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【発明の名称】 育苗用培土
【発明者】 【氏名】田辺 茂

【氏名】内山 定敏

【氏名】中里 孝則

【要約】 【課題】機械移植に耐えうる強度を有しつつ、発芽率が高い育苗用培土。

【解決手段】アクリルアミド単量体単位71〜97.5mol%、アクリル酸アンモニウム単量体単位2〜25mol%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)単量体単位0.5〜4mol%からなるアクリルアミド系重合体が0.1〜10重量%土壌に混合している。対象作物を限定せず発芽および育成を阻害することなく、機械移植に必要な強度が得られ、作業効率が向上する等実用的な効果が大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アクリルアミド単量体単位71〜97.5mol%、アクリル酸アンモニウム単量体単位2〜25mol%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)単量体単位0.5〜4mol%からなるアクリルアミド系重合体が0.1〜10重量%土壌に混合していることを特徴とする育苗用培土。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、育苗用培土に関する。詳しくは、野菜等の作物苗を移植するに際して機械的強度が優れた育苗用培土に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、農作業の効率化や合理化により、育苗用容器で発芽させた苗を土付で機械移植させる方式が採られることが多くなってきた。一般に、機械移植の育苗は市販されている育苗容器に培土を詰め播種して移植に適するまで育苗し、移植前に培土を乾燥硬化させた後に機械移植させる。土付苗を移植する方法は苗に直接触れることなく移植が行えるため根傷めが少なくてすむばかりでなく作業の省力化にもつながる利点がある。土付苗を機械移植する場合、培土に機械移植に耐えうる強度を持たせる必要がある。近年、培土の強度向上方法として、水溶性高分子を土壌に混合した培土の強度向上方法が提案されている。例えば、アクリルアミドとアクリル酸(塩)の共重合体を利用するものとして、特開昭59−59119号、特開昭59−88025号、特公平3−49525号各公報に開示があり、ポリアクリル酸ナトリウムを使用した例として、特開平5−292833号公報が提案されている。また、スルホン酸基含有または不飽和ジカルボン酸(塩)とアクリルアミドの共重合体を使用し、培土の保存安定性を向上させた例として特開平8−172900号公報などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの発明では強度が十分に満足されるものとはなっていない。さらに、種の発芽率が90%以下であるため生産性が落ちたり、作業効率が悪いなどの問題点があった。本発明は前記課題を解決するためになされたもので、機械移植に耐えうる強度を有し、かつ、種の発芽率が高い育苗用培土を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このような現状に鑑み鋭意検討した結果、特定のアクリルアミド系重合体を土壌に混合するこにより、育苗容器に詰めた培土を均一に硬化させ、発芽率も90%以上まで向上させることが出来ることを見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明はアクリルアミド単量体単位71〜97.5mol%、アクリル酸アンモニウム単量体単位2〜25mol%、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(以下AMPS)(塩)単量体単位0.5〜4mol%からなる共重合体を0.1〜10重量%土壌に混合してなる育苗用培土である。
【0005】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳述する。本発明の土壌とは、通常に使用される土壌ならば何でも使用でき、水分、肥料分、有機質素材、pH調整剤、腐食物質、鉱物質粉末を混合したものでも良い。主成分となる土壌は粉状でも粒状でもかまわない。
【0006】本発明で土壌に混合するアクリルアミド系重合体はアクリルアミドを主成分とするもので、該重合体中にアクリル酸アンモニウム単量体単位を2〜25mol%、好ましくは5〜12mol%含有する。含有率が2mol%未満であると培土の強度が不足し、25mol%を超えると培土の強度が不足するばかりでなく作物の発芽率も低下する。また、該重合体中には、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)(塩)単量体単位を0.5〜4mol%、好ましくは1〜3mol%含有する。含有率が0.5mol%未満では培土が均一に硬化せず、4mol%を超えると該重合体の値段が高価になるばかりでなく発芽率も低下する傾向にある。該重合体の分子量は特に限定はないが、通常100万〜2000万程度である。
【0007】本発明のアクリルアミド系重合体の製造法は、アクリルアミド単量体とアクリル酸アンモニウム単量体及びAMPS(塩)単量体を共重合しても、アクリルアミド単量体とAMPS(塩)単量体を共重合させた後、熱やアンモニア水等で部分加水分解しても得ることができる。該アクリルアミド系重合体中のAMPS単量体単位は酸の形態でも塩の形態でも良い。本発明のアクリルアミド系重合体はアクリル酸アンモニウム単量体単位とAMPS(塩)単量体単位を一分子中に持たせることにより培土が均一に硬化し、その強度も満足されるものである。さらに、発芽率も90%以上の高水準を確保したものである。アクリル酸はアンモニウム塩でなく、酸やナトリウム塩等のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属等ではアンモニウム塩に比較して相対的に発芽率が低下した。AMPS(塩)は主に培土の強度を向上させる効果があるものである。該重合体の土壌への添加率は0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。0.1重量%未満であると培土の強度が不足し、10重量%を超えると作物の生育を抑制したり、培土の粘着力が強大になり粘ついたり育苗容器から取り出し難くなったりする。上記アクリルアミド系重合体濃度の育苗用培土の作り方は通常の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。本発明の育苗用培土は対象作物を限定するものではないが、特に毛根の少ない根を有するタマネギ等の作物に使用した場合に効果的である。
【0008】
【実施例】以下に本発明の育苗用培土をタマネギに使用した実施例を示すが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
[実施例1]
〔アクリルアミド系重合体の調製〕5リットルジュワー瓶にアクリルアミド22.75重量%、アクリル酸アンモニウム1.5重量%、AMPSナトリウム0.75重量%を含有した水溶液3000gを入れ窒素ガスで置換させ10℃に温調した。重合開始剤として2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライドを200ppm、過硫酸アンモニウムを10ppm、亜硫酸水素ナトリウムを100ppm加えて断熱重合を行った。得られたゲルを肉挽き機にて細断し、60℃にて乾燥した。さらに、得られたペレットを粉砕機で粉砕し粉状重合体を得た。このアクリルアミド系重合体の分子量はゲル浸透クロマトグラフィーの重量平均分子量で1600万であった。
【0009】育苗用培土の主成分となる土壌は粘土鉱物、多孔質膨潤性物質、有機質素材、pH調整剤、肥料から構成されるものを使用した。上記調製したアクリルアミド系重合体を0.7重量%添加、加水し均一に混合した。この培土の理化学性質は、水分16〜17%、pH6.0〜7.0である。肥料成分として培土1kg当たりチッソ250mg、リン酸1600mg、カリ150mg含有させた。ポット1個の大きさが直径16mm、深さ25mmである448個のシート状集合体に培土を詰め、タマネギの種子を播種し、同一の培土で覆土した。シート1枚当たり1.3リットルの水をかん水しビニールシートを被せハウス内の育苗床に置いた。10日後にビニールシートを取り外した。ビニールシートを取り外した後のかん水は、覆土が乾かない程度に行った。15日後にシート1枚当たり何個が発芽したかで発芽率を計算した。播種から30日でかん水を止めポット内の培土を底まで乾燥させた。約14日で乾燥が確認されたのでシート1枚当たり0.4リットルの水をかん水した。
【0010】[実施例2〜7、比較例1〜9]実施例2〜7として、上記実施例1と同様にして、表1に示す単量体割合のアクリルアミド系重合体を用いて育苗用培土を製造し、タマネギを発芽させた。比較例1〜9として、同様に、表2に示したアクリルアミド系重合体を使用した以外は、上記実施例と同様の条件で播種し、発芽させた。
【0011】[試験例1]上記実施例1〜7、比較例1〜9について、0.4リットルのかん水を行った翌日に強度試験を実施した。強度試験は、無作為に100個を選別し、高さ1mから地面に自然落下させて壊れた個数で評価した。また、強度試験を行った残りで正常に発芽したもの100個を選び活着の状態を観察した。生育が正常なものが95%以上で良好、95%以下で不良とした。得られた結果を表1、2にまとめて示した。
【0012】
【表1】

【0013】
【表2】

【0014】表1,2に示されているように、本実施例のアクリルアミド系重合体を含んだ育苗用培土を使用した場合は発芽率が良好で、なおかつ強度も高いものであった。さらに、活着の状態も問題なく、機械移植における実用的効果が高いことが分かった。
【0015】[実施例8〜10]上記実施例2に示したアクリルアミド系重合体を表3に示す割合で土壌に添加した以外は実施例1〜7と同様な方法で評価した。結果も表3にまとめて示した。
[比較例10、11]実施例2に示したアクリルアミド系重合体を表3に示す割合で土壌に添加した以外は実施例1〜7と同様な方法で評価した。結果も表3にまとめて示した。
【0016】
【表3】

【0017】本発明で用いるアクリルアミド系重合体の添加量は表3に示されるように、0.1重量%未満では強度が不足し、10重量%を超えると発芽率が低下することから0.1〜10重量%が適当であった。
【0018】
【発明の効果】本発明の育苗用培土は対象作物を限定せず発芽および育成を阻害することなく、機械移植に必要な強度が得られ、作業効率が向上する等実用的な効果が大きい。本発明のようにアクリルアミド、アクリル酸アンモニウムとAMPS(塩)の特定比率の重合体は、従来知られていたアクリルアミドとアクリル酸ナトリウム共重合体等より培土に優れた強度と発芽率を発揮するもので、従来ないものである。
【出願人】 【識別番号】000109071
【氏名又は名称】ダイヤフロック株式会社
【出願日】 平成10年8月10日(1998.8.10)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外9名)
【公開番号】 特開2000−50728(P2000−50728A)
【公開日】 平成12年2月22日(2000.2.22)
【出願番号】 特願平10−226292