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【発明の名称】 栽培用パネル
【発明者】 【氏名】山本 浩平

【要約】 【課題】

【解決手段】栽培用パネル10には、円筒状をした栽培容器11を着脱可能に保持する開口部12が多数形成され、栽培用パネル10内において隣接する開口部12同士の間隔13が全て同一となるように配列されている。また、開口部12には、培土14が充填された栽培容器11を挿入、保持することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 栽培容器を着脱可能に保持する複数の開口部を有する栽培用パネルであって、パネル内において隣接する開口部同士の間隔が全て同一であることを特徴とする栽培用パネル。
【請求項2】 前記開口部が多角形または円形である請求項1記載の栽培用パネル。
【請求項3】 前記開口部における栽培容器の保持角度が変更可能である請求項1,2記載の栽培用パネル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、野菜、果物、草花などの栽培容器を地面より高い位置に保持するための栽培用パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】苺などの農作物の栽培は、従来より、栽培地の地面に形成された畝に沿って苗を植えて栽培する、いわゆる土耕栽培が行われているが、育苗から収穫に至る一連の作業は、中腰やしゃがんだ姿勢での作業が多く、かつ苗の運搬などの肉体的負担の大きな労働を伴う作業である。このような労働条件を改善するために、育苗容器の改善が行われたり、あるいは栽培容器を地面より高い位置に保持して栽培を行う高設栽培などが採用されている。
【0003】本出願人は、苺などの育苗用容器として、培土使用量が少なくてすみ、根の成長の良い育苗用容器を開発して、実開平6−34437号公報などにおいて開示している。また、この育苗用容器を保持する栽培用パネルなどを開発して、実公平6−16495号公報などにおいて開示している。これらの育苗用容器と栽培用パネルなどを組み合わせることによって、図6に示すような栽培装置を形成することができる。
【0004】図6に示すように、栽培装置60においては、地面に立設された支柱61にフレーム62が取り付けられ、フレーム62に栽培用パネル63が装着され、栽培用パネル63に形成された多数の開口部67(図7参照)に円筒状の育苗用容器65が挿入、保持されている。
【0005】また、栽培用パネル63は、図7に示すように、その外周部分に形成された複数の係止部材64によってフレーム62に係止されるようになっており、栽培用パネル63の全面に渡って碁盤目状に配列された開口部67のそれぞれに育苗用容器65が挿入されている。この場合、それぞれの開口部67の周囲は四角形状に区画されるとともに、開口部67に向かって下降した漏斗形状となっている。そして、育苗用容器65に充填された培土66中において苺苗の育苗などを行うことができる。
【0006】このような栽培装置を使用することにより、中腰やしゃがんだ姿勢での作業を低減することが可能となるため、苺などの栽培期間中における肉体的負担が軽減され、労働条件の改善を図ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】図6に示す栽培装置60の場合、栽培用パネル63に形成された複数の開口部67は、図7に示すように、縦方向および横方向が同一間隔となるように配列されているため、これらの開口部67に挿入、保持された育苗用容器65においては、図8に示すように、隣接する育苗用容器65の縦方向間隔68および横方向間隔69は互いに同一であるが、斜め方向間隔70は縦方向間隔68および横方向間隔69より大となっている。
【0008】したがって、一つの育苗用容器65に着目した場合、その周囲に隣接する8個の育苗用容器65との間隔は完全に一致していない。このため、育苗用容器65で育苗される苺苗などの茎や葉などの生育方向について、隣接する苗との関係によって、偏りが生じることがある。すなわち、一般に苗同士は日照確保のため相互遮蔽を回避する性質があって、互いの干渉が少ない方向へ成長しようとするので、隣接する苗との間隔が離れた方向への成長が盛んとなり、育苗用容器65で栽培される苗の生育方向に偏りが生じることがある。このような生育方向の偏りが生じると、苗全体としての成長を鈍化させる原因となり、収穫量減少を招くおそれがある。
【0009】また、従来の栽培装置60の場合、単位面積当たりの栽培本数を増大させるということが重要なテーマの一つであるが、栽培用パネル63の場合、複数の開口部67は縦方向および横方向が同一間隔となるように碁盤目状に配列されているため、単位面積当たり配列可能な最大個数を実現するまでには至っていない。
【0010】そこで、本発明が解決しようとする課題は、単位面積当たりの栽培本数を増加させることが可能で、収穫量増大を図ることができる栽培用パネルを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、本発明は、栽培容器を着脱可能に保持する複数の開口部を有する栽培用パネルであって、栽培用パネル内において隣接する開口部同士の間隔が全て同一であることを特徴とする。このような構成とすることにより、隣接する栽培容器同士の間隔が全て同一となるように複数の栽培容器を配列、保持することが可能となるので、各々の栽培容器で栽培される植物苗の生育方向は、その周囲に隣接する他の植物苗との関係において全方向に渡って均等となって、生育方向の偏りが発生しなくなるため、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。
【0012】また、隣接する開口部同士の間隔が全て同一となるように開口部を配列することにより、隣接する3個の開口部はそれぞれ正三角形の頂点に位置する配列となるため、いわゆる蜂の巣状の配列となり、単位面積当たり最大個数の開口部を配列することができる。したがって、単位面積当たりの栽培本数を増加させることが可能であり、これによっても収穫量増大を図ることができる。
【0013】この場合、栽培用パネルの開口部の形状は、多角形または円形とすることができる。栽培用パネルの開口部を三角形、四角形、六角形などの多角形または円形とすることにより、栽培する植物の種類などに応じて開発された多角筒状あるいは円筒状の栽培容器に対応することができる。
【0014】また、栽培用パネルの開口部における栽培容器の保持角度を変更可能とすることにより、栽培用パネル全体を傾斜状態に保持して植物栽培を行う場合、栽培容器の保持角度を任意に設定することができるようになるため、栽培容器を傾斜状態に保持して植物苗の根の活着を良くしたり、垂直状態に保持して茎、葉、花などの直立状態を良くするなど、栽培植物に最適な角度に定めることが可能となり、収穫量増大あるいは品質向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施の形態である栽培用パネルを示す平面図、図2は前記栽培用パネルの部分拡大図、図3は図1のA−A線断面図である。
【0016】本実施形態は苺の育苗用容器を保持するための栽培用パネルの例を示すものである。図1から図3に示すように、本実施形態の栽培用パネル10においては、円筒状をした栽培容器(育苗用容器)11を着脱可能に保持する開口部12が多数形成されており、栽培用パネル10内において隣接する開口部12同士の間隔13が全て同一となるように配列されている。また、全ての開口部12は、培土14が充填された栽培容器11を挿入、保持することができる。さらに、それぞれの開口部12の周囲は六角形状に区画されるとともに開口部12に向かった下り斜面が形成され、漏斗形状をなしている。
【0017】したがって、栽培用パネル10に保持された複数の栽培容器11については、隣接する栽培容器11同士の間隔13が全て同一となるので、各々の栽培容器11で育苗される苗21の生育方向は、その周囲に隣接する他の苗21との関係において全方向に渡って均等となる。このため、図6に示す従来の栽培装置において発生していた苗の生育方向の偏りが発生しなくなり、生育状態が向上する。
【0018】また、栽培用パネル10においては、隣接する開口部12同士の間隔13が全て同一となるように開口部12を配列することにより、隣接する3個の開口部12がそれぞれ正三角形の頂点に位置する配列となるため、いわゆる蜂の巣状の配列となり、開口部12の配列個数は単位面積当たり最大となる。したがって、従来の栽培用パネル63より単位面積当たり育苗可能な苗21の本数が増加する。さらに、それぞれの開口部12の周囲は六角形状に区画されるとともに開口部12に向かった下り斜面が形成され、漏斗形状をなしているため、栽培用パネル10に撒かれた水や液肥が漏れなく栽培容器11に流れ込み、水や液肥が無駄に消費されることがない。
【0019】ここで、図2および図8を参照して、本実施形態の栽培用パネル10と従来の栽培用パネル63における開口部の配列個数の相違について説明する。
【0020】栽培用パネル10の開口部12の周囲の六角形区画および栽培用パネル63の開口部67の周囲の四角形区画が、それぞれ直径12cmの仮想円20が内接可能な大きさであるとすると、栽培用パネル63の四角形区画の場合の1区画の面積は144cm2 となり、栽培用パネル10の六角形区画の場合の1区画の面積は108cm2 となるので、栽培用パネル10の1区画の面積は、栽培用パネル63の1区画の面積の3/4となる。すなわち、直径12cmの仮想円20のスペースを確保するのに必要な面積は、栽培用パネル10の方が1区画当たり25%小さくてすむことになる。
【0021】次に、1枚のパネルサイズが現行の120cm×90cm前後であると想定した場合、栽培用パネル63に配列可能な直径12cmの仮想円20の個数は、10個×7個=70個(120cm×84cm)となり、栽培用パネル10に配列可能な直径12cmの仮想円20の個数は、11個×7個=77個(117.8cm×90cm)となるので、栽培用パネル10の方が10%程度配列個数が多くなる。
【0022】また、前記サイズのパネルをそれぞれ100枚ずつ併設した場合、栽培用パネル63の場合の総面積は、1.2m×84m=100.8m2 (7000個)となり、栽培用パネル10の場合の総面積は、1.178m×84.6m≒99.66m2 (7700個)となるため、栽培用パネル10の方が、小さい面積で700個多く配列可能であることが分かる。
【0023】そこで、前記データに基づいて、7000株の苗を育苗するのに必要な栽培用パネルの枚数を算出すると、栽培用パネル63の場合は7000÷70=100枚となり、栽培用パネル10の場合は7000÷77≒91枚となる。
【0024】このように、栽培用パネル10を使用した場合、従来の栽培用パネル63より単位面積当たりの育苗本数を10%程度増大させることが可能であり、また、同じ育苗本数であれば、栽培用パネル10の方が従来の栽培用パネル63より少ない面積で育苗可能であることが分かる。
【0025】さらに、単位面積当たり同じ本数の苗を育苗するのであれば、栽培用パネル10は従来の栽培用パネル63より1区画の面積を大きくすることができる。例えば、7000本の苗を育苗する場合、栽培用パネル63の1区画は直径12cmの仮想円20が内接可能な面積であるとして、その総面積は1.2m×84m=100.8m2 (7000個)であるが、栽培用パネル10の1区画は直径12.65cmの仮想円が内接可能な面積を確保しつつ、その総面積は1.24m×80.64m=100.1m2 (7007個)となる。
【0026】このように、栽培用パネル10は、栽培用パネル63より、1区画当たりに内接可能な仮想円の直径を64mmだけ大きくとることが可能であり、換言すると、栽培用パネル10は栽培用パネル63より隣接する苗同士の間隔を大きくとることができるため、相互遮蔽が改善され、苗の伸びすぎを抑制することができる。
【0027】また、栽培用パネル10の場合、全体的に蜂の巣状の構造であり、格子状の構造である栽培用パネル63より、剛性が大であるため、地面上に栽培装置を形成する場合の支持部材を低減することが可能であり、栽培用パネル10に栽培容器11をセットしたままの移動も容易である。
【0028】さらに、栽培用パネル10は、栽培用パネル63より、単位面積当たり多数の開口部12が形成されているため、パネル1枚当たりの重量が軽く、搬送作業や組立・撤収作業なども容易である。
【0029】次に、図4、図5を参照して、栽培用パネル10の使用状態について説明する。図4は栽培用パネルの使用状態を示す説明図、図5は前記栽培用パネルの使用状態を示す部分断面図である。
【0030】本実施形態の栽培用パネル10は、水平状態に保持して使用することが可能であるが、図4に示すように、水平より30度傾斜させた状態に保持して苗21の育苗を行うこともできる。この場合、長さの異なる支柱22,23を地面24に立設し、これらの支柱22,23に取り付けられたフレーム25に、栽培用パネル10の周囲に形成された係止部材27を係合させることによって栽培用パネル10を傾斜状態に保持する。
【0031】このように、栽培用パネル10を30度傾斜状態に保持して苗21の育苗を行うことにより、栽培地における栽培用パネル10の占有面積は、栽培用パネル10を水平状態に保持して育苗する場合より約13%低減する。
【0032】また、栽培用パネル10を傾斜状態に保持することにより、通路26から離れた位置にある栽培容器11にも作業者28の手が届くようになるため、育苗期間中における各種管理作業が行いやすくなる。さらに、従来の栽培装置において作業者の腰部付近の高さに位置していた迫り出し部分が、栽培用パネル10を傾斜状態に保持することによって下方に位置するようになるため、通路26を狭くすることが可能であり、栽培地の面積有効活用を図ることができる。
【0033】さらに、栽培用パネル10を傾斜状態に保持した場合、栽培容器11も傾斜状態となるため、培土14中における苗21の根21rの活着が良好となって生育状態が向上する。なお、栽培用パネル10の場合、開口部12において栽培容器11の保持角度を変更することが可能であるため、苗の生育状態や作業状態に応じて適当な保持角度に変更することもできる。
【0034】
【発明の効果】本発明により、以下の効果を奏することができる。
【0035】(1)栽培容器を着脱可能に保持する複数の開口部を有する栽培用パネルにおいて、パネル内で隣接する開口部同士の間隔を全て同一とすることにより、隣接する栽培容器同士の間隔が全て同一となるように複数の栽培容器を配列、保持することが可能となるので、各々の栽培容器で栽培される植物苗の生育方向は、その周囲に隣接する他の植物苗との関係において全方向に渡って均等となって、生育方向の偏りが発生しなくなるため、生育状態が向上し、収穫量増大を図ることができる。
【0036】(2)隣接する開口部同士の間隔が全て同一となるように開口部を配列することにより、隣接する3個の開口部はそれぞれ正三角形の頂点に位置する配列となるため、いわゆる蜂の巣状の配列となり、単位面積当たり最大個数の開口部を配列することが可能であり、単位面積当たりの栽培本数を増加させて、収穫量増大を図ることができる。
【0037】(3)栽培用パネルの開口部を三角形、四角形、六角形などの多角形または円形とすることにより、栽培する植物の種類などに応じて開発された多角筒状あるいは円筒状の栽培容器に対応することができる。
【0038】(4)栽培用パネルの開口部における栽培容器の保持角度を変更可能とすることにより、栽培用パネル全体を傾斜状態に保持して植物栽培を行う場合、栽培容器の保持角度を任意に設定することができるようになるため、栽培容器を傾斜状態に保持して植物苗の根の活着を良くしたり、垂直状態に保持して茎、葉、花などの直立状態を良くするなど、栽培植物に最適な角度に定めることが可能となり、収穫量増大あるいは品質向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】591038026
【氏名又は名称】福岡丸本株式会社
【出願日】 平成10年10月9日(1998.10.9)
【代理人】 【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
【公開番号】 特開2000−116240(P2000−116240A)
【公開日】 平成12年4月25日(2000.4.25)
【出願番号】 特願平10−288505