| 【発明の名称】 |
走行農作業機における車高及び姿勢制御装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】水倉 泰治
【氏名】戸波 照喜
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| 【要約】 |
【課題】走行機体に着座するオペレータから遠い側の車高をあまり昇降させないようにして、作業機の動作を確認し易いようにする。
【解決手段】まず、基準側(運転席に座るオペレータから遠い側)としての左の車高HLoを保持しながら、右側の車高を変更して所定の傾斜角度θx1になるように姿勢制御する(図13(a)参照)。この姿勢制御で、右側の車高を上限もしくは下限まで移動させても所定の傾斜角度θx2に到達しなかった場合、前記基準側である左の車高をHL1まで変更して、所定の傾斜角度θx2になるようにする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 走行機体に対して左右の走行部をそれぞれ独立的に昇降する走行部昇降駆動手段と、前記走行部に対する走行機体の相対高さを検出する車高検出センサと、走行機体の左右傾斜角度を設定する傾斜設定器と、走行機体の左右傾斜程度を検出する傾斜検出センサと、走行機体の左右傾斜角度が設定された傾斜角度になるように前記各走行部昇降駆動手段を作動させる制御手段とを備えた走行農作業機において、前記各走行部昇降駆動手段による車高の上限及び下限の検出手段と、走行機体の相対高さを変更させるべく前記左右両走行部昇降駆動手段を別別もしくは一斉に駆動させる手動可変操作部と、前記手動可変操作部の操作終了時点の車高を、運転席から遠い側の基準車高値として記憶する車高記憶手段とを備え、前記手動可変操作部の操作量に応じて車高変更操作させた後、前記傾斜設定器により設定された設定傾斜角度に近づくように傾斜制御を実行するにあたり、運転席から遠い側の基準車高値を保持し、運転席に近い側の車高を変更させて前記設定傾斜角度となるように姿勢制御することを特徴とする走行農作業機における車高及び姿勢制御装置。 【請求項2】 前記運転席に近い側の車高が上限または下限に到達したときには、前記運転席から遠い側の車高を変更させて設定傾斜角度となるように姿勢制御することを特徴とする請求項1に記載の走行農作業機における車高及び姿勢制御装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、コンバイン等の走行農作業機における車高及び姿勢制御装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】圃場を走行する走行機体の進行方向左右に畝等の段差があると、段差に落ち込んだ側に走行機体が傾き、操縦者の座り心地が悪化すると共に農作業にも不都合があるので、従来、例えば、特公平6−69331号公報では、走行機体に対して左右の走行装置を各別に昇降させる昇降駆動手段と、走行機体の左右水平基準に対する傾斜角度を検出する傾斜角度検出手段と、走行機体の左右傾斜角度を所定角度に維持するように制御する制御手段と、左右の走行装置の走行機体に対する相対高さ(車高)を検出する車高検出手段と、その相対高さ(車高)を設定する車高設定器とを備え、前記制御手段は、自動モードでは、前記各検出手段と車高設定器との情報に基づいて、予め傾斜角設定器にて設定されている走行機体の左右傾斜角度を所定の角度に維持し、且つ車高を設定高さに維持すべく昇降駆動手段を作動させるように構成することが開示されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来例では、高さ設定器による設定車高に維持するから、運転席に座るオペレータの目視による手動調節ができないという問題があった。また従来例では、走行機体の左右の傾斜制御に際して、左右の車高を任意に変更させて傾斜制御するので、運転席から遠い側の作業部の高さも随時変更される結果、当該作業部の地面に対する高さの相違で走行機体の幅方向のずれ(横ずれ)を、運転席に座るオペレータが判断しずらくなり、この横ずれにより、前記作業部による作業位置が狂い、正確な作業がし難くなるという問題もあった。 【0004】本発明では、上記の問題を解決すべくなされたものであって、オペレータが目視しながら、且つ作業部の高さ位置をあまり変化させないように、走行農作業機の車高及び傾斜姿勢を制御できるようにした走行農作業機における車高・姿勢制御装置を提供することを目的とするものである。 【0005】 【課題を解決するための手段】そのため、請求項1に記載の発明の走行農作業機における車高及び姿勢制御装置は、走行機体に対して左右の走行部をそれぞれ独立的に昇降する走行部昇降駆動手段と、前記走行部に対する走行機体の相対高さを検出する車高検出センサと、走行機体の左右傾斜角度を設定する傾斜設定器と、走行機体の左右傾斜程度を検出する傾斜検出センサと、走行機体の左右傾斜角度が設定された傾斜角度になるように前記各走行部昇降駆動手段を作動させる制御手段とを備えた走行農作業機において、前記各走行部昇降駆動手段による車高の上限及び下限の検出手段と、走行機体の相対高さを変更させるべく前記左右両走行部昇降駆動手段を別別もしくは一斉に駆動させる手動可変操作部と、前記手動可変操作部の操作終了時点の車高を、運転席から遠い側の基準車高値として記憶する車高記憶手段とを備え、前記手動可変操作部の操作量に応じて車高変更操作させた後、前記傾斜設定器により設定された設定傾斜角度に近づくように傾斜制御を実行するにあたり、運転席から遠い側の基準車高値を保持し、運転席に近い側の車高を変更させて前記設定傾斜角度となるように姿勢制御するものである。 【0006】そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の走行農作業機における車高及び姿勢制御装置において、前記運転席に近い側の車高が上限または下限に到達したときには、前記運転席から遠い側の車高を変更させて設定傾斜角度となるように姿勢制御するものである。 【0007】 【発明の実施の形態】次に本発明を具体化した実施形態について説明すると、図1は走行クローラ2aが備えられた左右一対の走行部2を有するコンバインの左側面図、図2はコンバインの平面図、図3はコンバインの右側面図、図5はコンバインの走行機体1に対する走行部2の昇降駆動手段の側面図、図6は図5のVI−VI線矢視断面図、図7は図4のVII −VII 線矢視断面図、図8は排出オーガの姿勢制御手段の説明図、図9は操作パネル部の斜視図、図10は油圧回路、図11は制御装置の機能ブロック図である。 【0008】本発明のコンバインにおける走行機体1は、左右一対の走行クローラ2a式の走行部2に対して後述する走行部昇降駆動手段を介して昇降可能に構成されている。走行機体1の進行方向に向かって左側には作業部としての脱穀装置3を搭載し、走行機体1の前部に配置された作業部としての刈取前処理装置4は、昇降フレーム14を介して走行機体1に対して回動可能に支持され、該昇降フレーム14と走行機体1との間に装着された刈取部昇降アクチュエータとしての単動式の刈取部昇降油圧シリンダ9により昇降動可能に構成されている。 【0009】刈取前処理装置4の下部フレームの下部側にはバリカン式の刈刃装置5を、前方には6条分の穀稈引起装置6が配置され、穀稈引起装置6と脱穀装置におけるフイードチェン7前端との間には穀稈搬送装置8が配置され、穀稈引起装置6の下部前方には分草体10が突出している。走行機体1の右側前部に運転室11が配置され、その後側に穀粒タンク12が配置されている。 【0010】図3及び図8に示すように、穀粒タンク12の下部に設けたスクリューコンベヤから走行機体1の後端に配置した縦パイプ28bと、その上端に上下回動可能に連設された横パイプ28aとからなり、各パイプ内にスクリューコンベヤを内装した排出オーガ28を介して、トラックの荷台等の部位に穀粒タンク12内に蓄積された穀粒を排出させることができる。なお、縦パイプ28bは、駆動モータ64bとギヤ機構57とにより縦軸回りに旋回可能であり、横パイプ28aは縦パイプ28bとの間に装架された排出オーガ用油圧シリンダ64aと、リンク機構58とにより傾斜角度を変更可能に構成されている。 【0011】そして、駆動モータ64bに設けたロータリエンコーダ等の角度センサ85にて縦パイプ28bの水平旋回角度、ひいては横パイプ28aの旋回位置を検出することができ、リンク機構58もしくは油圧シリンダ64aの箇所に設けたポテンショメータ等の角度センサ86にて横パイプ28aの俯仰角度、ひいては横パイプ28aの先端の排出部の高さ位置を検出することができる。なお、排出オーガ28を使用しないときには、穀粒タンク12の上面等に設けたレスト台87等に横パイプ28aの中途部が載置される。さらにこのレスト台87には前記横パイプ28aが載置されたか否かを検知するための接触センサ等のレスト検出器88が設けられている。 【0012】図5及び図6に示すように、走行部2は左右一対のトラックフレーム50,50の前後端に各々配置した駆動輪51と従動輪52とトラックフレーム50の下面中途部に配置された複数の転動輪53との外周に巻回された走行クローラ2aからなり、左右トラックフレーム50,50と走行機体1とは、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bと前後位置の側面視L字状のレバー55a,55bとこの前後レバー55a,55bを同時に作動させるように連結する連結杆56,56等とからなる走行部昇降駆動手段を介して連結され、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bは互いに独立的に作動させることにより、左右の走行部2,2を走行機体1の左右に対して独立的に昇降させる。 【0013】従って、左右両側の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドを同時に突出させると、走行機体1は左右両側の走行部2,2に対して上方に離れて(上昇し)、走行機体1の走行部2,2に対する相対高さ(車高)は高くなる。逆に、前記ピストンロッドを同時に後退させると、走行機体1は左右両側の走行部2,2に対して下方に離れて(下降し)、走行機体1の走行部に対する相対高さ(車高)は低くなる。 【0014】そして、左側の油圧シリンダ54aのピストンロッドを突出させる、または右側の油圧シリンダ54bのピストンロッドを後退させる(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、右側の走行部2に対する走行機体1の車高は低くなり(左側の走行部2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は右下がりに傾斜する。逆に、右側の油圧シリンダ54bのピストンロッドを突出させる、または左側の油圧シリンダ54aのピストンロッドを後退させる、(もしくはこの両方の動作を同時に実行しても)、左側の走行部2に対する走行機体1の車高は低くなり(右側の走行部2に対する走行機体1の車高は高くなり)、走行機体1は左下がりに傾斜するのである。 【0015】図5〜図7に示すように、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドの突出量を検出することにより、走行機体1の左右各走行部2,2に対する相対高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ式等の車高検出センサ71a,71bが、前記連結杆56に連設した連結ロッド72やリンク機構73を介して連動するように構成されている。 【0016】また、走行機体1の左右の傾斜程度を検出するための傾斜検出センサ74は、振り子式(重力式)等にて構成され、走行機体1の任意の位置例えば運転室11内等に配置されている。なお、刈取前処理装置4と圃場面との対地高さを検出して刈高さを検出するための刈高さセンサとしての超音波センサ20a,20bは、図4に示すように、刈取前処理装置4の左右両側端の前記穀稈引き起こし装置6の裏面側に設けたブラケット(図示せず)に配置し、各超音波センサ20a,20bにおける発信器の発信部(ホーン部)と受信器の受信部とを圃場面に向けるように配置する。各超音波センサ20a,20bの設置高さと刈刃5の設置高さとが異なる場合には、超音波センサ20a,20bの検出値から所定の換算により、刈高さ検出値を求めるようにしている。 【0017】また、走行機体1と刈取前処理装置4との相対高さを検出するための昇降ポジションセンサ75は、前記昇降フレーム14の回動角度を検出することより求めることができるように構成されている。 【0018】前記運転室11内の操縦部パネル11a(図9参照)には、自動モードと手動モードとに切り換えるための切替えスイッチ76と、自動モード及び手動モードの如何に拘らず、車高制御の場合の走行機体1の高さ(車高)を変更調節操作できる手動可変操作部としての操作レバー77と、走行機体1の左右傾斜角度を設定するための傾斜設定器78と、走行機体1を絶対水平状態にする水平セットスイッチ79とが配置されている。 【0019】図10は、前記昇降用油圧シリンダ54a,54b等のための油圧回路を示し、油圧ポンプ60からの吐出する圧油を分流する分流弁63を介して分岐し、その一方の吐出路から前記刈取前処理装置4を昇降させる刈取部昇降アクチュエータとしての油圧シリンダ9と、右側(運転室11側)の昇降制御用油圧シリンダ54bとに対する第1油圧回路61へ送る。分流弁63の他方の吐出路からは、排出オーガ28の横パイプ28aの縦パイプ28bに対する傾斜角度を変更するための昇降用の排出オーガ用油圧シリンダ64と、左側の昇降制御用油圧シリンダ54aとに対する第2油圧回路62へ送るように構成され、それぞれの油圧シリンダ9、64、54a、54bに対する電磁制御弁65、66、67、68や逆止弁、リリーフ弁等が接続されている。 【0020】図11は、走行機体1の姿勢及び車高を制御するための制御装置(制御手段)70の機能ブロック図を示し、該制御装置70は、マイクロコンピュータ等の電子式制御装置であり、図示しないが各種演算処理や制御を実行するための中央処理装置(CPU)や、制御プログラムを記憶させた読み出し専用メモリ(ROM)、各種の検出値、データ等を一時的に記憶させる随時読み書き可能メモリ(RAM)、制御装置の電源をOFFとしても記憶データを保持するための不揮発性メモリ、タイマ機能としてのクロック、インターフェイス、バスなどを備える。また、符号84は制御装置70に接続されたメモリであって、電源を切っても記憶値が消えない、いわゆる不揮発性メモリ(フラッシュメモリ)である。そして、このメモリ84には、後述するように手動の操作レバー77による車高の変更を実行したときの車高値を順次記憶する。即ち、オペレータが手動にて操作レバー77を中立位置(略垂直状態)から前方に回動すると、下降方向となり、その方向への回動時間に比例して車高の下降量が増大する。逆に、中立位置から後方に回動すると、上昇方向となり、その方向への回動時間に比例して車高の上昇量が増大するものであって、操作レバー77を操作する毎にその操作量(車高の下降量または上昇量)を更新して記憶するから、操作レバー77の直近の操作量(操作終了時点)の車高(上昇位置もしくは下降位置)を記憶することになる。 【0021】なお、本発明では、運転室(運転席)から遠い側である進行方向左側の車高を基準とするので、その車高を基準車高値としてメモリ84に記憶されるものとする。 【0022】操作レバー77を右方向に回動すると、右側が低く左側の高い傾斜姿勢(これを右傾斜という、以下同じ)となり、逆に操作レバー77を左に回動すると、左側が低く右側が高い傾斜姿勢(これを左傾斜という、以下同じ)となるように前記左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bを作動させる。これらの傾斜の作動量は操作レバー77の回動時間に比例するように構成されている。 【0023】前記制御装置70には、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドの突出量に対応した走行機体1の左右の走行部2,2に対する相対高さ(車高)を検出するためのロータリエンコーダ式等の車高検出センサ71a,71bの検出値、傾斜センサ74の検出値及び前記刈高さセンサとしての刈取前処理装置4の左右両端に設けた超音波センサ20a,20bの検出値、刈取部昇降ポジションセンサ75の検出値、前記排出オーガ28の水平旋回角度を検知する角度センサ85の検出値、同じく排出オーガ28の横オーガ筒28aの俯仰の昇降角度を検知する角度センサ86の検出値とを入力する。なお、横オーガ筒28aがレスト台88に載置されている状態のとき、角度センサ86の検出値は0度であり、それより上昇するときの角度を検知する。また、横オーガ筒28aがレスト台88に載置されている状態のときのレスト位置を基準として、左右水平旋回の角度を角度センサ85にて検知できる。 【0024】排出オーガ28の昇降及び水平旋回等の動作は、運転室11内に配置した操作部90及び横オーガ筒28aの先端の排出部の横に設けた先端操作部91におけ指令スイッチから指令できるように構成されている(図8参照)。 【0025】左右の車高のそれぞれの上限(下限)を検出するための検出手段としての上限リミットスイッチ82及び下限リミットスイッチ83を制御装置70に接続する。車高の上限を検出する上限リミットスイッチ82は左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドの伸長の最大限の位置を感知し、車高の下限を検出する下限リミットスイッチ83は前記ピストンロッドの伸長の最小位置を感知するものであれば足り、前記左右の車高検出センサ71a,71bによる検出値の最大、最小の値に対応させても良い。 【0026】また、前記制御装置70には、制御モードを自動モードと手動モードとに切り換えるためのモード切換スイッチ76と、車高を手動にて変更調節操作できる手動可変操作部としての操作レバー77の操作位置検出部、走行機体1の左右の傾斜程度を設定するための傾斜設定器78と、水平セットスイッチ79と、刈高さ設定器80と、脱穀スイッチ81とを接続して、これらの設定器における設定値やON・OFFの検出信号を各々入力する。そして、制御装置70の出力側に接続した電磁制御弁67,68の作動により、左右の昇降制御用油圧シリンダ54a,54を駆動して前記左右の走行部2,2の高さを各々独立して昇降させることにより、走行機体1の左右傾斜姿勢ひいては刈取前処理装置4の左右傾斜の姿勢を制御する一方、制御装置70の出力側に接続した電磁式油圧切換弁65の作動により、昇降油圧シリンダ9を駆動して刈取前処理装置4の高さ、換言すると刈高さを制御することができるものである。 【0027】脱穀スイッチ81のONにて脱穀部への動力伝達のための脱穀クラッチがONとなり動力伝達可能となる。前記脱穀スイッチ81がOFFでは、動力伝達が遮断される。そして、脱穀スイッチ81がOFF又はモード切換スイッチ76のOFF(手動モード方向のスイッチ切換)の条件(オア条件)にて、「手動モード」となる。 【0028】手動モードでは操作レバー77をオペレータが手動にて操作することにより走行機体1の車高及び左右傾斜を調節する制御である。 【0029】この「手動モード」による車高制御及び姿勢制御において、本発明の実施例では、運転席(オペレータ)から遠い側である進行方向の左側の車高を基準として、車高制御及び姿勢制御を実行する。 【0030】即ち、操作レバー77を操作したときの最終値(メモリ84による直近の基準車高値)と左側(運転席(オペレータ)から遠い側)の車高値が等しくなるように、まず車高制御を実行した後、傾斜を変える姿勢制御を実行する。即ち、車高制御(昇降制御)では、左右両側の昇降制御用油圧シリンダ54a,54を駆動し、左右の車高を同時に変化させる。 【0031】そして、左車高基準による傾斜制御では、操作レバー77を操作してまず右の車高のみで傾斜を調節し、それでも傾斜角度が足りない場合にのみ、つまり、右側の車高が上限もしくは下限となりそれ以上昇降できなくなったとき、反対側(左)の車高で調節する。 【0032】再度、設定角度を変更すべく操作レバー77による傾斜制御を実行するときには、左側の車高値が前記記憶されている基準車高値に一旦戻るように車高変更した後、まず右の車高のみで傾斜を調節するという姿勢制御を実行するのである。 【0033】前記脱穀スイッチ81がONで且つモード切換スイッチ76がONの条件(アンド条件)にて、「自動モード」になる。自動モードでは、前記傾斜設定器78により設定した傾斜になるように自動的に走行機体1を左右に傾斜させる制御であって、本実施例では、左車高基準とする。 【0034】この場合、操作レバー77を操作したときの最終値(メモリ84による直近の基準車高値)と左側(運転席(オペレータ)から遠い側)の車高値が等しくなるように、まず車高制御を実行した後、傾斜を変える姿勢制御を実行する。即ち、車高制御(昇降制御)では、左右両側の昇降制御用油圧シリンダ54a,54を駆動し、左右の車高を同時に変化させる。本発明の実施例では、運転席(オペレータ)から遠い側である進行方向の左側の車高を基準として、車高制御及び姿勢制御を実行する。 【0035】左車高基準による傾斜制御では、操作レバー77を操作して車高を目視で決定する。このときの基準車高値は、走行機体の左側のものを基準とする。そして、まず右の車高のみで傾斜を調節し、それでも傾斜角度が足りない場合にのみ、つまり、右側の車高が上限もしくは下限となりそれ以上昇降できなくなったとき、反対側(左)の車高で調節する。そして、このように基準となる左側の車高が一旦変更された後に、再度、傾斜設定器78にて設定角度を変更して、傾斜制御を実行するときには、左側の車高値が前記記憶されている基準車高値に一旦戻るように車高変更した後、まず右の車高のみで傾斜を調節するという姿勢制御を実行するのである。 【0036】このように、運転席から遠い側の車高を基準車高値とし、走行機体の左右の傾斜姿勢制御に際して、なるべく運転席から遠い側の車高を変更しないようにして制御することにより、この運転席に座るオペレータから見て、運転席から遠い側の刈取前処理装置4の左端の分草体10の高さ位置があまり変動しないから、当該左端の分草体10の先端が走行機体の姿勢変動に従ってオペレータから見えなくなる等不都合がなくなるのである。 【0037】次に、刈取脱穀作業時における車高及び姿勢制御について、さらに詳細に説明する。前記モード切替えスイッチ76を「手動モード」に切り換えるか、または脱穀スイッチ81をOFFの状態にすると、オペレータが操作レバー77にて操作する操作量に応じて、手動モードの車高制御・姿勢制御が可能となる。この場合、操作レバー77は直立状態のとき車高変更を停止し、図9の矢印で示すように、前方向に回動すると、その回動時のみ下降動する。逆に後方向に回動すると、その回動時のみ上昇動する。当該操作レバー77による車高変更時には、左右両昇降駆動用油圧シリンダ54a,54bが同時に同じ方向に同程度作動するものである。 【0038】なお、圃場の条件に応じて、例えば、軟弱でない普通土などの圃場を走行しながら手動にて刈取脱穀作業するときには、水平セットスイッチ79をONにすることにより、走行機体1は絶対水平状態に維持されながら、且つオペレータが目視により車高を調節することができる。 【0039】水平セットスイッチ79をOFFにしたときには、オペレータは、操作レバー77を中立位置から左右いずれかの方向に回動することにより、その回動量(操作量)に応じて、走行機体1の左右傾斜姿勢を任意の傾斜角度に変更調節することができる。この傾斜姿勢を保持できるように左右の走行部2,2と走行機体1との相対高(車高)を変更調節する。この車高制御と姿勢制御との動作について、以下に詳述する。 【0040】先ず、制御のスタートに続き、直前が手動モード、自動モードのいずれにおいても、直近(制御の直前)の傾斜センサ74の検出器値θoを読み込み、制御装置70のメモリ部に記憶させる。 【0041】次に、オペレータは操作レバー77を前又は後に回動させて、目視により、走行機体1もしくは刈取前処理装置4が所定の高さにくるようにして左右の車高を同時に昇降させる(図12の姿勢PoからP1への変更を参照)。この場合、オペレータが着座している側から遠い側(実施形態では走行機体1の左側)での刈取前処理装置4の左端の現状を目視により判別し易い場合は、車高を前述の左基準とすべく左側の車高(基準車高値)HLoを記憶する(図12参照)。 【0042】次いで、オペレータは操作レバー77を左右いずれかの方向に回動させて、走行機体1の左右傾斜姿勢を手動にて変更調節することができる。このとき、右基準とするときには、基準側(左側)の車高(実施形態では基準車高値=HLo)を変更させないで、まず第1にその反対側(右側)の昇降駆動用油圧シリンダ54bを駆動させ、所定の傾斜角度θx1に近づくように姿勢制御する(姿勢P1から姿勢P2への変更、図13(a)参照)。前記反対側(右側)の車高が上限また下限になっても、希望する傾斜姿勢にならないときには、前記基準側(左側)の車高をHL1に変更して所望の傾斜角度θx2に近づけるように姿勢制御するのである(姿勢P3から姿勢P4への変更、図13(b)参照)。 【0043】なお、前記姿勢P3から姿勢P4への変更のように、一度基準側(左側)の車高が基準車高値から外れた後に、傾斜角度を変更する姿勢制御を実行するときには、前記元の基準車高値(=HLo)に戻るまで、右車高は変化しないように制御した後、前述の傾斜制御を実行するのである。 【0044】なお、圃場の内周部を回り刈りもしくは往復刈りする等の自動刈取脱穀作業時には、前記モード切替えスイッチ76を「自動モード」に切り換えて、刈り高さ設定器80にて刈高さを設定しておく。 【0045】この状態で脱穀クラッチをON・OFFするための脱穀スイッチ81をONにすると、「自動モード」の車高・姿勢制御が自動的に実行される。即ち、圃場の傾斜程度に応じて、もしくは左右の走行部2,2が通る箇所が畝の底と頂上等の走行条件に応じて、オペレータは傾斜設定器78にて、設定傾斜値を予め設定しておけば、前記左右の走行部2,2の高さを各々独立して昇降させて、走行機体1の左右傾斜姿勢を前記設定傾斜値の状態に維持して刈取り走行することができる。この場合の車高は、前記手動モード中に操作した操作レバー77による車高変更、もしくは自動モード中に操作レバー77による車高変更操作の割り込みにて変更した直近の車高値であって、車高記憶手段としてのメモリ84に記憶された基準車高値になるように車高制御するものである。 【0046】実施形態の一つとしては、前記脱穀装置3の作業を開始するため、指示スイッチとしての脱穀スイッチ81がONの状態で、モード切換スイッチ76をがOFFからONに切り替わった信号のエッジのときのメモリ84に記憶された基準車高値が自動モードにおける基準車高値となるようにセットできるものである。 【0047】この状態にてコンバインを走行させて圃場に立植された穀稈を刈取り脱穀作業するとき、前記刈り高さ設定値と、左右両刈高さ検出値の平均値とがほぼ等しくなるように、刈取前処理装置4の昇降用の油圧シリンダ9を作動せて、刈取前処理装置4の左右でほぼ均一の刈高さとなるように穀稈を刈取るように刈高さを調節することができる。 【0048】また、このとき、左右各車高検出センサ71a,71bによる車高検出値は、走行機体1の左右の下面とその下方の左右のトラックフレーム50,50との相対高さ(車高)を示すことになり、左右の昇降駆動用油圧シリンダ54a,54bの作動量の相違により走行機体1の左右傾斜角度を水平もしくは所定の設定値に維持することができ、この走行機体1の左右傾斜もしくは水平状態は、傾斜センサ74の検出値にて判別することができ、制御装置70によりフイードバック制御される。 【0049】なお、この状態で自動モードによる車高制御・姿勢制御を実行中に再度操作レバー77操作すれば、手動優先として車高を変更調節でき、その後モード切換スイッチ81を「自動モード」にしたまま、脱穀スイッチ81をONからOFF(作業終了指令信号)に切り換えると、前記直近で操作レバー77を操作して変更したときの車高を基準車高値としてメモリ84に記憶(保存)され、その状態で、車高は所定の低い高さにセットされる。これにより、圃場内の旋回にて新たな刈取条の箇所に移動することができる。モード切換スイッチ81を「自動モード」にしたまま、脱穀スイッチ81をOFFからONに切り換えると、前記記憶された直近の基準車高値に復帰して自動モードにて刈取脱穀作業を実行できるから、迅速に自動モードに入ることができ、且つ車高も、オペレータが最前操作した状態に復帰するので、再度車高合わせ(調節)を行う必要がなくなる。 【0050】昼休み等で刈取脱穀作業を中断するときには、脱穀スイッチ81をONにしたままモード切換スイッチ76をOFFするだけで、自動モードを手動モードに切換わって自動制御は終了されるが、車高は操作レバー77を操作しない限り変更されることがない。 【0051】このように、操作レバー77の手動操作で、左右両車高を変更した後に傾斜姿勢を実行するに際して、傾斜姿勢制御の場合に車高を保持する基準側をオペレータの着座部(運転席)から遠い側(実施形態では左側)に設定しておけば、走行機体1の左右の傾斜変更があっても、刈取前処理装置4におけるオペレータから遠い左側の分草体10の高さ位置があまり上下しないから、常時その分草体10を観察することができ、刈取の条合わせを確実に行えるという効果を奏する。 【0052】次に、穀粒タンク12内に貯留された穀粒量が多くなって、トラックの荷台等に排出しなければならなくなったとき等、即ち、刈取脱穀作業を一時的に終了するには、脱穀スイッチ81をOFFにする。この状態で、排出オーガ28をレスト台87から離すように、操作部90もしくは先端操作部91にて排出オーガの上昇・旋回指令を実行し、排出オーガ28への動力伝達をONとすることで、穀粒タンク12から穀粒が排出できる。このような場合、前記排出オーガ28の排出部(先端部)等が荷台等に仕えないように、オペレータが操作レバー77により、コンバインの走行機体の高さを変更調節できる。 【0053】このような作業が終了すると、図14に示すような作業終了モードにおける車高・姿勢制御を実行する。即ち、オペレータは、操作部90もしくは先端操作部91にて指令スイッチを押して排出オーガ28を前記レスト台87の位置に戻す。 【0054】そして、前記脱穀装置3の作業の開始及び終了を指令するための脱穀スイッチ81がOFFの状態(作業終了)(S1:yes )で、且つ排出オーガ28が前記レスト台87に載置されて、排出オーガ28の作業終了の区別を検知するレスト台検出器87のON信号が出たとき(S2:yes )、もしくは横オーガ筒28aが前記レスト台87に接近したことを角度センサ85,86にて検知したときには、「作業終了モード」となる。この「作業終了モード」では、走行機体1の車高を、昇降の下限位置より高い所定の車高となるように、左右の走行装置2,2の走行部昇降駆動手段である油圧シリンダ54a,54bを駆動させて、左右の姿勢が水平状態になるに姿勢に強制的に戻すようにする。 【0055】実施例としては、作業終了前の車高(基準側としての例えば左の車高HLx)が、下限位置から昇降ストロークの略20パーセントよりも高い位置HXにある場合には(S3:yes )、前記の作業終了時(「作業終了モード」となったとき)には、前記下限位置から昇降ストロークの略20パーセントだけ高い位置(所定の車高、終了時車高位置という)まで下降させ、且つ左右の車高を同じとして走行機体の左右を水平に保持する(S4)。逆に、作業終了前の車高(基準側としての左の車高HLx)が前記下限位置と、該下限位置よりも昇降ストロークの20パーセントだけ高い位置との間にある場合(S3:no)には、前記の作業終了時(「作業終了モード」となったとき)には、作業終了前の車高を維持し、且つ走行機体の左右を水平に保持させる(S5)。 【0056】なお、脱穀スイッチ81がONのままであれば(S1:no)、作業状態と判断して、刈取脱穀作業制御を実行する(S6)。また、排出オーガ28がレスト位置にない場合(S2:no)、刈取脱穀作業に復帰するなどの他の制御を実行するのである(S7)。 【0057】このように、作業終了時には、走行機体の車高を下限位置よりも高い所定の車高位置(終了時車高位置)に保持し、且つ走行機体を水平に戻すことで、通常はコンバインを安定させた低い位置にセットするものでありながら、軟弱な土壌の圃場面の場合にも、走行機体の下端が圃場面に支えず、畦越え作業も、畦を壊すことなく、次の圃場への移動を安全に実行することができるのである。 【0058】次に、前記作業終了モードから農作業再開のため、モード切換えスイッチ76を「自動モード」に切り換えたとき、オペレータが操作レバー77を操作しない場合(前記手動可変操作部にて操作量が変更されなかった場合)には、前記メモリ84に記憶されたデータである、前記作業終了モードに入る直前の前記記憶された直近の基準車高値に復帰するように車高制御を実行するのである。このようすれば、例えば、作業終了の直前に次の刈取脱穀作業の準備のために車高を操作レバー77の操作で予め変更させておくと、作業再開時に直ちに前記予め変更させた車高まで復帰した状態で且つ傾斜姿勢を所定の設定状態とする「自動モード」に入ることができ、農作業の再開が迅速にできるという効果を奏する。 【0059】なお、前記作業終了モードから農作業再開のため、モード切換えスイッチ76を「自動モード」に切り換えたのちに、オペレータが操作レバー77を操作すれば、前記メモリ84に記憶されたデータも書き換えられることになり、その直後の「自動モード」での車高は、その書き換えられたデータ(前記記憶された直近の基準車高値)になるように制御されるのである。 【0060】なお、操作レバー77による操作量を、当該操作レバー77の回動角度に比例した検出値とするように構成してもよい。また、車高検出センサ71a,71bとして、各油圧シリンダ54a,54bのピストンロッドの伸縮量を検出できる直線式エンコーダを使用しても良いし、走行機体1の下面から圃場迄の高さを検出する超音波センサ等の非接触式センサを用いても良い。刈高さ検出センサとして、前記超音波センサ20a,20bに代えて、圃場面に摺接して高さを検出する接触式(橇式)センサを用いても良い。 【0061】本発明は、コンバインばかりでなく耕作用のトラクタ等の走行農作業機についても適用できるものであることは言うまでもない。 【0062】 【発明の効果】以上に説明したように、請求項1に記載の発明の走行農作業機における車高及び姿勢制御装置は、走行機体に対して左右の走行部をそれぞれ独立的に昇降する走行部昇降駆動手段と、前記走行部に対する走行機体の相対高さを検出する車高検出センサと、走行機体の左右傾斜角度を設定する傾斜設定器と、走行機体の左右傾斜程度を検出する傾斜検出センサと、走行機体の左右傾斜角度が設定された傾斜角度になるように前記各走行部昇降駆動手段を作動させる制御手段とを備えた走行農作業機において、前記各走行部昇降駆動手段による車高の上限及び下限の検出手段と、走行機体の相対高さを変更させるべく前記左右両走行部昇降駆動手段を別別もしくは一斉に駆動させる手動可変操作部と、前記手動可変操作部の操作終了時点の車高を、運転席から遠い側の基準車高値として記憶する車高記憶手段とを備え、前記手動可変操作部の操作量に応じて車高変更操作させた後、前記傾斜設定器により設定された設定傾斜角度に近づくように傾斜制御を実行するにあたり、運転席から遠い側の基準車高値を保持し、運転席に近い側の車高を変更させて前記設定傾斜角度となるように姿勢制御するものである。 【0063】従って、運転席から遠い側の車高を基準車高値とし、走行機体の左右の傾斜姿勢制御に際して、なるべく運転席から遠い側の車高を変更しないようにして制御することにより、この運転席に座るオペレータから見て、運転席から遠い側の作業部の左端部位の高さ位置があまり変動しないから、当該左端部位の先端が走行機体の姿勢変動に従ってオペレータから見えなくなる等不都合がなくなるのである。 【0064】そして、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の走行農作業機における車高及び姿勢制御装置において、前記運転席に近い側の車高が上限または下限に到達したときには、前記運転席から遠い側の車高を変更させて設定傾斜角度となるように姿勢制御するものである。 【0065】従って、姿勢制御に際して、走行機体の右もしくは左を片方ずつ駆動することになるので、走行部昇降駆動手段が同時に駆動したり、片方に切り替わったりする駆動変更があるよりも昇降速度が安定するという効果を奏する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006851 【氏名又は名称】ヤンマー農機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年2月17日(1999.2.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079131 【弁理士】 【氏名又は名称】石井 暁夫 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−232815(P2000−232815A) |
| 【公開日】 |
平成12年8月29日(2000.8.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−38239 |
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