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【発明の名称】 木質系植物マルチ用資材
【発明者】 【氏名】昭野 聡一

【氏名】梅田 素良

【氏名】大盛 力

【要約】 【課題】安価で容易に製造することができ、木質との密着性が良く、難燃効果の高い、木質系植物マルチ用資材を提供すること。

【解決手段】カルシウム化合物をCaとして0.05〜1重量%含有した塩基度40〜65%の塩基性塩化アルミニウム溶液で処理された木質系植物マルチ用資材により上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カルシウム化合物をCaとして0.05〜1重量%含有した塩基度40〜65%の塩基性塩化アルミニウム溶液で処理された木質系植物マルチ用資材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、緑化マルチ資材等の木質系植物マルチ用資材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、公園、街路地等において緑化のための植物が植えられているが、高温時の土壌水分乾燥防止、雑草発生防止、美的景観の観点から植物を定植した後、定植範囲全体に木質系資材でマルチすることが行われるようになってきた。高温時にこのマルチ資材が非常に乾燥することがあり、ここにタバコ、マッチ等が捨てられると容易に着火し、火災が発生することが懸念されている。そこで、本発明者らは難燃化効果に優れた木質系植物マルチ用資材について検討した。
【0003】これまで、木材、植物繊維を対象とした無機系難燃化剤としては、例えば、第一リン酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸1水素カルシウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム(特開昭61-244502号)等多くの難燃化剤が考案され使用されている。
【0004】また、上記難燃化剤の組み合わせ処理による難燃化方法も特開平4-28502号公報に技術開示されている。更に、特開平9-220704号公報には、硫酸アルミニウム、あるいはポリ塩化アルミニウムとポリリン酸塩の混合物を難燃化剤として使用する方法が開示されている。ところが、木質系資材の難燃加工の場合、プラスチックの場合と異なり、予め練り込み加工ができないので、難燃化剤を液状化して、含浸加工か表面付着の方法を取らざるを得ない。この場合、多量の難燃剤を木材内に浸透させることが困難であったり、多量の水、あるいは有機溶媒を使用して、含浸加工できた場合であっても、その後の乾燥等に手間とコストを要する。
【0005】マルチ資材内部への浸透には、減圧、高圧などの手法が効果的であるが、コスト面から実施できない等問題点が多い。表面付着の場合、一般的に無機質難燃剤と呼ばれる化合物と木質との間の親和性が低く、乾燥と共に剥離落下や雨等により流亡をうけやすいことから、表面処理、固着剤、防水塗装が必要である。また、緑化マルチ資材にはヤニ等を多く含む樹皮、植物油を多く含む植物種皮が主原料として使用され、水溶性塩類を吹き付けたり、含浸操作だけではうまく処理出来ず、公知技術だけでは解決できない。これら様々な理由から、これまでは難燃化された安価で簡易に使用できる木質系植物マルチ用資材は見い出されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は上記の事情に鑑み、安価で容易に製造することができ、木質との密着性が良く、難燃効果の高い、木質系植物マルチ用資材を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、塩基度を有する塩化アルミニウム化合物即ち、塩基性塩化アルミニウムを改善した新規な塩基性塩化アルミニウムが、雨等による流亡に強く、且つ優れた難燃効果を有することを発見した。この新規な塩基性塩化アルミニウムは常温乾燥で、木質系マルチ資材に堅固に固着するものである。
【0008】即ち、本発明は、カルシウム化合物をCaとして0.05〜1重量%含有した塩基度40〜65%の塩基性塩化アルミニウム溶液で処理された木質系植物マルチ用資材に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の木質系植物マルチ用資材について以下に詳記する。本発明に用いる塩基性塩化アルミニウム溶液は、塩基度が40〜65%の範囲のものである。尚、本発明に於ける塩基度とは、組成式Al2(OH)mCl6-m(但し、m>0 )で表される塩基性塩化アルミニウムに於いてm/6×100の値を云う。
【0010】塩基度が40%以下であると、カルシウム化合物を添加しても雨水等で本発明の薬剤が剥離し、効果を期待できない。また、塩基度が65%以上であると、溶液安定性が低下し実用上好ましくない。これにカルシウム化合物をCaとして0.05重量%〜1重量%好ましくは0.2%〜0.8重量%含有させることにより、本発明に使用する処理薬剤を得ることができる。
【0011】カルシウム化合物としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウムが最も好ましい。水酸化カルシウムは溶解度の観点より、また有機酸カルシウムは保存中に沈殿を生成することがあるためできれば使用を避けることが望ましい。0.05重量%以下ではアルミニウムの固着が充分でなく、1重量%を上廻ると塩基性塩化アルミニウム溶液が不安定となり、沈殿物を生成し本発明の目的を達成することができない。
【0012】本発明は上記の通り、塩基性塩化アルミニウム溶液にカルシウムを一定量含有させるものであるが、カルシウムを含有させることにより、塩基性塩化アルミニウムが、木質系資材に水酸化アルミニウムあるいは塩化アルミニウムとして強固に反応固着する結果、雨水等により容易に溶解したり、流亡しなくなるものと推定される。
【0013】本発明対象の木質系資材としては、バーク堆肥等各種の名称で呼ばれる木質系堆肥類、椰子殻、カカオカスなど植物由来の粗砕物などが例示される。本発明処理薬剤の添加量としては、対象の木質系資材乾燥物に対して、本発明塩基性塩化アルミニウムをAl23として0.3〜3重量%の範囲、特に1重量%以上の添加で安定した効果が得られる。
【0014】本発明処理薬剤の適用方法としては、対象の木質系資材に対して全面噴霧することが望ましいため、対象の木質系資材を容器中で攪拌回転させながら、霧状にして散布添加することが望ましい。勿論、塩基性塩化アルミニウム溶液に浸漬し、含漬させることもできる。散布、浸漬後は強制乾燥でも良いが、天日等で充分本発明の効果を得ることができる。
【0015】一般に街路地、公園等でマルチとして使用された植物マルチ資材は、高温時直射日光を浴びると40℃以上の高温に達し、非常に乾燥する。これにタバコ燃えがら等が捨てられると、火災発生の懸念がある。しかるに、本発明の薬剤で処理した木質系マルチ資材を使用した場合、タバコ、マッチで一旦発火しても1分以内に発煙は停止し、火災の危険性は全くない。本発明の木質系植物マルチ用資材は難燃化処理が施されているため街路地、公園等の緑化マルチ資材として使用したときに、火災の危険性が全くなく、塩基性塩化アルミニウム溶液は無色透明であるから木質の自然色を損なうこともなく、美観的にも優れたものである。以下に実施例を記し、本発明を更に詳記する。尚、特に断らない限り%は全て重量%を示す。
【0016】
【実施例】(実施例1)市販の塩基性塩化アルミニウム溶液(Al23 10.2%、Cl 9.1%、Ca 50ppm、塩基度50% )に塩化カルシウムをCaとして0.2%添加し(溶液中のCa:0.205%)本発明処理薬剤を製造した。市販バーク堆肥(ハリマ産業(株)製、商品名しらさぎバーク)1Kg(乾燥物換算)に対して、本発明処理薬剤150g(Al2315.3g)を霧状にして噴霧し、24時間静置乾燥して、本発明資材を得た。これを20mm/時間のシャワー水に1時間曝露した。このシャワー水曝露後、本発明資材を室温で1週間放置して、乾燥させた後、難燃性評価試験に供した。
【0017】(比較例1)比較対照として、実施例1に於いて本発明薬剤で処理しないことを除いては同様の方法により試作した市販バーク堆肥を比較例1とした。
(比較例2)比較対照として、実施例1に於いて塩化カルシウムを使用しないことを除いては同様の方法により試作した市販バーク堆肥を比較例2とした。
(比較例3)比較対照として、実施例1に於いて塩化カルシウムの0.2%添加に代えて0.03%添加(溶液中のCa:0.035%)したことを除いては同様の方法により試作した市販バーク堆肥を比較例3とした。
(比較例4)比較対照として、実施例1に於いて、市販の塩基性塩化アルミニウム溶液に代えて、常法により水酸化アルミニウムと塩酸により製造した塩基性塩化アルミニウム溶液(Al2310.5%、Cl 14.2%塩基度35%)を用いたことを除いては同様の方法により試作した市販バーク堆肥を比較例4とした。
【0018】(試験方法)難燃性評価は上記各バーク堆肥2gにマッチで点火し、発煙時間を測定した。結果を表1に示す。
【表1】

注)発煙時間欄に於ける()内の数値は比較例1を100としたときの値である。
【0019】(実施例2)市販の塩基性塩化アルミニウム(Al23 10.2%、Cl 9.1%、Ca50ppm、塩基度50% )に硫酸カルシウムをCaとして0.2%添加した(溶液中のCa:0.205%)本発明処理薬剤を製造した。カカオカス(明治製菓(株)製)1Kg(乾燥物換算)に対して、本発明薬剤150g(Al23 15.3g)を霧状にして散布し、24時間静置乾燥して、本発明資材を得た。これを20mm/時間のシャワー水に1時間曝露した。このシャワー水曝露後、本発明資材を室温で1週間放置して、乾燥させた後、難燃性評価試験に供した。
【0020】(比較例5)比較対照として、実施例2に於いて本発明薬剤で処理しないことを除いては同様の方法により試作したカカオカスを比較例5とした。
(比較例6)比較対照として、実施例2において硫酸カルシウムを使用しないことを除いては同様の方法により試作した市販カカオカスを比較例6とした。。
(試験方法)カカオカスを対象資材として用いたことを除いては実施例1と全く同様にして難燃性評価試験を行った。
【0021】
【表2】

注)発煙時間欄に於ける( )内の数値は比較例5を100としたときの値である。
【0022】
【発明の効果】本発明の木質系植物マルチ用資材は、難燃化処理が施されているため緑化マルチ資材として使用したときに、火災の危険性が全くなく、且つ塩基性塩化アルミニウム溶液は無色透明であるから木質の自然色を損なうこともなく、美観的にも優れたものである。
【0023】尚、本発明の木質系植物マルチ用資材は、製造も安価且つ容易で使用上も安全な、実用的にも極めて優れたものである。
【出願人】 【識別番号】000203656
【氏名又は名称】多木化学株式会社
【出願日】 平成10年9月3日(1998.9.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−78933(P2000−78933A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平10−265679