トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 刈払機用回転刃およびこれを用いた刈払機
【発明者】 【氏名】山田 策次

【氏名】寺島 秀男

【要約】 【課題】寿命、切断効率をいずれも高度に保持しつつ、硬質の外物に衝突したとしても、歯の一部が砕けて周囲に飛散したり、外物を周囲に弾き飛ばす危険をなくすことができる刈払機用回転刃を提供する。

【解決手段】回転力が伝達される保持部材11と、この保持部材11に基端が連結された1または複数の切断部材12と、上記切断部材12の上位に添うように配置される第1カバー体13と、上記切断部材12の下位に添うように配置される第2カバー体14とを備えた刈払機用回転刃10であって、上記切断部材12は、基端側の変形可能部12aと、先端側の硬質切断作用部12bとを備えており、回転刃10の半径方向に延びる状態において、各硬質切断作用部12bは、その先端側の一部が上記第1カバー体13および第2カバー体14の周縁部から突出させられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転力が伝達される保持部材と、この保持部材に基端が連結された1または複数の切断部材と、上記切断部材の上位に添うように配置される第1カバー体と、上記切断部材の下位に添うように配置される第2カバー体とを備えた刈払機用回転刃であって、上記切断部材は、基端側の変形可能部と、先端側の硬質切断作用部とを備えており、回転刃の半径方向に延びる状態において、各硬質切断作用部は、その先端側の一部が上記第1カバー体および第2カバー体の周縁部から突出させられていることを特徴とする、刈払機用回転刃。
【請求項2】 回転力が伝達される保持部材と、この保持部材に基端が連結された1または複数の切断部材と、上記切断部材の上位に添うように配置される第1カバー体と、上記切断部材の下位に添うように配置される第2カバー体とを備えた刈払機用回転刃であって、上記切断部材は、基端側の変形可能部と、先端側の硬質切断作用部とを備えており、回転刃の所定の回転状態において、各硬質切断作用部の先端側の一部が上記第1カバー体および第2カバー体の周縁部から突出させられるように構成されていることを特徴とする、刈払機用回転刃。
【請求項3】 上記第1カバー体および第2カバー体の周縁は、その全部もしくは大部分が、回転中心を中心とする一定半径の円弧状とされている、請求項1または2に記載の刈払機用回転刃。
【請求項4】 上記第1カバー体および第2カバー体は、上記保持部材と一体的に回転するものである、請求項3に記載の刈払機用回転刃。
【請求項5】 上記第1カバー体および第2カバー体のいずれか一方は刈払機に固定され、他方は上記保持部材と一体的に回転するものである、請求項3に記載の刈払機用回転刃。
【請求項6】 上記第1カバー体または第2カバー体のうち、保持部材と一体に回転するカバー体の内面には、外物に衝突することによる上記硬質切断作用部の移動を所定範囲に規制する規制体が設けられている、請求項4または5に記載の刈払機用回転刃。
【請求項7】 エンジンの回転出力が伝達される伝動軸が内挿された操作管と、この操作管の先端に形成された回転刃取り付け部とを備える刈払機であって、上記回転刃取り付け部には、請求項1ないし6のいずれかに記載の回転刃が取り付けられていることを特徴とする、刈払機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本願発明は、刈払機用回転刃およびこれを用いた刈払機に関する。
【0002】
【従来の技術】田畑の土手等に生育する雑草を除去するための器具として、携帯型動力刈払機がある。この刈払機は、小型エンジンによって発生させられる回転動力を操作管の先端に支持させた回転刃に伝えるように構成されており、作業者は、スロットルレバーによってエンジンないしこれによって回転させられる回転刃の回転を制御しつ、操作管を振回して所望の刈り払い作業を行なう。
【0003】回転刃としては、金属円板の外周に鋸刃状の歯を付けたもの、金属円板の外周に超硬チップを取り付けたいわゆる超硬チップ刃と呼ばれるもの、あるいは、中心部分からナイロンコードや金属ワイヤを放射状に延出させたものなどがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】金属円板の外周に鋸刃状の歯を付けた回転刃は、安価で一般的ではあるが、地面の石や金属等の硬質の外物に衝突した場合に、歯の破損が激しく寿命が短い、あるいは、石等が高速で周囲に弾き飛ばされて危険である、などの難点がある。
【0005】寿命の延長を狙って提供された超硬チップ刃は、雑草を刈っている限りにおいては寿命が長いという長所があるが、地面にある石や金属に衝突すると、それらを高速で周囲に弾き飛ばして危険であるほか、そもそもが金属粉の焼結体である超硬チップ自体が衝撃によって粉々に砕け、これが高速で周囲に飛散して人身事故に至るという難点が指摘されている。この種の回転刃は、回転作動中の周速が300km/hにも及び、しかも一定の慣性質量をもっているため、その外周歯が硬質の外物に衝突した際に相互に与え合うエネルギは極大であり、いかに超硬チップであろうとも、その極大なエネルギのもとでは、保形力を失ってしまうからであろうと推定される。
【0006】また、中心部分からピアノ線やナイロンコード等の条体を複数本放射状に延出させたものについては、ピアノ線やナイロンコードが変形可能であるため、硬質の外物に衝突したとしても変形によってエネルギが吸収され、硬質の外物を周囲に弾き飛ばすといったことはあまりないが、このような衝突によってピアノ線がが不当に永久変形したりナイロンコードが途中で断線したりして切断効率を極度に悪化させることがある他、ピアノ線やナイロンコードの質量が小さく、切断効率が悪いという難点がある。
【0007】本願発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、上記した従来の各回転刃の欠点を解消し、寿命、切断効率をいずれも高度に保持しつつ、硬質の外物に衝突したとしても、歯の一部が砕けて周囲に飛散したり、外物を周囲に弾き飛ばす危険をなくすことができる刈払機用回転刃およびこれを用いた刈払機を提供することをその課題としている。
【0008】
【発明の開示】上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】すなわち、本願発明の第1の側面によって提供される刈払機用回転刃は、回転力が伝達される保持部材と、この保持部材に基端が連結された1または複数の切断部材と、上記切断部材の上位に添うように配置される第1カバー体と、上記切断部材の下位に添うように配置される第2カバー体とを備えた刈払機用回転刃であって、上記切断部材は、基端側の変形可能部と、先端側の硬質切断作用部とを備えており、回転刃の半径方向に延びる状態において、各硬質切断作用部は、その先端側の一部が上記第1カバー体および第2カバー体の周縁部から突出させられていることを特徴としている。
【0010】なお、基端側の変形可能部と、先端側の硬質切断作用部とを備えた上記切断部材は、上記のように通常状態において回転刃の半径方向に延び、各硬質切断作用部の先端側の一部が第1カバー体および第2カバー体の周縁部から突出させられるように構成するほか、回転刃の所定の回転状態において、遠心力の作用によって各硬質切断作用部の先端側の一部が上記第1カバー体および第2カバー体の周縁部から突出させられるように構成してもよい。
【0011】第1カバー体および第2カバー体は、たとえば、円形板状とされる。保持部材から放射状に延出する複数の切断部材は、少なくともその硬質切断作用部が第1カバー体と第2カバー体との間にサンドイッチ状に挟まれるように配置され、かつ、硬質切断作用部の先端側の一部が第1カバー体と第2カバー体の周縁部よりも所定量突出させられることになる。この切断部材は、その基端側に変形可能部を有しているために外力が作用した場合に曲げ変形可能であるが、上記第1カバー体と第2カバー体によってサンドイッチ状に挟まれているため、先端の硬質切断作用部がこの第1カバー体と第2カバー体に規制されつつ、この回転刃の回転軸心と直交する平面内を変形揺動可能となる。そして、硬質切断作用部には、所定の大きさおよび質量を与えることができる。
【0012】前述のように、各切断部材は、自然状態において、その先端の硬質切断作用部の一部が第1カバー体と第2カバー体の周縁部より突出させられるか、または、この回転刃の回転に伴う遠心力の作用によって半径方向に延出する姿勢となったときに硬質切断作用部の一部が第1カバー体と第2カバー体の周縁部より突出させられる。
【0013】この回転刃が回転状態にあるとき、この回転刃の周速はたとえば300km/hに達する。こうして回転する回転刃を切断対象に向けて移動させてゆくと、雑草等の軟質の切断対象は、第1カバー体および第2カバー体の周縁部に到達するか、またはそれ以前に、上記のように高速で旋回する硬質切断作用部による横方向からの強烈な衝突を受け、難なく切断される。
【0014】また、硬質切断作用部が切り株やコンクリート壁等の比較的硬質の固定物に衝突した場合には、切断部材は、変形可能部において曲げ変形し、硬質切断作用部は第1カバー体および第2カバー体の周縁部より内側に没入するので、回転刃の回転はそのまま継続され、しかも、切断部材が破損に至るということはない。そして回転刃の回転はそのまま継続されるので、次の瞬間には遠心力の作用によって切断部材の硬質切断作用部は両カバー体の周縁部から突出するように復帰し、雑草類に対する切断作用が即座に復活する。
【0015】さらに、硬質切断作用部が小石やボルト等、比較的小さな硬質外物に衝突した場合においても、切断部材が変形可能部において曲げ変形して衝撃が緩和されるので、小石やボルト等が高速で周囲に弾き飛ばされるといった事態は発生しにくく、また、切断部材が破損に至るということもない。この場合にも上記と同様、回転刃の回転は継続されるので、雑草類に対する切断作用は即座に復帰する。
【0016】なお、第1カバー体および第2カバー体は、保持部材と一体的に回転するように構成する他、いずれか一方または双方を刈払機に固定して回転しないようにすることもできる。
【0017】好ましい実施の形態においては、上記第1カバー体または第2カバー体のうち、保持部材と一体に回転するカバー体の内面には、外物に衝突することによる上記硬質切断作用部の移動を所定範囲に規制する規制体が設けられている。このように構成することにより、硬質切断作用部が硬質の固定物に衝突したような場合、衝撃反発動によって切断部材の一部が不当に永久変形して切断機能を悪化させるといったことを回避することができる。
【0018】本願発明の第2の側面によって提供される刈払機は、エンジンの回転出力が伝達される伝動軸が内挿された操作管と、この操作管の先端に形成された回転刃取り付け部とを備える刈払機であって、上記回転刃取り付け部には、上記した本願発明の第1の側面に係る回転刃が取り付けられていることを特徴とする。
【0019】このような刈払機の回転刃は、上記したように、寿命および切断性能を保持しつつ、硬質固定物や小型の硬質外物に衝突した場合であっても、回転刃自体が破損したり、小型の外物が高速で周囲に弾き飛ばされるといったことがなくなり、安心感をもって刈払機作業を行なうことができる。より具体的には、刈り払いを行なうべき土地に小石や金属片が存在しても、回転刃の破損や小石あるいは金属片が飛散するといったことを心配することなく、しかも、優れた効率をもって刈り払い作業を続けることができる。また、コンクリート壁等の固定物の直近に生育する雑草であっても、この固定物の際まで回転刃を進めて刈り払い作業を行なうことができる。
【0020】本願発明のその他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【0021】
【好ましい実施の形態】以下、本願発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0022】図1は、本願発明に係る刈払機用回転刃10を装着した刈払機Aの要部、すなわち、回転刃10の取り付け部の断面図、図2は回転刃10の平面的形態を示す図であり、図1のII-II線断面に相当する図である。
【0023】操作管20の基端側には、図示しない小型エンジンが連結されており、その回転出力が、操作管20に内挿された伝動軸21を介して操作管先端部に伝達されるようになっている。操作管20の基端には小型エンジンが直接的に取り付けられる場合もあるし、フレシキブルな伝動軸を介してたとえば背負い枠に搭載されるエンジンに連結される場合もある。操作管20の先端部のギヤケース22には、回転刃取り付け軸23が支持され、この回転刃取り付け軸23と上記の伝動軸21とは、ベベルギヤ機構(図示略)によって連携されている。回転刃取り付け軸23の軸端には、ねじ穴23aが形成されている。
【0024】回転刃取り付け軸23には、次のようにして特徴づけられた回転刃10が取り付けられる。本願発明に係る回転刃10は、基本的に、回転刃取り付け軸23に固定支持される保持部材11から放射状に延びる1または複数の切断部材12と、この切断部材12の上位に添うように配置される第1カバー体13と、上記切断部材12の下位に配置される第2カバー体14とを備える。
【0025】図に示す実施形態において保持部材11は、一定厚みをもつ円板状を呈しており、中心に上記回転刃取り付け軸23に外嵌される取り付け穴11aを有しているとともに、周面には上記切断部材12の基端が挿入連結される連結穴11bが設けられている。
【0026】切断部材12は、基端が上記保持部材11の連結穴11bに挿入連結される変形可能部12aと、この変形可能部12aの先端側に連結される硬質切断作用部12bとを備える。変形可能部12aは、たとえばステンレス等の金属細線を撚り合わせて形成されるワイヤによって形成することができる。硬質切断作用部12bは、たとえば、構造用炭素鋼に焼き入れを施して得られる硬質金属によって形成することができる。
【0027】上記保持部材11と上記変形可能部12aとの連結は、保持部材11の連結穴11bに変形可能部12aの基端を挿入した状態でハンダ付けを行ったり、保持部材11にカシメ加工を施したりすることによってなされる。また、変形可能部12aと硬質切断作用部12bとの連結は、硬質切断作用部12bの基端に形成した連結孔12cに変形可能部12aの先端を挿入した状態でハンダ付けを行ったり、カシメ加工を施したりすることによってなされる。
【0028】保持部材11の厚みは、たとえば6mm程度、金属ワイヤからなる変形可能部12aはたとえば3mm程度、硬質切断作用部12bは、たとえば6mm程度、長さ20〜30mm程度の円柱形状とされる。なお、図に示す実施形態では、硬質切断作用部12bの先端側が小径化され、切断能力の向上が図られている。
【0029】第1カバー体13は、たとえば、アルミニウム製の円板によって形成され、中央に回転刃取り付け軸23に外嵌される取り付け穴13aを有している。また、第2カバー体14もまた、たとえばアルミニウム製の円板によって形成され、中央に取り付け穴14aを有している。なお、この実施形態における第2カバー体14は、下面になめらかな膨出部14bが形成されており、取り付け穴14aの下面側には、段落ち部14cが形成されている。第1カバー体13および保持部材11は、それらの取り付け穴13a,11aが回転刃取り付け軸23に外嵌される。第2カバー体14の中央取り付け穴14aに下方から通挿された取り付けボルト15が回転刃取り付け軸23の軸端のねじ穴23aにねじ込まれる。このようにして、取り付け軸23の基端側から第1カバー体13、保持部材11ないしこれから放射状に延出する切断部材12、および第2カバー体14が積層状となって上記取り付け軸23に取り付けられる。したがって、本実施形態においては、第1カバー体13、保持部材11ないし切断部材12および第2カバー体14が積層状態となって回転させられる。このような取り付け状態において、上述したように第2カバー体14の取り付け穴14aの下面側に段落ち部14cが形成され、この段落ち部14c内に取り付けボルト15の頭部が配置される。したがって、取り付けボルト15の頭部が回転刃10の下面から不当に突出するといったことは回避されている。
【0030】本実施形態においては、切断部材12は、当初から保持部材11から回転刃10の半径方向に延出させられている。そして、この切断部材12の先端に取り付けられる硬質切断作用部12bと、第1および第2カバー体13,14との位置関係が最適な切断作用を行う上で重要である。
【0031】まず、上下方向に位置関係については、前述したように、保持部材11の厚みと、硬質切断作用部12bの外径とがほぼ同じとなっており、変形可能部12aの外径はそれよりも小となっている。したがって、取り付け状態において第1カバー体13と第2カバー体14とは、硬質切断作用部12bの上位および下位に添うようになり、この硬質切断作用部12bの上下方向の移動を規制する。ただし、第1カバー体13と第2カバー体14が必要以上に硬質切断作用部12bを上下から圧迫することはなく、この硬質切断作用部12bの移動が阻害されることはない。
【0032】次に、半径方向の位置関係については、切断部材12が回転刃10の半径方向に延出する姿勢をとる状態において、硬質切断作用部12bの一部の上位と下位に上記第1および第2カバー体13,14の内面が添うようになされる。別言すると、この状態において、上記硬質切断作用部12bの一部が第1および第2カバー体13,14の周縁から所定長さ突出するようになされる。この突出量Pは、たとえば、6〜12mm程度とされる。その結果、切断部材12は、その先端の硬質切断作用部12bに外力が作用した場合に図2に仮想線で示すように変形可能部12aにおいて曲げ変形を起こし、硬質切断作用部12bの全体が第1および第2カバー体13,14の周縁から没入した姿勢をとることが可能となる。
【0033】なお、図1において、符号24は、操作管20の先端のギヤハウジングに取り付けられた巻き込み防止カバーである。
【0034】次に、上記の刈払機Aないし回転刃10の作動について説明する。たとえば、スロットルレバーを操作するなどしてエンジンのスロットルの開度を上げると、エンジンの回転出力により、操作管20の先端の回転刃10が回転させられる。エンジンのスロットルの開度を調節することにより、回転刃10の回転数を調節することができる。通常、回転刃10の回転数は7,000 〜8,000rpmに達し、そのときの回転刃10の周速は300km/hを超える。このとき、第1および第2カバー体13,14の周縁から突出する硬質切断作用部12bは、300km/hを超える速度で旋回する。このように回転する回転刃10を地面に沿って移動させてゆくと、雑草等の比較的軟質細状の外物は、第1および第2カバー体13,14の周縁に接触するか、それ以前に上記のように高速で旋回する硬質切断作用部12bによる横方向からの強烈な衝突を受け、その衝撃によって難なく切断される。硬質切断作用部12bは、上述したように、直径が高々6mm程度、長さが20〜30mm程度であり、質量は数10グラムであるが、旋回速度が上記のように高速であるため、雑草等の茎を切断するのには十分な運動エネルギを有しているのである。
【0035】また、高速回転しながら移動する回転刃10が小石やボルト等の比較的小型の硬質外物に接触した場合には、上記のように高速で旋回する硬質切断作用部12bがこれらの小型硬質外物に衝突するが、質量は数10グラムであるため、このような小型外物を高速で弾き飛ばすほどの運動エネルギはない。また、衝突の際の衝撃は図2に仮想線で示すように切断部材12がその変形可能部12aで曲げ変形することによって吸収されるので、硬質切断作用部1bが衝撃によって破損するということはなく、また、回転刃10の回転数が瞬間的に低下するということもない。それ故に、いったん曲げ変形した切断部材12は次の瞬間には遠心力によって元の突出状態に復帰する。このように、上記構成の回転刃10は、小石やボルト等の小型の外物に接触したとしても、これらを高速で弾き飛ばす危険はなく、しかも衝撃吸収によって切断部材12が破損に至ることはなく、さらには、回転刃10全体の高速回転が維持されて連続した切断作用が継続されるのである。
【0036】次に、回転刃10が切り株やコンクリート壁等の大型硬質の外物に接触した場合においても、硬質切断作用部12bがこれらの大型硬質外物に衝突するが、その衝撃は図2に仮想線で示すように切断部材12がその変形可能部12aで変形することによって吸収されるので、硬質切断作用部12bが破損するということはない。また、このような変形により、硬質切断作用部12bは第1および第2カバー体13,14の周縁部から没入するので、回転刃10の回転が極度に低下することはない。したがって、変形した切断部材12は次の瞬間には遠心力の作用によって硬質切断作用部12bが所定量両カバー体13,14の周縁から突出する状態に復帰し、雑草等の軟質細状外物に対する切断作用は継続される。
【0037】なお、この実施形態では、第2カバー体14の底面になめらかな膨出部14bが形成されているので、この膨出部14bを接地させ、かつ地面を滑らせるようにしながら回転刃10を移動させることができる。このようにすることにより、硬質切断作用部12bの地面からの高さを確保しつつ刈り払い作業を行なうことができるので、硬質切断作用部12bが地面に直接接触し、あるいは地面に存在する小石やボルト等の小型硬質外物に接触する機会を減少させることができる。なお、仮に硬質切断作用部12bが地面の小石等に接触したとしても、この小石等を高速で周囲に弾き飛ばす危険が少なく、また、回転刃10の回転数が著しく低下することがなく、能率的な刈り払い作業を継続することができる点は、上述したとおりである。
【0038】このように、本願発明に係る刈払機用回転刃10は、雑草等に対する優れた切断能力を保持しながら、地面に存在する小石やボルト等の小型の硬質外物を高速で弾き飛ばすという危険、回転刃10それ自体が破損して飛散するという危険、コンクリート壁等の大型の外物に衝突することによる破損の危険がないほか、このような硬質の外物に接触しつつも、依然として所定の回転および軟質外物に対する切断能力が維持され、しかも一定の寿命が維持されるというきわめて優れたものとなる。
【0039】したがって、本願発明に係る刈払機用回転刃ないしこれを装着した刈払機によれば、刈り払い作業をしようとする領域に目に見えぬ小石やボルトが存在しても、そのことを気にせずに安心して刈り払い作業を行うことができる。このような安心感に基づく作業能率の向上効果は非常に大きいものがある。また、コンクリート壁の際まで回転刃を進めて、壁際に生育する雑草等をも難なく刈り払うことができる。
【0040】図3は、本願発明に係る回転刃10の第2の実施形態を示している。この実施形態においては、第1カバー体13は、巻き込み防止用カバー24と一体となって、操作管20の先端にギヤハウジング22に固定されている。一方、保持部材11ないし切断部材12、および第2カバー体14は、第1の実施形態のものと同様の構成を備え、回転刃取り付け軸23に取り付けられて一体に回転する。切断部材12の先端側の硬質切断作用部12bと第1および第2カバー体13,14との関係についてみれば、第1カバー体13が固定状となっている点は第1の実施形態と異なるが、硬質切断作用部12bの基端側を上位と下位から挟むようにして第1および第2カバー体13,14の周縁部が配置されている点、および、硬質切断作用部12bの先端側が第1および第2カバー体13,14の周縁から所定長さ突出させられている点は、同様である。この実施形態においても、切断部材12は、変形可能部12aにおいて曲げ変形可能でありながら、その硬質切断作用部12bが高速旋回することによって切断作用を行なうのであり、第1の実施形態について述べたのと同様の作用効果を期待することができる。
【0041】図4は、本願発明に係る回転刃10の第3の実施形態の要部を示している。この実施形態においては、切断部材12の硬質切断作用部12bの形態に変更を加えている。すなわち、この実施形態における硬質切断作用部12bは、基端側に第1および第2カバー体13,14間のすきまと対応する厚みの板状部12baを備えるとともに、この板状部12baから外方に突出する突起12bbを設け、この突起の一側、すなわち、回転刃10の回転方向前方側に刃部12bcを形成している。このように構成することにより、板状部12baが両カバー体13,14に規制されて切断部材12の軸転が阻止されるので、突起12bbの一側に設けた刃部12bcにより、より効果的な切断作用を期待することができる。
【0042】図5は、本願発明に係る回転刃10の第4の実施形態の要部を示している。この第4の実施形態は、第1の実施形態と基本構成は同様であり、第1カバー体13、切断部材12ないし第2カバー体14が一体回転する。そして、第1カバー体13と第2カバー体14のいずれか一方の内面に、曲げ変形する切断部材12の硬質切断作用部12bを受け止めてその移動範囲を所定範囲に規制する規制体16が設けられている。このように構成することにより、硬質切断作用部12bが硬質の固定物に衝突したような場合、衝撃反発動によって切断部材12の一部が不当に永久変形して切断機能を悪化させるといったことを回避することができる。
【0043】図6は、本願発明に係る回転刃10の第5の実施形態の要部を示している。上記した実施形態においては、切断部材12は、その自然状態において回転刃10の半径方向に延出し、硬質切断作用部12bの一部が第1および第2カバー体13,14の周縁から突出させられていたが、この実施形態では、切断部材12は、保持部材11から放射状に延出させらているものの、自然状態では、硬質切断作用部12bが両カバー体13,14の周縁から没入するように、回転刃10の半径方向に対して傾斜して延出させられている。この場合においても、回転刃10を高速回転させると、図6に仮想線で示すように切断部材12は遠心力によって回転刃の半径方向と略一致して延出するように変形可能部12aにおいて曲げ変形し、硬質切断作用部12bは所定長さ両カバー体13,14の周縁部から突出した状態をとることができる。したがって、この実施形態においても、前述した各実施形態について述べたのと同様の作用効果を期待することができるほか、刈払機を使用していないときは回転刃10の周縁に突起物がなく、取り扱い勝手がよくなる。
【0044】もちろん、この発明の範囲は上述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した事項の範囲内での設計的な変更は、すべて本願発明の範囲内に含まれる。たとえば、保持部材11に基端が連結されて放射状に延びる切断部材12の数は、1または複数本であり、限定されない。第1カバー体および第2カバー体13,14の材質は、軽量金属が好ましいが、限定されない。第1カバー体および第2カバー体13,14は、かならずしも板状部材である必要はなく、とくに、第1カバー体および第2カバー体13,14をともに切断部材12と一体回転させる場合には、アルミダイキャスト等によって一体形成してもよい。この場合、図7に示すように、各切断部材12が変形しうる略扇形の空間SPをのぞき、第1カバー体13と第2カバー体14との間の空間を埋めてしまってもよい。この場合、略扇形の空間SPの内壁を、硬質切断作用部12bを受け止めてその移動範囲を所定範囲に規制する規制体17として機能させることができる。
【0045】さらに、保持部材11に対する切断部材12の連結については、各実施形態のように固定連結とするほか、保持部材11に対して切断部材12が回動(揺動)可能に連結する場合も含まれる。
【出願人】 【識別番号】591111972
【氏名又は名称】山田機械工業株式会社
【出願日】 平成11年4月15日(1999.4.15)
【代理人】 【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔 (外1名)
【公開番号】 特開2000−300037(P2000−300037A)
【公開日】 平成12年10月31日(2000.10.31)
【出願番号】 特願平11−107824