| 【発明の名称】 |
プランター栽培方法、同用具 |
| 【発明者】 |
【氏名】小谷 明司
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| 【要約】 |
【課題】都市部におけるプランター栽培において土の入手の困難さ、土の詰込みの不潔さと煩わしさ、土の流出、飛散による住宅周りの汚染、廃棄時の土と植物体との分別の煩わしさ等を解消すること。さらに、プランターの総重量を軽減してベランダや屋根にかかる重量を軽減すること。
【解決手段】古紙、古布、古綿等のセルローズ繊維を主成分とする再生繊維を場合によっては成形物の中に種子、植物の栄養成分をも含有、固定させてプランター栽培に適する形状に成形し、必要な播種、施肥と水遣りを行なって植物を栽培する。および再生繊維を、場合によっては種子、植物の栄養成分をその中に含有、固定した状態でプランター栽培に適した形状に成形した用具を提供する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】再生繊維をプランター容器に適合する形状に成形し、当該容器に挿入して播種、施肥、水遣りすることを特徴とするプランター栽培方法。 【請求項2】再生繊維をプランター栽培に適合する形状に成形し、その側面、底面を植物生育に必要な通気、通水部分を除いて水不透性の被膜で被覆し、播種、施肥、水遣りすることを特徴とするプランター栽培方法。 【請求項3】再生繊維をプランター容器に適合する形状に成形し、種子等、植物の生育に必要な栄養成分のうちの任意の組合せを成形物の内部もしくは上部に固定して、必要な播種、施肥とともに水遣りすることを特徴とするプランター栽培方法。 【請求項4】再生繊維をプランター栽培に適合する形状に成形し、その側面、底面を植物生育に必要な通気、通水部分を除いて水不透性の被膜で被覆し、種子等、植物の生育に必要な栄養成分のうちの任意の組合せを成形物の内部もしくは上部に固定して、必要な播種、施肥とともに水遣りすることを特徴とするプランター栽培方法。 【請求項5】再生繊維をプランター容器の内面に適合する形状に成形することを特徴とするプランター栽培用具。 【請求項6】再生繊維を栽培に適合する形状に成形しその側面、底面を植物生育に必要な通気、通水部分を除いて水不透性の被膜で被覆することを特徴とするプランター栽培用具。 【請求項7】再生繊維をプランター容器に適合する形状に成形し、種子等、植物の生育に必要な栄養成分のうちの任意の組合せを成形物の内部もしくは上部に固定することを特徴とするプランター栽培用具。 【請求項8】再生繊維を栽培に適合する形状に成形しその側面、底面を植物生育に必要な通気、通水部分を除いて水不透性の被膜で被覆し種子等、植物の生育に必要な栄養成分のうちの任意の組合せを成形物の内部もしくは上部に固定することを特徴とするプランター栽培用具。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は植物の栽培、特に近年、家庭において盛んになったプランター方式による栽培方法と、それを簡便に実施しうるための用具に関する。 【0002】 【従来の技術】近年の環境保護、自然志向の高まりとともに都会でもプランターを用いて花、観葉植物、低木を栽培することが盛んに行なわれるようになった。さらにハーブや食用の野菜を栽培して自家食用に供することも行なわれ始めている。しかし、地価が高く、空地の少ない都会においてプランター設置場所を確保することは困難であり、一般家屋では屋根の上、高層団地ではベランダや室内にプランターを置く場合も多い。しかし、ここにおいて種々の問題が発生している。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】(1)プランター用具の重量軽減ベランダは晴天時、洗濯物や寝具の乾燥、あるいは火災等の非常時の避難のためのものであり積載重量は大きくないものとして設計されている。最近、設計施工されたものを除いて、多数のプランター類を並べる(場合によっては専用のラックを利用して数段にわたって)ことは考慮されていない。屋根についても積載重量に留意する必要があるのは論をまたない。このためプランター容器は重量のある素焼、陶器製のものに代えて、軽量のプラスチックを利用した肉薄タイプ、発泡成形、木製等のものが多量に販売されることになった。 (2)栽培媒体としての土代替物の探索従来はプランター内部に土を入れ、この上面に播種(種子の他、球根、挿し木、幼苗の植込を含める)し、施肥、水遣りを行なうことがほとんどであった。 a.都会で適当な土(腐植を適度に含む)の入手は困難な場合が多い。 b.通常はプランター底部に礫を少量、その上に砂を積層し、さらに土を加えるのが理想であるが詰込みに手間がかかり手が汚れる。 c.土は比重がかなりあるため重量軽減上、限界がある。 d.土は粒状であるため取り扱い中、降雨や強風時の飛散、ペットや子供が触った場合や誤って落とした場合、水遣り時の流出等、汚染の問題が発生する。 e.プランター栽培が終了した場合や植物が枯死した場合、あるいは引っ越し等でプランターを処分しなければならない場合には土は不燃物であるので植物体と土を分別して処分しなければならず、廃棄が面倒である。 等の問題がある。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明者は前項のような問題点について考察し本発明の着想に至った。本発明においては従来技術の問題点を次のように解決せんとする。植物の生長において土が果たす機能は次のようであると考えられる。 a.適度の間隙を保持し、かつ全体としての一体保形性、強度を保有して、根の伸張を保証するとともに根を介して植物体を支持する。 b.植物の生育に必要な水分、養分を土の間隙あるいは土粒子の表面に吸着、保持する。 c.適度の間隙を保持して通気性、通水性を確保する。 d.その間隙に種々の微生物を保持して植物の分泌する有機物を分解し、自家中毒を防止するとともに植物の生育に有用な有機物を生産、供給する。 【0005】しかしこのような土の機能は他の物質によっても代替が可能と考えられる。その場合の必要な条件としては次のものがあげられる。 a.その物質が植物、微生物に対して無害である。 b.適度な間隙と柔軟性あるいは可塑性(植物の根が伸張できる程度。この条件が満足されれば微生物が根よりもはるかに微細であるからしてその保持、増殖には問題がないと考慮される)を有する。 c.全体として植物を支持、固定できる程度の保形性と強度を有すること。 d.通気性、保水性が適度である。 植物の生長に必要な物質、例えばリン、窒素、カリ、その他のミネラル類については、現在では種々の記合肥料が完備されておりこれらを補給すれは問題はないが補給した物質がただちに流下することなく適度に保持される必要がある。 e.材料が安価であり安全、簡便に、環境問題を起こさずに廃棄できる。 【0006】以上のような条件を満たし、かつ安価、豊富な材料について検討した結果、本発明者はリサイクルシステムが確立されている古紙、古布、あるいは古綿等の利用に思い至った。 a.これらは天然繊維であるセルローズを主要成分にしており種々の目的のために添加されている有機物、無機物を水洗、除去すれば植物に全く無害である。 b.セルローズは分子中におびただしい水酸基を有し水素結合により水を適度に保持することができる。さらに複数の水酸基が接近してケージ構造を形成するのでこの中に種々の物質を分子レベルで物理化学的に保持することができる。 c.セルローズは長繊維構造を有し複数の繊維が部分的に結晶構造により会合するとともに緩く寄り集まった空隙部分を有する。この空隙部分に表面張力により種々の成分を溶解した水を保持することができる。 d.微細繊維構造を有するので適度に混合、圧迫、成形すれば繊維同志がからまりあって保形性を発現するとともに適度の間隙と湿潤時に柔軟性を有する成形物を容易に形成する。また圧密度の調整により成形物の強度を調整することができる。場合によっては接着性のある物質により補強することもできる。 e.前項と同じ理由により成形物には間隙と柔軟性が付与されるので通気性、通水性、植物の根張り性、微生物の保持性を確保できる。 【0007】 【発明の実施の態様】本発明はプランターを用いる植物栽培方法と、それを実施するための用具の発明から構成される。 【0008】A.栽培方法に関して本発明に用いられる再生繊維は古紙、古布、古綿等を分別、裁断、揉捻、水洗、乾燥等の工程を経て製造される。古新聞紙を再生紙に加工する場合には色を安定させるために有機溶媒洗浄してインクを抽出除去するが、本発明においては水洗で植物の生長に有害な物質が除去されておれば色彩にはこだわらないのでこの処理は不要である。古布、古綿等の場合には繊維が長すぎたりあるいは繊維が撚られてほぐれ難いので前処理において成形が容易な長さ(通常は数cm〜数mm)に裁断しローラーやローター等で揉捻すればよい。古紙の場合には特に裁断や揉捻せずにそのまま充分量の水を加えてミキサー等の攪拌手段によって繊維間の接着を解離させ、水洗を繰り返せばよい。古紙の場合には比較的純粋にパルプ繊維のみからなる再生繊維を回収できるが、古綿、古布の場合には外見上の区別が困難なために人絹、化学修飾をしたセルローズ(例えばアセチル化、アルキル化等)、あるいは化学繊維(ナイロン、ポリエステル、ポリアクリルアミド等)が混合する場合が予想される。本発明の趣旨からして人絹や化学修飾をしたセルローズ繊維はセルローズと同等に扱ってもよいと考えられる。これらの繊維はセルローズと類似の化学的、物理的な構造を持ち、焼却、埋め立てしても無公害的に分解されるからである。化学繊維についてはその化学構造においてハロゲン原子を含まないものであれば少量の混入は差し支えがないと考えられる。水洗された再生繊維は水分を濾過、遠心分離、圧搾等の手段で除去する。この時、繊維の圧密状態を調整することにより空隙の多い、根張り性はいいが強度の弱い小植物用の製品から、密度が比較的高く、根張り性は悪いが(ただし根の伸長力が旺盛な大型の植物には問題がない)支持機能に勝れた、強度の強い大植物用の製品までの仕様を調整できる。成形物の乾燥後の比重が0.15〜0.30程度に圧密状態を調整するのが一般的である。 【0009】次いでこのものを成形する。成形は脱水した再生繊維を型に詰めることにより実施するが所望により圧迫を与えて圧密度を上げることもできる。再生繊維は相当量の水と混合された状態で型に送付して型内で濾過、遠心分離、圧搾等により脱水し成形と兼用することも可能である。再生繊維を混和し型へ充填、圧迫することによって繊維は相互に絡み合い一応の成形は達成されるが、乾燥すれば完全に固定される。型抜きした湿潤状態のものも保湿性の包装をすることにより商品として販売することができる。乾燥は天日、通風乾燥等が安価であるが天候に左右されるため一般的には熱風乾燥による。マイクロ波乾燥等の他の乾燥方法も適用しうる。繊維が分解しない温度を選択するが通常は60〜120℃程度が好ましいと考えられる。大型の成形物は高さも厚みもあるので乾燥が遅いが、例えば熱風を型の一方から他方に向けて吐出して強制的に成形物内を通過させるようにすれば乾燥速度をかなり上げることができる。このためには型の底部を取り外せるようにするか、型全体を金網もしくはパンチングメタル板等で製作して通気性を持たせれば成形物内部への強制通風が可能となる。あるいは、成形物の中央に孔を空け、ここにノズルを差し込んで熱風を吹き込むことによっても乾燥時間を短縮できる。残った孔は主根が伸びる植物では成形物への着根を補助する。単なる乾燥による固定では型の強度が充分ではないと判断される場合には成形時に接着性化合物を添加することもできる。ただし、植物に対する有害作用のない製品を選択する。また本発明に係わるプランター用具が家庭ゴミの簡易処分により容易に廃棄できることも念頭に置いているために、埋め立て、あるいは焼却時に容易に分解され、有害な物質を発生しないものを選択するのが好ましい。例えば澱粉系(澱粉、化工澱粉、可溶性澱粉、デキストリン等)、多糖類系(フノリ、アルギン酸ソーダ、アルギン酸エステル、各種ガム類、プルランやキサンタンガム等の微生物由来多糖類等)、ゼラチン類、ポリビニールアルコール等があげられる。これらは乾燥時には接着力を保持するが湿潤時には膨潤ないしは溶解して接着力を失うので、さらに安定した接着力を望む場合には合成樹脂製品も選択可能である。ただし、焼却時の有害物質発生を回避するためにはハロゲン元素を含有する化合物は除外することが好ましい。例えばアクリル系化合物モノマー類、ビスイソシアネイト系あるいはイソチオシアネイト系(例えばヘキサメチレンビスイソシアネイト(イソチオシアネイト)、キシレンビスイソ(チオ)シアネイト等)、ビスアルデヒド系(グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、フタルアルデヒド等)、ビス酸ハロゲン化物系(例えばグルタル酸二塩化物、アジピン酸二塩化物、パラフタル酸二塩化物等)(これらはハロゲン化合物ではあるが反応の進行とともにハロゲン原子は離脱して無機イオンとして容易に除去しうる)、あるいはこれらに対応するアルコキシ炭酸エステルとの混合酸無水物、ビスエポキサイド系(1,2−3,4−ブチレンビスエポキサイド等)等があげられる。さらにはセルローズとは別に高分子の網状構造を形成させて再生繊維を補強ないしは固定することもできる。この場合にモノマーの選定基準は先に述べた架橋剤についてのものに準ずる。このような例としてはジアミンまたはジオールもしくはビスフェノールとビスイソシアネイト(イソチオシアネイト)(ジアミンとしては例えばエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等、ジオールとしては1,6ビスヘキサメチレンジオール等、ビスフェノールとしては4,4’ジヒドロキシジフェニルエーテル等、ビスイソシアネイト(イソチオシアネイト)については前述した)、ジアミン、ジオール、ビスフェノール等とビス酸ハロゲン化物(あるいはこれに対応するビス混合酸無水物)、ジアミンとジエポキサイド、ジアミンとビスアルデヒド(場合により生成するシッフ塩基、あるいはアミノアセタールを安定させるために還元反応を併用することもできる。還元反応としてはソジウムムボロハイドレートの添加、白金やパラジュームを触媒とする接触還元反応等が例示される)、さらにアクリル系化合物やビスイソシアネート類は反応条件を選択すれば自己分子間の架橋反応を起こすのでこれを利用することもできる。これらは架橋反応を促進するために触媒、酸、塩基等と混用して用いられることが多いが、未反応分子、副成低分子化合物、触媒、酸、塩基等を除去するために架橋反応終了後水洗する。除去すべき分子の性質に応じて酸、アルカリ、有機溶媒(例えばメタノール、エタノール、アセトン等)による洗浄を併用することもできる。乾燥は手で触れて湿気を感じない程度、通常は水分率10%程度で充分である。 【0010】本発明はかくして得られた再生繊維の成形物をプランター容器に填め込み、播種、施肥、水遣りすることによって実施される。播種の方法としては成形体の上に種を播く、あるいは上面に孔を穿ってこの中に種を落とす、あるいは埋め込めばよい。この場合の「播種」には種子だけでなく球根、接木用の茎や枝(以下、種子等と称する)、幼苗を成形物に植えることを含む。球根の場合には球根の底部に合った孔を空けることにより位置が安定し、主根が真っすぐに伸びる品種の場合にはあらかじめ主根の伸びる下方向にある程度の深さにまで穿孔しておけば主根の発育が容易となり早期に植物体が固定される効果が期待できる。幼苗の場合には既に根がある程度伸張しているので成形物に根がすっぽり入る孔を空け、余白を紙片、脱脂綿等で埋めるか、刃物のようなもので突き刺して裂目を作り、ここに根を挿入、固定してから栽培を開始すればよい。幼苗栽培時の苗床を成形体と同質、類似の材質で製作し、幼苗が生育した段階で定形の押し型、ボーラー、組刃で苗床とともに一定形状に切り出し、成形物の上面にあらかじめ設けた苗床が適合する空所に挿入すれば作業はもっと容易になる。成形物に孔や空所を設けるのは乾燥後にドリルや刃物等で切削するか成形時に型の上面に孔や空所に対応する突起を有する押さえ具を圧着すれば容易にできる。 【0011】プランター容器として昔は素焼きや陶器製が多かったが、最近は合成樹脂製、木製のものが増えてきている。ただし、本発明において成形物の容器内部への嵌合を省略する場合には乾燥後に成形体の側面や底面に水不透性の被膜を施せばよい。例えば合成樹脂製フィルムの展着や張り付け、硬化時に水不溶性、不透性となる塗料膜の吹付けや塗布、硬化(乾燥、加熱、硬化促進剤の添加等により)によりこのような目的を達することが可能である。ただし、プランター容器の常識として底部には水遣りの際の余剰の水が排出される孔が必要とされるためこの部分には被膜を省略するか後に除去する。 【0012】本発明の構成を採用する場合には栽培しようとする植物の品種特性に応じた肥料成分、ミネラル等(以下、栄養成分と称する)を成形物にあらかじめ固定して施肥の手間を省略することもできる。この場合は水遣りの度に徐々に栄養成分が溶出する徐放性製剤としたものが好ましい。例えば有効成分をタルク、粘土、珪藻土、石灰、ベントナイト、ゼオライト等のビークル、デンプン、ガム類、ゼラチン等のバインダー、石鹸、高級脂肪酸ソーダ塩、高級脂肪酸グリセリンエステル等の界面活性剤と混合して粒状あるいはペレット状にしたもの等が例示されよう。このような製剤を成形物の上面に接着剤で固定したり、孔を穿って内部に差し込んだり、落とし込んでから紙片や綿栓で固定したりすれば目的を達する。ただし、製剤が少しの湿気では崩壊や溶解しない場合には湿潤状態の再生繊維に適量を混合し成形、乾燥すれば固定や穿孔の手間を省略できる。 【0013】本発明はさらに消費者の播種の手間をも省略できる栽培方法を提供する。すなわち成形物に種子等を埋め込み、接着等して固定すれば消費者においては播種の手間もいらず、水遣り、施肥の手間だけで栽培を楽しめる。併せて、先に述べた栄養成分をも固定しておけば単なる水遣りだけで栽培を楽しめる。植物の発芽、発根には水分刺激が必要であるが、成形物中の水分活性が充分小さくて植物の発芽、発根の閾値に達しない場合にはあらかじめ種子等を成形物に固定した状態で輸送、保管、販売できる。理論的には土の場合にも充分に乾燥すれば可能であるが、乾燥した土は接着性、保形成が乏しく、かつ重量があるために実用的ではないと考えられる。 【0014】種子等の固定には栄養成分の固定方法がそのまま援用できる。種子は水分との接触から発芽までにある程度の誘導期間が必要なので、成形〜乾燥をその期間内に完遂する場合には種子を湿潤状態の再生繊維と混合して型に詰めたり、水に分散状態の再生繊維と種子とを混合して、流動状態のまま型に流し込み脱水、圧迫して成形し、続いて乾燥することも可能である。もとより乾燥については種子が失活しない温度〜時間条件を選択しなければならないことは言うまでもない。埋め込みが深すぎて発芽困難の予想される場合には成形物の成形を分割して、型の下部に種子を含まない再生繊維を充填し引き続き上部に種子を含有した繊維を充填、成形することもできる。また、種子を含有する部分は別に成形して接着性の物質を塗布して下部部分の上に載置して乾燥して一体化すること、下部と上部を別々に成形〜乾燥してから接着して一体化することもできる。この場合に栄養成分を成形物中に固定する場合には分割された各部分に分散して固定することも、特定の部分だけに固定することも可能となる。 【0015】B.用具について前項の本発明の方法についての記述により本発明の用具ついてもほぼ明らかになったと思われるが、念のために要点をここに記述する。a.プランターの形状に合わせて成形した用具最も基本的構成を有する用具である。プランターに挿入し播種、水遣り、施肥を行なうことを前提とする。再生繊維をプランター内面にほぼ嵌合する形状に型で成形後、乾燥したものであって、圧密度は比重0.12〜0.30(ただし乾燥後)程度に成形する。湿潤状態で保湿包装を施して商品化することも可能であるし乾燥した商品とすることもできる。乾燥する場合には水分含量は手で触って乾いた感触を与える程度、通常は10%程度で充分である。成形物を補強するために接着性物質、あるいは架橋性の物質で処理することも可能である。さらに、種子等や幼苗の固定、根の発育促進のためにあらかじめ孔や裂目を設けておくことも許容される。 b.側面、底面に水不透性の被膜を有する用具このタイプはプランターに嵌合することを予定していない。自身の側面、底面に水不透性の被膜を形成させることにより容器の機能をも併有するものである。ただし通気性、通水性を確保するため底部に非被膜部分を残すことは予定されている。強度付与、形状面で前項で述べた付加的な加工も採用しうる。c.植物生育に必要な物質を固定した用具このタイプは施肥の手間を省略するための用具であり栄養物質をあらかじめ成形物の内部、あるいは表面に固定しておくものである。植物生育に必要な物質は水遣りの度に徐々に成形物中に放出されるような構造を有する製剤に加工することが好ましく成形物内部への埋め込み、上部表面への接着等により固定される。プランター内部へ嵌合するタイプ、外面に被膜を有して独立して使用できるタイプの両様が含まれ、先に述べた種子等の固定のための穿孔、裂目等の付加的な工作も援用しうる。 d.種子、球根、挿し木用枝や茎等を固定した用具このタイプは播種の手間を省略するための用具である。種子等の固定は成形、乾燥後においても可能であるが、発芽、発根、耐熱条件が適合するならば成形時、あるいはその前の含水時に再生繊維と種子を混合して成形、乾燥することができる。固定深度が発芽条件に不利となるようなら成形を二つ以上の部分に分割して成形し上部にのみ種子等を固定することもできる。上部と下部の接合は湿潤時の積層、乾燥によるか、それでも不十分の場合には湿潤時、あるいは乾燥後の接着を行なえばよい。栄養物質の固定についてはc.に述べたとおりである。ただし、分割して成形する場合には任意の部分に固定することができる。さらに、このタイプについてもプランターに嵌合して使用する被膜のないタイプと底部に、水排出と通気に必要な最小限の面積を残してその側面と底面に不透水性の被膜を施したタイプの両様を提供できる。 【0016】 【実施例】実施例1新聞紙1Kgを10Litr.の水に一晩浸漬し、電気洗濯機の水槽で30分間攪拌してパルプとした。これを脱水機で脱水し、6Litr.の水を加えて電気洗濯機の水槽で15分間攪拌し脱水機で5分間脱水する操作を3回繰り返した。得られた湿潤再生繊維は3.35Kgであった。市販のプラスチック製プランター容器(上面直径72mm、下面直径54mm、高さ80mmの植木鉢型)に湿潤繊維を3倍重量の水を加えて粥状に分散し、徐々に注加、手で圧迫脱水しながら229grを充填した。容器の底部の孔から棒を差し入れて充填物を型崩れしないように取り出し、7月の晴天下、2日間天日乾燥した。半乾きの状態に石灰と苦土石灰の微粉、各々0.4grを少量の水に懸濁して注加しさらに5日間、天日乾燥した。乾燥後の重量は64gr、水分率は10.2%、見掛け比重は0.221であった。底部を切断して高さ48mmに成形した。これを前述のプランター容器に挿入し、上面の中央にドリルで直径約5mm、深さ約10mmの孔を空け朝顔の種1個を落とし込み、脱脂綿で軽く詰めをして、全体が湿る程度に水遣りをした。市販の液体植物用肥料(アイリスオーヤマ(株)「シクラメンにE」)30mlのアンプル1本を開封して1/3程度を散布した。これを日当たりのよい窓際に置き三日に一度、水遣りを続けて朝顔の栽培を行なった。 実施例2実施例1において充填前に再生繊維に7%重量の市販の不易糊溶液(ポリビニルアルコール水溶液)を添加して手で均一に混和した。乾燥後の指で押して感じられる強度は実施例1の成形物に比べて明らかに向上していた。このものを用いて実施例1に準じて朝顔を栽培した。 実施例3実施例1において乾燥後に薄刃のカッターで上面の中央に幅約50mm、深さ約30mmに切り目を入れた。別に砂地に播種、発芽させ草丈約30mmに育った朝顔の幼苗を丁寧に抜き取り、根の砂を払ってから成形物の切れ目を押し開いて丁寧に挟み込み、容器に挿入し充分に水遣りしてから液体肥料を散布し、朝顔を日当たりのよい窓際で栽培した。 実施例4実施例1の乾燥した再生繊維の成形物の側面と底面に市販の透明のアクリルラッカーを三回、刷毛で塗布、乾燥し、底部中央の塗膜を直径約15mm程度カッターナイフで剥ぎ取った。さらに成形物の上面の縁に密着する幅30mmの円形の枠を厚紙を接着し、これにもアクリルラッカーで塗装して上部を15mm程度残して填め込み、水遣りの際に水が飛散、漏出しないようにした。湿らせてから上面に箸で10mm深さの孔をあけて朝顔の種を落とし込んた。表面を削って得た余分の再生繊維で孔を埋め同様に栽培した。 実施例5実施例1の成形物をアクリルラッカーで塗装する代わりに短冊に切断した厚紙の両面に透明ラッカーを塗布、乾燥したものとゴム性接着剤で側面、底部を覆うとともに余白20mm程度を成形物の上部に出るように側面に立ち上げた。紐で固定し三日間放置、硬化させた。紐を解き、底部被覆の中央にカッターナイフで直径15mm程度の孔をあけた。同様に播種、施肥、水遣りをして朝顔を栽培した。 実施例6実施例1の脱水した再生繊維を容器に充填するときに、容器の底から約10mmの高さの位置に直径15mm程度の竹の棒を立て、垂直に保ちながら再生繊維を充填した。充填後、注意深く竹棒を抜き取り型出しをしてから孔のあいた状態で90℃、8時間熱風乾燥した。容器に挿入し孔に石灰、苦土石灰を落とし込み、砂地に別に栽培した根長45mm程度の人参を中央の孔に差し込み、少量の綿栓で安定させてから水遣りし液体肥料を散布してして日当たりのよい窓際で栽培した。 実施例7実施例1において脱水した再生繊維に市販の粒状固形肥料(「化成肥料」、オーロラケミカル(株)、アンモニア態N8.0%、水溶性P8.0%、水溶性K8.0%)2grを手で均一に混和し、実施例1と同様に充填し、半乾きのときに石灰と苦土石灰を添加して乾燥、成形した。このものを容器に挿入し実施例1と同様に朝顔を栽培した。 実施例8実施例7において固形肥料を混和した再生繊維を10mm低く充填し、市販の不易糊の溶液を刷毛で薄く塗った。容器の上面10cm程度を埋めるのに要する量の湿潤再生繊維に少量の水、石灰、苦土石灰の微粉、各々0.4gr、松葉ぼたんの種子10粒を加えて均一に混ぜ、糊面の上に均一に広げて手で圧迫して容器内に充填した。型抜きし、除湿型の熱風乾燥機(東洋技研株式会社「アルファードライヤー」)にて50℃、24時間熱風乾燥して肥料、種子を内部に固定したプランター栽培用成形物を得た。このものを容器に挿入し、日当たりのよい窓際に置いて最初に充分に水遣りをしてから三日毎に水遣りをして栽培した。 実施例9固形肥料2gr、松葉ぼたんの種5粒に箸で混ぜながら全体が粘着性を有する程度に市販の不易糊を加えた。実施例1の成形物の表面にこの混合物を移し全体に伸ばして天日で3時間乾燥して表面に接着、固定した。このものを日当たりのよい窓際に置き水遣りを行なって松葉ぼたんを栽培した。 実施例10内面の直径21.5cm、高さ45mmのクッキーのブリキ製化粧缶の底面中央に直径30mm、その孔を取り囲んで、缶の縁とのほぼ中間に直径20mmの6個の孔をあけた。回収した脱脂綿を実施例1の新聞紙のように再生、脱水し、実施例5の固形肥料10gr、松葉ぼたんの種子30粒を加えて均一に手で混合して厚さ約25mmに缶に詰めた。50℃で24時間、除湿熱風乾燥し缶から抜き出した。このものの側面と底面にアクリルラッカーを6回塗布、乾燥してやや厚めに被膜を施した。ただし缶底の孔に対応する部分(この部分はやや脹らんでいるので容易に判別可能)には切り抜いた厚紙を張り付けて塗膜を排除した。この成形物をプラスチック製の皿状物に載せ、窓際の日当たりのよい場所に置き石灰、苦土石灰適量を散布し、水遣りを開始して松葉ぼたんを栽培した。 実施例11内面が、高さ16.5cm、底部の直径10.0cm、上面直径16.5cmのプラスチック製、植木鉢型のプランター容器に再生繊維を上部に15mmの余裕を残して充填した。このときに直径約35mmの竹棒を再生繊維の上面から約10cmの深さまで差し込み、中央に垂直に保持した。竹棒を注意深く抜き取り、次いで型抜きしてから7月の晴天下の屋外にて7日間天日乾燥した。ドラフト内でHexamethylene−1,6−bis−isothiocyanate5%を溶解した70%メタノール液0.5Litr.を上面から徐々に注加した。晴天下、無人の屋外で4日間にわたって天日乾燥した。次にヘキサメチレンジアミン塩酸塩の2%水溶液1Litr.を徐々に注加した。再び晴天下に4日間乾燥させ、0.5%苛性ソーダ水溶液1Litr.を容器に徐々に注ぎ、3時間室温に放置後2N塩酸を底部からの流下液がPH試験紙でPH2.0になるまで注いだ。次いでPH試験紙で6.7になるまで水道水を注いで洗った。2時間水切り後、容器から補強された成形物を抜き取り、晴天下に7日間乾燥した。側面と底面に無色のアクリルラッカーを塗布、乾燥してやや厚く被膜を形成した。底部中央に直径20mm程度の円形の厚紙を貼ってその部分は水抜きとして残した。別に砂地に栽培した根長5cm程度の大根を孔に差し込み綿栓で安定させてから日当たりのよい窓際に置き、石灰、苦土石灰、液体肥料を散布してから水遣りして栽培した。 *注:Hexamethylene−1,6−bis−isothiocyanateの調製方法ドラフト内に1000mlの四頸コルベンを据え、換気状態を維持する。水400ml、苛性ソーダ18grを加えて水道水で外部を冷却しながら攪拌する。均一に溶けたら攪拌、冷却下にヘキサメチレンジアミン2塩酸塩19grを温水300mlに溶解した液、二硫化炭素15.2grを別々の滴下ロートから30分で同時に滴下する。滴下終了後さらに15分間攪拌を続けてHexamethylene−1,6−bis−dithiocarbamic acid二ナトリュウム塩溶液を得る。次にクロル炭酸エチルエステル21.7grを水冷、攪拌下に20分で滴下する。かくして生成したHexamethylene−1,6−bis−S,S−ethoxycarbonyl−dithiocarbamateになおも水冷、攪拌下に濃塩酸50mlを30分で滴下し、水浴にて加熱攪押し50℃に1時間攪拌する。加熱を止め適量の氷を加えて20℃以下に冷却し、溶液を濾過して分液ロートに移し150mlのメチレンクロライドで3回抽出する。メチレンクロライド層は合わせて、1N塩酸100mlで2回、1%炭酸ソーダ100mlにて2回、薄い食塩水100mlで2回で抽出し無水硫酸ソーダにて脱水してから減圧下にロータリーエバポレーターにて濃縮し、残留物として12.5grのHexamethylene−1,6−bis−isothiocyanateを得る。このものは精製しなくても本発明における再生繊維の補強に使用できる程度の純度を有する。 【0017】 【発明の効果】本発明の効果としては次のものがあげられる。a.プランター栽培において土が不要になり簡便、清潔に栽培できる。 b.プランター栽培における用具の軽量化を実現でき、空地の少ない都会部の住宅の屋根や高層建築のベランダにおいても栽培点数を稼ぐことができる。 c.プランター栽培において培地が一体化されているため簡便に取り扱える。 d.プランター栽培において植物の枯死、栽培品の処分、廃棄などにおいて成形物と植物を一体のまま焼却、埋め立て等の簡易な方法で対応できる。また、埋め立て、焼却等においても有害物を発生せす環境問題を起こさない。 e.成形物への被膜形成、栄養成分、種子等の固定を適宜組合せて販売することにより容器の購入、手配、播種、施肥の一つ、あるいは任意の複数の組み合わせに要する手間を省き、極端な場合には水遣りだけで手軽にプランター栽培を楽しむことができるプランター用具を提供できる。 f.現在、リサイクル童は増加しているが有効な用途がないために行政の補助金によって赤字状態で再生、ないしは輸出されている古紙等の有効利用の途を開くことになり地球環境保護に役立ち、社会、経済的効用が見込める。
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| 【出願人】 |
【識別番号】598115085 【氏名又は名称】小谷 明司
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| 【出願日】 |
平成10年7月21日(1998.7.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2000−32849(P2000−32849A) |
| 【公開日】 |
平成12年2月2日(2000.2.2) |
| 【出願番号】 |
特願平10−237921 |
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