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【発明の名称】 植物工場
【発明者】 【氏名】加納 一幸

【要約】 【課題】植物工場の設備費を抑制し、増設変更を容易とし、農薬による被害を防止し、農作業の効率を高める。

【解決手段】温室1は、育成エリア3と作業エリア5に分割されて仕切部材7により仕切られている。無端搬送装置13が自動扉9と自動扉11を貫通して、育成エリア3と作業エリア5に配設されている。作業エリア5内において、無端搬送装置13は複数の蛇行部分を有している。作業エリア5内には農薬等の薬剤を植物に散布するための農薬噴射室29と、植物に水を供給する作業を実行するため潅水室31と、芽欠き等の農作業に使用される作業室33が設置されている。作業エリア5内に椅子(図示略)が設置されており、無端搬送装置13により、座ったままで作業が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を搬送する無端搬送装置と、前記植物栽培容器が通過可能な農薬散布室を設けたことを特徴とする植物工場。
【請求項2】温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を搬送する無端搬送装置と、前記植物栽培容器が通過可能な作業室を設けたことを特徴とする植物工場。
【請求項3】温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を懸垂させて搬送する無端搬送装置と、前記植物栽培容器が通過可能な給液室を設けたことを特徴とする植物工場。
【請求項4】温室を仕切り部材により育成エリアと作業エリアに分割し、該仕切り部材に扉を設け、該扉を通過できるように、植物栽培容器を搬送する無端搬送装置を前記育成エリア及び作業エリアに配設し、該作業エリアにおいて、前記植物栽培容器が通過可能な農薬散布室、作業室、及び給液室の内の少なくとも1つを設けたことを特徴とする植物工場。
【請求項5】温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を搬送する無端搬送装置と、前記温室内に設置された、前記植物栽培容器へ農薬散布可能な農薬散布装置と、を設けたことを特徴とする植物工場。
【請求項6】温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を懸垂させて搬送する無端搬送装置と、前記温室内に設置された、前記植物栽培容器へ給液可能な給液装置を設けたことを特徴とする植物工場。
【請求項7】温室を仕切り部材により育成エリアと作業エリアに分割し、該仕切り部材に扉を設け、該扉を通過できるように、植物栽培容器を搬送する無端搬送装置を前記育成エリア及び作業エリアに配設し、該作業エリアにおいて、農薬散布装置、作業場所及び給液装置の内の少なくとも1つを設けたことを特徴とする植物工場。
【請求項8】温室と、該温室内に設けた誘導レールと、該誘導レールに沿って植物栽培容器を吊り下げて搬送するチェーンコンベアと、を備え、構成部品にモジュール化された無端搬送装置と、を配設したことを特徴とする植物工場。
【請求項9】前記誘導レールを蛇行させて配設したことを特徴とする請求項8に記載の植物工場。
【請求項10】前記無端搬送装置は、前記植物栽培容器を自転させる自転装置を備えていることを特徴とする請求項8又は9記載の植物工場。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、植物の温室内で栽培するための植物工場に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、植物工場の一例として、例えば、特公平4−22525号による植物生産システムがある。それは、植物生産室1を備え、培養容器5を複数個配列可能なトレー6を上下方向の複数段に収納可能な複数の収納棚3と、これら複数の収納棚3を一定軌道に沿って公転させるための収納棚回転装置(7,8,9,11)とを備えた回転棚装置2と、上記収納棚3内のトレー6上方に設けられたトレー6内の植物を照射するための照明装置16と、収納棚3にトレー6を自動的に入出庫するための自動入出庫装置20と、培養容器5に植物組織を接種したり苗植をしたり各種作業を行うための作業場と上記自動入出庫装置20との間に設けた搬送コンベア23,24からなるものである。これにより、栽培床を植物生産室内で短時間に大量に出し入れすることができ、生産性の向上とともに、作業員の労力の低減を図ることができる。
【0003】ところが、自動入出庫装置20を特別に設けなければならず、それだけ設備費が高くなる欠点がある。また、植物生産室1内の植物に農薬の散布(農薬散布とも呼ばれる)を行う場合、そのガスが植物生産室1の全体に拡散して、植物生産室1の隔壁を構成するビニールや諸設備を傷めたり、人体に悪影響を及ぼすという欠点がある。さらに、作業場と植物生産室とが分離されているため、植物の移動の手間が大変であるという欠点がある。さらに湿度の管理、ラインの増設、変更が難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、請求項1ないし10記載の発明の課題は、設備費を抑制し、作業性を高めることである。請求項1記載の発明の課題は農薬の拡散を防止することである。請求項2、4、7記載の発明の課題は、作業室にて農作業を居ながらにして行い、作業効率を向上させることである。請求項3及び6記載の発明の課題は、栽培管理、環境管理が容易とすることである。請求項4及び7記載の発明の課題は、湿度を低減させて病気の発生を抑制することである。請求項8及び9記載の課題は、ラインの増設変更を容易とすることである。請求項10記載の発明の課題は、植物への光の照射を均一化することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み、請求項1記載の発明は、温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を搬送する無端搬送装置と、前記植物栽培容器が通過可能な農薬散布室を設けたことを特徴とする植物工場とすることができる。これにより農薬の散布に起因する温室の傷みを防止できる。「植物栽培容器」は、具体的には、植物を植えるための鉢やプランター等が挙げられる。「農薬散布室」は、農薬噴射装置を備えた農薬噴射室等の種々のものが挙げられる。
【0006】請求項2記載の発明によれば、温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を搬送する無端搬送装置と、前記植物栽培容器が通過可能な作業室を設けたことを特徴とする植物工場とすることができる。これにより、作業室にて芽欠き等の作業を座りながら行うことができ、作業効率が向上する。
【0007】請求項3記載の発明によれば、温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を懸垂させて搬送する無端搬送装置と、前記植物栽培容器が通過可能な給液室を設けたことを特徴とする植物工場とすることができる。これにより、給液を自動的に行うことができ、栽培管理が容易となる。
【0008】請求項4記載の発明によれば、温室を仕切り部材により育成エリアと作業エリアに分割し、該仕切り部材に扉を設け、該扉を通過できるように、植物栽培容器を搬送する無端搬送装置を前記育成エリア及び作業エリアに配設し、該作業エリアにおいて、前記植物栽培容器が通過可能な農薬散布室、作業室、及び給液室の内の少なくとも1つを設けたことを特徴とする植物工場とすることができる。これにより、湿度を低減させて病気の発生を抑制することが可能である。
【0009】請求項5記載の発明によれば、温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を搬送する無端搬送装置と、前記温室内に設置された、前記植物栽培容器へ農薬散布可能な農薬散布装置と、を設けたことを特徴とする植物工場とすることができる。請求項1と同様の課題が達成できる。
【0010】請求項6記載の発明によれば、温室と、該温室内に設置され植物栽培容器を懸垂させて搬送する無端搬送装置と、前記温室内に設置された、前記植物栽培容器へ給液可能な給液装置を設けたことを特徴とする植物工場とすることができる。請求項3と同様の課題が達成できる。
【0011】請求項7記載の発明によれば、温室を仕切り部材により育成エリアと作業エリアに分割し、該仕切り部材に扉を設け、該扉を通過できるように、植物栽培容器を搬送する無端搬送装置を前記育成エリア及び作業エリアに配設し、該作業エリアにおいて、農薬散布装置、作業場所及び給液装置の内の少なくとも1つを設けたことを特徴とする植物工場とすることができる。請求項4と同様の課題が達成できる。
【0012】請求項8記載の発明によれば、温室と、該温室内に設けた誘導レールと、該誘導レールに沿って植物栽培容器を吊り下げて搬送するチェーンコンベアと、を備え、構成部品にモジュール化された無端搬送装置と、を配設したことを特徴とする植物工場とすることができる。これにより、ラインの増設、変更が容易となる。
【0013】請求項9記載の発明によれば、前記誘導レールを蛇行させて配設したことを特徴とする請求項8に記載の植物工場とすることができる。これにより栽培効率を高めることができる。
【0014】請求項10記載の発明によれば、前記無端搬送装置は、前記植物栽培容器を自転させる自転装置を備えていることを特徴とする請求項8又は9記載の植物工場とすることができる。これにより植物への光の照射が均一になる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図3に基づいて、好適な実施の形態である植物工場1を説明する。植物工場1は、温室2を備え、温室2内の内部が仕切部材7により仕切られ育成エリア3と作業エリア5に分割されている。育成エリア3と作業エリア5には、それぞれ空調装置4,6が設置されている。仕切部材7には引き戸構造のリミットスイッチ等のセンサーを備えた両開きの自動扉9と自動扉11とが2個所に設置されている。これらは、通常は閉状態であり、後述の無端搬送装置13により吊り下げられつつ移動せしめられる後述の搬送台21(図1では図示略)がこれらを通過する際、自動的に開閉し、通過を許可するようになっているものである。また、仕切部材7により植物工場1が仕切られることにより、育成エリア3と作業エリア5の湿度を異ならしめることができる。人間と、植物では好適な環境が異なるからである。育成エリア3の湿度が適度に調整されるので、植物が病気になり難いという利点がある。作業エリア5の湿度を低くすることで、快適な作業環境を提供できる。温度調整も同様である。無端搬送装置13が自動扉9と自動扉11を貫通して、育成エリア3と作業エリア5に配設されている。育成エリア3内において、無端搬送装置13は複数の蛇行部分を有し、日当りの均一性等に配慮している。なお、仕切部材7により、育成エリア3と作業エリア5とを仕切ることをせず、これらを一体に構成することもできる。
【0016】この無端搬送装置13は図2に示す通り天井構成部材12に吊り下げられた状態で固定され、また、育成エリア3及び作業エリア5において、横方向(多少のアップダウンはあるがほぼ水平方向)に配設され、栽培ポット26(図3参照)を吊り下げて横方向に移動させることが特徴である。育成エリア3と作業エリア5においては、図3に示す通り、無端搬送装置13の構成部品はモジュール化されている。この無端搬送装置13は、水平直線レール及び水平曲線レールからなり複数の平行な蛇行部分を備え(図1参照)下側に細溝14(図2、図3参照)が連続的に設けられたパイプ状の無端のレール15と、レール15を天井構成部材12に固定するクランプ16と、レール15の内部に配置された無端チェーン17と、クランプ16からコ字状に延び出すフレーム18と、フレーム18の上に連続状に配設され落下する油が貯留するアクリル製の油受皿22と、無端チェーン17から懸垂するフック19と、フック19に着脱自在に固定されるクロスバーキャリア20と、パイプからなり、ポリエチレン製の栽培ポット26を積載可能とされ、ハンガー24を介在させて所定ピッチで複数個配設された搬送台21とから構成されている。なお、搬送台21を2段とすることも可能であり、上側に日当りを好む植物を植栽した栽培ポット26、下側に日当りを好まない植物を植栽した栽培ポット26を入れることも可能である。さらに、レール15は、必要により、高低を考慮し、垂直曲線レールを含んで構成されても良い。なお、クロスバーキャリア20に代えて、V型キャリア、Y型キャリア、回転フック、1点吊りフック、2点吊りフック等も採用可能である。レール15は2つのタイプが有り、細溝14が垂直方向のもの(図2参照)、細溝14が傾斜しているもの(図3参照)が例示できる。
【0017】育成エリア3には人間が基本的には立ち入らない前提で設計されている。例えば、レール15に吊り下げられた隣接する栽培ポット26の間隔は、人間が通過できない、あるいは通過しにくい寸法に設定され、極力デッドスペースを避けた設計思想となっている。それにより、無端搬送装置13の間隔が狭くされ、育成エリア3における栽培ポット26の密度が高くなり、著しい省スペース化が可能となり、植物工場1を有効利用できるのである。また、無端搬送装置13の構成部品がモジュール化されていることからラインの増設、変更が簡単であり、フレキシブルなライン構成が可能となる。さらに栽培ポット26の種別毎にストレージできるので、好都合である。広い農地の場合、前記の間隔を広げ、隣接する葉の接触を防止することもできる。また、無端チェーン17を駆動するチェーン駆動機構(例えば、チェーンと係合する係合突起を備えた歯車又はチェーンで無端チェーンを推進するもの)、これを駆動する電動機、変速機及び減速機からなるチェーン駆動装置23及び25(図1参照)が無端搬送装置13に設けられている。また、無端チェーン17のテンションを調整するためのテークアップ27も無端搬送装置13に設けられている。これらのチェーン駆動装置23及び25、テークアップ27は、レール15と同様な高さに設置されている。なお、無端搬送装置13はその構成部品がモジュール化され専門業者が組み立てるようにしているが、コストの低減のため、農家が工具により自分で組み付けるものとしたアセンブリ構成も可能である。なお、無端搬送装置13の主要機能を例示すれば、搬送物の最大重量15Kg(1点吊りの場合)、最大重量30Kg(2点吊りの場合)、吊り下げピッチ152.1mm及びその倍数、平均破断強度3000Kg、チェン重量約2.2Kg/m、標準搬送速度0.1〜6.0m/min、変速比1:4である。
【0018】栽培ポット26の土はキルンで100°C〜120°Cに焼成し、病気の発生を防止するようにしている。肥料も入れている。さらに、土に代えて、ロックウール等、人工栽地も無論可能である。
【0019】天井構成部材12は、例えば、鉄骨からなり、植物工場1の躯体鉄骨に張り巡らせて天井部分を構成するものであるが、必要に応じて、温室内部に支柱(図示略)を立設して、それに天井構成部材12を設けて天井部分を構成しても良い。天井構成部材12に無端搬送装置13を吊り下げた状態で固定することができる。また、床にコンクリートを打設し、加えて、栽培ポット26の高さでアルミ箔等の反射シートを張設することも可能であり、これにより、日当りの一層の改善をなすことも可能である。なお、栽培ポット26に代えて水耕栽培のプランター等を搬送させることも可能である。
【0020】無端搬送装置13のチェーン駆動装置23、25は、給液又は日当りを考慮して、1日に最低1回1〜2時間程度運転され、後の時間は停止している。その回数は植物の種類により異なる。これは、無端搬送装置13を運転しないと、植物への日当りが偏って植物が傾いて伸長して行くためである。無端搬送装置13を運転させれば植物への日当りが均等になり真っ直ぐに育つ。搬送台21の搬送速度は、例示すれば、3m/min〜6m/minである。搬送ピッチは鉢植えでは0.6m、籠植えでは1.8mである。搬送装置の制御方法はインバータ制御、又はVS制御等が挙げられる。
【0021】図4に示す搬送台21には鉢植えタイプの栽培ポット26が積載されるが、図5の変形例の通り横長の搬送台121に、直方体形状の栽培ポット126を積載することも可能である。積載する場合、搬送台121に開口部を設け、栽培ポット126の底部を露出させ、下部から上部に向かって水を噴射させて給液できるようにすること等、当業者には種々の変形例を実施することが可能である。
【0022】作業エリア5内には農薬等を植物に散布するための例えば1〜2坪程度の広さの農薬噴射室29が独立的に設置されている。また植物に水を供給する作業を実行するため1〜2坪程度の広さの給液室31も設置されている。さらに、芽欠き等の農作業に使用される1〜2坪程度の広さの作業室33が設置されている。作業エリア5内に椅子(図示略)が設置されており、無端搬送装置13により、栽培ポット26が流れてくるので、座ったままで各種農作業が可能となる。
【0023】この農薬噴射室29の内部には、農薬噴射装置69(図6参照)が設けられ、空気圧シリンダ(図示略)、油圧装置、チェーン駆動等で上下左右に移動可能とされたノズル(図示略)から農薬等が散布できるようになっている。植物の背丈にあわせて農薬噴射装置69の可動範囲が設定されている。農薬噴射装置69の噴射方向も自動又は手動で制御することができる。農薬噴射装置69はノズル(図示略)から農薬を噴射又は噴霧する構造が一般的であるが、その他の各種の構成も採用することができる。農薬噴射室29の前後にはそれぞれ自動扉30a,30b(図1参照)が設置され、通常は、常開であるが、農薬の散布時に搬送台21を通過させるため、自動開閉することもできるようにされている。農薬が噴射されて霧を含む空気を外部に排出することもできるようにするため、ファン28(図1参照)が作動して、農薬が作業エリア5内に拡散しないようにしている。つまり、農薬の散布場所を限定化しているわけである。
【0024】給液室31の床には、貯水槽(図示略)が設けられており、水のリサイクルが可能となっている。ここからポンプ(図示略)で水を汲み上げて、ろ過機(図示略)を介して、給液装置71(図6参照)に水が供給されている。この給液装置71には、種々のものが考えられるが、代表的には潅水装置が挙げられるが、給液方式は限定されるものではない。潅水装置の例として、パイプに穴を空けてそこから注水するものとした例、或は、噴射装置の例としてノズルから液を噴射又は噴霧する例などが挙げられる。この給液装置71では、上下左右に移動可能に構成されたノズル(図示略)から水を噴射できるようになっている。液肥を水と共に供給したい場合には、予め適宜水に液肥を混合しておけば良い。噴射又は噴霧の勢いは適宜、自動又は手動で変更できる。給液室31の前後にはそれぞれ自動扉32a,32b(図1参照)が設置され、これらは、通常は、常開であるが、給液時に搬送台21を通過させるため、自動開閉できるようにされ、湿度が作業エリア5内に拡散しないようにしている。つまり、給液の場所を限定化しているわけである。
【0025】作業室33から作業エリア5或は植物工場1外部に対してコンベア(図示略)を配設して、流れてきた栽培ポット26をこれに乗せ換えて、作業室33の外部に移動できるようにも構成することができる。作業室33には、上下移動及び左右移動の可能な椅子(図示略)が設置され、摘み取りや芽欠き等の諸作業性が飛躍的に向上するようになっている。また、作業室33内には空調装置73(図1、6参照)が配置され、床にはホットプレートが設置されている。栽培ポット26を入れ替えることにより、連作を嫌う植物が可能である。育苗は別の場所で行い、栽培ポット26を入れ替えることで、土の入れ替えが不要となり、植物工場1の有効利用が可能である。例えば、チューリップでは冷蔵庫に入れておいて、植物工場1に戻して、3週間程度で花が咲く可能性もあり、植物の成長速度が迅速化する利点がある。作業室33の前後にはそれぞれ自動扉34a,34b(図1参照)が設置され、これらは、通常は、常開であるが、作業時に閉じられるとともに、搬送台21を通過させるため自動開閉できるようにされ、作業環境を独立化しているのである。なお、作業室33内には、コンベア反転装置(図示略)があり、搬送台21を反転可能であり、作業性を大幅に向上させている。
【0026】なお、上述の農薬噴射室29、給液室31、作業室33は、植物工場1の作業エリア5において、単独で設置することもできるし、それのみならず、これらを任意の組み合わせで存在させることができるし、さらに、これらを任意に合体させた室を設けることもできるし、他の用途の室を設けても良い。なお、これらの室を無くしてオープンにしても良い。なお、それらを作業エリア5に代えて育成エリア3に適宜存在させることもできる。両開きの自動扉30a,30b,32a,32b,34a、及び34bは適宜省略することができる。
【0027】図6に示す電子制御装置50は、論理演算回路としてのCPU51を中心として、搬送プログラム等が記憶されたROM52,データを一時的に読み書き可能なRAM53,入力インタフェース54,出力インタフェース55、タイマ56,カウンタ57等をバス58により相互に接続したものである。入力インタフェース54には、農薬噴射開始ボタン80,農薬噴射停止ボタン81,給液開始ボタン82,給液停止ボタン83,搬送開始ボタン84,搬送停止ボタン85等が接続されており、CPU51は、それらから入力インタフェース54を介して対応する入力信号を受けて、所定の演算等を行うようにしている。出力インタフェース55には、空調装置4,6、自動扉9,11、チェーン駆動装置23,25、自動扉30a,30b,32a,32b,34a,34b、農薬噴射装置69、給液装置71、空調装置73等が接続されており、それらに対してCPU51が出力インタフェース55を介して対応する出力信号を供給している。
【0028】次に本実施形態の動作について図7〜図10に基づいて説明する。図7に示すメインルーチンを実行しつつ、割り込みにより、図8に示す農薬噴射処理ルーチン、図9に示す給液処理ルーチン、さらに図10に示す搬送処理ルーチンを起動するように構成されている。なお、本動作は一例であって、当業者には種々なる態様で実施することが可能である。
【0029】まず図7のメインルーチンを説明すると、これは1日1回、決められた時間だけ、給液と搬送を定常的に行うためのものである。図7に示す通り、まず処理が開始されると決められた作動時間になったかどうかを判定し(S101)、否定判断されると終了処理(S105)を実行しリターンに抜け、一方、肯定判断されるとタイマTが起動するとともに、タイマTと所定時間TOとを比較して(S102)、肯定判断されると、搬送処理(S103)と給液処理(S104)を行い、一方、否定判断、つまり、所定時間TOだけ処理されたと判断されて、終了処理を実行し(S105)、リターンに抜ける。
【0030】図8の農薬噴射処理ルーチンを説明する。まず処理が開始されると、農薬噴射開始ボタン80がオンしたかどうか判定し(S201)、否定判断されるとリターンに抜け、一方、肯定判断されると、搬送処理、つまり、チェーン駆動装置23,25を駆動する(S202)。なお、ここで既にこれらが駆動していれば、駆動指令は行わない。また、同時に栽培ポット26が適宜の位置に移動してきたならば、農薬噴射装置69から栽培ポット26に植栽された植物に上斜め方向及び下斜め方向の双方から農薬を噴射する(S203)。この場合、ファン28を動作させて排気を確保するとともに、自動扉30a,30bが動作して、農薬噴射室29から作業エリア5に農薬が拡散しないようにする。次に農薬噴射停止ボタン81がオンしたかどうか判定し(S204)、否定判断されるとリターンに抜け、一方、肯定判断されると終了処理を行い(S205)、リターンに抜ける。
【0031】図9の給液処理ルーチンを説明する。これは定常的には図7のメインルーチンで搬送処理及び給液処理を行っていることから、常時は必要はないが、特に水分不足と思われる等、必要とされる場合だけ行われる処理である。まず処理が開始されると、給液開始ボタン82がオンしたかどうかを判定し(S301)、否定判断されるとリターンに抜け、一方、肯定判断されると搬送処理、すなわちチェーン駆動装置23,25を駆動する(S302)。そして、給液処理を行う(S303)。なお、ここで既にこれらが駆動していれば、駆動指令は行わない。次に、給液停止ボタン83がオンしたかどうか判定し(S304)、否定判断されるとリターンに抜け、一方、肯定判断されると、終了処理を行い(S305)、リターンに抜ける。
【0032】図10の搬送処理ルーチンを説明する。これは芽欠き等の作業を行う場合に、行われる処理である。まず処理が開始されると、搬送開始ボタン84がオンしたかどうかを判定し(S401)、否定判断されるとリターンに抜け、一方、肯定判断されると搬送処理、すなわちチェーン駆動装置23,25を駆動する(S402)。なお、ここで既にこれらが駆動していれば、駆動指令は行わない。次に、搬送停止ボタン85がオンしたかどうか判定し(S403)、否定判断されるとリターンに抜け、一方、肯定判断されると、終了処理を行い(S404)、リターンに抜ける。
【0033】以上説明した本実施形態によれば、温室全体に農薬の散布を行わなくてもよいので、温室の傷み、人体への悪影響を避けられる。また、農薬や給液を効率良く回収及び再利用ができるので、資源の無駄にならない。作業者は冷暖房の完備した作業室内で椅子に座りながら摘果等の作業ができ、育成エリア内を歩き回る必要がない。さらに、土の入れ替えがたやすくできるので、芽欠き等の作業効率が優れ、また連作を嫌う植物でも毎回栽培可能となる。球根、種、苗等の養生後、栽培容器をそのまま乗せかえることにより、作業効率が高まる。以上説明したように、本実施形態の農業分野における貢献度は大きいものがある。
【0034】他の実施形態の植物工場101を図11を参照して説明する。この植物工場101が図1の植物工場1と共通する部分については、対応する構成要素の番号を100番台とする等、説明を割愛し異なる構成を説明する。まず、180°回転フィーダ160を自動扉109付近に設け、180°回転フィーダ160とテークアップ127の間に3つのストッパ161a,161b,161c、ダウンレール162、アップレール163、フィーダ付ドロップリフト164、チェーン駆動装置123を設けている。また180°回転フィーダ160の付近にストッパ161dを設けている。また、フィーダ付ドロップリフト164は、搬送台21を吊ったまま昇降させることが可能であり、例えば、ロボットによる作業を可能とするのである。前述のストッパは、栽培ポット26の一時停止、ストレージを可能としている。フィーダ付ドロップリフト164は、栽培ポット26を吊ったまま昇降させることもでき、コンベアを停止させることなく、作動できるので、デッピング工程にも採用でき、またロボットによる載荷、脱荷を可能とすることもできる。さらに、分岐装置165、分岐/合流装置166を備え、ポイントチェンジを行い、搬送経路を自由に変更させることもできる。また、栽培ポット26を積み替えて、或はそのままで、植物工場101の外部に容易に搬送できる。なお、作業室133の仕切りは無くても良い。
【0035】更に他の実施形態の植物工場201を図12を参照して説明する。これは小規模の植物工場、或は、植物が大きく栽培ポット26が大きい場合等に適用されるものである。図1の植物工場1、図11の植物工場101に対応する構成要素は、200番台に変更して図示してあり、説明は省略する。なお、給液装置、農薬噴射装置はあるが、仕切り(覆い)は無くし、オープンな構造としている。図12(b)に示す通り、ダウンレール262とアップレール263によりアップダウンの経路が形成されている。
【0036】搬送台21の変形例である、自転できることに特徴がある搬送回転装置321を図13を参照して説明する。この搬送回転装置321は、丸型で縦長に形成された搬送回転容器322と、苺等の植物が植えられた複数のポット323を斜めに差し込んで放射状に収納することができるポット孔324と、上端部にあるフック325と、フック325を掛け止めることができる吊下鉤326と、吊下鉤326が嵌められた水平方向に配置されたスプロケット327と、スプロケット327が相対的に自転可能になるようにスプロケット327の中央部に嵌められ、かつ、軸方向が上下方向である連結部328と、スプロケット327が歯合されているローラチェーン329と、ローラチェーン329をサンドイッチ状に挟む2枚の板からなりローラチェーン329を水平方向に誘導する誘導部材330と、からなっている。図3において、搬送台21に代えて、ハンガー24に連結部328を固定することにより、レール15に吊り下げることができるようになっているものである。また、レール15(図3参照)に沿ってローラチェーン329及び誘導部材330は配設され、植物工場1の構造物に固定されて移動しないようになっている。搬送回転装置321の動作を説明すると、搬送回転容器322が1点吊り下げされた状態で、連結部328に伴い左右に搬送されて行くとともに、スプロケット327がローラチェーン329に歯合しながら自転されて誘導されて行くことで、搬送回転容器322が自転するのである。こうした自転により、光の照射がより均一化されて行くこととなる。
【0037】なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲に於て、改変等を加えることが出来るものであり、それらの変更等も技術的範囲に含まれることとなる。例えば、無線又は通信回線で動画像又は静止画像を送り、遠隔地から遠隔操作も可能となっており、無人化が可能となる。また、植物の種類は問わないので、たとえば、植物工場1を巨大化させ、みかんの木を数トン程度の重さの大型ポットに入れてコンベアで運搬することも可能である。さらに、図7のメインルーチンを1日に数回実行することも無論可能である。植物工場1の条件によっては、レールを蛇行状に代えて単純なループ状等に配設することもできる。また、太陽光を補助するため照明装置を適宜設けても良い。空調装置は単に送風機又は換気扇であっても良い。
【0038】
【発明の効果】請求項1ないし10記載の発明によれば、設備費を抑制し、作業性を高めることができる効果がある。請求項1記載の発明によれば、農薬の被害を防止できる効果がある。請求項2、4,7記載の発明によれば、作業室にて芽欠き等の農作業を居ながらにして行うことができ、作業効率が向上する効果がある。請求項3及び6記載の発明によれば、栽培管理、環境管理が容易となる効果がある。請求項4及び7記載の発明によれば、湿度を低減させる等の調整ができるので、病気の発生を抑制する効果がある。請求項8及び9記載の発明によれば、ラインの増設、変更が容易となる効果がある。請求項10記載の発明によれば、植物への光の照射を均一化することができる効果がある。
【出願人】 【識別番号】395018723
【氏名又は名称】株式会社加納製作所
【出願日】 平成9年12月1日(1997.12.1)
【代理人】 【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
【公開番号】 特開2000−23574(P2000−23574A)
【公開日】 平成12年1月25日(2000.1.25)
【出願番号】 特願平11−209146