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【発明の名称】 野菜移植機
【発明者】 【氏名】竹 山 智 洋

【氏名】和 田 俊 郎

【要約】 【課題】野菜移植機を用いた野菜苗移植作業において収穫作業時での作業能率を向上させる。

【解決手段】苗載台(14)からの野菜苗(A)を開孔式植付爪(17)でもって圃場に植付けるようにした野菜移植機において、圃場の作物栽培面を覆うマルチフィルム(34)の切断用マルチカッタ(35)(36)を植付爪(17)の中心より左右にオフセットさせて一体的に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 苗載台からの野菜苗を開孔式植付爪でもって圃場に植付けるようにした野菜移植機において、圃場の作物栽培面を覆うマルチフィルムの切断用マルチカッタを植付爪の中心より左右にオフセットさせて一体的に設けたことを特徴とする野菜移植機。
【請求項2】 植付爪の前開孔体の左右一側に前端を前方に延出させる前マルチカッタを設けると共に、後開孔体の左右他側に後端を後方に延出させる後マルチカッタを設けたことを特徴とする請求項1記載の野菜移植機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はマルチフィルムで被覆した畦に玉ネギ或いは葉ネギなどの野菜苗を植付けてマルチ栽培する野菜移植機に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】この種玉ネギのマルチ栽培にあっては、保温及び雑草の繁茂を押える(除草剤が不要で、低農薬野菜としての付加価値向上)などの効果があるが、玉ネギの場合株間の短い植付けのため、ヒータ方式の穿孔装置の組込みが難しく、開孔式植付爪自体の直接の孔あけ(苗移植孔)によって、収穫時にはフィルムの孔から玉ネギを上方に引抜いている。しかし乍ら、成熟した玉ネギの大きさは、植付爪で開孔される移植孔より大きく(略2倍乃至3倍)、玉ネギの容易にして良好な引抜き作業が行えないという不都合があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、苗載台からの野菜苗を開孔式植付爪でもって圃場に植付けるようにした野菜移植機において、圃場の作物栽培面を覆うマルチフィルムの切断用マルチカッタを植付爪の中心より左右にオフセットさせて一体的に設けて、植付爪による苗植付時には、成熟した作物を収穫するに適した大きさの孔をフィルムに同時に形成させて、収穫時での作業能率を向上させると共に、植付爪の内外側に付着する泥土を掻き落すスクレーパを植付爪の略中心線上に設置する場合にも不都合とさせることなく容易に設置可能とさせて、植付精度を安定維持させるものである。
【0004】また、植付爪の前開孔体の左右一側に前端を前方に延出させる前マルチカッタを設けると共に、後開孔体の左右他側に後端を後方に延出させる後マルチカッタを設けて、例えば玉ネギ苗のように短株間で植付けた場合でも、前後移植孔の前マルチカッタで形成されたスリット孔と、後マルチカッタで形成されたスリット孔とが反対方向となって前後でつながらず、有効に長いスリット孔を開設可能とさせて収穫作業時での作業能率を向上させるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1は全体の側面図、図2は同平面図、図3は同背面図、図4は移植部の側面図、図5は同平面図である。図中(1)は作業者が搭乗する走行車であるトラクタであり、前後輪(2)(3)と操向ハンドル(4)と運転席(5)などを備えると共に、前記ハンドル(4)前側のボンネット(6)両側に左右予備苗台(7)を、またボンネット(6)内側にエンジンをそれぞれ配設させ、トラクタ(1)の後部に昇降リンク機構(8)を介し2条植え用の左右一対の植付ユニット(9a)(9b)を有する野菜苗(A)の移植機(10)を装備させている。
【0006】前記移植機(10)は、植付ユニットフレーム(11)と、該フレーム(11)に上下苗台レール(12)(13)を介して前後方向に往復摺動させる苗載台(14)と、苗載台(14)上面の苗トレイ(15)から1株分のポット苗を取出す箸形苗取出爪(16)と、該取出爪(16)からポット苗を受取って圃場面に植付けるホッパ開孔形苗植付爪(17)と、植付爪(17)の苗植付部前方の圃場面を鎮圧する均平ローラ(18)と、苗植付爪(17)によって植付けられたポット苗の覆土を行う左右一対の培土ローラ(19)(19)と、植付ミッションケース(20)とを各植付ユニット(9a)(9b)にそれぞれ備えている。
【0007】また、昇降リンク機構(8)に連結支持するツールバー(21)に、締結板(22)を介して左右の植付ユニット(9a)(9b)を条間調節可能に装着させると共に、締結板(22)に支持する植付ミッションケース(20)の横駆動軸(23)回りに植付ユニット(9a)(9b)の前端側を上下揺動自在に支持させ、前記トラクタ(1)のミッションケース(24)後面に突出させるPTO軸に自在継手軸を介し昇降リンク機構(8)に連結するT形のギヤケース(25)の植付入力軸(26)を連動連結させて、各植付ユニット(9a)(9b)の駆動を行うように構成している。
【0008】そして、前記植付ミッションケース(24)から各駆動部に駆動力を伝え、苗取出爪(16)及び植付爪(17)を所定軌跡上で苗取出及び苗植付の各動作を夫々行わせると共に、苗載台(14)の前後方向往復移動による苗横送り並びに苗載台(14)傾斜下端側への苗トレイ(15)移動による苗縦送りの各動作を夫々行わせ、所定植付け間隔でポット苗を圃場面に連続的に植付けるように構成している。
【0009】図6乃至図9に示す如く、前記苗植付爪(17)は2つ割りの逆円錐形の前後開孔体(27a)(27b)を前後逆方向に回動させて開閉を行うもので、前記ミッションケース(24)からの駆動力を植付伝動ケース(28)・ロータリケース(29)・クランクアーム(30)・植付アーム(31)を介し苗植付爪(17)に伝達して、ロータリケース(29)の1回転中において苗植付爪(17)が上昇したとき、苗取出爪(16)から苗(A)を受取り、苗植付爪(17)が下降したときクランクアーム(30)のカム(32)と植付アーム(31)のロッド(33)とのカム作用によって、苗植付爪(17)の半割の開孔体(27a)(27b)を前後に開動させて畦(M)に苗植付孔を開孔させ、苗植付爪(17)内部の苗(A)を畦(M)の苗植付孔に落下させて苗(A)の植付けを行うように構成している。
【0010】また、前記苗植付爪(17)の前後開孔体(27a)(27b)には、畦(M)の作物栽培面上を被覆するマルチフィルム(34)を切断する2枚の薄板状マルチカッタ(35)(36)をそれぞれ固設するもので、前開孔体(27a)の下半部で左外側に一方のマルチカッタ(35)の前端を開孔体(27a)より前方に延出させる状態に固設すると共に、後開孔体(27b)の下半部で右外側に他方のマルチカッタ(36)の後端を開孔体(27b)より後方に延出させる状態に固設させ、これら前後マルチカッタ(35)(36)の下側縁をそれぞれ前上り及び後上り傾斜面(35a)(36a)に形成して、図8に示す如く苗植付爪(17)がフィルム(34)を介し地面に突入してフィルム(34)に移植孔(37)を開設するとき、前後マルチカッタ(35)(36)によって移植孔(37)の中心より左右にオフセットさせたスリット孔(38)(39)を開設して、玉ネギなどの収穫時において移植孔(37)から玉ネギの球部が抜け難い場合にもその孔(37)サイズを拡大させて、その容易な収穫を可能とさせるように構成している。
【0011】また前記マルチカッタ(36)で開設するスリット孔(38)(39)は移植孔(37)を中心とした左右オフセット位置で前後反対方向に形成されるため、玉ネギのような株間の短い植付条件の場合でも、前後のスリット孔(38)(38)・(39)(39)をラップ(連がる)させることなく有効に間隔(T)をあけた状態で長いスリット孔(38)(39)に設けて、玉ネギなど作物の引抜きを一層容易とさせるように構成したものである。
【0012】さらに、このようなマルチカッタ(35)(36)にあって、苗植付爪(17)の泥土などを掻き落すゴム板製の前後スクレーパ(40)(41)を苗植付爪(17)の中心線上に設ける場合にも、マルチカッタ(35)(36)との干渉を回避させて、このスクレーパ(40)(41)の支障のない設置を可能とさせるもので、前記伝動ケース(28)に前端側に固設する植付ガードフレーム(42)に支軸(43)などを介し前スクレーパ(40)を連結固定させると共に、後スクレーパ(41)を支軸(44)などを介し後方に移動自在に連結させ、前後開孔体(27a)(27b)を閉状態で下降させるときには前後スクレーパ(40)(41)間を通過させて、この外側に付着する泥土をスクレーパ(40)(41)によって掻き落す一方、前後開孔体(27a)(27b)を開状態で上昇させるときには、後スクレーパ(41)の前後を前後開孔体(27a)(27b)の内側が通過して、この内側に付着する泥土を後スクレーパ(41)によって掻き落して、苗植付爪(17)に泥土が付着するのを防止するように構成している。
【0013】本実施例は上記の如く構成するものにして、玉ネギの保温及び雑草の繁茂を押えるのを目的としたマルチ栽培での苗植付け時に、苗植付爪(17)に固設するマルチカッタ(35)(36)によってマルチフィルム(34)に移植孔(37)とスリット孔(38)(39)の開孔が同時に行われて、玉ネギの収穫時に玉ネギの球部の大きさが略2倍乃至3倍に生育していても、フィルム(34)に玉ネギ球部が引掛ることのないスムーズな引抜きが、極めて簡単な手段で行われるものである。
【0014】また、前後マルチカッタ(35)(36)は苗植付爪(17)を中心に左右にオフセットさせ、且つ前後対称位置に設けて、玉ネギのような短株間でも左及び右側の前後スリット孔(38)(38)及び(39)(39)が連がることのない長い孔形状の形成が行われて、マルチ被覆効果の安定維持と収穫作業での能率向上化を図ることができるものである。
【0015】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、苗載台(14)からの野菜苗(A)を開孔式植付爪(17)でもって圃場に植付けるようにした野菜移植機において、圃場の作物栽培面を覆うマルチフィルム(34)の切断用マルチカッタ(35)(36)を植付爪(17)の中心より左右にオフセットさせて一体的に設けたものであるから、植付爪(17)による苗植付時には、成熟した作物を収穫するに適した大きさのフィルム(34)に同時に形成させて、収穫時での作業能率を向上させると共に、植付爪の内外側に付着する泥土を掻き落すスクレーパ(40)(41)を植付爪(17)の略中心線上に設置する場合にも不都合とさせることなく容易に設置可能とさせて、植付精度を安定維持させることができるものである。
【0016】また、植付爪(17)の前開孔体(27a)の左右一側に前端を前方に延出させる前マルチカッタ(35)を設けると共に、後開孔体(27b)の左右他側に後端を後方に延出させる後マルチカッタ(36)を設けたものであるから、例えば玉ネギ苗(A)のように短株間で植付けた場合でも、前後移植孔(37)の前マルチカッタ(35)で形成されたスリット孔(38)と、後マルチカッタ(36)で形成されたスリット孔(38)とが反対方向となって前後でつながらず、有効に長いスリット孔(38)(39)を開設可能とさせて収穫作業時での作業能率を向上させることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成10年9月4日(1998.9.4)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2000−78932(P2000−78932A)
【公開日】 平成12年3月21日(2000.3.21)
【出願番号】 特願平10−267457