| 【発明の名称】 |
水耕栽培用人工培土およびその製造法 |
| 【発明者】 |
【氏名】楠 純
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| 【要約】 |
【課題】本発明は、水耕栽培用培土であり、水溶液中の酸性度を微酸性から中性域に維持することができる培土を提供するものである。
【解決手段】天然ゼオライト、粘土鉱物粉砕物、土壌鉱物、有機酸を混合して造粒し、焼結して成ることを特徴とする水耕栽培用人工培土。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 天然ゼオライト、粘土鉱物粉砕物、土壌鉱物、有機酸を混合して造粒し、焼結して成ることを特徴とする水耕栽培用人工培土。 【請求項2】 微細加工した天然ゼオライト10〜40重量%、粘土鉱物粉砕物5〜50重量%、有機酸水溶液2〜20重量%、残余を土壌鉱物で構成した混合物を造粒、焼結して成る請求項1記載の水耕栽培用人工培土。 【請求項3】 粒径が少なくとも100μm〜2mmの範囲内にある2種類の天然ゼオライトを各5〜20重量%用いた請求項1〜2記載の水耕栽培用人工培土。 【請求項4】 水耕栽培時において植物生長期間中における水耕栽培溶液のpHが6.0〜7.2の範囲に維持される機能を有する請求項1〜3記載の水耕栽培人工培土。 【請求項5】 天然ゼオライト、粘土鉱物粉砕物、土壌鉱物、有機酸水溶液を混合して造粒し、600〜1000℃で焼結することを特徴とする水耕栽培用人工培土の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、水耕栽培用培土およびその製造法に関する。さらに詳しくは、かかる培土の水溶液中の酸性度を微酸性から中性域に維持することができる培土の組成に関し、特に水耕栽培用植物の汎用性拡大に有用である。 【0002】 【従来の技術】水耕栽培用培土としては、安定した物理的特性ならびに化学的特性の維持が重要とされている。従来、水耕栽培用培土としては、粘土鉱物を1200℃以上の高温で発泡焼結させた粒状のハイドロカルチャー用発泡煉石が、多孔質で水分や肥料の保持性に優れ、通気性、潅水性を有することから植物の育成に多く用いられている。しかし乍ら、かかる発泡焼結培土は、水耕栽培で使用する液中に継続して浸漬すると酸性度がpH8.0以上の強アルカリ性域に達し、植物の適正な生育状態を維持できない問題を有し、また、液中に長時間根茎部分を漬けておくことにより、根ぐされ状態を起こす問題があった。更に、焼結に際し、高温を要するため、省エネルギーの観点からも問題を有した。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来、かかる点に鑑み、発泡煉石に多く使用されていた粘土鉱物から多機能を有する複数の成分で構成される素材内容に変更することも検討されたが、これを満足するものは存在しなかった。本発明はかかる点、水耕栽培の栽培溶液中に継続して浸漬して使用した際、植物の適正な生育状態を維持できる酸性度を維持し、しかも単一使用でその機能を発揮でき、更に、低温でその製造が可能であるため省エネ化に貢献できるものである。 【0004】 【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、天然ゼオライト、粘土鉱物粉砕物、土壌鉱物、有機酸を混合して造粒し、焼結して成ることを特徴とする水耕栽培用人工培土であり、微細加工した天然ゼオライト10〜40重量%、粘土鉱物粉砕物5〜50重量%、有機酸水溶液2〜20重量%、残余を土壌鉱物で構成した混合物を造粒、焼結したものであること、粒径が少なくとも100μm〜2mmの範囲内にある2種類の天然ゼオライトを各5〜20重量%用いたこと、水耕栽培時において植物生長期間中における水耕液のpHが6.0〜7.2の範囲に維持されること、天然ゼオライト、粘土鉱物砕物、土壌鉱物、有機酸水溶液を混合して造粒し、600〜1000℃で焼結して製造することを特徴とするものである。 【0005】 【発明の実施の形態】本発明における水耕栽培とは、栽培溶液、水耕用培土から成る栽培環境下において植物体を栽培することをいう。 【0006】また、本発明における天然ゼオライトとは、例えばクリノプチロライト系沸石やモデルライト系沸石のゼオライトが含まれ、これらの混合物やこれ以外の沸石系の、例えばモルデナイト、ワイラカイトも含まれるものを指す。これらの天然ゼオライトは、通常、微粉状、細粉状、小片状のものとして入手できる政令指定土壌改良材であり、含水アルミケイ酸の一種で、水及び各種イオンが自由に出入りできる空際(約5〜10オームストロング)を無数に有し、かつ陽イオン交換容量(CEC)が200meq/100gと極めて多いという特性を備えたものである。また、その粒径は100μ〜2mmに調整されたものであり、前記した各種のゼオライトを2種混合し、各5〜20重量%用い、本発明培土を構成する。なお、ゼオライトを2種類混合して用いるのは、造粒に際して構成物の強度を補強するためであり、粒径を100μ〜2mmの範囲としたのは、100μ未満であると通気性に乏しくなり、2mmを越えると造粒時の強度が不足するためである。更に、その添加量を各5〜20重量%の範囲としたのは、5重量%未満であるとゼオライトの陽イオン交換能が充分に発揮できないこと、20重量%を越えると造粒強度不足のため好ましくないことによる。本発明は、かかる天然ゼオライトを全体構成の10〜40重量%の範囲で用いる。なお、これが10重量%未満であると、イオン交換能等が低下し、40重量%を越えると造粒ができ難くなるため好ましくない。 【0007】一方、粘土鉱物粉砕物とは、1:1型のカオリナイト、加水ハロイサイト、ハロイサイト、2:1型のモンモリナイト、バーミキュライト、イライト、2:1:1型の黒ライト、さらに純晶質のイモゴライト及び非晶質のアロファンを含むものであり、その粒径を50μmとなるよう調整したもので、全培土重量の5〜50%の範囲で用いる。なお、かかる粘土鉱物粉砕物の含量が5重量%未満であると、構成物の充分な強度が不足するし、50重量%を越えると通気性、潅水性の機能が十分に発揮できないことになるため、好ましくない。 【0008】更に、土壌鉱物とは、褐色土,赤色土、黒色土、黄色土、鹿沼土を指し、一般的に土壌と称されているものを指す。本発明においては、軽量で多くの孔隙があり水分の保持力が高いことから、特に赤色土、鹿沼土が好ましい。かかる土壌鉱物は前記のものを単独で用いても、混合して用いてもよく、天然ゼオライト、粘土鉱物粉砕物、以下に述べる有機酸水溶液の残余の成分として用いる。 【0009】また、前記素材に添加する有機酸水溶液は、化学分野で緩衝溶液作成に用いられているもので、特に酸性度が強酸性域から中性域で使われているものを用いる。例えば、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸、乳酸、クエン酸などが挙げられ、具体的には、pH測定器で酸性度を調整した水溶液を2〜20重量%用いる。これは2重量%未満であると構成物の充分な造粒ができないし、20重量%を越えると逆に構成物が成型できない。 【0010】本発明における高温加熱処理は、前記の天然ゼオライト、粘土鉱物粉砕物、土壌鉱物、有機酸水溶液を混合した複合材を、90℃〜105℃の範囲で造粒乾燥し、600℃から1000℃の範囲で焼結処理する。かかる加熱処理が低すぎると人工培土の焼結程度が不十分で硬度が低いため適さず、逆に加熱処理が高すぎると多孔質性が欠如するため、微細な通気性、通水性に必要な空際が閉塞状態になり適さない。通常は、750〜950℃の範囲で焼結を行うのが好ましい。また、かかる加熱処理時間は、人工培土の材料構成により異なるが、通常2〜3時間程度で充分である。実際の加熱処理時間においては、かかる加熱処理温度の昇温及び降温における時間も考慮すべきであり、これらを含めた処理時間は通常10〜15時間程度が適当であり、公知の加熱炉で行うことができる。 【0011】上記のようにして得た本発明人工培土は、従来の発泡煉石と比して酸性度の安定性が良く、植物の生長性に適している。これは構成材料として焼結した複数のゼオライトが含まれており、天然の多孔性、陽イオン交換能、セラミックであるため遠赤外線放射によって植物の根茎部分に作用が加えられるためである。 【0012】なお、本発明の人工培土を用いた実際の水耕栽培は、公知の種々の方法で行うことが出来る。例えば、小容量のポットタイプから大容量の大型プランターまで使用でき、場合によっては、他の粒状培土、土壌改良材との混合使用でもよい。以下、具体的に実施例に基づいて詳説するが、これによりこの発明は限定されるものではない。 【0013】 【実施例1】下記の2種類の組成により本発明人工培土を構成した。 <本発明人工培土(1)>1.組成 モルジナイト系ゼオライト#70(日東ゼオライト(株)製) 500g 〃 #1 ( 〃 ) 500g 2:1型粘土鉱物(ベントナイト) 300g 土壌鉱物(赤土) 1000g 有機酸(0.01%濃度のクエン酸) 700g平均粒径は全て0.1mm以下のものを使用2.製造・加工ゼオライト2種(粉状、細粒状)及び粘土鉱物、土壌鉱物をよく攪拌し、その後有機酸水溶液を加えて混練りし、平均粒度7〜8mmに造粒した。次いで、100〜105℃で2時間乾燥処理を行い、その後、約1時間常温から800〜850℃まで昇温し、この温度で2時間処理した後、自然放熱冷却によって12時間放置して、焼結処理を完了した。 <本発明人工培土(2)>1.組成土壌鉱物として鹿沼土を用いた他は、前記本発明人工培土(1)の組成と同じとした。 2.製造・加工前記本発明人工培土(1)の条件に同じ。 【0014】以上のようにして得た本発明人工培土は、以下の特性を有していた。 <本発明人工培土(1)>酸性度 : 5.86電気伝導度 : 0.04mS/cm保水率 : 35.2%乾燥容積重 : 0.63平均粒径 : 7.3〜7.9mm<本発明人工培土(2)>酸性度 : 6.07電気伝導度 : 0.03mS/cm保水率 : 35.5%乾燥容積重 : 0.61平均粒径 : 7.3〜7.9mmなお、かかる測定は、以下の方法によった。 *酸性度(pH)の測定方法乾燥焼結体重量に対して2.5倍の蒸留水を加えて混和後、25℃下で1時間放置する。測定前に軽くかき混ぜてpH測定器(HORIBA製)で表示値が安定すのを待ってpHを読み取る。 *電気伝導度(EC)の測定方法乾燥焼結体重量に対して5倍の蒸留水を加えて混和後、電気伝導度計(HORIBA)で表示値を読み取る。 *保水率の測定法(湿重量―乾重量/湿重量)×100=保水率(%) 湿重量とは、篩容器に湿潤した焼結体を入れて、余分な水分を除去した時の重量を示す。乾重量とは、焼結体を105℃で1時間乾燥し場合の重量を示す。 *乾燥容積重の測定法乾燥焼結体の質量の、同かさ容量の水質量に対する比率。単位は、g/mlで示す。 *酸性度・電気伝導度変動試験植物栽培栽培用容器内に本発明人工培土(1)及び(2)を各別に50g入れ、その2.5倍量の蒸留水(pH:5.8)を加えて調整した。かかる水溶液を23℃で保温して72時間後の酸性度ならびに電気伝導度の変動を測定した。なお、対照には、市販されている発泡煉石(水耕栽培用)を2種類、即ち、供試品1として、ハイドロコーン中粒(三浦園芸(株)製、商品名)、供試品2としてインテリアボール中粒(JTアグリス(株)製、商品名)を用いた。その結果を表1に示した。 【0015】 【表1】
【0016】上記の試験結果から明らかなように、本発明の人工培土(焼結体)は酸性度が植物の育成に適する範囲内のpH5.5〜7.5を維持されていることが確認された。また、電気伝導度で示された0.5mS/cm以下の数値は、塩類の過度な集積が起っていないことを表わし、これも植物の生育上適性な条件である。これに対し、供試品(1)及び(2)は、かかる範囲から外れる。 【0017】*実植評価(1)試験条件植物体を透明ガラス容器内に入れ、本発明人工培土(1)及び(2)を充填し、適量の水分を給水した。給水量は、ガラス容器の20%とし、2週間に1回程度補水した。ガラス容器を使用することで、根茎部の生長度合及び根ぐされ状態の有無が確認される。栽培期間は、50日間で23℃下にて12時間照明,12時間暗黒条件とした。なお、栽培には照明付き恒温装置を用い、チャンバー内の湿度を少なくとも80%以上に保持するようにした。供試植物は、セイヨウキズタ科ヘデラ・ヘリックス(Hederahelix)を用いた。なお、対照区として供試品(1)、(2)を用いた。 (2)測定項目栽培初日と50日後の植物体の生長度合を、植物全体重量変動率及び根茎伸長変動率を測定し指標とした。 (3)試験結果結果を表2に示した。なお、値は各4区の平均値である。 【0018】 【表2】
【0019】本発明人工培土で栽培したヘデラは50日間で全体の重量を124〜134%増加させたことが分かる。また根茎の伸長性についても、本発明人工培土(1)及び(2)ともに137〜154%に伸びていることが分かる。なお、数値として挙げなかったが、根茎の充分な分枝が確認された。同時に根茎先端に白い毛細根が伸長し根ぐされ状態は見られなかった。これらのことより、本発明人工培土は市販の供試品(1)(2)と比較し、同等以上に容器内で充分に正常生育が維持されることが確認された。 【0020】 【発明の効果】本発明人工培土によれば、微酸性から中性域にかけて植物の生育状態によい条件での栽培が可能となる。そして、これまで市販の水耕栽培用培土では、栽培の困難であった植物品種の長期間の適正な生育が期待できる。即ち、水耕栽培中の栽培溶液酸性度の維持を可能とするものであり、植物の育成用の人工培土として、その価値は極めて大きなものである。また、その焼成温度も従来に比べ低温で可能であるので省エネ効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001339 【氏名又は名称】グンゼ株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月29日(1998.10.29) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−135035(P2000−135035A) |
| 【公開日】 |
平成12年5月16日(2000.5.16) |
| 【出願番号】 |
特願平10−347760 |
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