| 【発明の名称】 |
土壌の温度制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】原川 健一
【氏名】斉藤 俊夫
【氏名】水谷 敦司
【氏名】樋口 祥明
【氏名】高橋 紀行
【氏名】三輪 隆
【氏名】稲岡 徹
【氏名】佐久間 護
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| 【要約】 |
【課題】電磁波を使用することで、土壌の遠隔加温が可能な土壌の温度制御装置を得る。
【解決手段】サッカー場10のグランド12には芝生20が育成されると共にカーボンファイバーが混入されている。サッカー場10には、フェーズドアレイアンテナ26が配設されている。ここで、フェーズドアレイアンテナ26から電磁波の照射角度を変えることによりグランド12の全域に電磁波を照射する。そして、グランド12の中に混合されたカーボンファイバーが電磁波を吸収して発熱することにより、熱交換作用によってグランド12の全域が加温される。これにより、芝生20の育成を増進させることができる。また、芝生20を植え替える際には、グランド12を高温に加熱することにより、グランド12の土壌殺菌をすることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 土壌に混在又は積層されて配設され、電磁波を吸収し発熱する電磁波吸収部材と、前記土壌に対応して設置され、前記土壌の領域の一部の範囲へ電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記土壌の領域の全てに前記電磁波照射手段から出力される電磁波が行き渡るように照射範囲をスキャニングするスキャニング手段と、を有する土壌の温度制御装置。 【請求項2】 土壌に混在又は積層されて配設され、電磁波を吸収し発熱する電磁波吸収部材と、前記土壌に対応して設置され、前記土壌の領域の一部の範囲へ電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記土壌の領域の全てに前記電磁波照射手段から出力される電磁波が行き渡るように照射範囲をスキャニングするスキャニング手段と、前記電磁波照射手段による電磁波照射範囲内における前記土壌の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段が検出した検出温度に基づいて、各電磁波照射範囲内での前記電磁波照射手段による電磁波の出力強度を制御する出力強度制御手段と、を有する土壌の温度制御装置。 【請求項3】 前記スキャニング手段が、前記電磁波照射手段を土壌全域を見渡せる高架位置に配設するための高架台と、前記高架台に設けられた前記電磁波照射手段の電磁波の照射方向を変更する変更手段と、で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の土壌の温度制御装置。 【請求項4】 前記スキャニング手段が、前記電磁波照射手段の照射面を前記土壌に接近かつ対向させて搭載し、土壌領域内を移動する移動体であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の土壌の温度制御装置。 【請求項5】 前記土壌の所定深さ位置に配設され、前記土壌表層部から入射した電磁波を反射する反射部材を、さらに有する請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の土壌の温度制御装置。 【請求項6】 前記反射部材がメッシュ状の電磁シールド板であり、前記反射部材の表裏間での水分を含む栄養分の流動を妨げないことを特徴とする請求項5記載の土壌の温度制御装置。 【請求項7】 前記電磁波照射手段による電磁波照射範囲内における予め定められた対象物の有無を検出する対象物検出手段と、前記対象物検出手段が前記対象物を検出した場合に、電磁波の照射を制限する制限手段と、をさらに有する請求項1乃至請求項6のいずれか1項記載の土壌の温度制御装置。 【請求項8】 前記電磁波吸収部材の前記土壌の深さ方向の密度を変化させ、前記土壌の深さ方向の発熱分布を調整することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の土壌の温度制御装置。 【請求項9】 前記土壌を生物が生息できない温度まで加熱することを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の土壌の温度制御装置。 【請求項10】 前記土壌で栽培植物を栽培する前または前記土壌で前記栽培植物を栽培後植え替える前に、前記土壌を前記生物が生息できない温度まで加熱することを特徴とする請求項9記載の土壌の温度制御装置。 【請求項11】 栽培植物の根元及び前記根元の近傍以外の部位に前記電磁波吸収部材を配設したことを特徴とする請求項9記載の土壌の温度制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、植物が育成または栽培される土壌の加温を行う場合の土壌の温度制御装置に関する。 【0002】なお、本明細書では、作物や園芸植物などの土壌で栽培される植物を「栽培植物」という。 【0003】 【従来の技術】従来より、積雪寒冷地において、サッカー場、ゴルフ場、及びパークゴルフ場等の芝生地は、晩秋期から早春期までの約5ヶ月間、土壌の凍結や積雪のため使用できなくなる。このため、温水を通すパイプを土壌中に敷設する方法(以下、「温水方法」という)及び、電熱線や発熱体を土壌中に敷設する方法(以下、「土壌発熱方法」という)により、土壌を加温していた。 【0004】また、積雪寒冷地に限らず他の地域でも、土壌の温度制御が容易にできることは良好な植物育成に有効である。 【0005】一方、作物や園芸植物などの栽培植物を栽培する土壌では、土壌に病害虫(昆虫等)、病害微生物、雑草および雑草の種子または残留根(以下、これらを総称して「有害生物」という)が存在すると、これらは栽培に対する大きな阻害要因となる。特に、近年、安全志向・健康志向など農作物に対する消費者のニーズが多様化し有機農業への期待が高まっているが、この有機農業を行う場合には、土壌に有機物を供給し続け、同一作物の作物種を長年栽培していると、必然的に病害微生物が繁殖し、栽培に大きな困難を生ずる。これを解消するためには、土壌の病害微生物を一旦すべて殺滅する必要が生じる。 【0006】ここで、これらの有害生物に対する対策としては、被害を受けた栽培植物の除去、病害虫の生息場所の除去・焼却、または冬季耕運による有害生物の生息密度低下を行う耕種的対策、土壌にビニールを敷き詰めて太陽熱を利用することにより地表面温度を高めて土壌の消毒を行う物理的対策、土壌に殺菌・殺虫・除草剤を注入する化学的対策、病害虫の天敵や病害微生物の拮抗菌を利用する生物的対策、及び人為的に雑草等を除去する人為的対策がある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、土壌を加温する方法として、上記温水方法では、温水の日常管理が必要であり、さらに、加温時パイプを流れる温水の温度降下により均一な加温ができない。また、上記温水方法及び土壌発熱方法のいずれの方法においても、土壌中にパイプ等を敷設するので、パイプ等の事故発生時には対応が困難である。 【0008】一方、有害生物に対する対策として、上記耕種的対策では、被害を受けた栽培植物や有害生物を発見しなければならないため作業性が悪く、しかもこれらの存在の見落としが不可避で完全な対策とはならない。上記物理的対策では、夏期の晴れた日以外は太陽熱の熱量不足で使用できず季節や天候に影響を受け、また、使用済みのビニールが汚染源になる。さらに、地面近傍の浅い部分のみの消毒しかできず、地中の深い部分は消毒できない。上記化学的対策では、環境との調和からは最も容認しがたい方法であり、繰り返して実施すると土壌や地下水の汚染が累積し、薬剤によっては人体への悪影響も無視できない。また、有機農業での薬剤の投入は有機農業の目的から逸脱し、しかも、薬剤の殺滅作用が継続する期間は有用微生物も生存できない。上記生物的対策では、有効な有害生物の範囲が極めて選択的で狭いため全般的な土壌消毒にはならず、しかも病害虫の天敵や病害微生物の拮抗菌が必要であるため高コストである。上記人為的対策では、人手の確保が困難であり、しかも、栽培の管理コストに占める人件費が多大なものとなる。 【0009】ところで、土壌を有害生物が生息できない温度まで加熱できれば、土壌に存在する有害生物を殺滅することが可能である。 【0010】本発明は、上記事実を考慮し、電磁波を使用することで土壌の遠隔加温が可能な土壌の温度制御装置を得ることが目的である。 【0011】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、土壌に混在又は積層されて配設され、電磁波を吸収し発熱する電磁波吸収部材と、前記土壌に対応して設置され、前記土壌の領域の一部の範囲へ電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記土壌の領域の全てに前記電磁波照射手段から出力される電磁波が行き渡るように照射範囲をスキャニングするスキャニング手段と、を有している。 【0012】請求項1に記載の発明によれば、土壌に対応して配置された電磁波照射手段より土壌の領域の全てに電磁波が行き渡るように照射範囲をスキャニングすることで土壌に配設された電磁波吸収部材に電磁波を照射し、電磁波吸収部材が電磁波を吸収し発熱することにより熱交換作用によって土壌を加温する。従って、土壌と離れた位置から土壌を加温でき、かつ、広い領域の土壌の加温が可能となる。 【0013】請求項2に記載の発明は、土壌に混在又は積層されて配設され、電磁波を吸収し発熱する電磁波吸収部材と、前記土壌に対応して設置され、前記土壌の領域の一部の範囲へ電磁波を照射する電磁波照射手段と、前記土壌の領域の全てに前記電磁波照射手段から出力される電磁波が行き渡るように照射範囲をスキャニングするスキャニング手段と、前記電磁波照射手段による電磁波照射範囲内における前記土壌の温度を検出する温度検出手段と、前記温度検出手段が検出した検出温度に基づいて、各電磁波照射範囲内での前記電磁波照射手段による電磁波の出力強度を制御する出力強度制御手段と、を有している。 【0014】請求項2に記載の発明によれば、検出した土壌の温度に基づいて電磁波照射手段による電磁波の出力強度を制御できるので、土壌の温度を場所によって調整することができる。これにより、土壌に植えられた植物の育成の速さを場所により調整することができる。 【0015】請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の土壌の温度制御装置において、前記スキャニング手段が、前記電磁波照射手段を土壌全域を見渡せる高架位置に配設するための高架台と、前記高架台に設けられた前記電磁波照射手段の電磁波の照射方向を変更する変更手段と、で構成されていることを特徴としている。 【0016】請求項3に記載の発明によれば、電磁波照射手段を高架台に固定しても、高架台から照射方向を変更して電磁波を照射するので、土壌全域を加温することができる。 【0017】請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の土壌の温度制御装置において、前記スキャニング手段が、前記電磁波照射手段の照射面を前記土壌に接近かつ対向させて搭載し、土壌領域内を移動する移動体であることを特徴としている。 【0018】請求項4に記載の発明によれば、電磁波照射手段を搭載する移動体が、電磁波照射手段の照射面を土壌に接近かつ対向させた状態で、土壌領域内を移動して電磁波を照射するので、土壌全域を加温することができる。 【0019】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の土壌の温度制御装置において、前記土壌の所定深さ位置に配設され、前記土壌表層部から入射した電磁波を反射する反射部材を、さらに有している。 【0020】請求項5に記載の発明によれば、電磁波吸収部材が、電磁波照射手段から直接照射された電磁波を吸収した後、土壌の所定深さ位置に配設された反射部材より反射された電磁波を再度吸収するので、電磁波吸収部材が効率的に電磁波を熱に変換し、エネルギー効率を向上させることができる。 【0021】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の土壌の温度制御装置において、前記反射部材がメッシュ状の電磁シールド板であり、前記反射部材の表裏間での水分を含む栄養分の流動を妨げないことを特徴としている。 【0022】請求項6に記載の発明によれば、反射部材を土壌底部に配設しても、反射部材が水分を含む栄養分の流動を妨げないので、効率的に土壌の排水ができる。 【0023】請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の土壌の温度制御装置において、前記電磁波照射手段による電磁波照射範囲内における予め定められた対象物の有無を検出する対象物検出手段と、前記対象物検出手段が前記対象物を検出した場合に、電磁波の照射を制限する制限手段と、をさらに有している。 【0024】請求項7に記載の発明によれば、電磁波照射範囲内に所定の対象物がある場合には電磁波の照射を制限するので、電磁波照射範囲内に例えば人がいる場合、人に対する電磁波の照射を制限することができる。 【0025】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の土壌の温度制御装置において、前記電磁波吸収部材の前記土壌の深さ方向の密度を変化させ、前記土壌の深さ方向の発熱分布を調整することを特徴としている。 【0026】請求項8に記載の発明によれば、電磁波吸収部材の土壌の深さ方向の密度を調整することで、土壌の温度を土壌の深度に応じて植物の育成に適すような温度分布とすることができるので、植物の育成を増進させることができる。 【0027】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の土壌の温度制御装置において、前記土壌を生物が生息できない温度まで加熱することを特徴としている。 【0028】請求項9に記載の発明によれば、土壌を生物が生息できない温度まで加熱するため、土壌に存在する有害生物を殺滅することができる。 【0029】請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の土壌の温度制御装置において、前記土壌で栽培植物を栽培する前または前記土壌で前記栽培植物を栽培後植え替える前に、前記土壌を前記生物が生息できない温度まで加熱することを特徴としている。 【0030】請求項10に記載の発明によれば、土壌で栽培植物を栽培する前または土壌で栽培植物を栽培後植え替える前には、土壌には栽培植物が栽培されていない。したがって、栽培植物が栽培されていない状態で土壌を加熱するため、栽培植物を殺滅することを防止できる。 【0031】請求項11に記載の発明は、請求項9に記載の土壌の温度制御装置において、栽培植物の根元及び前記根元の近傍以外の部位に前記電磁波吸収部材を配設したことを特徴とする。 【0032】請求項11に記載の発明によれば、栽培植物の根元及び根元の近傍以外の部位を加熱するため、栽培植物の根元及び根元の近傍は加熱されず、したがって、栽培植物を殺滅することを防止できる。 【0033】 【発明の実施の形態】[第1の実施の形態]図1に、本発明の第1の実施の形態に係るサッカー場10の概略全体構成図を示す。 【0034】図1のように、サッカー場10は、土壌としてのグランド12、観客を動員するスタンド13、及びグランド12とスタンド13を区切り、グランド12を取り囲むフェンス14を含んで構成されている。 【0035】グランド12は、サッカーのルールにのっとった長辺寸法、短辺寸法とされた長方形をしており、サイドライン15、センターライン16、エンドライン17、及びセンターサークル18等が白線で引かれており、両エンドライン17上にはゴール19が配設されている。 【0036】また、スタンド13は、グランド12の外側に、グランド12を取り囲むように方形に形成されており、傾斜が設けられ、グランド12から遠方になるほど、グランド12より高くなっている。 【0037】図2(A)に、グランド12の断面図を示す。 【0038】図2(A)のように、グランド12には、芝生20が育成されている。また、グランド12は、電磁波吸収部材としてのカーボンファイバー32を混合した土壌であって、芝生20を育成する床土層34、及び床土層34の下層で石38が敷きつめられた排水層36からなる。 【0039】ここで、カーボンファイバー32は、電磁波を吸収することで発熱する性質を有し、電磁波を吸収し発熱することで熱交換作用によりグランド12を加温することができる。また、土壌に混合されるカーボンファイバー32の密度が高いほど、電磁波の吸収率が大きくなる性質も有している。 【0040】図2(B)に、床土層34における土壌の深度と芝生20の育成に適した土壌の温度との関係を表すグラフを示す。 【0041】図2(B)では、縦軸を土壌の深度、横軸を土壌の温度としており、また、土壌の表層面を原点としている。また、縦軸の土壌の深度は、図2(A)の土壌の深度に合わせてとっている。 【0042】図2(B)のような温度分布(すなわち、表層面近傍が比較的高温で、深低部が比較的低温)になるのが芝生20の良好な育成に適しているため、図2(B)のような温度分布になるように、高い温度を必要とする所ほどカーボンファイバー32の密度が高くなるように、カーボンファイバー32が土壌に混合されている。 【0043】また、図1のスタンド13の両側面上部には、それぞれ、図3のように電球22がマトリックス状に配列された高架台としての照明灯24が建てられており、照明灯24の上部には、電磁波を照射する電磁波照射手段としてのフェーズドアレイアンテナ26が配設されている。 【0044】ここで、フェーズドアレイアンテナ26は、素子アンテナとしてホーンアンテナ30が平面的に複数配列され、この配列は固定されている。そして、各ホーンアンテナ30の励振位相を変化させることによって照射方向を空間の任意の方向に変えることができる。従って、フェーズドアレイアンテナ26を照明灯24に固定しても、電磁波の照射方向を変えることでグランド12全体に電磁波を照射することができる。 【0045】また、図1のスタンド13の上部にはグランド12の温度分布を検出する温度検出手段、及びグランド12内に侵入した人等電磁波を照射してはいけない対象物を検出する対象物検出手段としてのサーモビューア28が備え付けられている。 【0046】ここで、サーモビューア28は、物体が放射する赤外線を検出することにより、該物体の温度を検出するものである。従って、グランド12の温度分布を検出することができる他、人等の温度を検出することによりグランド12内に存在する人等も検出することができる。 【0047】なお、温度検出手段としてサーモビューア28に代えて、音による温湿度分布計測装置を使用してもよい。ここで、温湿度分布計測装置は、土壌中の音の伝搬速度が、土壌の温湿度により変化することを利用して、音速センサにより土壌中の音の伝搬速度を計測することで、土壌の温湿度分布を計測するものである。 【0048】また、対象物検出手段としてサーモビューア28に代えて、可視光カメラを使用してもよい。ここで、可視光カメラは、人等電磁波を照射してはいけない対象物を映像に撮影することにより、該対象物を検出するものである。 【0049】また、図2(A)のように、床土層34と排水層36の間には、グランド12の表層部から入射した電磁波を反射する反射部材としてのメタルメッシュ40が敷設されている。ここで、メタルメッシュ40は、照射する電磁波の波長の1/20以下の穴41を有し、電気的に十分に導通させ、かつ、土壌中での腐食を防止するため腐食対応処理がなされている。なお、メタルメッシュ40は穴41を有するので、芝養成用の水や雨水等を通すことができる。また、メタルメッシュ40が有する穴41の大きさを照射する電磁波の波長の1/20以下に限定するのは、穴41の大きさが電磁波の波長の1/20を越えると、電磁波がメタルメッシュ40から漏れだすことが有限要素法の電磁波解析シミュレーションで確認されているからである。さらに、メタルメッシュ40を電気的に十分に導通させるのは、メタルメッシュ40を電気的に一本化させることで、電磁波がメタルメッシュ40から漏れだすのを防止できるからである。 【0050】また、反射部材としてメタルメッシュ40の代わりに、照射する電磁波の波長の1/20以下の穴が開けられており、電気的に十分に導通させ、かつ、土壌中での腐食を防止するための腐食対応処理がなされたパンチスルーメタルを使用してもよい。このパンチスルーメタルによっても、芝養成用の水や雨水等を通すことができ、かつ、電磁波がパンチスルーメタルから漏れだすのを防止できる。 【0051】さらに、反射部材として、メタルメッシュ40の代わりに金属反射板を使用してもよい。しかし、芝養成用の水や雨水等を通すためには、穴を開けるための加工作業が必要であり、煩雑である。 【0052】図4に、制御装置42のブロック図を示す。 【0053】図4のように、照射する電磁波の出力強度を制御する出力強度制御手段、及び電磁波を照射する対象物により電磁波の照射を制限する制限手段としての制御装置42には、電磁波を出力する電磁波発振電源44が接続され、電磁波照射電源44には、フェーズドアレイアンテナ26が接続されている。また、制御装置42には、サーモビューア28で検出したグランド12の温度分布やグランド12内に存在する人等電磁波を照射してはいけない対象物を画像に変換する画像処理装置46が接続され、画像処理装置46には、サーモビューア28が接続されている。なお、電磁波発振電源44は、電力を供給する電源、電磁波を発振するマグネトロン等で構成され、電磁波を出力する。 【0054】以下、第1の実施の形態におけるエネルギー効率を、下表(表1)に従って説明する。左欄における効率の最小値を右欄の左に示し、最大値を右欄の右に示す。 【0055】 【表1】
【0056】従って、全体のエネルギー効率は、およそ70.5〜85.1%であり、高いエネルギー効率が得られる。 【0057】以下、第1の実施の形態の作用を説明する。 【0058】サーモビューア28によりグランド12の温度分布やグランド12内への人の侵入等を検出し、画像処理装置46を通して画像確認する。 【0059】グランド12内への人の侵入を確認したときは、制御装置42より制御して人を避けてフェーズドアレイアンテナ26からグランド12に電磁波を照射するか、フェーズドアレイアンテナ26からの電磁波の照射を停止する。また、必要に応じて関係部署に連絡する。 【0060】このように、人への電磁波の照射を防止することができる。 【0061】一方、グランド12内への人の侵入がないと確認したときは、サーモビューア28により検出されたグランド12の温度分布にしたがって、低温区域を中心に電磁波を照射する。 【0062】ここで、電磁波は電磁波発振電源44より出力され、フェーズドアレイアンテナ26により電磁波をスキャニングしてグランド12に照射する。このとき、グランド12の温度分布が均一になるように制御装置42においてフェーズドアレイアンテナ26から照射される電磁波の出力強度を照射電力、スキャニング速度、及び電磁波収束度より制御して、低温区域を中心に電磁波を照射する。 【0063】そして、照射された電磁波は、グランド12に混合されたカーボンファイバー32に吸収され、カーボンファイバー32が発熱し、熱交換作用によりグランド12が加温される。 【0064】このように、グランド12の温度分布が均一になるように加温できるので、芝生20を場所によらず均一の速さで育成することができる。 【0065】また、グランド12の床土層34の下に敷設されたメタルメッシュ40により、グランド12の表層部から入射した電磁波が反射され、電磁波は再度カーボンファイバー32に吸収される。そして、上述のように、グランド12の表層部から入射した電磁波のカーボンファイバー32の吸収効率は94%〜98%であり、メタルメッシュ40に反射された後グランド12の外にでる電磁波はほとんど存在しない。 【0066】このように、メタルメッシュ40が電磁波を反射するので、電磁波が土壌中を通る道のりを2倍にすることができ、効率的に電磁波を熱に変換することができる。 【0067】また、グランド12には深度に応じてカーボンファイバー32の密度が調整して混合されているため、グランド12の温度は、深度に応じて図2(B)のような芝生20の育成に適した温度分布となるように加温される。従って、グランド12に植えられた芝生20の育成を増進させることができる。 【0068】なお、芝養成用の水や雨水等は、メタルメッシュ40の穴41を通して排水層38に排水される。従って、グランド12の排水を効率的に行うことができる。 【0069】また、グランド12が凍結や積雪した場合は、フェーズドアレイアンテナ26から電磁波を照射してグランド12上の氷や雪が融解するまでグランド12を加温する。これにより、グランド12が凍結や積雪した場合でもグランド12の使用を可能にすることができる。 【0070】さらに、グランド12の芝生20を植え替える場合は、フェーズドアレイアンテナ26から電磁波を照射してグランド12を高温になるまで加熱する。これにより、グランド12において、土壌殺菌をすることができる。 【0071】以上のように、本実施の形態によれば、グランド12のフェーズドアレイアンテナ26からの遠隔加温が可能となり、かつ、グランド12全体を芝生20の育成に必要な温度まで加温することができる。 【0072】さらに、土壌にはカーボンファイバー32のみが配設されるので、パイプ等を配設するのとは異なり、土壌中で事故が発生することはなく、土壌の温度制御装置の管理が容易となり、また、管理費用を低く押さえることができる。これにより、土壌の温度制御装置を長期間安定して動作させることができる。 (変形例)本変形例では、電磁波照射手段としてフェーズドアレイアンテナ26の代わりに、パラボラアンテナ48を使用する。パラボラアンテナ48は、図5のように、図1のフェーズドアレイアンテナ26と同様に、照明灯24の上部に配設されている。 【0073】図6のように、パラボラアンテナ48は、軸50、放物面の反射鏡52、軸50と反射鏡52の接合部54、及び一次放射器56で構成されている。そして、一次放射器56の放射面58は、反射鏡52の方物面の焦点の位置に固定されている。また、接合部54にボールジョイント等が適用され、反射鏡52は、接合部54を中心に自由に首振り運動させることができる。 【0074】本変形例では、一次放射器56より放射された電磁波が反射鏡52に反射され、該反射された電磁波が、グランド12に照射される。ここで、反射鏡52を自由に首振り運動させることにより電磁波の照射方向を変えることができるので、グランド12の全てに電磁波を照射することができる。 【0075】従って、本変形例では、パラボラアンテナ48の軸50を一定の位置に固定しても、反射鏡52を自由に首振り運動させることで電磁波をスキャニングしてグランド12全体に照射することができる。 【0076】なお、上記ではフェーズドアレイアンテナ26、パラボラアンテナ48の位置を固定する構造を示したが、グランド12の一対のサイドライン15に沿ってガイドレールを配し、このガイドレール間にガイドレールに沿って移動可能なバーを掛け渡し、さらに、このバーにエンドライン17に沿って移動可能なブロックを配設して、いわゆるXYプロッターの如き構造としてもよい。この場合、前記ブロックにホーンアンテナ30を取り付けることにより、ホーンアンテナ30をグランド12全域に亘って移動させることが可能である。 【0077】次に、本発明の他の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態では、上記第1の実施の形態で説明した構成と基本的に同一構成部品については同一の符号を付し、その構成を省略する。 [第2の実施の形態]以下に、本発明の第2の実施の形態に係るゴルフ場66について説明する。 【0078】図7にゴルフ場66の概略構成図を示す。 【0079】図7のように、ゴルフ場66の18のホール68の各グリーン70上にはポール72が立てられている。 【0080】また、ゴルフ場66の土壌74には芝生20が育成されている。ここで、ゴルフ場66の土壌74の断面図、及び芝生20の育成に適した土壌74の深度と温度との関係は、それぞれ、第1の実施の形態における図2(A)、及び図2(B)と同じであるので省略する。 【0081】また、電磁波照射手段として、図8(B)のように素子アンテナとしてのホーンアンテナ60を複数有する電磁波照射源62を図8(A)に示す軽トラック76の底部77に取り付けたものを使用する。 【0082】本実施の形態では、軽トラック76がゴルフ場66内を隈なく走り回ることにより、ゴルフ場66の各ホール68に電磁波を照射することができる。 【0083】また、土壌74の温度を検出する温度検出手段として、図9のような熱電対78を使用する。ここで、熱電対78は、金属線80と金属線80と異なる種類の金属線82の2本の金属線を両端で接合し、2接合点84間に温度差があるときに流れる電流を計測することにより土壌74の温度を検出するものである。この場合、2つの接合点84のうち、一方の接合点84は0℃に保ち、他方の接合点84は測定しようとする土壌74中の地点に接触させる。 【0084】ここで、熱電対78はゴルフ場66の各ホール68内の複数の地点に配設され、ゴルフ場66の各ホール68の土壌74の温度分布が検出できるようになっている。 【0085】図10に、本実施の形態における制御装置42のブロック図を示す。 【0086】図10のように、出力強度制御手段としての制御装置42には、電磁波発振電源44が接続され、電磁波発振電源44には電磁波照射源62が接続されている。また、制御装置42には、熱電対78で検出したゴルフ場66の土壌74の温度分布を画像に変換する画像処理装置46が接続されている。なお、制御装置42、電磁波発振電源44、及び画像処理装置46は、軽トラック76に備えつけられている。また、熱電対78により検出されたゴルフ場66の土壌74の温度分布は軽トラック76に備えつけられた画像処理装置46に電波で通信され、軽トラック76の車内でゴルフ場66の各ホール68の土壌74の温度分布を認識できるようになっている。 【0087】以下、第2の実施の形態の作用を説明する。 【0088】熱電対78によりゴルフ場66の各ホール68の土壌74の温度分布を検出し、これを軽トラック76に通信し、画像処理装置46を通して軽トラック76内で画像確認する。 【0089】そして、ゴルフ場66の各ホール68の土壌74の温度分布に従い、土壌74の温度が均一になるように、軽トラック76でゴルフ場66内を隈なく動いて、軽トラック76の底部77に取り付けられた電磁波照射源62より電磁波を土壌74に照射する。 【0090】このとき、ゴルフ場66の各ホール68の土壌74の温度分布にしたがって制御装置42において、電磁波発振電源44より出力され土壌74に照射される電磁波の出力強度を照射電力、電磁波収束度、及び軽トラック76の速度より制御し、土壌74の低温区域に出力強度が大きくなるように電磁波を照射する。 【0091】そして、照射された電磁波は、土壌74に混合されたカーボンファイバー32に吸収され、カーボンファイバー32が発熱し、熱交換作用により土壌74が加温される。 【0092】このように、土壌74の温度分布が均一になるように加温できるので、芝生20を場所によらず均一の速さで育成することができる。 【0093】また、第1の実施の形態と同様に、土壌74の表層部から入射した電磁波が床土層34の下のメタルメッシュ40により反射され、電磁波は再度カーボンファイバー32に吸収される。そして、メタルメッシュ40に反射された後土壌74の外にでる電磁波はほとんど存在せず、効率的に電磁波を熱に変換する。 【0094】さらに、土壌74には深度に応じてカーボンファイバー32の密度が調整して混合されているため、土壌74の温度は、深度に応じて図2(B)のような芝生20の育成に適した温度分布となるように加温され、芝生20の育成を増進させる。 【0095】なお、芝養成用の水や雨水等は、メタルメッシュ40の有する穴41を通して効率的に排水層36に排水される。 【0096】また、ゴルフ場66の土壌74が凍結や積雪した場合は、土壌74上の氷や雪が融解するまで土壌74を加温し、ゴルフ場66の使用を可能にする。 【0097】さらに、芝生20を植え替えるときは土壌74が高温になるまで加熱し、ゴルフ場66の土壌74の殺菌をする。 【0098】このように、本実施の形態によれば、軽トラック76をゴルフ場66の各ホール68に隈なく動かすことにより、膨大な面積を有するゴルフ場66に点在する各ホール68の土壌74全体に電磁波を照射でき、かつ、ゴルフ場66の各ホール68の土壌74を芝生20の育成に必要な温度まで加温することが可能である。 【0099】さらに、土壌74にはカーボンファイバー32が配設されるのみであるので、パイプ等を配設するのとは異なり、土壌74中で事故が発生することはなく、土壌の温度制御装置の管理が容易となり、また、管理費用を低く押さえることができる。これにより、土壌の温度制御装置を長期間安定して動作させることができる。 [第3の実施の形態]図11には、本発明の土壌の温度制御装置が適用された第3の実施の形態に係る野菜畑100の主要部の概略構成が断面図にて示されている。 【0100】野菜畑100の土壌102では、栽培植物としての野菜104が栽培されている。野菜104は有機農業によって栽培されており、土壌102には有機物が供給され続け、同一の野菜104が長年栽培されている。また、土壌102には図示しない雑草が発育している。 【0101】土壌102の表面には発熱部位106が設置されている。発熱部位106は、土壌102に重量比0.01〜10%でカーボンファイバー32を混合し、厚さを1cm〜3cm程度にして構成されている。カーボンファイバー32は、土壌102中で安定しており、かつ、流亡しにくく、しかも、野菜104の栽培阻害要因にはならない性質を有している。また、発熱部位106は、野菜104の根元108及び根元108近傍以外の部位に設置されている。 【0102】野菜畑100には第1の実施の形態と同様のフェーズドアレイアンテナ26(図3参照)が配設されており、フェーズドアレイアンテナ26は図示しない高架台に固定されている。フェーズドアレイアンテナ26は電磁波発振電源44に接続されている。また、野菜畑100にはサーモビューア28(図1参照)が備え付けられており、サーモビューア28は土壌102の温度分布を検出したり、野菜畑100内に侵入した人等電磁波を照射してはいけない対象物を検出するようにされている。サーモビューア28には画像処理装置46が接続されており、画像処理装置46によって土壌102の温度分布等が画像で確認できるようにされている。さらに、野菜畑100には制御装置42が備え付けられており、制御装置42は図4のブロック図で示されるように接続されている。 【0103】また、土壌102で野菜104を栽培後植え替える前には、重量比0.001〜10%でカーボンファイバー32が土壌102に全体的に混入される。 【0104】次に、第3の実施の形態の作用を説明する。 【0105】以上の構成の野菜畑100の土壌102で、野菜104が栽培されている際中には、サーモビューア28によって野菜畑100内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在するか否かが検出され、画像処理装置46により確認される。 【0106】野菜畑100内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在することが確認されると、制御装置42により制御して土壌102への電磁波の照射を中止する。 【0107】野菜畑100内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在しないことが確認されると、制御装置42により制御して電磁波発振電源44により電磁波を出力する。電磁波発振電源44により電磁波が出力されると、フェーズドアレイアンテナ26により土壌102に電磁波が照射される。この際、フェーズドアレイアンテナ26は電磁波をスキャニングして土壌102の全域に電磁波を照射する。 【0108】照射された電磁波は土壌102の発熱部位106に混合されたカーボンファイバー32に吸収され、これにより、カーボンファイバー32が発熱し、熱交換作用により土壌102が加熱される。このとき、土壌102の発熱部位106が雑草を焼失させる温度になるまで加熱する。これは、サーモビューア28により土壌102の発熱部位106の温度を検出し、制御装置42においてフェーズドアレイアンテナ26から照射される電磁波の出力強度や照射時間を制御することによって行われる。 【0109】この際、フェーズドアレイアンテナ26から照射される電磁波の周波数は300MHz〜30GHzとされ、電磁波が照射される時間は1秒〜10時間とされる。これにより、カーボンファイバー32の発熱温度は45°C〜200°Cとされる。また、土壌102を加熱して雑草を焼失させるのは四季を通じて可能であるが、特に春先の除草剤散布時期とするのがより望ましい。 【0110】このように、土壌102の発熱部位106が雑草を焼失させる温度になるまで加熱するため、容易に雑草等を殺滅することができる。また、発熱部位106は、野菜104の根元108及び根元108近傍以外の部位に設置されているため、野菜104の根元108及び根元108近傍は加熱されず、したがって、野菜104を殺滅することを防止できる。 【0111】また、土壌102で野菜104を栽培後植え替える前には、重量比0.001〜10%でカーボンファイバー32が土壌102に全体的に混入される。その後、上記と同様に、野菜畑100内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在しないことが確認されると、フェーズドアレイアンテナ26から土壌102に電磁波を照射する。これにより、カーボンファイバー32が発熱し、熱交換作用により土壌102が全体的に加熱される。このとき、制御装置42により制御して、土壌102を病害虫(昆虫等)、病害微生物、雑草および雑草の種子または残留根等の有害生物が生息できない温度になるまで加熱する。 【0112】この際、フェーズドアレイアンテナ26から照射される電磁波の周波数は100MHz〜10GHzとされ、電磁波が照射される時間は5秒〜24時間/日とされる。 【0113】このように、土壌102を有害生物が生息できない温度になるまで加熱するため、土壌102に存在する有害生物を殺滅することができる。また、野菜104を栽培後植え替える前に土壌102を加熱するため、野菜104が栽培されていない状態で土壌102を加熱でき、したがって、野菜104を殺滅することを防止できる。 【0114】さらに、本実施の形態では、従来の耕種的対策と異なり、被害を受けた栽培植物や有害生物を発見する必要がなく、したがって、これらを発見する際の見落としがないため、有害生物に対して完全な対策とできる。 【0115】また、従来の物理的対策と異なり、季節や天候に影響を受けず、また、使用済みのビニールが汚染源になることもない。さらに、カーボンファイバー32を混入する深さを調整することで地面から地中の深い部分でも有害生物を殺滅できる。 【0116】さらに、従来の化学的対策と異なり薬剤を使用しないため、土壌や地下水の汚染は発生せず、環境と調和できる。しかも、野菜畑100内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在すると電磁波を照射しないため、人体への悪影響も防止できる。さらに、有機農業を行う土壌102を加熱することにより有用微生物も一旦殺滅されるが、その影響は極めて短期的で、新たな有機物の供給により有用微生物の速やかな回復が可能である。 【0117】また、従来の生物的対策とは異なり、土壌102に混入するカーボンファイバー32の密度や電磁波の照射強度の組み合わせによりあらゆる有害生物に対応できるため、全般的な土壌消毒が可能であり、しかも、土壌102に電磁波を照射する簡単な方法のためコストを低減できる。さらに、従来の人為的対策とは異なり、人手を最小限におさとえることができ、人件費を低減することができる。 【0118】以上のように、本実施の形態によれば、土壌に存在する有害生物の殺滅を、人体に影響を防止できると共に環境に調和でき、しかも、作業性よくかつ低コストで完全に行うことができる。 【0119】なお、上述した第3の実施の形態では、土壌102で野菜104を栽培後植え替える前に、土壌102に全体的にカーボンファイバー32を混入したが、土壌102で野菜104を栽培する前に、土壌102にカーボンファイバー32を混入して、土壌102に電磁波を照射してもよい。これにより、野菜104を栽培する前に土壌102に存在する有害生物の殺滅が可能となる。 [第4の実施の形態]図12には、本発明の土壌の温度制御装置が適用された第4の実施の形態に係る公園110の概略構成が断面図にて示されている。 【0120】公園110の土壌112では、栽培植物としての樹木114が栽培されている。また、土壌112には図示しない雑草が発育している。 【0121】土壌112の表面には第3の実施の形態と同様の発熱部位106が設置されている。発熱部位106は、土壌112に重量比0.01〜10%でカーボンファイバー32(図11参照)を混合して厚さを1cm〜3cm程度にして構成されている。また、発熱部位106は、樹木114の根元116及び根元116近傍以外の部位に設置されている。 【0122】公園110では図12に示すスキャニング手段としての自走機械118が隈なく走り回れるようにされている。自走機械118の上部には、第2の実施の形態と同様の複数のホーンアンテナ60で構成された電磁波照射源62(図8(B)参照)が搭載されており、電磁波照射源62は照射面を土壌112に対向させている。また、電磁波照射源62は電磁波発振電源44に接続されている。さらに、公園110にはサーモビューア28(図1参照)が備え付けられており、土壌112の温度分布を検出したり、公園110内に侵入した人等電磁波を照射してはいけない対象物を検出するようにされている。サーモビューア28は画像処理装置46と電波で通信できるようにされており、画像処理装置46によって土壌112の温度分布等が画像で確認できるようにされている。さらに、公園110には制御装置42が備え付けられており、制御装置42は図10のブロック図で示されるように接続されている。 【0123】また、土壌112で樹木114を栽培後植え替える前には、重量比0.001〜10%でカーボンファイバー32が土壌112に全体的に混入される。 【0124】次に、第4の実施の形態の作用を説明する。 【0125】以上の構成の公園110の土壌112で、樹木114が栽培されている際中には、サーモビューア28によって公園110内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在しないことが検出され、画像処理装置46により確認される。 【0126】公園110内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在することが確認されると、制御装置42により制御して土壌112への電磁波の照射を中止する。 【0127】公園110内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在しないことが確認されると、制御装置42により制御して電磁波発振電源44により電磁波を出力する。電磁波発振電源44により電磁波が出力されると、電磁波照射源62により電磁波が土壌112に照射される。この際、自走機械118が公園110内を隈なく走り回ることで電磁波照射源62は電磁波をスキャニングして土壌112の全域に電磁波を照射する。 【0128】照射された電磁波は土壌112の発熱部位106に混合されたカーボンファイバー32に吸収され、これにより、カーボンファイバー32が発熱し、熱交換作用により土壌112が加熱される。このとき、土壌112の発熱部位106が雑草を焼失させる温度になるまで加熱する。これは、サーモビューア28により土壌112の発熱部位106の温度を検出し、制御装置42において電磁波照射源62から照射される電磁波の出力強度や照射時間を制御することによって行われる。 【0129】この際、電磁波照射源62から照射される電磁波の周波数は300MHz〜30GHzとされ、電磁波が照射される時間は1秒〜10時間とされる。これにより、カーボンファイバー32の発熱温度は45°C〜200°Cとされる。また、土壌112を加熱して雑草を焼失させるのは四季を通じて可能であるが、特に春先の除草剤散布時期とするのがより望ましい。 【0130】このように、土壌112の発熱部位106が雑草を焼失させる温度になるまで加熱するため、容易に雑草等を殺滅することができる。また、発熱部位106は、樹木114の根元116及び根元116近傍以外の部位に設置されているため、樹木114の根元116及び根元116近傍は加熱されず、したがって、樹木114を殺滅することを防止できる。 【0131】また、土壌112で樹木114を栽培後植え替える前には、重量比0.001〜10%でカーボンファイバー32が土壌112に全体的に混入される。その後、上記と同様に、サーモビューア28によって公園110内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在しないことが確認されると、電磁波照射源62により電磁波を土壌112に電磁波を照射する。これにより、カーボンファイバー32が発熱し、熱交換作用により土壌112が加熱される。このとき、制御装置42により制御して、土壌112を病害虫(昆虫等)、病害微生物、雑草および雑草の種子または残留根等の有害生物が生息できない温度になるまで加熱する。 【0132】この際、電磁波照射源62から照射される電磁波の周波数は100MHz〜10GHzとされ、土壌112の一箇所に電磁波が照射される時間は5秒〜24時間/日とされる。 【0133】このように、土壌112を有害生物が生息できない温度になるまで加熱するため、土壌112に存在する有害生物を殺滅することができる。また、樹木114を栽培後植え替える前に土壌112を加熱するため、樹木114が栽培されていない状態で土壌112を加熱でき、したがって、樹木114を殺滅することを防止できる。 【0134】さらに、本実施の形態では、従来の耕種的対策と異なり、被害を受けた栽培植物や有害生物を発見する必要がなく、したがって、これらを発見する際の見落としがないため、有害生物に対して完全な対策とできる。 【0135】また、従来の物理的対策と異なり、季節や天候に影響を受けず、また、使用済みのビニールが汚染源になることもない。さらに、カーボンファイバー32を混入する深さを調整することで地面から地中の深い部分でも有害生物を殺滅できる。 【0136】さらに、従来の化学的対策と異なり薬剤を使用しないため、土壌や地下水の汚染は発生せず、環境と調和できる。しかも、公園110内に人等電磁波を照射してはいけない対象物が存在すると電磁波を照射しないため、人体への悪影響も防止できる。 【0137】また、従来の生物的対策とは異なり、土壌112に混入するカーボンファイバー32の密度や電磁波の照射強度の組み合わせによりあらゆる有害生物に対応できるため、全般的な土壌消毒が可能であり、しかも、土壌112に電磁波を照射する簡単な方法のためコストを低減できる。さらに、従来の人為的対策とは異なり、人手を最小限におさとえることができ、人件費を低減することができる。 【0138】以上のように、本実施の形態によれば、土壌に存在する有害生物の殺滅を、人体に影響を防止できると共に環境に調和でき、しかも、作業性よくかつ低コストで完全に行うことができる。 【0139】なお、上述した第4の実施の形態では、土壌112で樹木114を栽培後植え替える前に、土壌112に全体的にカーボンファイバー32を混入したが、土壌112で樹木114を栽培する前に、土壌112にカーボンファイバー32を混入して、土壌112に電磁波を照射してもよい。これにより、樹木114を栽培する前に土壌112に存在する有害生物の殺滅が可能となる。 【0140】また、上述した第4の実施の形態では、自走機械118に電磁波照射源62を搭載したが、電磁波照射源62をトレーラー等で牽引してもよい。 【0141】さらに、以上の第1乃至第4の実施の形態では、電磁波吸収部材としてカーボンファイバー32を使用したが、電磁波吸収部材としては、土壌中で安定した存在かつ流亡しにくく、しかも、植物の育成または栽培に対して阻害要因とならないものであれば何でもよい。たとえば、カーボン含有繊維、メタルファイバー、ニードルコークスまたはニードルカーボン等の導電性材料やフェライトであってもよい。また、電磁波吸収部材の形状も、繊維状の他、ペレット、ブロック、ロット、メッシュまたは粉末状であってもよい。 【0142】さらにまた、以上の第1乃至第4の実施の形態では、電磁波をスキャニングすることにより土壌に電磁波を照射したが、例えば、庭木等を栽培する土壌の除草を行う場合等には、手打ちによるスポット的な狙い打ちで電磁波を照射するようにしてもよい。 【0143】 【発明の効果】請求項1、請求項3、及び請求項4に記載の発明によれば、土壌の遠隔加温ができ、かつ、広い領域の土壌の加温が可能となる。 【0144】請求項2に記載の発明によれば、土壌に植えられた植物の育成の速さを場所により調整することができる。 【0145】請求項5に記載の発明によれば、エネルギー効率を向上させることができる。 【0146】請求項6に記載の発明によれば、効率的に土壌の排水ができる。 【0147】請求項7に記載の発明によれば、電磁波照射範囲内に例えば人がいる場合、人に対する電磁波の照射を制限することができる。 【0148】請求項8に記載の発明によれば、植物の育成を増進させることができる。 【0149】請求項9に記載の発明によれば、土壌を生物が生息できない温度まで加熱するため、土壌に存在する有害生物を殺滅することができる。 【0150】請求項10に記載の発明によれば、栽培植物が栽培されていない状態で土壌を加熱するため、栽培植物を殺滅することを防止できる。 【0151】請求項11に記載の発明によれば、栽培植物の根元及び根元の近傍以外の部位を加熱するため、栽培植物を殺滅することを防止できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003621 【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
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| 【出願日】 |
平成11年4月28日(1999.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−78931(P2000−78931A) |
| 【公開日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【出願番号】 |
特願平11−123046 |
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