| 【発明の名称】 |
土 壌 |
| 【発明者】 |
【氏名】荷川取 健
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| 【要約】 |
【課題】植栽用や農業用に適した土壌に関し、植栽用の土壌として特に重要な有機物量とその他の各項目の基準を満たし、かつ安価な土壌を実現する。
【解決手段】少なくとも、沖縄本島で植栽用土の原土として用いられている国頭マージまたは国頭マージとほぼ同質の土と、砂程度の粒径で多孔質なクリンカアッシュと、有機性廃棄物を完熟させた有機肥料と、ヤシがらを用いた有機性土壌改良材とを含んでいる土壌である。配合割合は、国頭マージ:クリンカアッシュ=6〜7:4〜3の割合の土壌1m3 当たり、前記有機肥料100〜120kg、前記ヤシがら土壌改良材40〜60kgを加えて攪拌混合する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、沖縄本島で植栽用土の原土として用いられている国頭マージまたは国頭マージとほぼ同質の土と、砂程度の粒径で多孔質なクリンカアッシュと、有機性廃棄物を完熟させた有機肥料と、ヤシがらを用いた有機性土壌改良材とを含んでいることを特徴とする土壌。 【請求項2】 前記の国頭マージ:クリンカアッシュ=6〜7:4〜3の割合の土壌1m3 当たり、前記有機肥料100〜120kg、前記ヤシがら土壌改良材40〜60kgを加えて攪拌混合してなることを特徴とする請求項1記載の土壌。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、植栽用や農業用に適した土壌に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の土壌は、国頭マージ、砂および無機系改良材を、7:1.5:1.5の比率で混ぜたもの1m3 に対し、下水汚泥や家畜糞尿混合物を微生物の好気性発酵作用を利用して処理して完熟させた有機肥料を160kg混ぜたものが有効とされていた。 【0003】原土である「国頭マージ」とは、沖縄本島北部に広く分布する古生層や第三紀洪積世などが風化してできた粘板岩土壌、国頭礫層土壌、古生紀石灰岩土壌の通称である。特性として、腐植の非常に少ないことがあげられ、土壌が単粒構造で雨水により固結しやすく、地表が雨に叩かれ膜状になって通気不良となり根の水分や養分の吸収を妨げる。また、酸性で、粘土含有量の高い土壌が多い。 【0004】植物の根系が伸長するために必要な空気、水分、養分が供給できる条件が生育基盤である植栽地の土壌で満足されていることによって植物の良好な生育が期待できる。 【0005】国頭マージの特性を踏まえると、原土のまま植栽用土として用いるのは植栽樹木の発育不良をもたらし易いと考えられ、どのように土壌の理化学性を改善するのかが重要となる。よって、沖縄県や沖縄総合事務局は、表1のように、植栽土壌の良否基準を設定して、土壌検査を行い、不適格とされた場合は、これを改良している。 【0006】 【表1】
【0007】樹木、特に成木の生育は、肥料管理よりも、気象、土壌条件による影響が大きい。特に土壌は、樹木を支える生育基盤なので、植栽用土として良好な土壌を用いるのは植物に健全な生育をもたらす重要な要素である。 【0008】次に、表1中の植栽土壌良否基準の各項目について説明する。 【0009】〔土性〕土性とは、2mm以下の土壌粒子の構成割合を示す言葉である。土性は土壌の養・水分供給能や水生など多くの特性と関係する重要な性質である。砂は粒子が大きく、粒子間の孔隙が大きくなるため、空気や水の通りを良くする性質を持つが、粒子同士がバラバラで、粘りに欠ける。一方、粘土は粒子の表面積が大きく、粒子間の孔隙が小さいため、水を保持したり、養分の保持・交換する性質が強いが、空気や水の通りが悪く、固結しやすい性質を持つ。よって、砂質と粘質の中間の性質を持つ壌質な土壌、壌土・砂壌土・埴壌土が合格基準とされている。 【0010】〔保水性〕植物に吸収される状態にある水を保持する能力で、土壌の孔隙量とその分布および粘土鉱物の種類によって決まる。土壌の乾湿に関係する。土壌水分は植物が正常に生育するために欠かせないものである。実際に、土壌中に存在する水は植物が吸収できる程度に吸着されているものから、吸収できないほど強く吸着されているものまで、様々なものがある。そのうち、保水力として評価されるのは、植物に利用される範囲の水分である。この水分量が小さい値を示すと、干ばつを受けやすい条件下といえる。 【0011】〔透水性〕土壌の孔隙量、その分布状態及び構造等に支配される。水はけ、通気性などの面で土壌の乾湿に関係する。透水性に深く関わるのは大きな孔隙である。すなわち、大きな孔隙ほど水を保持することができず、下方に浸透するとともに、空気が入り込んでくる。 【0012】不良の場合は、根腐れなどの湿害を受ける。透水性が良好な土壌では、雨が降っても短時間で作物生育に必要な空気量が確保されるとともに適度に水分が供給されるので、根が良く張る。このように、透水性は植物の生育にとって重要な項目である。 【0013】〔pH〕pHは土壌化学性項目の中でも最も基本的で重要なものの一つである。7.0が中性で、5.0以下が強酸性、5.0〜5.5が酸性、5.5〜6.0が弱酸性、6.0〜6.5が微酸性、7.0〜7.5が微アルカリ性、7.5〜8.0が弱アルカリ性、8.0〜8.5がアルカリ性、8.5以上が強アルカリ性といわれる。一般に樹木は、やや酸性を好む傾向があり、pHがアルカリに傾くと、健全な生育は期待できない。 【0014】〔有機物量〕有機物は地力維持には欠かせないもので、その施用は(1)土の通気性や透水性を改善し、保肥力を高める物理性改善効果、(2)分解に伴う養分供給の化学性改善効果、(3)土壌病害を軽減するなどの微生物性改善効果等がいわれている。 【0015】〔全窒素〕窒素は最も欠乏しやすい要素である。植物体に欠かせないタンパク質の構成成分として重要な項目である。そのほか、光合成に必要な葉緑素や各種体内代謝を促進する酵素の構成成分となったり、養分吸収や同化作用・茎葉・根の伸長を盛んにする働きがある。一般に、窒素が欠乏すると、植物全体に緑色が減じ、葉などの黄化が進む。根の伸長が鈍くなり、植物の生長が落ちて全体に小さくなる。 【0016】〔有効態リン酸〕リン酸も、窒素と並んで重要な要素の一つである。細胞膜成分のリン脂質や遺伝にあずかる核酸の構成成分になったり、呼吸やエネルギー伝達にも関与する。また、開花の善し悪しにも関与する。リン酸が不足すると発育不良となり、開花や結実にも悪くなる。 【0017】〔置換性カリウム〕植物体内でのカリウムの作用は不明な点が多いが、一般に茎幹、根部の成長を助長するといわれる。カリウム欠乏は植物の種類により、症状の出やすいものと出にくいものがある。カリウムが欠乏すると、地下部の生育が著しく悪くなる。特に細根、根毛の生育が悪く、根腐れ抵抗性も低下する。 【0018】〔塩分(電気伝導度)〕植物の耐塩性は、種類によって異なるが、塩分の過剰害は葉がしおれるなどの症状が現れ、生育が困難となる。 【0019】前記のような従来の原料と混合割合による土壌の諸特性を表2に示す。 【0020】 【表2】
【0021】 【発明が解決しようとする課題】表2と表1とを比較した場合、植栽用の土壌として特に重要な有機物量が基準値の半分以下と悪い。したがって、前記のような従来の原料と配合割合では、基準を満たすことができなかった。 【0022】安価にかつ大量に生産できることも重要であるが、無機系改良材であるパーライト(商品名)やイソライト(商品名)を用いるため高価な土壌となる。 【0023】本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、植栽用の土壌として特に重要な有機物量とその他の各項目の基準を満たし、かつ安価な土壌を実現することにある。 【0024】 【課題を解決するための手段】本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、少なくとも、沖縄本島で植栽用土の原土として用いられている国頭マージまたは国頭マージとほぼ同質の土と、砂程度の粒径で多孔質なクリンカアッシュと、有機性廃棄物を完熟させた有機肥料と、ヤシがらを用いた有機性土壌改良材とを含んでいる土壌である。 【0025】このように、国頭マージとクリンカアッシュと有機肥料とヤシがら土壌改良材とを含んでいるため、従来の土壌改良の方法で作られた植栽用土と比較して、特に重要とされている有機物量が十分で、しかも他の各項目の基準も満たした良質の土壌を実現できる。 【0026】有機肥料としては、有機性廃棄物をコンポスト化して得られる完熟堆肥を用いるので、安価に供給できる。さらに、ヤシがらを原料とした有機性土壌改良材を用いたことによって、有機物量の基準が満たされ、クリンカアッシュの作用と相まって、透水性が向上する。 【0027】請求項2は、請求項1記載の国頭マージ:クリンカアッシュ=6〜7:4〜3の割合の土壌1m3 当たり、前記有機肥料100〜120kg、前記ヤシがら土壌改良材40〜60kgを加えて攪拌混合してなる土壌である。 【0028】このような割合で混合されていることにより、有機物量や透水性その他の項目の基準を十分に満たすことができ、従来の植栽用土壌の欠点を確実に解決できる。 【0029】 【発明の実施の形態】次に本発明による土壌が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。本発明による土壌は、まず国頭マージ:クリンカアッシュ=6〜7:4〜3の割合で攪拌混合する。次に、こうして混合した土壌1m3 当たりソイルエース100〜120kg、ココピート40〜60kg、合計160kgとなるように加えて、攪拌混合を行う。合計160kgとする理由は、沖縄県では、有機性改良材を土壌1m3 あたり160kg混合する、と指導しているためである。 【0030】国頭マージは、前記のとおりであるが、国頭マージとほぼ同様な性質の土壌であれば、これに限定されない。 【0031】石炭灰は石炭火力発電所で微粉炭を燃焼した後、ボイラ底部で回収されるクリンカアッシュと、電気集塵装置で集められたフライアッシュとがあり、発生箇所別にこの二つに大別される。本発明では、産業廃棄物のクリンカアッシュを用いるので、資源の有効利用にも寄与できる。 【0032】燃焼残渣であるクリンカアッシュは、外見上は砂と類似していて、表面に無数の細孔が開いている。そのため、砂と比較して、優れた保水性能と同等の透水性能を持ち合わせている。化学成分組成は、炭種の違いにより多少の差異は認められるが、主な化学成分は、シリカ、アルミナで全体の70〜80%を占め、一般土壌成分とほぼ同じである。 【0033】ソイルエースとは、株式会社沖縄有機の商品名で、下水汚泥や家畜糞尿混合物を微生物の好気性発酵作用を利用した処理によって完熟した有機肥料である。 【0034】ココピートは、SMCD CO;LTDの商品名である。ココナッツの果実の堅い殻を作るファイバー状の層でマットやロープを作る為に取られた繊維の残り物を5年間堆積、発酵させたもので、天然の再生可能資源を利用した土壌改良材である。 【0035】このような原料を用いて、国頭マージ:クリンカアッシュ=6〜7:4〜3の割合で攪拌混合する。そして、このように混合した土壌1m3 当たりソイルエース120kg、ココピート40kgの計160kgを加え、攪拌混合を行う。 【0036】この実施例における諸特性の測定結果を表に示す。国頭マージとクリンカアッシュとの混合割合が6:4の場合を表3に、7:3の場合を表4に示す。なお、表3、4とも、ソイルエースを120kg、ココピートを40kg混ぜてある。 【0037】 【表3】
【0038】 【表4】
【0039】従来の土壌改良の方法で作られた表2の植栽用土と比較すると明らかなように、実施例の土壌は、透水性において優れており、特に重要な有機物量は2倍以上の値を示している。有機物は地力維持には欠かせないもので、その施用は、(1)土の通気性や透水性を改善し、保肥力を高める物理性改善効果、(2)分解に伴う養分供給の化学性改善効果、(3)土壌病害を軽減するなどの微生物性改善効果等がいわれている。 【0040】表2、表3からも明らかなように、国頭マージとクリンカアッシュとの混合割合が6:4の場合も7:3の場合も、各項目の基準を満たしているので、国頭マージ:クリンカアッシュ=6〜7:4〜3の範囲であれば、良好な土壌といえる。この範囲から外れると、いずれかの項目が基準を満たせなくなる恐れがる。 【0041】また、従来の土壌は、有機肥料であるソイルエースのみを160kg配合していたにも係わらず、有機物量は基準の半分以下であったのに対し、本発明のように、ソイルエースを120kgに減らして、代わりにココピートを40kg加えたことによって、基準を満たすことができた。しかしながら、ヤシがら土壌改良材は高価なため、コストを考慮すると、ヤシがら土壌改良材は40〜60kg程度が限度である。 【0042】植物の根系が伸長するために必要な空気、水分、養分を供給できる条件が生育基盤である植栽地の土壌で満足されていることによって植物の良好な生育が期待できる。これらのことを踏まえると、本発明の土壌は、従来の植栽用土と比較して、植物が良好に生育すると期待できる。 【0043】以上のように、本発明によると、従来沖縄県内の公共工事で用いられている混合比によって作られた土壌より良好で、なおかつ沖縄県や沖縄総合事務局の植栽土壌良否基準を満たす良好な植栽用土に改良することが出来た。 【0044】沖縄県は島嶼県でセラミックス資源に乏しいことに配慮し、従来の土壌改良の方法で用いる砂を利用しない。また、今回の混合方法は混合比によっては原土を約1割まで節約することもできる。 【0045】土壌に有害性物質が存在しているかが問題となる。土壌は水、大気とともに環境の重要な構成要素であって、人をはじめとする生物の生存の基盤として、また、物質循環の要として重要な役割を担っている。しかし、土壌は水、大気と比べその組成が複雑で有害物質に対する反応も多様であり、いったん汚染されると、その影響が長期にわたり持続する蓄積性の汚染となる等土壌の汚染の態様は水や大気とは異なる特徴を有している。 【0046】このような環境としての土壌の役割や土壌の汚染の様態を踏まえ、公害対策基本法(昭和42年法律第132号)第9条第1項に基づき、土壌の汚染につき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持することが望ましい基準として、土壌の汚染に係わる環境基準として、(以下「土壌環境基準」という。)が平成3年8月23日付け環境庁告示第46号をもって告示された。そして、平成6年2月21日付け環境庁告示第25号をもって改正された。 【0047】産業廃棄物の有効利用の際、最も重要な点は、有害性物質の有無と考えられる。よって本発明によって混合された土壌を上記の土壌環境基準に照らして溶出試験を行い、安全性を確認する必要がある。 【0048】溶出試験の結果、全ての項目について土壌環境基準値を下まわるまたは不検出で、本発明の土壌は植栽土壌として無害で、安全といえる。 【0049】 【発明の効果】請求項1によると、国頭マージとクリンカアッシュと有機肥料とヤシがら土壌改良材とを含んでいるため、従来の土壌改良の方法で作られた植栽用土と比較して、特に重要とされている有機物量が十分で、しかも他の各項目の基準も満たした良質の土壌を実現できる。 【0050】有機肥料としては、有機性廃棄物をコンポスト化して得られる完熟堆肥を用いるので、安価に供給できる。さらに、ヤシがらを原料とした有機性土壌改良材を用いたことによって、有機物量の基準が満たされ、クリンカアッシュの作用と相まって、透水性が向上する。 【0051】請求項2のように、国頭マージ:クリンカアッシュ=6〜7:4〜3の割合の土壌1m3 当たり、前記有機肥料100〜120kg、前記ヤシがら土壌改良材40〜60kgを加えて攪拌混合した土壌は、有機物量や透水性その他の項目の基準を十分に満たすことができ、従来の植栽用土壌の欠点を確実に解決できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】599009293 【氏名又は名称】株式会社琉商造園土木
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| 【出願日】 |
平成10年12月30日(1998.12.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100076082 【弁理士】 【氏名又は名称】福島 康文
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| 【公開番号】 |
特開2000−188945(P2000−188945A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月11日(2000.7.11) |
| 【出願番号】 |
特願平10−377073 |
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