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【発明の名称】 移動農機のオ―ガ旋回制御装置
【発明者】 【氏名】山崎 弘章

【氏名】江田 秀弥

【氏名】門脇 隆志

【氏名】錦織 将浩

【要約】 【課題】旋回角度の大きさに応じてオーガ装置の駆動停止タイミングを変更し、オーガ装置が目標位置を越えて動作するのを防止する。

【解決手段】コンバイン10は、左右両方向に旋回可能なオーガ装置24を備えていて、手動レバー47を左右旋回方向にオン操作すると電動モータ32の駆動によりオーガ装置24が旋回し、予め定められた安全規制位置に到達したら前記電動モータ32により停止制御が行われるが、オーガ装置はそれ自身相当の重量を有しているため、慣性力により前記安全規制位置を越えて停止するおそれがある。このため、制御部52にて、オーガ装置24の旋回開始位置から安全規制位置までの旋回角度の大きさを演算し、その大きさに応じて電動モータ32の駆動停止タイミングを前記安全規制位置の手前側に変更するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アクチュエータの駆動により左右両方向に旋回可能なオーガ装置を備え、手動操作手段のオン操作に基づき前記アクチュエータを介して前記オーガ装置を旋回させ、該オーガ装置が予め定められた安全規制位置に到達したら前記アクチュエータの停止制御を行うようにした移動農機において、前記オーガ装置の旋回開始位置から前記安全規制位置までの旋回角度の大きさを演算し、該旋回角度の大きさに応じて前記アクチュエータの駆動停止タイミングを前記安全規制位置の手前側に変更し得る制御部を備えている、ことを特徴とする移動農機のオーガ旋回制御装置。
【請求項2】 前記オーガ装置は水平面から上方に向け起伏自在であると共に、前記制御部は、前記オーガ装置が最上昇位置に起立した状態では、該オーガ装置の旋回時に前記アクチュエータの駆動停止タイミングを変更しないようにした、ことを特徴とする請求項1記載の移動農機のオーガ旋回制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、左右両方向に旋回可能なオーガ装置を備えた移動農機に関し、詳しくはオーガ装置の旋回開始位置から停止位置までの旋回角度に応じて停止タイミングを変更し得る移動農機のオーガ旋回制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】コンバインは、その機体上部に、穀粒タンクから別輸送車に穀粒を移送するためのオーガ装置を備えたものがあり、このオーガ装置は、前記穀粒タンク底部から立設され旋回支持部を介して旋回自在に支持された縦ラセン筒と、その先端に起伏自在な排出筒を有していて、前記縦ラセン筒及び排出筒を格納位置から排出位置に向けて例えば略々260度の範囲で水平方向に旋回させることが可能となっている。
【0003】このようなオーガ装置の旋回動作は、前記旋回支持部の旋回側に設けられたリングギヤと固定側に設けられたモータギヤとの噛合により行われているが、従来、旋回動作中にオーガ装置が目標位置よりも手前で、かつオペレータ席近傍の予め定められた位置(以下、安全規制位置という)に達した場合には、自動的にオーガ装置の旋回動作を停止させる制御を行っていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の旋回制御によると、オーガ装置の旋回開始位置から目標位置までの旋回角度の大きさにかかわらず、常にオーガ装置が前記安全規制位置に達してから停止制御を行うものであったため、旋回量が大きい場合には、オーガ装置自身が相当の重量を有していることと相俟って強い慣性力が作用することから、前記目標位置を越えて停止してしまうことがあり、オペレータの予想外の位置で停止するおそれがあった。
【0005】本発明は、斯かる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、オーガ装置の旋回角度の大きさに応じて駆動停止タイミングを変更し、該オーガ装置が目標位置を越えて動作することを防止し得る移動農機のオーガ旋回制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、アクチュエータ(32)の駆動により左右両方向に旋回可能なオーガ装置(24)を備え、手動操作手段(47)のオン操作に基づき前記アクチュエータ(32)を介して前記オーガ装置(24)を旋回させ、該オーガ装置(24)が予め定められた安全規制位置に到達したら前記アクチュエータ(32)の停止制御を行うようにした移動農機(10)において、前記オーガ装置(24)の旋回開始位置から前記安全規制位置までの旋回角度の大きさを演算し、該旋回角度の大きさに応じて前記アクチュエータ(32)の駆動停止タイミングを前記安全規制位置の手前側に変更し得る制御部(52)を備えている、ことを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、前記オーガ装置(24)は水平面から上方に向け起伏自在であると共に、前記制御部(52)は、前記オーガ装置(24)が最上昇位置に起立した状態では、該オーガ装置(24)の旋回時に前記アクチュエータ(32)の駆動停止タイミングを変更しないようにした、ことを特徴とする。
【0008】[作用]以上の発明特定事項により、移動農機(10)は左右両方向に旋回可能なオーガ装置(24)を備えていて、手動操作手段(47)をオン操作するとアクチュエータ(32)の駆動によりオーガ装置(24)は左右いずれかの方向に旋回されると共に、このオーガ装置(24)が予め設定された安全規制位置に到達したら、制御部(52)からの制御信号に基づき前記アクチュエータ(32)の停止制御が行われるが、前記オーガ装置(24)はそれ自身相当の重量を有しているため、アクチュエータ(32)の駆動が停止された後も慣性力により目標位置を越えて旋回するおそれがある。
【0009】このため、本発明においては、前記制御部(52)において、オーガ装置(24)の旋回開始位置から前記安全規制位置までの旋回角度の大きさを演算し、該旋回角度の大きさに応じて前記アクチュエータ(32)の駆動停止タイミングを前記安全規制位置の手前側に変更することで、オーガ装置(24)を安全な位置にて確実に停止するようにしている。
【0010】なお、上述したカッコ内の符号は図面を参照するために示すものであって、本発明の発明特定事項をなんら限定するものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態について説明する。
【0012】図1及び図2は、本発明が適用されたコンバインの側面図及び平面図を示しており、コンバイン10は走行機体12の上部に運転席14を有すると共に、前記走行機体12を支持する左右一対のクローラ走行装置16,16と、走行機体12の前方で穀稈を刈り取る昇降自在な刈取装置18と、この刈取装置18により刈り取った穀稈を脱穀する脱穀装置20と、この脱穀装置20によって脱穀された穀粒を揚穀筒21を介して穀粒タンク22に搬送し、該穀粒タンク22からトラックやトレーラに穀粒を搬出するオーガ装置24とを備えている。
【0013】前記オーガ装置24は、穀粒タンク22の底部から立設され、縦ラセン駆動ケース26と縦ラセン筒27から成るオーガ支持筒25と、縦ラセン筒27に対して起伏自在、かつ該縦ラセン筒27のまわりに旋回自在に支持された排出筒28を有していて、前記縦ラセン駆動ケース26と縦ラセン筒27とは、旋回支持部30を介して接続されている。
【0014】この旋回支持部30は、図3及び図4に示すように、縦ラセン駆動ケース26に嵌挿されかつフレーム側に固着された連結プレート30aと、該連結プレート30aに対し旋回自在に支持された旋回ケース30bとを有すると共に、前記連結プレート30aには、縦ラセン筒27及び排出筒28を旋回駆動するアクチュエータとしての電動モータ32が取付けられていて、この電動モータ32には該電動モータ32に制動を加える電磁ブレーキ(図示せず)が内蔵されている。この電磁ブレーキは、後述する制御部52からの信号に応じてモータ駆動軸を制動する。
【0015】一方、前記旋回ケース30bの外周にはリングギヤ34が固定されていて、前記電動モータ32に噛合されたピニオン36の駆動により、これに噛合する前記リングギヤ34を介して縦ラセン筒27及び排出筒28が一体となって旋回する。また、前記電動モータ32の近傍には、前記ピニオン36の回転角を検出して縦ラセン筒27の旋回位置を常時検出するポテンショメータ33が取付けられている。
【0016】更に、前記旋回支持部30の連結プレート30a上には、縦ラセン筒27の旋回中心軸を中心として所定角度離れた位置に、右旋回位置規制ストッパ40と左旋回位置規制ストッパ41とが設けられている。一方、前記旋回ケース30bには、その円周上の適所に突出した当接部42が設けられていて、この当接部42に前記ストッパ40,41が当接して縦ラセン筒27の旋回位置が規制される。なお、縦ラセン筒27の外周部に設けられた突起37と、これを検出する検出スイッチ38のセンサバー38aにより、縦ラセン筒27のホームポジション(格納位置)が検出される。
【0017】以上により、図2に示したように、前記オーガ装置24はオーガ支持筒25を中心として、格納位置から左右両方向(時計方向及び反時計方向)に旋回することが可能とされている。
【0018】また、図5に示すように、前記縦ラセン筒27と排出筒28とは接続ケース37を介して回動自在に連結されていて、この縦ラセン筒27と排出筒28との間には油圧シリンダ38が装着されている。そして、前記排出筒28は、この油圧シリンダ38の伸縮により起伏制御されると共に、接続ケース37の近傍には排出筒28の起立上限位置を検出する上限位置検出スイッチ39が設けられている。
【0019】次に、図6及び図7(a)(b)において、運転席14には、マルチステアリングレバー44と主変速レバー45、副変速レバー43が設けられていると共に、運転席側方には操作パネル46が配置されている。この操作パネル46には、オーガ装置24を起伏・旋回方向に操作可能な手動操作手段としての手動レバー47と、自動収納スイッチ48、緊急停止スイッチ49、自動旋回スイッチ50、旋回位置スイッチ51が設けられている。そして、前記手動レバー47を左右方向に倒すと、夫々左・右旋回スイッチ(図示せず)がオン作動され、また前後方向に倒すと、夫々上げ・下げスイッチ(図示せず)がオン作動するようになっている。
【0020】図8は、本実施の形態の制御ブロック図を示しており、例えばオーガ装置24を旋回制御するには、前記手動レバー47を左右いずれかの方向に操作すると、制御部52を介して前記電動モータ32が所定方向に駆動され、オーガ支持筒25と共にオーガ装置24が旋回される。そして、オーガ装置24が予め設定された安全規制位置に到達したら電動モータ32が停止されると共に、オーガ装置24の旋回角度は、ポテンショメータ33により検出されている。ところで、前記オーガ装置24は、それ自身相当の重量を有しているため電動モータ32の駆動が停止された後も、該オーガ装置24はその慣性力により同方向に旋回するおそれがある。
【0021】そこで、本発明は、前記制御部52において、前記オーガ装置24の旋回開始位置から安全規制位置までの旋回角度の大きさを演算し、該旋回角度の大きさに応じて前記アクチュエータ32の駆動停止タイミングを前記安全規制位置の手前側に変更し得るようにしている。
【0022】すなわち、図9に示すように、オーガ装置24の排出筒28はオーガ支持筒25のまわりに旋回可能であるが、例えば該排出筒28の安全規制位置が図の「規1」の位置に設定されているとすると、排出筒28が旋回開始位置Oから「規1」に向かって時計方向に旋回する場合、電動モータ32による排出筒28の停止タイミングを、旋回角度の大きさに応じて安全規制位置「規1」よりも手前側に補正することで、慣性によるオーバーランを防止するものである。
【0023】次いで、図10のフローチャートに基づき、前述した図9を参照しながら本実施の形態におけるオーガ旋回制御について説明する。
【0024】S1において、手動レバー47の操作により右旋回スイッチがオンされたか否かを判断し、YesならS4に進み、NoならS2に進む。このS2では、手動レバー47の操作により左旋回スイッチがオンされたか否かを判断し、YesならS5に進み、NoならS3に進む。このS3ではオーガ装置24の旋回操作がない場合であるから、補正量を0として最初のステップに戻る。
【0025】次に、前記S4は、手動レバー47の操作により右旋回スイッチがオンされた場合であり、ここでは手動レバー47が中立位置から右側に倒されて右旋回スイッチがオフからオンに操作されたか否かを判断し、NoならS10に進み、YesならS6に進む。このS6では、右旋回時の安全規制位置「規1」からオーガ現在位置「現」までの角度差が、補正判断角度A(例えば15°)よりも大きいか否かが判断される。この場合、オーガ動作限界位置を0として、安全規制位置「規1」に近づくにつれ数値が増加するものとする。
【0026】そして、このS6で、No(すなわちオーガの現在位置が範囲1内にない場合)ならS8に進み、Yes(すなわちオーガの現在位置が範囲1内にある場合)ならS7において補正に1を加算して(この補正1とは、予め設定された一定の角度をいう)、S8に進む。このS8では、同様にして、安全規制位置「規1」からオーガ現在位置「現」までの角度差が、補正判断角度B(例えば6°)よりも大きいか否かが判断され、No(すなわちオーガの現在位置が範囲2内にない場合)ならS10に進み、Yes(すなわちオーガの現在位置が範囲1又は範囲2内にある場合)ならS9において補正に1を加算してS10に進む。つまり、範囲1にある場合は、S7とS9から補正量が1+1=2になる。
【0027】S10では、「規1」から補正角度を減算した値と、オーガ装置24の現在位置との大きさが比較され、現在位置の方が大きければ最初のステップに戻り、現在位置の方が小さければ、S11において制御部52を介して電動モータ32に右旋回信号を出力する。
【0028】図11は、以上における条件判断を行う場合の説明図である。
【0029】すなわち、安全規制位置「規1」からオーガ現在位置「現」までの角度差Xと、補正判断角度A,Bとを比較することにより、もしも「規1ー現」≧Aの場合(図9の範囲1の場合)は、補正2であり、また、B≦「規1ー現」<Aの場合(図9の範囲2の場合)は、補正1であり、また、0≦「規1ー現」<Bの場合(図9の範囲3の場合)は補正0ということになる。
【0030】一方、前述した図10におけるS5〜S17は左旋回時のフローを示すものであり、右旋回時と同様にして、S5では、手動レバー47が中立位置から左に倒されて左旋回スイッチがオフからオンに操作されたか否かを判断し、NoならS16に進み、YesならS12に進む。このS12では、左旋回時のオーガ現在位置「現」から安全規制位置「規2(図示せず)」までの角度差が、補正判断角度A(例えば15°)よりも大きいか否かが判断され、NoならS14に進み、YesならS13において補正に1を加算してS14に進む。このS14では、同様にして、オーガ現在位置「現」から安全規制位置「規2」までの角度差が、補正判断角度B(例えば6°)よりも大きいか否かが判断され、NoならS16に進み、YesならS15において補正に1を加算してS16に進む。
【0031】続いてS16では、「規2」に補正角度を加算した値とオーガの現在位置との大きさが比較され、現在位置の方が小さければ最初のステップに戻り、現在位置の方が大きければ、S17において制御部52を介して電動モータ32に左旋回信号を出力する。
【0032】また、本発明において、前記オーガ装置24は水平面から上方に向け起伏自在であると共に、前記制御部52は、オーガ装置24が最上昇位置に起立した状態では、該オーガ装置24の旋回時に前記アクチュエータ32の駆動停止タイミングを変更しないようにしている。
【0033】すなわち、手動レバー47を上げ位置に操作すると、油圧シリンダ38が伸長されて排出筒28は起立状態になるが、該排出筒28が最上昇位置に起立した状態のまま左右方向に旋回操作した場合は、前記制御部52において、電動モータ32の駆動停止タイミングを手前側に変更する制御は行わないようにしている。なぜなら、この場合は排出筒28が最上昇位置に起立しているので、安全規制位置を越えて停止したとしても安全上の問題は何ら生じないからである。
【0034】
【発明の効果】以上説明した通り、請求項1記載の発明によれば、オーガ装置の旋回開始位置から安全規制位置までの旋回角度の大きさを演算し、該旋回角度の大きさに応じてアクチュエータの駆動停止タイミングを安全規制位置の手前側に変更し得る制御部を備えたことにより、オーガ装置が安全規制位置を越えて動作することを確実に防止することができる。
【0035】請求項2記載の発明によれば、オーガ装置は起伏自在であると共に、制御部は、オーガ装置が最上昇位置に起立した状態では、アクチュエータの駆動停止タイミングを変更しないようにしたことで、オーガ装置が他の物体と衝突する心配のない最上昇位置に起立した状態では迅速な制御を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成11年1月11日(1999.1.11)
【代理人】 【識別番号】100082337
【弁理士】
【氏名又は名称】近島 一夫
【公開番号】 特開2000−201525(P2000−201525A)
【公開日】 平成12年7月25日(2000.7.25)
【出願番号】 特願平11−4494