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【発明の名称】 穀稈引起し装置
【発明者】 【氏名】神門 孝博

【氏名】河野 英正

【要約】 【課題】引起し爪の回転時の騒音が小さい穀稈引起し装置を提供することを課題としている。

【解決手段】穀稈の引起し爪17を起伏可能に枢支した無端チェーン18を巻掛ける上下のスプロケット14,16のうちの上端側のスプロケット14の近傍で、引起し爪17がスプロケット14の周りを転回する際に引起し爪17にかかる遠心力と、引起し爪17の倒伏方向への力とのバランスにより、チェーン18と引起し爪17が接触又は近接しないように、穀稈引起し作動部分において引起し爪17を起立状態で保持せしめる引起しガイド11の終端位置を設定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 前処理部(4)側に支持された引起しケース(10)内に、穀稈の引起し爪(17)を起伏可能に枢支した無端チェーン(18)と、該チェーン(18)を巻掛ける上下のスプロケット(14),(16)を設け、上記引起し爪(17)の移動経路中の穀稈引起し作動部分において引起し爪(17)を起立状態で保持せしめる引起しガイド(11)をチェーン(18)に沿って上下方向に設けた穀稈の引起し装置において、上端側のスプロケット(14)の近傍で、引起し爪(17)がスプロケット(14)の周りを転回する際に引起し爪(17)にかかる遠心力と、引起しガイド(11)からの離反により発生する引起し爪(17)の倒伏方向への力とのバランスにより、引起し爪(17)の引起しガイド(11)からの離反時にチェーン(18)と引起し爪(17)が接触又は近接しないように、引起しガイド(11)の終端位置を設定した穀稈引起し装置。
【請求項2】 引起しガイド(11)の終端位置を、引起し爪(17)をチェーン(18)と当接又は近接しない範囲のより深い倒伏姿勢で、引起し爪(17)と引起しケース(10)とが上端側のスプロケット(14)の上方側で当接することを防止するストッパ(12)と当接せしめる長さに設定した請求項1の穀稈引起し装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はコンバイン等に設けられた穀稈を引起こす穀稈引起し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来コンバイン等には、圃場の穀稈を引起こす穀稈引起し装置が設けられており、該穀稈引起し装置は、前処理部側に支持された引起しケース内に、穀稈の引起し爪を起伏可能に枢支した無端チェーンと、該チェーンを巻掛ける上下のスプロケット,を設け、上記引起し爪の移動経路中の穀稈引起し作動部分において引起し爪を起立状態で保持せしめる引起しガイドをチェーンに沿って上下方向に設けた構造となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし引起し爪は引起しガイドによる起立状態保持が解除された後は、自重により倒伏し、引起し爪の先端側がチェーンに当接した後に、引起し爪がスプロケットの周りを転回する際に発生する遠心力により、起立方向に力が与えられ、起立方向に揺動し、比較的起立状態に近い状態で、引起し爪と引起しケースとが上端側のスプロケットの上方側で当接することを防止するストッパと当接する。このためチェーンと引起し爪との当接時の騒音と、引起し爪とストッパとの当接時の騒音等により、引起し爪の回転時の騒音が比較的大きいという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するための本発明の穀稈引起し装置は、前処理部4側に支持された引起しケース10内に、穀稈の引起し爪17を起伏可能に枢支した無端チェーン18と、該チェーン18を巻掛ける上下のスプロケット14,16を設け、上記引起し爪17の移動経路中の穀稈引起し作動部分において引起し爪17を起立状態で保持せしめる引起しガイド11をチェーン18に沿って上下方向に設けた穀稈の引起し装置において、上端側のスプロケット14の近傍で、引起し爪17がスプロケット14の周りを転回する際に引起し爪17にかかる遠心力と、引起しガイド11からの離反により発生する引起し爪17の倒伏方向への力とのバランスにより、引起し爪17の引起しガイド11からの離反時にチェーン18と引起し爪17が接触又は近接しないように、引起しガイド11の終端位置を設定したことを第1の特徴としている。
【0005】また引起しガイド11の終端位置を、引起し爪17をチェーン18と当接又は近接しない範囲のより深い倒伏姿勢で、引起し爪17と引起しケース10とが上端側のスプロケット14の上方側で当接することを防止するストッパ12と当接せしめる長さに設定したことを第2の特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】図1はコンバインの正面斜視図であり、左右の走行装置1に支持されている走行機体2の前方には、圃場の穀稈の刈り取りや脱穀部3側への搬送等を行う前処理部4が上下昇降自在に支持されている。このとき上記前処理部4のフレーム(刈取フレーム)には、先端に分草体7が取り付けられた分草フレーム8が前方に延出して左右方向に複数備えられており、該分草体7の後方且つ走行機体2の前方位置には、刈取穀稈の引起しを行う引起装置9が分草フレーム8側に支持されて取付け斜設されている。
【0007】このとき上記引起装置9は、図2に示されるように引起しケース10内の上下端側にスプロケット14,16が軸支されているとともに、該スプロケット14,16に穀稈引起し用の複数の引起爪17が起伏自在に取り付けられている無端チェーン18が巻掛けられて構成されており、また引起しケース10内には引起爪17を起立姿勢に維持する引起しガイド11及び倒伏姿勢の引起し爪17が後述する遠心力で戻り経路側のケース内面に衝突して衝撃音を発することを防止する衝撃緩衝用のストッパ12等が設けられている。
【0008】そして上方のスプロケット14に駆動力が入力されており、すなわち引起装置9は、スプロケット14が駆動スプロケットとして回転駆動され、これによりチェーン18が回転せしめられ、引起爪17を穀稈の引起し方向(上方)に移動させながら、走行機体2の左右方向に突出させ、この走行機体2の左右方向に突出して移動する引起爪17により圃場の穀稈を引き起こす従来公知の構造となっている。
【0009】一方上記引起し爪17は図1〜図4に示されるようにチェーン18側にピン19を介して回動自在に軸支されており、自重により先端側がチェーン18側に近接する方向に倒伏することが可能となっている。そして従来公知のように引起しガイド11が引起し爪17の基端部17a側と当接することで引起し爪17が起立姿勢で保持されて、走行機体2の左右方向に突出せしめられ、穀稈の引起し作業を行う。
【0010】このとき引起しガイド11は、上下に分割された構造となっているとともに、図5に示される引起し爪17の移動経路中の引起し爪17が穀稈の引起し作業を行う穀稈引起し作動部分Xを含む範囲にわたって上下に設けられており、下方側の固定ガイド11aが引起しケース10側に固定され、また上方側の調節ガイド11bが固定ガイド11aに左右スライド可能に固定されて取り付けられている。
【0011】そして引起しガイド11の終端はチェーン18に沿って屈曲せしめられており、上記引起し作動部分Xの終了後から引起し爪17が上端側のスプロケット14の周りを転回する転回部分Zまでの姿勢切替え部分Yに延出している。これにより引起し爪17は姿勢切替え部分Y内において起立姿勢から倒伏せしめられて倒伏姿勢に切り替えられ、スプロケット14の周りを転回する。
【0012】すなわち下方(下端)のスプロケット16の周りを転回する引起し爪17の基端部17aが引起しガイド11に当接すると、引起し爪17が起立状態で保持されて引起し作動部分Xを起立状態で移動して穀稈の引起し作業を行い、姿勢切替え部分Y内における引起しガイド11の終端において引起しガイド11と引起し爪17の当接が解除されると引起し爪17が倒伏し、引起しケース10内に収容され、上方(上端)のスプロケット14の周りを転回し、以上のサイクルで引起し爪17の回転が行われる。
【0013】このとき上記のように引起し爪17は引起しガイド11の終端において起立状態が解除された後に前述の転回部分Zでスプロケット14の周りを転回するが、図5に示されるように引起し爪17(チェーン18)がスプロケット14の周りを転回する際に発生する遠心力により、起立方向に力Fが与えられ、起立しようとする。すなわち引起し爪17は姿勢切替え部分Yにおいて引起しガイド11による起立状態保持が解除された後に、自重による倒伏方向への力Wと、上記遠心力による起立方向への力Fがかかる。
【0014】そして本発明によれば引起し爪17の倒伏終了時期を引起しガイド11により調整し(遅らせ)、引起し爪17が倒伏し、引起し爪17の先端側がチェーン18に接触又は近接する前に遠心力の影響を与え、引起し爪17を倒そうとする力Wと遠心力による引起し爪17を起立させようとする力Fのバランスをとり、チェーン18と引起し爪17が接触又は近接しないように、引起しガイド11の終端位置をスプロケット14側に近づけて設定してある。
【0015】本実施形態においては、引起しガイド11の終端位置が、姿勢切替え部分Yの略1/2近傍あるいは引起し作動部分X側から1/2を超える位置に設定してある。またこれにより引起し爪17の倒伏角度が、引起し爪17がチェーン18と当接又は近接しない程度により深く倒伏した状態でストッパ12と当たるように設定され、図5の実線で示されるように引起し爪17の先端部分の軌跡aがチェーン18の移動軌跡bに略沿う。なお図4における想像線は従来の引起しガイドの終端位置と、それに伴う引起し爪の先端部分の軌跡cである。
【0016】つまり引起しガイド11による起立状態保持が解除された後の引起し爪17は、自重により倒伏方向に揺動するが、引起し爪17とチェーン18が当接する前に、引起し爪17がスプロッケット14に沿って転回する際に発生する遠心力により、引起し爪17には起立方向に力がかかり、急激な姿勢変化を起こさずにスプロケット14の周りを転回し、チェーン18との当接が防止される。
【0017】また引起し爪17がより深く倒伏した状態でストッパ12と当たるため、引起し爪17とストッパ12との接当時に発生するエネルギーは比較的小さい。なおチェーン18や引起し爪17の振れ等によるチェーン18と引起し爪17との当接は有り得るが、引起し爪17の急激な姿勢変化を伴う引起し爪17とチェーン18との当接は防止されている。
【0018】そして上記のように引起し爪17とチェーン18の当接が発生しないことと、引起し爪17とストッパ12との当接時のエネルギーが小さいことから、チェーンと18引起し爪17の当接時の騒音及び引起し爪17とストッパ12との当接騒音が小さくなり、引起し爪17の回転時の騒音が減少し、作業時の騒音環境は向上する。
【0019】
【発明の効果】以上のように構成される本発明の構造によれば、引起しガイドによる引起し爪の起立状態保持が解除された後、引起し爪は自重等により倒伏方向に揺動するが、引起し爪とチェーンが当接する前に、チェーンがスプロッケットに沿って回転する際に発生する遠心力により、引起し爪には起立方向に力がかかるため、引起し爪は急激な姿勢変化を起こさずにスプロケット周りを回転し、引起しガイドによる起立状態保持の解除直後にチェーンに当接又は近接することが無い。
【0020】これにより引起し爪は急激な姿勢変化を伴いチェーンと当接することが防止され、チェーンと引起し爪の当接時の騒音が小さくなり、引起し爪の回転時の騒音が小さくなるという効果がある。また引起し爪がチェーンと当接又は近接しない程度により深く倒伏した状態でストッパと当たるように設定することで、引起し爪とストッパとの接当時に発生するエネルギーが小さくなり、引起し爪とストッパとの当接騒音が小さくなり、引起し爪の回転時の騒音はさらに小さくなる。
【出願人】 【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱農機株式会社
【出願日】 平成11年4月16日(1999.4.16)
【代理人】 【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
【公開番号】 特開2000−300043(P2000−300043A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−109974