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【発明の名称】 コンバイン等の刈取変速装置
【発明者】 【氏名】飯泉 清

【氏名】西崎 宏

【氏名】吉邨 文夫

【氏名】高木 真吾

【要約】 【課題】コンバインの刈取作業時に、引起し速度を標準モードから倒伏モードへ切り替えると共に、車速を中速から低速へ変速したときは、この変速に伴って引起し速度が遅くなり引起し性能が低下する。

【解決手段】走行用変速装置1から刈取装置2の引起部3へ動力を伝達する経路に車速の遅速に応じて引起し速度を変速させる無段変速装置4と、未刈穀稈の立毛姿勢に応じて標準モードS及び倒伏モードD等複数の引起し速度を設定するモード切替手段5とを設けると共に、作業時に中速M及び低速L等2段以上の車速の設定を行うものにおいて、該倒伏モードDへの切り替え時に車速に対する引起し速度の比率が、該中速M時よりも低速L時の方が大となるよう制御を行うことを特徴とするコンバイン等の刈取変速装置の構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行用変速装置1から刈取装置2の引起部3へ動力を伝達する経路に車速の遅速に応じて引起し速度を変速させる無段変速装置4と、未刈穀稈の立毛姿勢に応じて標準モードS及び倒伏モードD等複数の引起し速度を設定するモード切替手段5とを設けると共に、作業時に中速M及び低速L等2段以上の車速の設定を行うものにおいて、該倒伏モードDへの切り替え時に車速に対する引起し速度の比率が、該中速M時よりも低速L時の方が大となるよう制御を行うことを特徴とするコンバイン等の刈取変速装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンバイン等の刈取変速装置に関し、未刈穀稈の条件に応じて複数の引起し速度に変速を可能にすると共に、この引起し速度を車速の検出値に対して変速させるもの等の分野に属する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】コンバイン等の刈取作業時に、車速に対し刈取装置の引起部の速度を無段変速装置によりシンクロ変速させるものにおいて、従来では、未刈穀稈の立毛姿勢に応じて標準モード及び倒伏モード等を設定し、この倒伏モードにおける引起し速度を車速に応じて各々標準モードより高速として、倒伏状態の穀稈に対する引起し性能を確保するようにしていた。
【0003】しかし、この倒伏モードにより倒伏穀稈を引起す際に、車速を中速から低速に変速したときは、引起し速度もこれに伴って遅くなるため、倒伏穀稈を拾い上げる引起し作用が的確に行えないという不具合があった。そこでこの発明は、コンバインの刈取作業時に、引起し速度を標準モードから倒伏モードへ切り替えたときは、車速に対する引起し速度の比率を、車速が中速のときより低速のときを大とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、走行用変速装置1から刈取装置2の引起部3へ動力を伝達する経路に車速の遅速に応じて引起し速度を変速させる無段変速装置4と、未刈穀稈の立毛姿勢に応じて標準モードS及び倒伏モードD等複数の引起し速度を設定するモード切替手段5とを設けると共に、作業時に中速M及び低速L等2段以上の車速の設定を行うものにおいて、該倒伏モードDへの切り替え時に車速に対する引起し速度の比率が、該中速M時よりも低速L時の方が大となるよう制御を行うことを特徴とするコンバイン等の刈取変速装置の構成とする。
【0005】
【作用】上記の構成により、コンバイン等の刈取作業時に、引起部3の引起し速度を車速の検出値によって、例えば、ベルト式の無段変速装置4によりシンクロ変速させると共に、引起しモードを、未刈穀稈の立毛姿勢として倒伏状態が小さいときは標準モードSとして普通の引起し速度に、倒伏状態が大きいときは倒伏モードDとして標準モードSより速い引起し速度に設定しているが、この倒伏モードDにおいて、車速を走行用変速装置1により中速Mから低速Lに変速したときは引起し速度も遅くなって引起し性能が低下するため、中速M時よりも低速L時における車速に対する引起し速度の比率を大きくすることにより、車速が低速Lとなっても引起し速度は余り低下することがないから、引起し性能を良好に保持させることができる。
【0006】なお、引起しモードとしては標準モードS及び倒伏モードD以外にも設定可能であり、車速としても中速M及び低速L以外にも設定可能である。
【0007】
【発明の効果】上記作用の如く、引起部3の引起し速度を車速に対し無段変速装置4によりシンクロ変速させると共に、引起しモードを未刈穀稈の立毛姿勢により標準モードSと倒伏モードDに設定するものにおいて、この引起しモードを倒伏モードDに切り替えているときに車速を低速Lに変速したときは、中速Mに変速したときよりも車速に対する引起し速度の比率を大きくすることにより、車速が低速Lとなっても引起し速度が余り低下することがないから、従来の如く、引起し速度が遅くなって引起し性能が低下し、倒伏穀稈に対する引起し作用が充分に行えないという不具合もなく、引起し性能を良好に保持して引起し作用を的確に行わせることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。図16はコンバインの全体構成を示すもので、車台6の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ7を有する走行装置8を配設すると共に、車台6上にはフィードチェン9に挟持搬送して供給される穀稈の脱穀を行い、この脱穀された穀粒を選別回収して一時貯留するグレンタンク10と、この貯留した穀粒を機外へ排出する排穀オーガ11とを備えた脱穀装置12を載置構成している。
【0009】なお、該フィードチェン9の奥側に隣接して、供給穀稈が極短稈のときは供給入口部のみ挟持し、以後は解放する脱穀短稈チェン9aを配置させる。該脱穀装置12の前方に、前端側から未刈穀稈を分草する分草体13と、分草された穀稈を引き起こす引起部3と、引き起こされた穀稈を刈り取る刈刃部14と、この刈り取られた穀稈を掻き込むと共に搬送途上において扱深さを調節する搬送調節部15と、この搬送調節部15から穀稈を引き継いで該フィードチェン9又は脱穀短稈チェン9aへ受け渡しする搬送供給部16とを有する刈取装置2を、油圧駆動による刈取昇降シリンダ17により土壌面に対して昇降自在に該車台6の前端部へ懸架構成している。
【0010】該刈取装置2の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置18と、この操作のための操作席19を設け、この操作席19の後方側に前記グレンタンク10を配置し、その下方側にエンジン20を搭載すると共に、操作装置18と操作席19とを覆うキャビン21を設けて構成させる。これら刈取装置2,走行装置8,脱穀装置12,操作装置18,エンジン20,キャビン21等によってコンバインの車体22を構成している。
【0011】図7,図8,図9に示す如く、該刈取装置2は、前記車台6の前端部に装架した刈取架台23のメタル部に、刈取入力ケース24を回動自在に支承して設け、この入力ケース24に、刈取入力プ−リ25を一端部に軸止した刈取入力軸26を内装軸支すると共に、刈取入力ケース24から下方側に向けパイプ状の刈取主フレーム27を延長接合し、刈取入力軸26と、該主フレーム27に内装した刈取主軸28とをべベルギヤを介して連動連結して構成させる。
【0012】該刈取主フレーム27と、刈取装置2の下部にその全幅に亘って設けた下部横伝動ケ−ス29とを接合し、該刈取主軸28と、下部横伝動ケ−ス29に内装した下部横軸30とをべベルギヤを介して連動連結すると共に、下部横伝動ケ−ス29の左端部近傍から前方斜上方へ向けて中間縦フレーム31を延設し、下部横軸30と、中間縦フレーム31に内装した中間縦軸32とをべベルギヤを介して連動連結して構成させる。
【0013】該中間縦フレーム31と、刈取装置2の上部にその全幅に亘って設けた上部横伝動ケ−ス33とを変速ケース34を介して接合し、この変速ケース34に、引起し速度を標準モードSと倒伏モードDの2段に切り替える変速ギヤを内装したモード切替装置35を形成して構成させる。該モード切替装置35の前段に、引起し速度を車速の検出値によってシンクロ変速させるベルト式無段変速装置4を配置し、該中間縦軸32から各々べベルギヤを介して上部横伝動ケ−ス33に内装した上部横軸36の左端部に連動連結すると共に、引起し速度を検出する引起し速センサ4aを配置して構成させる。
【0014】該上部横伝動ケ−ス33に接合した、中央の1条と左右側の各2条による5条列の未刈穀稈を引き起す前記引起部3に対応する5本の引起駆動ケ−ス37を下方へ向け突設し、該上部横軸36と、引起駆動ケ−ス37に内装した各引起駆動軸38とを各々べベルギヤを介して連動連結すると共に、各引起駆動軸38と、引起ラグ39aを取り付けた引起チェン39bを駆動する引起スプロケット39を軸止した引起軸40とをべベルギヤを介して各々連動連結して構成させる。
【0015】前記各分草体13の後方側に刈り取った穀稈の株元側を掻き込む左一対・中・右一対の各掻込ラグベルト41と、この各掻込ラグベルト41により掻き込んだ穀稈を、更に掻き込む各掻込スターホイル42(a,b,c)を配設し、この各掻込スターホイル42から逆八字状に配設した左・中・右の各株元搬送チェン43(a,b,c)を経て、その合流部から搬送穀稈の扱深さを深・浅に調節する扱深さ調節チェン44に引き継ぎ連動連結して構成させる。
【0016】該扱深さ調節チェン44を、その前端部を支点として扱深さ調節モータ45の駆動により上下揺動可能に配設すると共に、該各株元搬送チェン43(a,b,c)及び扱深さ調節チェン44の上方側に、穀稈の株元側に対応して各々その穂先側を搬送させる左・中・右の各穂先搬送ラグ46(a,b,c)を配設して前記搬送調節部15を構成させる。
【0017】該扱深さ調節チェン44から引き継いで前記脱穀装置12へ供給する穀稈を、その稈長に応じ通常では標準状態としてフィードチェン9側へ、また畦際刈り等においては極短稈状態として脱穀短稈チェン9a側へ、供給調節モータ47の駆動により各々供給位置を変更する搬送供給チェン48を、前記刈取入力軸26にべベルギヤを介して連動連結する供給駆動軸49を中心として、略三角形状に配設して前記搬送供給部16を構成させる。
【0018】未刈穀稈を刈り取る刈刃部14を、前記各掻込スターホイル42の下方側で各分草体13を支持する分草杆13aを固着した下部フレーム50に、刈取装置2の全幅に亘り左右に分割して配設し、該下部フレーム50を前記下部横伝動ケース29に接合すると共に、左右の刈刃部14を前記下部横軸30の両端部へ各々軸止した左右のクランク機構により左右往復動可能に構成させる。
【0019】図10に示す如く、前記右穂先搬送ラグ46cの後部側位置において、搬送穀稈の稈長による扱深さ位置を穂先側検出杆51a及び株元側検出杆51bのON・OFFによって検出する扱深さ検出センサ51と、前記扱深さ調節チェン44の扱深さ調節位置を扱深さ調節モータ45に設けたポテンショメータ等の回動角度により検出する扱深さ位置センサ52とを各々配置して構成させる。
【0020】該刈取装置2の昇降位置を、前記刈取架台23のメタル部近傍位置においてポテンショメータ等の回動角度により検出する刈高さセンサ53と、前記引起部3の上部位置近傍において刈取り穀稈の稈長の長・短をON・OFF検出する稈長センサ54とを各々配置して構成させる。前記搬送調節部15の左右の掻込ラグベルト41の各前端位置近傍において搬送穀稈の有無をON・OFF検出する左右の穀稈センサ前55と、前記搬送供給チェン48の前端部位置近傍において搬送穀稈の有無をON・OFF検出する穀稈センサ後56とを各々配置して構成させる。
【0021】該刈取装置2の引起部3の速度を、未刈穀稈の立毛姿勢に応じてモード切替装置35により標準モードS又は倒伏モードDに切り替えるモード切替手段としてのモード切替スイッチ5と、該脱穀装置12へ供給する搬送穀稈の扱深さ制御を入・切する扱深さ制御スイッチ57と、畦際刈り時に極短稈を稈長センサ54によって検出したときは扱深さ調節チェン44を自動的に深扱ぎ側へ調節すると共に、搬送供給チェン48を脱穀短稈チェン9a側にスライド調節する畦際制御スイッチ58とを各々配置して構成させる。
【0022】図11に示す如く、CPUを主体的に配して自動回路の演算制御を行わせるコントローラ59を設け、このコントローラ59の入力側へ、入力インタフェース59aを介して前記引起し速センサ4a,扱深さ検出センサ51,扱深さ位置センサ52,刈高さセンサ53,稈長センサ54,左右の穀稈センサ前55,穀稈センサ後56,モード切替スイッチ5,扱深さ制御スイッチ57,畦際制御スイッチ58等を各々接続して構成させる。
【0023】該コントローラ59の出力側へ、出力インタフェース59bを介して前記扱深さ調節モータ45を深扱ぎ側へ駆動させる深扱ぎ調節リレー60a及び浅扱ぎ側へ駆動させる浅扱ぎ調節リレー60bと、前記供給調節モータ47を脱穀短稈チェン9a側へ駆動させる供給調節リレー61とを各々接続して構成させる。図12に示す如く、走行用変速装置としての走行ミッションケース1のギヤ伝動機構として、第1軸としての入力軸62に、車速を切り替える低速駆動ギヤ63と中速駆動ギヤ64を各々軸回転させ、この両駆動ギヤ63,64と各々常時噛合する低速ギヤ65と中速ギヤ66を、第2軸としての変速軸67に各々軸遊転させると共に、その中間位置に、該両ギヤ65,66を切り替え噛合接続させる軸回転の爪クラッチ68を左右摺動可能に配置して副変速を構成させる。
【0024】該変速軸67に軸回転する変速伝動ギヤ69と噛合連動する二連の変速中間ギヤ70を、第3軸としての変速中間軸71に軸回転し、変速中間ギヤ70と噛合連動する二連の操向センタギヤ72を、第4A軸としての操向軸73に軸回転して構成させる。該操向軸73に軸回転する操向センタギヤ72の両側に左右の操向ギヤ74を軸遊転し、この左右の操向ギヤ74の各外側面に接して、バネと油圧等の加圧力により入り作用させる左右の操向クラッチ75と、この操向クラッチ75の切りによって制動力を作用させる左右の走行ブレーキ76とを各々連接軸止し、これらの作用により左右側へのブレーキ旋回を行わせる構成とする。
【0025】前記二連の変速中間ギヤ70の片方の小径ギヤ70aと噛み合うマイルド旋回ギヤ77と、該二連の操向センタギヤ72の片方の小径ギヤ72aと噛み合うスピン旋回ギヤ78とを、第4B軸としての旋回切替軸79の左右側に各々軸遊転させると共に、このマイルド旋回ギヤ77とスピン旋回ギヤ78との間に、この両ギヤ77,78を切り替えて各々軸回転させる外周にギヤを設けたクラッチとしての旋回切替ギヤ80を、左右摺動により各々噛合接続可能に構成させる。
【0026】該旋回切替ギヤ80の外周ギヤと噛合連動する旋回センタギヤ81を、第5軸としての旋回軸82に軸回転させると共に、旋回センタギヤ81の左右側面に接して、前記左右の操向ギヤ74と各々噛合連動する左右の二連の操向従動ギヤ83を軸遊転し、この左右の操向従動ギヤ83の各外側面に接して、該ギヤ83を油圧等の作用により軸回転させる左右の旋回クラッチ84を連接軸止し、これらの作用により左右側へのマイルド旋回及びスピン旋回を行わせる構成とする。
【0027】該左右の二連の操向従動ギヤ83の片方の各小径ギヤ83aと各々噛合連動する左右の減速ギヤ大85を、左右両側に設ける第6軸としての左右の減速軸86の一端部に各々軸止すると共に、その他端部に左右の減速ギヤ小87を各々軸止して設け、この減速ギヤ小87と各々噛合連動する左右の車軸ギヤ88を、第7軸としての左右の車軸89の一端部に各々軸止すると共に、その他端部に各々軸止した左右の駆動輪90により走行クローラ7を駆動させる構成とする。
【0028】前記操作装置18の一側に、車体22の前・後進の切り替えと車速の変速を行うと共に、把手部に前記モード切替スイッチ5を設けた主変速レバー91と、副変速の切り替えを行う副変速レバー92と、左右の舵取り操向と旋回を制御するパワステレバー93とを各々配置し、前記ミッションケース1の外壁に、変速軸67の一端部と係合して車速を検出する車速センサ94を装着すると共に、この車速センサ94を前記コントローラ59の入力側へ接続して構成させる。
【0029】分草体13を土壌面に近接させ、走行装置8によって車体22を前進させ刈取装置2により未刈穀稈の刈り取りを行うが、この刈り取り時に中央の1条と左右側の各2条の穀稈5条列を左・中・右の各引起部3により引き起し作用を行うと同時に、左・中・右の各掻込ラグベルト41によって株元側を掻き込み、この掻き込まれた株元側を各掻込スターホイル42によって挟持すると同時に刈刃部14によって刈り取りを行う。
【0030】この刈り取られた穀稈の株元側を、左・中・右の各株元集送部の株元搬送チェン43により集送合流させ、この合流部から扱深さ調節チェン44を経て搬送供給チェン48へ引き継いで、扱深さの調節を行いながら脱穀装置12へ搬送供給させると共に、穂先側を左・中・右の各穂先集送部の穂先搬送ラグ46により集送して右穂先搬送ラグ46cの中間位置に合流させ、この合流部から更に右穂先搬送ラグ46cによって脱穀装置12へ搬送供給させる。
【0031】この穀稈が脱穀装置12へ搬送供給されるとき、先ず搬送調節部15における扱深さ検出センサ51の検出値によって、穀稈の稈長に応じ扱深さ調節モータ45を駆動して扱深さ調節チェン44を適正扱深さに調節を行わせるが、更に、稈長センサ54により極短稈が検出されたときは、搬送供給部16において供給調節モータ47を駆動して、搬送供給チェン48を脱穀短稈チェン9a側へスライド調節させる。
【0032】このような刈取装置2における刈取作用時に、車速センサ94により車速を検出して車速に対する引起し速度を無段変速装置4によりシンクロ変速させると共に、モード切替スイッチ5により標準モードSから倒伏モードDへの切り替えを行う。この倒伏モードDにおいて、図1の線図に示す如く、車速が低速Lのときの引起し速度/車速の比率を、中速Mのときの引起し速度/車速の比率より大とすることにより、車速が中速Mから低速Lとなっても引起し速度は余り低下しないから、引起し性能を良好に保持して引起し作用を的確に行わせることができる。
【0033】なお、引起しモードが標準モードS及び倒伏モードDの何れのときも、車速が中速M及び低速Lにおいて、引起し速度を高速側において一定の上限ラインZを設けて規制することにより、騒音や脱粒ロスを改善することができる。また、前記の如く、車速を検出する車速センサ94と引起し速度を検出する引起し速センサ4aを有し、車速の検出値に応じて無段変速装置4により無段変速する引起し速度を、標準モードS及び倒伏モードDの2段に切り替え設定すると共に、車速の変速を低速L,中速M,高速Hの複数段に設定するものにおいて、図2の線図に示す如く、車速の段数に拘らず標準モードSと倒伏モードDを各々2系統のプログラムとし、無段変速装置4の機械的制限により各変速ラインを達成させるよう制御を行わせる。
【0034】このように、標準モードSと倒伏モードDの各プログラムが2系統の単純なものであるから、車速の変速毎にプログラムを切り替える必要がなく不具合を少なくすることができると共に、車速の変速を識別するセンサ等を用いずとも、対応する引起し速度を選択することができるから、信頼性が向上する。また、前記の如く、車速を検出する車速センサ94と引起し速度を検出する引起し速センサ4aを有し、車速の検出値に応じて無段変速装置4により無段変速する引起し速度を、複数の引起しモードに設定すると共に、車速の変速を少なくとも中速M,高速Hの複数段に設定するものにおいて、図3の線図に示す如く、中速Mの設定上の上限速に対応する引起し速度を、中速Mの上限速が所定量αを越えたラインまでは引起し速度をシンクロ増速させ、それ以上の車速に対しては引起し速度を一定のレベルに保持させるよう制御を行わせる。
【0035】このように、車速の設定上限速プラスαを考慮して引起し速度の制御ラインを決めることにより、従来から、エンジンでは定格値より上方に余裕をもたせているものが多く、この定格値(設定上限速)より上方を考慮していないときに、例えば、中速Mの定格値を越える車速において引起し速度が暴走するような現象を防止できるから、安定した刈取作業が可能になると共に、振動,騒音,耐久性の面から有利となる。(所定量αは、例えば10パーセント程度とする)
また、前記の如く、車速を検出する車速センサ94と引起し速度を検出する引起し速センサ4aを有し、車速の検出値に応じて無段変速装置4により無段変速する引起し速度を、複数の引起しモードに設定すると共に、車速を低速L,中速M等の複数段に設定し、図4に示す如く、各変速段を検出する変速スイッチ95を有するものにおいて、該図1の線図に示す如く、該引起しモードと変速段の組合せに応じて、車速が低速Lのとき程引起し速度/車速の比率を大とするプログラムラインに変更させるよう制御を行わせる。
【0036】このように、車速の低速L,中速Mを的確に検出し、この検出に応じた制御ラインを実行可能であるため、機械的に規制を行う方式に比べ、機械部が故障しても暴走等が起こり難く、安定した引起し速度を得ることができる。また、刈取装置2において、前記搬送調節部15における左右の掻込スターホイル42a,42cから逆八字状に配設した左右の株元搬送チェン43a,43cの合流下部に、扱深さ調節チェン44の始端部を設けると共にその終端部を、前記搬送供給部16における搬送供給チェン48の下部に配置しているが、この扱深さ調節チェン44を、図5に示す如く、背面視において、該左右の株元搬送チェン43a,43cと搬送供給チェン48とによって各々形成される角度θ1及びθ2の位置に配置して構成させる。
【0037】このような構成により、刈取装置2を搬送される穀稈を、該株元搬送チェン43から扱深さ調節チェン44へ引き継ぐことによってやや傾斜させ、更に扱深さ調節チェン44から搬送供給チェン48へ引き継ぐことによって深く傾斜させる形態とすることにより、穀稈の引き継ぎ変更を利用して徐々に姿勢を傾斜させて該脱穀装置12のフィードチェン9への受け渡しが可能となるから、無理がなく乱れの少ない穀稈搬送を行うことができる。
【0038】また、刈取装置2において、図6に示す如く、前記刈取架台23の刈取入力ケース24に軸支した刈取入力軸26に軸止する刈取入力プーリ25と、前記走行ミッションケース1の入力軸62に軸止する刈取駆動プーリ96との間に、刈取ベルト97をクラッチ用テンションプーリ98により入・切自在に設け、刈取装置2の昇降作用に応じて自動的に該プーリ98を切・入作用可能とする。
【0039】該刈取駆動プーリ96の外周にベルトストッパ99を設けると共に、該刈取架台23の側面部に、該クラッチ用テンションプーリ98の切り時に刈取ベルト97を保持するベルト保持部材100を配設する。このように、該クラッチ用テンションプーリ98の切り時に、刈取ベルト97を簡単なベルト保持部材100によって保持することにより、従来の如く、刈取入力プーリ25側に刈取ベルト97を規制する部材がないための付き回りを防止することができる。なお、別の手段として、刈取入力プーリ25側にプーリ外周を囲むベルトストッパを設けてもよいが、この場合には形状が大きくなり精度的にもコスト的にも不利となる。
【0040】また、前記走行装置8における車体水平制御としてのピッチング及びローリング制御と、車体22を上昇させる昇降制御の構成を左右対称につき片側についてのみ説明する。図13に示す如く、前記車台6の前側下面部に固定したローリングメタル101に前部ローリングアーム102aの中間部を軸支し、後側下面部に固定したピッチングメタル103にピッチングアーム104の一端部を軸支すると共に、その中間部と、平面視H字状の連結アーム105の一端部とをピン連結して構成させる。
【0041】該連結アーム105の他端部に後部ローリングアーム102bの中間部を軸支すると共に、前部及び後部ローリングアーム102a,102bの下端部を、前記走行クローラ7を支持するクローラフレーム106の前部及び後部側にピン連結し、該ピッチングアーム104の上端部を、該車台6の上面に設けた油圧駆動による単一のピッチングシリンダ107のピストン先端部にピン連結して構成させる。
【0042】該前部ローリングアーム102aの上端部と後部ローリングアーム102bの中間部を連結杆108によって連結すると共に、後部ローリングアーム102bの上端部を、該車台6の下面近傍に設けた油圧駆動によるローリングシリンダ109のピストン先端部にピン連結する。該クローラフレーム106に設けた後部転輪110,複数個の接地転輪111,前記走行ミッションケース1から延出した車軸89に軸止した駆動輪90に走行クローラ7を張設して構成させる。
【0043】このような構成により、該ピッチングアーム104及び後部ローリングアーム102bとピッチングシリンダ107の作用によりピッチング制御を、該前部及び後部ローリングアーム102a,102bとローリングシリンダ109の作用によりローリング制御を各々行わせる。該前部及び後部ローリングアーム102a,102bを、ローリングシリンダ109により同時に下方回動させることにより、相対的に車体22を上昇させこの車高位置を検出する手段としてローリングアーム102のストロークを検出するストロークセンサ112を設けて構成させる。
【0044】畦際等において高刈りを行う畦際刈り時に、穀稈の極短稈を前記稈長センサ54により検出したときは、前記扱深さ調節チェン44を所定量深扱ぎ側へ調節を行うと共に、図14に示す如く、刈高さを検出する前記刈高センサ53による高刈りの刈高さ基準値βの位置を、車高位置が高位置のときは前記車台6に対して低くし、車高位置が低位置のときは車台6に対して高くする変更制御可能に構成させる。
【0045】このように、車高位置の高・低によって刈高さ基準値βの位置を該車台6に対して変更することにより、従来の如く、車高位置が、例えば低位置のときに刈高さ基準値βを設定しているものでは、車高位置が高位置のときはより高刈りとなり、該扱深さ調節チェン44の調節範囲を逸脱して浅扱ぎとなり扱残りが発生する恐れがあったものを、車高位置の如何に拘らず刈高さ基準値βの位置を均一に保持させることができるから、適正な畦際刈り制御を行うことができる。
【0046】また、湿田状態における作業時に、湿田スイッチ113をONしたときに、前記主変速レバー91の後進操作の検出により、該ピッチングシリンダ107を作動させて車体22の前部を上昇させる後傾作用と、刈取装置2の一定の上昇位置を該刈高センサ53により検出したときに、刈取装置2と前記フィードチェン9の作動を停止させるものにおいて、図15に示す如く、湿田スイッチ113のON時とOFF時によって、該刈高センサ53の刈高さ基準値γを該車台6に対して変更制御可能に構成させる。
【0047】このように、湿田において、湿田スイッチ113のON,OFFにより変化する刈高さ位置に応じて、刈高さ基準値γを該車台6に対して変更できることにより、従来の如く、車体22が沈下し土壌面に対し刈高さ位置が低いときでも同じ刈高さ基準値γによって刈り取りが行われるときは、刈取作用が阻害される恐れがあったものを、湿田スイッチ113のON操作により、車体22の制御と同時に刈高さ基準値γを車台6に対して変更し、刈高さを均一に保持させることかできるから、単一の操作により必要な機能を達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成11年3月9日(1999.3.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−253731(P2000−253731A)
【公開日】 平成12年9月19日(2000.9.19)
【出願番号】 特願平11−61830