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【発明の名称】 底面給水型切り花栽培方法
【発明者】 【氏名】冨満 龍徳

【氏名】後藤 哲

【氏名】阿部 一則

【要約】 【課題】生育に応じて栽植距離を広げられるようにすることによって温室の利用効率を高めることができ、土壌消毒が省略でき、さらには肥料成分の流亡がないため水質汚染の危険もなく、技術的にも簡易化された切り花栽培方法を提供する。

【解決手段】生育に必要な肥料成分の全量を含む緩効性肥料をほぼ中央部または底面よりのほぼ中央部に埋め込んだ成型培土1に植えられた切り花苗3を、底面給水装置10上面の給水マット14上に載置し、成型培土底面から給水しながら生育させ、生育量に応じて成型培土を底面給水装置上面の給水マット上で移動・植え広げを行い、成型培土底面からの給水状態を維持したまま採花時まで底面給水装置上面の給水マット上で生育させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 生育に必要な肥料成分の全量を含む緩効性肥料をほぼ中央部または底面よりのほぼ中央部に埋め込んだ成型培土に植えられた切り花苗を、底面給水装置上面の給水マット上に載置し、成型培土底面から給水しながら生育させ、生育量に応じて成型培土を底面給水装置上面の給水マット上で移動・植え広げを行い、成型培土底面からの給水状態を維持したまま採花時まで底面給水装置上面の給水マット上で生育させることを特徴とする底面給水型切り花栽培方法。
【請求項2】 前記成型培土として、鉢内に充填された培土を使用することを特徴とする請求項1記載の栽培方法。
【請求項3】 前記成型培土として、型枠から取り出した根鉢を使用することを特徴とする請求項1記載の栽培方法。
【請求項4】 前記底面給水装置上面の給水マットの上に、防根透水シートを敷くことを特徴とする請求項1記載の栽培方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、苗から採花時まで底面給水システムを利用して栽培することができ、温室などの施設の高度利用が可能となる新規な切り花栽培方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】洋ラン等地床栽培の困難なものでは切り花を鉢栽培で行うこともあるが、通常の切り花栽培は地床で栽培される。最近ではロックウール等を培地として用いる養液栽培や地床に養液を供給する養液土耕栽培がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】養液栽培を含む上記従来の技術では、いずれも次の問題がある。
■切り花栽培においては、生育途中で植物体に大きなストレスを与えることなく移動・植え広げを行うことは困難であるため、定植期から収穫期の繁茂を見越した定植間隔としなければならない。この場合には、太陽光の効率的利用という面からみると、定植直後の生育期前半は必要以上に粗植となっており、温室などの施設の利用効率は高くない。
【0004】■従来の栽培法では連作する場合、広い根域の全体にわたって、人体に危険で環境に有害(オゾン層の破壊等)な土壌消毒剤の処理が必要であることが多い。
【0005】■従来の栽培法では施用された肥料成分の全てが植物に吸収されるわけではないので、水質汚染につながる肥料成分の流亡を回避できない。
【0006】■養液栽培では現在、養液のかけ流し方式が主流で、この方法の場合肥料成分による地下水の汚染等が危惧されている。また、循環方式の場合でも定期的に養液を循環系外へ廃棄して新しい養液と交換する必要がある。
【0007】そこで本発明は、生育に応じて栽植距離を広げられるようにすることによって温室の利用効率を高めることができ、土壌消毒が省略でき、さらには肥料成分の流亡がないため水質汚染の危険もなく、技術的にも簡易化された切り花栽培方法を提供することを課題としてなされたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための本発明は、生育に必要な肥料成分の全量を含む緩効性肥料をほぼ中央部または底面よりのほぼ中央部に埋め込んだ成型培土に植えられた切り花苗を、底面給水装置上面の給水マット上に載置し、成型培土底面から給水しながら生育させ、生育量に応じて成型培土を底面給水装置上面の給水マット上で移動・植え広げを行い、成型培土底面からの給水状態を維持したまま採花時まで底面給水装置上面の給水マット上で生育させることを特徴とする底面給水型切り花栽培方法である。
【0009】上記したごとき本発明の方法によれば、底面給水装置上面の給水マット上で、底面給水により苗から開花時まで生育させることができ、生育初期は成型培土が互いに接触する程度の栽植密度に密植し、生育が進んで茎葉が繁茂し、植え広げが必要となる時期には、底面給水装置上面の給水マット上で成型培土を自由に移動させて適切な栽植密度となるように植え広げが可能であることから、温室の利用効率を高めることができる。
【0010】また、開花時まで生育するのに必要な肥料成分の全量を、緩効性肥料として成型培土内部に埋め込んであるため、追肥の必要もなく、余剰の肥料成分が流亡することもなく、肥料成分の効率的な利用が図れる。
【0011】さらに、この緩効性肥料を成型培土のほぼ中央部または底面よりのほぼ中央部に局所的に埋め込んであるため、根が緩効性肥料の周りに集中し、生育期間が比較的長期になっても給肥が阻害されることがなく、根詰まりによる生育の緩慢化が防止できるとともに、根が成型培土の底面から外部へ向かって伸びにくくなるため、成型培土の移動・植え広げがしやすくなる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する成型培土とは、植物の生育に必要な培土が一定の形状に成型されているものをいう。例えば、ピートモスやバークなどの培土を一定形状に成型したものでもよいし、ポットやセル成型トレイのようなプラスチックなどでできた型枠の中に培土を入れたものでもよい。いずれも必要量の緩効性肥料が培土のほぼ中央部または底面よりのほぼ中央部に位置するよう施用しておく。この成型培土に苗を植え付けたり、挿し芽をしたり、播種したりして用いる。セル成型トレイや連結ポットのような型枠の中の成型培土で植物を一定期間生育させ、植物の根で培土が自然に成型されたもの(根鉢)を型枠から外して利用してもよい。
【0013】かくして得られた成型培土に植えられた切り花苗を図1に示す。すなわち、成型培土1のほぼ中央部には緩効性肥料2が埋め込まれており、この成型培土1と緩効性肥料2により切り花苗3が生育している。なお、図示の例では緩効性肥料を成型培土の高さ方向のほぼ中央に位置させてあるが、植物の品目によっては、成型培土の底面よりのほぼ中央部に位置させた方がよい場合もある。また、通常は成型培土1個当たり切り花苗1株を植え付けるが、植物品目によっては成型培土1個に複数本の苗を植え付けることもできる。
【0014】鉢に入れた成型培土に植えられた苗は、底面給水装置上に載置して、開花時まで鉢に入れたまま生育させてもよいが、鉢から取り出して自然に成型された状態の根鉢として底面給水装置上に載置することもできる。
【0015】セル成型トレイに入れた成型培土で生育された苗は、生育初期にはトレイのまま底面給水装置上に載置できるが、生育が進んで植え広げが必要となった時点でトレイから取り出して根鉢として底面給水装置上に適切な栽植密度となるように植え広げる。
【0016】緩効性肥料は、開花時まで生育するのに必要な肥料成分の全量を基肥として、成型培土のほぼ中央部または底面よりのほぼ中央部に埋め込む。かような緩効性肥料の選定については、植物の肥料吸収パターンに合った肥料成分の溶出パターンをもつものが望ましい。肥料の必要量は、肥料を多量に要するものや比較的少なくてよいものがあり、また溶出パターンも、生育期間の長短により変える必要がある。従って、施肥量や溶出パターンは、植物の品目ごとに予備実験により予め決定しておく必要がある。本発明では、緩効性肥料として、窒素、リン酸、加里、苦土などの肥料成分の他に、微量要素も配合されている被覆肥料が用いられ、溶出期間も数十日間で溶出するものから、300日間以上の溶出期間のものまで各種の緩効性肥料が市販品として入手できる。
【0017】本発明を実施するに際して使用する底面給水装置としては、従来から慣用されている装置を使用することができるが、その一例を図2に示す。図2の底面給水装置10は、支持台11の上に潅水樋12を水平に設置し、その上に成型培土と植物体の重さ等で変形しない強度を持った金網13を置く。この際、潅水樋12自体を金網13の支持材として機能させてもよいし、別の支持材を利用してもよい。この金網13の上に、水の毛管作用の旺盛な給水マット14を敷き、その上に成型培土1に植え付けた切り花苗3を置く。給水マット等を切って短冊状にした繊維束からなる給水ヒモ15を給水マット14に接して潅水樋12内に垂らし、潅水樋12内の水を毛管作用により給水マット14に伝え、成型培土1へ底面給水させる。潅水樋12内の水は水道にフロートバルブを設置して水位を一定に保ちながら給水する。
【0018】給水マット14としては、例えば市販されているポリエステル長繊維の不織布が好ましく使用できる。図1に示したように本発明においては、成型培土1のほぼ中央部に緩効性肥料2を配置させてあるから、植物の根が緩効性肥料2の周囲に集中して伸びるため、成型培土1の底面から外部へは根が伸長しにくくなり、その結果、給水マット14上で成型培土1の移動や植え広げが行い易くなる。
【0019】しかしながら、植物の品目によっては、根が伸びやすいものもあり、この場合には給水マット内部にも根が入り込むこともあって、給水マット14上で成型培土1の移動や植え広げを行うと、根を傷めやすくなる。この場合には、給水マット14の上に、防根透水シートを敷いて根の侵入を阻止することが望ましい。
【0020】上述したごとき本発明の方法を用いて、底面給水装置上で採花時まで栽培可能であることを確認できた切り花品目は、キク、トルコギキョウ、スターチスシヌアータ、宿根性スターチス、宿根アスター、シンテッポウユリ、シュッコンカスミソウ、カーネーション、バラ、デルフィニウム、ラークスパーなどが挙げられる。
【0021】
【実施例】以下に実施例を挙げてこの発明をさらに詳述する。
【0022】[実施例1:スプレーギクの栽培]2号(容積約100mL[ミリリットル])と2.5号(容積約220mL)の2種類の大きさの鉢(黒ポット)を用い、培土として調整ピートモス(“BM−2”、岩谷産業(株)発売)を鉢内に充填し、灌水して鉢内の培土を十分に湿らせた後、緩効性肥料(微量要素入り被覆燐硝安加里肥料“ロングトータル313”70日タイプ、窒素13%+リン酸11%+加里13%+苦土2%+総合微量要素を含み、約70日で溶出するもの、チッソ旭肥料(株)発売)を鉢の底面に近い中央部に1鉢当たり3g入れた。
【0023】この鉢に、スプレーギク品種「セイアルプス」と「セイピュア」を直挿しにより挿し芽した。挿し芽に際しては、穂の折り口が鉢内の肥料に接しないように挿した。1998年8月23日に挿し芽を行ない、ミスト室に16日間置いて発根させた。
【0024】発根後の苗を鉢とともに9月8日に開放ガラス室内の底面給水装置(図2に図示した装置、給水マットの上に防根透水シート使用)の上に移動し、深夜4時間の電照を行って底面給水により育苗を行った。
【0025】9月22日(直挿し後30日目)に、従来から慣行されている地床栽培に準じて、底面給水装置上で株間を12cmに広げるとともに、自然日長(キクが花芽分化、開花できる短日条件)とした。この時点で、鉢を付けたままの試験区と、鉢から培土を抜き出して根鉢だけにした試験区とを設けた。
【0026】この状態で底面給水装置上で生育を続け、「セイピュア」種については11月10〜11日に、「セイアルプス」種については11月18〜20日にそれぞれ開花した。採花した切り花の切り花重、切り花長、80cm重、枝数、茎径、枝長(最上位枝を■、上位より5番目の枝を■として表す)を調べた結果を表1および表2に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】表1および表2からわかるように、両品種とも鉢の大きさについては、2.5号鉢に比べて2号鉢の方が切り花重、切り花長、80cm重、枝数、茎径、枝長の値がやや小さかったが、2号鉢でも品質のよい切り花となった。また、両品種とも定置(置き広げ)後の鉢の有無が生育に及ぼす影響は認められなかった。以上の結果、2号鉢でも品質のよい切り花となり、定置時に鉢から抜いて根鉢だけにしても、その後の生育に障害はなかった。
【0030】[実施例2:スプレーギクの栽培]セル成型トレイ(30×60cm、55穴、1セル容積約74mL、セル間隔約6cm)を用い、各セルに培土として調整ピートモス(“BM−2”)を充填し、灌水して各セル内の培土を十分に湿らせた後、各セルの底面に近い中央部に緩効性肥料(被覆肥料“ロングトータル313”70日タイプ)を1セル当たり1.5g、2.0g、2.5gの3水準で入れた。
【0031】このトレイの各セルに、スプレーギク品種「セイアルプス」と「セイチャーム」を直挿しにより挿し芽した。挿し芽に際しては、穂の折り口がセル内の肥料に接しないように挿した。1998年12月19日に挿し芽を行ない、ミスト室に23日間置いて発根させた。
【0032】発根後の苗をトレイとともに1999年1月11日に開放ガラス室内の底面給水装置(図2に図示した装置、給水マットの上に防根透水シート使用)の上に移動し、深夜4時間の電照を行って底面給水により育苗を行った。
【0033】2月6日(直挿し後49日目)に、トレイの各セルから根鉢をつけて苗を抜き取り、従来から慣行されている地床栽培に準じて、底面給水装置上で株間を12cmとして置き広げるとともに、自然日長(キクが花芽分化、開花できる短日条件)とした。
【0034】この状態で底面給水装置上で生育を続け、「セイアルプス」種については3月24〜26日に、「セイチャーム」種については3月28〜29日にそれぞれ開花した。採花した切り花の切り花重、切り花長、着蕾枝数、孫蕾着枝数、花穂長、茎径、枝長(最上位枝を■、上位より5番目の枝を■として表す)を調べた結果を表3に示す。
【0035】
【表3】

【0036】表3からわかるように、両品種とも施肥量が1セル当たり1.5gでは、切り花重、切り花長、枝数、花穂長、茎径、枝長の値が小さく、ボリュームのない切り花となった。1セル当たり2.0gと2.5gの施肥量では、両区とも切り花品質がよかった。2.0gの方はスプレーフォーメーションがスマートで、2.5gの方は全般的にやや切り花としてボリュームがあった。全区とも切り花形質の揃いが特によかった。
【0037】このことから、1トレイ55穴程度のセル成型トレイに直挿しにより挿し芽を行ない、長日条件下で慣行の地床栽培に比べて4倍以上の密植条件で育苗した後、トレイの各セルから根鉢をつけて苗を抜いて底面給水装置の上に置き広げて短日条件下で生育を続けて開花させる切り花栽培法が可能となることがわかる。
【0038】また、栽培当初の基肥としての施肥量を調節することによって、切り花の形質を自由にコントロールでき、ボリューム感ある切り花にしたり、スマートな草姿にしたりすることができる。
【0039】[実施例3:トルコギキョウの栽培]3号ポット(容積約380mL)に、培土として調整ピートモス(“BM−2”)を充填し、灌水してポット内の培土を十分に湿らせた後、定植穴をやや深めにあけ、この定植穴の下部中央に緩効性肥料(被覆肥料“ロングトータル313”140日タイプ、約140日で溶出するもの)を1ポット当たり3g入れた。各ポットの定植穴に、トルコギキョウ品種「キングオブスノー」と「あずまの粧」の苗を植え(1997年3月25日)、開放ガラス室内の底面給水装置(図2に図示した装置、給水マットの上に防根透水シート使用)の上に載置して、この装置上で底面給水により開花まで栽培を行った。
【0040】比較のために、同じ苗を同じ日に地床に定植し慣行栽培を行った。慣行栽培においては、土壌への石灰および有機物の投入と消毒を行い、土壌に基肥を施肥して耕耘畦立て整地後、苗を定植し、定植後2週間おきに4回追肥を行った。
【0041】栽植密度は、本発明法および慣行法ともに、株間12cm、条間12cmの7条植えとした。結果を表4に示す。なお表4中の「硬さ」は茎の硬さを表し、切り花の頂部と頂部から70cmの部分を手で支えて水平に保ち、頂部の手を離したときの下垂度で示した。表4の結果からわかるように、本発明の栽培法では、慣行の栽培法と切り花重および切り花長はほぼ同等で、茎が硬い形質のよい切り花が得られた。
【0042】
【表4】

【0043】[実施例4:トルコギキョウの栽培:密植の検討]2.5号ポット(容積約220mL)に、培土として調整ピートモス(“BM−2”)を充填し、灌水してポット内の培土を十分に湿らせた後、定植穴をやや深めにあけ、この定植穴の下部中央に緩効性肥料(被覆肥料“ロングトータル313”100日タイプ、約100日で溶出するもの)を1ポット当たり4g入れた。各ポットの定植穴に、トルコギキョウ品種「キングオブスノー」、「あずまの調2号」、「つくしの春」、「つくしの雪」の苗を植え(「キングオブスノー」と「あずまの調2号」は1998年4月30日、「つくしの春」と「つくしの雪」は1998年7月3日)、開放ガラス室内の底面給水装置(図2に図示した装置、給水マットの上に防根透水シート使用)の上に載置して、この装置上で底面給水により栽培を行った。
【0044】底面給水装置上での栽培について、各ポットが接触し合う密植状態(株間7.5cm、条間7.5cm)で1ヶ月間栽培した後、通常の栽植密度(株間12cm、条間12cm)に置き広げて採花時まで栽培した場合と、密植を行わずに最初から通常の栽植密度で採花時まで栽培した場合とを比較した。結果を表5に示す。この結果からわかるように、1ヶ月間密植したものは、最初から通常の栽植密度にしたものと比べて、切り花品質に特に差は認められず、従って、施設の利用率向上の手段として底面給水装置上での生育初期の密植は有効であった。
【0045】
【表5】

【0046】[実施例5:トルコギキョウの栽培:切り花の日持ち性の検討]2.5号ポット(容積約220mL)に、培土として調整ピートモス(“BM−2”)を充填し、灌水してポット内の培土を十分に湿らせた後、定植穴をやや深めにあけ、この定植穴の下部中央に緩効性肥料(被覆肥料“ロングトータル313”100日タイプ、約100日で溶出するもの)を1ポット当たり4g入れた。各ポットの定植穴に、トルコギキョウ品種「あずまの波」の苗を植え(1998年3月5日)、開放ガラス室内の底面給水装置(図2に図示した装置、給水マットの上に防根透水シート使用)の上に載置して、この装置上で底面給水により開花まで栽培を行った。
【0047】比較のために、同じ苗を同じ日に地床に定植し慣行栽培を行った。慣行栽培においては、土壌への石灰および有機物の投入と消毒を行い、土壌に基肥を施肥して耕耘畦立て整地後、苗を定植し、定植後2週間おきに4回追肥を行った。
【0048】栽植密度は、本発明法および慣行法ともに、株間12cm、条間12cmの7条植えとした。表6に採花後の切り花の鑑賞可能期間を比較した結果を示す。表6からわかるように、本発明法で栽培したものは、慣行法で栽培したものに比べて、6月下旬のやや高温の花保ちの悪い時期で4日間鑑賞可能日数が長くなった。この結果からわわるように、本発明法によれば、従来から慣行されていた地床栽培法で得られた切り花に比べて、茎が硬く、日持ちの良い良質な切り花が得られた。
【0049】
【表6】

【0050】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0051】(1) 少量の培土しか使用しないため土壌消毒剤の使用量が少なくてすむ。消毒済みの購入培土等の利用もできる。
【0052】(2) 生育に必要な肥料成分の全量を培土に基肥として施用しているため、養液や追肥は必要なく、底面から水の補給を行うだけで栽培でき、肥料成分の流亡がなく肥料の利用率も高い。
【0053】(3) 生育途中で底面給水装置上での移動・植え広げが可能となるため、生育に応じて栽植密度を変えることができるため、温室の利用率を従来の2倍以上に高めることができる。またそれに伴い、生産量当たりの燃料の消費とそれに伴う二酸化炭素の発生が削減できる。
【0054】(4) 株ごとに肥料が固定されており、株間の肥料成分の奪い合いが無いため、個体間の生育のバラツキを小さくでき、容易に高品質安定生産ができる。
(5) トラクターや耕運機等の使用の必要がないため作業の安全性が高い。
(6) 施設内の土壌改良や排水対策が不要である。
(7) 植物工場的な栽培に適しており、切り花以外の野菜栽培等にも利用価値が高い。
【出願人】 【識別番号】591224788
【氏名又は名称】大分県
【出願日】 平成11年6月9日(1999.6.9)
【代理人】 【識別番号】100067046
【弁理士】
【氏名又は名称】尾股 行雄
【公開番号】 特開2000−78935(P2000−78935A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平11−162572