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【発明の名称】 葱類の剪葉装置
【発明者】 【氏名】福永 一弥

【要約】 【課題】カッターで剪葉された葉をそのまま下の苗床上へ落とさず、送風機により苗床の側方へ吹き飛ばした上で自動的に集葉し、その後の葉の後処理作業もしやすい新規な葱類の剪葉装置を提供する。

【解決手段】苗床Gを跨いで走行する門型の移動台車2と、この移動台車2に搭載されるカッター31とを具えて成り、玉葱Aなどの葱類の葉A1を剪葉する装置において、前記カッター31により剪葉された葉a1を苗床Gの側脇方向へ移送する送風機41と、前記カッター31の後方に設けられ剪葉された葉a1を受け取り飛散するのを防止するとともに前記移動台車2の側部に案内する案内ケース42と、この案内ケース42の送風方向前方端部に臨む位置に設けられて、前記移送された葉a1を捕集する収容体43とが設けられていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 左右に車輪を有し、葱類の苗床を跨いで走行する門型の移動台車と、この移動台車に搭載され、葱類の上方に延びた葉を切断するための苗床の幅方向にほぼ水平に設定されるカッターを有する剪葉機とを具え、葱類の葉を剪葉する装置において、この装置は、前記カッターにより剪葉された葉を苗床の側脇方向へ移送する送風機と、前記カッターの後方に設けられ剪葉された葉を受け取るとともに飛散することを防止しながら前記移動台車の側部に案内する案内ケースと、この案内ケースの送風方向前方端部に臨む位置に設けられて、前記移送された葉を捕集する収容体とを具えていることを特徴とする葱類の剪葉装置。
【請求項2】 前記収容体は前記移動台車に対し脱着自在であることを特徴とする請求項1記載の葱類の剪葉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハウスなどでの玉葱やニラなどの葱類の育苗時における伸びた葉の剪葉を行う装置に関するものであり、特にこの剪葉された葉の処理に関する機構に係るものである。
【0002】
【発明の背景】玉葱を栽培するにあたっては、まず玉葱の種を土が入ったポットに播いてこのポットを苗箱に複数個並べ、この苗箱をビニールハウス等のハウス内の苗床上へ複数個敷設して、発芽させて育苗する。そしてある程度苗が大きく育ったところで本圃場へ移植することが行われている。ところで前記ハウス内の育苗時に葉が伸びてくると、苗が倒れたり、他の苗の受光状態を阻害するため、葉の高さを比較的短く切り揃えることが行われている。ここで剪葉した葉は、剪葉後に取り除くことが必要であるが、例えば直接苗床上に足を踏み入れるようなことは苗床を荒らすためできず、そのため苗床の両側部から不自然な姿勢でこの作業を行うことを余儀なくされ、その作業は労力を要するものであった。
【0003】しかしながら労力を要する作業であるからと言って、剪葉した葉をそのままにしておいたり、除去が不完全であると、次のような弊害が生じる。例えば剪葉された葉が上から載ることにより他の苗が倒されたり、苗の受光を悪くしその発育を阻害してしまう。因みに倒された苗は曲がった方向に生育し、移植後もその影響が残って曲がった玉葱となってしまい商品としての価値がなくなってしまう。また落ちた葉が腐敗することにより、雑菌が発生し、苗に病気が発生することがある。更にこのような雑菌に起因する病気を予防するために殺菌剤の散布を行わなければならず、手間がかかるとともに、農薬の量が多くなるという弊害がある。また苗の本圃場への移植前にポット内の土を固化させ根に固定させる固化剤が、剪葉され落ちた葉が邪魔となりポット内へ浸透しないという不具合が生じる。また移植作業時、定植機の植付け機構に絡み、植付け不良や定植機の故障原因となる。
【0004】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであって、カッターで剪葉された葉をそのまま下の苗床上へ落とさず、送風機により側方へ吹き飛ばした上で自動的に集葉し、その後の葉の後処理作業もしやすい新規な葱類の剪葉装置の開発を試みたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の葱類の剪葉装置は、左右に車輪を有し、葱類の苗床を跨いで走行する門型の移動台車と、この移動台車に搭載され、葱類の上方に延びた葉を切断するための苗床の幅方向にほぼ水平に設定されるカッターを有する剪葉機とを具え、葱類の葉を剪葉する装置において、この装置は、前記カッターにより剪葉された葉を苗床の側脇方向へ移送する送風機と、前記カッターの後方に設けられ剪葉された葉を受け取るとともに飛散することを防止しながら前記移動台車の側部に案内する案内ケースと、この案内ケースの送風方向前方端部に臨む位置に設けられて、前記移送された葉を捕集する収容体とを具えていることを特徴として成るものである。
【0006】また請求項2記載の葱類の剪葉装置は、前記要件に加え、前記収容体は前記移動台車に対し脱着自在であることを特徴として成るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に基づき説明する。図中符号1に示す装置は、本発明に係る葱類の剪葉装置であって、このものは葱類の苗床Gを跨いで走行する門状の移動台車2と、この移動台車2に搭載され葱類の上方に延びた葉A1を切断する剪葉機3と、剪葉された葉a1を捕集する集葉構造4とを具えて成る。なお本発明の葱類の剪葉装置1はハウス等で育苗され、伸びた葉A1を切断する必要がある葱類に用いられるものであるが、具体的にはこのような葱類として玉葱やニラがある。以下の図示の実施の形態では玉葱Aを例として説明する。
【0008】以下これら部材について詳細に説明する。まず移動台車2について説明する。移動台車2は門状フレーム10の左右下部に車輪13を有して成り、且つ前記剪葉機3を支持するとともに高さ位置を調節するための高さ調節支持構造15を有して成る。門状フレーム10は、苗床Gの左右両サイドに垂直に立った状態で位置される脚柱フレーム12と、この脚柱フレーム12の上端を連結する水平フレーム11とから成り、前記脚柱フレーム12の下端前後には車輪13が設けられる。この車輪13の一方すなわち図2(a)中、左側の車輪13を、苗床Gの側脇に敷設されたレールR上を走行するための溝付き車輪13Aとし、右側の車輪13はゴム製のタイヤ13Bとしている。なお水平フレーム11は三本の角パイプを一直線状に嵌め合わせて成るものであり、車幅を変更できるように横幅方向に伸縮自在に構成される。なお車輪13は左右両方を例えば溝付き車輪13Aとしても構わず、また手動ではなく駆動モータを設けて駆動輪により自動走行する形態を採ることも可能である。
【0009】次に高さ調節支持構造15について説明すると、このものは門状フレーム10の中央部と、端部とにそれぞれ設けられている。まず図2(a)における中央側の中央部高さ調節支持構造15Aについて説明する。前記門状フレーム10の中央には、架設バー16が架設されこの中央に、上部にハンドル17aを有したボールネジ17が回動自在に設けられる。なおこの架設バー16は門状フレーム10に対しネジ止めされるものであり、このネジを緩めることにより、その位置を左右へ移動できるものとする。更に前記ボールネジ17にはメネジブロック18が設けられ、このメネジブロック18には吊持ロッド19が、左右方向に揺動できるように回動自在に接続される。また吊持ロッド19の下端には剪葉機3がその原動機30側において吊持される。
【0010】次に図2(a)において左端側の端部高さ調節支持構造15Bについて説明する。前記剪葉機3は、その他端側も端部高さ調節支持構造15Bにより支持されるものであり、水平フレーム11の端部側に架設バー20が非固定状態もしくは脱着自在に架設される。そしてこの架設バー20の中央に、上部にハンドル21aを有したボールネジ21が回動自在に設けられる。ボールネジ21にはメネジブロック22が設けられ、このメネジブロック22には連結ロッド23が水平に張り出して設けられ、吊持ロッド24の上端に回動自在に接続される。そして吊持ロッド24の下端には、剪葉機3のカッター31が原動機30側と反対側において回動自在に吊持される。
【0011】次に剪葉機3について説明する。剪葉機3は原動機30と、この原動機30により駆動されるカッター31を具えて成る。カッター31は、一例としていわゆるバリカン式のものを用い玉葱Aの葉A1を切断する。なお剪葉機3は一度の走行では、苗床Gの片面を行う型式のものを一例として用いるが、移動台車2の横幅とほぼ同寸法のカッターを用いる全面式のものを適用してもよい。
【0012】次に本発明の特徴である集葉構造4について説明する。集葉構造4は、カッター31により剪葉された玉葱Aの葉a1を、苗床Gの側脇側へ移動させるように吹き飛ばすための送風を行う送風機41と、この吹き飛ばされる葉a1を苗床G上に落とさず、確実に本装置の側脇側へ導く案内ケース42と、この案内ケース42の前記送風方向前方における端部側に設けられる収容体43と、この収容体43を葱類の剪葉装置1に係止するための係止具44とから成る。
【0013】以下集葉構造4を構成する各部材について具体的に説明すると、前記原動機30の下側に、剪葉機3の他端側に送風口41aを向けるように送風機41が設けられる。なお送風口41aは若干後方側に向けられ、カッター31のやや後方側に風が向かうように設定されている。この送風口41aは図示のものは一つの開口部で構成されているが、ここに複数の送風口に分岐されたダクトを設け、複数の送風口から風を多角的に苗床の側脇方向(収容体方向)へ送るようにしてもよい。なお送風機41の羽根は例えば原動機30の駆動軸により直接的に駆動するものであるが、その他例えば適宜原動機30により発電し、その電気によって送風機41を駆動するような実施形態を採っても構わない。
【0014】次に案内ケース42について説明する。案内ケース42は前記カッター31の後側に設置されるものであって、カッター31の後部側に水平に姿勢設定される受取部42Aと、案内ケース42の背面側と上面側とを構成する断面L字状の飛散防止部42Bとから成る。なお案内ケース42の形状は、その他図3(a)に示すように飛散防止部42Bの上面板に葉a1が戻って出てくるのを防ぐ返し板42Cを付けるようにしてもよいし、図3(b)に示すようにU字溝状のものであってもよい。また案内ケース42は一部材である必要はなく、例えば受取部42Aは金属製の平板状のものを用い、その上に例えば合成樹脂製の飛散防止部42Bを立ち上げて設けるようにしてもよい。
【0015】次に収容体43について説明する。収容体43は矩形状の収容枠43Aに袋状のネット43Bを設けて成り、収容枠43Aを脚柱フレーム12の上下左右の四つのフック状の係止具44に引っかけて係止する。なお係止具としては、フック状のものを用いる他、バックル式の係止具を用いるなど、収容体43を係止できる種々の形態のものを適用し得る。また収容体43は、剛性のカゴを適用しその内側に使い捨て自在の袋を重ね入れたものや、孔の開いていない箱状や袋状のものを用いるようにしても構わない。
【0016】本発明に係る葱類の剪葉装置1は以上のような具体的な形態を有し、以下この作動態様について説明する。
(1)カッター31の高さ位置調整玉葱Aの葉A1を剪葉する位置にカッター31を位置調整するため、中央と端のハンドル17a、21aを回転してメネジブロック18、22を上下動させ、カッター31の高さ位置を調整する。そしてカッター31はほぼ水平に位置させる。
【0017】(2)剪葉並びに葉の集葉葱類の剪葉装置1を一人乃至は二人で押しながら前進させ、カッター31により玉葱Aの葉A1を剪葉していく。玉葱Aの葉a2(剪葉された後の玉葱Aの葉を図中符号a2で示す)を刈り揃える。なお移動の際、レールRに添って葱類の剪葉装置1は移動するため、直進が容易である。剪葉された葉a1は送風機41による送風によって図2(b)に示されるようにカッター31の後方側の案内ケース42内に吹き込められるとともに、脚柱フレーム12側に移送され、案内ケース42端部に設けられた収容体43内に入れられる。
【0018】(3)反転戻り剪葉苗床Gの終端まで剪葉を行ったら、次に戻り走行して苗床Gの反対面の剪葉を行う。高さ調節支持構造15の脚柱フレーム12側に位置した固定されていない架設バー20を持ち、これを水平フレーム11をくぐるようにして反対側に持ち回し、図2(a)の仮想線に示されるように、再度水平バーに架設する。カッター31は剪葉されていない苗床Gの反対面側上に位置するとともにカッター31の刃は、反対方向を向く。また収容体43を適宜内部の葉a1を取り出して反対側の脚柱フレーム12に付け替える。なおこのとき新しい収容体43を用いるようにしてもよいし、最初から左右の脚柱フレーム12にそれぞれ収容体43を取り付けるようにしておいてもよい。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の葱類の剪葉装置によれば、カッター31により剪葉された葉a1を苗床Gの側脇方向へ移送する送風機41が設けられるため、剪葉された葉a1が、カッター31の側方へ吹き飛ばされ、苗床G上にそのまま落ちず、苗床G上の葉a1を拾うような手間が少なくなる。なお苗床G上に剪葉された葉a1が落ちたままとならなければ、剪葉された葉a1が腐敗し雑菌が発生し、苗に病気が発生するようなことが防がれる。また苗の受光状態がよく、生育が良好となる。更に苗の本圃場への移植前の固化剤処理時の固化剤の浸透がよい。また剪葉した葉a1の切断部から発生する葱類特有の刺激臭の発生が少なくなり、作業環境の改善となる。また本圃場への移植作業時に、定植機の植付け機構に剪葉された葉a1が絡み、植付け不良や植付け機構に故障が発生することが防がれる、というような効果が生じる。
【0020】またカッター31の後方側には剪葉された葉a1を後方へ飛散するのを防止する案内ケース42がカッター31に添って横方向に設けられるため、剪葉された葉a1が後方側へ落ちてしまうようなことがなく、移動台車2の側方へ確実に案内されながら吹き飛ばされる。
【0021】更に案内ケースの送風方向前方端部に臨む位置に、吹き飛ばされた葉a1を捕集するための収容体43が設けられるため、剪葉された葉a1を拾い集めるような手間がない。なお移動台車2の側部に収容体43が設けられるため、作業者は集葉された葉a1のその後の処分等の取り扱いを簡単に行える。
【0022】また請求項2記載の葱類の剪葉装置によれば、収容体43は前記移動台車2に対し脱着自在であるため、収容体43を空の収容体43に交換したり、収容体43に入った葉a1を簡単に取り除くことができる。
【出願人】 【識別番号】000104386
【氏名又は名称】カワサキ技研株式会社
【出願日】 平成10年9月2日(1998.9.2)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2000−69848(P2000−69848A)
【公開日】 平成12年3月7日(2000.3.7)
【出願番号】 特願平10−248085