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【発明の名称】 お茶栽培方法
【発明者】 【氏名】山下 英雄

【要約】 【課題】通常の水出し茶よりもさっぱり味で且つ複数回の煎出しでも渋みの出ないことを可能とする水出し茶の栽培方法及びその精製方法について明らかにすることを課題とする。

【解決手段】お茶の木の新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培方法において、第1の所定期間前記お茶の木に空間を隔てて半透明シートでカバーし、その後第2の所定期間前記お茶の木に被せて前記半透明シートよりさらに透明度の少ない不透明シートをカバーすることを特徴とする。また、上記お茶栽培方法において、前記半透明シートは透光性及び通気性があり、前記不透明シートは該シートの自重で前記お茶の木に載せることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 お茶の木の新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培方法において、第1の所定期間前記お茶の木に空間を隔てて半透明シートでカバーし、その後第2の所定期間前記お茶の葉に被せて前記半透明シートよりさらに透明度の少ない不透明シートをカバーすることを特徴とするお茶栽培方法。
【請求項2】 前記半透明シートは透光性及び通気性があり、前記不透明シートは該シートの自重で前記お茶の葉に搭載し、水出し茶として好適であることを特徴とする請求項1に記載のお茶栽培方法。
【請求項3】 前記第1の所定期間は3月中旬からの30日程度であり、前記第2の所定期間はその後30日程度であり、その後採茶することを特徴とする請求項1又は2に記載のお茶栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コーヒー、紅茶以上に飲するお茶の栽培方法に関し、特にお茶の葉の摘葉前にお茶の木に施す栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、お茶は「日常茶飯事」というように生活に深く入り込んだ嗜好飲料である。茶木は品質を維持するために茶種から増殖するよりも挿し木や接ぎ木で増やし、茶樹には大葉種(アッサム種)と小葉種(中国種)と、この中間の中葉種(中国系アッサム種)とに分類され、樹齢は5〜40年に及び、樹高は50〜100cm程度である。また、栽培には気象条件や土壌条件により弱酸性やアルカリ土壌には不向きで、雨量は年間1500mm以上が好ましく、零下10度以下では葉が茶色となり、23度以上だと被陰樹が必要となり、環境に大きく左右する。また、日本茶のように窒素肥料で「テアニン(アミノ酸)」物質が多く、燐酸加里で渋みの「タンニン(カテキン類)」により美味しさが出る。
【0003】お茶の良否は味と共にその香りも大切で、香りは口に入る前に感じることで味より先に良否の判断の元となり、植物の香りはその植物が育つ自然環境に支配され、川霧が立ちこめるような場所は山間地の傾斜地で、日当たりも良く、日温較差が多い程良いとされている。また、霜害防止に防霜ファンを用いたり、菰などで畑を覆ったりする。菰を掛けるのは霜害防止のためであったが、覆いを掛けた茶畑から摘んだ茶の芽は緑も鮮やかで、味も良く、藁を被せたり、菰、よしず、寒冷紗等で覆うことが増加している。
【0004】近年の茶摘みは、自然の気候に合わせて、お茶の木が新芽を出し、3葉〜5葉が成長した時点で、摘葉摘芽する。また、その後二番茶として新芽が出て、2葉〜5葉が成長した時点で、摘葉摘芽して、この工程を年間複数回繰り返して、お茶の葉を収穫する。茶摘みは、手摘みから鋏摘み、螺旋状刃による機械摘採、自走式の大型摘採機等で行われる。このお茶の葉は、集積所に集められ、お茶の葉を選別して、練り、蒸気で煮沸し、乾燥して、細粒種、太粒種等に選別する。
【0005】また、煎茶の一種として、高級茶として著名な玉露については、半透明なカバーを掛けてお茶の木を栽培することが知られ、抹茶も菰を掛けて栽培するが、製茶の仕方が異なっている。
【0006】また、製茶の仕方は抹茶と煎茶とがあり、抹茶は茶の生葉を20秒ほど蒸気に通してから直ちに乾燥するもので、乾燥時間は25分、100度近い乾燥機の中を2〜3回往復させて、茶葉の水分を7〜8%程度まで取り除く。こうして、広葉となり、広葉を砕いて太い葉脈や茎の部分を取り除いて、碾茶とし、この碾茶を石臼にかけて粉末としたものが抹茶となり全行程は1時間程度である。
【0007】また、煎茶は、蒸した茶の葉を揉みながら乾燥させ、最初に揉むのは祖揉とし約45分程度水分を除いて揉捻して15分程度、さらに中揉みの工程で30〜40分程度かかり、煎茶特有の形の精揉として40分程度、そして最後の乾燥に30〜40分程度で、全行程で約3時間程度を要する。煎茶は茶の葉を充分揉んで、茶の中に含まれる各種の成分がお湯に浸出するようにしている。
【0008】お茶の精製加工によって、抹茶、不発酵茶の煎茶、半発酵茶のウーロン茶、発酵茶の紅茶に分けられる。玉露や番茶は基本的には煎茶と同じであるが、玉露は抹茶と同様に茶畑に覆いを掛けて育てるので、若芽の水分の調節が大切で、また、焙じ茶は秋番茶、春番茶等の原料を強火で乾燥し、茶の葉が茶色に変色して香ばしい香りを重宝する。茶の葉を揉むのは、葉の表面を保護するロー物質内に葉の内部の細胞を細胞膜で包み、細胞内容物が外に出ないようにしており、これらの包みを取り除くために揉みを入れる。従来の煎茶や玉露のよいものは、針のように細くなったものとされている。
【0009】また、水出し煎茶や深蒸し煎茶は、茶の製品を小さくする為に、蒸す時間を長くし、祖揉以降は揉む圧力を強く、長くして茶の葉の組織や細胞膜を充分こわすようにしてあり、冷水でも成分が浸出しやすく作られている。
【0010】また、お茶の主な成分は、煎茶を代表として、重さ当たり、タンニン(カテキン)13%,カフェイン2.3%,蛋白質とアミノ酸24%,脂質4.6%,糖質35.2%,繊維10.6%,灰分5.4%が含まれ、ビタミンA,B1,B2,C,E,ナイアシン等が含まれる。お茶のタンニンは、消臭効果や抗菌効果を有し、カフェインは覚醒作用を有しており、嗜好飲料に優れたものであるといえる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のお茶の栽培、製茶、成分等について説明したが、冷水によってお茶を出す水出し茶の栽培や製法については、詳細には知られていない。また、その水出しのメカニズムについても生物学的に、化学的にも、明らかにされていないのが現実である。水出し茶は一般には0〜10度程度の冷水に茶葉を入れ、1〜4分後に水分の中に茶の成分が浸出するもので、特に夏場の冷水茶の味は格別である。
【0012】そこで、本発明は、通常の水出し茶よりもさっぱり味で且つ旨味が豊富で、複数回の煎出しでも渋みの出ないことを可能とする水出し茶の栽培方法及びその精製方法について明らかにすることを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、お茶の木の新芽の形成に応じてカバーするお茶栽培方法において、第1の所定期間前記お茶の木に空間を隔てて半透明シートでカバーし、その後第2の所定期間前記お茶の葉に被せて前記半透明シートよりさらに透明度の少ない不透明シートをカバーすることを特徴とする。
【0014】また、上記お茶栽培方法において、前記半透明シートは透光性及び通気性があり、前記不透明シートは該シートの自重で前記お茶の葉に載せることを特徴とする。
【0015】また、上記お茶栽培方法において、前記第1の所定期間は3月中旬からの30日程度であり、前記第2の所定期間はその後30日程度であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明による実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】[第1の実施形態]図1にお茶の木の状態とそれに半透明のシートを覆った概念図を示す。図において、1は土壌、2は生育したお茶の木、3は第1のシートの菰である。
【0018】上述したように、もともと冬場前にそのお茶の木の成長に合わせて、機械摘採が可能なように及び第2のシートを掛けたときの空間を少なくするために剪定しておく。通常、お茶の生育は、11月から3月初旬までを発育休止期、4〜5月が幼芽から1芯5葉の開く一番茶、5〜6月が二番茶、7〜8月が三番茶、9〜10月が秋冬茶と称するが、菰(シート)3を掛けるのは発育休止期後半とし、発芽前から、通気性の良い菰3をお茶の葉から約30cm〜100cm離間して不図示の菰掛け支柱で支えてカバーする。
【0019】この第1のシートは例えばカネボウ製のタフベル4000Nとし、この菰は、透光性に優れ、太陽光線を充分に活かし、通気性があり、高温障害は起きず、耐候性及び耐熱性に優れ、夜間の熱線を逃し難く、保温、防霜性に優れている。
【0020】この第1のシートは、透光性や通気性等の物理的特性がタフベル4000Nと同じであれば、他のものでもよいことは勿論である。
【0021】その状態で、天候状況や日照時間にもよるが、新芽の出る前の3月中旬から20〜40日、好ましくは25〜35日、更に好ましくは約30日を経過し、お茶の葉は2〜5葉、好ましくは2〜3葉が育っており、その成長した葉の上から、半透明のネットを直接お茶の新芽の上に被せる。この状態を図2に示す。図において、4は第2のシートであり、新芽の上に直接カバーした状態を示している。図において、図1と同様な個所には同一符号を付して、重複する説明を省略する。この第2のシートであるネットは、ダイヤテックス(株)のギョクロンネット(商標)、WYS−50を用いる。
【0022】この半透明の第2のシートを、やはり天候状況や日照時間にもよるが、20〜40日、好ましくは25〜35日、更に好ましくは約30日を経過し、その後、摘採する。
【0023】ギョクロンネット、WYS−50は、遮光率80−84%、テープ比率中黄色50%、銀色50%であり、使用途にかぶせ茶や高級煎茶用としている。又テープ比率中黄色ネット部は太陽光の紫青色域や紫外線の透過を抑え、赤紫色域を多く透し、新葉の形状は大きくかつ薄く、葉成分並びに窒素、アミノ酸含量が多くなる。また銀色は、遮光性を保ち、かつ太陽光の熱源である赤外線を反射し、茶樹の温度を下げ、タンニン(しぶみや、にがみ)を抑える作用を有している。また、ギョクロンネットは光合成を保ちながら被覆するので、同じ遮光率の黒ネットに比べ、茶葉の収量はは10%程度増加し、新葉の硬化が遅れるので、1〜3日被覆期間を延長することも、また被覆終了時点で1〜2日摘採労力を分散させることも可能となる。
【0024】また、第2のシートは、銀色膜と黄色膜の二重層を有し、茶葉を覆う場合、太陽光側を銀色膜として熱線を反射させ、茶葉側の被覆物体温度を低くし、日射量の多い2,3番茶期に新芽が接触してもほとんど葉焼けが発生しない。被覆下の葉面温度は黒ネットに比べ日中で5〜8度低くなり、逆に夜間は保温効果がある。このような特性の遮光性あるシートを用いているので、茶葉そのものが自然の遺伝子から生じる性能を発揮できる条件を維持すると考えられる。
【0025】なお、この第2のシートは、透光性や透過スペクトラム、通気性等の物理的特性がギョクロンネットと同じであれば、他のものでもよいことは勿論である。また、その時時のお茶の葉の状態変化も、第1のシートの場合には太陽光を浴びて緑色の濃い状態であるが、第2のシートをかけることにより、鮮緑色から薄緑色に変化し、第2のシートをかけてから出てくるお茶の葉は、その前のものよりも細い形状となっている。
【0026】こうして5月中旬に、採摘したお茶葉を、従来の技術で説明した煎茶の製法手法例と同様として、まず蒸した茶の葉を揉みながら乾燥させ、最初に揉む祖揉とし約45分程度、水分を除いて揉捻して15分程度、さらに中揉みの工程で30〜40分程度かかり、煎茶特有の形の精揉として40分程度、そして最後の乾燥に30〜40分程度で、この結果全行程で約3時間程度を要している。このように、水出し茶として特別な精製法を必要としない。
【0027】
【実施例】茶樹は福岡県筑紫野市の茶畑を用い、5〜10年樹の中葉種を5番茶の8月摘採を終了した状態で、発育休止期に窒素燐酸カリという通常の肥料を加えておくと共に、機械電動茶摘採機で採茶できる形状にかつシールを掛けやすい形状に剪定しておいた。つぎに3月中旬になり、上述のカネボウ製のタフベル4000Nを茶樹上50cmに支柱を掛けて茶樹を覆った。ここで、日照時間とか雨量については特別なことはせず、通常の気候環境の下にした。
【0028】つぎに、2〜3葉育った4月中旬に第1のシートのカネボウ製のタフベル4000Nを取り払い、続いて、ギョクロンネット、WYS−50をその茶葉の上に直接被せるように覆った。その場合、ギョクロンネットは軽いので、茶葉を押さえつけるということはなく、茶葉上に柔らかい紙を置いた状態に似ている。こうして約30日を経ち、茶葉は5〜8葉が生育している状態となる。この期間には、特別な日照時間や天候ではなく、通常の天候であった。
【0029】5月中旬となり、ギョクロンネットの覆いを取り払い、機械電動茶摘採機で採茶して、即日精製所に配送し、精製所では通常の抹茶の製法により抹茶と同様に茶葉のみの部分と、枝葉を含む部分とに分けて収穫し、2種に分けて製品とした。これは、もっと製品量が多い場合には、細かく分けて製品化できる。
【0030】つぎに、本お茶の栽培方法によって収穫されたお茶の葉を0〜10℃程度の冷水で、お茶を煎じた結果、10gの茶量で、200ccずつ適度のお茶の緑色の出る程度を繰り返した場合、5〜7回程度で出なくなった。すなわち、お茶とした場合、5〜7回程度を煎ずることが可能であった。また、茶味はまさに旨味といえる味で、冷水の冷たさとともに、お茶の苦みの少ないさわやかな、まろやかなお茶の味を味わうことができた。
【0031】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の水出し茶の栽培方法によれば、通常の水出し茶よりもさっぱり味で、且つ複数回の煎出しでも渋みの出ないことを可能とする。
【0032】また、本水出し茶はお茶の茶樹、肥料、茶樹の樹勢、茶葉の栽培、天候、茶葉の精製等の複雑な多数のパラメータのうち、特に茶葉の栽培方法により、本発明特有の旨味のあるお茶を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】599006029
【氏名又は名称】山下 英雄
【識別番号】599006030
【氏名又は名称】山下 英博
【出願日】 平成11年1月12日(1999.1.12)
【代理人】 【識別番号】100065385
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 穣平 (外1名)
【公開番号】 特開2000−201529(P2000−201529A)
【公開日】 平成12年7月25日(2000.7.25)
【出願番号】 特願平11−5629