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【発明の名称】 コンバインの脱穀装置
【発明者】 【氏名】豊田 功

【氏名】梶原 康一

【要約】 【課題】極めて構成簡単な手段で刺り粒などの発生を低減させた精度良好な脱穀を可能とさせる。

【解決手段】扱胴(6)の後部側方に処理胴(7)を略平行に並設させるコンバインの脱穀装置において、前記処理胴(7)を前方に延設させて扱胴(6)の前側側方に第2扱胴(38)を配設させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱胴の後部側方に処理胴を略平行に並設させるコンバインの脱穀装置において、前記処理胴を前方に延設させて扱胴の前側側方に第2扱胴を配設させたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項2】 脱穀部内の排塵を吸引排出させる吸排塵ファンを備えたコンバインの脱穀装置において、扱胴の後部側方に配設する処理胴と、扱胴の下方に配設する揺動選別盤との上下略中間位置後方に前記吸排塵ファンを設けたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項3】 脱穀部内の排塵を吸引排出させる吸排塵ファンを備えたコンバインの脱穀装置において、脱穀処理後の排藁を切断する排藁切断装置の下方に、吸排塵ファンの出口を臨ませたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項4】 扱胴と揺動選別盤とを備えたコンバインの脱穀装置において、扱胴後方の排塵を吸引排出させる全幅式第1吸排塵ファンと、揺動選別盤後方の排塵を吸引排出させる全幅式第2吸排塵ファンとを備えたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は刈取部で刈取った穀稈を脱穀部に送給して脱穀処理するようにしたコンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、扱胴下方の円周方向には脱穀粒の漏下するクリンプ網が張設されていて、扱胴により脱穀された穀粒はクリンプ網を漏下しこの下方の揺動選別盤上に落下して、穀粒の選別が行われているが、クリンプ網は網目も小さく、漏下効率も悪いため、扱室内で穀粒などの持回りも多く、作業条件によっては刺り粒が多量に発生するなどの不都合があった。
【0003】また脱穀部内の排塵を吸引排出させる吸引ファンは、扱胴の後部側方に処理胴を並設させる構造にあっては、通常揺動選別盤の後部上方で、処理胴の後部横側方に配備されているため、揺動選別盤の後部や処理胴の後部で発生する塵などは吸引しにくく、排出効率も悪く、また処理胴による吸引幅の制約によって吸引能力も小さなものであった。
【0004】さらに脱穀部の後方に排藁切断装置を備える構造のコンバインにあっては、切断後の排藁を圃場に均一拡散させる拡散装置などの設置を必要とした。
【0005】またさらに、脱穀部内の排塵を吸引排出させる吸引ファンは例えば全幅式の横断流ファンのみのため、排出精度も良好とはいえなかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、扱胴の後部側方に処理胴を略平行に並設させるコンバインの脱穀装置において、前記処理胴を前方に延設させて扱胴の前側側方に第2扱胴を配設させて、例えば扱胴で脱穀された穀粒などのうちクリンプ網より落下せず持回り状態となる穀粒や桔梗などを第2扱胴で処理して、扱胴で刺り粒が発生するのを最小に低減させて脱穀性能を向上させるものである。
【0007】また、脱穀部内の排塵を吸引排出させる吸排塵ファンを備えたコンバインの脱穀装置において、扱胴の後部側方に配設する処理胴と、扱胴の下方に配設する揺動選別盤との上下略中間位置後方に前記吸排塵ファンを設けて、揺動選別盤や処理胴で発生する排塵を効率良く外部に吸排出させると共に、吸排塵ファンを脱穀幅一杯に設けることを可能とさせて、該ファンの吸排出能力を向上させるものである。
【0008】さらに、脱穀部内の排塵を吸引排出させる吸排塵ファンを備えたコンバインの脱穀装置において、脱穀処理後の排藁を切断する排藁切断装置の下方に、吸排塵ファンの出口を臨ませて、別途の切藁拡散装置などの設置を必要とすることなく、切断した排藁の均一拡散などを容易に可能とさせるものである。
【0009】またさらに、扱胴と揺動選別盤とを備えたコンバインの脱穀装置において、扱胴後方の排塵を吸引排出させる全幅式第1吸排塵ファンと、揺動選別盤後方の排塵を吸引排出させる全幅式第2吸排塵ファンとを備えて、脱穀部内で特に塵の発生割合の高い扱胴及び揺動選別盤2箇所の塵を第1及び第2吸排塵ファンで個別的に効率良く吸込む状態とさせて、脱穀部内での粉塵立ちなどを防止して排塵の確実な機外放出を可能とさせるものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)は穀稈搬送部材であるフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀機である脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は運転操作部(19)及び運転席(20)を備える運転キャビン、(21)は運転キャビン(18)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0011】また、図3、図4に示す如く、図中(22)は機体の前後方向に軸架する軸流型の扱胴(6)を内設させる扱室、(23)は前記扱室(22)に穀稈を挿入する扱口、(24)は前記扱室(22)下方に張架させるクリンプ網、(25)は前記クリンプ網(24)下方に前端を臨ませて前後方向に揺動自在に支持する揺動選別盤、(26)(27)は前記クリンプ網(24)の下方に上下2段に配設する選別盤(25)の前後フィードパン、(28)は後フィードパン(27)の後端後方に連設するチャフシーブ、(29)はチャフシーブ(28)下方に配設するグレンシーブ、(30)は前後フィードパン(26)(27)の上下間に選別風を送給するプレファンである送塵ファン、(31)はチャフシーブ(28)とグレンシーブ(29)間及びグレンシーブ(29)下方に選別風を送給するメインの送風装置である唐箕、(32)は揚穀筒(16)に連通させて穀物タンク(15)に穀粒を取出す1番コンベア、(33)は2番物を2番還元装置である2番還元コンベア(34)を介し前記選別盤(25)の前フィードパン(26)上方に還元する2番コンベア、(35)は前記選別盤(25)の後端上方に配設する横断流ファンである吸排塵ファン、(36)は該ファン(35)上方を遮閉して排藁を搬出案内する4番樋であり、前記扱胴(6)及び処理胴(7)により脱穀された穀粒を揺動選別盤(25)で選別し整粒のみを前記穀物タンク(15)に取出し、前記選別盤(25)後端の三番口(37)から藁屑を機外に放出させると共に、排藁を排藁チェン(14)を介し排藁処理部(13)に送り込んで排藁切断装置である排藁カッタ(13a)により切断して機外に排出させるように構成している。
【0012】図4乃至図6にも示す如く、前記処理胴(7)は平面視で扱胴(6)の後部右側方に略平行に、また側面視で扱胴(6)の下部にラップさせて配設させると共に、処理胴(7)の前端を前方に延設して処理胴(7)の前端と扱胴(6)の前端間の長さに、処理胴(7)と略同一径(扱胴(6)より小径)の第2扱胴(38)を一体形成し、扱胴(6)の扱室(22)と第2扱胴(38)の第2扱室(39)とは扱胴(6)前側の取込口(40)を介し、また扱室(22)と処理胴(7)の処理胴室(41)とは扱胴(6)後側の取込口(42)を介し連通させて、扱室(22)内の脱穀処理物や排塵物を第2扱室(39)及び処理胴室(41)に送り込むように構成している。
【0013】前記扱胴(6)と処理胴(7)及び第2扱胴(38)は正面視時計方向となる同一回転方向に回転させ、扱胴(6)と第2扱胴(38)の外周に扱歯(43)(44)を、処理胴(7)の外周にスパイラ(45)をそれぞれ有し、第2扱胴(38)の下方周側には扱胴(6)のクリンプ網(24)より小型のクリンプ網(46)を、また処理胴(7)の下部周側にはコーンケーブ(47)をそれぞれ配設させている。
【0014】前記扱歯(43)(44)は扱胴(6)と第2扱胴(38)の外周上に略等間隔で多条螺旋状に配設してリード角(θ1)(θ2)を形成すると共に、第2扱胴(38)の扱歯(44)はリード角(θ2)に沿って斜めに植設して、穀粒や桔梗など処理物の取込み性を向上させるように構成している。
【0015】そして前記扱胴(6)で脱穀された穀粒や桔梗などのうち、クリンプ網(24)より漏下しなかった処理物を取込口(40)から第2扱胴(38)に送り込んでクリンプ網(46)より漏下させる一方、漏下せず持ち回り状態となる処理物はそのままこの後方の処理胴(7)で処理して2番還元など行うように構成するものである。
【0016】図7にも示す如く、前記吸排塵ファン(35)は脱穀下部の期待幅と略同一長さに設け、該ファン(35)のファンケーシング(48)の排出口(49)に設ける風向ガイド(50)を排藁カッタ(13a)の下側前方に臨ませて、排藁カッタ(13a)で切断され落下する切藁を、ファン(35)から吹き出す風によって後方に略均一に拡散させるように構成している。また前記風向ガイド(50)はファンケーシング(48)に支点軸(51)を介し一端側を揺動自在に支持させると共に、他端側の長孔(52)を調節ボルト(53)を介しファンケーシング(48)に位置調節自在に固定させ、風向ガイド(50)の向きを変更自在に設けて、切藁の拡散方向を調節可能とさせ未刈り稈などに切藁がかかるのを防止するように構成している。
【0017】図7、図8、図9にも示す如く、前記排藁カッタ(13a)の上方に、カッタ(13a)と排藁処理部(13)後方に装備させる結束機(図示せず)との切換えを行う切換ガイド棒(54)を配設させるもので、排藁チェン(14)との間で排藁を案内する排藁ガイド棒(14a)の後方に切換ガイド棒(54)を連設させ、脱穀機体或いはカッタケーシング(55)に固設するスライド部材(56)に上下動自在にガイド棒(54)の縦軸部(54a)を支持させ、縦軸部(54)の下端を圧縮バネ(57)及び揺動リンク(58)を介して下向きの切換ワイヤ(59)に連結させると共に、スライド部材(56)の縦軸部(54a)との嵌合内周面の上下両端部に中空状の塵溜り部(60)を、また中央部の上下方向の一定長さに平面視で略半円弧状となる回転ガイド溝(61)を形成して、該ガイド溝(61)に縦軸部(54a)のロールピン(62)を係合させ、前記ワイヤ(59)の引張り操作で圧縮バネ(57)に抗しガイド棒(54)を下動させるとき、ロールピン(62)と係合するガイド溝(61)の案内によって、ガイド棒(54)上端の水平ガイド部(54b)の向きを前後方向より左右方向に同時に変更して、カッタ(13a)上方でガイド棒(54)を横向き姿勢として排藁チェン(14)の排藁をカッタ(13a)方向に落下させて結束機からカッタ(13a)への切換えを行うように構成している。なお前記排藁ガイド棒(14a)のカッタ(13a)側への切換時にはこの下方の排藁シャッタ(13b)も同時に開とさせるものである。
【0018】図10、図11に示す如く、前記タンク(15)の下部オーガ(63)と排出オーガ(17)との間に介設する縦オーガ(64)には、縦オーガ(64)の回動モータ(65)を装備させると共に、脱穀後板(66)に取外し自在に固定して縦オーガ(64)の上端側を半割り形受メタル(67)を介し回動自在に支持する半割り形固定アーム(68)を備えて、縦オーガ(64)を中心として排出オーガ(17)を機体内方或いは機体外方に回動自在に設けるもので、縦オーガ(64)のパイプ(64a)外周に厚みの薄いフランジ(69)を固設し、前記受メタル(67)の上端面とフランジ(69)下面間にはけ状のシール部材(ポリシール)(70)を介設して、縦オーガ(64)の回動時にはフランジ(69)と一体にシール部材(70)も回動させて、パイプ(64a)外周と受メタル(67)内周の隙間に塵などが侵入するのを防止、或いは隙間に入った塵などをシール部材(70)の回動時に掻き出すように構成している。
【0019】図12に示すものは、吸排塵ファン(35a)を側面視で処理胴(7)と揺動選別盤(25)の略中間高さ位置後方に設ける構成例を示すもので、処理室(41)ないで発生する塵を処理室(41)後部の排塵口(71)より、また揺動選別盤(25)で発生する塵を処理胴(7)及び選別盤(25)より後方のファン(35a)に効率良く吸込ませて、脱穀部(4)内の排塵効果を従来より向上させると共に、従来の如く処理胴(7)の後部側方にファン(35)をラップさせ寝る構造に比べ、処理胴(7)の影響を受けることなく処理胴(7)の後方で脱穀幅一杯にファン(35a)の吸引幅を設けて該ファン(35a)による吸排塵能力を向上させるように構成している。
【0020】図13、図14に示すものは、従来の吸排塵ファン(35)の後方に横断流ファンで形成する第2吸排塵ファン(72)を設けて、2つの吸排塵ファン(35)(72)によって脱穀部(4)の排塵を行う構成例を示すもので、吸排塵ファン(35)のファンケーシング(48)を変更して、吸引口(73)をファン(35)の前方上側に開口して、扱胴(6)後端側の粉塵などを4番樋(36)に送ることなく脱穀幅一杯の吸引口(73)よりファンケーシング(48)内に吸込むと共に、ファンケーシング(48)の排出口(49)より排出される粉塵や揺動選別盤(25)で発生する粉塵を、選別盤(25)後端後方の第2吸排塵ファン(72)の吸引口(74)に吸込させてこの後方の切藁拡散装置(75)及びこの下方に向け排出させるように構成している【0021】前記第2吸排塵ファン(72)は排藁カッタ(13a)及び拡散装置(75)を取付けるカッタケーシング(55)に設けて取付構造や駆動系を簡単とさせると共に、吸排塵ファン(35)を脱穀部(4)側に設けて、粉塵量の多い扱胴(6)からの排塵を吸込んで、脱穀部(4)内の排塵の排出効果を向上させるように構成している。
【0022】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、扱胴(6)の後部側方に処理胴(7)を略平行に並設させるコンバインの脱穀装置において、前記処理胴(7)を前方に延設させて扱胴(6)の前側側方に第2扱胴(38)を配設させたものであるから、例えば扱胴(6)で脱穀された穀粒などのうちクリンプ網(24)より落下せず持回り状態となる穀粒や桔梗などを第2扱胴(38)で処理して、扱胴(6)で刺り粒が発生するのを最小に低減させて脱穀性能を向上させることができるものである。
【0023】また、脱穀部(4)内の排塵を吸引排出させる吸排塵ファン(35)を備えたコンバインの脱穀装置において、扱胴(6)の後部側方に配設する処理胴(7)と、扱胴(6)の下方に配設する揺動選別盤(25)との上下略中間位置後方に前記吸排塵ファン(35)を設けたものであるから、揺動選別盤(25)や処理胴(7)で発生する排塵を効率良く外部に吸排出させると共に、吸排塵ファン(35)を脱穀幅一杯に設けることを可能とさせて、該ファン(35)の吸排出能力を向上させることができるものである。
【0024】さらに、脱穀部(4)内の排塵を吸引排出させる吸排塵ファン(35)を備えたコンバインの脱穀装置において、脱穀処理後の排藁を切断する排藁切断装置(13a)の下方に、吸排塵ファン(35)の出口を臨ませたものであるから、別途の切藁拡散装置などの設置を必要とすることなく、切断した排藁の均一拡散などを容易に可能とさせることができるものである。
【0025】またさらに、扱胴(6)と揺動選別盤(25)とを備えたコンバインの脱穀装置において、扱胴(6)後方の排塵を吸引排出させる全幅式第1吸排塵ファン(35)と、揺動選別盤(25)後方の排塵を吸引排出させる全幅式第2吸排塵ファン(72)とを備えたものであるから、脱穀部(4)内で特に塵の発生割合の高い扱胴(6)及び揺動選別盤(25)2箇所の塵を第1及び第2吸排塵ファン(35)(72)で個別的に効率良く吸込む状態とさせて、脱穀部(4)内での粉塵立ちなどを防止して排塵の確実な機外放出を可能とさせることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年4月20日(1999.4.20)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2000−300048(P2000−300048A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−111892