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【発明の名称】 壁面等の緑化用コンテナ
【発明者】 【氏名】宇佐美 栄治

【氏名】高山 晴夫

【要約】 【課題】壁面等の上部、下部には土壌の必要がなく、壁面等の全面を早期にかつ簡単に緑化できるとともに、コンテナ自体の取付けも簡単であり、雨水の有効利用と蒸発量の抑制が可能なので維持管理作業がほとんど不用で手間のかからないものである。

【解決手段】前面開放の偏平縦型コンテナ1であり、コンテナ1内に間隔を存して斜めに設置する仕切板41 ,42 ,43 〜4n で多層にセル51 ,52 ,53 〜5n を形成し、セル内に人工軽量土壌12を充填して植生基盤を形成し、各仕切板に水抜き孔9を形成し、水抜き孔から奥を貯水部10とし、ここに透水性の良い軽量資材11を充填する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前面開放の偏平縦型コンテナであり、コンテナ内に間隔を存して斜めに設置する仕切板で多層にセルを形成し、セル内に人工軽量土壌を含む人工土壌を充填して植生基盤を形成したことを特徴とする壁面等の緑化用コンテナ。
【請求項2】 各仕切板に、水抜き孔を形成する請求項1記載の壁面等の緑化用コンテナ。
【請求項3】 水抜き孔から奥を貯水部とし、ここに透水性の良い軽量資材を充填する請求項1または請求項2記載の壁面等の緑化用コンテナ。
【請求項4】 コンテナの側面板に、前記仕切板に設けた水抜き孔よりも高い位置で水抜き孔を設ける請求項1ないし請求項3記載のいずれかに記載の壁面等の緑化用コンテナ。
【請求項5】 仕切板は下段の仕切板の先端が上段の仕切板の先端よりも突出し、セル開口面が段状に並ぶ請求項1ないし請求項4記載のいずれかに記載の壁面等の緑化用コンテナ。
【請求項6】 上面も開放面とし、最上段の仕切板と背面板と両側面板とで形成する断面三角形状の空間に人工土壌を充填して植生基盤を形成する請求項1ないし請求項4記載のいずれかに記載の壁面等の緑化用コンテナ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速道路の遮音壁や擁壁、ダム、橋梁、ビルなどの側面、壁面を植物を用いて緑化する壁面等の緑化用コンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】現状の壁面等の緑化には一般に「つた」類が利用されることが多いが、壁面の下部または上部に植生土壌が必要であり、長大壁面を緑化するには「つた」類が成長するまで時間がかかる。
【0003】そこで、擁壁等に植木鉢のようなポットを形成したり、または、ポットやコンテナを壁面に取り付け、このポットやコンテナに植生する方法もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のポットやコンテナを使用して緑化を行うものは、乾燥に弱く、灌水や施肥などの維持管理が一般に必要である。なお、不織布を使用した土壌袋、土壌水分センサと液肥混入器、灌水パイプ、排水パイプによる自動灌水方式の灌水装置、植栽樹木を使用する「垂直の森」と称せられる工法等があるが、これは、植生土壌と植物と灌水装置を一体化してユニット化したもので、大がかりで、初期のコストがかかり過ぎる。
【0005】本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、壁面等の上部、下部には土壌の必要がなく、壁面等の全面を早期にかつ簡単に緑化できるとともに、コンテナ自体の取付けも簡単であり、雨水の有効利用と蒸発量の抑制が可能なので維持管理作業がほとんど不用で手間のかからない壁面等の緑化用コンテナを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成するため、第1に、前面開放の偏平縦型コンテナであり、コンテナ内に間隔を存して斜めに設置する仕切板で多層にセルを形成し、セル内に人工軽量土壌を含む人工土壌を充填して植生基盤を形成したこと、第2に、各仕切板に水抜き孔を形成すること、第3に、水抜き孔から奥を貯水部とし、ここに透水性の良い軽量資材を充填すること、第4に、コンテナの側面板に前記仕切板に設けた水抜き孔よりも高い位置で水抜き孔を設けること、第5に、仕切板は下段の仕切板の先端が上段の仕切板の先端よりも突出し、セル開口面が段状に並ぶこと、第6に上面も開放面とし、最上段の仕切板と背面板と両側板とで形成する断面三角形状の空間に人工(軽量)土壌を充填して植生基盤を形成することを要旨とするものである。
【0007】請求項1記載の本発明によれば、セルに植物を植栽することでコンテナの前面の全面が同時に緑化されるので、コンテナ取付け部分の壁面等が全面的に早期に緑化できる。また、コンテナ内を仕切板で薄層のセルに分割することで、蒸発が防げ、このように自然蒸発が少なく、水分の利用効率が非常に高いため、人為的な灌水作業がほとんど必要なく、さらに、人工軽量土壌の採用で、コンテナの軽量化と、植物の生育環境をよくし、メンテナンスフリー化を図ることができる。
【0008】セルに植栽する植物の種類は広範囲に利用でき、いろいろな植物を楽しむことができる。また、その土地や気候に合った種類を選定することができる。
【0009】コンテナ自体は取り付ける壁面等からの突出が小さいので、高架橋の側面など、設置場所に制限があるところでも利用できる。
【0010】請求項2記載の本発明によれば、前記作用に加えて、各仕切板に水抜き孔を形成することで水の移動はこの水抜き孔を介しての自然流下のみであり、特別な装置は用いていなので、故障の心配がなく、極度の乾燥時などで灌水が必要な場合でもコンテナの最上段に十分給水してやれば、各コンテナに必要量の水分が配分されるので、作業量は少なくてすむ。
【0011】請求項3記載の本発明によれば、雨水等でコンテナ上部に供給された水分がコンテナ内に貯水部で貯水層を作り、余分な水は下のセルおよび下のコンテナで受けることで、雨水の有効利用を図れる。
【0012】請求項4記載の本発明によれば、コンテナの側面板に設けた水抜き孔は通常時は水抜きとしては働かず、セル内の空気供給に寄与する。大雨時などで仕切板に水抜き孔のみの処理では間に合わない場合は側面板に設けた水抜き孔が働き、土壌中に水頭が上がり過ぎてセルの前面開放部に達することを防止できる。
【0013】請求項5記載の本発明によれば、セル開口面が段状に並ぶことで各セルに降雨による直接給水が可能となる。
【0014】請求項6記載の本発明によれば、コンテナの上部にも植物を植栽する事が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は壁面等の緑化用コンテナ1実施形態を示す正面図、図2は同上図1のa−a線断面図、図3は図1のb−b線矢視図で、図中1は前面開放の偏平縦型コンテナで、取付け用の背面板2とその両脇から立ち上がる側面板3と上下に段をなして背面板2から上向きのに斜めに突設するように設置する仕切板41 ,42 ,43 〜4n とで構成し、この間隔を存して並列する仕切板41 ,42 ,43 〜4n でコンテナ1内に多層にセル51 ,52 ,53 〜5n を形成した。このコンテナ1は背面板2の上下幅が1,000mm 〜2,000mm 程度、セル51 ,52 ,53 〜5n は厚さ10mm〜20mm程度、深さ100mm 〜200mm 程度のものである。
【0016】前記背面板2は上下に突出し、ここに吊り具としてのコ字形の把手6を設け、また、この部分はコンテナ1を設置する際のボルト7の締結部となる。
【0017】また、本実施形態においては、コンテナ1は上面も開放面とし、最上段の仕切板仕切板4n と背面板2と両側面板3とで断面三角形状の空間8を形成した。
【0018】仕切板41 ,42 ,43 〜4n はセル51 ,52 ,53 〜5n の最深部から見て全長の1/4〜1/3の位置に水抜き孔9を設けた。この水抜き孔9は上下に各仕切板41 ,42 ,43 〜4n においては図示は省略するが水平方向で位置を例えば千鳥状にずらし、上段の仕切板とその直下の仕切板との水抜き孔9が上下位置で重ならないようにした。
【0019】このようにすれば、上のセルから水抜き孔9を介して落ちた水が、下のセルに溜まるまでさらに下のセルに落ちないようになる。仕切板41 ,42 ,43 〜4n に設ける水抜き孔9の水平間隔は水分の浸透速度と通気性の確保の観点から15cm〜30cmとする。
【0020】側面板3に、前記仕切板41 ,42 ,43 〜4n に設けた水抜き孔9よりも高い位置で水抜き孔13を各セル51 ,52 ,53 〜5n に対応させて設ける。
【0021】各セル51 ,52 ,53 〜5n において、水抜き孔9から奥は貯水部10とし、この貯水部10にパーライト等の透水性の良い軽量資材11を充填した。
【0022】そして各セル51 ,52 ,53 〜5n の前記貯水部10以外の部分である水抜き孔9から上部に人工軽量土壌12を充填して植生基盤を形成する。この人工軽量土壌12には一例として、各種土壌改良剤等の優れた機能をブレンドすることにより、例えば、植物に優しい人工地盤緑化培養土である商品名・ケーソイル(鹿島建設株式会社)が最適である。
【0023】前記コンテナ1は上部の断面三角形状の空間8も同様であり、底部から中間部までを貯水部10とし、この貯水部10にパーライト等人工軽石による透水性の良い軽量資材11を充填し、それから上部には人工軽量土壌12を充填して植生基盤とした。
【0024】次に使用法について説明する。先に述べたようにコンテナ1は、擁壁、ダム、橋梁、ビルなどの側面、壁面等に設置するものであり、ボルト7で締結して多数を左右および上下に並べる。壁面等からの突出が少ないので、高架橋の側面など設置場所に制限のあるところでも利用できる。
【0025】各セル51 ,52 ,53 〜5n および上部の断面三角形状の空間8に植物を植栽して緑化を行うが、植物の種類は特に限定されず広範囲から選定でき、その土地や気候にあった種類を色々と楽しむことができる。
【0026】雨水は各セル51 ,52 ,53 〜5n の前面開口面から内部に入り人工軽量土壌12に浸透するが、貯水部10に溜まり、それ以上のものは水抜き孔9を介して下段のセルに移行する。さらに、コンテナ1の最下段の仕切板41 の水抜き孔9から落ちた水は下に設置するコンテナ1で受けて水分の有効利用が図れる。
【0027】なお、他の実施形態としては、多雨地域などで水分供給の多いところで設置する場合は、前記貯水部10を作らずにセル51 ,52 ,53 〜5n 内を全て人工軽量土壌12で満たすようにする。この場合は水抜き孔9は最深部近くに設ける。
【0028】側面板3に設けた水抜き孔13は通常は水抜き作用は行わず、空気供給に寄与しているが、大雨時にはこの水抜き孔13から外へ水を排出し、土壌中の水頭が上がり過ぎてセル51 ,52 ,53 〜5n の前面開口面に達することを防止する。
【0029】図4は本発明の第2実施形態を示すもので、仕切板41 ,42 ,43 〜4n は下段の仕切板の先端が上段の仕切板の先端よりも突出し、各セル51 ,52 ,53 〜5n の開口面が段状に並ぶようにした。
【0030】このようにすれば、各セル51 ,52 ,53 〜5n の開口面が段状に並ぶことで各セルに降雨による直接給水が可能となり、雨水の供給を確実なものとすることができる。
【0031】
【発明の効果】以上述べたように本発明の壁面等の緑化用コンテナは、壁面等の上部、下部には土壌の必要がなく、壁面等の全面を早期にかつ簡単に緑化できるとともに、コンテナ自体の取付けも簡単であり、雨水の有効利用と蒸発量の抑制が可能なので維持管理作業がほとんど不用で手間のかからないものである。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【出願日】 平成11年1月11日(1999.1.11)
【代理人】 【識別番号】100078695
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 司
【公開番号】 特開2000−201536(P2000−201536A)
【公開日】 平成12年7月25日(2000.7.25)
【出願番号】 特願平11−4102