トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 緑化植生袋体および浅水域法面の緑化植生保護工法
【発明者】 【氏名】矢作 智之

【氏名】後藤 修

【氏名】宮木 英昭

【氏名】安住 欣哉

【要約】 【課題】比較的簡単な設備と工法とにより河川,ダム湖等の浅水域法面の緑化植生保護工を行いうる緑化植生袋体とそれを用いた保護工法とを提供すること。

【解決手段】合成樹脂線条のごとく高強度の紐条体で粗目に形成した函形主体内に、バックホウで湿生植物,抽水植物等の根茎類の混在する土壌を投入,充填し、その上層に植物の種子の混在する腐食性の繊維マットを配設して形成した緑化植生袋体を、根茎,種子が発芽し、所定の生長度合となるまで養生したのち、クローラクレーン等で予め地盤整備の完工した浅水域法面に列設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】合成樹脂線条や合成繊維糸条で代表されるごとき高強度の紐条体で粗目に構成された布帛により、上面が開口部とされた函形に形成された函形主体内に、多年性の湿生植物,抽水植物等の主として草本の発芽可能な根茎類を多数包含する土壌が前記開口部直近位置まで充填され、前記充填された土壌の上層には多数の植物種子を混在させられ、かつ腐食性を有する繊維を少なくとも構成繊維の一部として包含させられた繊維マットが配設されている緑化植生袋体。
【請求項2】粗目の函形主体の底壁および周壁の内面に水は透過させるものの、土砂粒の通過は阻止できるシート体が張設されている請求項1記載の緑化植生袋体。
【請求項3】繊維マットの少なくとも上面が、函形主体を形成している布帛より開口度合が大きく、腐食性を有する繊維を少なくとも構成繊維の一部として包含する粗目のネットで被覆されている請求項1または請求項2記載の緑化植生袋体。
【請求項4】函形主体内に充填された土壌の上層に配設された繊維マットが、函形主体の開口部周縁に連続する掩蓋片で被覆,掩蔽され、該掩蓋片同士の結合で固定されており、掩蓋片で被覆,掩蔽された開口部の少なくとも長手方向両側には、被吊持部が形成されている請求項1,請求項2または請求項3記載の緑化植生袋体。
【請求項5】函形主体の開口部周縁に連続する掩蓋片が、函形主体を形成している布帛より開口度合が大きな粗目の布帛で形成されている請求項4記載の緑化植生袋体。
【請求項6】函形主体の開口部周縁に連続する掩蓋片が、函形主体を形成している布帛とは異なる繊維を混織した布帛であり、この布帛の構成繊維の一部が、腐食性の繊維である請求項4または請求項5記載の緑化植生袋体。
【請求項7】合成樹脂線条や合成樹脂糸条に代表されるごとき高強度の紐条体で粗目に構成された布帛よりなる函形主体内に、多年性の湿生植物,抽水植物等の、主として草本類の発芽可能な根茎類を多数包含する土壌を、函形主体の開口部から投入,充填し、充填した土壌の上層に、多数の植物種子を混在させられ、かつ少なくとも構成繊維の一部として腐食性を有する繊維を包含させられた繊維マットを配設して緑化植生袋体を形成し、根茎類および植物種子が発芽し、所定生長段階となるまで緑化植生袋体を養生し、前記養生期間中に、河岸,海岸等の浅水域の法面保護工施工現場の地盤整備を行い、地盤整備の完工した浅水域の法面保護工施工現場に前記養生された緑化植生袋体を列設することを特徴とする浅水域法面の緑化植生保護工法。
【請求項8】 草本類の発芽可能な根茎類を多数包含する土壌を函形主体内へ投入,充填するに先立ち、該函形主体を、剛性の大きな型枠内に配置したのち土壌の投入,充填を行い、土壌の上層に配置された繊維マットを、函形主体の開口部周縁に連続し、かつ函形主体の布帛より開口度合が大きな粗目とされた掩蓋片で被覆,掩蔽し、該掩蓋片同士の結合によって固定したのち、土壌の充填されている函形主体を型枠内より取り出し、養生させる請求項7記載の浅水域法面の緑化植生保護工法。
【請求項9】緑化植生袋体の長さ方向を、河道の中心線と直交する方向と、波面法線方向とのいずれか一方向と概ね合致させて列設する請求項7または請求項8記載の浅水域法面の緑化植生保護工法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、河川,湖沼,ダム湖,感潮河川あるいは海岸等における浅水域の法面を、水中から高水敷にわたって、湿生植物や抽水植物等の主として草本類を植生させ、該法面を保護する際に使用する緑化植生袋体と、この袋体を利用する浅水域法面の緑化植生保護工法との改良に関する。なお、本発明では、深さ1m程度の水中に達する法先部分から高水敷に至る法面を浅水域の法面と指称することとする。
【0002】
【従来の技術】浅水域法面の緑化工法としては、既に特開平8ー199528号公報、特開平9ー88038号公報あるいは特開平9ー287146号公報等に開示された緑化護岸材とその工法とが提案されている。
【0003】前記特開平8ー199528号公報に開示されている緑化護岸材と工法とは、太いポリエチレン系の編地で成形した袋体の分散した複数箇所に接合部を形成し、接合部間を土壌の通路とした一連の袋体を河川の法面の河床部から陸上部に至る間に展設し、該袋体内へ各部に適した種子、苗、球根等を含む土壌を順次注入するという構造,工法のものであり、扁平で広面積の緑化護岸材の展設,固定は、水中作業を伴うため、作業の困難が大であると共に、緑化護岸材内への土壌の注入には、大規模なポンプ圧入装置を施工現場に設置しなければならない等の問題を有し、さらには緑化護岸材内の土壌の発芽,生長状態が、完工後でなければ確認できない問題も有している。
【0004】また特開平9ー88038号公報に開示されている緑化護岸材と緑化工法とは、布帛製の長い二重の筒状袋体内に、1端から土壌と種子,茎葉部,根株等の混合物を充填して形成した可撓性護岸材の複数本を基布に列設して護岸材ユニットとし、これを河床部から陸上部に至る間に展設する構造,工法のものであり、前記特開平8ー199528号公報に開示されているものと全く同様の問題点を有している。
【0005】特開平9ー287146号公報に開示されている緑化用フトンかごと緑化工法とは、金網製の函状のかごの前面に通芽可能なシート状体を設け、内部に詰石したかご体を階段状に積み重ね、石詰めの隙間に湿式吹付法で有機土壌に種子や肥料を混合した植生材料を吹き付けるという構造,工法のものであり、浅水域の法面における水中から高水敷までの間の緑化は不可能であるのみでなく、大規模な装置を必要とするという問題点を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の緑化資材と緑化工法との有する問題点に鑑み、本発明は、河川,湖沼,ダム湖,感潮河川あるいは海岸等における浅水域の法面における水中から高水敷にわたる区間に、必要とされる湿生植物や抽水植物等の主として草本類が既に所定の生長段階に達している緑化植生袋体を列設するのみで緑化作業が完結し、しかも施工現場で、バックホウによる土壌の充填、クローラクレーン等による吊り上げ、敷設という比較的簡単な装置の使用のみで緑化工事を完結できる緑化植生袋体と緑化植生保護工法とを提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、請求項1の発明では、緑化植生袋体の函形主体を、合成樹脂線条や合成繊維糸条に代表されるごとき高強度の紐条体で粗目に構成された布帛により、上面が開口された函形に形成し、その内部に多年性の湿生植物とか抽水植物等の主として草本の発芽可能な根茎を多数包含する土壌を充填し、その上層に多数の植物種子の混在させられ、かつ腐食性を有する繊維を構成繊維の少なくとも一部として包含する繊維マットを配設するという構成とした。
【0008】請求項2の発明では、請求項1発明に、函形主体の底壁,周壁の内面に水は透過させるものの、土砂粒の通過は阻止できるシート体を張設するという構成を付加した。
【0009】請求項3の発明では、請求項1または請求項2の発明に、繊維マットの少なくとも上面が、函形主体を形成している布帛より開口度合が大きく、かつ腐食性を有する繊維を少なくとも構成繊維の一部として包含する粗目のネットで被覆するという構成を付加した。
【0010】請求項4の発明では請求項1,請求項2または請求項3の発明に、土壌の上層に配設されている繊維マットを、函形主体の開口部周縁に連続する掩蓋片で被覆,掩蔽し、掩蓋片同士の結合によって固定すると共に、掩蓋片で被覆,掩蔽された開口部の少なくとも長手方向両側に被吊持部を形成するという構成を付加した。
【0011】請求項5の発明では、請求項4の発明に、掩蓋片を、函形主体を形成している布帛より開口度合が大きな粗目布帛で形成するという構成を付加した。
【0012】請求項6の発明では、請求項4または請求項5の発明に、函形主体の開口部周縁に連続する掩蓋片が、函形主体を形成している布帛とは異なる繊維を混織した布帛であり、この布帛の構成繊維の一部が腐食性の繊維であるという構成を付加した。
【0013】請求項7の発明では、浅水域法面の緑化植生保護工法を、高強度の紐条体で粗目に構成された布帛よりなる函形主体内に、多年性の湿生植物,抽水植物等の主として草本類の発芽可能な根茎類を多数包含する土壌を、開口部から投入,充填する第1工程と、充填した土壌の上層に多数の植物種子を混在させられ、かつ少なくとも構成繊維の一部として腐食性を有する繊維を包含させられた繊維マットを配設して緑化植生袋体を形成する第2工程と、根茎類および植物種子が発芽し、所定生長段階まで緑化植生袋体を養生する第3工程と、前記養生期間中に河岸,海岸等の浅水域の法面保護工施工現場の地盤整備を行う工程と、地盤整備の完工した浅水域の法面保護工施工現場に、第3工程で養生された緑化植生袋体を列設する第4工程で完工する構成とした。
【0014】請求項8の発明では、請求項7の発明に、函形主体への土壌の投入,充填に先立って、函形主体を剛性の大きな型枠内に配置して土壌の投入,充填を行い、土壌の上層に配置した繊維マットを、函形主体の開口部周縁に連続し、かつ函形主体の布帛より開口度合が大きな粗目の掩蓋片で被覆,掩蔽し、該掩蓋片同士の結合によって固定したのち、前記型枠から土壌の充填された函形主体を取り出し、養生させるという工程を付加した。
【0015】請求項9の発明では、請求項7または請求項8の発明に、緑化植生袋体の長手方向を河道の中心線と直交する方向と、波法面線方向とのいずれか一方向と概ね合致させて列設するという工程を付加した。
【0016】
【発明の実施の形態】図1ないし図6は、請求項1ないし請求項6の各発明を併せ適用した実施の一例を示しており、緑化植生袋体1は、図2および図3に示される函形主体2で外郭体を形成されており、この函形主体2は、合成樹脂線条や合成繊維糸条で代表されるごとき高強度の紐条体、例えば高強度のポリエステル線条または繊維の合撚糸等で織成または編成されたり、同樹脂の押し出し成形された粗目3のネット体で、図示例では、L方向たる長手方向に長い函形状、図示例では、長さ3m、高さ0.5m、幅0.6mの直六面体形状とされ、粗目3の目合いは4mmとされているが、この形状,寸法に限定されるものではない。また函形主体2の形状は、直六面体形状に限定されるものではなく、袋形状,円筒形状等の設計上必要とされる任意の形状としうることは勿論であると共に、紐条体の材質も必要とされる強度さえ保有できれば、合成樹脂線条や合成繊維糸条に限定されるものではない。
【0017】函形主体2の前後および左右両側の周壁4,5,6,7の開口部周縁8には、掩蓋片9,10,11,12が縫接等の手段で連続されており、各掩蓋片9,10,11,12は、函形主体2と同一材料で、函形主体2のネット体の粗目3より開口度合の大きい粗目13のネット体で形成されており、図示実施例の場合、粗目13の目合いは20mmとされているが、この寸法に限定されるものではない。
【0018】掩蓋片9,10,11,12は、函形主体2を形成している布帛の繊維と、これと異なる繊維との混織、または函形主体を形成している布帛の繊維とは異別の複数の繊維の混織によって形成された布帛が採用されることがあり、該掩蓋片9,10,11,12を形成している布帛の構成繊維の一部は、腐食性の繊維とされる。
【0019】前記各掩蓋片9〜12は、面ファスナー、結紐その他の任意の結合具14で、図1に示すごとく開口部15を掩蔽したうえで互いに結合され、また函形主体2の左右の周壁6,7等に結合されている。
【0020】函形主体2の底壁16および前記周壁4,5,6,7の内面には、合成樹脂繊維の不織布のごとく、水は透過させるものの土砂粒の通過は阻止できるシート体17が、接着,結着等の手段で張設されている。
【0021】函形主体2の開口部15の外側、すなわち掩蓋片9,10,11,12が連続させられている周壁4〜7の上部外側のうち、少なくとも長手方向の周壁4,5の上部外側には、被吊持部18,19が形成されている。図1ないし図7に示される実施例の被吊持部18,19は、函形主体2の周壁4,5の上縁を輪奈状に折曲し、縫合して形成したパイプ状部20,21とされているが、かかる構造に限定されるものではない。
【0022】前記被吊持部18,19としては、図10,図11に示す第2の実施例のごとく、長手方向の周壁22,23の外側と底壁24の外側辺側との間に、ジグザグ状に縫着したバンド帯25の上部の輪奈状の折り返し部26を被吊持部27としてもよい。
【0023】函形主体2内には、後述するごとく、多年性の湿生植物,抽水植物等の主として草本の発芽可能な根茎類を多数包含する土壌28が図6に示すごとく充填されるが、充填された土壌28の上層29には、多数の植物種子を混在させられ、かつ少なくとも構成繊維の一部として腐食性を有する繊維を包含する繊維マット30が配設されている。
【0024】繊維マット30は、図4,図5の実施例では、腐食性のある繊維群のみの単純な積層体であるマット部31と、その上下両面に重ねられた粗目32のネット部33とで構成されており、マット部31としては、例えばジュートのごとき天然繊維のごとく吸湿性,放湿性,通気性,耐久性,耐熱性に優れ、空気中でも水中でも数カ月から1年未満の時間経過で腐食が進行する材質のものが好ましく、ネット部33も、同種の繊維糸条で粗目32の目合いが20〜50mmのものが使用される。なお、ネット部33はマット部31の上面にのみ重ねられてもよい。
【0025】前記ネット部33の内部には、施工現場の気候,風土,河川,湖沼等の浅水域の生態等に適応した主として多年草本類の多数の種子が混在させられている。
【0026】マット部31およびネット部33を構成する繊維の種類としては、バクテリヤの作用あるいは紫外線の作用で腐食の進行する合成繊維でもよく、また腐食性の繊維が、非腐食性か腐食に長日時を要する繊維中に、マット部構成繊維の一部として混在させられた繊維マットでもよく、目合いの寸法も前記寸法に限定されるものではない。
【0027】図6に示されるごとく、土壌28が充填され、その上層に繊維マット30が配設されたのち、函形主体2の開口部周縁8に連続されている掩蓋片9,10,11,12は、図1に示されるごとく、折り重ねられ、結合具14で結合されて前記繊維マット30が被覆,掩蔽されて固定されることにより被吊持部18,19が長手方向の周壁4,5の上部外側に位置した緑化植生袋体1が完成される。
【0028】図1に示される緑化植生袋体1は、請求項7および請求項8の発明によって製造され、請求項9の発明によって、浅水域法面の緑化植生保護に使用される。
【0029】図6は、請求項7および請求項8の両発明を併せ適用した緑化植生袋体1を示しており、第1工程における土壌28の充填に先立ち、使用する函形主体2の外形寸法に対応する形状に構造した金属等の剛性の大きな型枠34内に函形主体2を配置し、掩蓋片9,10,11,12を外側に垂下させ、開口部15を全開させておく。
【0030】次いで第1工程として、緑化植生保護工施工現場の、湿生植物,抽水植物等の草本類の発芽可能な根茎類を多数包含する土壌を、バックホウ等を利用して掘り採り、開口部15から函形主体2内へ投入し、充填する。この充填される土壌は施工現場の土壌が好ましいが、必ずしも当該土壌に限定されるものではない。
【0031】続いて第2工程として、予め工場作業として生産されたところの、多数の植物種子を混在させられた繊維マット30を、土壌28の上層29に配設し、掩蓋片9,10,11,12により被覆,掩蔽し、固定し、緑化植生袋体1とする。
【0032】次ぎに第3工程として、所定数生産された前記緑化植生袋体1を、法面保護工施工現場近傍の養生エリアに整列配置し、繊維マット30内の種子と土壌28内の根茎類とが発芽し、所定生長段階になるまでの期間養生する。
【0033】前記養生期間の終了するまでの間に、図9に一例として略示したごとく、施工現場の地盤35と、必要に応じて法先36との地盤整備を完工しておく。
【0034】次いで第4工程として、図7に示すごとく、前記養生の完了した緑化植生袋体1の被吊持部18,19に図示例では金属パイプ37A,37Bを挿通すると共に、該パイプの引抜側に、金属パイプ37Cを横架,固定し、クレーンフック装置38のオートマチックフック38Aを金属パイプ37Aの突出端37Dに掛け、フック38Bを前記引抜側の金属パイプ37Aと37Cとに掛けて吊り上げる。図示例ではワイヤロープで形成した輪奈38C,38Dを使用し、輪奈38Cの一端38Eは、オートマチックフック38Aに固定してあるが、かかる使用態様に限定されるものではない。
【0035】吊り上げられた緑化植生袋体1は、図8に示すごとく、施工面39に吊り下げ、列設する。この際、前記オートマチックフック38Aは、緑化植生袋体1が施工面39に接し、負荷が無くなると、フック部が図8に示されるごとく回動変位し、輪奈38Cは自動的に外れ、クレーンフック装置38の矢印A方向への移動に伴い、金属パイプ37A,37B,38Cは矢印B方向へ引き抜かれ、緑化植生袋体1の列設が完了する。なお、施工面39に対する緑化植生袋体1の固定は、アンカーの打ち込み等で滑落防止を行ってもよい。
【0036】この緑化植生袋体1の列設は、図1,図3に符号Lで示した長手方向が、河川の場合には河道の中心線と直交する方向とし、ダム湖,湖沼あるいは海岸等の場合には、図9に符号Pで示す波面法線方向とし、緑化植生袋体1の敷設区間は、図9中符号Hで示す高水敷までの間に選定され、浅水域法面の緑化植生保護工が完成する。なお、図9において符号Mは保護工を必要としない法面を示している。
【0037】
【発明の効果】請求項1の発明によると、高強度の紐条体で粗目に構成された布帛で上面開口の函形に函形主体が形成されているので、該主体内への土壌の投入,充填をバックホウ等を用いて容易かつ迅速に、しかも目視しながら確実に充填できるし、投入,充填する土壌を、施工現場における湿生植物や抽水植物等の発芽可能な根茎類を多数包含する土壌としたので、土壌の採取が容易であり、緑化植生保護工を施工したにも拘らず、緑化状態を旧景観の復元に近いものとしうる等の効果を奏するのみでなく、函形主体が布帛製であるため、土壌充填後においても可撓性を有するので、施工面の形状に順応できるし、施工後における施工地盤の形状の変化にも良好に追随できる効果を奏する。
【0038】また函形主体内に充填された土壌の上層には、多数の植物種子が混在し、構成繊維の少なくとも一部として、腐食性繊維を有する繊維マットが配設されているので、地表面を形成する部位の緑化植生袋体の表面は土壌中の根茎類から、発芽生長した湿生植物等の生長が不十分であっても、その上層に種子から発芽した植物が生育することにより、十分な緑化効果を奏すると共に、緑化植生袋体の上面からの充填土壌流出を防止する等、施工主体の希望する湿性植物や抽水植物等の生育環境を保護する等の効果もある。
【0039】更に函形主体は高強度の粗目の布帛で形成されているので、水流,波浪による破損を防止できるし、函形主体内の土壌の最上層に位置する繊維マットの構成繊維の少なくとも一部は腐食性を有するので設置後、1年以内には腐食し、消滅するため、湿生植物や抽水植物の発芽,生長を阻害したり、外観を損ねる等の弊害を生ずることは無く、繊維マット構成繊維全部が腐食性の場合には、該マット全部が消滅する。
【0040】請求項2の発明によると、函形主体の底壁,周壁の内面に水は透過させるものの土砂粒の通過は阻止できるシート体が張設されているので、施工現場の土質が荒木田土等を多量に含むものであったとしても、降雨,流水の波浪等による充填土壌の流失を良好に防止できる効果を奏する。
【0041】請求項3の発明によると、緑化植生袋体の土壌の最上層に位置する繊維マットの少なくとも上面を被覆する粗目のネットにより、種子が混在する繊維マットの剥脱が防止され、さらには発芽植物は粗目部分を通って伸びうるので、その成育が阻害されないと共に、ネット自体の構成繊維の少なくとも一部は、時間遅れは存するとしても腐食消失するので、外観を阻害することが無い等の効果を奏する。ネット構成繊維全部が腐食性の場合は、ネット全部が消滅する。
【0042】請求項4の発明によると、繊維マットが掩蓋片で被覆,掩蔽されているので、流れや波浪に対しても繊維マットの流失,破損等を防止できるし、掩蓋片が形成されていても、被吊持部は函形主体の少なくとも長手方向両側に位置するので、クレーントラック等による吊持に支障を来すことが無く、特に被吊持部が函形主体の長手方向両側に形成されていることと、函形主体が高強度の紐条体で構成されていることとあいまち、1〜2トン程度の土壌が充填されても、被吊持部の強度さえ十分であれば、破断等を伴うことなく緑化植生袋体の移動設置を行いうる効果を奏する。
【0043】請求項5の発明によると、掩蓋片によって、土壌上層に配置された繊維マットが被覆,掩蔽されていても、該掩蓋片の粗目の目合いが函形主体の布帛の粗目の目合いすなわち開口度より大とされているので、植物が上方へ伸びるのを阻害しない効果を奏する。
【0044】請求項6の発明によると、掩蓋片の構造の一部が腐食によって消失するので、組織がゆるむか、目合いが大となり、植物の伸長,肥大を阻害しない可能性がより一層確実となる。
【0045】請求項7の発明によると、函形主体内への土壌の投入,充填を、施工現場の土壌を用い、バックホウ等による掘り採り、投入等により簡単に行いうる効果を奏し、しかも施工現場に適した湿生植物、抽水植物等の発芽可能な根茎類を利用できる効果もある。
【0046】しかも前記土壌の上層には腐食性を有し、多数の植物種子を混在させた緑化植生袋体を配設したうえで養生させるので、根茎、種子を共に発芽させ、所要生長度合としたうえで施工法面に配設するため、緑化植生袋体の形成工程と養生工程とを、緑化植生保護工施工現場の地盤整備工程とを併行して行うことが可能となり、地盤整備工程の完了後は、クローラクレーン等による緑化植生袋体の配設と、必要に応じてのアンカー等による該袋体の固定のみの作業で完工するので、施工期間を短縮できる等の効果を奏する。
【0047】請求項8の発明によると、剛性の大きな型枠内に、高強度の紐条体で構成された函形主体を配置して土壌の投入,充填を行うので土壌の充填された函形主体を、型枠で規制される一定形状に成形できるし、土壌上層に配置した繊維マットは掩蓋片で被覆,掩蔽されるので、整然とした緑化植生袋体の配置と均斉な緑化植生表面の形成とを可能とする効果を奏する。
【0048】請求項9の発明によると、緑化植生袋体に作用する水流あるいは波浪による外力を、個々の緑化植生袋体に分散して受支させうるので、個々の緑化植生袋体の耐用年数を著しく長期間たらしめることが可能となる。
【0049】さらに本発明に係る緑化植生袋体と緑化植生保護工法では、施工現場で必要とされる装置は、バックホウとクローラクレーンと、養生広場の外には、一般資材の搬入,搬出に要するトラック類のみで足りるので、設備経費を著しく節減できる効果も有している。
【出願人】 【識別番号】592033404
【氏名又は名称】建設省関東地方建設局長
【識別番号】000149594
【氏名又は名称】株式会社大本組
【識別番号】591147373
【氏名又は名称】繊維土木開発株式会社
【出願日】 平成10年11月19日(1998.11.19)
【代理人】 【識別番号】100061790
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 理吉 (外2名)
【公開番号】 特開2000−152719(P2000−152719A)
【公開日】 平成12年6月6日(2000.6.6)
【出願番号】 特願平10−346620