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【発明の名称】 茸菌培養袋
【発明者】 【氏名】黒木 元彦

【氏名】久龍 由美

【氏名】川村 浩史

【氏名】谷崎 達也

【氏名】乗富 勝美

【氏名】山本 陽造

【要約】 【課題】雑菌による汚染を防止した状態でガス透過性を高くすることができ、このため茸菌の生育に必要な空気を十分に供給することができ、しかも培地下部にも空気を十分に供給することができ、これによりこれにより栽培期間の短縮、子実体の質の向上および収量の増加が可能で、かつ安価な菌類培養袋を得る。

【解決手段】茸類の菌床栽培用の培養袋であって、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層を有する多層フィルムを少なくとも一部の構成要素とする茸菌培養袋。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茸類の菌床栽培用の培養袋であって、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムを少なくとも一部の構成要素とする茸菌培養袋。
【請求項2】 茸類の菌床栽培用の培養袋であって、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層を有する多層フィルムを少なくとも一部の構成要素とする茸菌培養袋。
【請求項3】 多層フィルムが、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層の少なくとも片面に、接着性樹脂層を介してオレフィン系重合体層が積層された多層フィルムである請求項2記載の茸菌培養袋。
【請求項4】 培地と接触しない部分に、空気は通過するが雑菌は通過しない通気性フィルターで被覆された通気孔を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の茸菌培養袋。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる単層または多層フィルムを構成要素とする茸菌培養袋に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の茸栽培は、自然環境下で、季節栽培である原木ホダ木栽培が行われているが、最近、空調設備により周年栽培が可能な菌床栽培が盛んになっている。菌床栽培は、通常プラスチック製の培養ビンまたは培養袋内で栽培を行う方法であり、その時使用する培地としては、主として広葉樹を原料とした粒度の異なるオガコと、米ヌカまたはフスマ等の栄養分とを適当な割合で混合し、水分を60〜65%に調整した培地が使用されている。栽培は、培養ビンまたは培養袋に培地を充填した後、高圧蒸気滅菌等にて培地を滅菌し、クリーンな室内で種菌の接種を行い、その後培養室で培養することにより行われている。
【0003】培養ビンを使用する場合は、ビンの開口部に綿栓を施した状態で培養するが、密封しすぎると菌の生育に必要な空気供給量が不足し、また弱すぎるとアオカビ等の雑菌が進入しやすくなる等非常に熟練を要し、また手数もかかる。
【0004】一方培養袋を使用する場合は、ヒートシールまたは種々の治具を用いて袋の開口部を密封した状態で培養するが、菌の生育に必要な空気を供給する必要があるので、一般には培養袋本体の上部に通気用の孔を設け、この孔を空気は通過するが雑菌は通過しない通気性フィルターで被覆している。このような培養袋は、通気フィルターを通して通気孔から空気は供給されるが、雑菌や埃の侵入は通気性フィルターにより防止される。水分を含む培地が通気性フィルターと接触すると、雑菌が混入しやすくなる場合もあるので、一般的には培地と接触する袋の下部には通気孔は設けられていない。
【0005】培養袋を使用する場合は、綿栓を施す必要がないので熟練を必要とせず、また手数もかからないが、通気孔が上部にのみ設けられているため、下部に位置する培地への空気供給量が十分とはいえず、また滅菌中や培養中に何らかの原因で通気性フィルターが目詰りした場合には茸菌に十分な空気が供給されなくなり、生育に悪影響を与えてしまう。
【0006】茸菌は、接種した培地の上部から徐々に下部に向かって繁殖し、茸菌の種類によっても異なるが、ほぼ一定期間を要して茸菌が培地全体に蔓延する。そのため、茸菌を早く培地全体に蔓延させるためには、培養袋の上部のみでなく下部からも空気を供給することが望ましい。
【0007】培養袋の下部にも空気供給用の通気孔を設けた培養袋として、特公平8−22188号には、培地と接触しない上部の通気孔はポーラスフィルムで被覆し、培地と接触する下部の通気孔はポーラスフィルム/疎水性素材/ポーラスフィルムの構成のフィルター部材で被覆した茸栽培袋が記載されている。しかし、このような多層構成のフィルター部材で通気孔を被覆した袋においても、培養中に茸菌の生育に従って発生した水分が、通気孔からしみ出して雑菌に汚染される場合があるという問題点がある。また製袋工程において、上部通気孔に加えて下部にも通気孔を設ける工程と、その通気孔を多層構成のフィルター部材で被覆する工程とを追加作業として組み込まなければならず、このためフィルターのコストも2倍かかり培養袋としてのコストが高くなるという問題点もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記従来の問題点を解決するため、雑菌による汚染を防止した状態でガス透過性を高くすることができ、このため茸菌の生育に必要な空気を十分に供給することができ、しかも培地下部にも空気を十分に供給することができ、これにより栽培期間の短縮、子実体の質の向上および収量の増加が可能で、かつ安価な菌類培養袋を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は次の茸菌培養袋である。
(1)茸類の菌床栽培用の培養袋であって、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムを少なくとも一部の構成要素とする茸菌培養袋。
(2)茸類の菌床栽培用の培養袋であって、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層を有する多層フィルムを少なくとも一部の構成要素とする茸菌培養袋。
(3)多層フィルムが、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層の少なくとも片面に、接着性樹脂層を介してオレフィン系重合体層が積層された多層フィルムである上記(2)記載の茸菌培養袋。
(4)培地と接触しない部分に、空気は通過するが雑菌は通過しない通気性フィルターで被覆された通気孔を有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の茸菌培養袋。
【0010】本発明の茸菌培養袋は、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体からなる単層のポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムから構成されていてもよいし、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体からなるポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層を少なくとも1層有する多層フィルム(以下、ポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムという)から構成されていてもよい。
【0011】ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体は、強度およびヒートシール性がやや低いので、本発明の茸菌培養袋を構成するフィルムとしては、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体と強度および/またはヒートシール性に優れた他の樹脂との組成物からなるフィルム、あるいはポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層に他のフィルムを積層したポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムを使用するのが好ましく、特にポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層の少なくとも片面に、接着性樹脂層を介してオレフィン系重合体層が積層された多層フィルムを使用するのが好ましい。またポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層と他の樹脂層とを積層することにより、ガス透過性を所望するガス透過量に調節することもできる。
【0012】本発明において使用されるポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体は、4−メチル−1−ペンテンまたはその他の4−メチルペンテンの単独重合体のほか、4−メチル−1−ペンテンを主体とする4−メチルペンテンと他のα−オレフィンとの共重合体などを含む。ここでコモノマーとしての他のα−オレフィンとしては、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンなどを例示できる。共重合体としては4−メチル−1−ペンテンを85モル%以上、好ましくは90モル%以上含む4−メチル−1−ペンテンを主体とする共重合体が好ましい。これらは1種単独で、あるいは2種以上を組み合せて使用することができる。
【0013】ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体は融点が210〜240℃、好ましくは215〜235℃、メルトフローレート(MFR:ASTM D 1238、260℃、5kg荷重)が0.1〜400g/10分、好ましくは0.5〜200g/10分、密度(ASTM D 1505)が0.82〜0.84g/cm3、好ましくは0.825〜0.835g/cm3であるものが好適である。
【0014】ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体は市販品を使用することもできる。ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体は、ガス透過性に優れているので、茸菌の生育に必要となる酸素(空気)を十分に供給することができる。
【0015】前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムにおいて使用されるポリオレフィン系重合体は、α−オレフィンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体、ならびにα−オレフィンと少量の他のモノマーとの共重合体などを含む。α−オレフィンとしては炭素数2〜20のものがあげられ、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが例示できる。
【0016】ポリオレフィン系重合体の具体的なものとしては、エチレンを単独重合して得られるポリエチレン、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるポリエチレン等のポリエチレン系重合体;プロピレンを単独重合して得られるポリプロピレン、プロピレンとプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるポリプロピレン等のポリプロピレン系重合体;1−ブテンを単独重合して得られるポリブテン、1−ブテンと1−ブテン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンとを共重合して得られるポリブテン等のポリブテン系重合体;結晶性ポリオレフィンなどがあげられる。これらの中では、ポリエチレン系重合体およびポリプロピレン系重合体が好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合せて使用できる。
【0017】ポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムを構成するポリオレフィン系重合体として好ましく使用されるポリエチレン系重合体は、エチレンの単独重合体、およびエチレンを主体とする他のα−オレフィンとの共重合体のほか、エチレンの単独もしくは共重合体を主体とし、これと他のα−オレフィンの単独もしくは共重合体とをブレンドした樹脂組成物などを含む。これらは1種単独で、あるいは2種以上をブレンドして使用することができる。
【0018】エチレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどの炭素数3〜20のα−オレフィンを例示できる。これらの中ではプロピレンまたは1−ブテンが好ましい。ここでエチレンと他のα−オレフィンとの共重合体中に占めるエチレンモノマーの割合は通常80〜99モル%、好ましくは90〜98モル%である。
【0019】エチレンの単独もしくは共重合体と他のα−オレフィンの単独もしくは共重合体との樹脂組成物の場合、エチレンの単独もしくは共重合体を60〜90重量%含むものが好ましい。このようなブレンドした樹脂組成物としては、ポリエチレン60〜90重量%、および1−ブテン単独重合体もしくは1−ブテンを主成分とする他のα−オレフィンとの共重合体10〜40重量%またはエチレン・プロピレン共重合体10〜40重量%からなる樹脂のブレンド組成物が好ましい。
【0020】上記のポリエチレン系重合体は、エチレンの単独もしくは共重合体、あるいは他のα−オレフィンの単独もしくは共重合体との樹脂組成物のいずれの場合も、エチレン含量が80〜99モル%、好ましくは90〜98モル%、MFR(ASTM D 1238、190℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g/10分、好ましくは1〜10g/10分、融点が80〜150℃、好ましくは90〜140℃のものが好適である。
【0021】ポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムを構成するポリオレフィン系重合体として好ましく使用されるポリプロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体、およびプロピレンを主体とする他のα−オレフィンとの共重合体のほか、プロピレンの単独もしくは共重合体を主体とし、これと他のα−オレフィンの単独もしくは共重合体とをブレンドした樹脂組成物などを含む。これらは1種単独で、あるいは2種以上をブレンドして使用することができる。
【0022】プロピレンと共重合される他のα−オレフィンとしては、例えばエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセンなどのプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンを例示できる。これらの中ではエチレンまたは1−ブテンが好ましい。ここでプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体中に占めるプロピレンモノマーの割合は通常80〜99モル%、好ましくは90〜98モル%である。
【0023】プロピレンの単独もしくは共重合体と他のα−オレフィンの単独もしくは共重合体との樹脂組成物の場合、プロピレンの単独もしくは共重合体を60〜90重量%含むものが好ましい。このようなブレンドした樹脂組成物としては、ポリプロピレン60〜90重量%、および1−ブテン単独重合体もしくは1−ブテンを主成分とする他のα−オレフィンとの共重合体10〜40重量%またはプロピレン・エチレン共重合体10〜40重量%からなる樹脂のブレンド組成物が好ましい。
【0024】上記のポリプロピレン系重合体は、プロピレンの単独もしくは共重合体、あるいは他のα−オレフィンの単独もしくは共重合体との樹脂組成物のいずれの場合も、プロピレン含量が80〜99モル%、好ましくは90〜98モル%、MFR(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重)が0.1〜50g/10分、好ましくは1〜10g/10分、融点が130〜170℃、好ましくは140〜160℃のものが好適である。
【0025】本発明の茸菌培養袋に使用されるポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムは、前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体からなるポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層の少なくとも片面に、前記ポリオレフィン系重合体からなるポリオレフィン系重合体層が積層された多層フィルムが好ましい。ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層とポリオレフィン系重合体層とは接着性樹脂層を介して積層することもできるし、接着性樹脂層を介することなく直接積層することもできるが、接着性樹脂層を介して積層するのが好ましい。
【0026】前記接着性樹脂としては、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層とポリオレフィン系重合体層とに対する接着性を有する樹脂が制限なく使用できるが、4−メチル−1−ペンテン系重合体を含む接着性樹脂組成物が好ましい。ここで4−メチルペンテン系重合体とは、重合体のモノマー成分に4−メチルペンテンを含む重合体であって、他のモノマー成分としてはエチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、テトラデセン、オクタデセンなどの炭素数2〜20のα−オレフィンを例示でき、α−オレフィンの割合は通常0〜20モル%、好ましくは2〜10モル%である。
【0027】前記接着性樹脂組成物における4−メチル−1−ペンテン系重合体の割合は通常40〜80重量%、好ましくは50〜70重量%である。この接着性樹脂組成物における4−メチル−1−ペンテン系重合体以外の他の樹脂としては、上記の4−メチルペンテン系重合体とブレンドすることにより接着性を付与できる樹脂であり、エチレン・ブテン共重合体、1−ブテン系重合体、プロピレン・エチレン系重合体等を例示できる。
【0028】前記接着性樹脂組成物の具体的なものとしては、4−メチルペンテン系重合体50〜70重量%、1−ブテン系重合体25〜45重量%、およびプロピレン・エチレン系重合体5〜25重量%からなる樹脂組成物などを例示できる。
【0029】前記接着性樹脂は、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体に対する接着力(T形剥離試験)が1〜10kg/15mm、好ましくは2〜5kg/15mm、ポリオレフィン系重合体に対する接着力(T形剥離試験)が1〜10kg/15mm、好ましくは2〜5kg/15mmのものが望ましい。
【0030】本発明の茸菌培養袋に使用されるポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムとしては、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層の片面に接着性樹脂層を介してポリオレフィン系重合体層が積層されたポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系重合体層の3層フィルムが好ましいが、ポリオレフィン系重合体層/接着性樹脂層/ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層/接着性樹脂層/ポリオレフィン系重合体層の5層フィルム、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層/ポリオレフィン系重合体層の2層フィルム、ポリオレフィン系重合体層/ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層/ポリオレフィン系重合体層の3層フィルムなどを使用することもできる。
【0031】茸菌培養袋に使用する単層のポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムの場合の厚さは30〜300μm、好ましくは50〜150μmとするのが好ましい。またポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムの厚さはフィルム全体で30〜250μm、好ましくは50〜150μmとするのが好ましい。各層の厚さは、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層が20〜240μm、好ましくは40〜140μm、ポリオレフィン系重合体層が10〜100μm、好ましくは10〜30μm、接着性樹脂層が0〜50μm、好ましくは10〜30μmとするのが望ましい。同じ種類の層が複数ある場合、上記厚さはこれらの合計である。
【0032】ポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムおよび各層の厚さが上記範囲にある場合、強度も十分であるため、培養中にフィルムが破損することもなく、また製袋機等での製袋が容易である。
【0033】本発明の茸菌培養袋に使用されるポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムは、23℃における酸素透過度が3000〜20000ml/m2・24hrs・atm、好ましくは7000〜20000ml/m2・24hrs・atmであるものが望ましい。酸素透過度が上記範囲にある場合には、空気供給用の通気孔を設けなくても、茸菌の繁殖に必要な空気が十分に供給される。
【0034】前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムおよびポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムは、袋状に容易に加工することが可能であり、またヒートシールすることが可能である。特にポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムは、容易にヒートシールすることができる。
【0035】前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体、ポリオレフィン系重合体および接着性樹脂には、それぞれ必要に応じて、可塑剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロック剤、紫外線吸収剤、着色剤、抗菌剤、防黴剤、防曇剤などを添加することができる。
【0036】本発明の茸菌培養袋に使用されるポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムは予め成形されたポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムとポリオレフィン系重合体フィルムとを、接着性樹脂層を介して貼り合せることにより製造することもできるが、一般的にはT−ダイ押出成形法などにより各層を共押出成形することにより製造される。
【0037】本発明の茸菌培養袋は、前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムを少なくとも一部の構成要素とする袋であり、一部または全部を前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムで構成することができるが、全部が前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムから構成されているのが好ましい。本発明の茸菌培養袋がポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムから構成されている場合、袋の内側がポリオレフィン系重合体層、外側がポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層とするのが好ましく、この場合ヒートシール性に優れた茸菌培養袋が得られる。
【0038】本発明の茸菌培養袋は、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムがガス透過性に優れているので、空気供給用の通気孔を設けなくてもよいが、設けてもよい。設ける場合は、空気は通過するが雑菌は通過しない通気性フィルターで被覆し、雑菌の混入による汚染を防止する。通気性フィルターとしては、例えば公知のポリオレフィン繊維製不織布などを用いることができる。通気孔は培地と接触しない部分に設けるのが好ましい。なお、通気孔を設け通気性フィルターが何らかの原因で目詰まりした場合にも、フィルム自体の通気性により茸菌に十分な空気が供給される。
【0039】本発明の茸菌培養袋の形状は特に限定されないが、例えばガゼット状、スタンドパウチ状、平袋状など、任意の形状があげられる。
【0040】本発明の茸菌培養袋は、公知の成形方法により、前記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムを上記のような任意の形状の袋に成形することにより製造することができる。特にポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムは、市販の製袋機で高速製袋が可能であり、茸菌培養袋を効率よく容易に大量生産することができる。また本発明の茸菌培養袋は、培地の下部に空気を供給するための特殊な通気孔は設ける必要がないので、安価に製造することができる。
【0041】本発明の茸菌培養袋は、袋の中に培地を入れ、この培地上または培地中で茸菌を培養する。この場合、袋を構成するフィルム自体がガス透過性に優れているので、袋の上部はもちろん培地が充填されている下部にも、袋を構成しているフィルム自体を通して空気が供給されるので、菌糸の成長速度が速い。
【0042】本発明の茸菌培養袋で培養される茸菌は菌床栽培が可能な茸菌であれば特に限定されず、例えばシイタケ、シメジ、舞茸など、各種の茸があげられる。
【0043】本発明で用いられる茸菌の培地は、従来のビンおよび袋栽培に用いられているものと同じものが使用できる。通常、培地は従来と同様の高圧蒸気滅菌等の種々の殺菌方法により殺菌した後使用されるが、本発明で使用されるポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系多層フィルムは耐熱性に優れているので、培養袋の中に培地を入れた状態で殺菌することができる。殺菌後は、クリーンな部屋で種菌を接種した後、ヒートシールなどの方法により袋の開口部を接着させて密封する。次に、室温18〜22℃の培養室で完熟菌床になるまで培養した後、菌床を室温13〜17℃の発生室に移動させて栽培することにより茸を発生させることができる。
【0044】本発明の茸菌培養袋は、袋を構成するフィルム自体が高いガス透過性を有しているので、酸素(空気)を茸菌に十分供給できるとともに、茸菌が生育するときに発生する二酸化炭素および水分を袋内から速やかに袋外へ排出することができる。そのため、茸菌が生育していく上で快適な環境を提供することができるので、栽培期間を短縮することができ、しかも子実体の質および収量を向上させることができる。
【0045】
【発明の効果】本発明の茸菌培養袋は、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体フィルムまたはポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層を有する多層フィルムを少なくとも一部の構成要素とする茸菌培養袋であるので、雑菌による汚染を防止した状態でガス透過性を高くすることができ、このため茸菌の生育に必要な空気を十分に供給することができ、しかも培地下部にも空気を十分に供給することができる。これにより栽培期間が短縮され、かつ子実体の質および収量を向上させることができ、しかも低コストで製造することができる。
【0046】
【発明の実施の形態】次に実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の多層フィルムに用いた原料は次の通りである。
1)ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体融点が228℃、MFR(ASTM D 1238、260℃、5kg荷重)が25g/10分、密度(ASTM D 1505)が0.835g/cm3のポリ4−メチル−1−ペンテン(TPX MX021、三井化学(株)製、商標)を使用した。
2)接着性樹脂MFR(ASTM D 1238、260℃、5kg荷重)が31g/10分、密度(ASTM D 1505)が0.855g/cm3の接着性樹脂(TLP630、三井化学(株)製、商標)を使用した。
3)ポリプロピレン系重合体MFR(ASTM D 1238、230℃、2.16kg荷重)が7g/10分、密度(ASTM D 1505)が0.91g/cm3のポリプロピレン系重合体(F327D、グランドポリマー(株)製、商標)を使用した。
【0047】実施例1、比較例1《培養袋の作成》実施例1で用いた培養袋は次のようにして作製した。すなわちT−ダイ共押出成形により、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層の片面に接着性樹脂層を介してポリプロピレン系重合体層が積層された三層フィルムを成形した。この多層フィルムを用いて、ガゼットタイプ製袋機により、ポリプロピレン系重合体層が袋の内側になるようにして、350×130×110mmの袋を作成した。この袋の片面中央部に直径25mmの通気孔用の孔を1個開けた後、この孔の全面を覆うように、直径40mmでpH6のポリエチレン製不織布(商品名「タイベック」デュポン社製)を熱溶着して被覆し、培養袋を作製した。なお多層フィルム全体の厚さは50μmであり、各層の厚さは次の通りである。
ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体層:50μm接着性樹脂層:10μmポリプロピレン系重合体層:10μm【0048】比較例1で用いた培養袋としては、次の市販品を使用した。すなわちポリプロピレン素材からなる袋であって、片面中央部分に直径35mmの通気孔を1個有し、この通気孔全面は52mm四方の通気性フィルターが熱容着されて被覆されている市販の培養袋(A社製造)を使用した。
【0049】《培養方法》上記培養袋に、ナラオガ屑とフスマを容量比で10対1の割合で混合し、水分を62%に調整した培地を袋当たり1kg充填した。なおこの状態では、培地は通気孔に接触していない。次に、高圧蒸気滅菌庫にて117℃、90分間殺菌した後、培地を室温まで冷却した。次に、クリーンな部屋でシイタケ菌を接種し、袋の開口部をインパルスシーラーによりヒートシールして密封した。これを室温21℃の培養室で培養し、培養時の培養袋内の二酸化炭素濃度を10日毎に測定した。測定箇所は培地のすぐ上(通気孔の下)と袋底から5cmの培地内部の2か所とした。結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】表1からわかるように、実施例1では約90日間で菌糸が蔓延し培養が完了したのに対し、比較例1では菌糸が蔓延し培養が完了するのに約100日間を要した。
【0052】《子実体の発生》上記のようにして培養した後、培地が完熟菌床となったのを確認した後(すなわち、実施例1では90日後、比較例1では100日後)、室温17℃,RH85%以上の発生室に移した。初回子実体を発生させた後、浸水処理を行い、子実体の発生を計4回102日間行った。その時の子実体の発生個数を表2に総収量を表3に示す。
【0053】
【表2】

【0054】
【表3】

【0055】表1〜表3からわかるように、実施例の培養袋を使用した場合、培養中の袋内二酸化炭素ガス濃度が培養期間を通して特に下部において低く保たれており、従って酸素は十分に供給されており、そのため栽培期間が短縮し、かつ子実体の収量が増加し、茸の質も向上した。
【出願人】 【識別番号】591016334
【氏名又は名称】大塚テクノ株式会社
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
【出願日】 平成10年12月28日(1998.12.28)
【代理人】 【識別番号】100067839
【弁理士】
【氏名又は名称】柳原 成
【公開番号】 特開2000−188950(P2000−188950A)
【公開日】 平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願番号】 特願平10−372459