2−ジクロルエタン1.5リットルおよび四塩化チタン1.5リットルを加え、100℃に2時間攪拌保持し、ヘキサンで洗浄し乾燥してチタン2.8重量%を含有するチタン含有担持型触媒成分(遷移金属化合物触媒成分)を得た。
【0039】(2)予備活性化触媒の調製内容積5リットルの傾斜羽根付きステンレス製反応器を窒素ガスで置換した後、n−ヘキサン2.8リットル、トリエチルアルミニウム(有機金属化合物(AL1))4ミリモルおよび前項で調製したチタン含有担持型触媒成分を9.0g(チタン原子換算で5.26ミリモル)加えた後、プロピレン20gを供給し、−2℃で10分間、予備重合を行なった。別途、同一条件で行なった予備重合により生成したポリマーを分析した結果、チタン含有担持型触媒成分1g当たり、プロピレン2gがポリプロピレン(A)となり、前記ポリプロピレン(A)の135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]Aは2.8dl/gであった。
【0040】反応時間終了後、未反応のプロピレンを反応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素ガスで置換した後、反応器内の温度を−1℃の保ちつつ、反応器内の圧力が0.59MPaを維持するようにエチレンを反応器に連続的に2時間供給し、予備活性化を行なった。別途、同一条件で行なった予備活性化重合により生成したポリマー(T2)を分析した結果、チタン含有担持型触媒成分1g当たり、ポリマー(T2)が24g存在し、かつポリマー(T2)の135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]T2は31.4dl/gであった。エチレンによる予備活性化重合で生成したチタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリエチレン(B)量(WB)は、予備活性化処理後のチタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリマー(T2)生成量(WT2)と予備重合後のチタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリプロピレン(A)生成量(WA)との差として次式で求められる。
B = WT2 − WA【0041】また、エチレンによる予備活性化重合で生成したポリエチレン(B)の固有粘度[η]Bは、予備重合で生成したポリプロピレン(A)の固有粘度[η]Aおよび予備活性化処理で生成したポリマー(T2)の固有粘度[η]T2から次式により求められる。
[η]B=([η]T2×WT2−[η]A×WA)/(WT2−WA)=[η]E上記式に従ってエチレンによる予備活性化重合で清々したポリエチレン(B)の量は、チタン含有担持型触媒成分1g当たり22g、固有粘度[η]Bは、34.0dl/gであった。反応時間終了後、未反応のエチレンを反応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素ガスで置換した後、反応器内にジイソプロピルジメトキシシラン(電子供与体(E1))1.6ミリモルを加えた後、プロピレン20gを供給し、1℃で10分間保持し、予備活性化処理後の付加重合を行なった。
【0042】別途、同一条件で行なった付加重合により生成したポリマー(T3)を分析した結果、チタン含有担持型触媒成分1g当たり、ポリマー(T3)が26g存在し、かつポリマー(T3)の135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]T3は29.2dl/gであり、上記と同様にして算出した付加重合により生成したポリプロピレン(C)の生成量(WC)は、チタン含有担持型触媒成分1g当たり2g、固有粘度[η]Cは、2.8dl/gであった。反応時間終了後、未反応のプロピレンを反応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素ガスで置換し、本重合用の予備活性化触媒スラリーとした。
【0043】(3)ポリプロピレン樹脂組成物の製造(本重合)
内容積500リットルの攪拌機付き、ステンレス製重合器を窒素ガスで置換した後、20℃においてn−ヘキサン240リットル、トリエチルアルミニウム(有機金属化合物(AL2))780リットル、ジイソプロピルジメトキシシラン(電子供与体(E2))78ミリモルおよび前記で得た予備活性化触媒スラリーの1/2量を重合器内に投入した。引き続いて、水素8リットルを重合器内に導入し、70℃に昇温した後、重合温度70℃の条件下、重合器内の気相部圧力を0.79MPaに保持しながらプロピレンを連続的に2時間、重合器内に供給しプロピレンの重合を行なった。
【0044】重合時間経過後、メタノール1リットルを重合器内に導入し、触媒失活反応を70℃にて15分間行い、引き続き未反応ガスを排出後、溶媒分離、重合体の乾燥を行ない、固有粘度[η]Tが3.09dl/gのポリマー40kgを得た。得られたポリマーは、(a)に該当するポリプロピレンの固有粘度[η]Pが3.09dl/gで、(b)成分に該当する予備活性化重合によるポリエチレン(B)含有率が0.25重量%のポリプロピレン樹脂組成物であった。また、前記のポリプロピレン樹脂組成物中に分散している高分子量ポリエチレンの数平均粒子直径は約70nmであった。
【0045】[作物の栽培容器成形用配合物の製造]得られたポリプロピレン樹脂組成物100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’、5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.05重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%、メルトフローレート(試験温度230℃、試験荷重21.18N)が3.0g/10分の水素添加エチレン−ブテン−スチレンエラストマー(スチレン濃度20重量%)5重量部、灰色顔料4重量部、およびタルク47重量部をヘンシェルミキサーを用いて2分間混合し、得られた混合物を口径65mmφの単軸押出造粒機を用いて230℃にて造粒し、ペレット状の作物の栽培容器成形用配合物を得た。前記配合物ペレットの物性評価結果を表1に示した。
【0046】[樋状部材の押出成形]溶融樹脂の出口が図2(a)に示す形のダイを備えた異形押出装置(押出機は、口径90mmφの単軸押出機)を用い、前記の配合物ペレットを単軸押出機に供給し、250℃で溶融させ、押出を行ない、長さ500mmの真空サイジングダイと長さ2mの水槽(水温20℃)で形状を保持しつつ冷却固化し、図2(a)の断面形状を持ち、底面幅120mm、上面幅165mm、開口幅140mm、高さ120mm、厚み1.5mm、長さ4mの樋状部材を成形した。
[作物の栽培容器の加工と組立て]前記の長さ4mの樋状部材の底面の幅方向中央に、長さ方向400mm毎に、直径40mmの孔を穿った。さらに、樋状部材の両端に硬質塩化ビニル樹脂製雨樋部品(積水化学工業(株)製、エスロン止りP200)を取付けた。
【0047】[培地調合と作物の栽培容器への充填]前記の作物の栽培容器を、熊本県水俣市に設置した間口5.4m、長さ10mのビニルハウス内に搬入し、作物の栽培容器の長さ方向の一方の端から、0.2m、1.4m、2.6m、および3.8m離れた個所の計4個所で、作物の栽培容器の底面がその長さ方向に対し直角かつ水平に置かれた直径25mmの鋼管により支持されるようにセットし、草炭60重量部、粉砕もみがら40重量部、バーミキュライト35重量部、ピートモス35重量部、ボラ土20重量部、砂10重量部の割合で予め混合した培地30kg(60リットル)を充填し、作物の栽培容器の撓み量を測定した。撓み量は2つの支持脚間(距離:1.2m)の作物の栽培容器中間部分の水平面からの沈降距離(mm)である。結果を表1に示した。
■太陽熱消毒前記の作物の栽培容器に充填した培地に潅水した後、ハウスを密閉し、1998年7月27日〜8月10日までの15日間太陽熱土壌消毒を行なった後、ハウスを開放して作物の栽培容器の撓み量を測定し、太陽熱消毒変形性を評価した。結果を表1に示した。
【0048】比較例1[ポリプロピレン樹脂の製造]
チタン含有担持型触媒成分のエチレンによる予備活性化重合を行なわない以外は実施例1と同様の方法で、プロピレンの単独重合を行ないポリプロピレン樹脂を得た。得られたポリプロピレン樹脂の固有粘度[η]Pは3.05dl/gであった。
[作物の栽培容器成形用配合物の製造および樋状部材の押出成形]実施例1のポリプロピレン樹脂組成物に代えて前記ポリプロピレン樹脂を用いる以外は実施例1と同様の配合と製造方法で栽培容器成形用配合物ペレットを作成し、得られたペレットを用いて実施例1と同様に樋状部材の押出成形を行なったが、溶融粘度が低く成形不能であった。
【0049】比較例2[作物の栽培容器の組立て]断面形状が実施例1と同じ形状の硬質塩化ビニル樹脂製雨樋(積水化学工業(株)製、エスロン大といP200−4,000)に、実施例1と同じように排水用の孔を穿ち、両端に硬質塩化ビニル樹脂製雨樋部品(積水化学工業(株)製、エスロン止りP200)を取付けた。なお、荷重たわみ温度と密度は前記の硬質塩化ビニル樹脂製雨樋の一部を加工した試験片を用いて測定した。
[培地調合と作物の栽培容器への充填]実施例1と同様に培地を充填し、撓み量を測定した。
■太陽熱消毒前記の作物の栽培容器に充填した培地に潅水した後、実施例1の作物の栽培容器に並べ実施例1と同様の太陽熱消毒を行なった後、ハウスを開放して撓み量を測定し、太陽熱消毒変形性を評価した。測定結果を表1に示した。
【0050】
【表1】

【0051】
【発明の効果】本発明の作物の栽培容器は、太陽熱土壌消毒法や蒸気消毒法を用いて、栽培容器中の土壌もしくは培地を消毒しても、変形せず、軽量で嵩張らず、かつ、衝撃に強く価格的にも有利で、高設ベンチ栽培用に好適である。
【出願人】 【識別番号】000002071
【氏名又は名称】チッソ株式会社
【出願日】 平成11年1月14日(1999.1.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−201541(P2000−201541A)
【公開日】 平成12年7月25日(2000.7.25)
【出願番号】 特願平11−7283