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【発明の名称】 コンバインの運転部構造
【発明者】 【氏名】河瀬 宗之

【氏名】平岡 実

【氏名】福島 正知

【要約】 【課題】コンバインにおいて、座席支持台の横側壁部によって穀稈を損傷しにくように押圧案内することと、横側壁部を軽小化することを可能にする。

【解決手段】座席支持台12が運転座席11の機体横外側方を覆う横側壁部12cを備えている。横側壁部12cの機体横外向きの横外側面18に傾斜外側面部18bを備えてある。傾斜外側面部18bは、横外側面18の前端Aと後端Bとの間であって横外側面18の下端Cと上端Dとの間の地面上から設定高さのレベルに頂点部Tが存在し、かつ、頂点部Tから横外側面18の全周縁のいずれの部分に向かう場合も頂点部Tから離れるほど機体内方側に退避する状態に形成してある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 運転座席を支持する座席支持台に、前記運転座席の機体横外側方を覆う横側壁部が備えられているコンバインの運転部構造であって、前記横側壁部における機体横外向きの横外側面の前端と後端との間であって前記横外側面の下端と上端との間の地上面から設定高さのレベルに頂点部が存在する状態に傾斜し、かつ、この頂点部から前記横外側面の全周縁のいずれの部分に向かう場合も頂点部から離れるほど機体内方側に退避する状態に傾斜する傾斜外側面部を、前記横側壁部の前記横外側面に備えてあるコバインの運転部構造。
【請求項2】 前記傾斜外側面部を有する横側壁部分が開閉自在に取り付けられている請求項1記載のコンバインの運転部構造。
【請求項3】 前記座席支持台によってエンジンを覆うように構成してある請求項1又は2記載のコンバインの運転部構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転座席を支持する座席支持台に、前記運転座席の機体横外側方を覆う横側壁部が備えられているコンバインの運転部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】上記コンバインにおいて、従来、座席支持台の横側壁部における機体横外向きの横外側面に、この横外側面の下端側に至るほど機体内側に退避する状態に傾斜する下向き傾斜の傾斜外側面部が備えられ、中割り作業などを行う際、運転部の横外側に位置する植立穀稈を前記傾斜外側面部の傾斜によって横外向きや下向きに押圧案内し、運転部の後側などで穀稈が機体内側に入り込みにくいようにしながら作業できるものがあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、前記傾斜外側面部が横側壁部の横外側面の前端から後端までの全長又はほぼ全長にわたって平坦な傾斜面となっていた。このため、横側壁部の前端側に比較的鋭角な角部ができ、この角部によって穀稈が傷付きやすくなっていた。本発明の目的は、座席支持台の前記横側壁部によって穀稈を損傷しにくいように押圧案内できるとともに、横側壁部を軽小化できるコンバインの運転部構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0005】〔構成〕運転座席を支持する座席支持台に、前記運転座席の機体横外側方を覆う横側壁部が備えられているコンバインの運転部構造において、前記横側壁部における機体横外向きの横外側面の前端と後端との間であって前記横外側面の下端と上端との間の地上面から設定高さのレベルに頂点部が存在する状態に傾斜し、かつ、この頂点部から前記横外側面の全周縁のいずれの部分に向かう場合も頂点部から離れるほど機体内方側に退避する状態に傾斜する傾斜外側面部を、前記横側壁部の前記横外側面に備えてある。
【0006】〔作用〕植立穀稈の穂先が位置するレベル又はこれに近いレベルを前記設定高さとして設定する。すると、運転部の横側に位置する植立穀稈の穂先側が、傾斜外側面部のうちの頂点部又は頂点部付近より下側に位置する下側面部分にこれの前端側から当たっていく。すると、この下側面部分にあっては、前記傾斜外側面部の前記傾斜形状に起因して、頂点部より機体前方側に離れていくに伴っても、機体下方側に離れていくに伴っても、機体内側に退避していく傾斜状態になっているため、植立穀稈を横外向きや下向きに押圧案内していく。これにより、横側壁部の前端側に従来の如き鋭角な角部ができることを回避しながら、横側壁部が運転部の横側に位置する植立穀稈を横外向きや下向きに押圧案内するように横側壁部を植立穀稈に対して作用させられる。
【0007】しかも、傾斜外側面部は、横外側面の前端と後端の間で、かつ、上端と下端との間に頂点部が存在する形状を有するため、頂点部が横外側面の上端に存在するものに形成するに比し、穀稈に押圧作用する前記下側面部分の傾斜角度の大きさの割りには、横側壁部の上端側での厚さを小に抑制できるとともに、横側壁部が傾斜外側面部の前記形状によって優れた強度を発揮するようにできる。また、頂点部が横外側面の後端に存在するものに形成するに比し、穀稈に押圧作用する前記下側面部分の傾斜角度の大きさの割りには、横側壁部の後端側での厚さを小に抑制できるとともに、横側壁部が傾斜外側面部の前記形状によって優れた強度を発揮するようにできる。
【0008】〔効果〕したがって、中割り作業などを行う際、穀稈が横側壁部の前端側に当たっても損傷しにくい状態にしながら、かつ、適切な傾斜角度を有する傾斜外側面部によって穀稈を機体内側に入り込みにくいように横外向きや下向きに効果的に押圧させながら作業して、穀粒損傷の発生を少なくしながら収穫できる。
【0009】しかも、横側壁部を上端側や後端側の厚さが極力小さい軽小なものにしてコンパクトに得られるとともに、優れた強度を発揮するものにして耐久性の富んだものに得られる。
【0010】請求項2による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0011】〔構成〕請求項1による発明の構成において、前記傾斜外側面部を有する横側壁部分が開閉自在に取り付けられている。
【0012】〔作用〕横側壁部分が蓋体となる開口を座席支持台に備えさせる。横側壁部分は前記傾斜外側面部の前記形状によって優れた強度を発揮するため、座席支持台の開口を閉じた際、座席支持台が横側壁部分で補強されてその開口の大きさの割りには所望の強度を発揮するようにできる。
【0013】〔効果〕座席支持台に強度不足が発生しないようにしながら比較的大きな開口を備えさせ、座席支持台を原動部の点検がしやすい状態のエンジンボンネットに兼用するなど有利に使用できる。
【0014】請求項3による発明の構成、作用、効果はつぎのとおりである。
【0015】〔構成〕請求項1又は2による発明の構成において、前記座席支持台によってエンジンを覆うように構成してある。
【0016】〔作用〕座席支持台をエンジンボンネットに利用して原動部を覆うものである。
【0017】〔効果〕座席支持台をエンジンボンネットに利用して原動部を安価にカバーできる。
【0018】
【発明の実施の形態】図1及び図2に示すように、クローラ式走行装置1によって自走し、かつ、運転座席11が備えられている運転部10、運転座席11の下方に位置するエンジン2が備えられている原動部をそれぞれ有する走行機体の運転部10の横側に、引き起こし装置21、防塵カバー22が備えられている刈取り部20を昇降操作自在に取り付け、この刈取り部20の後側に位置する脱穀装置3、及び、運転部10の後側に位置する樹脂製の穀粒タンク4を前記走行機体に設け、脱穀装置3の後側に排ワラ処理装置5を設け、穀粒タンク4の底側が連結する底スクリューケース6の後部に穀粒搬出装置7を連結して、コンバインを構成してある。
【0019】すなわち、刈取り部20は、稲などの植立穀稈を前記引き起こし装置21によって引き起こし処理するとともにバリカン型刈取り装置23によって刈取り処理し、刈取り穀稈を前記防塵カバー22の下方に位置する縦搬送装置(図示せず)によって搬送して脱穀装置3の脱穀フィードチェーン3aの始端部に供給する。このとき、塵埃が飛散することを前記防塵カバー22によって防止する。
【0020】脱穀装置3は、脱穀フィードチェーン3aによって刈取り穀稈の株元側を挟持搬送させながら穂先側を脱穀部に供給して脱穀処理し、脱穀粒を前記穀粒タンク4に供給し、脱穀排ワラを前記排ワラ処理装置5に供給する。この排ワラ処理装置5は、細断処理状態に切り換え操作されることによって脱穀排ワラを細断して圃場に放出していき、長ワラ処理状態に切り換え操作されることによって脱穀排ワラを長ワラ状態のままで圃場に放出していく。穀粒搬出装置7は、前記底スクリューケース6の内部に位置する底スクリュー6aに接続する縦スクリューコンベア7aと、この縦スクリューコンベア7aの上端側に接続する横スクリューコベア7bとで成り、底スクリュー6aからの脱穀粒を縦スクリューコンベア7aによって揚送して横スクリューコンベア7bに供給し、この横スクリューコンベア7bの吐出口7cから排出する。
【0021】図3及び図5に明示するように、前記運転部10には、座席支持台12、この座席支持台12の天板部12aの上面側に連結している前記運転座席11、座席支持台12の前方に位置する操縦塔13、座席支持台12と操縦塔13の間に位置する運転部床14、座席支持台12と操縦塔13の左横端どうしの間に位置して刈取り部20や原動部で発生する塵埃とか駆動音や熱気が運転部10の居住空間に入りにくいようにこの居住空間の下側の刈取り部側を覆うサイドカバー15、このサイドカバー15の上端側と前記座席支持台12の天板部12aとにわたって連結している操作レバーガイド16、この操作レバーガイド16の前端と操縦塔13の左横端との間に位置する運転パネル17、座席支持台12と操縦塔13とサイドカバー15とによって囲われた下部側の居住空間Sと、運転座席11を備える上部側の居住空間とで成る操縦用の居住空間、座席支持台12と操縦塔13の右横端どうしの間に位置する乗降口のそれぞれを備えてある。
【0022】操縦塔13には、刈取り部20の昇降操作と走行機体の操向操作とを行う操作レバー30、操縦者が身体の安定化を図るべく支持する握り棒31を取り付けてある。操作レバーガイド16には、走行用主変速装置を操作する主変速レバー32、走行用副変速装置を操作する副変速レバー33、脱穀クラッチを切り換え操作する脱穀レバー34それぞれの操作を案内するガイド溝を備えてある。運転パネル17には、排ワラ処理装置5の排ワラカッターにワラ詰まりが発生すると点灯して警報する詰まり警報ランプ、穀粒タンク4が満杯になると点灯して報知する満杯ランプ、エンジン冷却水が異常に温度上昇すると点灯して警報する水温ランプ、エンジンオイルが減少すると点灯して警報するオイルランプ、バッテリーの充電不良が発生すると点灯して警報する充電ランプ、エンジン2の負荷状態を示すエンジン回転計と負荷表示部を備えてある。
【0023】前記運転部床14の床面14aのうちの操縦塔13の下方に位置する前端面部分14bを、機体前方側ほど高レベルに位置する前上がり傾斜面に形成してある。
【0024】前記座席支持台12は、前記原動部にエンジン2の燃焼用空気を吸引させる上向き吸気口35a及び前向き吸気口35bを備える吸気塔35が後端側に連結するように、かつ、前記運転座席11を上面側に取り付けるように構成した前記天板部12aと、この天板部12aの前端部に上端部が連結し、下端側が前記運転部床14に連結するように構成した前側壁部12bと、前記吸気塔35が後端側に連結するように、かつ、運転座席11の右横側を覆うように、さらに、前記天板部12aと前側壁部12bとによって囲われる空間の右横側を覆うように構成した横外側壁部12cとによって構成してある。横外側壁部12cには、運転部に乗降する際などに使用する握り部Gを形成する貫通孔Hを備えてある。
【0025】図6に示すように、前記天板部12aは、原動部の上方を覆うとともに中空部K1を備えるように形成してある。前記前側壁部12bは、原動部の機体前方側を覆うとともに原動部にエンジン2の燃焼用空気を吸引させる吸気口A1を備えように形成してある。前記横外側壁部12cは、原動部の機体横外側を覆うように形成してある。
【0026】すなわち、座席支持台12が、エンジンボンネットになり、原動部で発生するエンジン2の駆動音や放熱が天板部12aの中空構造による遮音や遮熱作用で居住空間に伝わりにくくしながら、かつ、エンジン燃焼用空気が前側壁部12bから吸引されることを可能にしながらエンジン2の上方、機体前方側、機体横外側を覆うようにしてある。
【0027】座席支持台12の下端側と運転部床14の後端側とを連結し、操縦塔13の下端部に備えてある左右一対の連結部31aによって操縦塔13と運転部床14の前端部とを連結し、サイドカバー15は、座席支持台12の天板部12aと操縦塔13の横側とにわたって連結しているとともに運転部床14にも連結している。前記連結部31aを、走行機体の機体フレーム8の前端部から延出するとともに前記一対の連結部31a,31aの間に入り込むように構成した取付け部8aに機体横方向の軸芯Pまわりで回動自在に連結してある。これにより、座席支持台12と運転部床14と操縦塔13とサイドカバー15とが、一つの構造体を形成しているとともにこの構造体の前端側に位置する機体横向きの前記軸芯Pまわりで揺動するように機体フレーム8に支持されていて、座席支持台12と運転部床14と操縦塔13とサイドカバー15とを一挙に機体フレーム8に対して揺動操作できるとともに、この揺動操作を行うことにより、図1及び図3に示す如く座席支持台12が機体フレーム8に連結して原動部を覆う使用状態と、図4に示す如く座席支持台12が機体フレーム8から上昇離間して原動部を開放する開き状態とに切り換えられる。
【0028】すなわち、通常時は、座席支持台12を前記使用状態にして運転座席11の使用を可能にするとともにエンジンボンネットとして使用する。そして、原動部や、刈取り部20の前記縦搬送装置などサイドカバー15で覆われる装置部分を点検したり修理する際、座席支持台12を前記開き状態に切り換え、原動部を開放するとともに刈取り部20の前記装置部分の横側を開放する。このとき、主変速レバー32、副変速レバー33、脱穀レバー34は、上昇揺動する操作レバーガイド16のガイド溝から抜け出る。
【0029】前記座席支持台12の天板部12a、前側壁部12b、横外側壁部12c、運転部床14、操縦塔13、サイドカバー15、操作レバーガイド16、吸気塔35のそれぞれは、合成樹脂で作成してある。
【0030】図3に示すように、前記横外側壁部12cの機体横外向きの横外側面18に、運転部床14と等しいレベルに運転部床14の横外面と面一に連なる状態で位置するとともに平坦な鉛直面状態の平坦外側面部18aと、この平坦外側面部18aよりも高レベルに位置するとともに頂点部Tを有する傾斜外側面部18bとを備えてある。この傾斜外側面部18bは、図3、図5及び図7に示す如き状態に形成してある。すなわち、頂点部Tが横外側面18の前端Aと後端Bとの間であって横外側面18の下端Cと上端Dとの間の地面上GSから設定高さHLのレベルに存在し、かつ、頂点部Tから横外側面18の全周縁のいずれの部分に向かう場合も頂点部Tから離れるほど機体内側に退避する状態に傾斜するように形成してある。前記設定高さHLは、植立穀稈の穂先が位置する高さ又はこれに近い高さに設定してある。
【0031】これにより、図8に示すように、中割り作業を行うなど、運転部10の横外側に植立穀稈aが位置する場合、植立穀稈aを横側壁部12cによって横外向きや下向きに押圧案内しながら作業できる。すなわち、植立穀稈aの穂先側が、傾斜外側面部18bのうちの頂点部T又は頂点部付近より下側に位置する下側面部分にこれの前端側から当たっていく。この下側面部分は、傾斜外側面部18bの前記傾斜形状のため、頂点部Tより機体前方側に離れていくに伴っても、機体下方側に離れていくに伴っても機体内側に退避していく傾斜状態になっており、植立穀稈aを横外向きや下向きに押圧案内していく。
【0032】〔別実施形態〕図9〜図11は、別の実施形態を備える運転部構造を示し、座席支持台12のうちの横外側壁部12cの一部分12dを除く支持台部分、操縦塔13の前面壁部13aを除く操縦塔部分、吸気塔35、運転部床14のそれぞれを連結し、前記横外側壁部分12dを座席支持台12に揺動開閉自在に支持されるように取り付け、前記前面壁部13aを操縦塔13に揺動開閉自在に支持されるように取り付けてある。座席支持台12の前記傾斜外側面部18bを前記着脱自在な横外側壁部分12dに備えさせてある。
【0033】すなわち、前記座席支持台12の横外側壁部12cに、原動部を点検や修理するのに使用する開口12eを設け、この開口12eを、前記傾斜外側面部18bを備える前記横外側壁部分12dによって開閉するようにしてある。操縦塔13にこれの内部を点検したり修理する開口13bを設け、この開口13bを前記前面壁部13aによって開閉するようにしてある。
【0034】横外側壁部分12dや前面壁部13aを揺動によって開閉するように取り付ける他、着脱によって開閉するように構成して実施してもよい。
【0035】前記座席支持台12の天板部12a、前側壁部12b、横外側壁部12c、運転部床14、操縦塔13、サイドカバー15、操作レバーガイド16、吸気塔35のそれぞれを合成樹脂で作成して実施するに当たり、それらを個別に作成して連結する他、それらの一部の複数個をブロー成型法によって一挙に作成するとともにこの一体部品とは別にその他を作成した後にそれらを連結するとか、それらの全てをブロー成型法によって一挙に作成するとかの各種の作成方法を採用して実施してもよい。
【0036】座席支持台12、運転部床14、操縦塔13、サイドカバー15、操作レバーガイド16のそれぞれは、合成樹脂で作成する他、板金で作成して実施してもよい。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年2月26日(1999.2.26)
【代理人】 【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
【公開番号】 特開2000−245236(P2000−245236A)
【公開日】 平成12年9月12日(2000.9.12)
【出願番号】 特願平11−49937