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【発明の名称】 胴体屈折型モアトラクタ
【発明者】 【氏名】宇野 隆

【要約】 【課題】従来の胴体屈折型モアトラクタにおいては、集草機がリアフレーム側に配設されており、該モアと集草機とを接続するダクトは機体の左右一側方に配置されていたので、ダクトが長くなって集草能力が低下したり、リアフレーム側の全長が長くなって後進作業が行いにくくなっていた。また、左右旋回時にダクト等が旋回半径よりも外側へ飛び出して障害物に衝突する可能性があった。

【解決手段】集草機11をフロントフレーム1側に装着するとともにリアフレーム2上方に配置し、該集草機、及び集草機とモア12とを接続するダクト22・23が旋回時に最小旋回半径の範囲S内よりも外側へ飛び出さないように構成し、集草機用のブロア13をフロントフレームに装着し、作業機とブロアとの間を接続するダクトを機体の左右略中央部に配置し、ブロアと集草機との間を接続するダクトを機体の一側方に配置した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作業機及び運転操作部が配設されるフロントフレームと、動力部が配設されるリアフレームとを回動可能に連結し、該リアフレームに対してフロントフレームを旋回可能に構成した胴体屈折型モアトラクタにおいて、集草機をフロントフレーム側に装着するとともにリアフレーム上方に配置して、該集草機、及び集草機と作業機とを接続するダクトが、旋回時に最小旋回半径の範囲内よりも外側へ飛び出さないように構成したことを特徴とする胴体屈折型モアトラクタ。
【請求項2】 前記集草機用のブロアをフロントフレームに装着し、作業機とブロアとの間を接続するダクトを機体の左右略中央部に配置し、ブロアと集草機との間を接続するダクトを機体の一側方に配置したことを特徴とする請求項1に記載の胴体屈折型モアトラクタ。
【請求項3】 作業機及び運転操作部が配設されるフロントフレームと、動力部が配設されるリアフレームとを回動可能に連結し、該リアフレームに対してフロントフレームを旋回可能に構成した胴体屈折型モアトラクタにおいて、動力部の動力取出軸からの動力をドライブシャフトを用いて作業機へ伝達することを特徴とする胴体屈折型モアトラクタ。
【請求項4】 作業機及び運転操作部が配設されるフロントフレームと、動力部が配設されるリアフレームとを回動可能に連結し、該リアフレームに対してフロントフレームを旋回可能に構成した胴体屈折型モアトラクタにおいて、該動力部の動力取出軸からの動力により作業機を駆動するとともに、該動力取出軸からの動力を走行用の駆動力として用いたことを特徴とする胴体屈折型モアトラクタ。
【請求項5】 前記胴体屈折型モアトラクタにおいて、作業機への動力伝達を入切するクラッチを、前記動力部の最下部に配置したことを特徴とする請求項4に記載の胴体屈折型モアトラクタ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リアフレームへ回動可能に連結したフロントフレームを左右旋回可能に構成した胴体屈折型モアトラクタの構成に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、作業機としてのモア及び運転操作部が配設されるフロントフレームと、エンジンやトランスミッション等で構成した動力部が配設されるリアフレームとを回動可能に連結し、該リアフレームに対してフロントフレームを旋回可能に構成した胴体屈折型モアトラクタ、所謂アーティキュレートタイプのフロントモアは知られている。このようなフロントモアにおいては、モアにて刈り取った芝草を集草するための集草機がリアフレーム側に配設されており、また、フロントフレーム側に配設されるモアは、リアフレーム側のエンジンとベルトにより連結され、ベルト駆動式に構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述の如く、集草機をリアフレーム側に配設していた場合、該集草機とモアとをダクトにより連結して、モアにて刈り取った芝草を集草機へ送出するように構成すると、モアから集草機までの距離が長くなって集草能力が低下したり、集草機を配設するリアフレーム側の全長が長くなって後進作業が行いにくくなる。また、フロントフレーム側を左右旋回すると、機体側方に配したダクトが屈曲して余ったり突っ張ったりするので、該ダクトの取り回しが困難であり、旋回時にダクト等が旋回半径よりも外側へ飛び出して障害物に衝突する可能性があった。従って、従来のアーティキュレートタイプのフロントモアにおいては、ダクト付きの集草機を搭載したものはなかった。また、モアはベルト駆動式に構成されていたので駆動力の伝達効率が低くかった。さらに、ベルトが機体下部の広範囲に渡って張架されているため、該ベルトが障害物に干渉して破損する恐れがあり、耐久性・信頼性が低下していた。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。即ち、請求項1においては、作業機及び運転操作部が配設されるフロントフレームと、動力部が配設されるリアフレームとを回動可能に連結し、該リアフレームに対してフロントフレームを旋回可能に構成した胴体屈折型モアトラクタにおいて、集草機をフロントフレームに装着するとともにリアフレーム上方に配置して、該集草機、及び集草機と作業機とを接続するダクトが、旋回時に最小旋回半径の範囲内よりも外側へ飛び出さないように構成した。
【0005】また、請求項2においては、前記集草機用のブロアをフロントフレームに装着し、作業機とブロアとの間を接続するダクトを機体の左右略中央部に配置し、ブロアと集草機との間を接続するダクトを機体の一側方に配置した。
【0006】また、請求項3においては、作業機及び運転操作部が配設されるフロントフレームと、動力部が配設されるリアフレームとを回動可能に連結し、該リアフレームに対してフロントフレームを旋回可能に構成し、胴体屈折型モアトラクタにおいて、動力部の動力取出軸からの動力をドライブシャフトを用いて作業機へ伝達する。
【0007】また、請求項4においては、作業機及び運転操作部が配設されるフロントフレームと、動力部が配設されるリアフレームとを回動可能に連結し、該リアフレームに対してフロントフレームを旋回可能に構成した胴体屈折型モアトラクタにおいて、該動力部の動力取出軸からの動力により作業機を駆動するとともに、該動力取出軸からの動力を走行用の駆動力として用いた。
【0008】また、請求項5においては、前記胴体屈折型モアトラクタにおいて、作業機への動力伝達を入切するクラッチを、前記動力部の最下部に配置した。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の胴体屈折型トラクタを示す全体側面図、図2は同じく全体側面図、図3はモア駆動用のドライブシャフト及び後輪の駆動機構を示す側面断面図である。
【0010】本発明のモアトラクタの構成について説明する。図1、図2に示すように、フロントフレーム1には前輪3が回転自在に支持され、リアフレーム2には後輪4が回転可能に支持されている。フロントフレーム1の後端部とリアフレーム2の前端部とはピボット点17にて水平方向に回動自在に連結され、該リアフレーム2に対してフロントフレーム1が左右に旋回可能に構成されており、本モアトラクタは胴体屈折型、所謂アーティキュレートタイプのモアトラクタに構成されている。
【0011】該フロントフレーム1の前部にステアリングハンドル10を配設し、該ステアリングハンドル10の後方にシート9を配置して、フロントフレーム1に運転操作部101を構成している。また、リアフレーム2上にはエンジン5が設置され、該エンジン5はボンネット8により覆われており、。該エンジン5やエンジン5の下端部に付設されるトランスミッション6等により、動力部102を構成している。そして、エンジン5からの動力をトランスミッション6を介して後輪4に伝達し駆動するように構成している。
【0012】フロントフレーム1の前端部には作業機としてのモア12が装着されている。また、前記トランスミッション6からは前方へドライブシャフト15が延出されており、該ドライブシャフト15の前端部がギアボックス16を介してモア12と接続されている。ドライブシャフト15は、複数のシャフトをクロスジョイント等で回動可能に連結して構成しており、該連結部で屈曲可能とされている。そして、該モア12には、エンジン5からの動力をトランスミッション6、ドライブシャフト15、及びギアボックス16を介して伝達し、該エンジン5からの動力によりモア12を駆動するように構成している。トランスミッション6の下端部には、エンジン5からモア12への動力伝達を入切する電磁クラッチ7が配設されており、ドライブシャフト15は電磁クラッチ7を介してトランスミッション6に接続されている。
【0013】また、フロントフレーム1上でシート9を支持しているシート台24の左右側面には支持アーム21が固設されており、該支持アーム21はシート台24から後方上方に伸びた後、途中部で屈曲して後方へ延設されている。該支持アーム21後部の水平部21aには、モア12にて刈り取った芝草を集めて収納する集草機11が載置されており、該集草機11は動力部102の上方に位置している。即ち、リアフレーム2に構成される動力部102の上方に張り出すように配置されている。
【0014】また、フロントフレーム1後部の左右略中央部には、前記集草機11へモア12にて刈り取った芝草を送出するためのブロア13が装着され、該ブロア13とモア12との間をフロントダクト22により接続するとともに、該ブロア13と集草機11との間をリアダクト23により接続している。
【0015】フロントダクト22は、ブロア13からモア12の左右略中央部に形成された刈草排出口までを略直線的に接続し、フロントフレーム1側の機体の左右略中央部に配置されている。一方、リアダクト23はブロア13から左右一側方へ延出され、途中部で屈曲して、機体側方を集草機11の上端部まで上方後方に延設されて、該集草機11の上面に接続されている。即ち、フロントダクト22は機体の左右略中央部に配置され、リアダクト23は機体の一側方に配置されているのである。
【0016】このように構成したモアトラクタにおいてはリアフレーム2に対してフロントフレームを左右に回動することで旋回を行うが、モアトラクタの旋回時に、フロントフレーム1側に装着した集草機11が、フロントフレーム1を最大に回動して旋回した場合の最小旋回半径の範囲内よりも外側へ飛び出さないように構成している。即ち、図2に示すように、最小半径にて旋回する際に、最も外側を通過するモア12の外側前端部の軌跡Sよりも外側へ集草機11が飛び出さないように、該集草機11を配置するとともに、該集草機11を後部左右を切り欠いた形状に形成しているのである。
【0017】これにより、旋回時に集草機11等の各部が障害物に衝突することを防止することができる。また、モア12と集草機11とを接続するフロントダクト22及びリアダクト23を短く構成することができ、集草能力を向上することができる。さらに、集草機11はフロントフレーム1側に装着されているので、リアフレーム2側の全長を短くすることができて、後進作業を容易に行うことが可能となる。
【0018】また、ブロア13から前方へ延出するフロントダクト22は機体の左右略中央部に配置され、平面視においてフロントフレーム1とリアフレームとに跨がって配設されるリアダクト23は機体の側方に配置されているので、フロントフレーム1を回動して旋回した場合に、該フロントダクト22及びリアダクト23と、リアフレーム2やボンネット8等の各部とが干渉することを防止することができる。さらに、このように配置されたフロントダクト22及びリアダクト23は、前記集草機11と同様に前記軌跡Sよりも外側へ飛び出さないように配置しており、障害物に衝突することを防止している。
【0019】また、モア12はリアフレーム2側のトランスミッション6とドライブシャフト15により連結され、該ドライブシャフト15によりエンジン5からの動力を直接伝達されて駆動されるため、ベルト駆動式の場合のようにベルトのズレや伸びがなくて動力の伝達ロスが少ないため、伝達効率を向上することができる。また、機体下部をドライブシャフト15が一本配置されるだけの簡単な構造とすることができるので、障害物との干渉を避けることができ耐久性・信頼性を向上することが可能となる。
【0020】次に、ドライブシャフト15の駆動機構及び後輪4の駆動機構について説明する。図3に示すように、エンジン5下端部に付設されるトランスミッション6内には、油圧式無段変速機(以下HST式変速機と記載する)31が設けられており、該HST式変速機31の油圧ポンプ31aは、エンジン5の下端から下方へ突出する動力取出軸(以下PTO軸と記載する)5aにより駆動されている。該PTO軸5aは油圧ポンプ31aを貫通して該油圧ポンプ31aの下方へ延出しており、該PTO軸5aの下端部にはベベルギア33が固設されている。
【0021】電磁クラッチ7のPTO軸側クラッチ板32aは、PTO軸5aと一体的に回転可能に構成されており、ドライブシャフト側クラッチ板32bは、PTO軸5aに遊嵌されるベベルギア33と一体的に形成されている。該ベベルギア33にはベベルギア34が噛合しており、該ベベルギア34は電磁クラッチ7を介してドライブシャフト15に接続されている。
【0022】そして、PTO軸5aが回転すると、該PTO軸5aと一体的にベベルギア33が回転し、これに伴ってベベルギア34が回転するが、前記電磁クラッチ7が接続されていない切状態となっている場合はドライブシャフト15は駆動されない。逆に、電磁クラッチ7が入状態で接続されている場合は、PTO軸5aの回転がベベルギア33・34を介してドライブシャフト15に伝達され、該ドライブシャフト15が回転駆動される。このように、ドライブシャフト15はエンジン5のPTO軸5aにより駆動され、これによりモア12が駆動される。また、電磁クラッチ7によりドライブシャフト15の駆動状態、即ちモア12の駆動状態を入切するように構成している。
【0023】また、HST式変速機31の油圧ポンプ31aの一側方には、該油圧ポンプ31aにより駆動される油圧モータ31bが配設されており、該油圧モータ31bの出力軸35には、HST側ギア37が固設されている。また、HST式変速機31の後方に配置される後輪4の車軸36には、車軸側ギア39が固設されている。HST側ギア37と車軸側ギア39との間には、一体的に形成される第一ギア38aと第二ギア38bにより構成される中間ギア38が配設され、該中間ギア38の第一ギア38aがHST側ギア37と噛合し、第二ギア38bが車軸側ギア39と噛合している。
【0024】以上の構成により、油圧ポンプ31aにより駆動される油圧モータ31bの出力軸35からの駆動力が、HST側ギア37、中間ギア38、及び車軸側ギア39を介して車軸36へ伝達され、後輪4が駆動される。このように、エンジン5のPTO軸5aは、ドライブシャフト15の駆動軸であるとともに、後輪4を駆動するためのHST式変速機31の駆動軸、即ち、走行用の駆動軸でもある。また、ドライブシャフト15への駆動力の伝達を入切する電磁クラッチ7は、トランスミッション6の下端部に、即ち、動力部102の最下端部に配置されている。
【0025】このように、動力部102を構成するエンジン5のPTO軸5aからの動力によりモア12を駆動するとともに、該PTO軸5aからの動力を走行用の駆動力として用いることにより、モア12及びHST式変速機31の駆動効率を高効率化することができ、耐久性・信頼性を向上することができる。また、電磁クラッチ7を動力部102の最下端部に配置することにより、該電磁クラッチ7のメンテナンス性を向上することができる。
【0026】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。即ち、請求項1記載の如く、集草機をフロントフレーム側に装着するとともにリアフレーム上方に配置して、該集草機、及び集草機と作業機とを接続するダクトが、旋回時に最小旋回半径の範囲内よりも外側へ飛び出さないように構成したので、旋回時に集草機やダクト等の各部が障害物に衝突することを防止することができる。また、作業機と集草機とを接続するダクトを短く構成することができ、集草能力を向上することができる。さらに、集草機はフロントフレーム側に装着されているので、リアフレーム側の全長を短くすることができて、後進作業を容易に行うことが可能となる。
【0027】さらに、請求項2記載の如く、前記集草機用のブロアをフロントフレームに装着し、作業機とブロアとの間を接続するダクトを機体の左右略中央部に配置し、ブロアと集草機との間を接続するダクトを機体の一側方に配置したので、フロントフレームを回動して旋回した場合に、該ダクトとリアフレームやボンネット等の各部とが干渉することを防止することができる。さらに、このように配置されたダクト及びは前記集草機と同様に最小旋回半径の範囲内よりも外側へ飛び出すことがなく、障害物に衝突することが防止される。
【0028】さらに、請求項3記載の如く、動力部の動力取出軸からの動力をドライブシャフトを用いて作業機へ伝達するので、ベルト駆動式の場合のようにベルトのズレや伸びがなくて動力の伝達ロスが少ないため、伝達効率を向上することができる。また、機体下部をドライブシャフトが一本配置されるだけの簡単な構造とすることができるので、障害物との干渉を避けることができ耐久性・信頼性を向上することが可能となる。
【0029】さらに、請求項4記載の如く、動力部の動力取出軸からの動力により作業機を駆動するとともに、該動力取出軸からの動力を走行用の駆動力として用いたので、作業機及び油圧式無段変速機の駆動効率を高効率化することができ、耐久性・信頼性を向上することができる。
【0030】さらに、請求項5記載の如く、前記胴体屈折型モアトラクタにおいて、作業機への動力伝達を入切するクラッチを、前記動力部の最下部に配置したので、該クラッチのメンテナンス性を向上することができる。
【出願人】 【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーディーゼル株式会社
【出願日】 平成11年3月24日(1999.3.24)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎
【公開番号】 特開2000−270651(P2000−270651A)
【公開日】 平成12年10月3日(2000.10.3)
【出願番号】 特願平11−78980