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【発明の名称】 コンバインの脱穀装置
【発明者】 【氏名】豊田 功

【要約】 【課題】刺り粒の発生を減少させた穀粒ロスのない脱穀作業を可能とさせる。

【解決手段】扱胴(6)下方の円周方向に脱穀粒を漏下するクリンプ網(24)を張設させたコンバインの脱穀装置において、前記クリンプ網(24)の内周面で円周方向の略中間位置に切刃(40)を設けると共に、切刃(40)より回転側前方のクリンプ網(34)に穀粒などの落下穴(41)を開設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 扱胴下方の円周方向に脱穀粒を漏下するクリンプ網を張設させたコンバインの脱穀装置において、前記クリンプ網の内周面で円周方向の略中間位置に切刃を設けると共に、切刃より回転側前方のクリンプ網に穀粒などの落下穴を開設したことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【請求項2】 扱胴下方の円周方向に脱穀粒を漏下するクリンプ網を張設させたコンバインの脱穀装置において、前記クリンプ網の穀稈穂先側先端部をクリンプ網とコーンケーブとに交換取付可能に設けたことを特徴とするコンバインの脱穀装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は刈取部で刈取った穀稈を脱穀部に送給して脱穀処理するようにしたコンバインの脱穀装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、扱胴下方の円周方向には脱穀粒の漏下するクリンプ網が張設されていて、扱胴により脱穀された穀粒はクリンプ網を漏下しこの下方の揺動選別盤上に落下して、穀粒の選別が行われているが、クリンプ網は網目も小さく、漏下効率も悪いため、扱室内で穀粒などの持回りも多く、作業条件によっては刺り粒が多量に発生するなどの不都合があった。
【0003】
【課題を解決するための手段】したがって本発明は、扱胴下方の円周方向に脱穀粒を漏下するクリンプ網を張設させたコンバインの脱穀装置において、前記クリンプ網の内周面で円周方向の略中間位置に切刃を設けると共に、切刃より回転側前方のクリンプ網に穀粒などの落下穴を開設して、深扱時においてもクリンプ網の作用範囲内で良好に脱穀させる状態とさせて穀粒の漏下を促進させると共に、切刃の抵抗によって穀粒や塵の扱胴回転方向への移動を妨げ落下穴よりの落下を促進させて、これら穀粒や塵の扱室内での持回りを低減させて、刺り粒の発生を著しく減少させるものである。
【0004】また、扱胴下方の円周方向に脱穀粒を漏下するクリンプ網を張設させたコンバインの脱穀装置において、前記クリンプ網の穀稈穂先側先端部をクリンプ網とコーンケーブとに交換取付可能に設けて、通常作業時にはクリンプ網を、また湿材などクリンプ網では漏下が悪い作業条件下ではコーンケーブを用いて、穀粒の漏下を促進させ扱室内での持回りを低減させて、刺り粒の発生を著しく低減させるものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。図1はコンバインの全体側面図、図2は同平面図であり、図中(1)は走行クローラ(2)を装設するトラックフレーム、(3)は前記トラックフレーム(1)に架設する機台、(4)は穀稈搬送部材であるフィードチェン(5)を左側に張架し扱胴(6)及び処理胴(7)を内蔵している脱穀機である脱穀部、(8)は刈刃(9)及び穀稈搬送機構(10)などを備える刈取部、(11)は刈取フレーム(12)を介して刈取部(8)を昇降させる油圧シリンダ、(13)は排藁チェン(14)終端を臨ませる排藁処理部、(15)は脱穀部(4)からの穀粒を揚穀筒(16)を介して搬入する穀物タンク、(17)は前記タンク(15)の穀粒を機外に搬出する排出オーガ、(18)は運転操作部(19)及び運転席(20)を備える運転キャビン、(21)は運転キャビン(18)下方に設けるエンジンであり、連続的に穀稈を刈取って脱穀するように構成している。
【0006】また、図3、図4に示す如く、図中(22)は機体の前後方向に軸架する軸流型の扱胴(6)を内設させる扱室、(23)は前記扱室(22)に穀稈を挿入する扱口、(24)は前記扱室(22)下方に張架させるクリンプ網、(25)は前記クリンプ網(24)下方に前端を臨ませて前後方向に揺動自在に支持する揺動選別盤、(26)(27)は前記クリンプ網(24)の下方に上下2段に配設する選別盤(25)の前後フィードパン、(28)は後フィードパン(27)の後端後方に連設するチャフシーブ、(29)はチャフシーブ(28)下方に配設するグレンシーブ、(30)は前後フィードパン(26)(27)の上下間に選別風を送給するプレファンである送塵ファン、(31)はチャフシーブ(28)とグレンシーブ(29)間及びグレンシーブ(29)下方に選別風を送給するメインの送風装置である唐箕、(32)は揚穀筒(16)に連通させて穀物タンク(15)に穀粒を取出す1番コンベア、(33)は2番物を2番還元装置である2番還元コンベア(34)を介し前記選別盤(25)の前フィードパン(26)上方に還元する2番コンベア、(35)は前記選別盤(25)の後端上方に配設する吸排塵ファン、(36)は該ファン(35)上方を遮閉して排藁を搬出案内する四番樋であり、前記扱胴(6)及び処理胴(7)により脱穀された穀粒を揺動選別盤(25)で選別し整粒のみを前記穀物タンク(15)に取出し、前記選別盤(25)後端の三番口(37)から藁屑を機外に放出させると共に、排藁を排藁チェン(14)を介し排藁処理部(13)に送り込んで排藁カッタ(13a)により切断して機外に排出させるように構成している。
【0007】図5乃至図8にも示す如く、前記クリンプ網(24)は扱胴(6)下方の略180°範囲外周に配備される円弧状の網枠(38)内周面に張設するもので、網枠(38)の円周方向の略中間位置に横架する切刃台(39)に複数の切刃(40)を固設させ、切刃(40)の先端側を扱胴(6)側に臨ませると共に、切刃(40)より扱胴(6)の回転側前方に一定巾長さの落下穴(41)を開設し、この落下穴(41)を除く網枠(38)の円弧内周面に前記クリンプ網(34)を張設して、例えば深扱ぎ時には穀稈の穂先側を切刃(40)で切断して、切刃(40)より回転側後方のクリンプ網(34)で脱穀させる一方、切刃(40)までに至る間で脱穀されクリンプ網(34)を漏下しなかった穀粒や塵は切刃(40)位置で切刃(40)の抵抗によって落下穴(41)より下方に落下させて、これら穀粒や塵が持回るのを低減させて、刺り粒の発生を減少させるように構成している。
【0008】さらに、図4、図7、図9に示す如く、前記扱室(22)の穀稈出口部に2本以上の刺り落し棒(42)(43)を設けるもので、扱室(22)の後側板(44)後面に先端側を排藁チェン(14)に臨ませて第1刺り落し棒(42)を固設すると共に、フィードチェン(5)と一体的に開閉自在な扱胴サイドカバー(45)の後端側内面に先端側を扱胴(6)の軸芯方向に傾ける第2刺り落し棒(43)を固設して、クリンプ網(24)を通過した直後の穀稈に第1及び第2刺り落し棒(42)(43)で抵抗を加えて、穀稈中に刺り込んでいる穀粒を外側に飛び出させるように構成している。
【0009】さらに図10、図11に示す如く、前記フィードチェン(5)の挾扼杆(46)を取付ける扱胴上部カバー(47)に可撓合成樹脂製の刺り防止シート(48)を設けるもので、上部カバー(47)の右外側面(47a)と防塵ブラシ(49)間に取付ボルト(50)を介して横長方形状の前記防止シート(48)の上端側を固定させ、若干後傾状(扱胴軸芯に対しては略垂直)複数の扱歯挿通用スリット(51)を略等間隔で形成する防止シート(48)の下端側を扱室(22)内方に傾け、且つ防塵ブラシ(49)より防止シート(48)の先端側を一定寸法(T)(T≒40mm)突出させる状態に設けて、防止シート(48)下方を移動する穀稈にシート(48)下端部で抵抗を加えて穀稈の刺り粒を飛び出させ、刺り粒を減少させるように構成している。
【0010】また図12、図13に示す如く、前記刺り防止シート(48)と略同様の刺り防止板(52)を取付傾斜角度調節自在に扱胴上部カバー(47)の内側に設ける構成例を示すもので、上部カバー(47)内側に回転自在に支持する回転軸(53)に前記刺り防止板(52)の上端側を固設すると共に、回転軸(53)の後端に捩りコイルバネ(54)を、また前端に傾斜調節レバー(55)を設け、上部カバー(47)に固設するレバーロック座(56)のノッチ(56a)に調節レバー(55)のロック片(57)を係脱自在に連結させて、刈取穀稈量或いは刺り粒量などの増減変化に基づいて刺り防止板(52)の傾斜角度を調節して、刺り粒を減少させるように構成している。なお防止板(52)は湿材などで扱室内が詰まり勝手となるときには、開き傾向となって詰まり防止用の検出装置としても利用できる。また(58)は上部カバー(47)を閉保持する扱室ロックレバーである。
【0011】図14、図15に示すものは、前記網枠(38)の穂先側部をクリンプ網(24)とコーンケーブ(59)とに取付交換自在に設ける構成例を示すもので、網枠(38)を構成する断面コ形状の前後取付フレーム(60)と、クリンプ網(24)或いはコーンケーブ(59)をそれぞれ有する取付枠(61)とを備え、前記取付フレーム(60)のコ形状のガイド溝(62)内に取付枠(61)を挿入し、セットボルト(63)で取外し自在に取付フレーム(60)に取付枠(61)を固定させて、通常条件での脱穀作業時にクリンプ網(24)を、また水分の多い湿材などの脱穀作業時にはコーンケーブ(59)を使用して、漏下の悪い湿材条件時などにあっては、穀粒や塵などの脱穀物の漏下を促進させて、これらの持回りにより発生する刺り粒を減少させるように構成している。
【0012】図16、図17に示すものは、扱胴(6)の後方に扱胴直径より小さい直径の刺り粒落し用ドラム(64)を設ける構成例を示すもので、扱胴(6)の扱胴軸(6a)後端延長部に、扱胴(6)の扱歯(65)と略同形状の扱歯(66)を外周に有するドラム(64)を設けて、フィードチェン(5)から排藁チェン(14)への穀稈受継ぎ時に前記ドラム(64)によって穀稈の刺り粒を分離落下させるように構成している。
【0013】図18、図19に示すものは、正面視扱胴(6)と処理胴(7)間の下方で、側面視処理胴(7)及び扱胴(6)の前端間に扱胴(6)及び処理胴(7)と平行に第2扱胴(67)を設ける3ドラム式の構成例を示すもので、第2扱胴(67)は外周に羽根歯(68)を植設し、処理胴(7)と略同じ外径を有し(扱胴(6)の外径より小)、回転方向を扱胴(6)及び処理胴(7)とは逆方向とさせ、扱胴(6)の扱室(22)と第2扱胴(67)の第2扱室(69)とを前記落下穴(41)を介し連通させて、扱室(22)より落下穴(41)を介し第2扱室(69)内に送り込まれる桔梗付穀粒や穀粒を含む未処理物を第2扱胴(67)で処理し、揺動選別盤(25)上に落下する被選別物の選別処理量を低減させ選別精度を向上させると共に、扱胴(6)での処理量や穀粒の持回りを低減させて、穀稈の刺り粒の発生を低減させるように構成するものである。
【0014】
【発明の効果】以上実施例から明らかなように本発明は、扱胴(6)下方の円周方向に脱穀粒を漏下するクリンプ網(24)を張設させたコンバインの脱穀装置において、前記クリンプ網(24)の内周面で円周方向の略中間位置に切刃(40)を設けると共に、切刃(40)より回転側前方のクリンプ網(34)に穀粒などの落下穴(41)を開設したものであるから、深扱時においてもクリンプ網(24)の作用範囲内で良好に脱穀させる状態とさせて穀粒の漏下を促進させると共に、切刃(40)の抵抗によって穀粒や塵の扱胴(6)回転方向への移動を妨げ落下穴(41)よりの落下を促進させて、これら穀粒や塵の扱室(22)内での持回りを低減させて、刺り粒の発生を著しく減少させることができるものである。
【0015】また、扱胴(6)下方の円周方向に脱穀粒を漏下するクリンプ網(24)を張設させたコンバインの脱穀装置において、前記クリンプ網(24)の穀稈穂先側先端部をクリンプ網(24)とコーンケーブ(59)とに交換取付可能に設けたものであるから、通常作業時にはクリンプ網(24)を、また湿材などクリンプ網(24)では漏下が悪い作業条件下ではコーンケーブ(59)を用いて、穀粒の漏下を促進させ扱室(22)内での持回りを低減させて、刺り粒の発生を著しく低減させることができるものである。
【出願人】 【識別番号】000006851
【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100062270
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 忠治
【公開番号】 特開2000−300047(P2000−300047A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−108857