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【発明の名称】 コンバイン等の刈取変速装置
【発明者】 【氏名】藤田 靖

【氏名】西崎 宏

【氏名】平山 秀孝

【要約】 【課題】コンバイン等の作業時に、車速に対してシンクロ変速する刈取回転数を作業条件に応じて高速レベルと低速レベルに設定するものにおいて、この両レベル間の領域における希望の変速レベルの設定が作業条件上必要であると共に、車速が速くなったとき刈取回転数が高速回転となることを防止する。

【解決手段】車速に対し無段変速手段1によりシンクロ変速させる刈取回転数を高速レベルaと低速レベルbに切り替え設定可能なコンバイン等において、この刈取回転数の上限を規制する上限ラインcを設定すると共に、この上限ラインcに規制される高速レベルaと低速レベルb間の領域Zにおいて、手動スイッチ2により希望の変速レベルdを設定可能としたことを特徴とする刈取変速装置の構成とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】車速に対し無段変速手段1によりシンクロ変速させる刈取回転数を高速レベルaと低速レベルbに切り替え設定可能なコンバイン等において、この刈取回転数の上限を規制する上限ラインcを設定すると共に、この上限ラインcに規制される高速レベルaと低速レベルb間の領域Zにおいて、手動スイッチ2により希望の変速レベルdを設定可能としたことを特徴とする刈取変速装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、コンバイン等の刈取変速装置に関し、車速に対し無段変速手段により刈取回転数をシンクロ変速すると共に、このシンクロ変速を高速レベルと低速レベルとに切り替え設定可能なもの等の分野に属する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】コンバイン等における刈取作業時に、従来では、未刈穀稈の条件により無段変速手段によって車速に対しシンクロ変速させる刈取回転数を、高速レベルと低速レベルの2種類のレベルに切り替え設定を行うものにおいて、例えば、未刈穀稈が倒伏しているときは、通常では、引き起こしの性能上高速レベル側に切り替え設定を行うが、この設定により脱粒等が多くなって若干回転数を低下させたいと希望しても変速できないという難点があった。このような難点と共に、シンクロ変速による刈取回転数を高速レベル側に切り替えている状態において、車速が速くなったときは刈取回転数が高速回転となるため破損を起こし易く、耐久性が阻害されるという恐れがあった。
【0003】そこでこの発明は、車速に対してシンクロ変速する刈取回転数の上限を規制すると共に、この上限ラインに規制される高速及び低速レベル間の領域に適宜の変速レベルを設定する。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、車速に対し無段変速手段1によりシンクロ変速させる刈取回転数を高速レベルaと低速レベルbに切り替え設定可能なコンバイン等において、この刈取回転数の上限を規制する上限ラインcを設定すると共に、この上限ラインcに規制される高速レベルaと低速レベルb間の領域Zにおいて、手動スイッチ2により希望の変速レベルdを設定可能としたことを特徴とする刈取変速装置の構成とする。
【0005】
【作用】上記の構成により、コンバイン等における刈取作業時に、無段変速手段1としてのベルト式無段変速装置等により刈取回転数を車速に対しシンクロ変速し、このシンクロ変速による刈取回転数を、例えば、未刈穀稈が倒伏状態のときは高速レベルaに、通常状態のときは低速レベルbに各々切り替えを行い、この両レベルa,bにおける上限ラインcを設定し、この上限ラインcに規制される高速レベルaと低速レベルb間の領域Zにおいて、未刈穀稈の条件が、例えば、倒伏状態であり高速レベルaで対応させるなため脱粒等が多く若干回転数を低下させたいときは、手動スイッチ2により希望の変速レベルdを設定して適正な刈取回転数を選択することができると共に、該上限ラインcの設定により車速が高速になっても、刈取回転数が異常に高速回転となることを規制することができる。
【0006】
【発明の効果】上記作用の如く、無段変速手段1により車速に対しシンクロ変速させる刈取回転数を高速レベルaと低速レベルbに各々切り替えを行い、この両レベルa,b間の領域Zにおいて手動スイッチ2により希望の変速レベルdの設定を可能にすることにより、未刈穀稈の条件に応じ適正な刈取回転数を選択することができるから適応範囲の拡大に効果があると共に、該高速及び低速レベルa,bにおける上限ラインcの設定により、車速が高速になっても刈取回転数が異常に高速回転となること規制して、破損の防止や耐久性の向上に効果がある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。図14はコンバインの全体構成を示すもので、車台3の下部側に土壌面を走行する左右一対の走行クローラ4を有する走行装置5を配設すると共に、車台3上にはフィードチェン6に挟持搬送して供給される穀稈の脱穀を行い、この脱穀された穀粒を選別回収して一時貯留するグレンタンク7と、この貯留した穀粒を機外へ排出する排穀オーガ7aとを備えた脱穀装置8を載置構成している。
【0008】該脱穀装置8の前方側に、前端位置から未刈穀稈を分草する分草体9と、分草された穀稈を引き起こす引起部10と、引き起こされた穀稈を刈り取る刈刃部11と、この刈り取られた穀稈を後方へ搬送して該フィードチェン6へ受け渡しする穀稈搬送部12等を有する刈取装置13を、油圧により伸縮作動する刈取昇降シリンダ14によって土壌面に対し昇降作用させるよう配置構成している。
【0009】該刈取装置13の一側にコンバインの操作制御を行う操作装置15と、この操作のための操作席16とを設け、この操作席16の下方側にはエンジン17を搭載し、後方側には前記グレンタンク7を配置すると共に、操作装置15と操作席16とを覆うキャビン18を設けて構成し、これらの走行装置5,脱穀装置8,刈取装置13,操作装置15,エンジン17,キャビン18等によってコンバインの車体19を構成している。
【0010】図6及び図7に示す如く、前記車台3の前端部に装架した走行用ミッションケース20の上面部に固定した刈取架台21に、刈取装置13を支持する上下方向パイプ状の刈取主フレーム22上端部の刈取支軸23を回動自在に支承すると共に、該エンジン17からの動力を伝達させる油圧式無段変速装置24の出力軸25を、該刈取装置13を駆動する刈取駆動ケース26に支承した刈取駆動軸27aを介して、該ミッションケース20の入力軸27へ連動連結して構成させる。
【0011】該刈取駆動ケース26は、側面視刈取駆動軸27aの右方向下側に変速駆動側割プーリ28を軸承する変速駆動軸29と、この変速駆動軸29の上方側に変速従動側割プーリ30を軸承する変速従動軸31とを、各々該ケース26から外方へ向け突出支承して設け、駆動側割プーリ28と従動側割プーリ30との間に変速ベルト32を張設して、無段変速手段としてのベルト式無段変速装置1を構成させる。
【0012】該刈取駆動ケース26内において変速駆動軸29に軸回転する変速駆動ギヤ33と、該刈取駆動軸27aに軸回転する刈取駆動ギヤ34とを中間ギヤ35を介して噛合連動させると共に、該変速従動軸31の変速従動側割プーリ30の外側に軸止した刈取駆動プーリ36と、前記刈取支軸23に軸止した刈取入力プーリ37との間に刈取装置13を伝動可能に駆動ベルト38を張設して構成させる。
【0013】前記ミッションケース20のギヤ伝動機構は、前記第1軸としての入力軸27に、普通速と高速の二段に車速を切り替える低速駆動ギヤ39と高速駆動ギヤ40を各々軸回転させ、この両駆動ギヤ39,40と各々常時噛合する低速ギヤ41と高速ギヤ42を、第2軸としての変速軸43に各々軸遊転させると共に、その中間位置に、該両ギヤ41,42を切り替え噛合接続させる軸回転の爪クラッチ44を左右摺動可能に配置することにより、副変速を構成させる。
【0014】該変速軸43に軸回転する変速伝動ギヤ45と噛合連動する二連の変速中間ギヤ46を、第3軸としての変速中間軸47に軸回転し、変速中間ギヤ46と噛合連動する二連の操向センタギヤ48を、第4A軸としての操向軸49に軸回転して構成させる。該操向軸49に軸回転する操向センタギヤ48の両側に左右の操向ギヤ50を軸遊転し、この左右の操向ギヤ50の各外側面に接して、バネと油圧等の加圧力により入り作用させる左右の操向クラッチ51と、この操向クラッチ51の切りによって制動力を作用させる左右の走行ブレーキ52とを各々連接軸止し、これらの作用により左右側へのブレーキ旋回を行わせる構成とする。
【0015】前記二連の変速中間ギヤ46の片方の小径ギヤ46aと噛み合うマイルド旋回ギヤ53と、該二連の操向センタギヤ48の片方の小径ギヤ48aと噛み合うスピン旋回ギヤ54とを、第4B軸としての旋回切替軸55の左右側に各々軸遊転させると共に、このマイルド旋回ギヤ53とスピン旋回ギヤ54との間に、この両ギヤ53,54を切り替えて各々軸回転させる外周にギヤを設けたクラッチとしての旋回切替ギヤ56を、左右摺動により各々噛合接続して構成させる。
【0016】該旋回切替ギヤ56の外周ギヤと噛合連動する旋回センタギヤ57を、第5軸としての旋回軸58に軸回転させると共に、旋回センタギヤ57の左右側面に接して、前記左右の操向ギヤ50と各々噛合連動する左右の二連の操向従動ギヤ59を軸遊転し、この左右の操向従動ギヤ59の各外側面に接して、該ギヤ59を油圧等の作用により軸回転させる左右の旋回クラッチ60を連接軸止し、これらの作用により左右側へのマイルド旋回及びスピン旋回を行わせる構成とする。
【0017】該左右の二連の操向従動ギヤ59の片方の各小径ギヤ59aと各々噛合連動する左右の減速ギヤ大61を、左右両側に設ける第6軸としての左右の減速軸62の一端部に各々軸止すると共に、その他端部に左右の減速ギヤ小63を各々軸止して設け、この減速ギヤ小63と各々噛合連動する左右の車軸ギヤ64を、第7軸としての左右の車軸65の一端部に各々軸止すると共に、その他端部に各々軸止した左右の駆動輪66により走行クローラ4を駆動させる構成とする。
【0018】前記操作装置15の一側に、車体19の前・後進の切り替えと車速の変速を行う主変速レバー67と、副変速の切り替えを行う副変速レバー68と、左右の舵取操向と旋回を制御するパワステレバー69とを各々配置すると共に、前記ミッションケース20の外壁に、変速軸43の一端部と係合して車速を検出する車速センサ70を装着して構成させる。
【0019】前記無段変速手段としてのベルト式無段変速装置1の変速機構は、図4及び図5に示す如く、前記変速駆動側割プーリ28の内側プーリ28aを軸固定に、外側プーリ28bを左右摺動可能とし、この外側プーリ28bを摺動させる摺動カム71を前記変速駆動軸29に対し回動可能に配置すると共に、この摺動カム71に固定した摺動アーム71aを、プーリ制御モータ72により駆動杆72aを介して回動制御可能に連結して構成させる。
【0020】前記変速従動側割プーリ30の外側プーリ30bを軸固定に、内側プーリ30aを左右摺動可能とし、この内側プーリ30aを摺動させる摺動カム73を前記変速従動軸31に対し回動可能に配置すると共に、この摺動カム73に固定した摺動アーム73aと該摺動カム71の摺動アーム71aとを連結杆74により回動可能に連結して構成させる。
【0021】該変速駆動軸29を支承する前記刈取駆動ケース26の軸受ケース26aに、回動可能に支承したテンション受環75からテンションアーム75aを突出させ、このアーム75aに、前記変速ベルト32のラインに臨ませたテンションローラ76を軸支した支軸76aを取リ付けると共に、変速ベルト32の駆動状態を検出する回転センサ77を該変速従動軸31の一端部に配置して構成させる。
【0022】該テンション受環75から、テンションアーム75aと対称位置に突出させたスプリングアーム75bと、該摺動カム73の摺動アーム73aにネジ止めしたスプリングフック73bとに、スプリング78を張設して構成させる。図2に示す如く、CPUを主体的に配して各機能の演算制御を行うコントローラ79を設け、このコントローラ79の入力側に、前記車速センサ70と、回転センサ77と、車速に対しシンクロ変速する刈取回転数を高速又は低速に切り替える手動スイッチ2とを各々接続すると共に、出力側へ、前記プーリ制御モータ72を制御する高速リレー80a及び低速リレー80bを各々接続して構成させる。
【0023】該車速センサ70により検出される車速の検出値が高速のときは、コントローラ79の演算により、ベルト式無段変速装置1の変速駆動軸29に軸承された変速駆動側割プーリ28における、固定の内側プーリ28aに対する外側プーリ28bを、プーリ制御モータ72による摺動カム71の回動によりプーリ幅を狭める方向に摺動させて、変速ベルト32のベルトピッチ円を大径に変更する。
【0024】次に、該摺動カム71の回動と同時に連結杆74が作動して、変速従動軸31に軸承された変速従動側割プーリ30における、固定の外側プーリ30bに対する内側プーリ30aを、摺動カム73の回動によりプーリ幅を広める方向に摺動させて、変速ベルト32のベルトピッチ円を小径に変更することにより、刈取装置13の回転数を車速に同調させた高速回転にシンクロ変速させる。なお、このとき変速ベルト32は、内側からテンションローラ76により緊張させる。
【0025】一方、車速の検出値が低速のときは、前記と逆の作用により、該両割プーリ28,30のベルトピッチ円を小径・大径に変更することにより、刈取装置13の回転数を車速に同調させた低速回転にシンクロ変速させる。以上の如く、刈取装置13の回転数をプーリ制御モータ72の作動により車速に対してシンクロ変速させると共に、穀稈が倒伏状態のときは車速に対して刈取装置1の回転数を高速レベルaに、穀稈が通常状態のときは車速に対して刈取装置13の回転数を低速レベルbに各々切り替えを行うと共に、このシンクロ変速された高速レベルa又は低速レベルbによる動力を、刈取駆動プーリ36から刈取入力プーリ37へ伝達させる。
【0026】このような刈取装置13の動力伝達時に、図1に示す如く、高速レベルa及び低速レベルbにおける上限ラインcを設定し、車速が高速となって刈取回転数が上限ラインcに達したときは、プーリ制御モータ72の作動を停止させることにより、刈取回転数が異常に高速回転となることがなく、破損の防止や耐久性の向上に効果がある。
【0027】この上限ラインcに規制される高速レベルaと低速レベルb間の領域Zにおいて、手動スイッチ2により希望の変速レベルdを設定することにより、未刈穀稈の条件に応じて適正な刈取回転数を選択することができるから、適応範囲の拡大に効果がある。なお、このような変速を行うときは、変速ベルト32の駆動状態を回転センサ77によって検出したときのみ、該プーリ制御モータ72を作動可能とすることにより、変速作動時に無理な操作力が加わることがないから、該無段変速装置1の各構成部材の損傷を防止することができる。
【0028】また、該図1に示す如く、車速に対しシンクロ変速させる高速レベルaと低速レベルb間の領域Zにおいて、該手動スイッチ2により設定される希望の変速レベルdによって刈取回転数を制御しているときに、車速の増速により刈取回転数が該上限ラインcに達して規制され変速レベルdが変化しても、車速を減速させたときは元の変速レベルdに復帰可能とすることにより、再設定を必要とするような面倒な手間を省略することができる。
【0029】また、前記主変速レバー67の把手近傍に、押したときのみONして該プーリ制御モータ72を作動させ刈取回転数を増速することができる増速スイッチ67aを設け、この増速スイッチ67aを前記コントローラ79の入力側へ増加接続させる。(図2参照)該増速スイッチ67aのONにより、該図1に示す如く、刈取作業時において各コーナで一時的に刈取回転数を増速させたいときや、条合わせ等における刈り始めに、車速は超低速であるにもかかわらず刈取回転数を速くしたいとき等、一時的に、矢印の如く増速側へシンクロ変速を行わせるが、このような増速を、増速スイッチ67aの簡単な操作で実行させることができる。なお、増速スイッチ67aから指を離すことにより、元の設定レベルへの復帰を可能とする。
【0030】また、図3に示す如く、車速に対し刈取回転数をシンクロ変速させるときに、自動制御と手動制御とを切り替える制御切替スイッチ81と、未刈穀稈が倒伏状態のときに設定する高速レベルaと標準状態のときに設定する低速レベルbとを切り替えるレベル切替スイッチ82とを、前記コントローラ79の回路における入力側へ接続して構成させる。
【0031】該制御切替スイッチ81の切り替えにより、該図1に示す如く、自動側では高速レベルaと低速レベルbによって制御を行い、手動側では高速レベルa及び低速レベルb間の領域Zにおいて、手動スイッチ2の設定による変速レベルdにより希望の刈取回転数を選択できることにより、自動制御による使い易さを生かせると共に、手動制御による希望の刈取回転数の選択が可能となり、適応性を向上させることができる。
【0032】また、前記ベルト式無段変速装置1における変速ベルト32を緊張させるテンションローラ76は、この変速ベルト32を内側から外側へ向けて張出する内張方式としているが、この変速ベルト32の伝達力はテンションローラ76の位置によって、該ベルト32と前記変速駆動側割プーリ28と変速従動側割プーリ30との各接線角度α(図8参照)が大きくなるに従って、伝達力が2次曲線的に小さくなるため、該ベルト32の接線角度αのチェック調整が必要である。
【0033】しかし、従来、市場においては調整用のゲージが無く調整ができないため伝達力の低下を招いていた。このため、薄板により形成されるゲージ83を、前記刈取駆動ケース26の締付ネジ26bを利用して、該ベルト32のライン位置近傍において該接線角度αをチェック可能に配設させることにより(図4及び図5参照)、このゲージ83との比較により該テンションローラ76の位置調整を行うことができるから、伝達力不足によるスリップ等のトラブルを防止できる。
【0034】なお、該ゲージ83は、刈取駆動ケース26に取り付けているため落したり無くしたりすることがないと共に、該ゲージ83を刈取駆動ケース26自体に刻印又は浮き出し等により設けるようにしてもよい。また、該テンションローラ76の張出量に対し予め設定された許容範囲を検出するローラ位置検出スイッチ84を、前記テンション受環75から該ローラ76のテンションアーム75aと対称位置に突出させたスプリングアーム75bへの接当によりONさせるよう取り付け、この検出スイッチ84を前記コントローラ79の入力側へ増加接続させると共に、出力側へ該検出スイッチ84のONにより警報等を発するブザー85を増加接続させる。(図2参照)このようなローラ位置検出スイッチ84を設けていることにより、該テンションローラ76の位置が設定値より外れた場合、該検出スイッチ84の検出によりブザー85から警報を発するため、調整不良による伝達力不足を防止することができる。
【0035】また、該図4に示す如きベルト式無段変速装置1におけるテンションローラ76の配置構成を変更するものとして、図9に示す如く、該ローラ76を軸支した支軸76aを、前記変速従動側割プーリ30の内側プーリ30aを摺動させる摺動カム73の一側に取り付けることにより、変速時に摺動カム73により内側プーリ30aが摺動して変速ベルト32のラインが変位しても、該ローラ76も同様に変位するから、常にベルトラインの中央近傍に位置させることができる。
【0036】このように、該変速ベルト32の変位に追従してテンションローラ76を変位させることにより、従来の如く、該ローラ76が固定されているもののように、該ベルト32ラインの変位により該ローラ76が中央近傍位置から外れたり、該両割プーリ28,30との干渉を避け該ローラ76を狭幅としたため面圧が高くなったりして該ベルト32が損傷していたものを、該ローラ76の追従変位により防止して耐久性を向上させることができる。
【0037】また、該図4及び図5に示す如く、前記変速駆動側割プーリ28側のテンション受環75からテンションローラ76と対称位置に突出させたスプリングアーム75bと、変速従動側割プーリ30の摺動カム73の摺動アーム73aとの間に張設したスプリング78によって、未刈穀稈が倒伏状態のときに刈取回転数が高速レベルaに設定されたときは、該ローラ76を介して変速ベルト32の反力によって回動を規制される該アーム75bと、前記連結杆74により回動される摺動アーム73aとの間によってスプリング78を強くする方向へ作用させる。
【0038】このように、未刈穀稈が標準状態のときに対し刈取負荷が大きくなる倒伏状態となって、より大きなベルト張力を必要とするときに、標準状態よりスプリング78の張力を増大させて強力なベルトテンション力を得ることができるから、伝達力不足によるスリップ等を防止して、未刈穀稈の条件に応じて安定した動力の伝達を行うことができる。
【0039】また、図10に示す如く、前記油圧式無段変速装置24を設けた変速用油圧回路Aにおいて、この変速装置24のチャージポンプ86の流量(約15リットル/分)を、作業用油圧回路Bにおける方向制御,刈取昇降,オーガ昇降,水平制御等を作用させる作業用ギヤポンプ87の流量(約12リットル/分)よりも大きく設定し、該変速装置24のドレン流路eに該ギヤポンプ87のサクション流路fを接続させると共に、該変速装置24のサクション流路g及びチャージ流路hに各々フィルタ88a,88bを配設して構成させる。
【0040】このような構成により、作業用油圧回路Bには、必ず変速用油圧回路Aにてフィルタ88を通った圧油が供給されることにより、塵芥が混入する可能性が少なく品質を向上させることができるから、従来の如く、該チャージポンプ86の流量よりも該ギヤポンプ87の流量の方が大きく、オイルタンク89から直接オイルが供給され、且つフィルタも設けられていないため塵芥が混入する可能性が大きいというようなことがなく、安定した油圧作用を行わせることができる。
【0041】なお、該変速用油圧回路Aと作業用油圧回路Bにフィルタ88を共用できるためコスト的にも有利である。また、図11に示す如く、前記エンジン17を車台3に搭載する際に、振動等を吸収可能な防振ゴム90を介装させるが、従来では、この防振ゴム90をコンバインに使用する場合、ベルトの横引き等による荷重が大きくなると共に、機種により荷重方向も異なるため変形や剥離等が発生する恐れがあった。
【0042】このため、従来における上下の取付金の間にゴム材を挟んだ構造のものから、上下に円錐形状のゴム材90aを配しその中心部縦方向に補強軸材90bをモールドすると共に、上下中間部から取り出した取付金90cによって該エンジン17にマウントさせる構成とすることにより、剛性が大きく、あらゆる方向の荷重に対する防振効果を有すると共に、汎用性の高い支持方法として利用することができる。
【0043】また、前記走行装置5における車体水平制御としてのピッチング及びローリング制御の構成を、左右対称につき片側についてのみ説明する。図12に示す如く、前記車台3の前側下面部に固定したローリングメタル91に前部ローリングアーム92aの中間部を軸支し、後側下面部に固定したピッチングメタル93にピッチングアーム94の一端部を軸支すると共に、その中間部と平面視H字状の連結アーム95の一端部とをピン連結して構成させる。
【0044】該連結アーム95の他端部に後部ローリングアーム92bの中間部を軸支すると共に、前部及び後部ローリングアーム92a,92bの下端部を、前記走行クローラ4を支持するクローラフレーム96の前部及び後部側にピン連結し、該ピッチングアーム94の上端部を、該車台3の上面に設けた油圧駆動による単一のピッチングシリンダ97のピストン先端部にピン連結して構成させる。
【0045】該前部ローリングアーム92aの上端部と後部ローリングアーム92bの中間部を連結杆98によって連結すると共に、後部ローリングアーム92bの上端部を、該車台3の下面近傍に設けた油圧駆動によるローリングシリンダ99のピストン先端部にピン連結する。該クローラフレーム96に設けた後部転輪100,複数個の接地転輪101,前記走行用ミッションケース20から延出した車軸65に軸止した駆動輪66に走行クローラ4を張設して構成させる。
【0046】このような構成により、該ピッチングアーム94及び後部ローリングアーム92bとピッチングシリンダ97の作用によりピッチング制御を、該前部及び後部ローリングアーム92a,92bとローリングシリンダ99の作用によりローリング制御を各々行わせる。図13に示す如く、CPUを主体的に配して自動回路の演算制御を行うコントローラ102を設け、このコントローラ102の入力側へ、前記ピッチング及びローリングシリンダ97,99の伸縮作用を検出する前後及び左右ストロークセンサ103a,103bと、車体19の前後及び左右傾斜を検出する前後及び左右傾斜センサ104a,104bと、車体19の前後及び左右水平制御を行わせる前後及び左右自動スイッチ105a,105bと、車体19の後進状態を検出する後進スイッチ106と、湿田状態のとき切り替える湿田スイッチ107と、刈取穀稈の有無を検出する穀稈センサ108と、パワステレバー69の左右傾動操作を検出するパワステスイッチ109と、刈取装置13の昇降位置を検出する刈取位置センサ110と、上記車速センサ70等を各々接続して構成させる。
【0047】該コントローラ102の出力側へ、前記ピッチングシリンダ97を作動させるピッチング電磁弁111と、ローリングシリンダ99を作動させるローリング電磁弁左及び右112a,112bとアンロード電磁弁113等を各々接続して構成させる。(図10参照)前記の如く、ピッチング制御とローリング制御を有するものにおいて、従来では、湿田等における前記主変速レバー67の後進操作により、車体19を上昇させた後で後傾作用を行わせるものでは、後傾作用のタイミング遅れにより前後バランスの修正が充分に行われ難いものであった。
【0048】このため、湿田仕様のコンバインとして、車体19の後進時に刈取装置13の先端部が泥土中に突っ込まない高さまで、該ピッチングシリンダ97の短縮作動により、ピッチングアーム94を上昇回動させて車体19を後傾作用させるが、この後傾作用時に、ローリングシリンダ99の伸長作動により前部及び後部ローリングアーム92a,92bを回動させて、クローラフレーム96の下降により相対的に一定高さ上昇させる車高位置を、基準高さとして設定する。
【0049】このように、車体19の一定の上昇位置を車高位置の基準高さとすることにより、車体19を後進させるときに車高を上昇させる必要がなく、該主変速レバー67の後進操作に連動して後傾作用を行わせることにより、後傾作用の速度が速くなると共に、前後バランスの修正を素早く行うことができ、後進性能が向上する。なお、通常作業時に、地上高が高く前記車台3と土壌面とのクリアランスが増大して泥抜けが良くなるから、湿田での脱出性,走行性が向上する。
【0050】また、湿田における後進時の車体後傾作用を、前記湿田仕様機と異なり、湿田モードを有するコンバインにおいて、前記パワステレバー69の操作による左旋回時に、左のパワステスイッチ109がONしたときは、このONにより車体19を前記の如き作用により上昇させると共に、該主変速レバー67の後進操作により後傾作用を行わせる。
【0051】このように、車体上昇のタイミングを、刈り終りによる旋回条件の検出によって決定することにより、車体19の上昇と後傾作用を素早く行うことができ、後傾作用による前後バランスの修正効果を発揮することができる。なお、圃場における旋回部は、車体19が旋回するときに前記走行クローラ4により土壌面を掻き回して凹凸が激しくなっているが、この凹凸によって車台3の下に泥土を抱え込んで走行不能となる状態を、車体19を上昇させることにより防止できる。
【0052】また、車体上昇のタイミングを、前記車体19の旋回時と異なり、刈り終り後に刈取装置13の刈高さが、刈取ポジションセンサ110の検出により一定高さまで上昇したときに、車体19の上昇作用を行わせるようにしてもよい。このように、刈取装置13の刈高さの検出によって、車体19の上昇作用を行わせることにより、従来の如く、後傾作用のタイミングの遅れによる前後バランスの修正が充分に行われ難いということがなく、これらの不具合を改善できると共に、作業時に穀稈の詰まり等が発生した際に、車体19を少し後退させる必要が生じても、前記の如く、該主変速レバー67の後進操作により車体19が不必要に上昇するようなことがなく、余分な作動を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
【出願日】 平成11年3月5日(1999.3.5)
【代理人】
【公開番号】 特開2000−245240(P2000−245240A)
【公開日】 平成12年9月12日(2000.9.12)
【出願番号】 特願平11−58903