| 【発明の名称】 |
培 地 |
| 【発明者】 |
【氏名】岡田 英博
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| 【要約】 |
【課題】撥水性があり吸水性が悪い乾燥状態のピートモスを灌水時に短時間で吸水し、適切な形状に復元する培地を提供する。
【解決手段】粒径が5mm以下の植物繊維とバーミキュライトを混合、圧縮成形した培地やこれに界面活性剤を加え粒径を1mm以下に粉砕したものを圧縮成形した培地である。植物繊維はピートモスが好ましく、培地形状は、錠剤状、円柱状、球状、又は平板状に圧縮成形したことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 植物繊維とバーミキュライトを混合して圧縮成形したことを特徴とする培地。 【請求項2】 植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して圧縮成形したことを特徴とする培地。 【請求項3】 植物繊維とバーミキュライトを混合して、該混合後の粒径が1mm以下のものを圧縮成形したことを特徴とする培地。 【請求項4】 植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して、該混合後の粒径が1mm以下のものを圧縮成形したことを特徴とする培地。 【請求項5】 植物繊維とバーミキュライトを混合して、粒径を1mm以下に粉砕した後に圧縮成形したことを特徴とする培地。 【請求項6】 植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して、粒径を1mm以下に粉砕した後に圧縮成形したことを特徴とする培地。 【請求項7】 粒径が5mm以下の植物繊維を用いた請求項1乃至6記載の培地。 【請求項8】 粒径が1mm以下のバーミキュライトを用いた請求項1乃至7記載の培地。 【請求項9】 植物繊維がピートモスである請求項1乃至8記載の培地。 【請求項10】 請求項1乃至9記載の培地を、錠剤状、円柱状、球状、又は平板状に圧縮成形したことを特徴とする培地。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、野菜や水稲や花卉等の播種・育苗の際に、多数の育苗ポットを連設した育苗トレイや箱状の育苗容器に装填される培地に関する。 【0002】 【従来技術と発明が解決しようとする課題】この種の従来例としては、育苗トレイにピートモス等を圧縮成形した人口培地を装填した後に灌水して復元し、野菜や水稲や花卉等を播種・育苗するものがある。併し乍ら、ピートモスは乾燥状態では、撥水性があり灌水しても吸水性が悪くて、復元するのに非常に長い時間を要し、また、復元能力も低くて、適切な形状の復元が行なえず、非常に作業性が悪いものであった。 【0003】 【課題を解決するための手段】従来の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトを混合して圧縮成形した培地としたものであり、請求項2記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して圧縮成形した培地としたものであり、請求項3記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトを混合して、該混合後の粒径が1mm以下のものを圧縮成形した培地としたものであり、請求項4記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して、該混合後の粒径が1mm以下のものを圧縮成形した培地としたものであり、請求項5記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトを混合して、粒径を1mm以下に粉砕した後に圧縮成形した培地としたものであり、請求項6記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して、粒径を1mm以下に粉砕した後に圧縮成形した培地としたものであり、請求項7記載の発明は、粒径が5mm以下の植物繊維を用いた請求項1乃至6記載の培地としたものであり、請求項8記載の発明は、粒径が1mm以下のバーミキュライトを用いた請求項1乃至7記載の培地としたものであり、請求項9記載の発明は、植物繊維がピートモスである請求項1乃至8記載の培地としたものであり、請求項10記載の発明は、請求項1乃至9記載の培地を、錠剤状、円柱状、球状、又は平板状に圧縮成形したことを特徴とする培地としたものである。 【0004】 【発明の作用効果】請求項1及び2記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトを混合して圧縮成形した培地又は植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して圧縮成形した培地としたものであるから、植物繊維とバーミキュライトは共に軽量で、然も、バーミキュライトの優れた吸水性と保水性の良い植物繊維の特性を活かしたままで、吸水性が良い復元性能の優れた培地を得ることができる。従って、この培地は、使用時に水を加えることにより直ちに所望の形状に復元するので播種作業が効率良く行なえ、また、軽量で保水性が良いので育苗作業が容易である。 【0005】更に、軽量で容積の小さい乾燥状態で保存及び輸送を行なうことができ、非常に産業上優れている。請求項3及び4記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトを混合して、該混合後の粒径が1mm以下のものを圧縮成形した培地又は植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して、該混合後の粒径が1mm以下のものを圧縮成形した培地としたものであるから、混合後の圧縮成形作業が容易になると共に、圧縮成形して得た圧縮成形培地に水を加えて復元させる際の復元速度が速くて復元形状も非常に安定する。然も、復元後の培地の強度も強くて育苗及び育苗後の苗の取扱いが容易となる。 【0006】請求項5及び6記載の発明は、植物繊維とバーミキュライトを混合して、粒径を1mm以下に粉砕した後に圧縮成形した培地又は植物繊維とバーミキュライトと界面活性剤を混合して、粒径を1mm以下に粉砕した後に圧縮成形した培地としたものであるから、請求項3及び4記載の発明の作用効果に加えて、混合物を粒径1mm以下に粉砕することにより、混合物を無駄無く利用できると共に、混合物の粒径も全体的に均一なものが得られ、安定した性能の圧縮成形培地を得ることができる。 【0007】請求項7記載の発明は、粒径が5mm以下の植物繊維を用いた請求項1乃至6記載の培地としたものであるから、混合時の混合むらの発生を防止でき、然も、混合後の圧縮成形作業が容易になると共に、圧縮成形して得た圧縮成形培地に水を加えて復元させる際の復元速度及び復元形状の安定性も更に良くて、復元後の培地の強度も強く育苗及び育苗後の苗の取扱いが容易となる。 【0008】請求項8記載の発明は、粒径が1mm以下のバーミキュライトを用いることにより、培地の圧縮成形後に、粘土鉱物である安価で軽量なバーミキュライトの優れた吸水性が良好に発揮されて、水を加えて復元させる際の圧縮成形培地の復元速度が速くて復元性能が優れている。然も、バーミキュライトの粘結力がピートモスの粒間を繋ぐバインダーとしての役もなし、培地の形状を保持する効果も増大する。 【0009】請求項9記載の発明は、植物繊維がピートモスである請求項1乃至8記載の培地としたものであるから、世界中に拡販されていて入手が容易で安価なピートモスの優れた保水性と軽量な長所を兼ね備えた圧縮成形培地を得ることができる。請求項10記載の発明は、請求項1乃至9記載の培地を、錠剤状、円柱状、球状、又は平板状に圧縮成形したものであるから、請求項1乃至9記載の培地の作用効果に加えて、軽量で容積の小さい乾燥状態で保存及び輸送を行なうことができ、非常に産業上優れている。また、育苗容器の形状に合わせた形状にすることにより、更に、播種作業が効率良く行なえる。 【0010】 【発明の実施の形態】この発明の実施の一形態であるレタスを播種育苗する場合について、以下に詳述する。図1に示すものは、圧縮成形した培地(圧縮成形培地)1の一実施例で、タブレット(錠剤状又は低い円柱状)の形状に成形したものである。この圧縮成形培地1の材料となる植物繊維を含む材料としては、ピートモスやヤシ類の果実繊維(ヤシの実の果肉部の繊維を圧搾裁断したもの)、おが屑、樹皮(バーク)、バーク堆肥などを用いることができる。特に、ミズゴケ類が堆積してできたピートモスが最も好ましい。なお、ピートモスとヤシ類の果実繊維等を混合した材料を用いることもできる。 【0011】なお、ピートモスは、含水率約30%以下に乾燥すると撥水性が顕著となる。そのため、ピートモスを圧縮成形する材料に使用する場合は、それが乾燥していると、圧縮成形後使用時に水で膨張させるとき、その水が吸収されにくくなり、取扱いが不便となる。そこで、圧縮成形前にピートモスを、バーミキュライトと混合し又はバーミキュライトの水溶液に浸して、ピートモスの繊維表面にバーミキュライトの微粒子を付着させ、それを乾燥して圧縮成形すれば、圧縮成形されたピートモスが乾燥していても吸水しやすいものとなり、上記問題は解消される。また、バーミキュライトは粘土成分の一種で天然の物から抽出できるものであるが、アルキレンオキサイド系やエステル系の非イオン活性剤等の界面活性剤を撥水防止剤として用いると更に効果がある(ピートモスを界面活性剤にて撥水防止処理をして、更に、ピートモスの繊維表面にバーミキュライトの微粒子を付着させ、それを乾燥して圧縮成形すれば、圧縮成形されたピートモスが乾燥していても更に吸水しやすいものとなる)。 【0012】また、ピートモスは、一般にpH3.5〜5.5と、pHが低いため、消石灰や生石灰、苦土石灰、炭酸カルシウムなどでpH調節を行う。なお、取扱易さと効果の面から苦土石灰が好ましい。ところで、上記バーミキュライトは、ピートモスを圧縮成形する時のバインダーとして作用する粘結剤にもなり、成形時の粘結効果を高めるものとなるが、他にバインダーとしてアルギン酸ナトリウム等を添加すれば、更に成形後の形状が安定する。 【0013】また、圧縮成形した培地1が水を含んで膨張するときの膨張倍率を大きくするため、前記ピートモス等の植物繊維を含む材料に、市販の高吸水性ポリマー等を混入させて用いることもできる。ここで、上記の圧縮成形培地の一実施例として、植物繊維を含む材料としてピートモスを用いて製造する例を詳細に説明する。 【0014】先ず、市販のピートモス(含水率は通常40〜50%で、平均的には45%のものが多い)の塊を解砕(解いて砕く)し、3mmメッシュ(縦横が3mmの網目)で篩いをかけて、粒径が3mm以下のものを精選する。尚、5mmメッシュ(縦横が5mmの網目)で篩いをかけて、粒径が5mm以下のものを精選しても後工程の混合時に混合むらが発生する恐れはあまりなく出来上がった圧縮成形培地の使用上の問題はないので、精選は5mmメッシュ以下であれば良い。併し乍ら、粒径が5mmを超えるものは、後工程の混合時に混合むらが発生し、出来上がった圧縮成形培地に水を加えて復元する際の復元性能が悪い(復元速度が遅く、復元形状も安定しない)。 【0015】そして、この精選したピートモス8リットル(約0.8kg)に対して、粒径が1mm以下のバーミキュライト2リットル(混合後の容積比でバーミキュライトが10〜30%になる混合比にすると、復元性及び形状安定性の良い最適の圧縮成形培地が得られる)と、苦土石灰(Mg,Ca)10〜30gと、水1リットルに界面活性剤である非イオン系のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを0.2〜1ccと肥料として窒素0.7〜4.2g・燐0.8〜4.8g・カリウム0.6〜3.6gを混ぜたものと、を10分間混合する。すると、ピートモスの撥水性が界面活性剤でなくなり、ピートモスとバーミキュライトと苦土石灰と肥料とが混在した含水率が50〜60%の混合物が得られる。そして、ピートモスの表面にはバーミキュライトの微粒子が付着した状態となる。 【0016】この混合物を含水率が15%になるまで乾燥し、その後、圧延ロール等で1mmメッシュの細かな粉(縦横が1mmの網目の篩いを通る粉)状まで粉砕して、粉状の培地を得る。そして、この1mmメッシュまで粉砕したものを圧縮成形する。圧縮成形には、プレス機を用い、下型2の円筒状の穴内に前記粉状の培地を詰めて上型3の円筒状突部が上方から下降して圧縮成形して(図2参照)、圧縮成形培地1を得る。 【0017】このときの圧縮する圧力は、含水率15%のもので150kg/cm2 の圧力で圧縮すると良好に圧縮成形できる。そして、混合物を1mmメッシュの細かな粉状まで粉砕してから圧縮成形するのは、プレス機で成形する際に、混合物を型に入れるのが容易になると共に、圧縮成形して得た圧縮成形培地1に水を加えて復元させる際に、復元速度が速くて復元形状も非常に安定する。然も、復元後の培地の強度も強くて育苗及び育苗後の苗の取扱いが容易となる。尚、テストで混合物を2mmメッシュ(粒径2mm)の状態で圧縮成形してみたが、成形後の水を加えて復元させる際の復元速度及び復元形状の安定性は、共に劣るものであった。そして、復元後の培地の強度も粒が大きいために弱くて壊れ易いものであった。 【0018】また、圧縮成形後の具体的な寸法を示すと、圧縮成形培地1の大きさは、直径D1=15mm、高さH1=15mmの円筒形状に圧縮成形される。尚、上記の成形前の混合物にバインダーとしてアルギン酸ナトリウム等を添加すれば、圧縮成形時の粘結効果が高まり、更に成形後の形状が安定する。次に、図3〜図7に示す育苗トレイ4は、発砲スチロールを材料として成形したもので、図6及び図7に示されるような平面視が円形で断面形状がコップ状の育苗ポット5…を多数設けたものである。そして、各育苗ポット5には、内側面5aから底面5bに到るL字状の溝9・9・9・9が4箇所形成されており、その底部には育苗時の水抜け孔であり、育苗後に苗を押し出す為に苗押出し棒7や指等を差し込むことのできる孔6…が開けられている。尚、各溝9・9・9・9は、育苗ポット5の上部からこの孔6まで連通しており、苗を育苗するときに、空気が自由に育苗ポット5の上部から各溝9・9・9・9及び孔6を通って下部まで流れるようになっている(勿論、逆に、空気が自由に育苗ポット5の下部から孔6及び各溝9・9・9・9を通って上部まで流れるようになっている)。また、灌水時には、育苗ポット5内の培地に上面及び各溝9・9・9・9から側面に水が浸透するので灌水も容易であり、また、余分な水は各溝9・9・9・9及び孔6から排水されるので水が過分に溜って根腐れを起こすことの防止にもなる。 【0019】そして、特に、各溝9・9・9・9の溝深さは、上端部の溝深さA1から下端部の溝深さA2に到るまで順次深くなるように形成されている。尚、育苗ポット5の内容部の大きさは、具体的な寸法を示すと、底部直径D3=18mm、上端開口部の口径D2=23mm、深さH2=37mm、上端部の溝深さA1=3.5mm、下端部の溝深さA2=4.7mmに形成されている。 【0020】次に、上記の育苗トレイ4と圧縮成形培地1を用いた播種作業の説明をする。先ず、育苗トレイ4の各育苗ポット5…内に圧縮成形培地1を入れる(図8)。そして、その各育苗ポット5…内に入れられた圧縮成形培地1に上から灌水する。すると、圧縮成形培地1は主原料であるピートモスの撥水性が界面活性剤でなくなっているので、各育苗ポット5…内で水を吸収して急速に膨張し(圧縮成形培地1の膨張は、テストすると20秒以内で終了する)、膨張した培地1’は育苗ポット5…内にほぼ充満する(図9)。この圧縮成形培地1は、水を含んで膨張すると、育苗ポット5の内側面との間に少し空隙が残り、上端開口部からH3=1〜2mm突出するような大きさの培地1’になるように圧縮成形されている。尚、圧縮成形培地1は、前記のようにピートモスの繊維表面にバーミキュライトの微粒子を付着させて乾燥させたものを粒径が1mm以下に粉砕した粒の揃ったものを用いているので、水を含んで復元する際に、希望する形状とおりにまっすぐ綺麗に急速に復元する。 【0021】そして、このように充填された培地1’の上部から周知の播種穴形成ロール22を転動させて圧を掛けると(図10)、その播種穴形成突部23が培地1’内に嵌まり込んで深さL=5mmの播種穴24を形成すると共に、円筒外面25にて培地1’の上部が押圧されて前記培地1’の育苗ポット5上端開口部から1〜2mm突出した分だけ培地1’は圧縮されて、培地1’は育苗ポット5内に充満される(図11)。このとき、圧縮成形された培地1の膨張に多少の誤差があって育苗ポット5の内側面との間に多少空隙が生じていても、育苗ポット5の適正な培地高さH2よりもH3だけ高く膨張させた後に適正な培地高さH2まで押圧するから、育苗ポット5に適切に培地を充填することができる。 【0022】その後、播種穴24に播種をして播種穴24部をバーミキュライト若しくは土にて覆土26する(図12)。その時、上記のように各育苗ポット5に適切な培地の充填がなされるのであるが、仮に、圧縮成形培地1の角が欠けていて、膨張後に押圧しても適切な培地の充填が行なわれなかった場合にも、バーミキュライトや土等の覆土26で育苗ポット5内の培地を適切な量に補正できて、個々の苗が不均一に成長したり苗の育苗に支障を来したりすることなく、良好な育苗が行なえて、良質の苗を得ることができる。 【0023】そして、上記のようにして播種作業を終えた育苗トレイ4を各育苗ポット5底部の各孔6…を塞がないような格子状の台に並べて、溝9と孔6を空気が自由に流通できる状態で育苗が行われる。そして、適度に成長した苗は栽培圃場に移植されるが、このとき、育苗ポット5…の底部の孔6…に苗押出し棒7…を差し込むか指で押し上げることにより育苗ポット5…内に収容された苗を押し出すと容易に苗を育苗トレイ4の育苗ポット5…から取り出すことができる(図13)。尚、覆土26にはバーミキュライトを用いると、比重が軽いので種子が出芽し易く出芽率が向上し、また、保水性が良いので育苗も容易である。 【0024】そして、この育苗トレイ4の各育苗ポット5…には溝9…が設けられており、培地1’が膨張時に溝9…内に入り込んで溝を埋めてしまわないので、溝9…内には空間が形成されている。従って、育苗時に、苗の根が伸長して培地内から溝9…内に出て伸びようとしたとき、エアープルーニング効果により、そこで根の伸長が止まる。よって、根が培地外周面に沿って過密に巻いた状態になるのが防止されることと併せて、溝9…部で根の伸長が止まる分、培地内で側根の成育が旺盛となるので、圃場へ移植したときの苗の活着が良好となる。(尚、根が伸長し過ぎて培地外周面に沿って過密に巻いた状態になると、移植後、圃場に活着しようとする新しい根が培地外周面に過密に巻いた根に阻止されて、培地の外の土壌に根が伸長しにくくなり活着しにくくなる問題がある。) また、上記のような育苗上の効果を有する育苗ポット5…を形成した育苗トレイ4を用いた育苗を行うとき、圧縮成形培地1は、育苗ポット5に合わせた円柱形状であるから、水を含んで膨張した時に溝9…内を培地が塞ぐことがない。特に、前記のように、圧縮成形培地1を、その圧縮された方向が上下方向となる姿勢で各育苗ポット5内に入れ、そのように入れた圧縮成形培地1に水を含ませることで圧縮成形培地1を各育苗ポット5内で膨張させて充満させ、育苗ポット5内に培地を充填する方法をとると、その圧縮成形培地1は、水を含むと水平方向には大きく膨張せず上下方向に大きく膨張するから、溝9…内を埋めるように培地が入り込むことがなく溝9…内に空間が形成される状態に培地を育苗ポット5内に充填することが容易に行なえる。従って、この育苗ポット5…の溝9…によるエアープルーニング効果を充分に奏する状態での播種、育苗が容易に行なえるものとなる。 【0025】更に、小さなゴミや砂や小石等が溝9内に詰まると、その詰まった部分から上の溝9は灌水の度に小さなゴミや砂や小石等が滞積して埋まってしまう。すると、エアープルーニング効果が得られなくなり、良質な苗の育成が行なえなくなるが、各溝9・9・9・9の溝深さは、上端部の溝深さA1から下端部の溝深さA2に到るまで順次深くなるように形成され、然も、各溝9・9・9・9の断面積も上端部の開口部面積から下端部の開口部面積に到るまで順次広くなるように形成されているので、育苗時に小さなゴミや砂や小石等が溝9の上端部から溝9内に入っても、溝9内に詰まることなく下端部から孔6を通って容易に外に排出され(溝9内に小さなゴミや砂や小石等が入っていても、特に灌水時に、水で容易に外部に押し流される。)、溝9が埋まってしまうことが防止され、前記のようなエアープルーニング効果を充分に奏する状態での育苗が容易に行なえる。 【0026】尚、植物繊維を含む材料を圧縮成形した培地1には、圧縮成形後、水を含ませて膨張させると、圧縮成形時の圧縮方向とは略々反対方向に向かう膨張が大きいという特性がある。例えば、図1に示すタブレットの形状の圧縮成形培地1を、ピートモスを用いて、上下方向から圧縮して成形したところ、圧縮成形時の大きさが直径15mm×高さ15mmの大きさのものが、水を含んで膨張すると、圧縮方向の反対方向の膨張が、高さ15mmから高さ38〜39mmとなって約2.5倍の膨張となり、圧縮方向に交差する方向の膨張が、直径15mmから直径18〜19mmとなって約1.2倍の膨張となった。 【0027】一方、育苗トレイ4は、発砲スチロールを材料として成形され各育苗ポット5の内側面5aと底面5bとで培地1’を覆った状態になっているので、断熱性が良くて根部の温度が必要以上に上がることが防止され、夏場の熱い時期に苗を育苗しても、苗がひょろ長く伸びてしまう徒長を防止でき、健全な苗の育成が行なえると共に、育苗トレイ4の各育苗ポット5の各苗を均一に成育させることができる。 【0028】そして、圧縮成形培地1は、前記のように、水を含むと圧縮方向とは略々反対方向に大きく膨張するが、その膨張後の培地1’は、膨張方向(上下方向)の剪断に対しては強く、その膨張方向と交差する方向(左右方向)の剪断に対しては弱い特性がある。従来、エアープルーニング効果により根巻きが起こっていない苗の茎を持って上方に引っ張って抜こうとすると、根が培地に絡んでいないため苗だけが引き抜かれてしまって培地ごと苗を引き抜くことはできにくく、また、育苗ポットの底部の孔に棒を押し込んで培地ごと苗を取り出そうとしても、根が培地に絡んでいないため底部に押し込んだ棒が土を崩してしまい培地ごと苗を押し上げることはできにくい問題がある。 【0029】そこで、圧縮成形培地1…をその圧縮された方向が上下方向となる姿勢で各育苗ポット5…内に入れ、該圧縮成形培地1…に水を含ませて圧縮成形培地1…を各育苗ポット5…内で膨張させて充満させ、その後、該膨張後の培地1’…に播種して育苗する育苗方法をとることにより、各育苗ポット5…内で育苗された苗の培地は上下方向の剪断に対して強いことになるから、苗の茎を持って上方に引っ張って抜くことができ、また、育苗ポット5…の底部の孔6…に苗押出し棒7…を差し込んで育苗ポット5…内に収容された苗を押し出すときに培地が崩れにくく、苗の根があまり伸びていないときでも、従来に比べて苗を育苗ポット5…から取り出しやすくなる。従って、移植機にて苗の植付けができる適応性の高い苗(各育苗ポット5…内から上方に引き抜く装置や下方から押し出す装置にて抜きやすい苗)を育成することができる。 【0030】尚、育苗ポット5が平面視円形なので、上記圧縮成形培地1の平面視形状も円形のものを用いるが、育苗ポットが平面視四角形であれば、それに入れる圧縮成形培地の平面視形状も四角形のものを用いると、育苗ポット内に入れた圧縮成形培地に水を含ませて膨張させたとき、適確に育苗ポット内に培地が充満する。よって、圧縮成形培地の平面視形状は、それを入れる育苗トレイの育苗ポットの平面視形状に合わせたものとすると、良好に育苗ポット内に培地を充満させられる。 【0031】更に、育苗トレイの材質は、発砲スチロールに限定されるものではなく、硬質の合成樹脂や自由に湾曲させれるような軟質の合成樹脂等の如何なる材質で成型しても良い。また、上記の例においては、育苗トレイ4に多数配列した育苗ポット5の例を示したが、植木鉢やビニールポット(鉢)等の単体の育苗容器に本願発明を用いても良いことは、謂うまでもない。 【0032】次に、圧縮成形培地1を他の形状に圧縮成形した例について説明する。即ち、この発明の実施の一形態である水稲を播種して所謂マット状苗を育苗する場合について、以下に詳述する。先ず、水稲用の苗箱30は、一般的に、平面視が長方形で、内法が縦=28cm・横=58cm・深さ=3cmで、底に水抜き孔30aが多数設けられた浅い箱状に日本国内で規格化されているものである。 【0033】図14に示すものは、上記の苗箱30内に入るように、縦=27.5cm、横=57.5cm、高さ=4〜5mmの平面視長方形の平板状に圧縮成形された圧縮成形培地1である。この平板状圧縮成形培地1は、前記実施例と同様にして1mmメッシュまで粉砕して得た粉状の培地を下型2’の浅い箱状の穴内に詰めて上型3’の長方形板状の突部が上方から下降して圧縮成形したものである(図15参照)。 【0034】このときの圧縮する圧力は、含水率15%のもので100kg/cm2 の圧力で圧縮すると良好に圧縮成形できる。次に、水稲用の苗箱30と平板状圧縮成形培地1を用いた播種育苗について詳述する。先ず、図16のように、苗箱30内に圧縮成形培地1を入れて、上方より水をかける。 【0035】苗箱30内の圧縮成形培地1は、主原料であるピートモスの撥水性が界面活性剤でなくなっているので、急速に水を吸収して膨張し、図17に示すように高さ=13〜25mmの厚さになる。尚、圧縮成形培地1の膨張は、テストすると20秒以内で終了する。そして、鎮圧装置にて表面を平らにして均一な苗床状態にして、その表面に一様に籾を播種し、その上から覆土して灌水する(図18)。 【0036】次に、播種作業を終えた苗箱30は、発芽装置に入れて発芽させた後に、育苗が行われる。このようにして播種作業が行なわれるのであるが、この圧縮成形培地1は、主原料であるピートモスにバーミキュライト等を混合して圧縮成形したものであるから、軽くて嵩張らないので、苗箱30への圧縮成形培地1の供給作業は非常に容易に行なえ、保管場所も狭くて良い。更に、軽くて嵩張らない圧縮成形培地1の輸送コストは安く、産業上でも優れている。そして、圧縮成形培地1は、ピートモスの撥水性を界面活性剤にてなくしており、また、混合物であるバーミキュライトの吸水性も手伝って、灌水すると急速に膨張し、作業効率が良い。 【0037】そして、育苗時には、マット状苗床1の主成分がピートモスであるので、保水性が良くて育苗作業が容易であり、良質の苗を簡単に育成でき、然も、育苗が終了した苗を圃場への移植の為に圃場まで運ぶ際にも、軽量であるから、従来の土のように重労働ではなく非常に作業が容易である。最後に、上記の実施例では、苗箱30に一つの圧縮成形培地1を入れて復元させる例を示したが、上記の圧縮成形培地1を2分割若しくは3分割等に小さく複数個に分割して、苗箱にそれを複数枚並べて復元させても良い。 【0038】また、圧縮成形後の培地1の表面に界面活性剤を塗布すると、水をかけて復元させる際に、表面の吸水性が非常に良くなり復元が早くて、播種作業時の作業能率が向上する。また、上記の実施例においては、ピートモスにバーミキュライトと界面活性剤とを共に用いる例を示したが、バーミキュライトのみを用いて培地を製造しても良い。 【0039】最後に、圧縮成形前の混合物にバインダーとして添加するアルギン酸ナトリウムの代わりに、ポリビニルアルコール又はポリアクリル酸塩又は水ガラス(ケイ酸ナトリウム)等如何なるバインダーを用いても良く、成形前の混合物にバインダーを添加すれば、圧縮成形時の粘結効果が高まり、更に成形後の形状が安定すると共に、復元後もブロック強度が保持できて、培地1が崩れにくく、更に苗の取扱いが容易となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000125 【氏名又は名称】井関農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年1月11日(1999.1.11) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−201530(P2000−201530A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月25日(2000.7.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−4446 |
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