| 【発明の名称】 |
植物性繊維材料からなる土壌被覆材 |
| 【発明者】 |
【氏名】斎藤 直人
【氏名】梅原 勝雄
【氏名】佐野 弥栄子
【氏名】宮内 輝久
【氏名】関 一人
【氏名】菊地 伸一
【氏名】峯村 伸哉
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| 【要約】 |
【課題】植物性繊維材料とその熱分解液より、美観にすぐれ、土ぼこりのない、耐久性、安定性の高い、さらには難燃性の農業用または園芸用被覆材を得る。
【解決手段】植物性繊維材料の熱分解液に水を添加して固形分量35%以下にすることで得られる水不溶物質を混合することで、林産物や穀類副産物などの植物性繊維材料を褐色化すると同時に、適度な粘結性を付与する。これにより、美的効果とともに風や水等によって容易に飛散しない、土ほこりのない、耐久性に優れた被覆材料が提供される。水不溶物質の硬化のための保温温度は20〜110℃、保温時間は0.1〜12時間程度が良い。水不溶物質と植物性繊維材料の配合比は重量比10:1〜10:20が望ましい。さらに、防火のために、水不溶物質:難燃剤:植物性繊維材料が100:5〜40:10〜100の重量比で混合すると、良好な粘結性、難燃性、美的調和の被覆材料が得られる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 林産系および農産系の繊維材料に対して、繊維材料の熱分解液に固形分量が35%以下となるように水を加えることで沈降する水不溶物質を混合したことを特徴とする林産系および農産系の繊維材料からなる土壌被覆材。 【請求項2】 水不溶物質に難燃剤を混合した請求項1記載の林産系および農産系の繊維材料からなる土壌被覆材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は緑化事業または農業に使用する土壌被覆材に関するものである。具体的には、林産系および農産系の繊維材料に、その熱分解液に水を加えて沈降した水不溶物質を適量混合し、防腐性、粘結性、はっ水性、通水性が高く、雑草、微生物の繁殖を抑え、美観にすぐれ、土ぼこりのない、耐久性、安定性の高い、さらには難燃性の農業用または園芸用被覆材を安価に提供するものである。 【0002】 【従来の技術】古くから、土壌被覆材として藁、刈草、落葉等が使用されてきたが、これらは風や水で飛散あるいは流失するという欠点をもっていた。また、緑化事業に於いては美観への配慮に乏しかった。これらの欠点を改良する目的で、繊維材料を気泡硬化材と混合する方法(特公平8−8821公報)、植生糊を加えて固化する方法(実用第3037025号公報)、液状接着剤で固化する方法(特公平7−55102号公報)、水溶性接合剤で成形する方法(特開昭63−71123号公報)、大豆蛋白、澱粉、尿素樹脂、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどの天然および合成接着剤で成形する方法(特開昭63−199605号公報)などが試みられているが、いずれも美観への配慮は十分でない。 【0003】炭化等で派生する熱分解液は、例えば木材では木酢液と木タールに分けられ、木酢液にはアセトン、メタノールのほか、酢酸を始めとする有機酸が含まれ果樹や樹木等に対する雑草防除、消臭効果が知られる。木タールにはクレゾールやグアイヤコールなどの芳香族炭化水素が含まれ、防腐効果、粘結効果を持つことが知られている。しかし、繊維材料の熱分解液を化学原料とするには精製、コストに問題があり、生産量も多くないことなどから、大半が廃棄されている。 【0004】木材の熱分解液は、例えば炭化時の排煙を空冷して凝縮した液層を、貯槽に入れて数日から数カ月間放置することで、上層の木酢液と下層の黒い木タールに分離する。それでも、木タールの一部は上層の木酢液に溶け込み溶解タールとなり、木酢液の一部も木タールに溶け込んでいる。分別に時間がかかり、貯槽等の設置スペースにも問題が多い。速やかに木酢液と木タールとを分別する方法に蒸留もあるが、これはコスト的に問題がある。 【0005】繊維材料の熱分解液に成分の一部が類似するアスファルトを、はっ水剤として利用したものに、アスファルトフェルトやインシュレーションボードなどが知られる。また、アスファルトにポリイソブチレンを配合した被覆材料(特公昭47−44774号公報)、アスファルト乳剤、樹皮、糊料を混合成形したマルチング材(特公平5−1686号公報)も知られる。しかし、アスファルトには脂肪族系炭化水素が、石炭系タールには芳香族系炭化水素が多く含まれるが、農産系繊維材料のタールには低沸点物質が、林産系タールには軽油、重油成分が多いといったように、アスファルトと同様に熱分解液を扱うには、粘結性や安定性など多くの問題がある。環境に及ぼす影響からも、土壌被覆材料には熱分解液中の水溶性物質を分別除去して使用することが望まれ、低沸点物質も耐火性から配慮が求められる。 【0006】樹皮などのマルチング材に難燃剤を添加する方法(特開平8−116801号公報)が知られるものの、その色合いには改良が求められる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】土壌被覆材は風や水等により容易に飛散しない、緑化事業に於いては美観を損ねないことが重要である。特に鉢やプランター等に使用する場合は、土ぼこりの発生を抑えるものが望まれる。木材や籾殻そのものは、雨水などにより流失しやすく、耐久性に乏しく、寸度安定剤が必要である。また、土壌被覆材は河川や植物に対する影響が少ないこと、それが急速に分解、腐朽して脆くなったり、窒素飢餓を起こさないことが求められる。なお、用いる防腐剤の選択には、環境汚染に対して注意を払う必要がある。 【0008】タバコの投げ捨てなどによる火災が発生することから、容易に着火しない土壌被覆材の開発が望まれる。しかも、その難燃効果が降雨などで低下しないことが必要である。 【0009】繊維材料からの熱分解液は様々な効果が認められる。しかし、その多くは廃棄されており、とりわけタール成分の利用開発が望まれる。また、利用目的に応じた速やかな熱分解液の分離、精製技術の確立が求められる。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は上記のような問題点を鑑み、下記のようになるものである。第1発明は、林産系および農産系の繊維材料と、繊維材料の熱分解液に固形分量が35%以下となるように水を加えることで沈降する水不溶物質を適量混合することによって、繊維材料を褐色に着色すると同時に、適度な粘結性を付与させ、美的効果とともに風や水等で容易に飛散しない、安定した林産系および農産系の繊維材料からなる土壌被覆材料を提供するものである。第2発明は、上記の水不溶物質と適量の難燃剤を混合することで、容易に着火せず、しかも難燃剤が熱分解液に取り込まれることで、降雨などでも容易に溶出しない、長期にわたって難燃効果を持つ林産系および農産系の繊維材料からなる土壌被覆材を提供するものである。 【0011】 【発明の実施の形態】繊維材料としては、木材、木粉、チップ、パルプ、古紙、タケ、ササなどの林産系の材料、稲藁、籾殻、麦藁などの農産系の材料が挙げられる。繊維材料は、そのまま、または不定形に破砕し、熱分解液と混合する。 【0012】熱分解液としては木材、木粉、チップ、パルプ、古紙、タケ、ササなどの林産系の繊維材料および稲藁、籾殻、麦藁などの農産系の繊維材料を熱処理して得られるもので、木酢液、木タール、竹酢液、籾酢液、籾タールなどが挙げられる。例えば、木炭の製造過程や、油吸着材の製造法およびその連続製造装置(特許第2594507号公報)より派生するものでも良い。その熱分解液に水を加え攪拌し、数時間放置して水不溶物質を沈降させる。105℃での固形分量が約35%以下では溶媒の主体が水となり、低分子量の脂肪族系および芳香族系炭化水素が凝縮沈降するので、速やかに水溶性物質との分離が可能となる。水の添加量は、熱分解液の等量から5倍量程度で良い。水の添加量が多くても、水不溶物質の回収率に大きな変化はない。放置時間は0.1〜12時間程度で良く、好ましくは2〜4時間である。糖類や有機酸などの水溶性物質のほか、可燃性の軽油、低沸点物質が、水面および水層に移行し、水不溶物質と分別される。水溶性物質および軽油、低沸点物質の除去により、河川や植物に対する影響は低下し、可燃性、着火性も改善される。さらに、強酸性物質や糖類由来の熱分解物を除去するには、得られた水不溶物質を水洗浄することが望ましく、水不溶物質に5倍量程度の水を加えて攪拌し、上澄み液を分別除去する。これを数回繰り返す。この際、60℃以上の温水が良好である。60℃以上では水不溶物質の粘度が低下するので、効率的に水溶性物質が除かれる。 【0013】酸性土壌を好む植物はそのままでも良好であるが、好まない植物では、熱分解液がpH3以下のものもあるので、水不溶物質のpH調整が必要となる。温水洗浄で過剰の有機酸を除去し、水酸化カリウムやアンモニアなどの施肥効果、またはリン酸水素ニアンモニウムや水酸化マグネシウムなどの難燃効果も兼ねる中和剤でpH調整することが望ましい。その際、熱分解液をpH10以上にすると、水不溶物質の水溶化が起こり、粘結性も低下する。さらにアルカリ性下では、水不溶物質が暗黒色化するので美観も失われる。従って、中和はpH5−8とするのが適当である。 【0014】有機溶剤やアルカリ性水溶液を加えると、水不溶物質は溶解するので、繊維材料との混合が容易となり、均一な被覆材となる。また、水不溶物質は60℃以上で粘度が低下するので、加温によっても繊維材料との混合が容易になる。このとき、難燃剤も混合添加すると、それが熱分解液に取り込まれるので降雨などでも容易に溶出しない、長期にわたって難燃効果のある土壌被覆材となる。 【0015】水不溶物質の硬化を促進するためには、保温が有効である。保温乾燥により水不溶物質の重合が進行し、熱硬化が起こり、寸度安定化が達成される。60℃以上で揮発成分が蒸発してすみやかに硬化する。150℃では酢酸、キシレンも蒸発し、冷却後は黒色の脆い成形物となる。従って、20〜110℃の低温で数十分という保温乾燥が良好である。低温ほど可塑性も良く、80〜100℃で1時間が良好である。 【0016】成形性や粘結性を高めるために、さらに植生糊などの接着剤を加えて、水不溶物質および繊維材料と混合することも良好である。 【0017】美観的には褐色に着色することが、植物および土壌とのコントラストから望ましい。熱分解液は褐色であるが、この配合比が多いほど暗褐色と映る。従って、水不溶物質と繊維材料の配合比は重量比10:1〜10:20で混合することが望ましい。水不溶物質の配合量を低下すると、粘結性は低下し、成形性が悪くなる。しかし、低下に伴って通水性が改善され、軽量化がなされる。繊維材料の比重を考慮して、例えばチップの配合比は重量比10:5、籾殻では10:3が良好である。 【0018】火災予防を考慮した土壌被覆材とする際には、難燃剤は環境を考慮して、無機系のリン酸水素二アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、水酸化マグネシウムなどが良好である。また、耐水性の有機系難燃剤も成形安定性から良好である。難燃剤としては無機系難燃剤(リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラニン、リン酸グアニジン等のリン酸系化合物、ハロゲン系化合物、赤燐等の燐化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸等の無機金属塩)および、または有機系難燃剤(トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート等のリン酸系化合物、デカブロモジフェニルオキサイド等のハロゲン系化合物、シリコーン系化合物)が良好である。例えば、無機系難燃剤のリン酸水素ニアンモニウムでは、水不溶物質:難燃剤:繊維材料は100:5〜30:10〜100の重量比で混合することが好ましく、100:15:30の配合比が、良好な粘結性、難燃性、美的調和を与える。有機系難燃剤のトリフェニルホスフェートでは水不溶物質:難燃剤:繊維材料を100:5〜40:10〜100の重量比で混合することが好ましく、100:20:50の配合比が良好である。 【0019】 【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の要旨をそれらが限定するものではない。熱分解液は油吸着材の製造法およびその連続製造装置(特許第2594507号公報)によって、トドマツ材チップから得たものを使用した。 【0020】実施例1熱分解液と繊維材料の混合物を20、50、80、110、150℃で1時間保温乾燥した。なお、熱分解液は2倍量の水を加えて分別し、得られた水不溶物質を水洗した。保温温度が80℃以上ですみやかに寸度安定化され、揮発成分が消失した(重量減少約20%)。150℃では約25%の重量減少が見られ、成形物は黒色で脆かった。50℃以下では1時間での硬化は見られなかったが、48時間で硬化した。 【0021】実施例2熱分解液を、60℃の5倍量の温水で3回洗浄した。これによりpH2.0はpH2.8となり、50%の重量減少が見られた。得られた水不溶物質10gに、5gの粉砕した籾殻を加えて60℃で攪拌混合した。これを100℃で1時間保温した。得られた被覆材は褐色で、高い粘結性を持ち、散水による水溶性物質の流出も見られなかった。 【0022】実施例3実施例2の水不溶物質10gに、IN水酸化ナトリウムを加えてpH6.9とした。これに有機系難燃剤(トリフェニルホスフェート)2gと粉砕籾殻5gを加えて混合し、100℃で1時間保温した。これにより、中性で高い粘結性を持つ、褐色の難燃性被覆材が得られた。 【0023】実施例4実施例2の水不溶物質15gおよび3gの無機系難燃剤(リン酸水素二アンモニウム)と、5gの粉砕籾殻を60℃で混合し、100℃で1時間保温した。得られた成形物は高い粘結性を持ち、褐色の美観の優れた難燃性被覆材が得られた。 【0024】比較例1−3粉砕籾殻5g(比較例1)、これにそのままの熱分解液10gを加えたもの(比較例2)、さらに難燃剤(トリフェニルホスフェート)2gを混合したもの(比較例3)を100℃で3時間保温した。熱分解液の添加により美観や飛散性は改善されたが、比較例2と3は散水による溶出物が多く、比較例2は着火性が高かった。 【0025】 【表1】
【0026】 【表2】
【0027】 【発明の効果】本発明の土壌被覆材は、畑だけでなく、庭園、公園、道路のグリーンベルト、それ以外の地表面にも併せて敷く、混入することができ、周囲との色彩関係を損なうこともない。林産系や農産系の繊維材料を、そのまままたは破砕し、その表面に熱分解液、さらに難燃材を混合付着させたものであるから、資材は次第に腐って分解する。土壌被覆材中の熱分解液は、果樹や樹木等に対する雑草防除、消臭効果、防腐効果を持ち、その褐色により緑化部分と調和する。さらに除草剤や肥料も添加して硬化すると、その効果が長期にわたって発揮される。そして、マルチング材としての本来の作用、地温の急変の制御、水分保持、雑草の発生の抑制、土ぼこりの防止および土壌構造の改善等が確実になされる。 【0028】熱分解液の効率的な分離法、利用法であり、従来パルプチップ以外に使いみちのなかった小径間伐材やチップダスト、農産廃棄物など、あらゆる繊維材料の使用が可能になるため、資源の有効利用だけでなく、長期間使用し続けることにより、炭酸ガスの固定化による地球温暖化の防止に貢献できる。天然材料から、環境に優しい、無公害型マルチング材が製造される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591190955 【氏名又は名称】北海道
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| 【出願日】 |
平成10年8月21日(1998.8.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−60321(P2000−60321A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月29日(2000.2.29) |
| 【出願番号】 |
特願平10−274173 |
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