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【発明の名称】 茶畝跨走型茶刈機
【発明者】 【氏名】西野 寛行

【氏名】永井 利光

【要約】 【課題】茶刈機に搭載された複数のエンジン基数を減少、ないしは一元化し、低騒音化、排ガスの少量化、管理の容易化等を図った新規な茶畝跨走型茶刈機を提供する。

【解決手段】本発明の茶畝跨走型茶刈機1は、走行機体2に対して、刈刃34と、送風ファン36とを具えた茶刈機体3を取り付けて成り、送風ファン36と刈刃34とが、同一の油圧モータ33によって駆動される。またこの油圧モータ33は、走行機体2に搭載されるエンジンユニット24とポンプPとを具えたエンジンポンプユニットによって駆動されるとともに、更にこのエンジンポンプユニットは、少なくともクローラ22と、茶刈機体3を昇降自在に取り付けるスライダ25との駆動も行う。また刈刃34は、現行標準刃たけの約125%以上の刃たけ長を有することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 茶畝を跨ぐように走行する走行機体に対して、茶樹を刈り取る刈刃と、刈り取った茶樹を送風する送風ファンとを具えた茶刈機体を取り付けて、茶葉の摘採や枝幹の剪除等を行う茶刈機において、前記送風ファンは、油圧モータによって駆動されることを特徴とする茶畝跨走型茶刈機。
【請求項2】 前記刈刃の駆動は、前記送風ファンを駆動する油圧モータによって行われることを特徴とする請求項1記載の茶畝跨走型茶刈機。
【請求項3】 前記油圧モータは、前記走行機体に搭載されるエンジンポンプユニットによって駆動されるとともに、更にこのエンジンポンプユニットは、少なくとも走行体と、前記茶刈機体を昇降自在に取り付けるスライダとの駆動を行うことを特徴とする請求項1または2記載の茶畝跨走型茶刈機。
【請求項4】 前記送風ファンによる送風は、送風ダクトを介して行われるとともに、この送風ダクトは、茶畝幅方向に形成されたメインダクトから枝分かれするサブダクトが、刈刃の後方に向かうように形成されることを特徴とする請求項1、2または3に記載する茶畝跨走型茶刈機。
【請求項5】 前記刈刃は、現行標準刃たけの約125%以上の刃たけ長を有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載の茶畝跨走型茶刈機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は茶畝を跨いで走行する走行機体に、茶樹を刈り取る茶刈機体を搭載した茶刈機に関するものであって、特に種々の構成部材を駆動するのに用いられていた別々のエンジン基数を減少、ないしは複数のエンジンの一元化を可能とし、低騒音化や低公害化あるいは装置全体の管理の容易化等を図る新規な茶畝跨走型茶刈機に係るものである。
【0002】
【発明の背景】茶園における茶刈作業の合理化の要請に従い、乗用型、自走型等の茶刈機が種々開発されている。これらは基本的には茶畝を跨ぐように走行する走行機体に対して、茶樹を刈り取る茶刈機体を搭載し、茶刈機体の送風ファンによって刈り取った茶樹を風送するものである。そしてこのような茶刈機に適用される茶刈機体は、低コスト化などの目的から例えば二人用可搬型の摘採機や剪枝機など既存のものを流用するのが一般的であった。このため多くの場合、走行体等を駆動するためのエンジンのほかに、二人用可搬型の摘採機等に最初から搭載されている、刈刃や送風ファンを駆動するための摘採機エンジン等の複数のエンジンが、一基の茶刈機に設けられていた。
【0003】しかしながらこのような茶刈機を現実に使用した場合、特に大規模な茶園にあっては、一基の茶刈機に複数のエンジンが搭載されることになり、エンジン音の騒音問題や複数のエンジンに対応した数種類の燃料が必要になる等の管理の煩雑化という問題が生じていた。加えて複数のエンジンを搭載することによって、排ガス量が多すぎる場合には、今度はこれについての排ガス対策が必要になるという問題もあった。
【0004】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、茶刈機体の送風ファンを油圧モータで駆動することによって、茶刈機に搭載された複数のエンジン基数を減少、ないしは複数のエンジンの一元化を可能とし、低騒音化、排ガスの少量化、管理の容易化等を図った新規な茶畝跨走型茶刈機の開発を試みたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の茶畝跨走型茶刈機は、茶畝を跨ぐように走行する走行機体に対して、茶樹を刈り取る刈刃と、刈り取った茶樹を送風する送風ファンとを具えた茶刈機体を取り付けて、茶葉の摘採や枝幹の剪除等を行う茶刈機において、前記送風ファンは、油圧モータによって駆動されることを特徴として成るものである。この発明によれば、茶刈機体の送風ファンを油圧モータで駆動することによって、茶刈機に搭載されるエンジン基数の減少化が図れ、低騒音化、排ガスの少量化、管理の容易化等が図れる。
【0006】また請求項2記載の茶畝跨走型茶刈機は、前記請求項1記載の要件に加え、前記刈刃の駆動は、前記送風ファンを駆動する油圧モータによって行われることを特徴として成るものである。この発明によれば、茶刈機体の送風ファンのみならず刈刃も同一の油圧モータで駆動するため、茶刈機に搭載されるエンジン基数の一層の減少化が図れ、低騒音化、排ガスの少量化、管理の容易化等が図れる。
【0007】また請求項3記載の茶畝跨走型茶刈機は、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記油圧モータは、前記走行機体に搭載されるエンジンポンプユニットによって駆動されるとともに、更にこのエンジンポンプユニットは、少なくとも走行体と、前記茶刈機体を昇降自在に取り付けるスライダとの駆動を行うことを特徴として成るものである。この発明によれば、茶刈機に搭載される複数のエンジンの一元化を可能とし、低騒音化、排ガスの少量化、管理の容易化等が一層図れる。
【0008】更にまた請求項4記載の茶畝跨走型茶刈機は、前記請求項1、2または3記載の要件に加え、前記送風ファンによる送風は、送風ダクトを介して行われるとともに、この送風ダクトは、茶畝幅方向に形成されたメインダクトから枝分かれするサブダクトが、刈刃の後方に向かうように形成されることを特徴として成るものである。この発明によれば、特に茶刈機体の一例である摘採機体を茶刈機に取り付けた場合、摘採した茶葉を刈刃の後方に、より安定的に送風することができる。
【0009】また請求項5記載の茶畝跨走型茶刈機は、前記請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記刈刃は、現行標準刃たけの約125%以上の刃たけ長を有することを特徴として成るものである。この発明によれば、刈り取った茶樹の安定的な送風が行えることに加え、刈刃の刃たけ長を従来より長く形成したことによって、効率良く茶刈り作業が行える。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。まず本発明の茶畝跨走型茶刈機1は、一例として図1に示すように茶畝T上を跨ぐように走行する走行機体2と、この走行機体2によって支持される茶刈機体3とを具えて成るものである。なお茶刈機体3とは、茶葉の摘採を行う摘採機体と、樹形を整え樹勢の回復を図るため枝幹を剪除する剪枝機体とを総称するものである。因みに剪枝機体には、整枝作業を行う刈ならし機、浅刈り作業を行う浅刈機、深刈り作業を行う軽剪枝機、中刈り作業を行う中刈機、台刈り作業を行う刈込機、裾刈り作業を行う裾刈機等を含むものである。そしてこの茶刈機体3の直ぐ後方には、摘採作業時に摘採した茶葉を収容する収容部4が設けられる。以下各構成部について説明するが、このような基本構造を有する茶刈機は、従来公知のものが種々存在し、本発明の茶畝跨走型茶刈機1においても種々のものが適用できるため、以下の説明は概略的なものにとどめる。
【0011】まず走行機体2について説明する。このものは一例として図1〜3に示すように茶畝Tを跨ぐように概ね門形状に形成されたフレーム部21を骨格部材とし、このフレーム部21に対し下方にクローラ22を設けるとともに、このクローラ22の上方に茶刈機体3が取り付けられる。そして茶刈機体3等を操作するためのコントロールユニット23、クローラ22等を油圧によって駆動するエンジンユニット24、茶刈機体3及び収容部4等の昇降に関与するスライダ25、作業者が座る操縦者用シート26等がフレーム部21に設けられる。なお請求項3に記載するエンジンポンプユニットとは上記エンジンユニット24と、各部に圧油を供給するポンプPとを総称するものである。そしてこの実施の形態では、茶畝跨走型茶刈機1に搭載されるエンジンは、上述した油圧用のエンジンユニット24のみに一元化されるものであり、従ってこのエンジンポンプユニットによって、クローラ22の駆動のみならず、後述する茶刈機体3の送風ファン36や刈刃34の駆動、あるいはスライダ25の昇降駆動等を行うものである。またこの実施の形態では、走行体としてクローラ22を適用したが、この他にも例えば車輪を適用することも可能であるし、両者を組み合わせることも可能である。更には作業者が直接搭乗することなく茶刈作業が行えるいわゆるレール走行式のものを適用することも可能である。
【0012】次に茶刈機体3について説明する。茶刈機体3は、茶葉の摘採や枝幹の剪除を行うものであり、上述したように摘採機体や剪枝機体などが適用されるが、ここではその一例である摘採機体30について説明する。摘採機体30は、一例として図1〜3に示すように、全面刈りタイプのものであって、その基本構成は、上方に二本の平行な摘採機フレームパイプ31を配設するとともに、その下方に茶畝T上面の円弧に沿うような摘採機フレーム基板32をほぼ平行に設け、更に摘採機フレームパイプ31に油圧モータ33を搭載する。この油圧モータ33は、エンジンポンプユニットから供給される圧油によって、下方に一体的に組み付けられた送風ファン36を駆動すると同時に、一例としてバリカン刃を適用した刈刃34の駆動を行うものである。なお送風ファン36による送風は、後述する送風ダクト35を介して、摘採した茶葉Aを刈刃34の後方に送り込むように行われる。
【0013】刈刃34は、摘採機フレーム基板32の前方ほぼ延長上に設けられるものであり、現行標準刃たけの約125%以上の刃たけ長を有するものが適用され得る。因みに現行標準刃たけが、30mmであるのに対して、この実施の形態では一例として刈刃34を約45mm〜50mm程度の刃たけ長(現行標準刃たけに対して約150%〜167%程度)を有するように形成される。また刈刃34は、一例として図4に示すように上刃34Aと下刃34Bとを具えて成り、これらがエキセントリックシャフト37に接続され、このエキセントリックシャフト37が回転することによって上刃34Aと下刃34Bとが、相対的に逆方向の摺動を行い、茶葉Aの摘採を行うように構成されている。送風ダクト35は、一例として茶畝Tの幅方向に形成されたメインダクト35Aから多数に枝分かれしたサブダクト35Bが、刈刃34の後方に向かうように形成されて成り、送風もメインダクト35Aからサブダクト35Bに向けて行われる。
【0014】なお油圧モータ33の回転数は、一例として約2500rpm(最大約3000rpm)であり、送風ファン36の回転数は約6500rpmであるため、油圧モータ33から送風ファン36に回転を伝達する際には、それぞれのギヤ33a、36aの歯数やピッチ円直径等を適宜調節することによって回転数を増速させるものである。一方刈刃34を摺動させるエキセントリックシャフト37の回転数は、約1900rpmであるため、油圧モータ33からエキセントリックシャフト37に回転を伝達する際には、それぞれのギヤ33a、37aの歯数やピッチ円直径等を適宜調節することによって今度は回転数を減速させるものである。なお図4に示す実施の形態では、送風ファン36の回転軸上下にギヤ36aを設け、下方のギヤ36aを介して、油圧モータ33からエキセントリックシャフト37に回転を伝達するようにしている。また送風ダクト35は、一例として図5に示すように二基使用し、これらを茶畝Tの幅方向に沿うように、直列状に配する形態も可能であり、この場合には必然的に一畝に対して二基の油圧モータ33が必要となり、因みにこのときの送風ファン36の回転数は一例として約8500rpmとなる。
【0015】次に収容部4について説明する。収容部4は、例えば収葉袋などを載置し、摘採された茶葉Aを収容する部分であり、一例として茶畝T上面にほぼ沿うような曲面状に形成されるものである。そして収容部4は、通常摘採作業時に使用されるものであるため、その後方部分は、一例としてスライダ25から設けられた油圧シリンダ38の摺動子38aの伸縮によって回動自在に構成され、剪枝作業時、輸送時等には、作業を行いやすくする目的、あるいは収納における省スペース化等の目的からほぼ鉛直方向に立ち上げられる。なお収容部4は、このような形態のほかにも、例えば収葉袋をセットした収容籠を回転自在に取り付ける形態やコンテナを搭載する形態等が可能である。また適宜必要に応じて摘採した茶葉Aを傷めないように、刈刃34後方から収容部4上方まで移送する中継移送装置等を設けることも可能であり、このような場合には茶刈機を摘採専用機として使用する形態が好ましい。因みにこのような中継移送装置の詳細な説明は、本出願人の出願に係る特願平10−157979号「茶畝跨走型茶葉摘採機における茶葉収容構造」、特願平10−222667号「茶畝跨走型茶葉摘採機」、特願平10−231384号「茶畝跨走型茶葉摘採機における茶葉収容構造」、特願平10−308102号「収容効率を向上させた茶畝跨走型茶葉摘採機」等の特許出願を援用する。
【0016】次に以上のように構成された茶畝跨走型茶刈機1における摘採機体30の駆動態様について説明する。摘採機体30の駆動にあたっては、まずエンジンユニット24を起動し、付設されたポンプPによって、油圧モータ33に圧油を供給する。油圧によって駆動を始めた油圧モータ33の回転は、各ギヤ33a、36a、37a等を介して適宜の回転比を維持しながら送風ファン36及びエキセントリックシャフト37に伝達され、送風及び刈刃34の摺動を同時に行う。この実施の形態では、このように従来摘採機体30に搭載されていた摘採機エンジンを排し、エンジンユニット24によって送風ファン36及び刈刃34を駆動し、エンジンの一元化を図るものである。従ってクローラ22や茶刈機体3の昇降を担うスライダ25、あるいは収容部4の後部を立ち上げるように回動させる油圧シリンダ38等は、すべてエンジンポンプユニットによって駆動されるものであり、その操作がコントロールユニット23によって行われる。またこのようにエンジンをエンジンユニット24に一元化する形態を採ることによって、低騒音化や排ガスの少量化あるいは管理の容易化等はもとより、摘採した茶葉Aの送風がより安定的に行えるものであって、これに伴い刈刃34を、現行標準刃たけの約125%以上の刃たけ長を有するように形成し、茶刈作業の更なる効率化を図っている。
【0017】
【発明の効果】まず請求項1、2または3記載の茶畝跨走型茶刈機によれば、茶刈機に搭載された複数のエンジン基数を減少、ないしは複数のエンジンの一元化を可能とし、低騒音化、排ガスの少量化、管理の容易化等が達成される。
【0018】また請求項4記載の茶畝跨走型茶刈機によれば、特に茶刈機体3の一例である摘採機体30を茶刈機に取り付けた場合、摘採した茶葉Aを刈刃34の後方に、より安定的に送風することができる。
【0019】更にまた請求項5記載の茶畝跨走型茶刈機によれば、刈り取った茶樹の安定的な送風が行えることに加え、刈刃34の刃たけ長を従来より長く形成したことによって、効率良く茶刈り作業が行える。
【出願人】 【識別番号】000104386
【氏名又は名称】カワサキ技研株式会社
【出願日】 平成11年4月15日(1999.4.15)
【代理人】 【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
【公開番号】 特開2000−300042(P2000−300042A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−107409