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【発明の名称】 高設栽培施設、この建設方法、並びに敷設シ―ト
【発明者】 【氏名】中村 裕之

【要約】 【課題】いちごなどの栽培ベッドを地上適宜高さに設置する高設栽培用の施設の建設において、支柱を正確な位置に容易に打ち込むことができ、支柱のレべル調整も容易に行なうことができるようにする。

【解決手段】適宜幅を有する長尺なシート体又はマット体であって、各支柱を打ち込む位置に穴2A,2A・・を設けてなる敷設シート2を用意し、先ず、この敷設シート2を地面に敷き、次いで各支柱3を敷設シート2の穴2Aを通して地面に打ち込むこととした。これにより、敷設シート2を地面に敷くだけで正確な位置にしかも容易に支柱3、3・・を打ち込むことができる。更に、支柱下端部分を所定幅に渡り防錆処理してこの部分の色を他の部分の色と異ならせしめ、この変色部分を支柱を地面に打ち込む際のレベル目安として支柱のレべル調整を容易に行なうことができるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支柱を地面に打ち込んで立設し、かかる支柱を基礎として架台を組み立ててなる構成を有する高設栽培施設の建設方法において、適宜幅を有する長尺なシート体又はマット体であって、各支柱を打ち込む位置に穴を設けてなる構成を有する敷設シートを地面に敷き、次いで各支柱を前記敷設シートの穴を通して地面に打ち込むことを特徴とする高設栽培施設の建設方法。
【請求項2】 下端部分を所定幅に渡り防錆処理してかかる防錆処理部分の色を他の部分の色と異ならせしめた支柱を用い、かかる防錆処理部分を支柱を地面に打ち込む際のレベル目安とすることを特徴とする請求項1に記載の高設栽培施設の建設方法。
【請求項3】 適宜幅を有する長尺なシート体又はマット体であって、各支柱を地面に打ち込む位置に穴を設けてなる構成を有する敷設シートを地面に敷設し、この敷設シートの穴を通して支柱を地面に打ち込んで立設し、かかる支柱を基礎として架台を組み立ててなる構成を有する高設栽培施設。
【請求項4】 上記敷設シートが、防草効果を有している請求項3に記載の高設栽培施設。
【請求項5】 適宜幅を有する長尺なシート体又はマット体であって、各支柱を地面に打ち込む位置に穴を設けてなる構成を有する敷設シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜や、いちごなどの果物、或いは花その他植物の栽培ベッドを地上から適宜高さに設置して植物を育成するいわゆる高設栽培用の施設、これの建設方法、並びにこれら施設及び建設方法に好適に使用することができる敷設シートに関する。
【0002】
【従来の技術】いちごなどの軟弱野菜の栽培では日常の手入れや収穫時等にしゃがみこんで作業するため腰や首、肩への負担が大きく、ここ数年、栽培農家での腰痛、肩凝り等の慢性病が問題視されてきた。そこでその解決策の一つとして提案されたのがいわゆる高設栽培法である。この栽培法は、地上から適宜高さに栽培ベッドを配設し、培養土を使っていちごなどの軟弱野菜を栽培する方法であり、日常の手入れや収穫時の作業などを立ったままで行うことができ、作業者の負担を大幅に軽減することができる。
【0003】この種の高設栽培施設としては、例えば実開平6−75128号に、各脚部材の下端部を地中に埋め込んで脚部材を対向する2列に配設し、各列における脚部材間にフィルム保持パイプを掛け渡し、フィルム保持パイプ間にプラスチックシートからなる基材を断面U字状に張設して培養土充填用凹部を形成する構成のものが開示されている。このように、従来の高設栽培施設用架台は、栽培ベッドを支える脚部材(支柱)を地中に打ち込み、この脚部材(支柱)を基礎としてこれにバンド金具(特開昭58165722号公報参照)などを使ってフィルム保持パイプを連結して架台を組み立てる構成のものが一般的であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の高設栽培施設のベッド長は60mにも達し、脚部材(支柱)の本数も極めて多いため、各脚部材(支柱)の打ち込み位置を一々計測し、計測した位置を地面に標示し、そしてその位置に正確に脚部材(支柱)を打ち込む作業にはかなりの労力と時間が必要であった。また、脚部材(支柱)の本数が極めて多いため、支柱間のレベルを調整するのにも多大な労力が必要であった。
【0005】そこで本発明は、上記問題点を解決するため、極めて多くの脚部材(支柱)を地面に打ち込んで建設する高設栽培施設においてであっても、脚部材(支柱)を正確な位置に容易に打ち込むことができ、更には支柱のレべル調整も容易に行なうことができる高設栽培用の施設、これの建設方法、並びにこれらに好適に使用することができる敷設シートを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題解決のため、本発明は、支柱を地面に打ち込んで立設し、かかる支柱を基礎として架台を組み立ててなる構成を有する高設栽培施設の建設方法において、適宜幅を有する長尺なシート体又はマット体であって、各支柱を打ち込む位置に穴を設けてなる構成を有する敷設シートを地面に敷き、次いで各支柱を前記敷設シートの穴を通して地面に打ち込むこととした。この建設方法によれば、敷設シートを地面に敷くだけで、支柱を打ち込む位置を一々計測し、計測した位置を地面に標示する作業を省くことができ、しかも正確な位置に支柱を打ち込むことができる。
【0007】上記の高設栽培施設の建設方法において、下端部分を所定幅に渡り防錆処理してかかる防錆処理部分の色を他の部分の色と異ならせしめた支柱を用い、かかる防錆処理部分を支柱を地面に打ち込む際のレベル目安とするのが好ましい。このように支柱の下端部分を防錆処理して変色させておけば、地中に埋め込まれる部分の錆を防止することができるばかりか、かかる部分が支柱を地面に打ち込む際のレベル目安となるから、正確かつ容易に各支柱のレベル調整を行なうことができる。
【0008】上記建設方法によれば、適宜幅を有する長尺なシート体又はマット体であって、各支柱を地面に打ち込む位置に穴を設けてなる構成を有する敷設シートを地面に敷設し、この敷設シートの穴を通して支柱を地面に打ち込んで立設し、かかる支柱を基礎として架台を組み立ててなる構成を有する高設栽培施設を建設することができる。この場合、上記の敷設シートには防草効果を付与しておくのが好ましい。架台の下側地面は特に防草作業がしづらい部分であるが、防草シートを敷設すればそれだけでこの部分の草の発生を防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を実施例に基づいて説明する。
【0010】本例では、図1に示す高設栽培施設構築用の架台1を、敷設シート2を用いて建設する方法及びその構造について説明する。
【0011】先ず、架台1及び敷設シート2のそれぞれの構成について説明する。架台1は、図1に示すように、少なくとも、複数の支柱3、3・・と、シート保持棒4、4と、ベッド支持棒5、5とを有してなっており、支柱3、3・・を地面に打ち込んで長手方向に所定間隔をおいて立設し、これら支柱3、3・・上にシート保持棒4、4及びベッド支持棒5、5を取り付けるようにしてユニット式に組み立てることができ、図4に示すように、シート保持棒4、4間に基材シート6を断面U字状に掛け渡して培養土充填凹部7を形成し、この培養土充填凹部7内に培養土8を充填して栽培ベッド10を形成することによって栽培ベッド10を地上適宜高さに配設することができる構成となっている。
【0012】ここで、上記支柱3は、長尺な2本のパイプを適宜間隔をおいて並べ、これらパイプ間に一本の棒状部材を掛け渡しパイプと棒状部材とを溶接などの手段で固着するなどして、図3に示すように、立設する2本の支柱部3a,3a間を水平に配設された横棒3bで連結してH型状に形成してある。また、支柱部3aの下端の適宜長さ幅部分(例えば15cm〜35cm幅)は、例えばタールや樹脂を塗布するなどして防錆加工を施し、支柱3を地面に打ち込む際のレベル目安となるように、この防錆部分3cの色を支柱部3aの他の部分の色と異ならせしめてある。
【0013】シート保持棒4は、長尺パイプの下面部に長手方向に所定間隔をもって円柱部材を溶接などの手段によって固着するなどして、長尺な棒状部材4aの長手方向に上記支柱支持部2dと同間隔をおいて垂直下方に適宜長さ突出した支柱連結部4b,4b・・を設けると共に、棒状部材4aの長手方向一側端部に長手方向に適宜長さ突出したシート保持棒連結部4cを設けて形成してある。また、ベッド支持棒5は、栽培ベッド10の底部を支持するためのものであり、長尺な棒状部材、例えば長尺パイプ若しくは一側端部の適宜幅をかしめて小径部としたパイプを複数本連結して長尺としてなるパイプから形成してある。
【0014】次に、敷設シート2は、図1、図2及び図5(A)に示すように、少なくとも支柱部3a,3a間の幅よりも広い短手幅を有する長尺な(例えば10mから60m)シート体又はマット体であって、支柱部3a,3a・・・を打ち込む位置、すなわち短手方向においては同一の支柱3における支柱部3a,3a間の幅H(例えば20cm〜40cm)だけ間隔をおき、長手方向においては隣接する支柱3、3間の幅L(例えば1m〜3m)だけ間隔をおいて長手方向に2列に穴2A,2A・・を設けて形成してある。
【0015】この敷設シート2の素材は、特に限定するものではないが、架台1を建設した後も引き続き敷設する場合には、防草効果を有しているのが好ましい。この防草効果を有するシート又はマットの構造は、例えば特開昭49−117224号、特開平8−289674号、特開平9−67571号、特開平9−67571号、特開平9−135638号などにおいて開示されている構造の如く形成されたものでも、或いはその他現在公知の他の構造の如く形成されたものでも構わない。穴2Aは、支柱部3aの径よりも大きく形成することが必要であるが、大き過ぎると支柱部3aの打ち込み位置を正確に規制することができなくなるため、支柱部3aの径と略同じか、或いは一回り大きい程度の径に形成するのが好ましい。
【0016】次に、上記構成の架台1を、上記敷設シート2を用いて建設する方法及びその構造について説明する。
【0017】予め架台1を建設する予定地面を整地しておき、先ずは、図2に示すように、架台1の建設予定地面に敷設シート2を敷く。この時、敷設シート2に皺等が寄って穴2A、2A・・の位置がずれることのないようにピンと張った状態に敷き、必要に応じて適宜縁部を地面に固定するのが好ましい。
【0018】次いで、図1〜図3に示すように、支柱部3aの下端部を敷設シート2の穴2Aを通して地面に突き刺し、図3に示すように、その防錆部分3cが若干地上に出るか或いは丁度地中に隠れるかするように、すなわち防錆部分3cの上端部を地表面から所定幅だけ高くするか或いは防錆部分3cの上端部と地表面とが一致するように打ち込んで支柱3、3・・を順次立設し、必要に応じて支柱3、3・・のレベル調整をする。
【0019】次に、各支柱3の支柱部3a上端部とシート保持棒4の支柱連結部4bとを嵌合させて支柱3、3、・・上にシート保持棒4を固定配設すると共に、ベッド支持棒5、5を支柱3の横棒3b上に適宜間隔をおいて平行に並べて配設し、ベッド支持棒5と横棒3bとの交差部を針金やバンドその他の治具で結着して固定することにより架台1を組み立てればよい。
【0020】このように高設栽培施設構築用の架台1を建設すれば、敷設シート2を地面に敷くだけで、支柱部3aを打ち込む位置を一々計測し、計測した位置を地面に標示していたのと同じ効果を得ることができるから、支柱3の打ち込みを正確かつより容易に行なうことができる。しかも、上記架台1においては、支柱部3aの下端にレベルの目安となる防錆部分3cを形成してあるから、多数の支柱部3a、3a・・を地面に打ち込む場合であっても正確かつ容易にレベル調整を行なうことができる。
【0021】さらに、上記の如き構成の架台1によれば、支柱3、シート保持棒4及びベッド支持棒5をそれぞれ別々に製造し、それぞれ別々に(組み立てないで)グリーンハウス内等の設置現場に搬入し、設置現場において組み立てて設置することができるばかりか、ユニット式に組立可能であるから、ベッド長60mの高設栽培施設を形成する場合であっても、例えば長さ6mの架台1を長手方向に10個連結して60mの高設栽培施設を組み立てることができるから、従来に比べて現場での設置作業にかかる労力、時間及び建設コストをかなり顕著に低減することができる。
【0022】また、シート保持棒4は支柱3に対して着脱可能に取り付けられるから、使用済の栽培ベッド10をシート保持棒4、4間に吊架した状態で支柱3から取り外すことができ、更に、シート保持棒4、4間に基材シート6を断面U字状に掛け渡して培養土充填凹部7を形成し、かかる培養土充填凹部7に培養土8を充填してなる栽培ベッド10Aをそのまま取り付けることができる。すなわち、シート保持棒4、4間に吊架した状態で栽培ベッドの交換を行うことができるから、例えば基材シート6を交換する際、或いは一つの野菜の収穫が終わり別の野菜の栽培を行うために栽培ベッドの交換する際、いちいち培養土の出し入れをする必要がなく簡単にこれらの交換作業を行うことができる。この交換作業においては、新たなる栽培ベッド10Aの培養土8中に灌水用乃至加温用のパイプ11を埋設しておくことも、予め苗を植えておくこともできる。
【0023】地面に敷設した敷設シート2は、図4に示すように、架台1を建設した後も引き続き敷設することができ、特に防草効果を有する敷設シート2をそのまま引き続き敷設することにより、除草作業のしづらい架台1の下側の地面に草が生えるのを防止することができる。他方、架台1を建設した後に取り除くこともできる。この場合は、図5(B)に示すように、敷設シート2において各穴2Aから短手方向端部に渡りスリット2Bを形成し、このスリット2Bを通して支柱部3aを抜き出すように形成することもできる。
【0024】なお、上記の建設方法において、架台1の構成は必ずしも上記の如き構成に限定されるものではない。支柱3は、架台1の安定性及び栽培ベッドの支持の点でH型状のものが好ましいが、1本の支柱からなるI型状のものでもよいし、栽培ベッド10の重量及び基材シート6の耐久性等によっては、シート保持棒4、4間に基材シート6をいわゆるハンモック状に掛け渡すだけで充分栽培ベッド10を支持することができる場合もあり、この場合にはベッド支持棒5は必ずしも必要ではない。また、架台1をより安定させるためには、隣接する支柱3、3における支柱部3a,3a間、若しくは同一支柱3における支柱部3a,3a間に斜めに筋交いを配設し横揺れを防止するのが好ましい。
【0025】本発明は、上述のように培養土栽培用の高設栽培施設やそのための架台に限定されるものではなく、養液栽培用の施設やそのための架台にも適用することができる。
【出願人】 【識別番号】391057889
【氏名又は名称】株式会社アグリス
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100072084
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三郎 (外1名)
【公開番号】 特開2000−188943(P2000−188943A)
【公開日】 平成12年7月11日(2000.7.11)
【出願番号】 特願平10−369654