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【発明の名称】 農作物の運搬車両
【発明者】 【氏名】屋宜 宣昌

【要約】 【課題】収穫したサトウキビなどをほ場の外まで運搬するのに適する農作物の運搬車両に関し、左右の走行手段の間隔を変更可能とすることで、走行時に新芽などを損傷するのを防止する−【解決手段】操縦部2を旋回可能に搭載した車台1の少なくとも片方に、車幅方向にスライドして伸縮できる可動フレームF1、F2を設け、該可動フレームに車輪などの走行手段と連結することによって、圃場の畝の間隔に合わせて、左右の車輪間隔を変更し、常に畝間を走行することで、新芽などを踏みつぶさないようにする。

【解決手段】操縦部2を旋回可能に搭載した車台1の少なくとも片方に、車幅方向にスライドして伸縮できる可動フレームF1、F2を設け、該可動フレームに車輪などの走行手段と連結することによって、圃場の畝の間隔に合わせて、左右の車輪間隔を変更し、常に畝間を走行することで、新芽などを踏みつぶさないようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 操縦部を旋回可能に搭載した車台の少なくとも片方に、車幅方向にスライドして伸縮できる可動フレームを設け、該可動フレームに車輪などの走行手段と連結してなることを特徴とする農作物の運搬車両。
【請求項2】 前記の走行手段を、油圧モータで回転駆動する構造とし、かつ前記の可動フレームを、嵩上げ用の足を介して、走行手段と連結してなることを特徴とする請求項1に記載の農作物の運搬車両。
【請求項3】 前記の車台に荷台部を有しており、油圧操作可能なブームの先端に連結された揺動アームの先端に少なくとも把持手段を有しており、該ブームが、前記の旋回部に取り付けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の農作物の運搬車両。
【請求項4】 前記の走行手段が車輪からなる構造において、左右の車輪を支持する嵩上げ用の足が、鉛直方向の軸を介して前記の可動フレームに取り付けられており、前記の嵩上げ用の足の上端と一体のブラケットの、前記鉛直軸に対し車輪とは反対側の位置同士が、背中合わせの一対の油圧シリンダーで連結されており、該油圧シリンダー対が、別の油圧シリンダーによって、左右方向に駆動されることで、左右の車輪の向きを同時に可変する構造としたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載の農作物の運搬車両。
【請求項5】 前記の車輪の向きを変更可能な車輪とは反対側の左右の車輪が、可動フレームに上下方向に回動可能に取り付けられたアームの先端側に支持されており、該アームの先端側と前記の可動フレームとの間に、圧縮コイルスプリングと油圧シリンダーを介在させてあり、該油圧シリンダーのピストンロッドを、少なくとも収縮状態にロックできる構造となっていることを特徴とする請求項4に記載の農作物の運搬車両。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、収穫したサトウキビなどをほ場の外まで運搬するのに適する農作物の運搬車両に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】ハーベスターと呼ばれる大型のサトウキビ収穫機を用いると、収穫後のサトウキビの根株から出ている芽が押しつぶされるため、翌年の古株からの芽出しに悪影響を与える。そのため、収穫の都度、新たにサトウキビの植え付けをする必要がある。新たに植え付けた場合は、古株からの芽出しよりも期間を要するので、生産効率が悪い。また、雨天時には、ほ場を荒らすため、収穫作業ができない。
【0003】そこで、収穫したサトウキビをワイヤーで束ねて、ほ場の外まで引っ張り出す手法も採られているが、サトウキビの束を引きずり出す際に、すでに芽出ししている新芽を折ってしまう、という欠点がある。
【0004】また、小型の運搬専用車両も使用されているが、この場合も、収穫後に残存する、すでに芽出ししている新芽を押しつぶすことになり、翌年の発芽効率が悪い。
【0005】本発明の技術的課題は、このような問題に着目し、左右の走行手段の間隔を変更可能とすることで、走行時に新芽などを損傷するのを防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、操縦部を旋回可能に搭載した車台の少なくとも片方に、車幅方向にスライドして伸縮できる可動フレームを設け、該可動フレームに車輪などの走行手段と連結してなる農作物の運搬車両である。車台の左右両側に可動フレームを設けてもよい。
【0007】このように、走行手段と連結された可動フレームが車台に対し車幅方向に伸縮できるため、圃場の畝の間隔に合わせて、左右の走行手段の間隔を変更できる。その結果、収穫後に残っている古株から出た新芽の上を走行することなく、収穫した農作物を運搬できる。
【0008】請求項2は、請求項1記載の走行手段を、油圧モータで回転駆動する構造とし、かつ前記の可動フレームを、嵩上げ用の足を介して、走行手段と連結してなる農作物の運搬車両である。
【0009】このように、車輪やクローラーなどの走行手段を油圧モータで駆動して走行するので、すでに生えている新芽などの障害となるディファレンシャルギア機構を省くことができる。また、嵩上げ用の足によって、可動フレームや車台の高さを高くしてあるので、走行時に、車台や可動フレームが、すでにある程度成長した高い新芽を押し倒したりする恐れがない。
【0010】請求項3は、請求項1または請求項2に記載の車台に荷台部を有しており、油圧操作可能なブームの先端に連結された揺動アームの先端に少なくとも把持手段を有しており、該ブームが、前記の旋回部に取り付けられている農作物の運搬車両である。
【0011】このように、車台上に、荷台部と旋回する操縦部を有しているので、収穫したサトウキビなどを直ちに、旋回可能なブームを操作することで、自身の荷台に積み込むことができ、一人で収穫・運搬作業ができる。
【0012】請求項4は、請求項1、請求項2または請求項3に記載の走行手段が車輪構造の場合についての発明である。すなわち、左右の車輪を可動フレームに連結する手段が、嵩上げ用の高い足になっている。そして、嵩上げ用の足の上端が、鉛直軸を介して、前記の可動フレームに取り付けられている。
【0013】また、前記の嵩上げ用の足の上端と一体のブラケットの、前記鉛直軸に対し車輪とは反対側の位置同士が、背中合わせの一対の油圧シリンダーで連結されており、該油圧シリンダー対が、別の油圧シリンダーによって、左右方向に駆動されることで、左右の車輪の向きを同時に可変する構造となっている。
【0014】このように、車輪の向きを変えるための鉛直軸に対し車輪とは反対側の位置同士が、背中合わせの油圧シリンダー対で連結され、該油圧シリンダー対が別の油圧シリンダーで左右方向に駆動される構造なため、簡素な構造で、操舵機構を実現できる。
【0015】請求項5は、請求項4に記載の車輪の向きを変更可能な車輪とは反対側の左右の車輪が、可動フレームに上下方向に回動可能に取り付けられたアームの先端側に支持されており、該アームの先端側と前記の可動フレームとの間に、圧縮コイルスプリングと油圧シリンダーを介在させてある。そして、該油圧シリンダーのピストンロッドを、少なくとも収縮状態にロックできる構造となっている。
【0016】このように、操舵側の車輪とは反対側の車輪は、回動アームに支持されていて、スプリングに抗して上下に移動可能なため、走行路面が平坦でない場合でも、各車輪がより確実に路面と接し、安定走行できる。また、圧縮コイルスプリング中において、車輪側と可動フレームとの間を連結している油圧シリンダーのピストンロッドを引っ込めた状態にロックしておくと、車高を低くでき、農作物の運搬作業以外の際に、より安定させることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に本発明による農作物の運搬車両が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。図1は本発明による農作物の運搬車両を正面側から見た斜視図である。1は車台であり、旋回可能な操縦部2を搭載しており、また操縦部2の搭載部以外の領域1aは、荷物を載せる荷台になっている。
【0018】操縦部2から見て左側の前輪W1と後輪W2は、左側の可動フレームF1に取り付けられている。また、操縦部2から見て右側の前輪W3と後輪W4は、右側の可動フレームF2に取り付けられている。
【0019】圃場の畝の間隔に合わせて、左側の車輪W1、W2と右側の車輪W3、W4との間隔を変えられるように、左側の可動フレームF1と右側の可動フレームF2が、車台1に対し、左右にスライドすることで、伸縮できる。
【0020】左側の可動フレームF1は、縦フレーム3に前後の横フレーム4、5と中間の横フレーム6とを溶接して一体化することで、ローマ字のE字状に形成されている。右の可動フレームF2も同様にして、E字を反転した形状に形成されている。図示の各フレームは、角パイプで形成されているが、丸パイプなどでもよい。
【0021】一方、車台1側には、前後と中間の各フレーム4、5、6と対応する位置に、各フレーム4、5、6をちょうど挿入できるサイズの角パイプ7、8、9を固定してある。したがって、左右の可動フレームF1、F2の前後と中間の各フレーム4、5、6が車台1の角パイプ7、8、9に出入りすることで、左右の可動フレームF1、F2が左右方向に伸縮できる。
【0022】左右の前輪W1、W3は、取り付け足10、11の下端に取り付けられており、取り付け足10、11の上端は、鉛直軸を介して、左右の可動フレームF1、F2の前端に支持されている。したがって、前輪W1、W3は、その向きを変えることで、走行方向を制御できる。
【0023】後輪W2、W4は、走行部の地形に応じて上下動できるように、上下回動可能なアームを介して、左右の可動フレームF1、F2の後側に取り付けられている。なお、各車輪W1、W2、W3、W4とそれぞれの取り付け足との間には、油圧モータを介在させてあり、油圧モータで4つの車輪を回転させて、前後に走行する構造になっている。
【0024】図2は図1の農作物の運搬車両を右側から見た側面図であり、上下方向に回動するアーム12が、右側の可動フレームF2の縦フレーム3に対し、後向きに、水平軸13で取り付けられている。そして、回動アーム12の下端に、後輪W4が取り付けられている。また、回動アーム12の下端と前記の右側の可動フレームF2との間に圧縮コイルスプリングSを介在させ、その中に油圧シリンダーを挿入することでサスペンションを構成してある。
【0025】図1における左側の可動フレームF1と後輪W2との間も、同様な構造になっている。
【0026】操縦部2は、旋回機構14を介して、車台1上に旋回可能に搭載されている。旋回部分には、操縦部2の前側において、ブーム15と該ブーム15を上下回動させる油圧シリンダー16を連結してある。そして、ブーム15の先端に、水平軸を介して揺動アーム17と該揺動アーム17を上下回動させる油圧シリンダー18を連結してある。
【0027】揺動アーム17の先端には、該把持装置19のアーム20を揺動させる油圧シリンダー21を取り付けてあり、該アーム20に、把持装置19を開閉する油圧シリンダー19cと把持装置19の向きを回転させる油圧モータを設けてある。
【0028】図3から図7は、操舵機構と可動フレームF1、F2の伸縮機構の原理を説明する図であり、車台1の角パイプ7、8、9の位置の水平断面図で示してある。図3において、前輪W1、W3の取り付け足10、11は、左右の可動フレームF1、F2の前部の下側に鉛直軸22、23で支持されている。したがって、前輪W1、W3は、鉛直軸22、23を中心にして左回動することによって、図4のように左向きに曲がることができ、右回動すると右向きに曲がることができる。
【0029】取り付け足10、11の上端と一体になっている水平のブラケット24、25が、鉛直軸22、23よりも車台1の中央側に延びており、両ブラケット24、25の内端に、鉛直軸26、27を介して、油圧シリンダーC1、C2のピストンロッドP1、P2が連結されている。油圧シリンダーC1とC2とは、それぞれの背部同士が背中合わせに一体化されている。
【0030】したがって、両油圧シリンダーC1、C2のピストンロッドP1、P2を引っ込めた状態で、あるいは伸長させた状態で、ピストンロッドP1、P2をロックした状態にすると、両油圧シリンダーC1、C2とは、1本のバーとみなすことができる。
【0031】車台1に取り付けられた別の油圧シリンダー(操舵シリンダー)C3のピストンロッドP3は、前記の油圧シリンダーC2に連結されている。したがって、いま図3において、油圧シリンダーC1、C2をロックした状態で、操舵シリンダーC3のピストンロッドP3を進出させると、ブラケット24、25と取り付け足10、11が鉛直軸22、23を中心にして左回転するため、図4のように、前輪W1、W3が左向きに回動し、左に舵をとることができる。
【0032】逆に、図3においてピストンロッドP3を引っ込めると、ブラケット24、25と取り付け足10、11が鉛直軸22、23を中心にして右回転するため、前輪W1、W3が右向きに回動し、右に舵をとることができる。
【0033】次に、左右の可動フレームF1、F3の伸縮機構を説明する。車台1の後方においても、背中合わせに一体化された一対の油圧シリンダーC4、C5が、後部角パイプ8に、ブラケット28を介して取り付けられている。そして、左側の油圧シリンダーC4のピストンロッドP4が、左側の可動フレームF1の縦フレーム3に連結されている。また、右側の油圧シリンダーC5のピストンロッドP5が、右側の可動フレームF2の縦フレーム3に連結されている。
【0034】したがって、いま図3において、操舵シリンダーC3のピストンロッドP3をロックした状態で、前後の左側の油圧シリンダーC1、C4のピストンロッドP1、P4を進出させると、左側の可動フレームF1の横フレーム4、5、6が車台1の角パイプ7、8、9から左側に進出して、図5、図6のように、車幅が左側に広がる。
【0035】同様にして、前後の右側の油圧シリンダーC2、C5のピストンロッドP2、P5を進出させると、右側の可動フレームF2の横フレーム4、5、6が車台1の角パイプ7、8、9から右側に進出して、図5、図6のように、車幅が右側に広がる。
【0036】また、図5、図6のように、左右の可動フレームF1、F2が左右に伸長して車幅が広がった状態において、それぞれの油圧シリンダーのピストンロッドを引っ込めると、それぞれの可動フレームF1、F2の横フレーム4、5、6が車台1の角パイプ7、8、9の中に引っ込んで、左右の車輪の間隔が狭くなる。
【0037】しかしながら、図3において、操舵用のブラケット24、25をフリーにしたままで油圧シリンダーC1、C2のピストンロッドP1、P2を進出させると、図7のように、左側の車輪W1は鉛直軸22を中心にして右向きとなり、右側の車輪W3は鉛直軸23を中心にして左向きとなってしまう。
【0038】このような不都合を防ぐために、図3に示すように、車幅を拡げる前に、ピン29、30をブラケット24、25と左右の可動フレームF1、F2に挿入して、前輪W1、W3が回転できないようにロックする構造にしてある。
【0039】図5のように、車幅が拡がった状態から図3のように狭める場合も同様である。そして、図4のように、車幅が狭まった状態で操舵する場合、あるいは図6のように車幅が拡がった状態で操舵する場合には、予めピン29、30を抜いて、ブラケット24、25が回動可能にしておく。
【0040】可動フレームF1、F2を伸ばしたり、引っ込めたりする際に、車輪が接地していると、接地面から受ける抵抗が大きくて、車輪が移動困難である。そこで、図8のように、左側の可動フレームF1を伸縮させる場合は、アーム17の先端を、車台1の左側の地面に押しつけて、左側の車輪W1、W2を浮き上がらせた状態にすると、可動フレームF1を容易に伸縮できる。逆に、右側の地面に押し当てて、右側の車輪W3、W4を浮き上がらせると、右側の可動フレームF2を伸縮できる。
【0041】なお、可動フレームF1、F2の伸縮動作を緩慢に行なえば、走行中に伸縮させることも可能である。また、左右両方の可動フレームF1、F2が伸縮する構造になっているが、いずれか片方のみが伸縮できる構造とし、駆動用の油圧シリンダーを設けることによって、片方のみに可動フレームを設けることも可能である。その方が、構造を簡素化でき、安価に製造できる。なお、可動フレームの上にパネルを敷けば、荷台面積を拡げることもできる。
【0042】ブラケット24、25から取り付け足10、11に至る部分の構造は実際には図9のようになっている。図9は、図1における右側の前輪W3側を内側から見た分解斜視図であり、取り付け足11の下端に油圧モータM3を固定し、この油圧モータM3を車輪W3の中央の空間に挿入して、該車輪W3と連結してある。このようにして、総ての車輪W1〜W4を油圧モータで回転駆動する構造になっている。
【0043】取り付け足11の上側には、上下2段の軸受け31、32を固定してあり、両軸受け31、32間に、可動フレームF2側に固定されている軸受け33を挿入した状態で、それぞれの軸孔に鉛直軸23を挿入することで、車輪W3が、該鉛直軸23を中心にして回動できる。
【0044】取り付け足11の上端に一体に固定されている水平板状のブラケット25には、油圧シリンダーC2のピストンロッドP2の先端と連結するための鉛直軸27を挿入する連結孔34を開けてある。
【0045】また、可動フレームF2を伸縮させる場合に、車輪W3が回転しないようにロックするための鉛直軸30を挿入するロック孔35を開けてある。一方、可動フレームF2側と一体のブラケットにも、ロック軸30を挿入するための孔36を開けてある。左前の車輪W1側は、図9の構造と左右対称の構造になっていることは言うまでもない。
【0046】なお、車輪間隔を狭めた状態で走行することは少ないので、操舵機構は、車輪間隔を拡げた状態で円滑に走行できるように設計してある。
【0047】図10は後輪W4と右側の可動フレームF2との間の連結構造を示す右側面図である。右側の可動フレームF2の縦フレーム3に対し、水平軸13によって、上下方向に回動するアーム12を後向きに取り付けてあり、該回動アーム12の下端(先端)に取り付けた油圧モータを介して、後輪W4を取り付けてある。
【0048】また、回動アーム12の下端と前記の右側の可動フレームF2との間に圧縮コイルスプリングSを介在させ、その中に油圧シリンダーC6を挿入してある。この油圧シリンダーC6の一端は、可動フレームF2側(または回動アーム12の下端側)に連結し、ピストンロッドP6の先端を回動アーム12の下端(または可動フレームF2側)に連結する。
【0049】このようなサスペンション構造になっているので、油圧シリンダーC6のピストンロッドP6をフリーにしておけば、圧縮コイルスプリングS1に抗して、車輪W4が上昇でき、その結果、車輪W4が走行面の凹凸に追従して上下動でき、安定した走行が可能となり、路面から受ける衝撃も緩和される。
【0050】また、ピストンロッドP6を引っ込めた状態にすると、車台1の後部側の車高を低くできる。本発明の場合、車高を高くしているため、左右の車輪間隔を広くする場合以外は、重心が低くなるように、車高を低くするのが好ましいが、ピストンロッドP6を引っ込めてロックすることで、容易に車高を低くできる。ただし、車台1は後下がりに傾斜する。
【0051】なお、左側の可動フレームF1と左側の後輪W2との間も、同様な構造になっていることは言うまでもない。
【0052】図11から図13は、以上説明した4輪構造の農作物運搬車両の使用形態を説明する図である。サトウキビは、一定間隔の畝に植えられているが、収穫機械の種類に応じて、あるいは機械収穫か手作業による収穫かによって、圃場の畝の間隔が異なる。
【0053】本発明の運搬車両は、前記のように、左右の車輪の間隔を自由に変更できるため、畝の間隔に応じて、図11のように、常に畝と畝の中間に左右の車輪W1・W2、W3・W4が位置して走行できる。そのため、刈り取って畝間に置いてあるサトウキビの束37を把持装置19でつかんで、図12のように持ち上げ、図13のように自身の荷台1aに載せる作業をする場合に、刈り取った後の根株から出ている新芽38を踏みつぶしたりすることなしに、作業できる。
【0054】しかも、通常の車両に使用されているディファレンシャルギア機構を採用せずに、車輪の取り付け足10、11によって、車台1の高さを車輪W1〜W4の高さよりも高くしているため、伸びた新芽38を折ったりすることなしに走行できる。その結果、新芽がそのまま成長することで、翌年の収穫量の増大が見込める。なお、後述するクローラー式の場合も含めて、地面から車台1や可動フレームF1、F2までの車高は、80cmから100cm程度が適している。
【0055】このように、農作物の運搬作業時には、畝の間隔に合わせて、左右の車輪の間隔を拡げて走行するが、トラックなどに載せて移動したりする際には、可動フレームF1、F2を引っ込めて、車輪間隔を狭めた状態にする。そして、車輪間隔を狭めた状態では、図10で説明したように、サスペンション部の油圧シリンダーC6のピストンロッドP6を引っ込めた状態でロックするので、サスペンション側の車高を低くでき、安定性が増す。
【0056】以上、4輪構造の農作物運搬車両を例示したが、ゴムや合成樹脂製のエンドレスのクローラー構造にも本発明の思想を適用できる。図14はクローラー構造の運搬車両の正面図であり、左右のクローラー39、40が、新芽38の生えていない畝間を走行しながら、刈り取ったサトウキビの束37を把持装置19でつかみ上げて、図15に右側面図で示すように、車台1の荷台部1aに積み込むことができる。
【0057】クローラー構造の場合も、左右の可動フレームF1、F2が、車台1に対し左右に伸縮できることは、4輪構造の場合と同じであるが、左右の可動フレームF1、F2と左右のクローラー機構39、40との連結構造が異なる。
【0058】図16は、車台1と左右の可動フレームF1、F2との関係を示す斜視図である。車台1において、前後と中間に角パイプ7、8、9を有しており、これらの角パイプ7、8、9中に、左右から、左右の可動フレームF1、F2の各角パイプ4、5、6の先端側が挿入されている。したがって、4輪構造の場合と全く同様に、左右の可動フレームF1、F2を左右に伸縮できる。
【0059】図17に示すように、左右の可動フレームF1、F2には、前後と中間に嵩上げ用の足41、42、43が垂下固定してあって、これらの足41、42、43の下端が、左右のクローラーの本体フレームに連結固定される。なお、足41、42、43と縦フレーム3の外側面には、可動フレームF1、F2や足41、42、43の変形防止のために、E字状の鋼板44を重ねて固定する。
【0060】図18は、クローラー構造の車両の正面図であり、クローラー駆動部のみ断面図で示してある。前記の足41、42、43は、クローラー39、40のフレーム本体45、46と連結固定されている。そして、図19のように、フレーム本体45、46の後端側に、油圧モータで回転する駆動輪47が支持され、クローラー39、40を回転させて走行する。クローラー39、40の前端は、フリーのホイール48で支持されている。
【0061】操縦部2を搭載したり荷台となる車台1の各パイプから、左右の可動フレームF1、F2を左右方向に伸縮させるために、一対の油圧シリンダーC1、C2を車台1側に固定してあって、それぞれのピストンロッドP1、P2の先端が、左右の可動フレームF1、F2に連結されている。図示例のように、左右の可動フレームF1、F2と一体の中間の足43、43に連結してもよい。あるいは、4輪駆動の場合と同様に、前後に2本ずつ油圧シリンダーを設けて、可動フレームF1、F2の前後を駆動して、伸縮させてもよい。
【0062】このように、左右の可動フレームF1、F2と左右のクローラー39、40の本体フレーム45、46とが足41、42、43を介して連結されており、可動フレームF1、F2が油圧シリンダーC1、C2のピストンロッドP1、P2で伸縮駆動されるため、左右のクローラー39、40の位置が圃場の畝間に位置するように調節することができる。
【0063】左右のクローラー39、40の間隔を拡げたり、狭めたりする操作は、走行中に行ってもよく、図8のようにして、揺動アーム17の先端を地面に押し当てて、伸縮させる側のクローラーを浮き上がらせて行なうこともできる。
【0064】また、車台1や可動フレームF1、F2の車高を高くするために、4輪駆動の場合と同様に、足41、42、43を高くしているので、すでに伸びている新芽を押し倒す恐れが少ない。なお、クローラー式の場合は、操舵機構を要しないので、必ずしも一対の油圧シリンダーを背中合わせに連結する必要はない。
【0065】図示の実施形態では、把持装置によってサトウキビの束を把持して自身の荷台に積み込むようになっているが、サトウキビの束の下に吊り上げ用のワイヤーが敷かれている場合は、揺動アーム17の先端にフックを設けておき、フックをワイヤー両端のリングに引っかけることによって、サトウキビ束を吊り上げて荷台に積み込むこともできる。
【0066】把持装置19を、サトウキビの刈り取り用カッターと交換すれば、1台の機械で、サトウキビの刈り取りから運搬まで可能となる。なお、把持装置をバケットと交換すれば、ショベル作業もできる。
【0067】
【発明の効果】請求項1によると、走行手段と連結された可動フレームが車台に対し車幅方向に伸縮できるため、圃場の畝の間隔に合わせて、左右の走行手段の間隔を変更できる。その結果、収穫後に残っている古株から出た新芽を損傷することなく、収収穫した農作物を運搬できる。
【0068】請求項2によると、車輪やクローラーなどの走行手段を油圧モータで駆動して走行するので、すでに生えている新芽などの障害となるディファレンシャルギア機構を省くことができる。また、嵩上げ用の足によって、可動フレームや車台の高さを高くしてあるので、走行時に、車台や可動フレームが、すでにある程度成長した高い新芽を押し倒したりする恐れがない。
【0069】請求項3によると、車台に荷台部と旋回可能な操縦部を有しているので、収穫したサトウキビなどを直ちに、旋回可能なブームを操作することで、自身の荷台に積み込むことができ、一人で収穫・運搬作業ができる。
【0070】請求項4によると、車輪の向きを変えるための鉛直軸に対し車輪とは反対側の位置同士が、背中合わせの油圧シリンダー対で連結され、該油圧シリンダー対が別の油圧シリンダーで左右方向に駆動される構造なため、簡素な構造で、操舵機構を実現できる。
【0071】請求項5によると、操舵側の車輪とは反対側の車輪が、上下回動アームに支持されていて、スプリングに抗して上下に移動可能なため、走行路面が平坦でない場合でも、各車輪がより確実に路面と接し、安定走行できる。また、圧縮コイルスプリング中において、車輪側と可動フレームとの間を連結している油圧シリンダーのピストンロッドを引っ込めた状態にロックしておくと、車高を低くでき、農作物の運搬作業以外の際に、より安定させることができる。
【出願人】 【識別番号】599048960
【氏名又は名称】屋宜 宣昌
【出願日】 平成11年3月6日(1999.3.6)
【代理人】 【識別番号】100076082
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 康文
【公開番号】 特開2000−253736(P2000−253736A)
【公開日】 平成12年9月19日(2000.9.19)
【出願番号】 特願平11−103096