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【発明の名称】 樹木裁培容器
【発明者】 【氏名】森川 正美

【氏名】末藤 壮一

【氏名】西川 巌

【氏名】高井 浩二

【要約】 【課題】本発明は、樹木育成中は樹木の成長に障害を与えることなく容器内の細根発生を促進させ、また、定植に当たっては樹木の活着にもっとも重要な細根の先端をほとんど損傷することなく容器取り外しが可能で、しかも特定の機具類を用ることなく手で容器を簡単に取り外すことを可能とするものであって、従って、取り外された容器の再使用も可能とするものである。

【解決手段】遮根性と30〜200cc/cm/secの通気量と、孔径10〜100ミクロンの微細孔を有することを特徴とする樹木裁培用容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 30〜200cc/cm/secの通気量と、孔径10〜100ミクロンの微細孔を有することを特徴とする樹木裁培用容器。
【請求項2】 150〜300secの通水量と、孔径10〜100ミクロンの微細孔を有することを特徴とする樹木裁培用容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明に属する技術分野】本発明は、樹木育成にあたって成長促進機能と、出荷及び定植時における掘り出し作業の軽減、および樹木の活着を大幅に向上することを可能にした新規構成の樹木裁培用容器を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の樹木裁培用容器には大別して以下の2種類のものがある。その1つは容器全体、もしくは一部に貫根性機能を持たせたもので、かかる構成によるものは根系の貫通する口径が大き過ぎるため主根までもが貫通し、結果として樹木成長には大きく貢献するが、容器内の細根充実性に劣る欠点、或いは出荷時における掘り出し作業や定植時の容器取り外し作業に困難を極め、従って、根系への損傷が大きいため、定植後の樹木活着性等に問題を抱えている。また、上記の作業において容器が損傷するため、再利用が困難でゴミ化する問題も有する。
【0003】他の1つは、塩化ビニール製に代表される根系の貫通のない遮根機能を有する容器であり、容器内の細根の発達は貫根性容器と比較すると優れているが、その発達にバラツキが大きいことや、根巻き現象が大きい欠点を有する。また、定植時の容器の取り外し作業は極めて簡便であるが、細根の発達のバラツキや根巻き現象のため、定植後の樹木成長が遅れる原因となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような実情に鑑み、樹木育成中は樹木の成長に障害を与えることなく容器内の細根発生を促進させ、また、定植に当たっては樹木の活着に最も重要な細根の先端をほとんど損傷することなく容器の取り外しが出来、しかも特定の機具類を用いることなく手で容器を簡単に取り外すことを可能とするもので、従って、取り外された容器の再利用も可能とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】しかるに、本発明は上記課題を解決すべく成されたものであって、その構成において、30〜200cc/cm/secの通気量と、孔径10〜100ミクロンの微細孔を有すること、および150〜300secの通水量と、孔径10〜100ミクロンの微細孔を有することに特徴を有する樹木裁培容器を提供するものである。即ち、本発明は遮根性機能を有した容器及び資材に対し、樹木の主根を通さない微細孔加工を施し、かかる微細孔より樹木が成長するに必要な水分・肥料分・酸素等々の補給を行って樹木の成長及び容器内での細根発生を促進させ、樹木育成中は樹木成長及び容器内細根発生を充実促進させると共に、樹木出荷時においては掘り出し作業の大幅軽減と定植時の容器取り外し作業の大幅な軽減、また容器損傷が少ないことによる再利用を可能としたものである。即ち、本発明は遮根性を有する容器及び資材に特定の条件下にある微細孔を設けたことに特徴を有するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係わる樹木裁培用容器について更に詳細に説明する。本発明に係わる樹木裁培用容器は、再使用を目的とする場合は、非分解性繊維例えば、ポリビニールアルコール系、ポリエチレン系、ポリエステル系等の合成繊維から成る不織布、或いは、これらの樹脂を射出成形した容器で構成され、自然界において完全に分解することを目的とする場合は、ポリ乳酸系、脂肪酸ポリエステル系等の生分解性プラスチックを前記のように不織布化し、或いは射出成形して構成される。
【0007】かかる容器には、30〜200cc/cm/secの通気、若しくは150〜300secの通水の機能が付与され、孔径10〜100ミクロンの微細孔が設けられる。具体的には、例えば、通気、通水量の多い不織布に対してはエンボス、樹脂等による目止め加工により、また通気、通水性の無い不織布、成形容器等に対してはレーザー、熱等による穿孔加工により、更には目止め加工後に穿孔加工して調整される。なお、射出成型等で得られる容器に関しては、予め孔径が10〜100ミクロンの範囲で微細孔加工ができるよう金型を作成し、円筒型,円錐型とすることもできる。
【0008】前記のような加工は容器全体に施すことも、一部に施すこともその目的、用途に応じ任意であるが、全体に均一であることが好ましく、また、素材に対し加工した後、縫製、接着等して容器としても、容器を構成した後、前記のような加工を施しても何れでも良い。また、その形状も大きさと共に円筒型、円錐型等任意である。特に、好ましい構成例を挙げると、非分解性の合成繊維で構成された不織布が例示でき、かかる素材は軽量で強度が高く、微細孔加工も任意の方法によって施すことができ、再利用も可能である特徴を有する。
【0009】本発明が上記構成において、特に通気量を30〜200cc/cm/secの範囲としたのは、30cc/cm/sec未満であると通水性に劣り、生育上好ましくないためであり、200cc/cm/secを越えると培養土の乾燥が激しくなるため好ましくないことによる。また、通水量を150〜300sec(秒)としたのは、150秒未満であると、容器内の保水性が劣り樹木生長に障害を与え、300秒を越えると、容器内の過湿状態が長時間続き、樹木の根腐れが発生して好ましくないことによる。一方、微細孔径を10〜100ミクロンの範囲としたのは、10ミクロン未満であると通気、通水性が劣り、100ミクロンを越えると樹木の根系が容器外へ貫通するため好ましくないことによる。なお、前記の通気量はJIS L− 1096法のフラジール型通気度試験機にて測定した値をいい、通水量は100mlの容量の容器の底に測定物を敷き、更にその上に直径0.5mmのガラスビーズを27.5mmの高さまで充填させた上から蒸留水を注ぎ、100mlが測定物を透過するまでの時間をいう。
【0010】上記の植栽容器に樹木を植えて育成するに当たっては、一般の容器栽培と比較して特別な技術を必要とせず、地上栽培方式,半地中埋設裁培方式,地中埋設裁培方式等、いずれの栽培方式においても裁培が可能であることを特色としている。また、本発明容器で裁培された樹木は、一定期間裁培したあとにおいて、出荷のための樹木掘り取り作業は、容器外への突出根がヒゲ根程度の細根のため大変楽な作業となる。更に、定植時の容器取り外し作業は、一般の貫根性容器裁培時のように機具を使って容器を切り裂く必要がなく、作業が楽になると共に取り外した容器は回収して再使用が可能であるので経済的で、環境汚染の恐れもない。以下、具体的にその構成について例を挙げて説明する。
【0011】
【実施例1】1.5dのポリエステル繊維を用いたスパンボンドによって製造された目付が100g/mの不織布にエンボス加工をすることにより通気量32cc/cm/sec,通水量226secの樹木の根系が貫通しない非分解性の不織布を得た。次いで、かかる不織布に加熱した針を用いて70〜100ミクロンの微細孔を9個/cm開け、通気量103cc/cm/secの樹木が成長するのに適した通気性・通水性を有し、細根の一部は通すが、そのほとんどの根系を遮根する非分解性の不織布(以下、単に不織布という)を得た。上記で得た不織布を用いて、直径25cm,高さ25cmの円筒形の容器を縫製加工により作成し、本発明栽培容器を得た。この容器に樹木育成において一般的に使用される培土を入れ、樹高1mのクスを植え付けた。栽培方式は地上栽培方式、半地中埋設栽培方式、地中埋設栽培方式の異なる方式とした。一方、これの対照区として半地中・地中埋設栽培方式では、一般市販品A(通気量が180cc/cm/secのスパンボンドによるポリエステル不織布製の貫根性容器)、地上栽培方式では、塩化ビニール製の一般市販品B(東海化成(株)製の塩化ビニール製ポット)を用いて並行裁培を行った。潅水は半地中及び地中埋設栽培方式では植え付け時のみ行い、育成期間中は雨水等のみとした。また、地上栽培方式は、2回/日の潅水で育成した。試験区は各5区とした。
【0012】4月に育成を開始し、翌年4月に各試験区本数をサンプリングし、樹勢,根系等の調査を行った。その結果、(1)樹勢としては、樹高,幹径,枝張りの調査を行ったが、全ての栽培方式において、対照区との差異はほとんど見られなかった。
(2)根系としては、半地中・地中埋設栽培方式において、対照区である一般市販品Aの貫根性容器で裁培されたものは、容器外へ突出した根のため樹木の掘り出し作業にやや難を生じた。
(3)本発明品は、容器外へ突出した根がヒゲ根のため掘り出し作業が大変に楽であった。また、容器内の発生根量は、一般市販品Aの貫根性容器で裁培されたものと比較して肉眼で明らかに差異の判断ができ、いずれのサンプルも安定した細根が充実していた。
(4)また、地上栽培方式において、対照区の一般市販品B(塩化ビニール製ポット)の場合、容器毎の細根量に大きなバラツキが生じると共に根巻きが発生していたが、本発明品の場合、いずれのサンプルも安定した細根が充実していた。
【0013】更に、翌々年の4月に経時2年としての最終調査を行った。その結果、(1)樹勢としては、各栽培方式による差異は生じたが、本発明品はどの栽培方式においても対照区品と比較して安定した樹勢を示した。
(2)根系としては、半地中・地中埋設栽培方式において、対照区である一般市販品Aの貫根性容器で裁培されたものは、容器外へ突出した根が肥大伸長し、樹木掘り出し作業が困難であった。本発明品では、容器外へ突出した根は肥大伸長も少なく、樹木掘り出し作業が大幅に改善されたことを確認した。
(3)また、容器取り外しにおいては、一般市販品Aの貫根性容器で裁培されたものは、太い(直径約5mm)根系が不織布を貫通しているため、カッターナイフ等の機具を用いて容器を細かく切り裂きながら取り外すという大変な作業となった。更に、この作業においては容器内の根系の多くを切断するという事態が発生した。本発明品においては、ヒゲ根が貫通した以外の箇所は全て遮根性機能を有しているため貫通根もなく、容器取り外しの際機具を用いることもなく、また容器損傷及び根系損傷を与えることもなく容器取り外しができた。一方、容器内の細根量は、本発明品においては、半地中・地中埋設裁培方式と共に、対照区である一般市販品Aの貫根性容器で裁培されたものと比較すると容器内の細根量は安定し、優れた細根が充実することが確認できた。
【0014】地上栽培方式において(1)樹勢としては、一般市販品B(塩ビ製ポット)と比較して樹高・幹径・枝張りで約10%大きく成長することを確認した。
(2)根系においては、一般市販品Bの塩ビポットでは1年経過時点で確認された容器内底部での根巻き現象が更に拡大し、肥大・木質化が大幅に進み、定植後の活着率低下、伸長停止という事態を引き起こす危険な状態となっていた。本発明品では、容器底部に若干の根巻き現象は見られるものの主根の発達は少なく細根の発達が主体となり、悪環境下に定植されても十分に耐えうるだけの根量を有していることが確認できた。また、取り外した容器の損傷もなく、繰り返し再利用が可能であった。
【0015】
【実施例2】生分解性プラスチック((株)島津製作所製の商品名ラクティと(株)昭和高分子製の商品名ビオノーレを重量比8:2の割合で混合したもの)を用いて厚さ0.07mmに射出成型された容器に、レーザー光を用いて容器全面に70〜120ミクロンの微細孔加工を施し、通気量80〜105cc/cm/secの樹木が成長するに適した容器を得た。かかる容器に樹木育成において一般的に使用される培土を用いて、樹高1mのクスを植え付けた。栽培方式は地上栽培方式,半地中埋設栽培方式,地中埋設栽培方式の各裁培方式にて行った。対照区として半地中・地中埋設栽培方式では、実施例1で用いた一般市販品Aの貫根性容器、地上栽培方式では、実施例1の一般市販品Bの塩ビ製ポットを用いて並行裁培を行った。試験区は各5区とした。潅水は半地中及び地中埋設栽培方式では植え付け時のみ行い、育成期間中は雨水等のみとした。地上栽培方式は、2回/日の潅水で育成した。
【0016】4月に育成を開始し、翌年4月に各試験区本数をサンプリングし樹勢,根系等の調査を行った。その結果、(1)樹勢としては、樹高,幹径,枝張りの調査を行ったが、全ての栽培方式において、対照区との差異はほとんど見られなかった。
(2)根系としては、半地中・地中埋設裁培方式において、一般市販品の貫根性不織布容器は、根の貫通が多く樹木の掘り出し作業にやや難を生じていた。本発明品は容器外への貫通根はヒゲ根程度で簡単に掘り出し作業ができた。容器内の発生根量は、一般市販品の貫根性不織布容器で裁培したものと比較して、肉眼で明らかに差異有りと判断できるほど優位性を示していた。
(3)地上栽培方式においては対照区である一般市販品の塩ビ製ポットの場合、容器毎の細根量に大きなバラツキを生じていたと共に、容器底部に根巻き現象を確認した。本発明品は、容器ごとの細根量バラツキが少なく、多量で安定した根量に育っていたことを確認した。また、容器の強度保持率は85%以上と(地上部・地下部共に)継続裁培育成が十分に可能であることが判明した。
【0017】更に、翌々年4月に継時2年としての最終調査を行った。結果として、(1)樹勢としては、樹高・幹径・枝張り等の調査を行ったが、各栽培方式における大きな差異は認められなかったが、地中埋設栽培方式で育成したグループが約10%程度の優位性が見られた。地上栽培方式に用いた一般市販品の塩ビ製ポットでは容器毎の差異が生じ安定度を欠くものの平均値的にはほぼ同程度であった。
(2)根系としては、半地中・地中埋設栽培方式において、一般市販品の貫根性不織布容器では、太い(直径5〜6mm)根系が不織布を貫通しているため、カッターナイフ等の機具を用いて容器を細かく切り裂き、容器を取り外すという難作業となった。更にこの取り外し作業過程で、容器内の根系の多くを損傷するという事態も発生すると共に細根の充実性に劣っていた。本発明品の容器取り外しにおいては、特別の機具の必要もなく容器取り外し作業が大幅に改善されたことが確認できた。更に細根量・充実度と共に優れていることを確認した。
(3)地上栽培方式においては、対照区である一般市販品の塩ビ製ポットでは1年経過時点の状況が拡大され、容器内底部に発生した根巻きの根系肥大・木質化が大幅に進み、定植後の活着率低下や伸長停止という事態を引き起こす危険な状態となっていた。本発明品では、容器底部に若干の根巻き現象は見られたものの主根発達が少なく、細根発達性に優れ、定植後の活着率低下や伸長停止という悪影響を及ぼすまでに至ってなかった。
(4)また、本発明品に使用した生分解性プラスチック容器の強度保持率は70.2%(地中部73.8%,地上部70・2%)と継続裁培することは危険状態に突入したことを確認した。
【0018】
【発明の効果】本発明は、遮根性機能を有する素材または容器に一定値の通気性・通水性を付与するための微細孔加工を施すことにより、定植時の樹木活着率を大きく左右することを確認できた。更に、容器外への貫通根の制限により、出荷時の樹木掘り取り作業を大幅に改善すると共に、容器取り外し作業を大幅に改善することができた。また、根系への損傷を非常に少なくし、そして容器損傷が少ないため再使用が可能である。一方、容器素材を生分解性プラスチックに置換えても、分解スペックに適した素材を選定することにより、非分解性素材と同等の成果を得ることができた。
【出願人】 【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
【出願日】 平成10年8月7日(1998.8.7)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−50741(P2000−50741A)
【公開日】 平成12年2月22日(2000.2.22)
【出願番号】 特願平10−257447